JP2012034630A - 湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 調理時間が短く、添加調味料が魚体のなかに浸み込みやすく、調理後の肉質がやわらかく、加熱時にカードの露出を低減でき、照り焼きなどの調理品にも対応することができる湯せん調理用魚介類包装冷凍食品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 凍ったままの状態で熱湯に入れて湯せん調理されるか、または加熱蒸気下で蒸して調理される湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品であって、整形され、かつpH8.0以上12.5以下に調整されたアルカリ水溶液中に大気圧室温下で所定時間漬け込み処理することによりpH8.0以上12.5以下の状態に調整された後に冷凍された魚体を調味料とともにフィルム包装材のなかに封入した。
【選択図】 なし

Description

本発明は、下ごしらえが要らず湯せんまたは蒸して食される湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品及びその製造方法に関する。
近時、食の多様化と簡便化を背景として、また高齢化社会の到来を背景として、下ごしらえ無しで暖かく美味しく食べやすい料理をすばやく提供できる未調理食材に対するユーザーの要望が高まってきている。様々な食材があるなかで魚は、低脂肪で高たんぱく質の食材として優れているが、骨があり調理が面倒であることや臭いが嫌われて、蓄肉類に比べて若い世代から敬遠されがちである。
これらの事情を背景として、耐熱性樹脂フィルムを用いて真空包装または不活性ガス封入包装され、原則として調理前の下ごしらえ等が不要で電子レンジ等により加熱するだけで喫食することができる冷凍またはチルドタイプの包装冷凍魚介類が開発されている。このような包装冷凍魚介類は、種々の加工を施されて多種多様な冷凍食品として市場に流通している。
例えば特許文献1には、塩水洗浄した魚を冷蔵保管し、中心温度65℃で表面に焦げ目ができるまで焼いた後に真空パックされた魚介類調理加工冷凍食品が記載されている。
また、特許文献2には、魚体を水蒸気加熱した後に、調味料を添加して密封包装し、不凍液中に高電位電場を与えながらブライン冷凍された冷凍食品が記載されている。
さらに、特許文献3には、未加熱の魚体をゲル状の凝固調味料ゼラチンとともに密封包装した冷蔵・冷凍即席煮物用未加熱魚介類が記載されている。
特開2003-334035号公報、請求項5、段落「0023」「0030」「0032」 特開2003-92981号公報、段落「0009」「0014」「0019」 登録実用新案第3031712号公報
しかしながら、特許文献1の焼かれた魚や特許文献2の蒸気加熱された魚は、製造工程中においてすでに1回または2回以上の加熱を受けており、さらにユーザーが調理するときに再加熱されるため、この加熱の繰り返しにより筋線維が凝集して肉質がかたくなり、ボソボソとした食感になりやすい。また、魚を不適切に加熱すると、表皮を黒く焦がしたり、身が割れたり、身や表皮が鱗片状に剥がれたりすることがあり、料理の見栄えが損なわれることがある。
一方、特許文献3の凝固調味料ゼラチンと共に真空包装された魚は、ゼラチンで調味料を凝固する複雑な製造工程を要するので、多くの手間と時間が掛かる。また、湯煎時の熱が魚体を覆う凝固調味料ゼラチンを溶かすのに費やされ、冷凍魚体の中心部まで熱が通るのに時間を要するとともに、溶けた調味料が魚体の内部に浸み込むのにも時間を要するので、短時間の調理では煮魚としての味に深みを出しにくいという問題がある。また、特許文献3の包装冷凍魚は、添加されたゼラチンがカードの露出を促進させるため、露出したカードが調味料を白く濁らせて見た目が悪くなり、料理の出来ばえが損なわれる。
本発明は従来品がかかえる上記の課題を解決するためになされたものであり、調理時間が短く、添加調味料が魚体のなかに浸み込みやすく、調理後の肉質がやわらかく、加熱時にカードの露出を低減でき、照り焼きなどの調理品にも対応することができる湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品は、凍ったままの状態で熱湯に入れて湯せん調理されるか、または加熱蒸気下で蒸して調理される湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品であって、整形され、かつpH8.0以上12.5以下に調整されたアルカリ水溶液中に大気圧室温下で所定時間漬け込み処理することによりpH8.0以上12.5以下の状態に調整された後に冷凍された魚体を調味料とともにフィルム包装材のなかに封入したことを特徴とする。
本発明に係る湯せん調理用魚介類包装冷凍食品の製造方法は、(a)原料を整形処理して所望の形状の魚体を得る工程と、(b)前記魚体をpH8.0以上12.5以下に調整されたアルカリ水溶液中に大気圧室温下で所定時間漬け込む工程と、(c)前記アルカリ処理された魚体を冷凍する工程と、(d)前記冷凍された魚体をフィルム包装材に袋詰めし、これに調味料を充填し、前記フィルム包装材を封止する工程と、(e)前記包装された魚体を冷凍する工程と、を有することを特徴とする。
本明細書中の重要な用語を以下のように定義する。
「整形処理」とは、広義には魚体の外形を整える処理と魚体の内部を整える処理との両方を含む包括的な広い概念の処理のことをいい、狭義には魚体のアタマとエラとヒレと内臓とウロコを除去する処理のことをいう。ここで「魚を整形処理する」とは、原料となる冷凍魚または鮮魚をラウンド、ドレス、フィレ、切身などの各種の形状・形態に加工することをいい、具体的には魚体から少なくともアタマとエラとヒレと内臓を除去することを含み、さらに任意にウロコを除去することを含む。骨の除去は、広義の整形処理には含まれるが、狭義の整形処理には含まれない。ここで「骨の除去」とは、魚体から少なくとも背骨と肋骨を除去することを含み、任意にエネルギー線の透過撮影により検出可能な魚肉中に散在する細い骨や短い骨を除去することを含む。
「空隙率」とは、魚体の断面を顕微鏡観察するときの二次元視野において、筋線維の面積に対する空隙の面積の比率を百分率であらわした指数をいう。空隙率は、魚の細胞の劣化(変性)の程度を評価するために用いる1つの指標である。空隙率が小さいほど細胞の劣化(変性)が少ない。冷凍と解凍の繰り返し回数が増えるに従って、あるいは魚体心部まで熱が伝わる加熱履歴を受けるに従って細胞の劣化(変性)が進み、空隙率が大きくなり、ボソボソとしたパサついた食感となる。
「カード」とは、加熱により魚肉中の水溶性たんぱく質が凝固して表面に露出し、その外観を損なう白濁物質のことをいう。また「カードの露出」とは、水溶性たんぱく質が加熱により白濁凝固して魚肉の表面にあらわれる現象のことをいう。
「顆粒状組織」とは、構造をもたない水溶性たんぱく質をいう。筋線維から滲み出した水溶性たんぱく質が加熱されると、凝固して構造をもたない顆粒状組織となる。この顆粒状組織はカードの原因物質になるものと考えられている。
