JP7084564B1 - 殻付きエビ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、腹部の身(50)と、腹部の身を被覆する殻(10)とを有する殻付きエビ(100)であって、腹部側面の殻(10)に始点を共通とし且つ互いに異なる方向に延び、殻を厚さ方向に貫通した複数の亀裂(Y)からなる亀裂群(Z)を有するか、或いは、正中線に対し交差する方向に延び且つ殻を厚さ方向に貫通する亀裂(Y’)を有し、酢酸又はその塩を含有する。殻付きエビ(100)は、殻付きの状態で喫食されることが好ましい。前記亀裂(Y、Y’)が、腹部側面の殻を、先端に凸部を有する叩き具で叩いて形成されたものであることが好ましい。

Description

本発明は、殻付きエビ、その加熱体及び殻付きエビの製造方法に関する。
一般にエビは殻を外して喫食され、そのぷりぷりとした食感が親しまれている。一方でエビ殻はカルシウム豊富であり、殻ごとエビを喫食できれば、殻を除去するコストを低減でき、経済的に有利である上、カルシウムなどのミネラル豊富な健康食品としての付加価値も付与できる。
しかしながら従来、殻ごと喫食するにあたり、エビ殻が硬く食べづらいという問題があった。この問題を解決するために、殻の軟化処理として、塩酸による浸漬処理(特許文献1)、減圧加熱及び加圧加熱を施す工程(特許文献2)、有機酸及びキチン分解酵素による処理(特許文献3)等が提案されている。
特開平5-268916号公報 特開2006-20527号公報 特開2008-245624号公報
しかしながら、塩酸などの強酸を用いる方法、減圧加熱及び加圧加熱による方法はいずれもエビ身の食感及び食味が大きく劣化する問題がある。また有機酸及びキチン分解酵素による処理は、キチン分解酵素の至適温度が35℃付近であることから、安全性のためにエビをボイルしてからキチン分解酵素で処理することが必要となる。このため、この方法では、得られる殻付きエビの用途が制限される問題がある。
本発明の課題は、上記の強酸や加圧/減圧等の加熱処理、酵素処理を要さずとも、殻の硬い食感が改善された殻付きエビ及びその製造方法を提供することにある。
本発明者が従来の殻付きエビの殻の食感を鋭意検討したところ、特に奥歯で咀嚼したときの殻の硬さやエビを飲み込んだ後の殻が口内に残る感覚が、殻付きエビの食べにくさに大きく影響することを見出した。そして、エビ殻に特定の処理を施してから酢酸又はその塩で処理することで、奥歯で咀嚼したときの殻の硬さを効果的に低減でき、エビを飲み込んだ後の殻が口内に残る感覚(殻の口残り感)も抑制できることを見出した。
本発明は上記知見に基づくものであり、殻付きエビであって、腹部側面の殻に、始点を共通として互いに異なる方向に延び、且つ殻を厚さ方向に貫通した複数の亀裂からなる亀裂群を有するか、又は、正中線に対し交差する方向に延び且つ殻を厚さ方向に貫通する亀裂を有し、酢酸又はその塩を含有する殻付きエビを提供するものである。
また本発明は、酢酸又はその塩で処理済みの殻付きエビであって、腹部側面の殻に、始点を共通として互いに異なる方向に延び、且つ殻を厚さ方向に貫通した複数の亀裂からなる亀裂群を有するか、又は、正中線に対し交差する方向に延び且つ殻を厚さ方向に貫通する亀裂を有する殻付きエビを提供するものである。
更に本発明は、未加熱状態の殻付きエビの殻における腹部側面を、先端に凸部を有する叩き具で叩き、殻に、厚さ方向に貫通した亀裂を形成し、次いで、酢酸又はその塩の水溶液に浸漬する、殻付きエビの製造方法を提供する。
本発明の殻付きエビを側面視した模式図である。 本発明の殻付きエビの別の例を側面視した模式図である。 本発明の殻付きエビの製造方法に用いる叩き具の例を示す模式斜視図である。 図3に示す叩き具について凸部を側面視した模式図である。 本発明の殻付きエビの製造方法に用いる叩き具の別の例を示す模式図である。(a)は凸部を側面視した模式図、(b)はその一部拡大図、(c)は凸部を有する面の平面図である。 本発明の殻付きエビの製造方法に用いる叩き具の更に別の例を示す模式図である。(a)は斜視図、(b)は凸部をE方向の柄側から見た図である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。本発明は、腹部の殻ごと喫食するエビであり、且つ冷凍エビであることが好ましい。以下殻付き冷凍エビについて説明するが殻付きチルドエビに変更してもよい。
図1に本実施形態の殻付き冷凍エビ100の一実施形態を示す。殻付き冷凍エビ100は腹部の身50と、腹部の身50を被覆する殻10とを有する。殻10は腹部の身50を一部のみ被覆していてもよいし、後述する亀裂を除いて身50の全体を被覆していてもよい。図1に示す通り、腹部の身50は第1腹節1~第6腹節6まで6つの腹節を有する。それぞれを被覆する殻部として、殻10は、腹節側甲11~腹節側甲16を有している。図1に示す例では、殻付き冷凍エビ100は頭部が除去されている。しかしながら殻付き冷凍エビ100は頭部が未除去のものであってもよい。
図1に示す例では、殻付き冷凍エビ100は、腹部側面の殻に、始点Xを共通として互いに異なる方向に延び、且つ殻を厚さ方向に貫通した複数の亀裂Y(以下、単に亀裂Yともいう。)からなる亀裂群Z(以下、単に亀裂群Zともいう。)を有する。ここでいう異なる方向とは図1のように、エビをその側方から見たときの異なる方向を指す。亀裂群Zは一の始点を共通として互いに異なる方向に延び且つ厚さ方向に貫通する複数の亀裂Yを有していれば、殻を貫通しない亀裂を有していてもよい。
殻付き冷凍エビは、通常、腹部の殻を未除去であるエビである。ここでいう未除去とは、後述する亀裂を形成する処理を含まず、通常の剥きエビを製造する際の殻の剥き処理を行っていないことを指す。ただし、本実施形態の殻付き冷凍エビは、第1腹節1から第6腹節6までの腹節を被覆する殻の一部が、頭部の除去作業などの前処理に伴い意図せず除去されていてもよい。好ましくは第1腹節1から第6腹節6の全ての腹節の側甲11~16が剥き処理を受けておらず、未除去である。殻付きエビは腹肢を有していても有していなくてもよい。
本発明において、亀裂Yが殻を厚さ方向に貫通していることが重要であると本発明者は考えている。エビの殻は三層構造になっており、最表層は表クチクラ層と呼ばれ、二番目の層は外クチクラ層といわれ、三番目は内クチクラ層である。三層構造のうち、内クチクラ層は最も厚く、カルシウム分が多く沈着していて、主層又は石灰化層とも呼ばれている。殻が硬いことはこの内クチクラ層のカルシウム分の働きによるものである。本発明では、この内クチクラ層を含めて殻を貫通する亀裂Yがエビ腹部側面に存在し、亀裂Yが始点Xから互いに異なる複数の方向に延びている。このような亀裂Yからなる亀裂群Zを有することと、酢酸又はその塩を用いた軟化処理とが組み合わされることで本実施形態の殻の食感改善効果が優れたものとなる。その理由の一つとしては、一つの始点Xから異なる方向に延び且つ厚さ方向に貫通する複数の亀裂Yを通して、酢酸又はその塩を含む浸漬液の殻組織中への浸透が促されることが考えられる。また一つの始点Xから異なる方向に延び且つ厚さ方向に貫通する複数の亀裂Yが、奥歯で咀嚼したときの硬さや口残り感のなさの低減効果を効果的に向上させていると考えられる。
