JP2000354459A - 保存性と食感に優れた調理方法 - Google Patents

保存性と食感に優れた調理方法

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JP2000354459A
JP2000354459A JP11167207A JP16720799A JP2000354459A JP 2000354459 A JP2000354459 A JP 2000354459A JP 11167207 A JP11167207 A JP 11167207A JP 16720799 A JP16720799 A JP 16720799A JP 2000354459 A JP2000354459 A JP 2000354459A
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cooking
food
cooked
acid
rice
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JP11167207A
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Hideya Kamioka
秀也 上岡
Takashi Katayama
隆 片山
Manabu Yoshikawa
学 吉川
Atsushi Kitagawa
敦士 北川
Haruhiko Okuno
晴彦 奥野
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Okuno Chemical Industries Co Ltd
Original Assignee
Okuno Chemical Industries Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 食品の風味、旨さを損なわず、日持ちのよい
食品を提供すること 【解決手段】 酸、アルカリ及び/又はアルコールで食
品材料の前処理を行った後、この食品材料への加熱条件
を緩和して調理する。例えば、(1)比較的低温で、次い
で、比較的高温の2段階の調理工程で調理する、(2)比
較的高温で、次いで、比較的低温の2段階の調理工程で
調理する、(3)短時間の加熱処理をする、(4)食品材料の
表面を固化し、ついで全体を穏やかに加熱する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品及びその調理
方法に関する。さらに詳しくは、風味(おいしさ)が維
持され、かつ保存性に優れた食品の調理方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】本来、食品をおいしく調理するために
は、素材表面の水分を少なく、逆に内部はエキス分や水
分を十分残すように中心温度を比較的低温に抑える調理
法が必要となる。しかし、この調理法では、中心温度を
低く抑える結果、食品の日持ちが悪くなる。大量調理に
おいて実施されている次亜塩素酸ナトリウム等による前
処理は、日持ちを目的に行われているが、効果は低い。
さらに、一般的なフライ食品、炒め物、焼き物、炒め飯
等の市販調理食品は、冷凍、チルド、20℃、および常
温で流通保存されているため、日持ちの部分に関して
は、調理時の加熱による殺菌、次亜塩素酸ナトリウムの
高濃度での処理、あるいは、pH調整剤を中心とする制
菌剤を別途添加して対処しなければならない。このた
め、本来のおいしさという観点からすれば、過剰な加熱
や制菌剤の添加を免れない。この結果、最終食品は加熱
過剰の場合には、組織が完全に熱変性して内部の水分と
ともに旨み成分も流失し、カスカスとした硬い食感にな
る。あるいは炒め飯等は、熱く水分の多い米飯を回転釜
で調理するため、逆にベタベタとした食感になる。ま
た、制菌剤による酸味、酸臭等の味覚面での悪影響も生
じる。
【0003】そこで、食品の風味、おいしさを維持する
ことと日持ちを良くすることとを両立させることが望ま
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、食品の風
