JP2003066201A - プラスチックレンズ用組成物、プラスチックレンズ、及び該プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

プラスチックレンズ用組成物、プラスチックレンズ、及び該プラスチックレンズの製造方法

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JP2003066201A
JP2003066201A JP2001275062A JP2001275062A JP2003066201A JP 2003066201 A JP2003066201 A JP 2003066201A JP 2001275062 A JP2001275062 A JP 2001275062A JP 2001275062 A JP2001275062 A JP 2001275062A JP 2003066201 A JP2003066201 A JP 2003066201A
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JP2001275062A
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English (en)
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Kazuhiko Oga
一彦 大賀
Tsuneo Tajima
恒男 但馬
Kazufumi Kai
和史 甲斐
Hiroshi Uchida
博 内田
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Showa Denko KK
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F16/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an alcohol, ether, aldehydo, ketonic, acetal or ketal radical
    • C08F16/12Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an alcohol, ether, aldehydo, ketonic, acetal or ketal radical by an ether radical
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低粘度で、屈折率が高く比重の小さい硬化物
を得ることができるプラスチックレンズ用組成物の提
供、該組成物を硬化してプラスチックレンズの提供、及
びプラスチックレンズを提供。 【解決手段】 臭素を含有する(メタ)アリルエステル
系化合物を含有するプラスチックレンズ用組成物によ
り、従来のプラスチックレンズ用組成物に比べて粘度が
低く、該組成物の硬化物は屈折率が高く比重が小さいこ
とを見いだした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックレン
ズ用組成物、該組成物を硬化してなるプラスチックレン
ズ、及び該プラスチックレンズの製造方法に関する。
【0002】さらに詳しくは、25℃での屈折率が1.
58以上でかつ、23℃での比重が1.40以下になる
プラスチックレンズ用組成物、該組成物を硬化してなる
高屈折率でかつ軽いプラスチックレンズ、及び該プラス
チックレンズの製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】従来より、有機ガラスは無機ガラスに比
較して軽量であるために、PPG社製商品名;CR−3
9に代表されるジエチレングリコールビス(アリルカー
ボネート)やメチルメタクリレート等の重合体からなる
有機ガラスが使用されている。しかし、これらの有機ガ
ラスの屈折率は1.49〜1.50と無機ガラス(ホワ
イトクラウンガラスの場合1.523)に比較して低
く、無機ガラスの場合よりも厚くなり軽量化のメリット
が損なわれ、また視力矯正用レンズとして用いた場合、
度が強くなると見かけが悪くなるという欠点があった。
【0004】これに対処するためにジアリルフタレート
系モノマーを用いた有機ガラスが種々提案されている
が、脆かったり透過率の点で問題があり、これを改良す
るために、単官能重合性モノマーで希釈した場合には、
耐熱性、耐溶剤についての性能に支障をきたし、有機ガ
ラスとしては不十分な性能であった。
【0005】また、末端にアリルエステル基を有し、内
部が多価飽和カルボン酸と多価飽和アルコールから誘導
された次の構造を持つアリルエステルも知られている。
【0006】
【化29】 (式中、Rは炭素数が1〜20の2価の有機残基を表わ
し、B'はジオールから誘導された2価の有機残基であ
り、nは1〜20の数である。)
【0007】このアリルエステルは耐衝撃性に非常に優
れた硬化物を与えるが、この場合、内部にB'の脂肪族
炭化水素を用いるために、多価飽和カルボン酸としてテ
レフタル酸やイソフタル酸を用いても、ジアリルテレフ
タレートモノマーまたはジアリルイソフタレートモノマ
ーそのものの硬化物よりも屈折率が低下した。
【0008】また、本発明者らは特開平3−12471
5号公報にハロゲンが入ったアリルエステル樹脂を提案
したが、この樹脂はこのままだと粘度が高い上に、比重
も非常に大きく光学材料として使用できる樹脂ではなか
った。
【0009】さらに、本発明者らは特開平7−3383
1号公報に臭素の入ったアリルエステル樹脂を含有する
組成物及び該組成物を硬化して得られる光学用有機ガラ
スを提案したが、最近の市場の要請としては、眼鏡を着