殻付き冷凍エビは、図1に示すように、腹部の側面における、少なくとも一つの始点Xの周辺において、殻の複数の亀裂Y間に位置する部分がエビ身側(エビ肉側)に凹んでいることが好ましい。より具体的には、殻の厚さ方向(好ましくは凹んでいない部分の殻の厚さ方向)において殻の複数の亀裂Y間に位置する部分がエビ身側(エビ肉側)に凹んでいることが好ましい。このような凹みは、始点Xから延びる複数の亀裂Yが、殻の厚さ方向においてエビ身側(エビ肉側)に向けて殻に衝撃を与える処理により形成されたことを意味する。殻付き冷凍エビが複数の亀裂群を有する場合、それらの亀裂群における2つ以上の始点Xの周辺において亀裂Y間の殻が厚さ方向においてエビ身側(エビ肉側)に凹んでいることがより好ましく、各始点Xの周辺において亀裂Y間の殻が厚さ方向においてエビ肉側に凹んでいることが更に好ましい。凹みの深さとしては例えば0.1~3mm程度が挙げられる。上記の「周辺」とは始点Xを含む表現であり、始点X及びその周辺と記載することもできる。凹みは始点Xを中心に形成され、多くの場合始点Xに近づくにつれ凹みの深さが深くなる。更に、殻付き冷凍エビの前記側面において、少なくとも一部の亀裂群における始点Xの下部(エビ身側)において、エビの薄皮が破れていることが更に一層好ましい。このように凹みを有し、始点Xにおける殻の厚さ方向のエビ身側においてエビの薄皮を破く処理により、更に酢酸又はその塩が一層しやすくなるとみられる。
上記の凹みは、後述する殻付き冷凍エビの好適な製造方法において、凸部を有する叩き具で叩いた場合の打撃痕に相当する。
始点X周辺の形状は当該始点Xからエビの側面視において互いに異なる方向に延びる複数の亀裂Yが形成されていればよいが、上述した通り上記の凹みを有することが好ましい。
なお、単なる直線状又はジグザグ状等で分岐のない亀裂は、仮に、その途中においてその周辺の殻がエビ身側(エビ肉側)に凹んだ凹み部分を有する場合は、当該部分を始点とし、始点Xから互いに異なる方向に延びる複数の亀裂Yとみなす。そのような凹みは特にジグザグ状の亀裂の屈曲部に存在することが多い。一方、その途中に凹み部分がない場合には、始点Xから互いに異なる方向に延びる複数の亀裂Yとはみなさず、一本の亀裂とみなす。
酢酸又はその塩が一層浸透しやすくなる点から、殻付き冷凍エビは、少なくとも一か所の腹節間において、腹節側甲同士を連結する薄膜が破れていることが好ましい。図1に示す例では、第2腹節2と第3腹節3の間Pにおいて腹節側甲12,13同士を連結する薄膜が破れ、腹節側甲12、腹節側甲13が互いに離間している。しかし、腹節側甲同士を連結する薄膜が破れる箇所は上記に限定されない。
殻付き冷凍エビでは、腹部の両側面それぞれに複数の亀裂Yからなる亀裂群Zを有することが、奥歯で咀嚼したときの殻の硬さといった殻の食感の改善効果に優れるために好ましい。腹部の両側面に複数の亀裂Yからなる亀裂群Zをそれぞれ有する場合、各側面は、上記及び下記に述べる好ましい構成を任意に有することができる。
殻付き冷凍エビ100は、腹部の側面の殻に、一つの始点Xから互いに異なる方向に延びる3本以上の亀裂Yを有する亀裂群Zが形成されていることがより好ましい。
また殻付き冷凍エビ100は、腹部の少なくとも一の側面の殻に、一つの始点Xから互いに異なる方向に延びる2本以上の亀裂Yを有する亀裂群Zが2つ以上形成されていることも好ましい。
更に、殻付き冷凍エビ100は腹部の側面において、共通する始点Xを起点にした4本以上の亀裂Yを有する亀裂群Zが形成されていることが好ましく、共通する始点Xを起点にした4本以上の亀裂Yを有する亀裂群Zが2つ以上形成されていることがより好ましい。
更に一層殻の食感を改善する観点から、亀裂Yの長さは、腹節の最大横長L2に対して長さL1が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。ここでL1は、亀裂Yの一端部である始点Xから他端部までの道なりの長さとして測定する。また、腹節の最大横長L2とは当該亀裂が存在する腹節のおける背部の正中線に沿った横長とする。腹節の長さは殻が被覆した状態で測定する。例えば図1に示す例では、正中線上における腹節側甲14の尾側端部から腹節側甲15の尾側端部までの長さをL2とする。カウント対象となる複数の亀裂Yがそれぞれ別の腹節(腹節側甲)に存在すれば、それぞれの亀裂の長さL1に対応する分母である横長L2はそれぞれ異なる腹節の最大長さとなる。
より一層殻の食感を改善する観点から、殻付き冷凍エビは、腹部の一の側面において、腹節の最大横長L2に対して長さL1が30%以上である亀裂Yの数が1本以上であることが好ましく、2本以上であることがより好ましく、3本以上であることが更に好ましい。なお一つの亀裂について、殻の内面に表れた長さと外面に表れた長さが異なる場合、外面に表れた長さを亀裂の長さとする。また一側面で観察された亀裂が他方の側面まで延長している場合、当該亀裂の長さは当該側面において観察される長さとし、他方の側面に延長した部分は含めない。
更に一層殻の食感を改善する観点から、殻付き冷凍エビは、腹部の一の側面において、腹節の最大横長L2に対して長さL1が50%以上である亀裂Yの数が1本以上であることが好ましく、2本以上であることがより好ましく、3本以上であることが更に好ましい。
図1に示す例のように、殻付き冷凍エビでは、少なくとも腹部の一の側面において、第1腹節1から第3腹節3までを被覆する部分(頭側部分、腹節側甲11~13)に少なくとも一つの亀裂群Z(共通する始点Xから互いに異なる方向に延び且つ殻を貫通する複数の亀裂Y)を有するとともに、第4腹節4から第6腹節6までを被覆する部分(尾側部分、腹節側甲14~16)に少なくとも一つの亀裂群Z(共通する始点Xから互いに異なる方向に延び且つ殻を貫通する複数の亀裂Y)を有することが好ましい。第1腹節1から第3腹節3を被覆する殻は、殻の面積が大きい。また第4腹節4から第6腹節6を被覆する殻は硬く、口残りしやすい。このため、第1腹節1から第3腹節3までの腹部側面と、第4腹節4から第6腹節6までの腹部側面とに、それぞれ少なくとも一つの亀裂群を有することで一層効果的に殻の食感改善効果が得られる。
殻付き冷凍エビは各腹節のうち、第1腹節1から第3腹節3までの2以上の腹節に上記の亀裂Yを有することが殻の食感改善の点でより好ましい。また、第4腹節4から第6腹節6までの2つ以上の腹節に上記の亀裂Yを有することが殻の食感改善の点でより好ましい。