「クロレラエキス」とは、クロレラ抽出液のことをいう。クロレラ抽出液は、種々の抽出方法を用いてクロレラ粉体から抽出される各種の水溶性成分、例えばアミノ酸、ペプチド、水溶性ビタミン、糖類、核酸、水溶性たんぱく質などを含むものである。
「さば」は、まさば、ごまさば等のあらゆる種類のさばを包括的に含む総称をいう。
本発明によれば以下に列記する効果を奏することができる。
1) 特許文献3に記載されているゼラチンで調味料を凝固させる時間と手間の掛かる面倒な加工工程を省略でき、簡略化したラインで効率よく生産できる。
2) 加熱調理してもカードが出ない。表面にカードが露出しないので添加調味料が濁らずに透明感が保たれ、料理の出来栄えがよくなる。
3) 魚の生臭さがないので食べやすく、後味がよい。
4) ボソボソとしたパサついた食感がなく、ふっくらとジューシーな食感がある。
5) 加熱調理しても身崩れや身割れを生じない。調理後に身崩れがない状態を維持しつつ、喫食事には柔らかく、時間が経過しても硬くなりにくい。
6) 肉質が柔らかく、箸の通りが良く、咀嚼力が衰えた要介護者であっても食べやすい。
7) 凍ったままの切身の表皮に焼目をつけて照り焼きや塩焼きとすることができ、加熱調理した後に数時間放置した場合であっても表面の照りが失われない。
本発明の製造方法を示す工程図。 (a)と(b)は比較例サンプルの加熱調理後の外観写真、(c)と(d)は実施例サンプルの加熱調理後の外観写真。 比較例サンプルのGC-FIDスペクトル線図。 実施例サンプルのGC-FIDスペクトル線図 (a)は破断試験用のくさび型プランジャーを示す斜視図、(b)は圧縮試験用の円柱型プランジャーを示す斜視図。 くさび型プランジャーで測定した各種食材のかたさ結果を対比して示す棒グラフ図。 円柱型プランジャーで測定した各種食材のかたさ結果を対比して示す棒グラフ図。 (a)は比較例サンプル(pH 7.0、さば煮付け)の組織切片を示す顕微鏡写真、(b)は実施例サンプル(pH 8.0、さば煮付け)の組織切片を示す顕微鏡写真、(c)は実施例サンプル(pH 10.5、さば煮付け)の組織切片を示す顕微鏡写真、(d)は実施例サンプル(pH 12.5、さば煮付け)の組織切片を示す顕微鏡写真。 本発明の他の製造方法を示す工程図。 (a)と(b)は比較例サンプルの加熱調理後の外観写真、(c)と(d)は実施例サンプルの加熱調理後の外観写真。 (a)〜(e)は各種pHのアルカリ溶液中で浸漬処理したサンプルの加熱調理後の外観写真。 比較例サンプルのGC-FIDスペクトル線図。 実施例サンプルのGC-FIDスペクトル線図 くさび型プランジャーで測定した各種食材のかたさ結果を対比して示す棒グラフ図。 円柱型プランジャーで測定した各種食材のかたさ結果を対比して示す棒グラフ図。 (a)は比較例サンプル(pH 7.0、さば照焼)の組織切片を示す顕微鏡写真、(b)は実施例サンプル(pH 8.0、さば照焼)の組織切片を示す顕微鏡写真、(c)は実施例サンプル(pH 10.5、さば照焼)の組織切片を示す顕微鏡写真、(d)は実施例サンプル(pH 12.5、さば照焼)の組織切片を示す顕微鏡写真。 (a)は比較例サンプル(pH 7.0、さば照煮付け)の組織切片を示す顕微鏡写真、(b)は比較例サンプル(pH 7.0、さば照焼)の組織切片を示す顕微鏡写真。
本発明に係る湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品は、凍ったままの状態で熱湯に入れて加熱調理されるか、または加熱蒸気下で蒸して調理される湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品であって、整形処理され、かつpH8.0以上12.5以下に調整されたアルカリ水溶液中に大気圧室温下で所定時間漬け込み処理することによりpH8.0以上12.5以下の状態に調整された後に冷凍された魚体を調味料とともにフィルム包装材のなかに封入している。
本発明は、湯せん調理されるボイリングタイプまたは蒸して調理される蒸気加熱タイプの包装冷凍食品を対象とし、整形処理された魚体(例えば切身魚)をアルカリ水溶液中に漬け込み、アルカリ処理された魚体を凍結させて調味料とともにフィルム包装した冷凍食品に関する。
本発明に係る湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品の製造方法は、以下の工程(a)〜(e)を含むものである。
(a)原料を整形処理して所望の形状の魚体を得る工程
(b)前記魚体をpH8.0以上12.5以下に調整されたアルカリ水溶液中に大気圧室温下で所定時間漬け込む工程
(c)前記アルカリ処理された魚体を凍結させる工程
(d)前記凍結された魚体をフィルム包装材に袋詰めし、これに調味料を充填し、前記フィルム包装材を封止する工程
(e)前記包装された魚体を冷凍する工程
本発明が適用される魚種は、赤身系の魚(いわし、さば、さんま、かつお等)、白身系の魚(カレイ、ヒラメ等)、中間系の魚(あじ、いさき等)の区別なく広く種々の魚を対象とし、例えば、さば(ノルウェー産)、さば(日本産)、いわし、さんま、かつお、黄金がれい、からすガレイ、真だら、助宗だら、白糸だら、鮭鱒、さわら、赤魚、メバル、太刀魚、キャットフィッシュ、ナイルパーチ、イトヨリ鯛など広範囲に及ぶ。また、本発明が適用される魚体の形態は、原料となる魚体を整形処理することによりラウンド、ドレス、フィレ、切身など種々の形状・形態にすることができるが、それらのどの形状・形態に対しても本発明を適用することができる。
(アルカリ化処理)
本発明では、浸漬アルカリ化処理に用いるアルカリ水溶液をpH8.0以上12.5以下に調整する。魚体をpH8.0を下回る中性または酸性の液に浸漬すると、細胞の保水性が低下して水溶性たんぱく質が細胞から滲み出し、身がパサつき、かたくなるからである(図8(a)、図16(a))。また、表面に滲み出てきた水溶性たんぱく質は、加熱により白濁したカードとなって魚体の表面に付着し、外観を著しく劣化させるからである(図2(a)(b)、図10(b)、図11(a))。一方、pH12.5を上回る強アルカリ性の液に浸漬すると、肉の味に苦味がでてくるからである。さらに、pH10.5あたりに調整したアルカリ水溶液に魚体を浸漬すると、カードの露出防止効果が最も良好になる。カードの露出防止効果が得られるアルカリ水溶液のpH値は、上述のpH8.0以上12.5以下の範囲であるが、より好ましくはpH8.5以上12.0以下の範囲であり、最も好ましくはpH9.0以上12.0以下の範囲である。pH10.5は細胞の保水性が最適になるところであり、筋線維と筋線維との相互間隙に水分が入り込み、肉質が柔らかくジューシーになるからである(図8(b)(c)(d)、図16(b)(c)(d))。
本発明では、浸漬アルカリ化処理した魚体の空隙率が25%以下であることが好ましい。空隙率が25%を超えると、肉質からジューシーさが失われ、ボソボソとした食感となるからである。
本発明方法の工程(b)に用いるアルカリ水溶液は、主要成分として炭酸塩、リン酸塩、水酸化塩およびアルカリ性の有機酸塩からなる群より選択される1種または2種以上を含むものである。炭酸塩、リン酸塩、水酸化塩およびアルカリ性の有機酸塩の配合比を変えることによりアルカリ水溶液のpHを所望の値に調整できるとともに、pHをアルカリ側に保持する緩衝力をもたせて保水性を高める効果がある。