用した時の着用感からより比重の軽くかつ屈折率の高い
光学用有機ガラスが求められ、さらに、プラスチック用
組成物の生産性の向上のためにプラスチック用組成物を
濾過する際の濾過性の良いもの、型への流し込み易いも
の及び型に速く充填できるものが求められるようにな
り、その結果、プラスチック用組成物の粘度のより低い
ものが求められるようになってきた。
【0010】しかし、特開平7−33831号公報の組
成物と最近の市場の要請を比較した場合に、特開平7−
33831号公報の組成物は、必ずしも粘度,該硬化物
の屈折率及び該硬化物の比重の3つの要素のバランス
が、最近の市場の要請に対し、最適なものを提案したと
は言えなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、最近
の市場の要求に応えるべく、上記課題を解決し、プラス
チックレンズ材料やその他の光学用材料に使用できるほ
どの低粘度を有し、しかも硬化物の屈折率が高く、か
つ、比重の比較的小さいプラスチックレンズ用組成物の
提供、該組成物を硬化してプラスチックレンズの提供、
及び該プラスチックレンズの製造方法を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するにために鋭意研究を行った。その結果、臭素
を含有する(メタ)アリルエステル系化合物を使用する
ことによって、硬化物のアッベ数が高くかつ硬化収縮の
比較的小さいプラスチックレンズ用組成物を提供できる
ことを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0013】即ち、本発明(I)は、下記に示す成分
(α)を必須成分とする組成物であって、該組成物を硬
化して得られる硬化物の25℃での屈折率が1.58以
上かつ23℃での比重が1.40以下であることを特徴
とするプラスチックレンズ用組成物に関するものであ
る。 ・成分(α):下記一般式(1)で表される基の少なく
とも一種以上を末端基として有し、下記一般式(2)で
表される基を繰り返し単位として有する化合物 一般式(1)
【0014】
【化30】 (式中、R1はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立に2価のカル
ボン酸あるいはカルボン酸無水物から誘導された有機残
基を表す。) 一般式(2)
【0015】
【化31】 (式中、A2はそれぞれ独立に2価のカルボン酸あるい
はカルボン酸無水物から誘導された有機残基を表し、X
は、それぞれ独立の有機残基でありかつ2個以上の水酸
基を有する臭素含有化合物から誘導された有機残基を必
須成分とする一種以上の有機残基を表す。ただし、Xは
エステル結合によって、さらに上記一般式(1)を末端
基とし、上記一般式(2)を繰り返し単位とする分岐構
造を有することが出来る。)
【0016】また、本発明(II)は、下記に示す成分
(α)及び成分(β)を含有する組成物であって、該組
成物を硬化して得られる硬化物の25℃での屈折率が
1.58以上かつ23℃での比重が1.40以下である
ことを特徴とするプラスチックレンズ用組成物に関する
ものである。
【0017】・成分(α):一般式(1)で表される基
の少なくとも一種以上を末端基として有し、一般式
(2)で表される基を繰り返し単位として有する化合物
を、全硬化性成分に対して10質量%〜60質量% 一般式(1)
【0018】
【化32】 (式中、R1はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立に2価のカル
ボン酸あるいはカルボン酸無水物から誘導された有機残
基を表す。) 一般式(2)
【0019】
【化33】 (式中、A2はそれぞれ独立に2価のカルボン酸あるい
はカルボン酸無水物から誘導された有機残基を表し、X
は、それぞれ独立の有機残基でありかつ2個以上の水酸
基を有する臭素含有化合物から誘導された有機残基を必
須成分とする一種以上の有機残基を表す。ただし、Xは
エステル結合によって、さらに上記一般式(1)を末端
基とし、上記一般式(2)を繰り返し単位とする分岐構
造を有することが出来る。)
【0020】・成分(β) 下記一般式(3)及び下記
一般式(4)で表される化合物からなる群から選ばれた
少なくとも一種以上の化合物を、全硬化性成分に対して
10質量%〜90質量% 一般式(3)
【0021】
【化34】 (式中、R2及びR3は、それぞれ独立にアリル基または
メタリル基のいずれかを表す。) 一般式(4)
【0022】
【化35】 (式中、R4及びR5は、それぞれ独立にアリル基または
メタリル基のいずれかを表す。)
【0023】また、本発明(III)は、下記に示す成
分(α)、成分(β)及び成分(γ)を含有する組成物
であって、該組成物を硬化して得られる硬化物の25℃
での屈折率が1.58以上かつ23℃での比重が1.4
0以下であることを特徴とするプラスチックレンズ用組
成物に関するものである。 ・成分(α):一般式(1)で表される基の少なくとも
一種以上を末端基として有し、一般式(2)で表される
基を繰り返し単位として有する化合物を、全硬化性成分
に対して10質量%〜60質量% 一般式(1)
【化36】 (式中、R1はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立に2価のカル
ボン酸あるいはカルボン酸無水物から誘導された有機残
基を表す。) 一般式(2)
【化37】 (式中、A2はそれぞれ独立に2価のカルボン酸あるい
はカルボン酸無水物から誘導された有機残基を表し、X
は、それぞれ独立の有機残基でありかつ2個以上の水酸
基を有する臭素含有化合物から誘導された有機残基を必
