JP2003075193A - パルサリング - Google Patents

パルサリング

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ゴム磁性体からなる弾性部材にバリや剥がれ
が発生するのを回避でき、芯金の寸法精度も向上できる
パルサリングを提供する。 【解決手段】 このパルサリングによれば、環状弾性部
材5は円板部3から段差部8にわたって形成されてい
て、環状芯金1の円筒部2の平坦な内周面2Aには形成
されていない。これにより、環状芯金1の円筒部2の平
坦な内周面2Aに回転軸6を圧入する際に、弾性部材5
の軸方向端部10が剥がれるのを回避できる。また、こ
のパルサリングは、環状弾性部材5を成形する際の成形
型の割り位置を段差部8とすることで、この段差部8で
成形材料を堰き止める効果があり、弾性部材5にバリが
発生し難くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、回転速度を感知
する目的で、回転輪または回転軸に取り付けられるパル
サリングに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のパルサリングとしては、
図3に示すものがある。このパルサリングは、円筒部6
1と円板部62とからなる芯金63と、この芯金63の
円板部62に加硫接着されたゴム製弾性部材65を有す
る。このゴム磁性体からなる弾性部材65はその環状端
面65Aを含むリング状部分に着磁されたパルス生成部
66を有する。
【0003】このパルサリングは、その円筒部61が圧
入により回転輪または回転軸67に取り付けられ、回転
輪または回転軸67の回転とともに回転することで、パ
ルス生成部66に対向配置される磁気センサ(図示せず)
に対して、磁気パルスを生成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
パルサリングは、次の,,の問題がある。
【0005】 円筒部61を回転軸67に圧入する際
に、ゴム磁性体からなる弾性部材65の内周側軸方向端
部68が剥がれ易い。
【0006】 ゴム磁性体からなる弾性部材65のゴ
ム成形時の割り位置が、芯金63の円筒部61の軸方向
平坦な内周面61Aとなるので、この弾性部材65の端
部68に成形後のバリが発生し易い。このバリが大きな
場合にはバリ取り工程の追加が必要となる。また、上記
バリの存在により、圧入時の弾性部材65の内周側軸方
向端部68の剥がれが一層おこり易くなる。
【0007】 パルサリングによる正確な速度感知の
ためには寸法精度が重要となるが、芯金63はプレスに
よって同じ板厚の鉄板を曲げているので、この曲げ後の
寸法精度の確保が難しかった。特に、芯金内径は圧入部
分となるので、寸法精度が要求される。このため、この
寸法精度が悪いと、上記曲げ後にサイジング工程が必要
になる。
【0008】そこで、この発明の目的は、ゴム磁性体か
らなる弾性部材にバリや剥がれが発生するのを回避で
き、芯金の寸法精度も向上できるパルサリングを提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1の発明のパルサリングは、軸受の回転輪ま
たは回転軸に取り付けられるパルサリングであって、上
記回転輪または回転軸を挿入する円筒部とこの円筒部か
ら径方向外方に屈曲している円板部とを有する断面略L
型の環状芯金と、上記環状芯金の円板部に取り付けら
れ、速度検出のためのパルス生成部を有する弾性部材と
を備え、上記環状芯金の円筒部は、上記円板部側の端部
に段差部を有し、上記弾性部材は上記円板部から上記段
差部にわたって形成されていることを特徴としている。
【0010】この請求項1の発明のパルサリングは、上
記弾性部材は上記円板部から上記段差部にわたって形成
されていて、上記環状芯金の段差部に関して円板部と反
対側の円筒部の平坦な内周面には形成されていない。
【0011】これによって、この環状芯金の円筒部の平
坦な内周面に回転輪または回転軸を圧入する際に、上記
弾性部材が剥がれるのを回避できる。
【0012】また、このパルサリングは、上記弾性部材
を成形する際の成形型の割り位置を上記段差部とするこ
とで、この段差部で成形材料を堰き止める効果があり、
弾性部材にバリが発生し難くなる。
【0013】また、上記環状芯金を断面略L字型に曲げ
加工する際に、上記段差部が支点となることで、上記曲
げ加工が容易になる。このため、曲げ後の寸法精度が良
くなり、かつ、寸法精度が安定する。したがって、曲げ
加工後の芯金内径のサイジング工程が不要となる。
【0014】また、請求項2の発明は、請求項1に記載
のパルサリングにおいて、上記弾性部材は、上記段差部
側の軸方向端部よりも径方向内方に張り出している内径