味、おいしさを維持しつつ、日持ちを良くした食品を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく検討した結果、酸、アルカリ、及び/又は
アルコールで前処理を行い、原料素材の細菌数を予め十
分に低下させることで、加熱条件が弱くても必要とする
保存性が得られ、より大きな保存性を得るために制菌剤
を併用する場合でも制菌剤の使用量を少なくすることが
できること、及び、調理の際の加熱条件を緩和すること
ができ、例えば、通常より短時間で調理できること、お
よび調理を2段階で行うことによって、まず、食品材料
の表面を急速に固化させる、あるいは冷却していったん
表面を締めてから加熱調理する等の食材の水分調整がで
きるため、旨み、ジューシー感、軟らかさ等の食感面で
のメリットを、保存性を損なうことなく実現できること
を見出して、本発明を完成させた。
【0006】すなわち、本発明は、酸、アルカリ及び/
又はアルコールで食品材料の前処理を行った後、該食品
材料への加熱条件を緩和して行うことを特徴とする食品
の調理方法に関するものである。
【0007】好ましい実施態様は、前記加熱条件の緩和
が、2段階の調理である。
【0008】好ましい実施態様は、前記加熱条件の緩和
が、通常の調理時間より短時間の調理をすることであ
る。
【0009】さらに好ましい実施態様では、前記2段階
の調理方法が、前処理を行なった食品材料を比較的低温
で加熱し、ついで高温で表面を固化させる調理方法であ
る。
【0010】別の好ましい実施態様では、前記2段階の
調理方法が、前処理を行なった食品材料を高温で加熱し
て表面を固化させ、ついで全体を穏やかに加熱する調理
方法である。
【0011】好ましい実施態様では、前記調理方法が適
用される食品が、例えば、フライ食品、炒め物、あるい
は焼き物等である。
【0012】別の好ましい実施態様では、前記2段階の
調理方法が、前処理を行なった食品材料を冷却処理と加
熱処理する調理方法である。
【0013】好ましい実施態様では、この調理方法が適
用される食品が、炒め飯である。
【0014】さらに、本発明は、醸造酢とε−ポリリシ
ン、グリセリン脂肪酸エステル、プロタミン、及び有機
酸からなる群から選択される少なくとも一種の物質とを
加えて前処理され、冷却された米飯と、酸、アルカリお
よび/またはアルコールで処理した具材とともに加熱調
理する炒め飯の製造方法に関するものである。
【0015】好ましい実施態様では、前記米飯が、発酵
調味料を添加して調理された米飯である。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の食品の調理方法は、食品
材料の前処理を、従来の次亜塩素酸処理ではなく、酸、
アルカリ及び/又はアルコールで前処理を行うことを特
徴とする。
【0017】前処理に用いられる酸としては、無機酸、
有機酸が用いられる。無機酸としては、リン酸、リン酸
二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、ピロリン酸
二水素ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、硫酸アルミ
ニウムカリウム、硫酸アルミニウムアンモニウム等が挙
げられる。
【0018】有機酸としては、酢酸、氷酢酸、乳酸、ク
エン酸、酒石酸、酒石酸水素カリウム、リンゴ酸、アジ
ピン酸、フマル酸、グルコン酸、グルコノデルタラクト
ン、フィチン酸等が挙げられるが、これらに限定されな
い。また、本発明においては、クエン酸、酢酸等の有機
酸を含有する醸造酢、梅酢、果汁等も有機酸に含まれ
る。
【0019】これらの無機酸又は有機酸は塩として使用
してもよい。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等
が挙げられる。これらの酸またはその塩は単独で用いて
も良く、2種以上組合せて用いてもよい。ナトリウム過
剰摂取を避ける観点から、カリウム塩が好ましい。
【0020】酸による前処理は、上記酸の1又は2以上
をpHが約1〜6、好ましくはpHが約2〜5となるよ
うに溶解し、これに調理すべき食品材料を適切な時間、
例えば、10秒〜60分、好ましくは2〜20分間浸漬
する。浸漬後、食品材料を水洗して、酸を洗い流すこと
が食品の風味を維持する上で好ましい。浸漬後アルカリ