須成分とする一種以上の有機残基を表す。ただし、Xは
エステル結合によって、さらに上記一般式(1)を末端
基とし、上記一般式(2)を繰り返し単位とする分岐構
造を有することが出来る。)
【0024】・成分(β) 下記一般式(3)及び下記
一般式(4)で表される化合物からなる群から選ばれた
少なくとも一種以上の化合物を、全硬化性成分に対して
10質量%〜90質量% 一般式(3)
【化38】 (式中、R2及びR3は、それぞれ独立にアリル基または
メタリル基のいずれかを表す。) 一般式(4)
【化39】 (式中、R4及びR5は、それぞれ独立にアリル基または
メタリル基のいずれかを表す。)
【0025】・成分(γ) ジベンジルマレート、ジフ
ェニルマレート、ジベンジルフマレート、ジフェニルフ
マレート、2−フェニル安息香酸(メタ)アリル、3−
フェニル安息香酸(メタ)アリル、4−フェニル安息香
酸(メタ)アリル、α−ナフトエ酸(メタ)アリル、β
−ナフトエ酸(メタ)アリル、o−クロロ安息香酸(メ
タ)アリル、m−クロロ安息香酸(メタ)アリル、p−
クロロ安息香酸(メタ)アリル、2,6−ジクロロ安息
香酸(メタ)アリル、2,4−ジクロロ安息香酸(メ
タ)アリル、o−ブロモ安息香酸(メタ)アリル、m−
ブロモ安息香酸(メタ)アリル、p−ブロモ安息香酸
(メタ)アリルからなる群より選ばれる少なくとも一種
以上の化合物を、全硬化性成分に対して0質量%〜20
質量%
【0026】また、本発明(IV)は、本発明(I)〜
本発明(III)のいずれかのプラスチックレンズ用組
成物中の全硬化性成分100質量部に対して、紫外線吸
収剤及び/または光安定剤を0.01質量部〜2質量部
含有することを特徴とするプラスチックレンズ用組成物
である。
【0027】さらにまた、本発明(V)は、プラスチッ
クレンズ用組成物中の全硬化性成分100質量部に対し
て、酸化防止剤を0.01質量部〜5質量部含有する事
を特徴とするプラスチックレンズ用組成物である。
【0028】また、本発明(VI)は、本発明のプラス
チックレンズ用組成物中の全硬化性成分100質量部に
対して、少なくとも一種以上のラジカル重合開始剤0.
1質量部〜10質量部を含有することを特徴とするプラ
スチックレンズ用組成物である。
【0029】さらに、本発明(VII)は、本発明のプ
ラスチックレンズ用組成物を硬化して得られるプラスチ
ックレンズである。さらに、本発明(VIII)は、2
5℃での屈折率が1.58以上かつ23℃で比重が1.
40以下であり、さらに元素分析による炭素濃度が5
0.0質量%〜70.0質量%で、元素分析による臭素
濃度が9.0質量%〜15.0質量%であるプラスチッ
クレンズである。
【0030】さらに、本発明(IX)は、本発明のプラ
スチックレンズの製造方法である。またさらに、本発明
は例えば次の事項からなる。
【0031】〔1〕 下記に示す成分(α)を必須成分
とする組成物であって、該組成物を硬化して得られる硬
化物の25℃での屈折率が1.58以上かつ23℃での
比重が1.40以下であることを特徴とするプラスチッ
クレンズ用組成物。
【0032】・成分(α):下記一般式(1)で表され
る基の少なくとも一種以上を末端基として有し、下記一
般式(2)で表される基を繰り返し単位として有する化
合物
【0033】一般式(1)
【化40】 (式中、R1はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立に2価のカル
ボン酸あるいはカルボン酸無水物から誘導された有機残
基を表す。)
【0034】一般式(2)
【化41】 (式中、A2はそれぞれ独立に2価のカルボン酸あるい
はカルボン酸無水物から誘導された有機残基を表し、X
は、それぞれ独立の有機残基でありかつ2個以上の水酸
基を有する臭素含有化合物から誘導された有機残基を必
須成分とする一種以上の有機残基を表す。ただし、Xは
エステル結合によって、さらに上記一般式(1)を末端
基とし、上記一般式(2)を繰り返し単位とする分岐構
造を有することが出来る。)
【0035】〔2〕 下記に示す成分(α)及び成分
(β)を含有する組成物であって、該組成物を硬化して
得られる硬化物の25℃での屈折率が1.58以上かつ
23℃での比重が1.40以下であることを特徴とする
プラスチックレンズ用組成物。
【0036】・成分(α):一般式(1)で表される基
の少なくとも一種以上を末端基として有し、一般式
(2)で表される基を繰り返し単位として有する化合物
を、全硬化性成分に対して10質量%〜60質量%
【0037】一般式(1)
【化42】 (式中、R1はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立に2価のカル
ボン酸あるいはカルボン酸無水物から誘導された有機残
基を表す。)
【0038】一般式(2)
【化43】 (式中、A2はそれぞれ独立に2価のカルボン酸あるい
はカルボン酸無水物から誘導された有機残基を表し、X
は、それぞれ独立の有機残基でありかつ2個以上の水酸
基を有する臭素含有化合物から誘導された有機残基を必
須成分とする一種以上の有機残基を表す。ただし、Xは
エステル結合によって、さらに上記一般式(1)を末端
基とし、上記一般式(2)を繰り返し単位とする分岐構
造を有することが出来る。)
【0039】・成分(β) 下記一般式(3)及び下記
一般式(4)で表される化合物からなる群から選ばれた
少なくとも一種以上の化合物を、全硬化性成分に対して
10質量%〜90質量%
【0040】一般式(3)
【化44】 (式中、R2及びR3は、それぞれ独立にアリル基または
メタリル基のいずれかを表す。)
【0041】一般式(4)
【化45】 (式中、R4及びR5は、それぞれ独立にアリル基または
メタリル基のいずれかを表す。)
