JP2003310215A - 味付け食肉製造方法および味付け食肉 - Google Patents

味付け食肉製造方法および味付け食肉

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JP2003310215A
JP2003310215A JP2002117350A JP2002117350A JP2003310215A JP 2003310215 A JP2003310215 A JP 2003310215A JP 2002117350 A JP2002117350 A JP 2002117350A JP 2002117350 A JP2002117350 A JP 2002117350A JP 2003310215 A JP2003310215 A JP 2003310215A
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seasoned
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tea extract
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Akiko Kume
晶子 久米
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DAIMATSU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 食肉の風味を損ねず、鮮度を維持できる味付
け食肉の製造方法および味付け食肉を提供すること。 【解決手段】 味付け食肉製造方法は、食肉を、塩分と
茶抽出液とを含む調味液に、零度から食肉が凍り始める
温度までの所定の温度域内で所定時間漬け込むことを特
徴とする。すなわち、0℃以下での所定の温度帯域で調
味液を浸透させるため、0℃を超える場合に比べて食肉
の劣化が進行しにくい条件で加工でき、かつ、茶抽出液
を含むと食肉への塩分浸透性が向上するため、食肉が凍
結していない時間を短くすることができる。また、茶抽
出液に浸すことにより臭みを低減ないし除去できる。こ
れにより、食肉の風味を損ねず、鮮度を維持できる味付
け食肉の製造方法および味付け食肉を提供できた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、味付け食肉製造方
法および味付け食肉に関し、特に、調味液成分を食肉の
劣化が生じにくい程度の時間内に浸透させることの可能
な味付け食肉製造方法および味付け食肉に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より味付け食肉、例えば、魚や畜肉
(牛肉、豚肉、羊肉など)、家禽肉(鶏肉、鴨肉など)
を素材に合わせた調味液に浸した製品が知られていた。
調味液に浸すことにより、食肉に味がつくのはもちろん
のこと、食肉種類に依存する臭みがマスキングされると
いう副次的な効果も得られていた。
【0003】実際、魚、特に赤身魚は、皮や血合部分に
特有の臭みがあり敬遠される場合もあった。しかしなが
ら、皮と身の間の部位は本来的には美味であり、また、
血合は極めて栄養価が高く食すべき部位であるので、従
来からさまざまなマスキング方法が提案されていた。
【0004】例えば、特開昭60−232075号公報
「茶の成分を利用した食品の加工方法」では、調理時の
発煙防止、保存性向上、臭気除去などの効果が得られる
食品加工方法が開示されている。また、特開平9−27
5886号公報「魚のひらきの製造方法」では、塩水と
緑茶煎出液の混合液を用いて魚のひらきを製造する方法
が開示されている。この発明によれば、魚肉が柔らかく
かつ酸化防止剤を使用しなくとも日持ちのよい魚の開き
が得られる。
【0005】また、特許第2939883号「赤身魚晒
し肉とその製造方法、赤身魚肉加工食品とその製造方法
