JP2006020527A - 甲殻類加工品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】甲殻類本来の味を保持し、且つ殻が軟化されている甲殻類加工品の製造方法を提供する。
【解決手段】生又は前処理した甲殻類を減圧下で加熱する減圧加熱工程と、減圧加熱工程後の甲殻類を加圧下で加熱する加圧加熱工程とを備える甲殻類加工品の製造方法を提供する。この製造方法では、減圧加熱工程では、減圧下で甲殻類を加熱することにより、身肉の収縮が抑制された状態でタンパク質を凝固させて身肉を安定化させることができる。その後、加圧加熱工程で、加圧加熱調理をすることにより、身肉の破壊を抑制して甲殻類の味を維持して甲殻、すなわち殻を軟化させることができる。したがって、身肉の味が維持され、また、殻まで食べることが可能な甲殻類加工品を製造することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エビ、カニなどの甲殻類加工品を製造する方法であって、特に甲殻を可食化できる甲殻類加工品の製造方法に関する。
甲殻類のうち、エビ、カニなど海や川、湖などから水揚げされるものは、種々の調理方法により食品として供されている。甲殻類の甲殻、すなわち殻は、食用としては固いため、調理前または調理後に身肉と分離されて廃棄される場合が多い。しかしながら、これら廃棄される殻が大量であること、また、殻にはカルシウムやキチン等の栄養素が豊富に含まれていることから、これらを食品とすることが考えられてきている。
従来、殻ごと食される甲殻類は、軟らかい桜海老のような小型エビ類や脱皮直後のカニ(ソフトシェルクラブ)(例えば、特許文献1参照。)や、から揚げ、素揚げなど高温で調理された川エビ、小型の沢蟹などに限られている。また、白海老を殻ごと食するための方法として、白海老の殻の外側に小麦粉等よりなる衣をつけて油で揚げた後、衣を取って酢を主とする調味汁に白海老を漬け込む方法(特許文献2参照。)や、ワタリガニを希塩酸水溶液に浸漬して脱灰分し、中和、調味等してから油で揚げる方法(特許文献3参照。)が開示されている。なお、甲殻類の殻を有効利用するため、身肉とは別にして粉砕物とし、ご飯へのふりかけ等に加工した食品も開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開昭62−3771号公報 特許第2807652号公報 特開平5−268916号公報 特開平8−168359号公報
しかしながら、これらの方法のうち、調理において殻を軟らかくする方法では、当然ながらその調理方法が限定され、また、高濃度の調味料を使用することが多い。また、化学的な処理、すなわち酸処理を伴う方法では、水への浸漬によって、甲殻類の旨み成分等が抜けて甲殻類本来の味が失われやすく、さらに酸処理の酸が残留すると不快な味が付くため、調味における味付けが濃くなりがちである。このように、これらの殻ごと食べられる甲殻類加工品の製造方法では、甲殻類本来の味、旨みを活かすことが困難である。また、甲殻類の身肉と殻とを分離して殻を個別に使用する方法では、供給される甲殻類の身肉の量に比して殻が過剰となるおそれがある。
そこで、本発明では、甲殻類本来の味を保持し、且つ殻が軟化されている甲殻類加工品の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段として、本発明の第1発明は、生又は前処理した甲殻類を減圧下で加熱する減圧加熱工程と、減圧加熱工程後の甲殻類を加圧下で加熱する加圧加熱工程とを備える甲殻類加工品の製造方法を提供する。
この製造方法では、減圧加熱工程では、減圧下で甲殻類を加熱することにより、身肉の収縮が抑制された状態でタンパク質を凝固させて身肉を安定化させることができる。その後、加圧加熱工程で、加圧加熱調理をすることにより、身肉の破壊を抑制して甲殻類の味を維持して甲殻、すなわち殻を軟化させることができる。したがって、本発明の製造方法によれば、身肉の味が維持され、また、殻まで食べることが可能な甲殻類加工品を製造することができる。