【0042】〔3〕 下記に示す成分(α)、成分
(β)及び成分(γ)を含有する組成物であって、該組
成物を硬化して得られる硬化物の25℃での屈折率が
1.58以上かつ23℃での比重が1.40以下である
ことを特徴とするプラスチックレンズ用組成物。
【0043】・成分(α):一般式(1)で表される基
の少なくとも一種以上を末端基として有し、一般式
(2)で表される基を繰り返し単位として有する化合物
を、全硬化性成分に対して10質量%〜60質量%
【0044】一般式(1)
【化46】 (式中、R1はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立に2価のカル
ボン酸あるいはカルボン酸無水物から誘導された有機残
基を表す。)
【0045】一般式(2)
【化47】 (式中、A2はそれぞれ独立に2価のカルボン酸あるい
はカルボン酸無水物から誘導された有機残基を表し、X
は、それぞれ独立の有機残基でありかつ2個以上の水酸
基を有する臭素含有化合物から誘導された有機残基を必
須成分とする一種以上の有機残基を表す。ただし、Xは
エステル結合によって、さらに上記一般式(1)を末端
基とし、上記一般式(2)を繰り返し単位とする分岐構
造を有することが出来る。)
【0046】・成分(β) 下記一般式(3)及び下記
一般式(4)で表される化合物からなる群から選ばれた
少なくとも一種以上の化合物を、全硬化性成分に対して
10質量%〜90質量%
【0047】一般式(3)
【化48】 (式中、R2及びR3は、それぞれ独立にアリル基または
メタリル基のいずれかを表す。)
【0048】一般式(4)
【化49】 (式中、R4及びR5は、それぞれ独立にアリル基または
メタリル基のいずれかを表す。)
【0049】・成分(γ) ジベンジルマレート、ジフ
ェニルマレート、ジベンジルフマレート、ジフェニルフ
マレート、2−フェニル安息香酸(メタ)アリル、3−
フェニル安息香酸(メタ)アリル、4−フェニル安息香
酸(メタ)アリル、α−ナフトエ酸(メタ)アリル、β
−ナフトエ酸(メタ)アリル、o−クロロ安息香酸(メ
タ)アリル、m−クロロ安息香酸(メタ)アリル、p−
クロロ安息香酸(メタ)アリル、2,6−ジクロロ安息
香酸(メタ)アリル、2,4−ジクロロ安息香酸(メ
タ)アリル、o−ブロモ安息香酸(メタ)アリル、m−
ブロモ安息香酸(メタ)アリル、p−ブロモ安息香酸
(メタ)アリルからなる群より選ばれる少なくとも一種
以上の化合物を、全硬化性成分に対して0質量%〜20
質量%
【0050】〔4〕 臭素含有化合物が、下記一般式
(5)〜下記一般式(6)で表される化合物から選ばれ
る少なくとも一種以上であることを特徴とする〔1〕〜
〔3〕のいずれかに記載のプラスチックレンズ用組成
物。
【0051】一般式(5)
【化50】 (式中、R6は、それぞれ独立に下記構造式(1)〜下
記構造式(3)で表される有機基から選ばれる少なくと
も一種以上を表し、R7は、それぞれ独立に下記構造式
(4)〜下記構造式(6)から選ばれる少なくとも1種
を表す。また、式中、a、bはそれぞれ独立に0あるい
は1〜10の整数を表し、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5
6、Z7及びZ8はそれぞれ独立に臭素、塩素及び水素
から選ばれる少なくとも一種以上の置換基であることを
表しかつZ1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7及びZ8
少なくとも1つが臭素であることを表す。また、式中、
Yは下記構造式(7)あるいは下記構造式(8)から選
ばれるいずれかの有機基を表す。)
【0052】一般式(6)
【化51】 (式中、R8は、それぞれ独立に下記構造式(9)〜下
記構造式(11)で表される有機基から選ばれる少なく
とも一種以上を表し、R9は、それぞれ独立に下記構造
式(12)〜下記構造式(14)から選ばれる少なくと
も1種を表す。また、式中、c、dはそれぞれ独立に0
あるいは1〜10の整数を表し、Z9、Z1 0、Z11、Z
12、Z13、Z14、Z15及びZ16はそれぞれ独立に臭素、
塩素及び水素から選ばれる少なくとも一種以上の置換基
であることを表しかつZ9、Z10、Z11、Z12、Z13
14、Z15及びZ16の少なくとも1つが臭素であること
を表す。)
【0053】構造式(1)
【化52】 構造式(2)
【化53】 構造式(3)
【化54】
【0054】構造式(4)
【化55】 構造式(5)
【化56】 構造式(6)
【化57】
【0055】構造式(7)
【化58】 構造式(8)
【化59】 構造式(9)
【化60】
【0056】構造式(10)
【化61】 構造式(11)
【化62】 構造式(12)
【化63】
【0057】構造式(13)
【化64】 構造式(14)
【化65】
【0058】〔5〕 25℃での粘度が400mPa・
s未満であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれ
かに記載のプラスチックレンズ用組成物。
【0059】〔6〕 プラスチックレンズ用組成物中の
全硬化性成分100質量部に対して、紫外線吸収剤及び
/または光安定剤を0.01質量部〜2質量部含有する
事を特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のプラ
スチックレンズ用組成物。
【0060】〔7〕 紫外線吸収剤の少なくとも一種以
上が、下記構造式(15)で表される部位を分子内に有
する化合物であることを特徴とする〔6〕に記載のプラ
スチックレンズ用組成物。構造式(15)
【化66】
【0061】〔8〕 プラスチックレンズ用組成物中の
全硬化性成分100質量部に対して、酸化防止剤を0.