及び畜肉混合赤身魚肉加工食品とその製造方法」では、
茶抽出液にアルカリを加えた液に赤身魚肉を晒す技術が
開示されている。この発明によれば、赤身魚肉の加工、
加熱、保存中に発生する赤身魚肉特有の臭気の発生を著
しく抑制し、かつ、栄養成分を極力残存させた赤身魚晒
し肉が得られる。
【0006】一方、魚に限らず、牛肉や豚肉や羊肉も、
生姜汁に浸したり、香辛料を添加したりするなどして、
敬遠されがちな臭みをマスキングする方法が知られてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
臭みをマスキングする方法として茶ないし茶抽出液を用
いると、緑茶葉に含有されるカフェイン由来の苦味が風
味を損ねて所期の効果をもたらさない場合があるという
問題点があった。
【0008】また、茶抽出液を含んだ調味液で魚肉を浸
すこれまでの方法は、特に浸し温度を考慮したものでな
く、鮮度が落ちやすいという欠点があった。換言すれ
ば、食肉が流通過程に乗る全ての工程を考慮したもので
はなく、すぐに加熱調理される場合を想定し、大量生産
大量流通には不向きであるという問題点があった。具体
的には、従来の方法では、冷凍して入荷される食肉素材
を解凍し、常温(20℃程度)もしくは常温に近い冷蔵
温度(10℃程度)で調味液に浸し、これを直ちに小売
店に出荷したり店頭販売したりするものであり、直近に
消費されることが念頭に置かれていた。
【0009】このとき、もし大量加工し、味付き食肉と
して出荷しようとすると、味つき食肉を再び冷凍する必
要があった。したがって、さらに調理時に解凍する必要
が生じ、このように何度も温度差の大きな解凍冷凍を繰
り返すと細胞壁が壊れやすく、鮮度が落ちるどころか味
が著しく落ちるという問題点があった。
【0010】なお、臭みをマスキングする方法として茶
ないし茶抽出液が用いられる技術は前述の通りである
が、これは主として赤身魚を対象としたものであり、食
肉に広く用いられたものではなかった。
【0011】本発明は上記に鑑みてなされたものであっ
て、食肉の風味を損ねず、鮮度を維持できる味付け食肉
の製造方法および味付け食肉を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本願発明者は鋭意検討の結果次の発明に到達し
た。すなわち、請求項1に記載の味付け食肉製造方法
は、食肉を、塩分と茶抽出液とを含む調味液に、零度か
ら食肉が凍り始める温度までの所定の温度域内で所定時
間漬け込むことを特徴とする。
【0013】すなわち、請求項1にかかる発明は、いわ
ゆる氷温(株式会社氷温研究所の登録商標)帯域で調味
液を浸透させるため、0℃を超える場合に比べて食肉の
劣化が進行しにくい条件で加工でき、かつ、調味液が茶
抽出液を含む場合には食肉への塩分浸透性が向上すると
の本願発明者の発見を適用して食肉が凍結していない時
間を相乗的に短縮することができる。すなわち、もとも
と食肉の劣化の少ない温度域で食肉を漬け込み、かつ、
その漬け込み時間も短縮できるため、食肉の風味を損ね
ず鮮度を維持できる味付け食肉の製造方法を提供でき
る。
【0014】また、請求項2に記載の味付け食肉製造方
法は、請求項1に記載の味付け食肉製造方法において、
塩分と茶抽出液とを含む調味液のpHを略中性に調整し
たことを特徴とする。
【0015】すなわち、請求項2にかかる発明は、pH
を略中性に保つことで食肉の蛋白質変性を著しく抑制で
き、これにより、食肉の風味を損ねず、鮮度を維持でき
る味付け食肉の製造方法を提供できる。なお、中性とは
pH=7を示すが、略中性はpHが7付近の値も含むこ
とを意味する。略中性の目安としては6<pH<8であ
るが、食肉の種類や調味液にしたがって適宜決定でき
る。
【0016】また、請求項3に記載の味付け食肉製造方
法は、請求項1または2に記載の味付け食肉製造方法に
おいて、漬け込み後の味付け食肉を凍結させることを特
徴とする。
【0017】すなわち、請求項3にかかる発明は、冷蔵