なお、本明細書において「減圧」は大気圧未満の圧力を意味し、「加圧」は大気圧を超える圧力を意味する。
また、本発明の第2発明は、第1発明において、減圧加熱工程では、50℃以上90℃以下の温度で12,000Pa以上71,000Pa以下の圧力で水蒸気により加熱する甲殻類加工品の製造方法である。
この製造方法では、水蒸気による加熱で殻の隙間やカットしたときの切り口から急激な水分の蒸発による身肉の崩れを抑制し、減圧によって身肉を膨張させて身肉の収縮を抑制しながらタンパク質を穏やかに凝固させることができる。したがって、食感、食味が良好な身肉を供える甲殻類加工品を製造することができる。
また、本発明の第3発明は、第1又は第2発明において、加圧加熱工程では、120℃以上125℃以下の温度で、飽和蒸気圧より29,000Pa以上78,000Pa以下高い圧力で加熱する甲殻類加工品の製造方法である。
この製造方法では、加圧加熱工程において、甲殻類の殻を良好に軟化させることができる。
本発明の第4発明は、第1ないし第3発明のいずれかにおいて、加圧加熱工程より後に、甲殻類加工物を冷凍する冷凍工程を備える甲殻類加工品の製造方法である。
この製造方法では、身肉及び殻が食べられる状態になった甲殻類加工物を冷凍することにより、長期の保存が可能となり、輸送や、種々の調理への適用が容易な甲殻類加工品を得ることができる。
本発明では、甲殻類本来の味を保持し、且つ殻が軟化されている甲殻類加工品の製造方法を提供することにより、殻ごと食べられる甲殻類加工品、あるいは甲殻類本来の味を活かした料理や種々の調理方法による甲殻類料理に利用できる甲殻類加工品を提供することができる。
以下に本発明を実施するための最良の形態について説明する。
本発明にかかる甲殻類加工品の製造方法は、生又は前処理した甲殻類を減圧加熱工程と加圧加熱工程とにより処理して甲殻類加工品を得る。
本発明において用意される甲殻類は、食料品として利用されるエビ、カニなどである。例えば、エビとしては、甘エビ、芝エビ、車エビ、川エビ、ボタンエビ、手長エビなどを挙げることができる。また、カニとしては、ワタリガニ、ガザミ、沢蟹、イワガニ、マツバガニ、タラバガニ、アブラガニなどを挙げることができる。また、エビ、カニ以外の甲殻類としては、イセエビ類、ロブスター、オマールエビなどのザリガニ、シャコなどを挙げることができる。また、特に、殻が固い甲殻類、例えば、イワガニ、マツバガニ、タラバガニ、アブラガニ、イセエビ他ザリガニなどでは、脱皮後、殻が硬化し始めているが完全には硬化していないものを、良好に利用することができる。
上記甲殻類は、表面を洗浄した後そのまま本製造方法に用いることができる。また、表面を洗浄後、適宜、冷蔵、冷凍、パーシャルフリージングなどした甲殻類を用いることもできる。甲殻類は、一匹そのままとされていてもよいし、部分ごとにカットされているもの、頭部や目玉、内臓等の部分が除去されたもの等であってもよい。また、殻と身肉とを区別せずすり潰したものや、部分的に殻が取り除かれて身肉のみになっている部分のあるものでもよい。
また、本発明で用いる甲殻類は、前処理が施されたものであってもよい。前処理としては、油、エキス、スープ、塩、味噌、醤油等に漬ける含浸処理、発酵処理、塩、コショウ、小麦粉、片栗粉、米粉、ゴマ、けし、青海苔、他種々の食材よりなる粉、フレーク等の付着処理など、従来、甲殻類において用いられる各種調理あるいは加工方法及びその一部分を挙げることができる。また、これらの処理のうち2種類以上が組み合わされて前処理とされていてもよい。