これら主要成分の合計含有量が0.1質量%以上から10質量%以下までの範囲にあり、かつ炭酸塩、リン酸塩、水酸化塩の含有量がそれぞれ0.01〜5.00質量%の範囲にあり、かつアルカリ性の有機酸塩の含有量が0.01〜20.00質量%の範囲にあることが好ましい。すなわち、アルカリ水溶液は下式(1)と(2)を共に満たすことが好ましい。
アルカリ水溶液は、炭酸塩、リン酸塩、水酸化塩およびアルカリ性の有機酸塩からなる群より選択される1種または2種以上を含み、かつ次式を共に満たすことを特徴とする請求項1記載の冷凍食品。
0.1≦A+B+C+D≦20.0 …(1)
0.01≦A≦5.00, 0.01≦B≦5.00, 0.01≦C≦5.00, 0.01≦D≦20.00 …(2)
但し、記号Aは炭酸塩の含有量(質量%)、記号Bはリン酸塩の含有量(質量%)、記号Cは水酸化塩の含有量(質量%)、記号Dはアルカリ性の有機酸塩の含有量(質量%)である。
上記主要成分の合計含有量が0.1質量%未満(A+B+C+D<0.1)になり、及び/又は、炭酸塩含有量が0.01%未満(A<0.01)、リン酸塩含有量が0.01%未満(B<0.01)、水酸化塩含有量が0.01%未満(C<0.01)、有機酸塩含有量が0.01%未満(D<0.01)になると、魚肉に対する所望のアルカリ化処理の効果が得られなくなる。
一方、上記主要成分の合計含有量が20.0質量%超え(A+B+C+D>20.0)になり、及び/又は、炭酸塩含有量が5.00%超え(A>5.00)、リン酸塩含有量が5.00%超え(B>5.00)、水酸化塩含有量が5.00%超え(C>5.00)、アルカリ性の有機酸塩含有量が20.00%超え(D>20.00)ると、魚肉に苦味を生じるようになる。
炭酸塩として、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウムなどを用いることができる。
リン酸塩として、ピロリン酸ナトリウム及びポリリン酸ナトリウムなどのような重合リン酸塩類、またはリン酸三ナトリウム及びリン酸水素二ナトリウムなどのような非重合リン酸塩類を用いることができる。
水酸化塩として、水酸化カルシウムなどを用いることができる。
アルカリ性の有機酸塩として、クエン酸塩類、乳酸塩類、及びリンゴ酸塩類などを用いることができる。これらのうちクエン酸塩類であるクエン酸三ナトリウム(Na3(C3H5O(COO)3))を用いることが好ましい。
なお、アルカリ水溶液には、これら4つの主要成分の他に後述するクロレラ、糖類、食塩などをさらに添加することができる。例えば糖類としてトレハロース、還元水飴、マルトース、ラクトース、スクロース等をアルカリ水溶液中に添加することができる。また、食塩をアルカリ水溶液中に0.1〜5.0質量%含有させることができる。食塩は保存作用と調味作用を有する。上記クロレラエキスのなかにも若干量の食塩が含まれている。食塩濃度が0.1%を下回ると、所望の保存効果と調味効果が得られなくなる。一方、食塩濃度が5.0%を超えると、塩辛くなり魚の旨み味が損なわれる。なお、食塩濃度は1.0%程度とすることが保存効果と調味効果を得るとともに、さらに上記クロレラとの整味効果を得るうえで最も好ましい。
本発明において、大気圧室温下で魚体をアルカリ水溶液中に漬け込むようにしているが、室温下といっても気温の変化に応じて最低限の温度管理はする必要がある。例えば、魚体中心部の温度(芯温)が好ましくはプラス1〜25℃、より好ましくはプラス3〜10℃、最も好ましくはプラス3〜5℃となるように温度管理することが望ましい。したがって、漬け込み処理は、エアコンディショナーにより温度調整された空調室内で行われることが望ましい。また、本発明では漬け込み時の圧力を大気圧としているが、本発明は1気圧に限定されるものではなく、気象の変化に応じて1気圧を少し下回る減圧下であってもよいし、1気圧を少し上回る加圧下であってもよい。
本発明において、アルカリ処理工程(b)では、アルカリ水溶液中の漬け込み時間を10分間以上48時間以下とすることができる。漬込み時間は、10分間以上48時間以下とすることができるが、より好ましくは10分間以上3時間以下とし、最も好ましくは30分間以上120分(2時間)以下とする。ほとんどの魚種では3時間以下の漬け込みで十分な効果を得ることができるが、魚種や魚体の形態に応じて漬込み時間を3時間を超えて延長することができる。しかし、48時間で漬込み処理の効果が飽和してしまい、それ以上の漬け込みは生産性の観点から許容できないので最長の漬込み時間を48時間とした。
一方、漬け込み時間が10分未満になると、魚体表面にカードが露出しやすく、身崩れや身割れが発生しやすくなるなど種々の問題を生じて本発明の効果が得られなくなる。ほとんどの魚種では10分以上の漬け込みでほぼ十分な効果を得ることができるが、魚種や魚体の形態に応じて漬込み時間を30分以上に延ばすことが好ましい場合がある。漬け込み時の温度や圧力を上昇させて魚体に対するアルカリ水溶液の浸透圧を上げることにより、さらに漬け込み時間を短縮することも考えられるが、温度・圧力の増大化は細胞がダメージを受けて肉質が劣化するおそれがあるため好ましくない。
ところで、本発明者らは、湯せん又は蒸し調理用の魚介類包装冷凍食品を鋭意研究し開発努力する過程において、アルカリ浸漬処理後に魚体のpH値が経時変化するという知見を得ている。すなわち、本発明者らの研究によれば、アルカリ浸漬処理後において時間が経過するとともに、処理に使用したアルカリ水溶液のpH値よりも処理された魚体のpH値が僅かずつではあるが徐々に低下することが認められた。例えばpH9.8のアルカリ水溶液中に魚体(秋鮭の切身)を1時間浸漬した試料では、処理直後の魚体試料のpH値はほぼ9.8であるが、漬込み処理完了から例えば24時間経過後の魚体試料のpH値は最大で7.14程度まで下がることが認められた。この魚体試料のpH値の低下現象は、細胞中に浸透したアルカリ成分と魚体の細胞中に含まれる液体(水溶性タンパク質など)との間で中和反応が進行すること、及び/又は浸漬処理の直後においては魚体の表層部と芯部との間にpH値のばらつきがあり、それが時間の経過とともに平準化されることなどに起因するものと推測されているが、現段階では未だはっきりした原因は究明されていない。なお、魚体試料のpH測定には、pH測定器(製造会社の名称;HANNA、製品名称又は型番;CODE HI99163)を用いた。このpH測定器は、所定の電極を被検体に接触させ、そのときの電極電位を検出し、検出した電極電位に基づいてpH値を算出する電極電位測定方式のものである。
本発明において、冷凍工程(c)より前に、魚体を0.1〜20質量%濃度のクロレラ抽出液含有水溶液中に所定時間漬け込むことが好ましい。クロレラは、消臭作用と整味作用を兼ね備えた有効成分である。クロレラ抽出液含有水溶液中のクロレラ濃度が0.1質量%未満であると、所望の消臭効果および整味効果が得られなくなるからである。一方、液中のクロレラ濃度が20質量%を超えると、効果が飽和してしまうからである。ここで、消臭作用とは魚肉の臭みを消す性質をいう。整味作用とは魚肉の本来もっている旨みをさらに引き出す性質をいう。クロレラの整味作用は、食塩などの調味料と組み合わせて複合添加した場合に魚肉の味を引き立たせる役割を有する。クロレラ溶液への漬け込み時間は、アルカリ化処理の漬け込み時間と同じにすることができ、好ましくは10分以上48時間以下、より好ましくは10分以上3時間以下、最も好ましくは30分以上2時間以下とすることができる。クロレラエキスをアルカリ水溶液中に添加混合して漬け込み処理することが可能だからである。もちろん、クロレラ溶液をアルカリ水溶液とは別々にしてそれぞれ漬け込み処理することもできる。なお、クロレラ溶液の漬け込みタイミングはアルカリ水溶液漬け込み処理の前後どちらでもよい。