中和してもよいが、ナトリウム過剰摂取を避ける観点か
ら、カリウムで中和することが好ましい。
【0021】前処理に用いられるアルカリとしては、金
属水酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及び
/又は水に溶解したときにアルカリ性を呈する物質が好
ましく用いられる。
【0022】これらの例としては、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモ
ニウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水
素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、ポリリン酸ナ
トリウム、ポリリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウ
ム、メタリン酸カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ピ
ロリン酸四カリウム、焼成カルシウム等の水に溶解した
ときにアルカリ性となる物質が挙げられる。アルカリ処
理は、上記アルカリ剤を単独で用いてもよく、混合して
用いてもよい。
【0023】アルカリによる前処理は、上記アルカリ剤
の1又は2以上をpHが約8〜14、好ましくはpHが
約10〜13となるように溶解し、これに調理すべき食
品材料を適切な時間、例えば、10秒〜60分間、好ま
しくは2〜20分間浸漬する。浸漬後、食品材料を水洗
して、アルカリを洗い流すことが食品の風味を維持する
上で好ましい。あるいは、例えば上記酸で中和して用い
てもよい。
【0024】アルコール処理は、1〜95V/V%、好
ましくは5〜50V/V%のエタノールが用いられ、こ
れに調理すべき食品を適切な時間、例えば、10秒〜6
0分間、好ましくは2〜20分間浸漬する。浸漬後、水
洗して、エタノールを洗い流すことが、食品の風味を維
持する上で好ましい。
【0025】酸処理、アルカリ処理、アルコール処理は
組合せて用いてもよい。酸処理の後にアルカリ処理を行
ってもよいし、アルカリ処理の後に酸処理を行ってもよ
い。
【0026】また、処理する食品材料と前処理溶液の比
率は、食品材料10重量部に対して、前処理溶液約5〜
500重量部であることが好ましい。
【0027】さらに、前処理工程において、あるいは調
理時に、必要に応じて、従来から食品の保存料として用
いられている制菌効果、殺菌効果、保存効果を有するこ
とが知られている各種成分、制菌効果を向上させる補助
成分、味覚調整剤等を配合することもできる。
【0028】制菌効果、殺菌効果、保存効果を有するこ
とが知られている各種成分としては、例えば、有機酸、
ε−ポリリシン、プロタミン、リゾチーム、ペクチン分
解物、グレープフルーツ種子抽出物、シソ抽出物、ショ
ウガ抽出物、タデ抽出物、ニンニク抽出物、ブドウ果皮
抽出物、ホコッシ抽出物、モウソウチク抽出物、ラクト
フェリン濃縮物、ワサビ抽出物、グリセリン脂肪酸エス
テル、グリシン、ショ糖脂肪酸エステル、ビタミンB1
等が挙げられる。
【0029】制菌効果を向上させる補助成分として、例
えば、食品材料表面の洗浄性を高めることによって保存
性を向上させる効果を有するグリセリン脂肪酸エステ
ル、蔗糖脂肪酸エステル、キラヤあるいは大豆等に由来
するサポニン等の界面活性効果を有するものが挙げられ
る。
【0030】味覚調整剤としては、例えば、特許第14
38050号公報に記載された植物繊維物質の焙煎抽出
エキス、特許第1867643号に記載された植物繊維
物質の焙煎抽出エキスの有機溶媒抽出物等の酸味、酸臭
を低減させる効果を有する物質、トレハロース、ソルビ
ット、ステビア等の糖類ないし甘味成分が例示される。
【0031】上記添加することができる各種成分は、単
独で添加してもよく、2以上組み合わせて用いてもよ
い。これらの成分の添加量は、通常用いられる範囲から
任意に選択でき、種類によっても異なるが、味覚に影響
を与えず、かつ保存効果等が発揮される範囲であり、概
ね、0.01重量%〜1重量%である。
【0032】上記の前処理により、食品材料が滅菌さ
れ、食品の保存性が高められるので、比較的低温で調理