甲殻類に施される前処理として、殻の軟化を補助する処理が施されてもよい。殻の軟化を補助する処理は、典型的には、殻の表面のタンパク質を低減する処理である。具体的には、例えば、脂肪酸エステルを1重量%、炭酸ナトリウムを0.05重量%含む水溶液による甲殻類表面の洗浄処理や、0.05〜1.0重量%の有機酸(乳酸、クエン酸、酢酸、酒石酸など)水溶液への浸漬処理を挙げることができる。なお、この濃度範囲の有機酸による処理では、甲殻類の風味に対する影響はほとんどなく、また、内部に存在する身肉への影響もほとんどない。殻の軟化を補助する処理と、上記加熱処理、浸漬処理、発酵処理、付着処理などの1種以上とを組み合わせて前処理としてもよいことはもちろんである。この場合、殻の軟化を補助する処理を先に行うと、調理によって付与される風味、味を損なうことがないため、好ましい。
本発明の製造方法における減圧加熱工程では、生又は前処理した甲殻類を減圧下で加熱する。
減圧加熱工程における圧力は特に限定されないが、典型的には10,000Pa以上80,000Pa以下である。圧力が10,000Pa未満であると、身肉中の水分が沸騰しやすくなり、また、圧力が80,000Paを越えると、水分蒸発が緩慢になり、処理に要する時間が長くなり、身肉の風味が落ちやすくなる。好ましくは、12,000Pa(50℃における飽和水蒸気圧)以上71,000Pa(90℃における飽和水蒸気圧)以下の圧力とする。さらに好ましくは、16,000Pa(55℃における飽和水蒸気圧)以上48,000Pa(80℃における飽和水蒸気圧)以下の圧力とする。
減圧加熱工程では、タンパク質が凝固する温度以上に加熱する。好ましくは、タンパク質の凝固温度以上であって凝固温度に近い温度に加熱されると、タンパク質の必要以上の凝固を避けて身肉の状態や風味の悪化を効果的に抑制して、効率よく水分を蒸発させるなどの処理ができる。具体的には、加熱温度は、50℃以上であることが好ましく、55℃以上であることがさらに好ましく、より好ましくは60℃以上である。一方、水の沸騰や甲殻類の身肉の状態や風味の変化等を起こし難くするためには温度は低い方が良く、加熱温度は、90℃以下であることが好ましく、80℃以下であるとより好ましい。このため、好ましい範囲としては、55℃以上80℃以下であり、さらに好ましくは、60℃以上80℃以下である。
減圧加熱工程における減圧方法は、特に限定されないが、典型的には、処理する甲殻類を所定の密閉可能な処理容器に封入し、その処理容器の内部を真空吸引する。また、減圧加熱工程における加熱方法は、特に限定されず、通常の炉(オーブン)のような電気ヒーターやガスヒーター等の加熱手段を用いる方法でも良いし、遠赤外線を照射する輻射加熱手段を用いる方法でもよい。また、加熱空気や加熱ガス、例えば、水蒸気を直接送り込む方法でもよい。水蒸気で加熱する方法、すなわち、処理容器内に水蒸気を導入して加熱する方法は、均一に熱供給しやすく、しかも、甲殻類の身肉中の水の沸騰や急激な蒸発を抑制することができ、好ましい。より好ましくは、処理容器内の気体を水蒸気を主に構成することにより、甲殻類を所定の温度で均一且つ効率よく加熱できる。このような減圧加熱は、具体的には、所定の減圧状態になるように処理容器内を真空吸引しながら水蒸気を導入することによって行える。
水蒸気は、温度に対して異なる飽和水蒸気圧力を示すため、処理容器内の気体のほとんどを水蒸気とする場合、加熱温度に対して圧力の上限が決定される。すなわち、処理容器内を水蒸気で満たして減圧加熱工程をする場合、圧力または加熱温度を決定することにより、これに対応して最低加熱温度または最高圧力が決まる。