また、第1腹節1から第3腹節3のうち少なくとも第1腹節1又は第2腹節2に殻を貫通する亀裂を有することは殻の食感改善で好ましい。また、第4腹節から第6腹節(頭側)のうち少なくとも第5腹節5又は第6腹節6に殻を貫通する亀裂を有することが、殻の食感改善、特に口残り感の改善の点で好ましい。
なお、特定の腹節に複数の亀裂Yを有する場合、当該亀裂Yの始点X同士は同じ腹節に存在していてもよく、していなくてもよい。例えば一つの亀裂群中の亀裂Yは一つの腹節のみに存在していなくてもよい。例えば腹節又はその近傍に始点Xが存在する場合、一つの亀裂群を構成する複数の亀裂Yが互いに別の腹節に存在することもありうる。製造容易性の点から始点Xが当該始点Xから延びる亀裂Yと同じ腹節に存在していることが好ましい。
殻付き冷凍エビにおける腹部の一の側面における殻を貫通する亀裂の数の上限に特に制限はないが、例えば300本以下であることが好ましく、200本以下であることがより好ましく、特に小型のエビにおいて100本以下が好適に挙げられ、50本以下がより好ましい。腹部の一の側面における亀裂Yの数が殻を貫通する亀裂の数の好ましい上限として挙げた上記の各本数以下であることも好ましい。後述する好適な製造方法を用いて殻付き冷凍エビを製造した場合、打撃数が大きくなれば亀裂の本数は大きくなるが、それにより生産効率が低下し、殻内部の身部分に影響する場合がある。亀裂の本数が上記の本数以下であることは生産効率向上及び身への影響を低減する点で好ましい。また一つの始点Xから互いに異なる方向に延びる亀裂Yの数は、特に制限はないが、最大で20以下であることが好ましく、15以下であることが、より好ましく、10以下であることが特に好ましい。
なお、本発明の殻付き冷凍エビは、共通する始点Xから互いに異なる方向に延びる複数の亀裂Yのほかに、その他の殻を貫通する亀裂を有していてもよい。他の亀裂としては、例えば一本のみで殻に形成されており共通する始点Xを形成しない亀裂などが挙げられる。
亀裂Yが殻を貫通していること、及び薄皮が破れていること、及び殻の凹みは、例えば以下の方法で確認できる。
まず、殻付き冷凍エビにおいて、腹側の殻を、頭部から尾部に向かって腹部の真ん中(正中線)に沿って、ハサミによりカットする。各腹節の殻において、頭部側(第1腹節1)から順に腹側から背側に向かって、殻をめくりあげ、目視により、亀裂の殻の貫通及び薄皮の破損、殻の亀裂Y間等の凹みを確認する。
上記の殻付き冷凍エビを得るためには、後述する本発明の好適な製造方法において、叩き具として凸部の形状を調整することにより殻付き冷凍エビを製造すればよい。
なお、上記形態のエビは、例えば複数の殻付き冷凍エビが包装された包装体において全ての殻付き冷凍エビの中で少なくとも一つ存在していればよく、10%以上を占めることが好ましく、20%以上占めることがより好ましい。
殻付き冷凍エビは酢酸又はその塩を含有することが殻の食感改善効果が高い点で好ましい。酢酸塩としては、酢酸のアルカリ金属塩が挙げられ、例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウムが挙げられる。
殻付き冷凍エビが酢酸又はその塩を含有することは例えば殻付き冷凍エビをホモジナイザーにかけ、得られたサンプルを高速液体クロマトグラフ(HPLC)に供することなどで確認することができる。殻付き冷凍エビ中の酢酸又はその塩の量は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)により酢酸の場合はその量として、酢酸塩の場合はその酢酸根を全て酢酸に変換した量(酢酸として換算した量)として測定することができる。以下両者を併せて酢酸量と記載する。
例えば未加熱状態の殻付き冷凍エビの場合、殻への酢酸又はその塩の浸漬度合いが大きく殻が軟化する点や製造容易性、呈味性の点から、殻付き冷凍エビ中の酢酸の量はエビ100g当たり0.01g以上10g以下であることが好ましく、0.05g以上5g以下であることがより好ましく、0.1g以上4g以下であることが特に好ましく、0.2g以上3g以下が最も好ましい。
また、後述する通り、殻付き冷凍エビは、加熱済みのものであってよいところ、加熱済みの場合、殻への酢酸又はその塩の浸漬度合いが大きく殻が軟化する点や製造容易性、呈味性の点から、殻付き冷凍エビ中の酢酸の量はエビ100g当たり0.01g以上10g以下であることが好ましく、0.02g以上5g以下であることがより好ましく、0.05g以上4g以下であることが特に好ましく、0.1g以上3g以下が最も好ましい。
上記の酢酸量を有する殻付き冷凍エビは後述する好適な実施例の製造方法により得ることができる。また殻付き冷凍エビ中の酢酸量は後述する実施例に記載の方法にて測定できる。
殻付き冷凍エビは、30gのエビに270gの純水を加え、ホモジナイザーで1分処理して得られる液の室温(22~27℃)のpHが6.5以上8.5以下であることがエビ身の食感、食味に優れる点で好ましく、7.0以上8.0以下であることがより好ましい。上記pH範囲の殻付き冷凍エビは、後述する本発明の好適な製造方法において酢酸又はその塩として酢酸ナトリウムを用いることにより得ることができる。ホモジナイザーとしては、ブラウン社製マルチクイックのブレンダーやそれと同様の製品を用いることができ、ホモジナイズ条件も後述する実施例と同等又はそれ以上であればよい。上記液は上記22~27℃の温度範囲におけるいずれかの温度において上記pHであればよい。
本発明で用いるエビの種類は限定されず、クルマエビ科(Penaeidae)、セミエビ科(Scyllaridae)、クダヒゲエビ科(Solenoceridae)、タラバエビ科(Pandalidae)等が挙げられる。
クルマエビ科(Penaeidae)としては、バナメイ(Litopenaeus vannamei)、ブラックタイガー(Penaeus monodon)、クルマエビ(Marsupenaeus japonicus)、シバエビ(Metapenaeus joyneri)、プーバラン(Metapenaeus dobsoni)、エンデバーシュリンプ(Metapanaeus endeavouri)、バングラデシュブラウン(Metapenaeus Monoceros)、タイショウエビ(Fenneropenaeus chinensis)、バナナエビ(Fenneropenaeus merguiensis)等が体色による分類としても、各種ピンク系、ブラウン系、ホワイト系の各種のものが挙げられる。
セミエビ科(Scyllaridae)としては、ウチワエビ(Ibacus ciliatus)等のウチワエビ属 (Ibacus)が挙げられる。
タラバエビ科(Pandalidae)としては、ボタンエビ(Pandalus nipponensis)、ホッコクアカエビ(Pandalus eous)等のタラバエビ属(Pandalus)、コスタリカミノエビ(Heterocarpus Affinis)等のミノエビ属(Heterocarpus)が挙げられる。