本発明において、冷凍工程(c)より前に、魚体を0.01〜20質量%濃度の糖類含有水溶液中に所定時間漬け込むことが好ましい。糖類は、筋線維を保護する作用および保水性を高める作用を有する有効成分である。糖類としてトレハロース、還元水飴、マルトース、ラクトース、スクロース等を用いることができる。液中の糖類濃度が0.01%未満であると、所望の筋線維保護効果および保水効果が得られない。一方、液中の糖類濃度が20質量%を超えると、効果が飽和してしまう。糖類溶液への漬け込み時間は、アルカリ化処理の漬け込み時間と同じにすることができ、好ましくは10分間以上48時間以下、より好ましくは10分間以上3時間以下、最も好ましくは30分間以上2時間以下とすることができる。糖類をアルカリ水溶液中に添加混合して漬け込み処理することが可能だからである。もちろん、糖類溶液をアルカリ水溶液とは別々にしてそれぞれ漬け込み処理することもできる。なお、糖類溶液の漬け込みタイミングはアルカリ水溶液漬け込み処理の前後どちらでもよい。
(添加調味料)
調味料は、加熱調理中に魚体の内部に浸透することにより魚肉のもつ本来的な旨みを引き出して味を良くするとともに、魚体の表面にとろみを付ける役割を有するものである。例えば煮付け用の調味料は、果糖ぶどう糖液糖、醤油、水飴、酒、澱粉、香辛料、食塩、魚介エキス、水およびその他の微量添加成分を含んでいる(表6)。また、照焼き用の調味料は、醤油、砂糖、米発酵調味料、澱粉、魚介エキス、食塩、水およびその他の微量添加成分を含んでいる(表7)。本発明の実施例では煮付け用の調味料と照焼用の調味料をそれぞれ用いた例を示したが、それ以外に塩焼き用の調味料を用いることができる。塩焼き用の調味料は照焼用の調味料とほぼ同じ成分とすることが好ましい。
(フィルム包装材)
フィルム包装材には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニリデン共重合体(PVDC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)などの樹脂材料を用いることができる。本発明に適したフィルム包装材の厚みは、平均厚みで50〜100μmの範囲にあることが望ましい。フィルム包装材の厚みが50μm未満では、その包装物を取り扱う際に最低限要求される必要な強度が不足して裂けたり破れたりするおそれがある。一方、フィルム包装材の厚みが100μmを超えると、真空包装時のヒートシール部に不良(波うち状の熱変形部にてシール不良)を生じやすくなり、また包装を開封しにくくなり、また内容物への熱伝導性が低下し、さらにコスト高になる。
任意に魚体の表皮に焼き目をつけることができる。その方法を簡単に説明する。
凍結した魚体の表皮に糖類含有水溶液を塗布し、塗布面に焼きごてを押し当て、塗布した糖類含有水溶液を瞬間的に加熱して炭化させる。これにより魚体の表皮の一部に黒く焼け焦げた焼き目を付けることができる。瞬間加熱手段には、焼きごての代わりに小型バーナー火炎を用いることもできる。糖類含有水溶液に含ませる糖類としてキシロース、ショ糖、ぶどう糖、麦芽糖、水飴、デキストリン等を用いることができる。この瞬間加熱は、糖類含有水溶液を炭化させるだけの極めて短時間の低温加熱であり、魚体の内部はほとんど温度上昇しないか、または若干温度上昇したとしても許容できるほど僅かである。例えば冷凍魚体の芯部が0℃以上に昇温しないように魚体に対する瞬間加熱手段の当たり具合を調整することができる。
以下、添付の図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1を参照して先ず本実施形態の包装冷凍食品の製造方法として煮付け用製品を製造する場合を説明する。
原料となる冷凍魚を受け入れ(工程S1)、受け入れた冷凍魚を直ちに解凍するか、あるいは所定の期間だけ冷凍庫に保管した後に解凍する。解凍した魚体から頭、鰓、鰭、内臓、鱗などを除去する整形処理を行う(工程S2)。
整形処理した魚体を三枚に卸し、骨を除去する。さらに、骨除去した魚体をX線検出機に通して魚体内に残留する骨の有無を検査する残骨検査を行う(工程S3)。残骨検査で発見された骨を手作業で抜き取る。さらに、寄生虫などの異物を除去するために魚体をキャンドリング検査する。
水洗後、前処理として魚体をpH8.0以上12.5以下の範囲の所望のpH値に調整されたアルカリ水溶液中に所定時間だけ全没状態に浸漬する漬け込み処理を行う(工程S4)。この漬け込み処理時において表皮は付けたままとしてもよいし、魚体本体から剥ぎ取るようにしてもよい。例えば、さばを処理する場合には、漬け込み前に魚体本体から薄皮を剥ぎ取ると、魚体本体へのアルカリ水溶液の浸透を速めることができる。さばの薄皮は表皮の最外面にあり、これを取り除いてもさば特有の縞模様は残るため、さば本来の外観をそのまま維持することができる。
漬け込み処理後、処理した魚体を冷凍庫に入れて一次凍結する(工程S5)。一次凍結条件は、魚体の中心部の温度(芯温)が例えばマイナス10℃以下、好ましくはマイナス18℃以下になるようにコントロールされる。
次いで、一次凍結した魚体を所定条件下で半解凍し(工程S6)、半解凍状態の魚体を所望のサイズに切身加工する(工程S7)。切身加工した魚肉切身を計量し、計量結果を記録した後に、冷凍庫に入れて二次凍結する(工程S8)。二次凍結条件は、魚体の中心部の温度(芯温)がマイナス15℃以下、好ましくはマイナス18℃以下となるようにコントロールされる。
二次凍結した切身を冷凍庫から取り出し、計量結果を参照しながら切身の合計重量が所定の目標重量になるようにフィルム包装袋のなかに袋詰めする(工程S9)。次いで、所定成分と量の調味料をフィルム包装袋のなかに充填し、全体の重量を計量する(工程S10)。全体重量の計量結果が所定目標値の範囲内であれば合格とし、所定の目標値の範囲から外れるときは不合格とする。合格品の袋のなかを真空引きし、開口部を封止して密封状態とする(工程S11)。なお、任意に窒素ガスやアルゴンガスのような不活性ガスを真空袋のなかに注入することができる。
さらに、真空包装した冷凍魚を金属検出機に通し、魚体に釣り針などの金属製の異物が残留していないことを確認することができる。
次いで、袋詰めした切身を冷凍庫に入れて三次凍結する。三次凍結条件は、切身の中心部の温度(芯温)がマイナス15℃以下、好ましくはマイナス18℃以下となるようにコントロールされる(工程S12)。三次凍結した袋詰め切身を冷凍庫から取り出し、さらに出荷用の箱に箱詰めし、出荷する。
次に図12を参照して他の実施形態の包装冷凍食品の製造方法として照焼用製品を製造する場合を説明する。
工程K1から工程K8までは上述した煮付け用製品の工程S1〜S8と実質的に同じである。
