JP2008109872A - 魚介類加工品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 加熱調理前の魚介類を清酒で処理し、その後、加熱調理することを特徴とする魚介類加工品の製造方法。当該清酒で処理する魚介類の重量に対して5%(v/w)以上の清酒で10分間以上処理することが好ましい。前記いずれかの製造方法により得られる魚介類加工品。
【効果】 不快臭、酸化の原因となるアルデヒド類、ケトン類が総体的に少なく、またチオバルビツル酸価についても、本発明は、対照に比べて小さい値を示し
ており、過酸化脂質の上昇が抑制された。
【選択図】 なし
Description
本発明における魚介類加工品の製造方法は、加熱調理前の魚介類を清酒で処理し、その後、加熱調理することが特徴である。
本発明における魚介類とは、魚類及び貝類など、水中にすむ水産動物の総称であり、魚類、貝類の他、エビ、カニなどの節足動物、イカ、タコなどの軟体動物、クラゲなどの腔腸動物、ウニ、ナマコなどの棘皮動物、ホヤなどの原索動物などが含まれる。
本発明における魚類とは、食用とすることができる魚類であれば特に限定はないが、ニシン目、コイ目、サケ目、ニギス目、ヒメ目、ハダカイワシ目、アンコウ目、マトウダイ目、キンメダイ目、ギンメダイ目、タラ目、アシロ目、フグ目、カサゴ目、ボラ目、イワシ目、ダツ目、カレイ目、スズキ目から選択される魚類が好ましい。ニシン目としては、ウルメイワシ、キビナゴ、マイワシ、ニシン、コノシロ等、コイ目としては、コイ、フナ、オイカワ、カワムツ、ホンモロコ、タモロコ、タナゴ等、サケ目、ニギス目、ヒメ目、ハダカイワシ目としては、サケ類、マス、ギンザケ、ベニザケ(ヒメマス)、ビワマス、サクラマス(ヤマメ)、マスノスケ(キングサーモン)、カラフトマス、ニジマス、イワナ、アメマス、ミヤベイワナ、アユ、シシャモ、シラウオ、ワカサギ、ニギス、エソ等、アンコウ目、マトウダイ目、キンメダイ目、ギンメダイ目としては、アンコウ、マトウダイ、キンメダイ、ギンメダイ等、タラ目、アシロ目としては、マダラ、スケトウダラ、イタチウオ等、フグ目としては、フグ、マンボウ、カワハギ等、カサゴ目としては、カサゴ、メバル、ギンダラ、オコゼ、コチ、カジカ、アイナメ等、ボラ目、イワシ目、ダツ目としては、ボラ、サンマ、サヨリ、トビウオ等、カレイ目としては、ヒラメ、カレイ等の魚類が挙げられる。スズキ目としては、スズキ、アマダイ、ムツ、アジ、マアジ、ムロアジ、シマアジ、ブリ、カンパチ、クエ、ブラックバス(オオクチバス)、マダイ、キダイ、クロダイ、イシダイ、ハタハタ、カマス、サバ(マサバ)、ゴマサバ、サワラ、カツオ、マグロ、タチウオ、シロウオ、ムツゴロウ、ワラスボ等の魚類が挙げられる。
本発明は、生の魚類の不快臭が特に強いサケ目の魚類、スズキ目のアジ科とサバ科の魚類、更に川魚類に好適に使用することができる。例えば、サケ、ブリ、サバ、アユ等の魚類に効果を発揮することができる。
本発明に用いる清酒の量は、特に限定はないが、加熱調理前の魚介類の重量に対して5%(v/w)以上が好ましい。より好ましくは10%(v/w)である。5%(v/w)未満では、魚介類加工品を製造したときに生の魚介類の不快臭が強く残り、食感における改善効果も認められない。5%(v/w)以上であれば、魚介類加工品を製造したときに、生の魚介類の不快臭がなく、食感における改善効果が認められる。使用する清酒の量に特に上限はないが、清酒が及ぼす魚介類加工品の香味への影響が多い場合には、30%(v/w)以下で適宜使用量を調整すればよい。処理する魚介類の重量に対するアルコール量が多すぎると、チオバルビツル酸価が高い値、すなわち酸化が見かけ上促進されている状態を示すことになってしまうので好ましくない。アルコール度数が21%(v/v)の清酒を使用する場合には、適宜、例えば3分の2程度に希釈して使用すればよい。なお、処理する魚介類の水分量は、70〜90%(w/w)の範囲であるが、大部分は70〜80%(w/w)程度である。
なお、本発明における「清酒での処理」では、「清酒に漬込む」のが代表的処理であるが、清酒をシャワーする、あるいはスプレーするといった漬込みと同等の効果を持つものであれば特に限定はない。