された味付け食肉に比して、飛躍的に貯蔵性が向上す
る。またこれと相まって遠隔地に運搬することも可能と
なる。したがって、食肉の風味を損ねず、鮮度を維持で
きる味付け食肉を商業的に大量製造することが可能な味
付け食肉製造方法を提供可能となる。
【0018】また、請求項4に記載の味付け食肉製造方
法は、請求項1、2または3に記載の味付け食肉製造方
法において、食肉が、魚肉、獣肉、家禽肉、または、畜
肉であることを特徴とする。
【0019】すなわち、請求項4にかかる発明は、食肉
の風味を損ねず、鮮度を維持できる味付け魚肉の製造方
法、味付け獣肉の製造方法、味付け家禽肉の製造方法、
または味付け畜肉の製造方法を提供できる。ここで、獣
肉とは、猪、鹿、狸をはじめとする獣の肉を指し、家禽
肉は、鶏肉、鴨肉をはじめとする鳥肉を指し、畜肉と
は、豚、羊、馬、牛などの畜産肉を指す。
【0020】また、請求項5に記載の味付け食肉製造方
法は、請求項4に記載の味付け食肉製造方法において、
魚肉が赤身魚であることを特徴とする。
【0021】すなわち、請求項5にかかる発明は、魚肉
の鮮度を低下させる分解酵素が特に多く、かつ、臭みの
強い血合を有する赤身魚に対して味付け魚肉製造方法を
提供できる。なお、言うまでもないが、この赤身魚は、
切り身にカットされた魚肉形態でも良いし、いわゆるド
レス原料、すなわち、頭と内臓を取り除いた魚肉形態で
もよい。また、落し身、すなわち、頭、内臓、骨、皮を
取り除いたミンチ状の魚肉形態であってもよい。本発明
によれば、このような魚肉形態をさらに加工して血合部
分を取り除かずとも、栄養価の高い血合部分を含めて、
臭みがなく風味を損ねることのない食肉であって、鮮度
を維持できる味付け魚肉の製造方法を提供できる。
【0022】また、請求項6に記載の味付け食肉製造方
法は、請求項1〜5のいずれか一つに記載の味付け食肉
製造方法において、茶抽出液を杜仲茶抽出液としたこと
を特徴とする。
【0023】すなわち、請求項6にかかる発明は、カフ
ェインの苦味がない、食肉の風味を損ねることのない味
付け食肉であって、鮮度を維持できる味付け食肉の製造
方法を提供できる。また、杜仲は、特定保健用食品とし
て認められており、最大血圧の上昇抑制と血圧の低い者
の血圧を上げる血圧調節作用の期待できる味付け食肉を
提供できることとなる。
【0024】また、請求項7に記載の味付け食肉は、請
求項1〜6のいずれか一つに記載の味付け食肉製造方法
により製造されたことを特徴とする。すなわち、請求項
7にかかる発明は、請求項1〜6の作用ないし効果を備
えた味付け食肉を提供できる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図表を参照しなが
ら詳細に説明する。本願発明は、氷温域において茶抽出
液を含む調味液成分の食肉への浸透性(特に味を左右す
る塩分の浸透性)が優れることを発見したことを契機と
してなされたものである。すなわち、本願発明は、0℃
以下であっても食肉や調味液が凍結しない温度域がある
こと、よってこの温度域で調味液成分を食肉にしみこま
せることができること、塩分を含む調味液に茶抽出液が
含まれていると茶抽出液が含まれていない場合に比して
少なくともこの温度域でも塩分浸透性が高いこと、した
がって、もともと鮮度劣化の極めて低い温度帯域で調味
液を「短時間に」しみこませることができ相乗的に鮮度
劣化を低減できること、これにより、加工品(味付け食
肉)を冷凍でき工業的観点や商業的観点から保管や流通
が容易となり大量生産が可能なこと、さらに、冷凍され
た味付け食肉は冷凍中および解凍後茶抽出液の抗酸化作
用の向上により日持ちがよいこと、最終的に加熱調理し
ても茶抽出液の作用により食肉の臭みがマスキングない
し除去されること、を複合的に勘案して想到されたもの
である。
【0026】実施例1.実施例1では、シルバーフィッ
シュ(和名:ギンヒラス,シルバー)を用いた魚肉の醤
油漬けについて説明する。ここでは、発明に至った予備
