JP2004321018A - 冷凍生鮮水産物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生鮮水産物であるかきにおいて、解凍時の品質の悪化といった問題、大腸菌等による食あたりの問題等をそれぞれ解消して、品質が良好で、かつ食あたり等の問題が生じないようにした冷凍生鮮水産物の製造方法を提供する。
【解決手段】生鮮水産物であるかきを温度160℃から300℃の範囲でかつ時間180秒から300秒の範囲で過熱蒸気により直接加熱し、加熱後、冷凍するようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】生鮮水産物であるかきを温度160℃から300℃の範囲でかつ時間180秒から300秒の範囲で過熱蒸気により直接加熱し、加熱後、冷凍するようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、かき等の生鮮水産物を冷凍して保存するための冷凍生鮮水産物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、生鮮水産物、例えばかきを保存する方法としてはむき身のかきを冷凍して、冷凍かきとして保存するのが一般的であった。
【0003】
この冷凍かきの製造方法としてはむき身のかきをそのまま冷凍して、冷凍かきにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来の冷凍かきの製造方法にあっては、この冷凍かきを解凍した際、多量の水分及び油分や栄養分が流出し、解凍後のかきに形くずれが起きて、外観や触感、さらには風味等の品質が悪くなるといった問題が生じるおそれがあった。
【0005】
しかも、むき身のかきをそのまま冷凍して、冷凍かきにしていたため、かきに蓄積する海洋由来の小型球形ウイルス(SRSV)や大腸菌等の生菌が数多く存在したままとなり、これにより、食あたりを起こすといった危険性もあった。
【0006】
本発明は、前述したような解凍時の品質の悪化といった問題、大腸菌等による食あたりの問題等をそれぞれ解消して、品質が良好で、かつ食あたり等の問題が生じない生鮮水産物にすることのできる冷凍生鮮水産物の製造方法を提供することを、その課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第一の発明は、生鮮水産物を温度160℃から300℃の範囲でかつ時間180秒から300秒の範囲で過熱蒸気により直接加熱し、加熱後、冷凍するようにした冷凍生鮮水産物の製造方法である。
【0008】
第二の発明は、第一の発明において、前記過熱蒸気による直接加熱としては噴射ノズルを介して直接生鮮水産物に過熱蒸気を噴射するようにした冷凍生鮮水産物の製造方法である。
【0009】
【作 用】
第一の発明によれば、過熱蒸気による直接加熱によって生鮮水産物をある程度固化させることができ、冷凍生鮮水産物を解凍した際、多量の水分及び油分や栄養分が流出するのをなくして、かつ解凍後の生鮮水産物に形くずれが起きるのもなくして、外観や触感、さらには風味等の品質が悪化するのをなくすことができる。また、過熱蒸気による直接加熱により、生鮮水産物に蓄積する海洋由来の小型球形ウイルス(SRSV)や大腸菌等を死滅して滅菌することができる。
【0010】
第二の発明によれば、前記過熱蒸気による直接加熱として噴射ノズルを介して直接生鮮水産物に過熱蒸気を噴射するようにしたことで、生鮮水産物に確実かつ均一に過熱蒸気を当てることができ、製造した生鮮水産物の品質のバラツキを抑えることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前述したそれぞれの問題等を鑑みて、冷凍生鮮水産物の製造方法についての研究、実験を行った結果、冷凍する前工程において生鮮水産物を過熱蒸気により直接加熱することで、前述した問題等を解消することができることを見出した。
【0012】
以下に本発明の冷凍生鮮水産物の製造方法について説明する。なお、本文中においては冷凍する生鮮水産物としてはかきであるが、これに限定されるものではなく、その他の貝類などでも良い。
【0013】
第一の工程としては、生鮮水産物であるかきを過熱蒸気により直接加熱する。この過熱蒸気の条件は温度160℃から300℃の範囲でかつ時間180秒から300秒の範囲である。また、この過熱蒸気による直接加熱としてはかきに噴射ノズルを直接向けて、この噴射ノズルより前記の条件の過熱蒸気を噴射する方式であり、すなわち噴射ノズルを介してかきに過熱蒸気を直接噴射するものである。
【0014】
このように噴射ノズルを介してかきに過熱蒸気を直接噴射する過熱蒸気による直接加熱を行うことにより、かきをある程度固化させることができる。
【0015】
また、前記のような条件で噴射ノズルを介して過熱蒸気による直接加熱を行うことにより、かきの中心部温度を70℃以上にして、かきに蓄積する海洋由来の小型球形ウイルス(SRSV)や大腸菌等を死滅して滅菌することができる。
【0016】