中でも、クルマエビ科(Penaeidae)、セミエビ科(Scyllaridae)に属するエビを用いることが、本発明を適用することによる経済的効果が高いことから好ましく、クルマエビ科(Penaeidae)のエビを用いることがより好ましく、バナメイ(Litopenaeus vannamei)、ブラックタイガー(Penaeus monodon)、クルマエビ(Marsupenaeus japonicus) 及びタイショウエビ(Fenneropenaeus chinensis)から選ばれる一種を用いることが更に好ましく、とりわけ、バナメイを用いることが身が柔らかく本発明の適用による効果に優れる点、及び本発明による経済的な効果が高い点で最も好ましい。近年養殖におけるバナメイの生産効率の高さなどから、バナメイの養殖業者は増加している。このような背景からバナメイは安値であり、殻付き冷凍エビとすることでバナメイに関する新たな用途や既存の用途での付加価値を付与でき、経済的効果に優れている。
同様の観点から本実施形態で用いるエビのサイズは、1ポンド(453.6g)あたりに何尾のえびが入るかというえびのサイズの国際規格でいえば、U/6~300/500サイズが好ましく、6/8~100/200サイズが特に好ましい。ここでM及びNを整数とした場合、「M/Nサイズ」とは、1ポンド当たりM~N尾であるサイズであることを表す。なお、UはUnderを意味し、U/6は1ポンドあたり6尾以下という規格を指す。
なお、本発明の殻付き冷凍エビは、未加熱状態であってもよく、加熱済みであってもよい。加熱済みである場合、油調、焼成、蒸し、茹でのいずれの加熱を行ったものも該当する。なお本明細書において、未加熱状態とは例えば60℃以上の加熱処理が施されていないことを指し、50℃以上の加熱処理が施されていないことを指すことが好ましく、40℃以上の加熱処理が施されていないことを指すことが特に好ましい。
本発明は、始点Xを共通として互いに異なる方向に延び、且つ殻を厚さ方向に貫通した複数の亀裂Yからなる亀裂群Zの代わりに、正中線に対し交差する方向に延び且つ殻を厚さ方向に貫通する亀裂Y’を有する殻付き冷凍エビ100’(図2参照)であってもよい。正中線とは、えびの背面の幅方向の中央を頭側から尾側まで縦方向R(図2参照)に背面に沿って延びる線Rx(図2参照)をいう。
図2に示す亀裂Y’は、第2腹節2の最大横長L4に対し、30%以上の長さであることが好ましく60%以上の長さであることがより好ましい。また亀裂Y’が延びる方向は亀裂の両端を結ぶ直線方向(例えば図2のRy方向)とすることができ、当該直線Ry方向が正中線Rxとなす角度βは40°以上であることが好ましく、50°以上であることがより好ましく、60°以上であることが特に好ましい。なお正中線Rxと直線Ryとの交点における正中線Rxが曲線である場合、ここでいう角度βは、正中線Rxと直線Ryとの交点における正中線Rxの接線Rx’となす角度である。本形態においても、酢酸又はその塩をエビ殻に浸透させることが可能と考えられる。本形態の場合、亀裂Y’の周辺部がエビ身側(エビ肉側)に凹んでいることが好ましい。当該凹みは、後述する殻付き冷凍エビの好適な製造方法において、凸部を有する叩き具で叩いた場合の打撃痕に相当する。本形態では当該凹みは正中線Rxと交差する方向に延びる長手方向を有するものであってもよい。喫食の際には正中線と交差する方向に歯が当たる状態でエビを噛み切ることが多いため、正中線と交差する方向に延びる亀裂Y’を有することは喫食しやすさに効果があると考えられる。なお最大横長L4は対象を第2腹節に固定している点を除けばL2と同様に測定する。
また、本形態の場合も亀裂Y’の下部(エビ身側)において、エビの薄皮が破れていることが酢酸又はその塩をエビ殻に浸透させやすい点で好ましい。また本形態においても、酢酸又はその塩が一層浸透しやすくなる点から、殻付き冷凍エビは、少なくとも一か所の腹節間において、隣接する腹節側甲同士を連結する薄膜が破れていることが好ましい。本形態において、腹部の一の側面において、亀裂Y’の数が1本以上であることが好ましく、2本以上であることがより好ましく、3本以上であることが更に好ましい。特に、第2腹節の最大横長L4に対して亀裂Y’の道なりの長さL1が30%以上である亀裂Y’の数が1本以上であることが好ましく、2本以上であることがより好ましく、3本以上であることが更に好ましい。更に、腹部の一の側面において、第2腹節の最大横長L4に対して亀裂Y’の道なりの長さL1が50%以上である亀裂Y’の数が1本以上であることが好ましく、2本以上であることがより好ましく、3本以上であることが更に好ましい。上記の長さの亀裂の角度βが上記下限以上であることも特に好ましい。
また本形態において、腹部は、第1腹節1から第3腹節3までを被覆する部分(腹節側甲11~13)に少なくとも一つの亀裂Y’を有するとともに、第4腹節4から第6腹節6(腹節側甲14~16)までを被覆する部分に少なくとも一つの亀裂Y’を有することが特に好ましい。
その他、上記図1の形態で述べた好ましい事項は図2の形態に適宜該当しうる。
次いで、上記各形態の殻付き冷凍エビの好適な製造方法について説明する。本製造方法は、未加熱状態の原料殻付き冷凍エビの殻における腹部側面を、先端に凸部を有する叩き具で叩き、殻を厚さ方向に貫通する亀裂を生じさせるものであり、好ましくは共通する始点Xから互いに異なる方向に延び且つ殻を厚さ方向に貫通する複数の亀裂Yからなる亀裂群Z又は正中線と交差する方向に延び殻を厚さ方向に貫通する亀裂Y’を形成し、次いで、酢酸又はその塩の水溶液に浸漬するものである。好ましくは、浸漬処理後に殻付き冷凍エビの冷凍を行う。殻付き冷凍エビとして頭部を除去したものを製造する場合、頭部の除去のタイミングは、前記亀裂群Z又は亀裂Y’を形成する前であってもよく、或いは前記亀裂群Z又は亀裂Y’を形成した後、酢酸又はその塩の水溶液に浸漬する前であってもよく、或いは酢酸又はその塩の水溶液に浸漬した後であってもよい。中でも頭部の除去のタイミングは、前記亀裂群Z又は亀裂Y’を形成する前であることが操作性の点で好ましい。
先端に凸部を有する叩き具を図3及び図4に例示する。図3及び図4の叩き具30の材質としては特に限定されないが、金属製であることがエビに対して衝撃力を与えることが容易であるために好ましい。金属種類としてはステンレス、鉄、銅、真鍮、アルミニウムが挙げられ、食品用であり重さ・強度の点からステンレスが好ましい。叩き具はその体積(図3及び図4のように持ち手40を有する場合は持ち手以外の部分の体積)のうち50%以上を金属で占めることがより好ましい。
叩き具30は持ち手40を有するタイプである場合、使用しやすさの点から持ち手40の長さは15~30cmが好ましい。また持ち手40を有する叩き具30の重さは限定されないが、例えば持ち手の重さも含めた全体の重さとして300~1000gが好ましく挙げられる。持ち手を有しないタイプとしては、ローラーにおける先端に凸部を有するものが挙げられる。叩き具30と同様のものとして図5の叩き具30’、図6の叩き具30’’が挙げられるがこれらに限定されない。