試験を含めて説明する。なお、シルバーフィシュは、ニ
ュージーランド沖で獲れるイボダイ(スズキ目イボダイ
科)の仲間で、ブリ(スズキ目アジ科ブリ属ブリ)と近
接した種であって、実際にブリと極めて近似した味のた
め、新魚種として近年輸入量および消費量がともに伸び
ている魚である。
【0027】まず、使用する茶葉を決定する試験をおこ
なった。本発明の消臭効果および抗酸化作用は従来技術
に示したように茶抽出液、特にカテキンに由来すると考
えられる。これは、カテキンはタンニンの一種であり、
その生理作用として、抗酸化作用、抗菌作用、腸内細菌
の改善、抗う蝕作用、消臭作用、活性酸素消去作用、コ
レステロール上昇抑制作用、血糖上昇抑制作用、血圧上
昇抑制作用、抗腫瘍作用、抗アレルギー作用、血小板凝
集抑制作用、が知られているからである。
【0028】ここで、本願発明者は、カテキンを含む茶
葉として、ツバキ科ツバキ属の「茶」が出発原料である
緑茶と番茶に加え、新規に、出発原料が異なるトチュウ
科トチュウ属の「杜仲」による杜仲茶を検討した。結果
を表1に示す。
【表1】
【0029】表1から明らかなように、杜仲茶にもカテ
キンが含まれることがわかった。なお、カテキンの量が
多く消臭効果が高いからといって、味付け食肉が美味で
あるとは限らない。これは、食肉そのものが持つ風味も
マスキングないし消臭してしまう場合があることと、茶
葉に含有されるカフェインの苦味が味付け食肉全体の風
味を変質させる場合があるためである。実際に、本願発
明者が、緑茶、紅茶、杜仲茶、ウーロン茶で同グラムの
茶葉を使用した茶抽出液をベースに醤油を加えた調味液
を調整し、これにシルバーフィッシュの切り身を浸した
ものを加熱調理して食すという簡易試験をおこなったと
ころ、緑茶と紅茶では魚肉の風味自体もマスキングし、
杜仲茶とウーロン茶では魚の風味が残ることを確認し
た。したがって茶葉の選定には食肉種や調理方法に応じ
て決定する必要がある。ここでは、カフェインが含まれ
ておらず、適度にカテキンが含まれている杜仲茶葉を用
いることとした。
【0030】次に、杜仲茶抽出液を含む塩水を調味液と
したものと杜仲茶抽出液を含まない塩水を調味液とした
もの、および、杜仲茶抽出液を含む醤油ベースの調味液
としたものと杜仲茶抽出液を含まない醤油ベースの調味
液としたもの、を用意して、シルバーフィッシュの切り
身を漬け込み、加熱調理をして食した際の官能試験をお
こなった。評価は、食す前の焼いた魚の香りと咀嚼中の
臭みとの2項目を調べた。なお、杜仲茶抽出液は杜仲茶
茶葉を5重量%用いて煮出したものを用い、塩水漬け
と、醤油漬けの塩分はいずれも3重量%としたものを用
いた。加熱調理に際しては、180℃に熱したホットプ
レートで両面を計7分間加熱した。この際油は使用しな
かった。ここでは特に、弁当に用いられる場合を想定し
て、過熱後2時間室温で放置したもの(すなわち冷めた
もの)を評価した。結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】表から明らかなように、杜仲茶抽出液を用
いた方が消臭効果が高く、酸化臭も低減ないし感知でき
ないことが確認された。また、醤油ベースの調味液の方
が風味がよいことがわかった。この試験から、杜仲茶抽
出液を用いた調味液のマスキング効果ないし消臭効果が
官能的に確認できた。また、調理後ある程度時間が経っ
ても、特に醤油漬けの場合に魚の酸化臭が感じられず弁
当用のおかずとしても適するとの知見が得られた。
【0033】次に、消臭効果を客観的に測定すべく、ガ
スクロマトグラフィーを用いて臭気強度を測定した。食
肉は1cmの厚みのシルバーフィッシュ切り身とし、こ
れを塩のみの調味液(塩分濃度3重量%)と、塩と杜仲
茶抽出液の調味液(5重量%杜仲茶葉で抽出した杜仲茶
抽出液に対して3重量%塩分濃度となるように調整され
た調味液)に氷温でそれぞれ一晩漬け込んだサンプルを
使用した。
【0034】臭い成分の表面積を表3に示す。