上記したように、本発明における「清酒での処理」では、既述の従来公知の「酒と水を混ぜたもので洗う」方法とは全く異なり、一定時間以上にわたって清酒で処理することを必要とする。
清酒で一定時間以上の処理をすることにより、単に魚類の表面を洗うこと以上の効果を発揮することができる。
漬込む清酒の量を変えてサバの切身を焼き、不快臭及び食感への影響を検討した。
生のサバの切身40gを、表1に示す量のタカラ本料理清酒「厨房専科」〔宝酒造(株)製〕に室温で20分間漬込んだ後、190℃で10分間焼き、試料とした。なお、タカラ本料理清酒「厨房専科」は、米、米麹、醸造アルコールを原材料とするアルコール度数13%(v/v)の製品であり、酒税法でいうところの清酒の範疇に属するものである。
これら試料の官能評価試験を行った。結果を表1に示す。官能評価試験の結果は、◎:とてもよい、○:よい、△:ややよい、×:悪い、を意味する。
清酒に漬込む時間を変えてサバ切身を焼き、不快臭及び食感への影響を検討した。
生のサバの切身40gを、8mlのタカラ本料理清酒「厨房専科」〔宝酒造(株)製〕に5℃で表2に示す時間漬込んだ後、190℃で10分間焼き、試料とした。
これら試料の官能評価試験を行った。結果を表2に示す。官能評価試験の結果は、◎:とてもよい、○:よい、△:ややよい、×:悪い、を意味する。
清酒で処理しないものを対照とした(対照1)。
調製したブリの照焼きの官能評価試験を行った。結果を表3に示す。なお、官能評価試験の結果は、◎:とてもよい、○:よい、△:ややよい、×:悪い、を意味する。
調製したアブラメの幽庵焼きの官能評価試験を行った。結果を表4に示す。なお、官能評価試験の結果は、◎:とてもよい、○:よい、△:ややよい、×:悪い、を意味する。
対照としては、生のサケの切身120gに小麦粉:水=1:2で混合したものをまぶし、パン粉をつけて160℃で4分30秒間揚げたものとした(対照3)。
調製したサケフライの官能評価試験を行った。結果を表5に示す。なお、官能評価試験の結果は、◎:とてもよい、○:よい、△:ややよい、×:悪い、を意味する。
各試料を秤量し、その湿重量に対して重量比換算で5倍量の水を添加し、ホモジナイザーで十分にホモジナイズしてサンプル液を調製した。ヘッドスペースバイアル中に各サンプル液を入れ、内部標準物質としてはシクロヘキサノールを添加し、固相マイクロ抽出法によりヘッドスペースガスのGC−MS分析を行った。カラムは、DB−WAX(長さ60m×内径0.25mm)〔アジレント・テクノロジー(株)製〕を用いた。対照3におけるアルデヒド類及びケトン類のピークの合計面積を1として、本発明3におけるアルデヒド類及びケトン類のピークの合計面積を算出した。なお、アルデヒド類、ケトン類としては、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、2−ブタノン、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、ベンズアルデヒドを測定した。
結果を表6に示す。
チオバルビツル酸価についても、本発明3は、対照3に比べて小さい値を示しており、過酸化脂質の上昇が抑制されたサケフライが得られたことを示すものであった。
Claims (4)
- 魚介類加工品を製造する方法において、加熱調理前の魚介類を清酒で処理し、その後、加熱調理することを特徴とする魚介類加工品の製造方法。
- 当該魚介類が、ニシン目、コイ目、サケ目、ニギス目、ヒメ目、ハダカイワシ目、アンコウ目、マトウダイ目、キンメダイ目、ギンメダイ目、タラ目、アシロ目、フグ目、カサゴ目、ボラ目、イワシ目、ダツ目、カレイ目、スズキ目から選択される魚類である請求項1に記載の魚介類加工品の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の加熱調理前の魚介類の重量に対して5%(v/w)以上の清酒で10分間以上処理することを特徴とする請求項1又は2に記載の魚介類加工品の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により得られる魚介類加工品。
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