二次凍結した魚体の表皮に糖類含有水溶液を塗布し、塗布面に焼きごてを押し当て、塗布した糖類含有水溶液を瞬間的に加熱して炭化させる(工程K9)。この表面処理により魚体の表皮の一部に黒く焼け焦げた焼き目を付けることができる。糖類含有水溶液に含ませる糖類としてキシロース、ショ糖、ぶどう糖、麦芽糖、水飴、カラメル色素、デキストリン等を用いることができる。この瞬間加熱は、糖類含有水溶液を炭化させるだけの極めて短時間の低温加熱であり、魚体の内部はほとんど温度上昇しないか、または若干温度上昇したとしても許容できるほど僅かである。例えば冷凍魚体の芯部が0℃以上に昇温しないように魚体に対する瞬間加熱手段の当たり具合を調整することができる。
工程K10から工程K13までは上述した煮付け用製品の工程S9〜S12と実質的に同じである。
以下、添付の図面と表を参照して本発明の実施例を比較例等と対比して説明する。
[アルカリ水溶液の成分]
アルカリ水溶液は、pHが8.0〜12.5の範囲に調整されている。
以下にアルカリ水溶液の成分(質量%)の一例を示す。
炭酸水素ナトリウム;1.72%
炭酸ナトリウム;0.52%
クエン酸三ナトリウム;0.20%、
その他の添加剤;1.56%
[カードの評価]
表1に示す各種のさば試料をそれぞれ作製した。すなわち、加熱した履歴がない未加熱の冷凍生さばを解凍して種々のpH値の水溶液に浸漬し、pH7.0、pH8.0、pH10.5、pH12.0、pH12.5にそれぞれpH調整処理した各種試料を作製した。実施例1と比較例1は煮付け用さば試料である(試料番号1-1,0-1)。実施例2〜6と比較例2は照焼用試料である(試料番号2-2,3-2,4-2,5-2,6-2,0-2)。実施例試料は各pH値に調整したアルカリ水溶液中にそれぞれ1時間浸漬した。
各冷凍生さば試料を煮付け用調味料とともに所定の包装フィルム材によりフィルム包装し、各フィルム包装試料を湯煎用なべ内で95〜100℃×20分間加熱した。各試料の魚肉サンプルからのカード発生の有無を外観目視検査により評価した。
図2の(a)は比較例1のさば煮付け試料0-1(pH7.0のアルカリ水溶液に漬け込み処理)の表皮面側を示す外観写真、図2の(b)は比較例1の試料の裏面側(切身の断面側)を示す外観写真である。また、図2の(c)は実施例1のさば煮付け試料1-1(pH10.5のアルカリ水溶液に漬け込み処理)の表皮面側を示す外観写真、図2の(d)は実施例1の試料の裏面側(切身の断面側)を示す外観写真である。
図10の(a)は比較例2のさば照焼試料0-2(pH7.0のアルカリ水溶液漬け込み処理あり)の表皮面側を示す外観写真、図10の(b)は比較例2の試料の裏面側を示す外観写真である。また、図10の(c)は実施例2のさば煮付け試料2-2(pH10.5のアルカリ水溶液に漬け込み処理)の表皮面側を示す外観写真、図2の(d)は実施例2の試料の裏面側(切身の断面側)を示す外観写真である。
図11の(a)は比較例3のさば照焼試料0-3(pH7.0のアルカリ水溶液に漬け込み処理)の裏面側を示す外観写真である。図11の(b)は実施例3のさば煮付け試料3-2(pH8.0のアルカリ水溶液に漬け込み処理)の裏面側を示す外観写真、図11の(c)は実施例4のさば煮付け試料4-2(pH10.5のアルカリ水溶液に漬け込み処理)の裏面側を示す外観写真、図11の(d)は実施例5のさば煮付け試料5-2(pH12.0のアルカリ水溶液に漬け込み処理)の裏面側を示す外観写真、図11の(e)は実施例6のさば煮付け試料6-2(pH12.5のアルカリ水溶液に漬け込み処理)の裏面側を示す外観写真である。
比較例1〜3の試料0-1,0-2,0-3において、図中にて囲み線○で囲って示すように背部および腹部の裏側にそれぞれカード(白い粘性物)が生成付着し、外観不良が認められた。
これに対して実施例1〜6の試料1-1〜6-2の外観はすべて良好であった(カードの露出無し)。アルカリ液漬け込み処理した実施例試料は、カードの原因となる水溶性たんぱく質が少ないことから、実施例試料1-1〜6-2では水溶性たんぱく質がほとんど無くなり、比較例試料0-1,0-2,0-3のように見た目を悪くするカードの露出を防止することができる。また、実施例試料1-1〜6-2では加熱後のたんぱく質の凝固が少なくなるので、分子振動により加熱速度が速くなり、焦げ目が付きやすくなり、加熱時間を短縮することができる。
また、漬け込み処理したものでもpH7.0から酸性側またはアルカリ性側にかたよるほど水溶性たんぱく質が無くなる。すなわち、実施例の加熱後試料では比較例試料に比べてたんぱく質が減少していることが認められた。酸性側または強アルカリ側にいけばいくほどカードの露出の発生は少なくなるが、過度に強アルカリ側にいきすぎると苦味が出てくるため、カードの露出の発生防止と味の良さとをバランスさせることが肝要である。両者をバランスさせた図11の(c)に示すpH10.5の実施例4の試料4-2が最も好ましい。
Figure 2012034630
[漬込み処理]
漬け込み処理工程において大気圧室温下で魚体をアルカリ水溶液中に漬け込むようにしているが、室温下といっても気温の変化に応じて最低限の温度管理が必要である。例えば、魚体中心部の温度(芯温)が好ましくはプラス1〜25℃、より好ましくはプラス3〜10℃、最も好ましくはプラス3〜5℃となるように温度管理する。したがって、漬け込み処理はエアコンディショナーにより温度調整された空調室内で行なう。また、漬け込み処理時の圧力は、1気圧のみに限定されるものではなく、気象の変化に応じて1気圧を少し下回る減圧下であってもよいし、1気圧を少し上回る加圧下であってもよい。
表2に示す種々の煮付け用さば試料および照焼さば試料をpH10.5のアルカリ水溶液中にそれぞれ漬込み、適正な漬込み処理時間を調べた。漬込み処理効果の評価はカード露出の有無を外観目視検査することにより行った。その結果、実施例7〜16の試料7-1,8-1,9-1,10-1,11-1,12-2,13-2,14-2,15-2,16-2はいずれもカードの露出が認められなかったが、比較例4,5の試料0-4,0-5ではカードの露出が認められた。
アルカリ水溶液中への魚体の漬込み時間は、10分間以上48時間以下とすることができるが、より好ましくは10分間以上180分間(3時間)以下とし、最も好ましくは30分間以上3時間以下とする。ほとんどの魚種では3時間以下の漬け込みで十分な効果を得ることができるが、魚種や魚体の形態に応じて漬込み時間を3時間を超えて延長することができる。しかし、48時間で漬込み処理の効果が飽和してしまい、それ以上の漬け込みは生産性の観点から許容できないので最長の漬込み時間を48時間とした。一方、漬け込み時間が10分間未満になると、本発明の効果が得られないか、または得られ難くなる。漬け込み時の温度や圧力を増大させて魚体に対するアルカリ水溶液の浸透圧を上げることにより、さらに漬け込み時間を短縮することも考えられるが、温度・圧力の増大化は細胞がダメージを受けて劣化するおそれがあるため採用することができない。
Figure 2012034630
[臭みの評価]