することができ、風味と旨さを維持する食品が得られ
る。
【0033】上記前処理が終わった食品材料は、食品の
風味、おいしさを維持するために、各食品に応じて、加
熱条件を緩和することができる。加熱条件の緩和とは、
従来の方法による加熱処理より緩やかな条件で加熱する
ことを意味する。加熱条件の緩和には、2段階の調理
と、通常の調理時間より短時間の調理をすること等の後
述の調理法が含まれる。
【0034】2段階で調理する場合について説明する
と、例えば、食品がフライ食品の場合、食品材料は、通
常、170℃〜180℃で3〜6分フライされている
が、本発明においては、食品材料を前処理した後に、好
ましくは、低温及び高温の2段階でフライする。ここで
低温とは、約170℃よりも低い温度をいい、好ましく
は約130℃〜160℃である。高温とは、180℃よ
りも高い温度をいい、好ましくは190℃〜230℃で
ある。処理時間は、食品材料の大きさによるが、食品内
部温度が約80℃を超えない程度が好ましく、一般的に
は低温処理の場合、1分〜5分が好ましく、高温処理の
場合、5秒〜90秒が好ましい。
【0035】この2段階の調理については、まず、低温
で全体を穏やかに加熱した後、高温で表面を急速に固化
変成させる。あるいは、この逆にまず高温で表面を急速
に固化変成させてから、全体を穏やかに加熱してもよ
い。この場合、加熱温度は同じ温度でも良く、表面の固
化に用いた温度より低温でもよい。
【0036】さらに、通常の調理法においても調理時間
を短縮することによって、加熱過剰を抑制し、食味を向
上することができる。本発明の前処理法とこの短時間調
理法を組合せることにより、初期の目的が達成される。
【0037】具体的には、例えば、比較的低温(140
〜160℃で1〜5分)でフライした後、必要に応じて
5〜30秒間、好ましくは10〜20秒間の油切りを行
い、比較的高温で短時間(190℃〜230℃、5〜9
0秒間)フライする。この調理方法により、ころもの食
感がさくさくし、油切れもよく、日持ちもよい食品が得
られる。この順序を逆にして、まず、比較的高温で短時
間フライし、油切りを行い、ついで、比較的低温でフラ
イしてもよい。
【0038】食品が炒め物の場合、炒め物は、通常、食
品材料を加熱釜で約10分加熱して調理されているが、
使用する食品(野菜)材料を前処理し、加熱釜よりは比
較的高温(120℃〜160℃、好ましくは130℃〜
150℃)で油通しした後、調味料等を加えて、この油
通しより低温の加熱釜で約5分間加熱して本調理をすれ
ばよい。食品材料を前処理した後、一度油通しすること
により、加熱釜での加熱時間が短くて済み、野菜からの
水分の流出が少なくなり、べたつき感もない食品が得ら
れ、そして得られた炒め物は保存性にも優れる。
【0039】食品が焼き物の場合、一般的には、200
℃のオーブン等で、10〜15分の加熱が行われている
が、本発明においては、まず、前処理した食品材料
(肉)の表面を鉄板、あるいはグリル等を用いて表面を
直接加熱処理(例えば、200℃、各1分の表裏面の焼
成)した後、例えば、200℃のオーブン等にて、通常
の焼き物より短時間(例えば、3〜5分)、全体を穏や
かに加熱処理する調理方法である。この方法により、内
部の水分、旨み成分の流出を抑制したまま、おいしさと
日持ちのよい焼き物が得られる。
【0040】食品が炒め飯の場合、米飯と具材を別々に
前処理することが好ましい。米飯を前処理後、冷却し、
具材と混合して、加熱するという、冷却、加熱の2段階
の調理が適用される。
【0041】米飯の前処理は、炊飯時あるいは炊飯後に
醸造酢とε−ポリリシン、グリセリン脂肪酸エステル、
プロタミン、及び有機酸からなる群から選択される少な
くとも一種の物質とを加えることにより行われる。すな
わち、醸造酢を用いる酸処理が行われる。
【0042】醸造酢の添加量は特に制限はないが、添加
しすぎると酸味、酸臭がして食感に影響を与える。一般
的には、酸度10の醸造酢で、約0.1重量%〜2重量
%である。この場合、保存性が良くない可能性もあるの
で、ε−ポリリシン、グリセリン脂肪酸エステル、プロ
タミン、及び有機酸からなる群から選択される少なくと
も一種の物質とを加えて前処理しておくことが、保存性
の上から望ましい。ε−ポリリシン、グリセリン脂肪酸