例えば、処理空間が12,000Pa程度の減圧状態の場合、これを水蒸気の飽和圧力によって達成しようとすると、処理雰囲気の温度は、約50℃となる。また、70,000Pa程度の減圧状態とする場合、処理空間の温度は約90℃となる。好ましくは、加熱温度(飽和水蒸気温度)が約55℃となる、16,000Pa以上とし、同温度が約80℃となる、48,000Pa以下に減圧状態を維持する。より好ましくは、加熱温度が約60℃となる、19,000Pa以上に減圧状態を維持する。このとき、処理容器内の温度は、50℃以上90℃以下に制御し、好ましくは、55℃以上80℃以下、より好ましくは、60℃以上80℃以下に制御する。
なお、甲殻類中の水分を除去しながら加熱したい場合は、処理空間内の圧力を所定の制御温度から3℃以上10℃以下高い温度に対応する飽和蒸気圧力に制御することが好ましい。この制御により、減圧下における甲殻類内の水分の急激な蒸発を効果的に抑止して、効率よく水分を除去することができる。
減圧加熱工程は、少なくとも身肉の表面のタンパク質が凝固するまで行う。したがって、身肉の内部のタンパク質は、凝固していてもよいし、未凝固であってもよい。減圧加熱工程により、生あるいは未加熱の前処理の甲殻類の身肉を、減圧によって膨張させた状態で緩やかに水分を蒸発させながらゆっくり凝固させることができる。このため、身肉を、縮みが少なく、ふっくらとした食感を有するように調理することができる。また、水分が過剰となって旨み成分が流出することを抑制して加熱できるため、濃厚な味、風味を備える身肉を有する甲殻類に調理することができる。
本発明にかかる製造方法では、減圧加熱工程後の甲殻類を、加圧下で加熱して加圧加熱工程を行う。加圧加熱工程では、甲殻類の殻を軟化させる。なお、減圧加熱工程を経た甲殻類を、そのまま連続して加圧加熱工程で処理することが好ましいが、減圧加熱工程後に、冷却処理、冷凍処理などして保存した後、加圧加熱工程で処理してもよい。
加圧加熱工程は、従来公知の方法によって行うことができ、加熱方法は減圧加熱工程と同様、特に限定されず、また、加熱媒体として食用油などを用いることもできる。加熱媒体が水蒸気であると、身肉の乾燥による収縮を抑制しながら甲殻類の内部まで加熱することができる。また、減圧加熱工程が水蒸気を加熱媒体とする場合には、本工程も水蒸気を加熱媒体とすると、同一処理容器内で2つの工程を連続して行うことができ、好ましい。
加圧加熱工程では、大気圧を越える圧力で減圧加熱工程より高温で甲殻類を加熱する。甲殻類の殻の厚みや組成によって変化するが、加熱温度は110℃以上であり、120℃以上であることが好ましい。また、身肉の食感や味、風味の保持の点で125℃以下であることが好ましい。
加圧量は、特に限定されないが、外見の保持のため、甲殻類の殻が破損しない範囲とされる。カニ、イセエビなどは、その殻の耐圧性が良好であるため、特に加圧の制限はない。
水蒸気を加熱媒体として用い、処理容器内のほとんどの気体を水蒸気で構成する場合には、減圧加熱工程と同様、加圧状態と加熱温度とはほぼ対応される。特に、水蒸気を加熱媒体として用いる場合、少なくとも加熱温度(水蒸気温度)が約110℃となる、145,000Pa以上とし、好ましくは、加熱温度が約120℃となる202,000Pa以上、あるいは加熱温度が約125℃となる、232,000Pa以上に維持する。
加圧加熱工程では、処理容器内の圧力を加熱温度に対応する飽和水蒸気圧力よりも29,000Pa〜78,000Pa高くすることが好ましい。この圧力では、加圧下における甲殻類からの水分の急激な蒸発を効果的に抑制してできる。
加圧加熱工程における加熱時間は、特に限定されないが、殻が十分軟化するまで行う。このため、甲殻類の大きさ、殻の組成や厚みによって変化するが、例えば、30〜60分である。
加圧加熱後は、そのまま放置しあるいは積極的に冷却し、また、圧力を下げることにより、常圧に戻すことにより、本工程を経た甲殻類加工品を得ることができる。さらに、加圧加熱後の甲殻類加工物において水分を凝固させて冷凍する冷凍工程を施すことができる。冷凍工程は、例えば、甲殻類の表面および殻と身肉との間、また身肉内の水分をある程度除去した上で、温度を下げることによって行うことができる。なお、水分の除去は、減圧乾燥など、公知の方法を用いて行うことができる。冷凍工程によって冷凍させた甲殻類加工品は、保存性が良好である。