端部を有し、この内径端部の内径は、上記環状芯金の円
筒部の内径よりも小さいことを特徴としている。
【0015】この請求項2の発明のパルサリングは、上
記弾性部材は、上記段差部側の軸方向端部よりも径方向
内方に張り出していて、内径が上記環状芯金の円筒部の
内径よりも小さい内径端部を有している。上記弾性部材
が径方向内方に張り出した内径端部を有していること
で、この弾性部材の成形時に、成形部材を、上記内径端
部を経由して、上記段差部側の軸方向端部にまで到達さ
せ易くなる。したがって、上記弾性部材の成形性が向上
する。
【0016】また、上記弾性部材の内径端部の内径は、
上記環状芯金の円筒部の内径よりも小さいことにより、
この内径端部を回転輪または回転軸に密接させることが
でき、シール性の向上を図れる。
【0017】また、請求項3の発明は、請求項1または
2に記載のパルサリングにおいて、上記弾性部材は、上
記段差部側の軸方向端部の内径が、上記環状芯金の円筒
部の内径よりも大きいことを特徴としている。
【0018】この請求項3の発明のパルサリングは、上
記弾性部材は、上記段差部側の軸方向端部の内径が、上
記環状芯金の円筒部の内径よりも大きい。これにより、
環状芯金の円筒部の内周面に回転輪または回転軸を圧入
する際に、この回転輪または回転軸が、上記弾性部材の
段差部側の軸方向端部に接触することがなくなるから、
圧入時の弾性部材の剥がれを防止できる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形
態により詳細に説明する。
【0020】図1に、この発明のパルサリングの実施形
態の半断面を示す。この半断面は、この実施形態を、中
心軸を通って径方向に延在する径方向平面で切断した様
子を示している。
【0021】この実施形態は、円筒部2と円板部3とを
有する断面略L字型の環状芯金1と、この環状芯金1の
円板部3に加硫接着されて円板部3の環状端面3Aを覆
う環状弾性部材5を有する。
【0022】上記円板部3は円筒部2の軸方向の端から
径方向外方へ略90°屈曲している。また、円筒部2の
内周面2Aには、回転軸6が圧入される。また、上記環
状弾性部材5は、ゴム磁性体からなり、その環状端面5
Aを含むリング状部分が着磁されてパルス生成部7にな
っている。
【0023】また、上記環状芯金1の円筒部2は、上記
円板部3側の端部に段差部8を有している。そして、上
記環状弾性部材5は、径方向外方において上記円板部3
の径方向外端部3Bを覆い、径方向内方において上記段
差部8に達している。この段差部8は、円筒部2の内周
面2Aから径方向外方に窪んでいる。
【0024】また、上記環状弾性部材5は、上記段差部
8側の軸方向端部10よりも径方向内方に張り出してい
る内径端部11を有し、この内径端部11の内径d1
は、環状芯金1の円筒部2の内径d2よりも小さくなっ
ている。また、段差部8側の軸方向端部10の内径d3
は、環状芯金1の円筒部2の内径d2よりも大きくなっ
ている。
【0025】上記構成のパルサリングによれば、環状弾
性部材5は円板部3から段差部8にわたって形成されて
いて、環状芯金1の段差部8に関して円板部3と反対側
の円筒部2の平坦な内周面2Aには形成されていない。
これによって、この環状芯金1の円筒部2の平坦な内周
面2Aに回転軸6を圧入する際に、弾性部材5の軸方向
端部10が剥がれるのを回避できる。
【0026】また、このパルサリングは、環状弾性部材
5を成形する際の成形型の割り位置を段差部8とするこ
とで、この段差部8で成形材料を堰き止める効果があ
り、弾性部材5にバリが発生し難くなる。
【0027】また、環状芯金1を断面略L字型に曲げ加
工する際に、段差部8が支点となることで、上記曲げ加
工が容易になる。このため、曲げ後の寸法精度が良くな
り、かつ、寸法精度が安定する。したがって、曲げ加工
後の芯金1の内径のサイジング工程が不要となる。
【0028】また、この実施形態のパルサリングによれ
ば、弾性部材5が径方向内方に張り出した内径端部11
を有していることで、この弾性部材5の成形時に、成形
部材を、上記内径端部11を経由して、段差部8側の軸
方向端部10にまで到達させ易くなる。したがって、弾
性部材5の成形性が向上する。
【0029】また、上記弾性部材5の内径端部11の内
径d1は、環状芯金1の円筒部2の内径d2よりも小さ
いことにより、この内径端部11を回転軸6に密接させ
ることができ、シール性の向上を図れる。
【0030】また、上記弾性部材5は、上記段差部8側
の軸方向端部10の内径d3が、環状芯金1の円筒部2
の内径d2よりも大きい。これにより、環状芯金1の円
筒部2の内周面2Aに回転軸6を圧入する際に、この回
転軸6が、弾性部材5の段差部8側の軸方向端部10に
接触することがなくなるから、圧入時の弾性部材5の剥