叩き具30(又は30’、30’’)の凸部20(又は20’、20’’)の形状としては、先端に向けて先細りとなった形状を有することが上記殻付き冷凍エビを首尾よく得る点で好ましい。例えば凸部を下方(又は上方)に向けた状態で凸部を互いに直交する2つの側方からそれぞれ見たときに、当該2つの側方のいずれから見た場合においても、先端に向けて先細りとなった形状を有することが一つの好ましい形態として挙げられる。その様な例としては円錐状又は角錐状の凸部がある(例えば図3~図5に示す凸部20、20’参照)。このような凸部によれば図1の形態の亀裂群Zが製造できる。このような亀裂群により、上述した通り、酢酸又はその塩が効果的に殻内部へ侵入し易い。また本凸部20、20’で腹側部の殻を叩く場合、腹節側甲間の少なくとも一部を分離させて隙間を生じさせ、亀裂群Zだけでなく腹節側甲間の分離した隙間からも酢酸又はその塩が殻内部へ侵入させることが容易である。
一方、例えば凸部を下方(又は上方)に向けた状態で該凸部を互いに直交する2つの側方からそれぞれみたときに、当該2方向の一方から見た場合に先端に向けて先細りとなった形状を有し、他方から見た場合には先細り形状を有しない例が別の形態として挙げられる。このような例としては図6に示す凸部20’’がある。図6の例では、複数の凸部が畝状に形成されている。この形状の凸部によれば図2の形態の亀裂Y’が製造できる。図6の形態の凸部20’’は、凸部20’’の長手方向(図6のE方向)が、エビの縦方向R(図2参照)に対して交差する状態で殻付きエビを叩くことが殻に正中線と交差する亀裂Y’が生じやすいほか、腹節側甲間が分離し易く、亀裂Y’だけでなく腹節側甲間の分離した隙間から酢酸又はその塩が殻内部へ侵入させることができる点で好ましい。
叩き具30(又は30’、30’’)はその側面視において、凸部先端の角度α(図4、図5(a)及び(b)並びに図6(b)参照)が40°~80°であることが好ましく、50°~70°であることがより好ましい。上記角度範囲は、叩き具30(又は30’、30’’)を、凸部20(又は20’、20’’)の突出方向を下方(又は上方)となるように配置したときに任意の一の側方からみた側面視にて該当すればよい。また、互いに直交する2つの側方から見たときにいずれも先細り形状を有する場合には、当該2方向から見たときに上記角度範囲に該当することがより好ましい。尚、叩き具はその先端が湾曲を有するように形成されていてもよく、又は平面、或いは上記角度αよりもなだらかな屈曲部に形成されていてもよい。
叩き具30(又は30’、30’’)は凸部20(又は20’、20’’)の突出方向を下方(又は上方)となるように配置したときに任意の一の側方からみた側面視において、その凸部20(又は20’、20’’)が、上記の角度αの先端を有する三角形状又は先端が平面又はなだらかな屈曲状又は湾曲状となった前記の三角形状を少なくともその先端部に有することが好ましい。凸部の高さT(図4、図5(b)及び図6(b)参照)は特に限定されず、エビの大きさによればよいが、2mm~7mmであることがバナメイやブラックタイガーに適用しやすい点で好ましく、3mm~6mmであることがより好ましい。また、凸部20(又は20’、20’’)の高さTと原料殻付き冷凍エビの厚みW2(不図示)との比率(T/W2)は0.1~0.8であることが好ましく、0.15~0.5であることがより好ましい。ここでいう殻付き冷凍エビの厚みとは、殻付き冷凍エビの腹部の側面同士間の最大幅を指す。
なお、凸部20(又は20’、20’’)が先端に図4等に示すように叩き具30(又は30’、30’’)を、該凸部を下方に向けた状態において側方からみたときに、同図に示すように先端に先細り形状を有するとともにその基部に先細りでない部分を有している場合、上記の先細り形状を有する部分の好ましい高さとしては、上述した凸部20(又は20’、20’’)の好ましい高さと同様の高さが挙げられる。ここでいう先細り形状としては上述した先端が平面又はなだらかな屈曲状又は湾曲状となった形状を含む。
叩き具30(又は30’、30’’)は、隣接する凸部20(又は20’、20’’)同士の間隔(図3の例では凸部20の隣接する頂点同士の間隔)W1は特に限定されず、エビの大きさによればよいが、例えば2mm~20mmであることが殻ごと喫食しやすいバナメイやブラックタイガーに適用しやすい点で好ましく、3mm~15mmであることがより好ましい。また殻付き冷凍エビの厚みW2との比率W1/W2は0.1~1.3であることが好ましく、0.2~1.0であることがより好ましい。
上記の叩き具によりエビの側面を叩くことで、上記の本発明の殻付き冷凍エビが首尾よく得られる。叩き処理後の原料殻付きエビは、酢酸又はその塩の水溶液に浸漬させる。当該浸漬処理により、殻の軟化がなされる。酢酸塩としては上記で挙げたものが挙げられ、特に酢酸ナトリウムが、エビ身の食感、食味、色調の点で好ましい。本発明では上記の複数の亀裂Yからなる亀裂群Z又は亀裂Y’を有することで、酢酸ナトリウムを含有し、酢酸などの酸を含有しない浸漬液であっても、当該浸漬液による軟化効果に優れる。このため殻付き冷凍エビを加熱した場合に、殻の食感の向上と身の食味、食感及び色調の向上との両方の効果に優れた殻付き冷凍エビを得ることが可能である。上記の点から本発明で用いる、酢酸ナトリウムの水溶液のpHとしては10℃にて6.5~10.0が好ましく挙げられ、7.0~8.5がより好ましい。
浸漬液である酢酸又はその塩の水溶液における酢酸又はその塩の濃度は、殻の食感、身の食味、食感等の点から、1~5質量%であることが好ましく、2~4質量%であることがより好ましい。また浸漬液である酢酸又はその塩の水溶液の温度としては、5~30℃が好ましく、10~20℃がより好ましい。酢酸又はその塩の浸漬液に浸漬する時間としては殻の食感、身の食味、食感等の点から、8~18時間が好ましく、10~16時間がより好ましい。
酢酸又はその塩の水溶液に浸漬させた殻付きエビは適宜冷凍等の処理を行う。
なお、本製造方法において酢酸又はその塩の水溶液に浸漬後の殻付きエビは必ずしも洗浄する必要はない。例えば殻付きエビを酢酸又はその塩の水溶液に浸漬後、冷凍させる場合は、酢酸又はその塩の水溶液に浸漬後、エビに付着した浸漬液を洗浄せずに冷凍してもよい。例えば酢酸又はその塩として酢酸ナトリウム水溶液を用いた場合、当該水溶液の浸漬後の殻付きエビについて水等で洗浄せずに冷凍しても、得られる殻付きエビの食感、食味に優れたものとなる。この場合は製造コストの低減となり好ましい。
なお、上述した叩き工程の後、上記の酢酸又はその塩による浸漬処理の前に、エビに保水剤による浸漬処理を施してもよい。