この製造方法により得られる甲殻類加工品は、殻が軟化されているとともに、肉厚を保持し、味、風味が良好な身肉を供えている。すなわち、そのまま、又は適宜加熱調理することにより殻ごと食べられる甲殻類加工品となっている。また、特に殻が保有するたんぱく質に由来すると思われる風味が付与されるとともに、身肉と水分との接触が低減されているため、濃厚な味を有している。また、殻を供えるため、甲殻類本来の姿を保持しており、外観がよい。また、身肉のみの場合に比して形状安定性が高いため、輸送、保管が容易である。
また、本製造方法そのものは、特に調味する工程を必要としないため、本製造方法の前処理において、あるいは、本製造方法によって得られる甲殻類について、所望の調理をして種々の殻ごと食べられる甲殻類の料理を提供することができる。例えば、マツバガニなど、通常の調理方法では殻を食することができない甲殻類において殻の硬さが気になる場合は、例えば、油で揚げるなど高温での加熱を伴う調理をすることにより、容易に殻ごと食べられる料理とすることができる。また、えびなど比較的殻の薄い甲殻類の加工品では、このまま殻ごと食べることが容易であるため、例えば、サラダや酢の物など加熱しない調理に用いることができる。このように、本製造方法で得られる甲殻類加工品は、種々の料理とされて、甲殻類本来の味、場合によっては今までよりも濃厚な甲殻類の味を提供することができるとともに、殻の含まれる栄養素、例えばカルシウムやキチン・キトサンを無理なく摂取することができる。さらに、甲殻類食品における廃棄物を大幅に低減できる。なお、本発明の製造方法にかかる甲殻類加工品としては、これらの調理をする前のもの、あるいはこれらの調理の一部を施したもの、又は完全に調理して料理とされたもののいずれをも含むことは、もちろんである。
原料規格において90/110尾(1尾あたり9〜11g)の甘えびについて、3重量%の食塩水で洗浄後、トレイに並べ、エアー・スチーム式高温高圧調理殺菌装置(STERI−ACE、(株)ニッセン製)に投入し、温度70℃、圧力39,000Paで10分間、水蒸気により減圧加熱処理した。次いで、同装置において温度を105℃、110℃、120℃の3条件において、圧力をそれぞれ149,000Pa、225,400Pa、及び245,000Paにして、それぞれ40分、水蒸気により加圧加熱処理した。その後、処理した甘えびを別のトレイに並べ−35℃に調整した冷結庫で、固体ごとに冷凍処理(IQF)し、ナイロンポリエチレン袋に入れて真空包装した後、−25℃の冷蔵庫に保管した。得られた甘えび加工品を、加圧加熱処理の温度が低い方から試料1,2,3とした。また、減圧加熱処理しないで温度120℃、圧力245,000Paで40分間、水蒸気により加圧加熱処理し、同様に凍結処理したものを試料4とした。
試料1〜4について、自然解凍した後、そのまま食して、殻の感触および全体としての食味、食感について調べた。結果を表1に示す。
Figure 2006020527
甘えびでは、試料1において殻が口に残り、105℃、149,000Paでの加圧加熱処理では、殻を十分軟化させることができないことが明らかとなった。一方、試料2〜4では、殻を食べることができ、温度110℃以上、圧力225,400Pa以上における水蒸気加熱により、甘えびの殻を食べられる程度に軟化できることが分かった。また、減圧加熱処理した試料1〜3では、身肉の食味、食感が良好であったが、減圧加熱処理しなかった試料4では、身肉の収縮が大きく、特に食感が悪かった。このことから、減圧加熱処理をし、次いで加圧加熱処理をすることによって、身肉の状態が良好で、しかも殻まで食べられる甲殻類(甘えび)を売ることができることが明らかとなった。