エステル、プロタミン、及び有機酸の添加量は、上記の
通りである。
【0043】炊飯後の冷却は、一つの調理工程であり、
冷却は、好ましくは約20℃〜40℃、好ましくは約2
5℃〜30℃まで行う。冷却により水分が減少し、べた
つきがなく、パラパラした食感が得られる。なお、冷却
しても、炊飯時あるいは炊飯後の前処理で滅菌効果が発
揮されるので、二次汚染の虞は少ない。
【0044】冷却後、上記条件で、酸、アルカリおよび
/またはアルコール処理した具材とともに、例えば、炒
め機(例えば、株式会社ホーネンコーポレーション製
KM−3等)に投入し、炒め飯とする。
【0045】炊飯後の冷却時あるいは冷却後、米飯に発
酵調味料を加えて調理し、さらに具材とともに加熱調理
すると、さらに風味が改良されるとともに、ご飯のほぐ
れが良好になり、さらに保存性も高くなる。発酵調味料
としては、アルコール度数20〜59の、ワインタイ
プ、みりんタイプ、および日本酒タイプの発酵調味料が
挙げられる。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、
本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、
実施例で用いた貝殻焼成カルシウムは、株式会社エヌ・
シー・コーポレーションのホタテ貝焼成物である。
【0047】(参考例:前処理の効果)まず、前処理の
効果について検討した。表1に記載の処理条件でむきエ
ビを処理し、処理直後の生菌数を測定した。結果を表1
に示す。
【0048】
【表1】
【0049】この結果、本発明の前処理により、無処理
に比べて生菌数が4オーダー減少し、次亜塩素酸ナトリ
ウム処理よりも、2オーダーも生菌数が減少したことが
わかった。次の調理を、保存性の観点から過剰な加熱、
制菌剤の過剰な添加をせずにすみ、おいしく調理でき
る。
【0050】(実施例1〜5、比較例1〜2) エビフライの調理 表2に記載の条件でエビを前処理し、バッター・パン粉
付けを行い、表2に記載のフライ条件でエビフライを調
理した。実施例1〜4は、エビを前処理後、比較的低温
調理後、比較的高温調理したものであり、実施例5は、
前処理後、比較的短時間調理したものである。得られた
エビフライについて、旨み等の官能評価を行った。官能
評価は以下の5段階で、点数で表した。 5:よい 4:ややよい 3:普通 2:やや悪い 1:悪い
【0051】エビフライの製造工程と官能評価結果を表
2に、また、得られたエビフライを15℃に保存したと
きの生菌数の変化を表3に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】この結果は、従来の次亜塩素酸ナトリウム
処理による調理方法(比較例1)では、保存効果はある
ものの、ジューシー感がなく、他の食感も悪かった。
又、前処理をしない場合(比較例2)、食感は良いが、
保存性が悪いのに対し、前処理後、比較的低温調理後、
比較的高温調理した実施例1〜4は、比較例2と比べて
前処理の効果が表れており、新規調理法とあいまって、
旨み、ジューシー感、軟らかさの食感に優れると共に焦
げ色もよく、保存性にも優れていた。また、前処理後、
短時間処理をした実施例5も、比較例1の次亜塩素酸ナ
トリウムを用いる方法と比べて、はるかに旨み、ジュー
シー感、軟らかさ、焦げ色ともに優れており、保存性も
ほとんど変わらなかった。2段階調理の実施例1〜4と
比べた場合、若干旨みが不足すると思える程度で、ほと
んど遜色なかった。
【0055】(実施例6〜8、比較例3〜4)表4に記
載の条件で野菜(インゲン)を前処理し、バッター付け
を行い、表4に記載のフライ条件で野菜のフライを調理
した。実施例6〜8はインゲンを前処理後、比較的低温
調理後、比較的高温調理した例である。得られた野菜の
フライについて、上記と同様の方法で、旨み等の官能評
価を行った。
【0056】野菜天ぷら(インゲン)の製造工程と官能
評価結果を表4に、また、得られた野菜フライを15℃
に保存したときの生菌数の変化を表5に示す。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】この結果は、従来の次亜塩素酸ナトリウム
処理による調理方法(比較例3)では、保存効果があ