そして、この第一の工程の次の第二の工程において、過熱蒸気により直接加熱されたかきを冷凍する。この冷凍の工程では、加熱されたかきを常温になるまで自然に冷却し、その後、冷凍するようにしても良いし、また、加熱されたかきを強制的に冷却し、一気に冷凍するようにしても良い。ただし、強制的に一気に冷凍する方が、菌の付着による汚染を大幅に低減することができると共に、作業性及び生産性も高めることができる。なお、これらの作業は無菌室又は殺菌室で行うことが最も好ましい。
【0017】
そして、このように冷凍されたかきを包装し冷凍保存して、冷凍かき、すなわち冷凍生鮮水産物を製造する。
【0018】
次に、第一の工程である過熱蒸気により直接加熱におけるかきの試験について説明する。過熱蒸気の条件である温度と時間を異ならせて試験を行った。この試験の結果は以下の表1のようになった。
【0019】
【表1】
【0020】
試験例1では、過熱蒸気温度を150℃、加熱時間を300秒として試験したところ、かきの加熱後の中心温度が50〜60℃となり、殺菌状態が不可のデータを示した。
【0021】
試験例2としては、過熱蒸気温度を160℃、加熱時間を300秒として試験したところ、かきの加熱後の中心温度が70〜80℃となり、かきの外観、食感、殺菌状態が共に良好のデータを示した。
【0022】
試験例3としては、過熱蒸気温度を220℃、加熱時間を240秒として試験したところ、かきの加熱後の中心温度が85〜95℃となり、歩留り82で、かきの外観、食感、殺菌状態が共に良好のデータを示した。なお、歩留りとは加熱前後での容量の差(%)である。
【0023】
試験例4としては、過熱蒸気温度を220℃、加熱時間を180秒として試験したところ、かきの加熱後の中心温度が70〜80℃となり、歩留り85で、かきの外観、食感、殺菌状態が共に良好のデータを示した。
【0024】
試験例5としては、過熱蒸気温度を300℃、加熱時間を180秒として試験したところ、かきの加熱後の中心温度が85〜95℃となり、かきの外観、食感、殺菌状態が共に良好のデータを示した。
【0025】
試験例6としては、過熱蒸気温度を250℃、加熱時間を150秒として試験したところ、かきの加熱後の中心温度が60〜70℃となり、歩留り85で、かきの外観、食感が共に良好のデータを示したが、殺菌状態が不可のデータを示した。
【0026】
試験例7としては、過熱蒸気温度を400℃、加熱時間を120秒として試験したところ、かきの加熱後の中心温度が25〜35℃となり、殺菌状態が不可のデータを示した。
【0027】
以上の試験データから、かきの外観、食感、殺菌状態を共に良好にする条件としては、過熱蒸気の条件を温度160℃から300℃の範囲でかつ時間180秒から300秒の範囲であることが分かる。
【0028】
このようにかきを温度160℃から300℃の範囲でかつ時間180秒から300秒の範囲で過熱蒸気により直接加熱し、加熱後、冷凍するようにしたことで、過熱蒸気による直接加熱によってかきをある程度固化させることができ、このかきの固化により、冷凍かきを解凍した際、多量の水分及び油分や栄養分が流出するのをなくして、かつ解凍後のかきに形くずれが起きるのもなくして、外観や触感、さらには風味等の品質が悪化するのをなくすことができる。また、過熱蒸気による直接加熱により、かきの中心部温度を70℃以上にして、かきに蓄積する海洋由来の小型球形ウイルス(SRSV)や大腸菌等を死滅して滅菌することができ、食あたりの危険性も大幅に低減することができる。これらにより、極めて良質なかきを提供することができる。
【0029】
しかも、過熱蒸気による直接加熱にあっては、時間180秒から300秒、すなわち3分から5分以内と極めて短時間での作業であり、例えば、通常の火による間接加熱と比べても、作業性、生産性が大幅に向上すると共に、これにより生産コストも大幅に安価にすることができる。
【0030】
これは、通常の火による間接加熱の場合、過熱蒸気による直接加熱と同一の条件のかきを作るには、加熱温度を150℃から250℃とし、加熱時間を15分から40分かける必要があるが、過熱蒸気による直接加熱の場合は加熱時間を3分から5分以内となり、極めて短時間で作業を行うことができる。
【0031】
また、前記過熱蒸気による直接加熱として噴射ノズルを介して直接かきに過熱蒸気を噴射するようにしたことで、かきに確実かつ均一に過熱蒸気を当てることができ、製造したかきの品質のバラツキを抑えて、常に最良なかきを提供することができる。
【0032】
次に、以上のようになる冷凍生鮮水産物の製造方法において、実際に用いられる製造装置について説明すると、図1に示すように、ベルトコンベヤ等の第一搬送部1を備え、この第一搬送部1によってかきを搬送する。
【0033】
そして、この第一搬送部1には第一の工程である過熱蒸気により直接加熱を行う加熱部2を備えて、この加熱部2の内部において搬送されてきたかきを多数の噴射ノズル3によって過熱蒸気による直接加熱が行われる。
【0034】
次に、第一搬送部1に接続する第二搬送部4を備えて、加熱部2の内部から出てきたかきを今度は第二搬送部4によって搬送する。