01質量部〜5質量部含有する事を特徴とする〔1〕〜
〔7〕のいずれかに記載のプラスチックレンズ用組成
物。
【0062】
〔9〕 酸化防止剤の少なくとも一種以上
が、ホスファイト系酸化防止剤であることを特徴とする
〔8〕に記載のプラスチックレンズ用組成物。
【0063】〔10〕 プラスチックレンズ用組成物中
の全硬化性成分100質量部に対して、少なくとも一種
以上のラジカル重合開始剤0.1質量部〜10質量部を
含有することを特徴とする〔1〕〜
〔9〕のいずれかに
記載のプラスチックレンズ用組成物。
【0064】〔11〕 少なくとも一種以上のラジカル
重合開始剤が、下記一般式(7)で表される構造を有す
る化合物であることを特徴とする〔10〕に記載のプラ
スチックレンズ用組成物。一般式(7)
【化67】 (式中、R10及びR11は、それぞれ独立に炭素数1〜炭
素数10のアルキル基、置換アルキル基、フェニル基及
び置換フェニル基から選ばれる基を表す。)
【0065】〔12〕 〔1〕〜〔11〕のいずれかに
記載のプラスチックレンズ用組成物を硬化して得られ
る、25℃での屈折率が1.58以上かつ23℃での比
重が1.40以下であるプラスチックレンズ。
【0066】〔13〕 25℃での屈折率が1.58以
上かつ23℃で比重が1.40以下であり、さらに元素
分析による炭素濃度が50.0質量%〜70.0質量%
で、元素分析による臭素濃度が9.0質量%〜15.0
質量%であるプラスチックレンズ。
【0067】〔14〕 〔12〕又は〔13〕のいずれ
かに記載のプラスチックレンズの製造方法が、重合温度
30℃〜120℃、重合時間0.5時間〜100時間で
の注型重合であることを特徴とするプラスチックレンズ
の製造方法。
【0068】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてより詳しく
説明する。まず、本発明(I)〜本発明(III)のプ
ラスチックレンズ用組成物について説明する。本発明
(I)は、下記に示す成分(α)を必須成分とする組成
物であって、該組成物を硬化して得られる硬化物の25
℃での屈折率が1.58以上かつ23℃での比重が1.
40以下であることを特徴とするプラスチックレンズ用
組成物に関するものである。・成分(α):下記一般式
(1)で表される基の少なくとも一種以上を末端基とし
て有し、下記一般式(2)で表される基を繰り返し単位
として有する化合物 一般式(1)
【0069】
【化68】 (式中、R1はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立に2価のカル
ボン酸あるいはカルボン酸無水物から誘導された有機残
基を表す。) 一般式(2)
【0070】
【化69】 (式中、A2はそれぞれ独立に2価のカルボン酸あるい
はカルボン酸無水物から誘導された有機残基を表し、X
は、それぞれ独立の有機残基でありかつ2個以上の水酸
基を有する臭素含有化合物から誘導された有機残基を必
須成分とする一種以上の有機残基を表す。ただし、Xは
エステル結合によって、さらに上記一般式(1)を末端
基とし、上記一般式(2)を繰り返し単位とする分岐構
造を有することが出来る。)
【0071】さらに、本発明(II)は、下記に示す成
分(α)及び成分(β)を含有する組成物であって、該
組成物を硬化して得られる硬化物の25℃での屈折率が
1.58以上かつ23℃での比重が1.40以下である
ことを特徴とするプラスチックレンズ用組成物に関する
ものである。 ・成分(α):一般式(1)で表される基の少なくとも
一種以上を末端基として有し、一般式(2)で表される
基を繰り返し単位として有する化合物を、全硬化性成分
に対して10質量%〜60質量% ・成分(β) 下記一般式(3)及び下記一般式(4)
で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも一
種以上の化合物を、全硬化性成分に対して10質量%〜
90質量% 一般式(3)
【0072】
【化70】 (式中、R2及びR3は、それぞれ独立にアリル基または
メタリル基のいずれかを表す。) 一般式(4)
【0073】
【化71】 (式中、R4及びR5は、それぞれ独立にアリル基または
メタリル基のいずれかを表す。)
【0074】さらに、本発明(III)は、下記に示す
成分(α)、成分(β)及び成分(γ)を含有する組成
物であって、該組成物を硬化して得られる硬化物の25
℃での屈折率が1.58以上かつ23℃での比重が1.