【表3】 表3からわかるように、杜仲茶抽出液には消臭効果があ
ることが客観的にも検証された。
【0035】また、杜仲茶抽出液を含む調味液のマスキ
ング効果を調べる上記の試験中に、従来知られている味
付け魚肉より塩分浸透性が高いように感じられたので塩
分浸透性について調べる実験をおこなった。食肉として
シルバーフィッシュの切り身を用いた。5重量%の杜仲
茶抽出液に塩3重量%砂糖3重量%を加えて切り身を調
味液に浸し、切り身の外側と中心部の塩分(NaCl)
濃度を測定した。なお、醤油でなく塩を用いたのは効果
の違いを明らかにするためであり、砂糖と併用したの
は、最終製品でみりん漬けも想定されるためである。
【0036】結果を表4に示す。
【表4】
【0037】表から明らかなように、杜仲茶抽出液を用
いた調味液の場合の方が塩分浸透性が高いことがわかっ
た。ここで塩分浸透性が高いということは、杜仲茶抽出
液を用いない塩分含有調味液より短時間で調味液を浸透
させることができるといえる。本願発明者らは、この知
見に基づき、食肉を、塩分と茶抽出液とを含む調味液
に、零度から食肉が凍り始める温度までの所定の温度域
内(すなわち、所定の氷温帯域)で所定時間漬け込む味
付け魚肉製造方法を発明した。
【0038】図1は、味付け魚肉製造方法の製造工程を
示した説明図である。輸入用シルバーフィッシュは、漁
獲後、鮮度の高いうちに頭と内臓を取り除いたドレス原
料に加工され、−20℃〜−70℃で冷凍したまま入荷
される。入荷された冷凍落し身をドリップ発生の少ない
ように検討した解凍方法で氷温域で解凍する。なお、調
味液に浸す前に氷温保存しておくと旨味の増す食材もあ
るので、その場合はこの段階で熟成させるようにしても
よい。
【0039】解凍された落し身を規定形状で規定グラム
となるようにカットする。シルバーフィッシュの場合
は、2枚下ろしにして斜めにカットし、いわゆる切り身
状にする。続いて、カットした落し身を洗浄する。洗浄
については氷温でも凍らず、かつ、浸透圧の関係でドリ
ップが発生しないような液を用いるのが好ましい。例え
ば、所定濃度の塩水を用いることができる。
【0040】次に、所定の氷温帯域で所定時間切り身を
調味液に漬け込む。塩分濃度や杜仲茶抽出液濃度をはじ
め調味液は購買層に合わせて適宜濃度を調整ないし決定
する。また、漬け込み時間は、食材、食材形状、調味液
種類や濃度、氷温温度などに依存するが、10分〜1日
の間で適宜決定する。実施例1では、杜仲茶抽出液を用
いるので、用いない場合より漬け込み時間を短時間とす
ることができる。なお、言うまでもないが、塩分のみが
しみこむのでなく、調味液の他の風味も浸透していく。
シルバーフィッシュをブリの醤油漬け風味に加工する場
合は、例えば、切り身の厚さを1〜1.5cm、杜仲茶
濃度を1.5〜2.0重量%とし、これに醤油、砂糖、
水あめ、みりんを適当量配合した調味液に18〜24時
間、0℃以下の所定の氷温帯域で漬け込む。
【0041】漬け込みが終了したら、液切りをし、一切
れずつばらばらに再冷凍する。冷凍についても、食材ご
とに冷凍温度や定温に至るまでの温度降下の勾配を決定
できる。なお、一概には言えないが冷凍温度が低いほど
解凍後のドリップが少ない。また、冷凍温度が低いほど
長期保存が可能となり、遠距離輸送も可能となる。これ
は換言すれば商業的に大量生産や在庫調整が可能となる
ことを意味する。なお、一切れずつばらばらにして再冷
凍するのは、切り身がくっついて凍らないようにするた
めである。
【0042】凍結作業後、所定の包装を施す。これは、
最終的に店頭に並ぶパック詰めの形態であってもよい
し、卸先でパック詰めするような場合には10kg、2
0kg入りのダンボール詰めとしてもよい。また、パッ
ク詰めは、プラスチックトレイを用いたパックでもよい
し、冷凍食品用のビニル袋によるパックでもよい。
【0043】袋詰めされた製品は、出荷日まで冷凍庫で
保管しておく。この保管温度も−20℃〜−25℃程度
として鮮度劣化を極力防ぐようにする。なお、保管温度