保水剤としては、例えば、リン酸塩、炭酸水素塩、クエン酸、クエン酸塩が挙げられる。これらを溶解させた水溶液にエビ肉を接触させると、エビ肉の筋肉の間に水溶液の水分が保持されやすい。リン酸塩としては、オルトリン酸塩、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩等が挙げられる。リン酸塩、炭酸水素塩、クエン酸塩としては、特にアルカリ金属塩が好ましい。オルトリン酸塩としては、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウムが挙げられ、メタリン酸塩としてはメタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウムが挙げられ、ポリリン酸塩としてはポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウムが挙げられ、ピロリン酸塩としてはピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウムが挙げられる。また、炭酸水素塩としては、例えば炭酸水素ナトリウムが挙げられる。クエン酸塩としてはクエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウムなどが挙げられる。保水剤は、これらの1種のみであってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
保水剤の水溶液からなる浸漬液における保水剤の量は合計で、該浸漬液中に0.5質量%以上10.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以上3.0質量%以下であることがより好ましい。
なお保水剤の水溶液からなる浸漬液を用いた場合、例えば5~15℃における1~3時間浸漬させることがエビの風味を保持することができる点で好適である。また、保水剤の水溶液からなる浸漬液を用いた場合、5~20分、5~20℃で液切りした後に、酢酸又はその水溶液による浸漬処理を行うことが、酢酸又はその塩の浸漬効率の点で好ましい。
以上の工程により得られる未加熱状態の殻付きエビは殻ごと喫食可能であり、油調する、煮る、蒸す、焼く等の各種の調理に使用できる。更に、このように加熱して得られる加熱済みの殻付きエビも後述する実施例に示す通り、酢酸又はその塩を含有するものであって、本発明の殻付きエビに該当する。
上述した通り、未加熱状態の殻付きエビ及び加熱済みの殻付きエビを冷凍又はチルドするタイミングは、酢酸又はその塩の水溶液の浸漬液への浸漬後であれば、いずれであってもよい。本明細書において「酢酸又はその塩で処理済み」とは、酢酸又はその塩の水溶液の浸漬液への浸漬処理が済んだエビであることを指す。
例えば未加熱状態の殻付き冷凍エビは、酢酸又はその塩の水溶液の浸漬液への浸漬後にそのまま冷凍状態で保存できる。また未加熱状態の殻付き冷凍エビを加熱して加熱済みの殻付きエビを得る際には、冷凍、チルド等のいずれの状態のものを各種の加熱調理(油調、煮る、蒸す、焼く等)に供してもよく、殻付きエビを加熱調理後、そのまま冷凍又はチルド状態で保存してもよい。冷凍状態とは、通常10℃未満の温度範囲での保存をさし、冷凍は通常-3℃より低く-45℃より高い温度で行われる。例えば本発明の殻付きエビが冷凍されたものは電子レンジ加熱又は自然解凍等により解凍して喫食した場合に、奥歯で咀嚼したときの殻の硬さの低減や殻残り感の低減といった効果が得られるものである。
本発明の殻付きエビは、冷凍食品、レンジ加熱用食品、ダイエット用食品、フライ等の油調商品、チルド食品等の各種加工食品やその製造原料として用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
(第1工程)
未加熱状態のバナメイエビから頭部を除去し、図3及び図4に示すハンマー付き肉叩き具(金属(ステンレス)製、突起頂点間隔W1は10mm、凸部の高さTは5mm、凸部の角度αは60°、エビとの対面における凸部の数は25、エビの厚さW2との比率W1/W2は0.6、T/W2は0.3、重さ370g、取手の長さL3は20cm)により、バナメイエビを叩き、腹部の殻の両側面に図1で説明した形態に該当する亀裂群Zを形成させた。
エビの殻は、エビの両側面において、第1腹節1から第3腹節3までを被覆する部分に少なくとも一つの亀裂群が形成されているとともに、第4腹節4から第6腹節6までを被覆する部分に少なくとも一つの亀裂群が形成されていた。腹部の一の側面のうち少なくとも2つの亀裂群では、それらの始点から延びる4本以上の亀裂Yが形成されていた。腹部の一の側面において、腹節の最大横長L2に対して長さL1が30%以上である亀裂Yの数は9本以上であり、殻が亀裂を有する腹節の最大横長L2に対して長さL1が50%以上である亀裂Yの数は5本以上であった。また少なくとも一か所の腹節間において、腹節側甲同士を連結する薄膜が破れていた。また各腹部側面において、少なくとも1つの亀裂群の始点Xの下部(エビ身側)において殻の内側の薄皮まで破けていた。それぞれの亀裂群の始点Xの周辺では、亀裂Y間に位置する殻がエビ身側に凹んでいた。凹みの深さは0.1~3mmの範囲内であった。また殻はエビの腹部の各側面において、第1腹節から第6腹節までの各腹節のうち、第1腹節1又は第2腹節2を被覆する部分に少なくとも一つの亀裂群Zが形成され、第5腹節5又は第6腹節6を被覆する部分に少なくとも一つの亀裂群Zが形成されていた。なお、一つの始点Xから延びる亀裂Yの数は最大6であった。また殻付きエビにおける腹部の一の側面における亀裂の数(殻を貫通する亀裂の数)は18本であった。
(第2工程)
第1工程を経た殻付きエビを、保水剤を含む浸漬液(10℃)に2時間浸漬させた。保水剤を含む浸漬液の組成としては炭酸水素ナトリウムを2質量%、食塩を1質量%、酵母を1質量%、水を96質量%であった。その後、10分20℃の条件で液切りした後、殻付きエビを3.0質量%酢酸ナトリウム水溶液(10℃、pH8.1)に14時間浸漬させた。浸漬後のエビを浸漬液から分離し、洗浄せずに-30℃で冷凍して、殻付き冷凍エビを得た。
(比較例1)
未加熱状態の頭部を除去した殻付きバナメイエビをそのまま酢酸ナトリウム水溶液に浸漬させた以外は実施例1と同様とし、殻付き冷凍エビを得た。
(比較例2)
(第1工程)
未加熱状態の頭部を除去した殻付きバナメイエビの腹部の両側面を、市販の剣山(針の間隔3mm、針の長さ18mm、針の基端部の直径1mm、先端の針の角度α10°)にて突き刺し、エビの一側面に対し殻を厚み方向に貫通する100個の孔を形成した。しかし、亀裂は観察されなかった。
(第2工程)
実施例1と同様とした。
(比較例3)
未加熱状態の頭部を除去した殻付きバナメイエビの腹部の両側面を、釘(長さ40mm、基端部の直径2mm、先端の針の角度α20°)にて突き刺し、エビの一側面に対し殻を厚み方向に貫通する50個の孔を形成した。しかし、亀裂は観察されなかった。
(第2工程)
実施例1と同様とした。
(比較例4)