がれを防止できる。
【0031】なお、上記実施形態では、図2(B)に示す
ように、折り曲げ前において、段差部8を境界として、
円筒部2側の肉厚を円板部3側の肉厚と略等しくなって
いる円筒材料から環状芯金1を形成したが、図2(A)に
示すように、折り曲げ前において、段差部28を境界と
して、円筒部22側の肉厚が円板部23側の肉厚よりも
厚くなっている円筒材料から環状芯金を形成してもよ
い。
【0032】また、上記実施形態では、環状芯金1の円
筒部2に回転軸6を圧入する場合を説明したが、円筒部
2に回転輪を圧入してもよい。
【0033】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1の発
明のパルサリングは、弾性部材が芯金の円板部から段差
部にわたって形成されていて、環状芯金の段差部に関し
て円板部と反対側の円筒部の平坦な内周面には形成され
ていない。これにより、この環状芯金の円筒部の平坦な
内周面に回転輪または回転軸を圧入する際に、弾性部材
が剥がれるのを回避できる。また、このパルサリング
は、上記弾性部材を成形する際の成形型の割り位置を上
記段差部とすることで、この段差部で成形材料を堰き止
める効果があり、弾性部材にバリが発生し難くなる。
【0034】また、上記環状芯金を断面略L字型に曲げ
加工する際に、段差部が支点となることで、曲げ加工が
容易になる。このため、曲げ後の寸法精度が良くなり、
かつ、寸法精度が安定する。したがって、曲げ加工後の
芯金内径のサイジング工程が不要となる。
【0035】また、請求項2の発明のパルサリングは、
上記弾性部材は、上記段差部側の軸方向端部よりも径方
向内方に張り出していて、内径が上記環状芯金の円筒部
の内径よりも小さい内径端部を有している。上記弾性部
材が径方向内方に張り出した内径端部を有していること
で、この弾性部材の成形時に、成形部材を、上記内径端
部を経由して、上記段差部側の軸方向端部にまで到達さ
せ易くなる。したがって、上記弾性部材の成形性が向上
する。
【0036】また、上記弾性部材の内径端部の内径は、
上記環状芯金の円筒部の内径よりも小さいことにより、
この内径端部を回転輪または回転軸に密接させることが
でき、シール性の向上を図れる。
【0037】また、請求項3の発明のパルサリングは、
上記弾性部材は、上記段差部側の軸方向端部の内径が、
上記環状芯金の円筒部の内径よりも大きい。これによ
り、環状芯金の円筒部の内周面に回転輪または回転軸を
圧入する際に、この回転輪または回転軸が、上記弾性部
材の段差部側の軸方向端部に接触することがなくなるか
ら、圧入時の弾性部材の剥がれを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明のパルサリングの実施形態の半断面
図である。
【図2】 図2(A)は上記実施形態の芯金の変形例の屈
曲前の状態を示す部分断面図であり、図2(B)は上記実
施形態における芯金の屈曲前の状態を示す部分断面図で
ある。
【図3】 従来のパルサリングの半断面図である。
【符号の説明】
1…環状芯金、2…円筒部、2A…円筒部、3…円板
部、3A…環状端面、3B…径方向外端部、5…環状弾
性部材、5A…環状端面、6…回転軸、7…パルス生成
部、8…段差部、10…軸方向端部、11…内径端部。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸受の回転輪または回転軸に取り付けら
    れるパルサリングであって、 上記回転輪または回転軸を挿入する円筒部とこの円筒部
    から径方向外方に屈曲している円板部とを有する断面略
    L型の環状芯金と、 上記環状芯金の円板部に取り付けられ、速度検出のため
    のパルス生成部を有する弾性部材とを備え、 上記環状芯金の円筒部は、上記円板部側の端部に段差部
    を有し、上記弾性部材は上記円板部から上記段差部にわ
    たって形成されていることを特徴とするパルサリング。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のパルサリングにおい
    て、 上記弾性部材は、 上記段差部側の軸方向端部よりも径方向内方に張り出し
    ている内径端部を有し、この内径端部の内径は、上記環
    状芯金の円筒部の内径よりも小さいことを特徴とするパ
    ルサリング。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のパルサリング
    において、 上記弾性部材は、 上記段差部側の軸方向端部の内径が、上記環状芯金の円
    筒部の内径よりも大きいことを特徴とするパルサリン
    グ。
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