40以下であることを特徴とするプラスチックレンズ用
組成物に関するものである。 ・成分(α):一般式(1)で表される基の少なくとも
一種以上を末端基として有し、一般式(2)で表される
基を繰り返し単位として有する化合物を、全硬化性成分
に対して10質量%〜60質量% 一般式(1)
【化72】 (式中、R1はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立に2価のカル
ボン酸あるいはカルボン酸無水物から誘導された有機残
基を表す。) 一般式(2)
【0075】
【化73】 (式中、A2はそれぞれ独立に2価のカルボン酸あるい
はカルボン酸無水物から誘導された有機残基を表し、X
は、それぞれ独立の有機残基でありかつ2個以上の水酸
基を有する臭素含有化合物から誘導された有機残基を必
須成分とする一種以上の有機残基を表す。ただし、Xは
エステル結合によって、さらに上記一般式(1)を末端
基とし、上記一般式(2)を繰り返し単位とする分岐構
造を有することが出来る。)
【0076】・成分(β) 下記一般式(3)及び下記
一般式(4)で表される化合物からなる群から選ばれた
少なくとも一種以上の化合物を、全硬化性成分に対して
10質量%〜90質量% 一般式(3)
【0077】
【化74】 (式中、R2及びR3は、それぞれ独立にアリル基または
メタリル基のいずれかを表す。) 一般式(4)
【化75】 (式中、R4及びR5は、それぞれ独立にアリル基または
メタリル基のいずれかを表す。)
【0078】・成分(γ) ジベンジルマレート、ジフ
ェニルマレート、ジベンジルフマレート、ジフェニルフ
マレート、2−フェニル安息香酸(メタ)アリル、3−
フェニル安息香酸(メタ)アリル、4−フェニル安息香
酸(メタ)アリル、α−ナフトエ酸(メタ)アリル、β
−ナフトエ酸(メタ)アリル、o−クロロ安息香酸(メ
タ)アリル、m−クロロ安息香酸(メタ)アリル、p−
クロロ安息香酸(メタ)アリル、2,6−ジクロロ安息
香酸(メタ)アリル、2,4−ジクロロ安息香酸(メ
タ)アリル、o−ブロモ安息香酸(メタ)アリル、m−
ブロモ安息香酸(メタ)アリル、p−ブロモ安息香酸
(メタ)アリルからなる群より選ばれる少なくとも一種
以上の化合物を、全硬化性成分に対して0質量%〜20
質量%
【0079】なお、本明細書記載の「全硬化性成分」と
は、本発明(I)〜本発明(III)のいずれかのプラ
スチックレンズ用組成物中に含まれる重合性成分の総量
を意味する。
【0080】一般式(1)において、R1はそれぞれ独
立に、アリル基またはメタリル基のいずれかを表す。ま
た、一般式(1)において、A1は、それぞれ独立に、
2価のカルボン酸あるいはカルボン酸無水物から誘導さ
れる有機残基を表す。また、一般式(2)においてA2
は、それぞれ独立に、2価のカルボン酸あるいはカルボ
ン酸無水物から誘導される有機残基を表す。さらに、一
般式(2)において、Xは、それぞれ独立の有機残基で
ありかつ2個以上の水酸基を有する臭素含有化合物から
誘導された有機残基を必須成分する一種以上の有機残基
を表す。
【0081】ここで言う「R1はそれぞれ独立に」と
は、本発明(I)〜本発明(III)のプラスチックレ
ンズ用組成物の必須成分である一般式(1)で表される
末端基中のR1で表される部分のすべてがアリル基であ
っても、メタリル基であっても、また、一部がアリル基
で他部がメタリル基であってもいいことを意味する。
【0082】一般式(1)中のA1及び一般式(2)中
のA2は2価のカルボン酸あるいはカルボン酸無水物か
ら誘導される有機残基を表す。ここでいう「2価のカル
ボン酸あるいはカルボン酸無水物」としては、以下に記
す化合物を例示することができる。ただし、いうまでも
なく、これらの具体例に限定されるものではない。
【0083】コハク酸あるいはその酸無水物、グルタル
酸あるいはその酸無水物、アジピン酸、マロン酸あるい
はその酸無水物、2−メチルコハク酸あるいはその酸無
水物等の脂肪族ジカルボン酸あるいはその無水物、1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキ
サンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン
酸あるいはその酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−
1,2−ジカルボン酸あるいはその酸無水物等の脂環構
造を有するジカルボン酸あるいはその無水物、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、フタル酸あるいはその無水物、ビ
フェニル−2,2’−ジカルボン酸(以下、「ジフェン
酸」とも記す。)あるいはその無水物、ビフェニル−
3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカ
ルボン酸等の芳香族ジカルボン酸あるいはその無水物を
挙げることができる。
【0084】上記の中では、化合物の高屈折率の維持の
面から、特にテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸あ
るいはその無水物、ビフェニル−2,2’−ジカルボン
酸あるいはその無水物、ビフェニル−3,3’−ジカル
ボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸等の芳香
族ジカルボン酸あるいはその無水物が好ましく、さらに
好ましいのは、イソフタル酸、ビフェニル−2,2’−
ジカルボン酸あるいはその無水物である。
【0085】また、ここで言う「A1はそれぞれ独立
に」又は「A2はそれぞれ独立に」とは、本発明(I)
〜本発明(III)のプラスチックレンズ用組成物の必
須成分である成分(α)中の一般式(1)で表される末
端基中のA1で表される部分及び本発明(I)〜本発明
(III)のプラスチックレンズ用組成物の必須成分で
ある成分(α)中の一般式(2)で表される繰り返し単
位のA2で表される部分(以下、「A1」及び「A2」を
まとめて「A」と表現する。)のすべてが同一構造を有
する2価のカルボン酸あるいはカルボン酸無水物から誘
導される有機残基であっても、すべてが異なる構造を有
する2価のカルボン酸あるいはカルボン酸無水物から誘
導される有機残基であっても、また、一部が同一構造を
有する2価のカルボン酸から誘導される有機残基で他部
が異なる構造の構造を有する2価のカルボン酸から誘導
される有機残基であってもいいことを意味する。
【0086】即ち、本発明(I)〜本発明(III)の
プラスチックレンズ用組成物の必須成分である成分
(α)の一例である下記構造式(16)においては、そ
の構造中に含まれるk個のAのそれぞれが独立であるこ
とを意味する。 構造式(16)
【0087】
【化76】 (構造式(16)において、Aはそれぞれ独立に、2価
のカルボン酸から誘導される有機残基を表し、kは2以
上の整数を表す。また、Xは2個以上の水酸基を有する
臭素含有化合物から誘導された有機残基を表す。)
【0088】例えば、構造式(16)におけるk個のA
は、すべて異なった構造を有する2価のカルボン酸ある
いはその無水物から誘導される有機残基(即ち、k種類
の構造を有する2価のカルボン酸あるいはその無水物か
ら誘導される有機残基が1つずつ)であっても、すべて
同一の構造を有する2価のカルボン酸あるいはその無水
物から誘導される有機残基(即ち、1種類の構造を有す
る2価のカルボン酸あるいはその無水物から誘導される
有機残基がk個)であっても、あるいはk個のAの内、
いくらかは同一の構造を有する2価のカルボン酸あるい
はその無水物から誘導される有機残基であり、他のいく
らかは別の種類の構造を有する2価のカルボン酸あるい
はその無水物から誘導される有機残基であるといった混
合構造であってもいっこうに差し支えない。
【0089】さらに、ここで言う「Xはそれぞれ独立の
有機残基であり」とは、一般式(2)で表される繰り返
し単位の一例である下記構造式(17)においては、そ
の繰り返し構造中に含まれるm個のXのそれぞれが独立
の有機残基であることを意味する。
【0090】構造式(17)
【0091】
【化77】 (構造式(17)において、Xは、それぞれ独立の有機
残基でありかつ2個以上の水酸基を有する臭素含有化合
物から誘導された有機残基を必須成分する一種以上の有
機残基を表し、mは0又は1以上の整数を表す。また、
nは0または1以上の整数を表し、Aは、それぞれ独立
に2価のカルボン酸あるいはその無水物から誘導される
有機残基である。)
【0092】例えば、構造式(17)におけるm個のX
は、すべて異なった臭素含有化合物から誘導される有機
残基(即ち、m種類の臭素含有化合物から誘導される有
機残基が1つずつ)であっても、すべて同一の臭素含有
化合物から誘導される有機残基(即ち、1種類の臭素含
有化合物から誘導される有機残基がm個)であっても、
あるいはm個のXの内、いくらかは同一の臭素含有化合
物から誘導される有機残基であり、他のいくらかは別の
種類の臭素含有化合物から誘導する有機残基であるとい
った混合構造であってもいっこうに差し支えない。さら
には、その混合構造も、全部が完全にランダムであって
も一部は繰り返してもかまわない。
【0093】さらに、「2個以上の水酸基を有する臭素
含有化合物から誘導された有機残基を必須成分する一種
以上の有機残基」とは、一般式(2)で表される繰り返
し単位の一例である構造式(17)においては、その繰
り返し構造中に含まれるm個のXの中の一部あるいは全
部に臭素含有化合物から誘導された有機残基を含むこと
を意味する。
【0094】例えば、構造式(17)におけるm個のX
は、すべて臭素含有化合物から誘導される有機残基(即
ち、少なくとも一種以上の臭素含有化合物から誘導され
る有機残基がm個)であっても、m個のXの内、いくら
かは臭素含有化合物から誘導される有機残基であり、他
のいくらかは別の種類の化合物から誘導する有機残基で
あるといった混合構造であってもいっこうに差し支えな
い。さらには、その混合構造も、全部が完全にランダム
であっても一部は繰り返してもかまわない。
【0095】さらに、Xはエステル結合によって、さら
に一般式(1)を末端基とし、一般式(2)を繰り返し
単位とする分岐構造を有することが出来る。すなわち、
例えばXに3価の臭素含有アルコールの一例である2,
4,6−トリブロモ−1,3,5−トリ(ヒドロキシエ
チル)ベンゼンから誘導された有機残基が存在した場
合、本発明(I)〜本発明(III)のプラスチックレ