【0035】
そして、この第二搬送部4には第二の工程であるかきを冷凍する冷凍部5を備えて、搬送されてきたかきを冷却部5の内部において一気に冷凍する。
【0036】
次に、冷却部5の内部から出てきた冷凍されたかきを包装して、包装された後は図示しない冷凍庫等に保存する。
【0037】
なお、製造装置についても、これに限定されるものではなく、同様の機能及び性能を有するものならば他のものでも良い。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、過熱蒸気による直接加熱によって生鮮水産物をある程度固化させることができ、冷凍生鮮水産物を解凍した際、多量の水分及び油分や栄養分が流出するのをなくして、かつ解凍後の生鮮水産物に形くずれが起きるのもなくして、外観や触感、さらには風味等の品質が悪化するのをなくすことができる。また、過熱蒸気による直接加熱により、生鮮水産物に蓄積する海洋由来の小型球形ウイルス(SRSV)や大腸菌等を死滅して滅菌することができ、食あたりの危険性も大幅に低減することができる。
【0039】
また、本発明によれば、前記過熱蒸気による直接加熱として噴射ノズルを介して直接生鮮水産物に過熱蒸気を噴射するようにしたことで、生鮮水産物に確実かつ均一に過熱蒸気を当てることができ、製造した生鮮水産物の品質のバラツキを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷凍生鮮水産物の製造方法における製造装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1…第一搬送部、2…加熱部、3…噴射ノズル、4…第二搬送部、5…冷却部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、かき等の生鮮水産物を冷凍して保存するための冷凍生鮮水産物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、生鮮水産物、例えばかきを保存する方法としてはむき身のかきを冷凍して、冷凍かきとして保存するのが一般的であった。
【0003】
この冷凍かきの製造方法としてはむき身のかきをそのまま冷凍して、冷凍かきにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来の冷凍かきの製造方法にあっては、この冷凍かきを解凍した際、多量の水分及び油分や栄養分が流出し、解凍後のかきに形くずれが起きて、外観や触感、さらには風味等の品質が悪くなるといった問題が生じるおそれがあった。
【0005】
しかも、むき身のかきをそのまま冷凍して、冷凍かきにしていたため、かきに蓄積する海洋由来の小型球形ウイルス(SRSV)や大腸菌等の生菌が数多く存在したままとなり、これにより、食あたりを起こすといった危険性もあった。
【0006】
本発明は、前述したような解凍時の品質の悪化といった問題、大腸菌等による食あたりの問題等をそれぞれ解消して、品質が良好で、かつ食あたり等の問題が生じない生鮮水産物にすることのできる冷凍生鮮水産物の製造方法を提供することを、その課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
第一の発明は、生鮮水産物を温度160℃から300℃の範囲でかつ時間180秒から300秒の範囲で過熱蒸気により直接加熱し、加熱後、冷凍するようにした冷凍生鮮水産物の製造方法である。
【0008】
第二の発明は、第一の発明において、前記過熱蒸気による直接加熱としては噴射ノズルを介して直接生鮮水産物に過熱蒸気を噴射するようにした冷凍生鮮水産物の製造方法である。
【0009】
【作 用】
第一の発明によれば、過熱蒸気による直接加熱によって生鮮水産物をある程度固化させることができ、冷凍生鮮水産物を解凍した際、多量の水分及び油分や栄養分が流出するのをなくして、かつ解凍後の生鮮水産物に形くずれが起きるのもなくして、外観や触感、さらには風味等の品質が悪化するのをなくすことができる。また、過熱蒸気による直接加熱により、生鮮水産物に蓄積する海洋由来の小型球形ウイルス(SRSV)や大腸菌等を死滅して滅菌することができる。
【0010】
第二の発明によれば、前記過熱蒸気による直接加熱として噴射ノズルを介して直接生鮮水産物に過熱蒸気を噴射するようにしたことで、生鮮水産物に確実かつ均一に過熱蒸気を当てることができ、製造した生鮮水産物の品質のバラツキを抑えることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、前述したそれぞれの問題等を鑑みて、冷凍生鮮水産物の製造方法についての研究、実験を行った結果、冷凍する前工程において生鮮水産物を過熱蒸気により直接加熱することで、前述した問題等を解消することができることを見出した。
【0012】
以下に本発明の冷凍生鮮水産物の製造方法について説明する。なお、本文中においては冷凍する生鮮水産物としてはかきであるが、これに限定されるものではなく、その他の貝類などでも良い。