実施例1と同じ甘えびについて、同様に3重量%食塩水で洗浄後、実施例1と同じエアー・スチーム式高温高圧調理殺菌装置において、温度70℃、圧力39,000Paで10分間、水蒸気により減圧加熱処理し、次いで、温度120℃、圧力245,000Paの条件で、30分、40分、50分、および60分と時間を変えて、水蒸気により加圧加熱処理した。その後、実施例1と同様に凍結処理した。得られた甘えび加工品を、加圧加熱処理の時間が短い方から試料5,6,7,8とした。
また、いわゆるMサイズ、すなわち1杯あたり40〜47gのワタリガニについて、3重量%食塩水で洗浄後、実施例1と同じエアー・スチーム式高温高圧調理殺菌装置において、温度70℃、圧力39,000Paで10分間、水蒸気により減圧加熱処理し、次いで、温度120℃、圧力245,000Paの条件で、40分、50分、60分、及び70分と時間を変えて、水蒸気により加圧加熱処理した。その後、実施例1と同様に凍結処理した。得られたワタリガニ加工品を、加圧加熱処理の時間が短い方から試料9,10,11,12とした。
得られた試料5〜12について、自然解凍した後、そのまま食して殻の感触および全体としての食味、食感について調べた。試料5〜8の結果を表2に、試料9〜12の結果を表3に示す。
Figure 2006020527

Figure 2006020527
試料5は、実施例1と同じ120℃、245,000Paでの加圧加熱であったが、殻の軟化がやや不十分となった。一方、試料6〜8の結果より、同条件による加圧加熱処理において処理時間が40分以上であると殻が十分軟化することが明らかとなった。一方、全体としての食味、食感において、加圧加熱時間が長い試料7,8、具体的には50分以上の加圧加熱処理をした甘えび加工品では、加圧加熱処理に伴う水分蒸発が進んでバサツキを感じやすくなり、特に60分処理した試料8では、身肉が乾燥によって細り、また、褐変が見られた。
ワタリガニを用いた試料9〜12においても、甘えびの場合とほぼ同様の結果が得られた。ワタリガニでは、甘えびと比較して殻が厚く、硬いため、40分の加圧加熱処理をした試料9では、殻の軟化がやや不十分であったが、50分以上の加圧加熱処理をした試料10〜12より、ワタリガニにおいても120℃、245,000Pa、50分以上の処理により殻が十分軟化することが明らかとなった。また、全体としての食味食感は、加圧加熱時間が50分以内である試料9,10において良好であったが、60分では、加圧加熱処理に伴う水分蒸発が進んでバサツキを感じやすくなり、70分では身肉が乾燥によって縮み、また、褐変が見られた。なお、甘えびに比してワタリガニにおいてより長い処理時間によっても身の細りが少ないのは、より厚い殻によって水分蒸発が抑制されるためと考えられる。
このことから、加圧加熱工程に要する時間を調節することにより、殻を十分に軟らかくし、且つ身肉の食感食味を良好に保てることが明らかとなった。

Claims (4)

  1. 生又は前処理した甲殻類を減圧下で加熱する減圧加熱工程と、
    減圧加熱工程後の甲殻類を加圧下で加熱する加圧加熱工程と
    を備える甲殻類加工品の製造方法。
  2. 減圧加熱工程では、50℃以上90℃以下の温度で12,000Pa以上71,000Pa以下の圧力で水蒸気により加熱する、請求項1に記載の甲殻類加工品の製造方法。
  3. 加圧加熱工程では、120℃以上125℃以下の温度で、飽和蒸気圧より29,000Pa以上78,000Pa以下高い圧力で加熱する、請求項2又は3に記載の甲殻類加工品の製造方法。
  4. 加圧加熱工程より後に、甲殻類加工物を冷凍する冷凍工程を備える、請求項1から3のいずれかに記載の甲殻類加工品の製造方法。

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