り、焦げ色も普通であるが、旨み、ジューシー感、柔ら
かさに欠けていた。前処理をしない場合(比較例4)、
食感は良いが、保存性が悪いのに対し、前処理後、比較
的低温調理後、比較的高温調理した実施例6〜8は、比
較例4と比べて前処理の効果が表れており、旨み、ジュ
ーシー感、軟らかさの食感に優れると共に焦げ色もよ
く、保存性にも優れていた。
【0060】(実施例9〜11、比較例5〜6)表6に
記載の条件で鶏ムネ肉を前処理し、調味、バッター付け
を行い、表6に記載のフライ条件で鶏の唐揚げを調理し
た。実施例9〜11は、鶏ムネ肉を前処理後、比較的低
温調理後、比較的高温調理した例である。得られた鶏の
唐揚げについて、上記と同様の方法で、旨み等の官能評
価を行った。
【0061】鶏の唐揚げの製造工程および官能評価結果
を表6に、また、得られた鶏の唐揚げを15℃に保存し
たときの生菌数の変化を表7に示す。
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】この結果は、従来の次亜塩素酸処理ナトリ
ウム処理による調理方法(比較例5)では、保存効果が
あり、旨みも普通であるが、ジューシー感、柔らかさ、
焦げ色等の食感が悪かった。前処理をしない場合(比較
例6)、食感は良いが、保存性が悪いのに対し、鶏ムネ
肉を前処理後、比較的低温調理後、比較的高温調理した
実施例9〜11は、比較例6と比べて前処理の効果が表
れており、旨み、ジューシー感、軟らかさの食感に優れ
ると共に焦げ色もよく、保存性にも優れていた。
【0065】(実施例12〜16、比較例7〜11)キ
ャベツ70重量部、にんじん15重量部、ピーマン5重
量部をそれぞれカットし、表8に記載の条件で前処理し
た。前処理後、比較例7は調味料を10重量部加えて、
加熱釜で10分加熱し、調理した。その他は、表8に記
載の条件(140℃、3分)でフライし、これに調味液
10重量部を加えて加熱釜で5分間調理した。実施例1
2〜16は前処理後、比較的高温調理後、比較的低温調
理した例である。得られた野菜炒めについて、上記と同
様の方法で、旨み等の官能評価を行った。なお、制菌剤
として、酢酸ナトリウム45重量部、グリシン45重量
部およびクエン酸10重量部を混合したものを、表8に
記載の量(単位は重量%)添加した。
【0066】野菜炒め(インゲン)の製造工程および官
能評価結果を表8に、また、得られた野菜炒めを15℃
に保存したときの生菌数の変化を表9に示す。
【0067】
【表8】
【0068】
【表9】
【0069】この結果は、従来の次亜塩素酸ナトリウム
処理による調理方法(比較例7)では、保存効果はある
ものの、旨み、ジューシー感等の食感が悪かった。次亜
塩素酸ナトリウム処理後、制菌剤を添加した比較例8
は、保存効果は上がるものの、酸味がきつく、旨味も欠
けていた。前処理をしない場合(比較例9)、食感は良
いが、保存性が悪く、保存性を上げるために制菌剤を添
加した比較例10および11は酸味がきつく食感が悪か
った。これに対し、前処理した実施例12〜14、およ
び16は、各比較例と比べて前処理の効果が表れてお
り、前処理後、比較的高温調理後、比較的低温調理する
ことにより、旨み、ジューシー感の食感に優れると共
に、保存性にも優れていた。前処理後、制菌剤を加えた
実施例15は、酸味もそれほど変化なく、保存性にも優
れていた。
【0070】(実施例17〜19、比較例12〜13)
表10に記載の条件で鶏モモ肉を前処理し、表10に記
載の条件で調理した。実施例17〜19は、前処理を行
った鶏モモ肉の表面を高温で固化し、ついで全体を穏や
かに加熱した例である。得られた鶏の照り焼きについ
て、上記と同様の方法で、旨み等の官能評価を行った。
【0071】焼き物(鶏照り焼)の製造工程および官能
評価結果を表10に、また、得られた鶏の照り焼き15
℃に保存したときの生菌数の変化を表11に示す。
【0072】
【表10】
【0073】
【表11】
【0074】この結果は、従来の次亜塩素酸処理による
調理方法(比較例12)では、保存効果はあるものの、
旨み、ジューシー感、軟らかさ等の食感が悪かった。前
処理をしない場合(比較例13)、食感は良いが、保存
性が悪いのに対し、実施例17〜19は、前処理をしな
い比較例13と比べて前処理の効果が表れており、前処