本比較例では頭部を除去した殻付きバナメイエビの殻における第1腹節側甲~第6腹節側甲の背側の正中線を、頭部側から尾部に掛けてハサミで切断した。
(第2工程)
実施例1と同様とした。
[官能評価]
実施例1及び比較例1~4で得られた殻付き冷凍エビを冷凍の状態から180℃の食用油で素揚げし、凍結した。これを自然解凍後、6名の専門パネラーに喫食させ、以下の評価基準に基づき奥歯で咀嚼したときの殻の硬さ(飲込むまで奥歯で咀嚼した際に感じる硬さ)及び口残り感(飲込んだ後に殻が残る度合い)を評価させた。6名のパネラーの評価点の平均値を下記に示す。
●奥歯で咀嚼したときの殻の硬さ
5 とても強い。
4 強い。
3 どちらでもない。
2 弱い。
1 とても弱い。
●殻の口残り感
5 とても強い。
4 強い。
3 どちらでもない。
2 弱い。
1 とても弱い。
Figure 0007084564000001
表1に示す通り、本発明では殻の硬い食感を効果的に低減でき、殻の口残り感が抑制されている。
(実施例2)
第1工程は実施例1と同様に行った。第2工程において、浸漬液として3.0質量%酢酸ナトリウム水溶液の代わりに3.0質量%酢酸水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして殻付き冷凍エビを得た。
(1.酢酸量測定)
実施例1で得られた未加熱状態の殻付き冷凍エビから、下記の加熱サンプル1~4を得た。
・(加熱サンプル1:茹で処理):実施例1における、酢酸ナトリウム水溶液浸漬後、冷凍前の未加熱状態の殻付きエビ10尾を用意した。このエビをチルド状態から100℃近い湯で2分間煮た後に、湯を切り、室温で冷却した後に、-30℃で冷凍した(加熱サンプル1)。
・(加熱サンプル2:蒸し処理):実施例1における、酢酸ナトリウム水溶液浸漬後、冷凍前の未加熱状態の殻付きエビ10尾をチルド状態とした。このエビをチルド状態から100℃でスチームコンベクションオーブン(大気圧下)を用い、5分間蒸した。室温で冷却した後に、-30℃で冷凍した(加熱サンプル2)。
・(加熱サンプル3:油調処理):実施例1における、酢酸ナトリウム水溶液浸漬後、冷凍前の未加熱状態の殻付きエビ10尾を用意した。このエビをチルド状態から180℃の油で2分間油調し、素揚げした。室温で冷却した後に、-30℃で冷凍した(加熱サンプル3)。
・(加熱サンプル4:焼成処理):実施例1における、酢酸ナトリウム水溶液浸漬後、冷凍前の未加熱状態の殻付きエビ10尾を用意した。このエビをチルド状態から赤外線焼成器にて250℃で15分間焼成した。室温で冷却した後に、-30℃で冷凍した(加熱サンプル4)。
上記の実施例1の未加熱状態の殻付き冷凍エビ及び上記の加熱済みの殻付き冷凍エビ(加熱サンプル1~4)について、以下の方法で酢酸量を測定した。
(酢酸量測定方法)
殻付き冷凍エビについて、10尾を室温に放置して自然解凍した。解凍したエビを殻ごとフードミキサーで均質化した。この均質化したエビを所定量(実施例1は1.5~2.5g、上記加熱サンプル1~加熱サンプル4及び下記ブランクでは3~5g)を測り取った。ここに5mlの5質量%過塩素酸と純水を加え、10分間振とうして酢酸を抽出した。その後、50mlに定容して、ろ過し、得られた液を必要ならば希釈した後、下記条件のHPLC測定に供した。結果を表2に示す。尚、表2には、均質化したエビの量を100gとしたときの酢酸量を示す。
HPLC測定条件
HPLC:島津製作所社製 LC-20AD
カラム:Shim-pack SCR-102H×2、φ8.0mm×300mm(島津製作所社製)
カラム温度:45℃
検出器:電気伝導度計 CDD-10Avp(島津製作所社製)
流量:移動相 0.8ml/min、反応液 0.8ml/min
移動相:5mmol/L、p-トルエンスルホン酸
反応液:0.1mmol/L EDTA 及び 20mmol/L Bis-Tris含有 5mmol/L p-トルエンスルホン酸
注入量:10μL
Figure 0007084564000002
なお、ブランクとして、実施例1において、保水剤を含む浸漬液に浸漬させた後、酢酸ナトリウム水溶液に浸漬しなかった以外は実施例1と同様とした未加熱状態の殻付き冷凍エビを用い、上記実施例1と同様の酢酸量測定に供したところ、酢酸(根)は検出されなかった(検出限界0.01g/100g)。
(2.pH測定)
実施例1及び実施例2で得られた殻付き冷凍エビ5尾をステンレス製のトレーにのせ、室温(約25℃)で30分間放置して自然解凍し、殻ごと1cm角程度にハサミで細かく切断し、切断したエビを混合した後、30gを測り取った。270gの純水を加え、ホモジナイザー(ブラウン社製マルチクイック プロフェッショナル MR 5550 M FP、ブレンダー、ターボスピード)で1分間処理した。得られた液の25℃でのpHを測定したところ、実施例1の殻付き冷凍エビはpH7.2、実施例2の殻付き冷凍エビのpHは5.7であった。
(食感、食味評価)
実施例1で得られた殻付き冷凍エビと実施例2で得られた殻付き冷凍エビとを[官能評価]に記載した方法と同様の方法にて素揚げ調理して、食べ比べたところ、実施例1のエビを素揚げした殻付きエビは、実施例2のエビを素揚げした殻付きエビと同等の殻の食感を有していた。また実施例1のエビを素揚げした殻付きエビは、実施例2のエビを素揚げした殻付きエビに比して、身の食感の柔らかさ、酸味の少なさ、エビらしい色調の点で優れていた。
(実施例3)
(第1工程)
未加熱状態のバナメイエビから頭部を除去し、図5の叩き具(金属(ステンレス)製、重さ250g、取手の長さL3は21cm、突起頂点間隔W1は5mm、凸部の高さTは3mm、凸部の角度αは60°、エビとの対面における凸部の数は51個、エビの厚さW2との比率W1/W2は0.4、T/W2は0.2)により、バナメイエビの腹部の両側面の殻を叩き、殻に図1の形態に該当する亀裂群Zを形成させた。
エビは、その両側面において、第1腹節1から第3腹節3までを被覆する部分に少なくとも一つの亀裂群が形成されているとともに、第4腹節4から第6腹節6までを被覆する部分に少なくとも一つの亀裂群Zが形成されていた。
腹部の一の側面のうち少なくとも2つの亀裂群Zで、それらの始点から延びる2本以上の亀裂Yが形成されていた。
腹部の一の側面において、腹節の最大横長L2に対して長さL1が30%以上である亀裂Yの数は10本以上であり、亀裂を有する腹節の最大横長L2に対して長さL1が50%以上である亀裂Yの数は4本以上であった。
また少なくとも一か所の腹節間において、腹節側甲同士を連結する薄膜が破れていた。
また各腹部側面において、少なくとも1つの亀裂群の始点Xの下部において殻の内側の薄皮まで破けていた。
それぞれの亀裂群の始点Xの周辺では、亀裂Y間に位置する殻がエビ身側に凹んでいた。凹みの深さは0.1~3mmの範囲内であった。