はより低くしても良い。
【0044】本願発明者は、冷凍保管された商品を5日
後解凍し、フライパンで加熱調理して食してみたとこ
ろ、従来のシルバーフィッシュの醤油漬けより臭みが少
なく、同等以上の風味であることを確認した。また、調
理後常温で数時間経過しても、従来品より同等以上の風
味を持つことを確認した。
【0045】この知見を基に、52人の被験者(社員な
ど守秘義務を有する者)に官能評価試験を実施した。サ
ンプルは杜仲茶抽出液を含むか含まないかが異なるのみ
で漬け込み温度も所定の氷温帯域とした上記製法により
製造されたシルバーフィッシュの醤油漬けを用いた(従
来品は0℃を越えた所定温度で漬け込んでいる)。評価
項目は、おいしさ、食感(しっとりさ)、臭い(生臭
さ、魚臭さ)、総合評価でおこなった。
【0046】結果を図2〜図5に示す。図に示したよう
に、杜仲茶抽出液を含む調味液を用いて氷温で製造した
もののほうが良い評価であった。特に、冷めてからの味
が良いとの評価が得られたことは注目されるべきであ
る。これは、マスキング効果、消臭効果、抗酸化性、カ
フェインレス、鮮度保持性が総合的にもたらす効果であ
ると考えられる。本発明により、食肉の風味を損ねるこ
とのない魚肉であって、鮮度を維持できる味付け魚肉の
製造方法および味付け食肉を提供することができた。
【0047】また、最終的な解凍後の日持ちの良さを過
酸化物価(POV)を測定することにより評価する実験
を行った。これは、最終的に店先に商品が陳列される際
には冷蔵状態に解凍され、賞味期限を決定する際の指標
となる点からも重要な試験である。比較は杜仲茶抽出液
を含んだ調味液かそうでないかが異なるのみのサンプル
を用いた。結果を図6に示す。図示したように、杜仲茶
抽出液を含んだ場合のほうが脂質の変化が少なく、日持
ちが良いことが確認できた。
【0048】実施例2.次に、魚肉をさばに変更し、塩
さばを製造することを目的として、調味液を塩水のみ
と、杜仲茶抽出液含有の塩水と、を用意して比較試験を
おこなった。杜仲茶の濃度は1重量%とした。塩分濃度
は通常の塩さばを製造するのと同様の濃度とした。温度
についてはともに氷温帯域で漬け込んだ。結果を表5に
示す。
【0049】
【表5】 表に示したように、調味液に杜仲茶抽出液が含まれてい
ると臭みが消えることが確認できた。なお、杜仲茶濃度
を0.5重量%〜3.0重量%で変化させる追試をおこ
なったところ、1.0重量%程度から顕著に消臭効果が
発揮され、2.0〜3.0重量%が好適であるとの知見
を得た。
【0050】本願発明者は、白身魚についても同様の製
造方法で味付け魚肉を提供できることを確認した。白身
魚と赤身魚の区別は、全筋肉中に占める血合肉含有量に
より決定される。図7は、全筋肉中に占める血合肉含有
量を魚種ごとに対比した図である。本願では形式的に血
合肉含有量が5%を超える魚種を赤身魚と称することと
する。上述のシルバーフィッシュはイボダイの仲間であ
り血合肉含有量が7.5%程度、さばの場合も血合肉含
有量が12.5%程度であり、いずれも赤身魚に分類さ
れる。なお、本願発明者は、白身魚と比較した場合血合
い中の分解酵素等、独特の臭みの強い赤身魚に対して本
願発明はより有効であるとの知見を得た。
【0051】実施例3.次に、食肉を鶏肉(もも肉)、
牛肉(スネ肉)、豚肉(ロース)、羊肉(ニュージーラ
ンド産ラム)として実験をおこなった。評価は、未処
理、冷水浸し、杜仲茶抽出液(3重量%濃度)浸し、に
より氷温(−1℃)で4時間漬け込み、旨味と臭みを官
能評価した。冷水に浸す場合は水が凍らないように適宜
撹拌した。漬け込んだサンプルは、フライパンで火が通
るまで加熱処理した。評価に際しては臭み5から臭み1
までの5段階の相対評価とした。旨味については冷水浸
しのもとの杜仲茶抽出液浸しを比較した。結果を表6に
示す。
【0052】
【表6】
【0053】表に示したように、冷水に浸すだけでもあ
る程度臭みを抜けるが、同時に水っぽくなり、旨味成分