理を行った鶏モモ肉の表面を高温で固化し、ついで全体
を穏やかに加熱することにより、旨み、ジューシー感、
軟らかさの食感に優れると共に、保存性にも優れてい
た。
【0075】(実施例20〜24、比較例14〜16)
表12に記載の条件で炊飯時に前処理した。発酵調味料
は、比較例15を除き、炊飯後冷却時に加えた。他方
で、具材を50%エタノールに1分間浸漬して前処理し
た。25℃に冷却したご飯(比較例14、15は熱いま
まのご飯)と具材を炒め機(上記KM−3)に入れ、加
熱して、炒め飯を作成した。得られた炒め飯について、
食感の評価を行った。なお、実施例21、22において
はワインタイプの発酵調味料(アルコール度55%)
を、実施例23、24においては、日本酒タイプの発酵
調味料(アルコール度50%)を用いた。
【0076】炒飯の製造工程と官能評価結果を表12
に、また、得られた炒め飯を20℃に保存したときの生
菌数の変化を表13に示す。
【0077】
【表12】
【0078】
【表13】
【0079】この結果は、従来の調理方法(比較例1
4、15)では、保存効果はあるものの食感が悪かっ
た。前処理をしないで冷却した場合(比較例16)は、
食感は良いが、保存性が悪いのに対し、実施例20〜2
4は、前処理していない比較例16と比べて前処理の効
果が表れており、食感に優れると共に、保存性にも優れ
ていた。発酵調味料を添加した方が、若干味がマイルド
であった。
【0080】
【発明の効果】前処理を食品材料に適用することにより
食品材料の初発菌量を下げることができるため、保存性
を考慮して食品内部の温度を、風味を損なう温度まで上
げる必要がない。本発明により、食品の風味、旨さを損
なわず、日持ちのよい食品が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥野 晴彦 兵庫県西宮市千歳町1−12−402 Fターム(参考) 4B023 LC08 LE22 LK01 LK03 LK04 LK10 LK20 LL04 LP11 LP15 4B035 LC05 LE01 LE17 LG01 LG04 LG05 LG06 LG08 LG14 LG15 LG32 LG34 LG42 LG48 LP01 LP44

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸、アルカリ及び/又はアルコールで食
    品材料の前処理を行った後、該食品材料への加熱条件を
    緩和して行うことを特徴とする食品の調理方法。
  2. 【請求項2】 前記加熱条件の緩和が2段階の調理であ
    る、請求項1に記載の調理方法。
  3. 【請求項3】 前記加熱条件の緩和が、通常の調理時間
    より短時間の調理である、請求項1に記載の調理方法。
  4. 【請求項4】 前記2段階の調理が、前処理を行なった
    食品材料を比較的低温で加熱し、ついで高温で表面を固
    化させる調理方法である、請求項2に記載の調理方法。
  5. 【請求項5】 前記2段階の調理が、前処理を行なった
    食品材料を高温で加熱して表面を固化させ、ついで全体
    を穏やかに加熱する、請求項2に記載の調理方法。
  6. 【請求項6】 前記食品が、フライ食品、炒め物、ある
    いは焼き物である、請求項1ないし5いずれかの項に記
    載の調理方法。
  7. 【請求項7】 前記2段階の調理が、冷却処理と加熱処
    理である、請求項2に記載の調理方法。
  8. 【請求項8】 前記食品が炒め飯である、請求項7に記
    載の調理方法。
  9. 【請求項9】 醸造酢とε−ポリリシン、グリセリン脂
    肪酸エステル、プロタミン、及び有機酸からなる群から
    選択される少なくとも一種の物質とを加えて前処理さ
    れ、冷却された米飯と、酸、アルカリおよび/またはア
    ルコールで処理した具材とともに加熱調理する炒め飯の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 前記米飯が、発酵調味料を添加して調
    理された米飯である、請求項9に記載の製造方法。
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