また殻はエビの腹部の各側面において、第1腹節から第6腹節までの各腹節のうち、第1腹節1又は第2腹節2を被覆する部分に少なくとも一つの亀裂群Zが形成され、第5腹節5又は第6腹節6を被覆する部分に少なくとも一つの亀裂群Zが形成されていた。
なお、一つの始点Xから延びる亀裂Yの数は最大4であった。また殻付きエビにおける腹部の一の側面における亀裂の数(殻を貫通する亀裂の数)は12本であった。
得られた殻粉砕エビについて、実施例1と同様の第2工程を行い、殻付き冷凍エビを得た。
(実施例4)
未加熱状態のバナメイエビから頭部を除去し、図6に示すハンマー付き肉叩き具(金属(ステンレス)製、突起頂点間隔W1は6mm、凸部の高さTは5mm、凸部の角度α’は80°、エビとの対面における凸部の数は5、エビの厚さW2との比率W1/W2は0.4、T/W2は0.4、重さ365g、取手の長さ19cm)により、バナメイエビを叩き、殻に図2で説明した形態に該当する亀裂Y’を形成させた。
エビはその側面において、第1腹節1から第3腹節3までを被覆する部分に少なくとも一つの亀裂Y’が形成されているとともに、第4腹節4から第6腹節6までを被覆する部分に少なくとも一つの亀裂Y’が形成されていた。
腹部の一の側面において、第2腹節L4に対して長さL1が30%以上である亀裂Y’の数は5本以上であり、第2腹節L4に対して長さL1が50%以上である亀裂Y’の数は3本以上であった。これらが延びる方向の正中線に対する角度(鋭角)は60°以上であった。
また少なくとも一か所の腹節側甲間において、腹節側甲同士を連結する薄膜が破れていた。
また各腹部側面において、少なくとも1つの亀裂Y’の下部(エビ身側)において殻の内側の薄皮まで破けていた。
一つの亀裂Y’周囲の殻がいずれも殻の厚さ方向においてエビ肉側に凹んでいた。凹みの深さは0.1~3mmの範囲内であった。
また殻付きエビは腹部の少なくとも一の側面において、第1腹節から第6腹節までの各腹節のうち、第1腹節1又は第2腹節2に少なくとも一つの亀裂Y’が形成され、第5腹節5又は第6腹節6に少なくとも一つの亀裂Y’が形成されていた。
なお、殻付きエビにおける腹部の一の側面における亀裂Y’の数は6本であった。
得られた殻粉砕エビについて、実施例1と同様の第2工程を行い、殻付き冷凍エビを得た。
(食感、食味評価)
実施例1で得られた殻付き冷凍エビと実施例3及び4で得られた殻付き冷凍エビ、比較例1で得られた殻付き冷凍エビとを[官能評価]に記載した方法と同様の方法にて素揚げ調理し、歯で咀嚼したときの殻の硬さ及びエビを飲み込んだ後の殻が口内に残る感覚を参照例(=比較例1) を基準にして、下記4段階で評価した。結果を表3に示す。
(評価基準)
A:参照例に比して殻の硬さ又は殻の口残り感が明らかに少ない。
B:参照例に比して殻の硬さ又は殻の口残り感がやや少ないように感じる。
C:参照例に比して殻の硬さ又は殻の口残り感がごくわずかであるが少ないように感じる。
D:参照例と殻の硬さ及び殻の口残り感が同等である。
Figure 0007084564000003
本発明によれば、強酸及び減圧加熱/加熱加圧、キチン分解酵素による処理といった殻を軟化するために従来必要とされていた処理を要さずに、殻ごと喫食したときに奥歯で咀嚼したときの殻の硬さが効果的に低減され、殻の口残り感が抑制された殻付きエビ及びその製造方法が提供される。

Claims (16)

  1. 腹部の身と、腹部の身を被覆する殻とを有する殻付きエビであって、
    腹部側面の殻に、始点を共通として互いに異なる方向に延び、且つ殻を厚さ方向に貫通した複数の亀裂からなる亀裂群を有するか、又は、正中線に対し交差する方向に延び且つ殻を厚さ方向に貫通する亀裂を有し、
    酢酸又はその塩を含有する、殻付きエビ。
  2. 殻付きの状態で喫食され、冷凍状態で保存される、請求項1に記載の殻付きエビ。
  3. 前記亀裂が、腹部側面の殻を先端に凸部を有する叩き具で叩いて形成されたものである、請求項1又は2に記載の殻付きエビ。
  4. 腹部側面の殻に、始点を共通として互いに異なる方向に延び、且つ殻を厚さ方向に貫通した複数の亀裂からなる亀裂群を有する、請求項1~3の何れか1項に記載の殻付きエビ。
  5. 腹部側面の殻は、第1腹節から第3腹節までを被覆する部分に少なくとも一つの前記亀裂群を有し、且つ第4腹節から第6腹節までを被覆する部分に少なくとも一つの前記亀裂群を有する、請求項1~4の何れか1項に記載の殻付きエビ。
  6. 少なくとも一つの亀裂が、当該亀裂が位置する腹節の最大横長に対して30%以上の長さを有する、請求項1~5の何れか1項に記載の殻付きエビ。
  7. 少なくとも一か所の腹節間において、腹節側甲同士を連結する薄膜が破れている、請求項1~6のいずれか1項に記載の殻付きエビ。
  8. 腹部の両側面のそれぞれに、少なくとも一つの前記亀裂群を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の殻付きエビ。
  9. 前記亀裂群における複数の前記亀裂間の殻が、エビ身側に凹んでいる、請求項1~8のいずれか1項に記載の殻付きエビ。
  10. 腹部の身と、腹部の身を被覆する殻とを有し、酢酸又はその塩で処理済みの殻付きエビであって、
    腹部側面の殻に、始点を共通として互いに異なる方向に延び、且つ殻を厚さ方向に貫通した複数の亀裂からなる亀裂群を有するか、又は、正中線に対し交差する方向に延び且つ殻を厚さ方向に貫通する亀裂を有する、殻付きエビ。
  11. 冷凍殻付きエビであって、室温にて自然解凍した後に測り取った30gのエビに270gの純水を加え、ホモジナイザーで1分処理して得られる液の室温(22~27℃)のpHが6.5以上8.5以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載の殻付きエビ。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の殻付きエビに、油調、煮る、蒸す及び焼成から選ばれる加熱調理を施す、殻付きエビの加熱体の製造方法
  13. 未加熱状態の原料殻付きエビの殻における腹部側面を、先端に凸部を有する叩き具で叩き、殻に、厚さ方向に貫通した亀裂を形成し、次いで、酢酸又はその塩の水溶液に浸漬する、殻付きエビの製造方法。
  14. 前記叩き具が、前記凸部を複数有し、前記凸部が先細り形状を有し、凸部を下方に向けたときにおける側面視における凸部の先端の角度αが40~80°、凸部の高さTが2~7mm、隣接する凸部同士の間隔W1が2~20mmである、請求項13に記載の殻付きエビの製造方法。
  15. 前記亀裂を形成した後のエビを酢酸ナトリウム水溶液に浸漬させる、請求項13又は14に記載の、殻付きエビの製造方法。
  16. 酢酸又はその塩の水溶液に浸漬した後のエビを、洗浄せずに冷凍する、請求項13~15の何れか1項に記載の殻付きエビの製造方法。
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