【0013】
第一の工程としては、生鮮水産物であるかきを過熱蒸気により直接加熱する。この過熱蒸気の条件は温度160℃から300℃の範囲でかつ時間180秒から300秒の範囲である。また、この過熱蒸気による直接加熱としてはかきに噴射ノズルを直接向けて、この噴射ノズルより前記の条件の過熱蒸気を噴射する方式であり、すなわち噴射ノズルを介してかきに過熱蒸気を直接噴射するものである。
【0014】
このように噴射ノズルを介してかきに過熱蒸気を直接噴射する過熱蒸気による直接加熱を行うことにより、かきをある程度固化させることができる。
【0015】
また、前記のような条件で噴射ノズルを介して過熱蒸気による直接加熱を行うことにより、かきの中心部温度を70℃以上にして、かきに蓄積する海洋由来の小型球形ウイルス(SRSV)や大腸菌等を死滅して滅菌することができる。
【0016】
そして、この第一の工程の次の第二の工程において、過熱蒸気により直接加熱されたかきを冷凍する。この冷凍の工程では、加熱されたかきを常温になるまで自然に冷却し、その後、冷凍するようにしても良いし、また、加熱されたかきを強制的に冷却し、一気に冷凍するようにしても良い。ただし、強制的に一気に冷凍する方が、菌の付着による汚染を大幅に低減することができると共に、作業性及び生産性も高めることができる。なお、これらの作業は無菌室又は殺菌室で行うことが最も好ましい。
【0017】
そして、このように冷凍されたかきを包装し冷凍保存して、冷凍かき、すなわち冷凍生鮮水産物を製造する。
【0018】
次に、第一の工程である過熱蒸気により直接加熱におけるかきの試験について説明する。過熱蒸気の条件である温度と時間を異ならせて試験を行った。この試験の結果は以下の表1のようになった。
【0019】
【表1】
【0020】
試験例1では、過熱蒸気温度を150℃、加熱時間を300秒として試験したところ、かきの加熱後の中心温度が50〜60℃となり、殺菌状態が不可のデータを示した。
【0021】
試験例2としては、過熱蒸気温度を160℃、加熱時間を300秒として試験したところ、かきの加熱後の中心温度が70〜80℃となり、かきの外観、食感、殺菌状態が共に良好のデータを示した。
【0022】
試験例3としては、過熱蒸気温度を220℃、加熱時間を240秒として試験したところ、かきの加熱後の中心温度が85〜95℃となり、歩留り82で、かきの外観、食感、殺菌状態が共に良好のデータを示した。なお、歩留りとは加熱前後での容量の差(%)である。
【0023】
試験例4としては、過熱蒸気温度を220℃、加熱時間を180秒として試験したところ、かきの加熱後の中心温度が70〜80℃となり、歩留り85で、かきの外観、食感、殺菌状態が共に良好のデータを示した。
【0024】
試験例5としては、過熱蒸気温度を300℃、加熱時間を180秒として試験したところ、かきの加熱後の中心温度が85〜95℃となり、かきの外観、食感、殺菌状態が共に良好のデータを示した。
【0025】
試験例6としては、過熱蒸気温度を250℃、加熱時間を150秒として試験したところ、かきの加熱後の中心温度が60〜70℃となり、歩留り85で、かきの外観、食感が共に良好のデータを示したが、殺菌状態が不可のデータを示した。
【0026】
試験例7としては、過熱蒸気温度を400℃、加熱時間を120秒として試験したところ、かきの加熱後の中心温度が25〜35℃となり、殺菌状態が不可のデータを示した。
【0027】
以上の試験データから、かきの外観、食感、殺菌状態を共に良好にする条件としては、過熱蒸気の条件を温度160℃から300℃の範囲でかつ時間180秒から300秒の範囲であることが分かる。
【0028】
このようにかきを温度160℃から300℃の範囲でかつ時間180秒から300秒の範囲で過熱蒸気により直接加熱し、加熱後、冷凍するようにしたことで、過熱蒸気による直接加熱によってかきをある程度固化させることができ、このかきの固化により、冷凍かきを解凍した際、多量の水分及び油分や栄養分が流出するのをなくして、かつ解凍後のかきに形くずれが起きるのもなくして、外観や触感、さらには風味等の品質が悪化するのをなくすことができる。また、過熱蒸気による直接加熱により、かきの中心部温度を70℃以上にして、かきに蓄積する海洋由来の小型球形ウイルス(SRSV)や大腸菌等を死滅して滅菌することができ、食あたりの危険性も大幅に低減することができる。これらにより、極めて良質なかきを提供することができる。
【0029】
しかも、過熱蒸気による直接加熱にあっては、時間180秒から300秒、すなわち3分から5分以内と極めて短時間での作業であり、例えば、通常の火による間接加熱と比べても、作業性、生産性が大幅に向上すると共に、これにより生産コストも大幅に安価にすることができる。
【0030】
これは、通常の火による間接加熱の場合、過熱蒸気による直接加熱と同一の条件のかきを作るには、加熱温度を150℃から250℃とし、加熱時間を15分から40分かける必要があるが、過熱蒸気による直接加熱の場合は加熱時間を3分から5分以内となり、極めて短時間で作業を行うことができる。