魚の臭み(鮮度)を、魚の臭みの主成分であるジメチルアミン(DMA)およびトリメチルアミン(TMA)の値の測定により評価した。ジメチルアミン(DMA)とトリメチルアミン(TMA)は魚介類が腐敗したときに生成される腐敗性アミン類の一種である。ここでは腐敗性アミン類を代表して各種試料から出てくるジメチルアミン(DMA)およびトリメチルアミン(TMA)のうちの少なくとも1つを測定し、その測定結果を用いて臭みの評価を行った。
次にジメチルアミン(DMA)およびトリメチルアミン(TMA)の測定方法を説明する。
DMA 、TMAの測定は、ガスクロマトグラフ/水素炎イオン化検出器(GC-FID)を用いるヘッドスペース法で実施した。
前処理として調味パック(魚体と調味料を同梱したフィルム包装パック)ごと一次加熱した。一次加熱は沸騰状態で20分間の加熱である。一次加熱後、フィルム包装パックを開けて魚体をすべて取り出し、その内質をホモジナイズ処理して均質化した。
次いで、魚肉と蒸留水とを1:1の割合で希釈し(2倍希釈)、希釈混合したサンプルをバイアルに5ml採取した。バイアルにセプタム付きアルミニウム銀クリンプキャップを取り付け、40℃で加熱撹拌した。
サンプルから放出されるガスの捕集はヘッドスペース法を用いて行った。すなわち、ヘッドスペース法により試料から揮発するガスをシリンジで捕集(吸着)した。スプリットレス法を用いてガスを注入した。
ガスクロマトグラフ/水素炎イオン化検出器(GC-FID)のカラムにガスを通過させることによりTMAおよびDMAを測定した。GC-FIDにはバリアン社製のCP-Volamineを用いた。
DMA、TMA純品を希釈して0ppm、50ppm、100ppm、300ppm、600ppmの各種濃度の検量線を引き、これらの検量線から数式を求め、求めた数式に基づいてDMA濃度及び/又はTMA濃度を算出した。
ヘッドスペース法を用いたTMA測定による臭いの評価結果を図3、図4、図12、図13および表3に示す。図3は比較例6(さば煮付け試料0-6)の測定結果、図4は実施例17(さば煮付け試料17-1)の測定結果である。図12は比較例7(さば照焼試料0-7)の測定結果、図13は実施例18(さば照焼試料18-2)の測定結果である。
この標準試料と各サンプル試料とを比較して判定した。
図3、図4、図12、図13および表3にそれぞれ示す結果から明らかなように実施例試料では比較例試料に比べてDMA濃度およびTMA濃度がいずれも低くなった。このことから実施例試料では魚の臭みがないことが実証された。
また、クロレラエキス水溶液に浸漬処理した実施例試料は、浸漬処理しない比較例試料に比べていずれもVBN値が下回った。このことからクロレラエキスを添加した水溶液に浸漬すると、消臭効果があり、クロレラ添加量が多くなるにしたがってその効果が増大することが確認された。
Figure 2012034630
[添加調味料]
調味料は、冷凍魚体とともにフィルム包装材のなかに封入される。調味料の形態は、液状、スラリー状、またはゲル状のいずれであってもよい。
煮付け用調味料の成分の一例を表4に示す。
表4中の果糖ぶどう糖液糖は、原料として澱粉と水を用い、加工助剤としてα-アミラーゼとグルコースイソメラーゼを用いて製造されたものである。また、魚介エキスは、鰹節抽出液、カツオエキス、蛋白加水分解物、水、食塩、増粘剤を用いて製造されたものである。
照焼用調味料の成分の一例を表5に示す。
表5中の米発酵調味料は、原料として水、もち米、米麹、醸造用アルコール、ぶどう糖、醸造酢を用い、加工助剤として酵素を用いて製造されたものである。魚介エキスは、上記と同じものである。
Figure 2012034630
Figure 2012034630
[柔らかさの評価]
高齢化社会の到来を背景として、咀嚼力が衰えた要介護者であっても食べやすい食品としてユニバーサルデザインフードが市場に普及しつつある。ユニバーサルデザインフードに要求される特性の1つとして食材の柔らかさ(咀嚼しやすさ)は重要である。
種々の魚肉の柔らかさをプランジャー押込み法により評価した。プランジャー押込み法は、プランジャーを魚肉に押し込んだときの荷重と歪率の経時変化を荷重が所定の設定値に到達するところまで連続的に測定する試験方法である。プランジャー押込み法には、図5の(a)に示すくさび型のプランジャーP1を用いる破断試験法と、図5の(b)に示す円柱型のプランジャーP2を用いる圧縮試験法とがある。このうち破断試験法は、魚肉を前歯で噛み切るときを想定して、くさび型プランジャーP1の尖った先端を魚肉に食い込ませたときにかかる力とそのとき生じる歪を測定する試験である。また、圧縮試験法は、魚肉を奥歯で噛み砕くときを想定して、円柱型プランジャーP2の底面を魚肉に押し込んだときにかかる力とそのとき生じる歪を測定する試験である。
測定機器にはクリープメーター(株式会社山電、破断測定機;型番RE-3305B)を用いた。プランジャーの押し込み速度を1mm/秒に設定して測定した。いずれの試料も95℃で10分間煮込んだ後に室温(30℃)まで冷却し、2cm×2cm片の切身にカットして試料を作製した。ここで、加熱調理とは、魚体の芯部の温度が75℃以上に到達することをいうものと定義する(煮付けと照焼に共通)。
(1)さばの柔らかさ評価結果
図6と表6にさば煮付け試料の破断試験結果を示す。図中の符号E1はpH10.5のアルカリ水溶液中に60分間漬込み処理した直後の実施例試料(生さば)の結果を、符号C1はpH7.0の中性水溶液中に漬込み処理した比較例試料(生さば)の結果を、符号C2は漬込み処理しない比較例試料(生さば)の結果を、符号R1は参考例試料(豆乳入りツミレ)の結果を、符号R2は参考例試料(はんぺん)の結果をそれぞれ示した。
図7と表6にさば煮付け試料の圧縮試験結果を示す。図中の符号E1,C1,C2,R1,R2は上記と同様の実施例試料、比較例試料、参考例試料の結果をそれぞれ示した。
図14と表7にさば照焼試料の破断試験結果を示す。図中の符号E2はpH10.5のアルカリ水溶液中に60分間漬込み処理した直後の実施例試料(生さば)の結果を、符号C3はpH7.0の中性水溶液中に漬込み処理した比較例試料(生さば)の結果を、符号R1は参考例試料(豆乳入りツミレ)の結果を、符号R2は参考例試料(はんぺん)の結果をそれぞれ示した。
図15と表7にさば照焼試料の圧縮試験結果を示す。図中の符号E2,C3,R1,R2は上記と同様の実施例試料、比較例試料、参考例試料の結果をそれぞれ示した。
以上のことから本発明方法により処理されたさばの身が柔らかいことを確認した。
Figure 2012034630
Figure 2012034630
[保水性の評価]
魚肉の保水性を顕微鏡組織観察により評価した。
魚肉試料として沸騰水中で20分間加熱したさばを用いた。加熱後さばを種々のpH値の水溶液に浸漬し、pH7.0、pH8.0、pH10.5、pH12.0、pH12.5にそれぞれpH調整処理した各種試料を作製した。さばの切身(加熱前の生の魚肉)をパラフィンで固定して固形試料とし、同試料の筋線維を横断する向きにスライサーで薄く切断してパラフィン切片を作製し、作製したパラフィン切片をヘマトキシリン・エオシン染色を施し、プレパラート上にホルマリン固定し、その組織を光学顕微鏡により観察した。同じさば試料を加熱したものの切身(加熱後の魚肉)についても同様にパラフィン切片を作製して、その組織を光学顕微鏡により観察した。その結果を図8(a)〜(d)および図16(a)〜(d)にそれぞれ示した。