が漏出していると推認された。一方杜仲茶抽出液を用い
ると、生臭みが抑制され、旨味も向上することがわかっ
た。したがって、この実験により、食肉を畜肉や家禽肉
に変更しても杜仲茶抽出液によりマスキング効果ないし
消臭効果が得られることが確認された。
【0054】さらに、塩分と杜仲茶抽出液とを含む調味
液に、零度からこれらの食肉が凍り始める温度までの所
定の温度域内で所定時間漬け込むことにより、杜仲茶を
含まない調味液の場合より短時間に調味液成分をしみこ
ませることができることを確認した。また、加熱調理し
たものは、風味が損なわれておらず、鮮度も維持できる
ことがわかった。
【0055】以上の検討は、杜仲茶抽出液を用いた例で
あるが、杜仲茶に限らず他の茶であっても、塩分と茶抽
出液を含む調味液を用いると食肉への塩分浸透性が向上
し、氷温帯域で短時間に調味液を食肉へ浸透させること
ができ、食肉の風味を損ねず、鮮度を維持できることが
わかった。
【0056】また、pHが中性付近でなくなると、蛋白
質の変性を促進してしまい食肉本来の食感(例えばぷり
ぷりした歯ごたえ)を損ねる場合があるので、調味液の
pHを必要に応じて略中性とするように調整しても良
い。調味液が酸性の場合には重曹添加を用いてpH調整
することができる。なお、実施例1に示したシルバーフ
ィッシュの場合はpH調整は特に必要でなかった。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により、臭
みの低減ないし除去ができ、食肉の風味を損ねず、鮮度
を維持できる味付け食肉の製造方法および味付け食肉を
提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の味付け魚肉製造方法の製造工程を示し
た説明図である。
【図2】シルバーフィッシュの醤油漬けについての官能
試験(おいしさ)結果を示した図である。
【図3】シルバーフィッシュの醤油漬けについての官能
試験(食感)結果を示した図である。
【図4】シルバーフィッシュの醤油漬けについての官能
試験(臭い)結果を示した図である。
【図5】シルバーフィッシュの醤油漬けについての官能
試験結果(総合評価)を示した図である。
【図6】シルバーフィッシュの醤油漬けについての過酸
化物価評価試験を示した図である。
【図7】全筋肉中に占める血合肉含有量を魚種ごとに対
比した図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食肉を、塩分と茶抽出液とを含む調味液
    に、零度から食肉が凍り始める温度までの所定の温度域
    内で所定時間漬け込むことを特徴とする味付け食肉製造
    方法。
  2. 【請求項2】 塩分と茶抽出液とを含む調味液のpHを
    略中性に調整したことを特徴とする請求項1に記載の味
    付け食肉製造方法。
  3. 【請求項3】 漬け込み後の味付け食肉を凍結させるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の味付け食肉製
    造方法。
  4. 【請求項4】 食肉が、魚肉、獣肉、家禽肉、または、
    畜肉であることを特徴とする請求項1、2または3に記
    載の味付け食肉製造方法。
  5. 【請求項5】 魚肉が赤身魚であることを特徴とする請
    求項4に記載の味付け食肉製造方法。
  6. 【請求項6】 茶抽出液を杜仲茶抽出液としたことを特
    徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の味付け食
    肉製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一つに記載の味
    付け食肉製造方法により製造されたことを特徴とする味
    付け食肉。
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