【0031】
また、前記過熱蒸気による直接加熱として噴射ノズルを介して直接かきに過熱蒸気を噴射するようにしたことで、かきに確実かつ均一に過熱蒸気を当てることができ、製造したかきの品質のバラツキを抑えて、常に最良なかきを提供することができる。
【0032】
次に、以上のようになる冷凍生鮮水産物の製造方法において、実際に用いられる製造装置について説明すると、図1に示すように、ベルトコンベヤ等の第一搬送部1を備え、この第一搬送部1によってかきを搬送する。
【0033】
そして、この第一搬送部1には第一の工程である過熱蒸気により直接加熱を行う加熱部2を備えて、この加熱部2の内部において搬送されてきたかきを多数の噴射ノズル3によって過熱蒸気による直接加熱が行われる。
【0034】
次に、第一搬送部1に接続する第二搬送部4を備えて、加熱部2の内部から出てきたかきを今度は第二搬送部4によって搬送する。
【0035】
そして、この第二搬送部4には第二の工程であるかきを冷凍する冷凍部5を備えて、搬送されてきたかきを冷却部5の内部において一気に冷凍する。
【0036】
次に、冷却部5の内部から出てきた冷凍されたかきを包装して、包装された後は図示しない冷凍庫等に保存する。
【0037】
なお、製造装置についても、これに限定されるものではなく、同様の機能及び性能を有するものならば他のものでも良い。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、過熱蒸気による直接加熱によって生鮮水産物をある程度固化させることができ、冷凍生鮮水産物を解凍した際、多量の水分及び油分や栄養分が流出するのをなくして、かつ解凍後の生鮮水産物に形くずれが起きるのもなくして、外観や触感、さらには風味等の品質が悪化するのをなくすことができる。また、過熱蒸気による直接加熱により、生鮮水産物に蓄積する海洋由来の小型球形ウイルス(SRSV)や大腸菌等を死滅して滅菌することができ、食あたりの危険性も大幅に低減することができる。
【0039】
また、本発明によれば、前記過熱蒸気による直接加熱として噴射ノズルを介して直接生鮮水産物に過熱蒸気を噴射するようにしたことで、生鮮水産物に確実かつ均一に過熱蒸気を当てることができ、製造した生鮮水産物の品質のバラツキを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷凍生鮮水産物の製造方法における製造装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1…第一搬送部、2…加熱部、3…噴射ノズル、4…第二搬送部、5…冷却部。
Claims (2)
- 生鮮水産物を温度160℃から300℃の範囲でかつ時間180秒から300秒の範囲で過熱蒸気により直接加熱し、加熱後、冷凍するようにしたことを特徴とする冷凍生鮮水産物の製造方法。
- 前記過熱蒸気による直接加熱としては噴射ノズルを介して直接生鮮水産物に過熱蒸気を噴射するようにしたことを特徴とする請求項1記載の冷凍生鮮水産物の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003116579A JP2004321018A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | 冷凍生鮮水産物の製造方法 |
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JP2003116579A JP2004321018A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | 冷凍生鮮水産物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004321018A true JP2004321018A (ja) | 2004-11-18 |
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ID=33496742
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JP2003116579A Pending JP2004321018A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | 冷凍生鮮水産物の製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2004321018A (ja) |
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2003
- 2003-04-22 JP JP2003116579A patent/JP2004321018A/ja active Pending
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