pHが高くなるにしたがって加熱前試料および加熱後試料ともに筋線維と筋線維との間隔が広くなり、それらの間隙に水分が入り込んでいることが認められた。pHが高くなるにしたがって保水性が向上することは、水分分析結果からも明らかである。
また、図8(b)〜(d)および図16(b)〜(d)に示す実施例試料の組織切片からは、糖類が溶解した水溶液に漬け込んだ試料では、筋線維の相互間に水分が入り込んでいること、および筋線維自体の形状がきれいに保たれていることが認められた。したがって、糖類を溶解した水溶液中に魚肉を浸漬することで、保水性を強化することができる。また、従来品のように冷凍と解凍を繰り返しているために、筋線維が破壊され、パサつきの原因となっていたが、実施例試料では筋線維の破壊を防止できるためにパサつきを減少させることができる。また、冷凍保管による身質の酸化からも保護できる。
また、pH値が本発明の範囲内にある実施例試料では、筋線維と筋線維との間に空隙が少なく、かつ筋線維に対する顆粒状組織の比率が小さい(図8(b)(c)(d)、図16(b)(c)(d))のに対して、pH値が本発明の範囲から外れる比較例試料では、筋線維と筋線維との間に空隙が多く、かつ筋線維に対する顆粒状組織の比率が大きい(図8(a)、図16(a))。
このように図8(a)および図16(a)に示す比較例試料では、見た目を損なうカード露出発生の原因となる水溶性たんぱく質が多いことが認められた。なお、組織中にて濃い着色部分は筋線維を示し、薄い着色部分は構造を持たないたんぱく質、すなわち水溶性たんぱく質を示す。また、白い部分は脂肪細胞である。
一方、アルカリ液漬け込み処理した実施例試料は、カードの原因となる水溶性たんぱく質が少ないことが認められた。このことから、実施例試料では水溶性たんぱく質がほとんど無くなり、比較例試料のように見た目を悪くするカードの露出を防止することができる。また、実施例試料では加熱後のたんぱく質の凝固が少なくなるので、筋線維間隔の拡がりにより熱伝導性が良くなり、焦げ目が付きやすくなり、加熱時間を短縮することができる。
[空隙率の評価]
図8(a)〜(d)および図16(a)〜(d)の各図中において白く見えるものは空隙と脂肪細胞である。このうち筋線維相互間に粒状に分割して存在するものが脂肪細胞であるので、これを除いた白い領域が空隙である。空隙は、凍結魚体の解凍時に水及び/又は水溶性たんぱく質が筋線維相互間から抜け出して形成されたものである。
pH値が本発明の範囲内にある実施例試料(pH 8.0、さば煮付け)では空隙率が24.41%であった(図8(b))。
pH値が本発明の範囲内にある実施例試料(pH 10.5、さば煮付け)では空隙率が22.2%であった(図8(c))。
pH値が本発明の範囲内にある実施例試料(pH 12.5、さば煮付け)では空隙率が9.77%であった(図8(d))。
pH値が本発明の範囲内にある実施例試料(pH 8.0、さば照焼)では空隙率が32.37%であった(図16(b))。
pH値が本発明の範囲内にある実施例試料(pH 10.5、さば照焼)では空隙率が14.4%であった(図16(c))。
pH値が本発明の範囲内にある実施例試料(pH 12.5、さば照焼)では空隙率が9.69%であった(図16(d))。
以上の結果から、実施例試料の空隙率はいずれも25%以下となることが確認された。
これに対して、pH値が本発明の範囲外にある各比較例試料では空隙率が36.6%(pH 7.0、さば煮付け)と32.37%(pH 7.0、さば照焼)であった(図8(a)、図16(b))。このように、いずれの比較例試料も空隙率が25%を超えることが確認された。
[顆粒状組織の評価]
カードの原因物質となる顆粒状組織について調べた結果を以下に説明する。
図17(a)(b)の各図中に矢印を付して示したものが顆粒状組織である。顆粒状組織は、筋線維から滲み出して凝固した水溶性たんぱく質であり、カードの原因物質となるものである。
顆粒状組織の評価指数として次に定義する顆粒状組織発現率を用いて各種サンプルを評価した。ここで、顆粒状組織発現率とは、魚体の断面を顕微鏡観察するときの二次元視野において、筋線維の面積(100%)を基準として、筋線維の面積に対する顆粒状組織の面積の比率を百分率であらわした指数をいうものと定義する。
pH値が本発明の範囲内にある実施例試料(pH 8.0、さば煮付け)では顆粒状組織発現率が76.9%であった(図8(b))。
pH値が本発明の範囲内にある実施例試料(pH 10.5、さば煮付け)では顆粒状組織発現率が56.7%であった(図8(c))。
pH値が本発明の範囲内にある実施例試料(pH 12.5、さば煮付け)では顆粒状組織発現率が26.9%であった(図8(d))。
pH値が本発明の範囲内にある実施例試料(pH 8.0、さば照焼)では顆粒状組織発現率が130.4%であった(図16(b))。
pH値が本発明の範囲内にある実施例試料(pH 10.5、さば照焼)では顆粒状組織発現率が35.7%であった(図16(c))。
pH値が本発明の範囲内にある実施例試料(pH 12.5、さば照焼)では顆粒状組織発現率が24.5%であった(図16(d))。
これに対して、pH値が本発明の範囲外にある各比較例試料では顆粒状組織発現率が85.8%(pH 7.0、さば煮付け)と78.8%(pH 7.0、さば照焼)であった(図8(a)、図16(b))。このように、いずれの比較例試料も高い発現率になることが確認された。
なお、実施例試料(pH 8.0、さば照焼)の発現率(130.4%)が過大になっていることの原因として、筋線維の向きに対する切片試料の切断面の向きの関係、および照焼用調味料の肉質に及ぼす影響などが考えられる。すなわち、筋線維の長手に平行な向きで魚体を切断した切片試料と、筋線維の長手に直交する向きで魚体を切断した切片試料とを比較してみると、筋線維と顆粒状組織との割合いが大きく異なって見えることがある。従って、再現性の高い評価試験を行うためには、筋線維の向きに対する切片試料の切断面の向きを一定の向きに揃える必要があるが、今後の課題である。
本発明に係る湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品は、凍ったままの状態で熱湯に入れて湯せん調理されるか、または加熱蒸気下で蒸して調理される湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品であって、
整形処理され、かつpH8.0以上12.5以下に調整されたアルカリ水溶液中に大気圧室温下で所定時間漬け込み処理することによりpH8.0以上12.5以下の状態に調整された後に冷凍された魚体を湯せん・蒸し加熱用樹脂フィルム包装材に袋詰めし、これに調味料を充填し、前記湯せん・蒸し加熱用樹脂フィルム包装材のなかを真空引きし、開口部を封止して密封状態とし、前記充填した調味料とともに魚体を冷凍したことを特徴とする
ことを特徴とする。
本発明に係る湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品の製造方法は、(a)原料を整形処理して所望の形状の魚体を得る工程と、
(b)前記魚体をpH8.0以上12.5以下に調整されたアルカリ水溶液中に大気圧室温下で所定時間漬け込む工程と、
(c)前記アルカリ処理された魚体を冷凍する工程と、
(d)前記冷凍された魚体を湯せん・蒸し加熱用樹脂フィルム包装材に袋詰めし、これに調味料を充填し、前記湯せん・蒸し加熱用樹脂フィルム包装材のなかを真空引きし、開口部を封止して密封状態とする工程と、
(e)前記充填した調味料とともに魚体を冷凍する工程と、
を有することを特徴とする。
(添加調味料)
調味料は、加熱調理中に魚体の内部に浸透することにより魚肉のもつ本来的な旨みを引き出して味を良くするとともに、魚体の表面にとろみを付ける役割を有するものである。例えば煮付け用の調味料は、果糖ぶどう糖液糖、醤油、水飴、酒、澱粉、香辛料、食塩、魚介エキス、水およびその他の微量添加成分を含んでいる(表4)。また、照焼き用の調味料は、醤油、砂糖、米発酵調味料、澱粉、魚介エキス、食塩、水およびその他の微量添加成分を含んでいる(表5)。本発明の実施例では煮付け用の調味料と照焼用の調味料をそれぞれ用いた例を示したが、それ以外に塩焼き用の調味料を用いることができる。塩焼き用の調味料は照焼用の調味料とほぼ同じ成分とすることが好ましい。

Claims (21)

  1. 凍ったままの状態で熱湯に入れて湯せん調理されるか、または加熱蒸気下で蒸して調理される湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品であって、
    整形され、かつpH8.0以上12.5以下に調整されたアルカリ水溶液中に大気圧室温下で所定時間漬け込み処理することによりpH8.0以上12.5以下の状態に調整された後に冷凍された魚体を調味料とともにフィルム包装材のなかに封入したことを特徴とする湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品。
  2. 前記アルカリ水溶液は、炭酸塩、リン酸塩、水酸化塩およびアルカリ性の有機酸塩からなる群より選択される1種または2種以上を含み、かつ次式を共に満たすことを特徴とする請求項1記載の冷凍食品。
    0.1≦A+B+C+D≦20.0
    0.01≦A≦5.00, 0.01≦B≦5.00, 0.01≦C≦5.00, 0.01≦D≦20.00
    但し、記号Aは炭酸塩の含有量(質量%)、記号Bはリン酸塩の含有量(質量%)、記号Cは水酸化塩の含有量(質量%)、記号Dはアルカリ性の有機酸塩の含有量(質量%)である。
  3. 前記魚体は、0.1〜20質量%濃度のクロレラ抽出液含有水溶液中に所定時間漬け込む処理をさらに施されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項記載の冷凍食品。
  4. 前記魚体は、0.01〜20質量%濃度の糖類含有水溶液中に所定時間漬け込む処理をさらに施されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の冷凍食品。
  5. 前記魚体は、アルカリ水溶液中に漬け込み処理された魚体を切身加工した切身であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の冷凍食品。
  6. 前記魚体の空隙率が25%以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の冷凍食品。
  7. 魚体の芯部が0℃を下回る温度に保持された凍結状態で表面を短時間加熱することにより、表皮の一部を焼き目状に炭化させる表面処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の冷凍食品。
  8. 魚体の表皮に糖類含有水溶液を塗布し、魚体の芯部が0℃を下回る温度に保持された凍結状態で前記塗布した糖類含有水溶液を加熱して焼き目状に炭化させる表面処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の冷凍食品。
  9. 前記魚体は、芯部の温度が0℃以上になる加熱処理を施されていないことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の冷凍食品。
  10. 前記魚体は、骨が除去されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の冷凍食品。
  11. (a)原料を整形処理して所望の形状の魚体を得る工程と、
    (b)前記魚体をpH8.0以上12.5以下に調整されたアルカリ水溶液中に大気圧室温下で所定時間漬け込む工程と、
    (c)前記アルカリ処理された魚体を冷凍する工程と、
    (d)前記冷凍された魚体をフィルム包装材に袋詰めし、これに調味料を充填し、前記フィルム包装材を封止する工程と、
    (e)前記包装された魚体を冷凍する工程と、
    を有することを特徴とする湯せん・蒸し調理用魚介類包装冷凍食品の製造方法。
  12. 前記(c)工程の後に冷凍した魚体を半解凍し、半解凍した魚体を切身加工し、加工した切身を再度冷凍することを特徴とする請求項11記載の方法。
  13. 魚体の芯部が0℃を下回る温度に保持された凍結状態で表面を短時間加熱することにより、表皮の一部を焼き目状に炭化させる表面処理が施されていることを特徴とする請求項11または12のいずれか1項記載の方法。
  14. 前記魚体の表皮に糖類含有水溶液を塗布し、魚体の芯部が0℃を下回る温度に保持された凍結状態で前記塗布した糖類含有水溶液を加熱し、炭化変色させて前記表皮に焼き目を付ける表面処理を行うことを特徴とする請求項11または12のいずれか1項記載の方法。
  15. 前記(c)工程より前に、前記魚体を0.01〜20質量%濃度のクロレラ抽出液含有水溶液中に所定時間漬け込むことを特徴とする請求項11乃至14のいずれか1項記載の方法。
  16. 前記(c)工程より前に、魚体を0.01〜20質量%濃度の糖類含有水溶液中に所定時間漬け込むことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項記載の方法。
  17. 前記(a)工程では、解凍または半解凍した魚体を原料とすることを特徴とする請求項11乃至16のいずれか1項記載の方法。
  18. 前記(b)工程では、前記アルカリ水溶液中の漬け込み時間を10分以上48時間以下とすることを特徴とする請求項11乃至17のいずれか1項記載の方法。
  19. 前記(b)工程のアルカリ水溶液は、次式を共に満たすことを特徴とする請求項11乃至18のいずれか1項記載の方法。
    0.1≦A+B+C+D≦20.0
    0.01≦A≦5.00, 0.01≦B≦5.00, 0.01≦C≦5.00, 0.01≦D≦20.00
    但し、記号Aは炭酸塩の含有量(質量%)、記号Bはリン酸塩の含有量(質量%)、記号Cは水酸化塩の含有量(質量%)、記号Dはアルカリ性の有機酸塩の含有量(質量%)である。
  20. 前記魚体の空隙率が25%以下であることを特徴とする請求項11乃至19のいずれか1項記載の方法。
  21. 前記(a)工程において、魚体から骨を除去することを特徴とする請求項11乃至20のいずれか1項記載の方法。
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