ンズ用組成物の必須成分である成分(α)は下記構造式
(18)で表される部分構造を有することが出来る。 構造式(18)
【0096】
【化78】
【0097】もちろん、Xは、それぞれ独立の有機残基
でありかつ2個以上の水酸基を有する臭素含有化合物か
ら誘導された有機残基を必須成分する一種以上の有機残
基である。また、Aは、それぞれ独立に2価のカルボン
酸あるいはその酸無水物から誘導される有機残基であ
る。
【0098】一般式(2)におけるXは、それぞれ独立
の有機残基でありかつ2個以上の水酸基を有する臭素含
有化合物から誘導された有機残基を必須成分する一種以
上の有機残基を表す。ここでいう「2個以上の水酸基を
有する臭素含有化合物」としては、以下のようなものが
ある。ただし、いうまでもなく、これらの具体例に限定
されるものではない。 構造式(19)
【0099】
【化79】
【0100】さらに、下記一般式(5)あるいは下記一
般式(6)で表される2個以上の水酸基を有する臭素含
有化合物を用いても良い。 一般式(5)
【0101】
【化80】 (式中、R6は、それぞれ独立に下記構造式(1)〜下
記構造式(3)で表される有機基から選ばれる少なくと
も一種以上を表し、R7は、それぞれ独立に下記構造式
(4)〜下記構造式(6)から選ばれる少なくとも1種
を表す。また、式中、a、bはそれぞれ独立に0あるい
は1〜10の整数を表し、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5
6、Z7及びZ8はそれぞれ独立に臭素、塩素及び水素
から選ばれる少なくとも一種以上の置換基であることを
表しかつZ1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7及びZ8
少なくとも1つが臭素であることを表す。また、式中、
Yは下記構造式(7)あるいは下記構造式(8)から選
ばれるいずれかの有機基を表す。) 一般式(6)
【0102】
【化81】 (式中、R8は、それぞれ独立に下記構造式(9)〜下
記構造式(11)で表される有機基から選ばれる少なく
とも一種以上を表し、R9は、それぞれ独立に下記構造
式(12)〜下記構造式(14)から選ばれる少なくと
も1種を表す。また、式中、c、dはそれぞれ独立に0
あるいは1〜10の整数を表し、Z9、Z1 0、Z11、Z
12、Z13、Z14、Z15及びZ16はそれぞれ独立に臭素、
塩素及び水素から選ばれる少なくとも一種以上の置換基
であることを表しかつZ9、Z10、Z11、Z12、Z13
14、Z15及びZ16の少なくとも1つが臭素であること
を表す。) 構造式(1)
【0103】
【化82】 構造式(2)
【0104】
【化83】 構造式(3)
【0105】
【化84】 構造式(4)
【0106】
【化85】 構造式(5)
【0107】
【化86】 構造式(6)
【0108】
【化87】 構造式(7)
【0109】
【化88】 構造式(8)
【0110】
【化89】 構造式(9)
【0111】
【化90】 構造式(10)
【0112】
【化91】 構造式(11)
【0113】
【化92】 構造式(12)
【0114】
【化93】 構造式(13)
【0115】
【化94】 構造式(14)
【0116】
【化95】
【0117】一般式(5)中、「R6は、それぞれ独立
に」とは、a個のR6のすべてが同一構造の有機基を有
していても、すべてが異なる構造の有機基であっても、
また、一部が同一構造の有機基であり、他部が異なる構
造の有機基であってもいいことを意味する。ただし、R
6は構造式(1)〜構造式(3)で表される有機基の中
から選ばれる必要がある。
【0118】また、一般式(5)中、「R7はそれぞれ
独立に」とは、b個のR7のすべてが同一構造の有機基
を有していても、すべてが異なる構造の有機基であって
も、また、一部が同一構造の有機基であり、他部が異な
る構造の有機基であってもいいことを意味する。ただ
し、R7は構造式(4)〜構造式(6)で表される有機
基から選ばれる必要がある。
【0119】さらに、一般式(5)中、a、bはそれぞ
れ独立に0あるいは1〜10の整数を表す。
【0120】また、Yは構造式(7)あるいは構造式
(8)から選ばれるいずれかの有機基を表す。
【0121】一般式(5)で表される2個以上の水酸基
を有する臭素含有化合物の具体例としては、2,2−ビ
ス〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジブロ
モフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(2−ヒド
ロキシプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル〕プロ
パン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキ
シフェニル)プロパンの3molエチレンオキサイド付
加物、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキ
シフェニル)プロパンの4molプロピレンオキサイド
付加物、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシエトキ
シ)−3,5−ジブロモフェニル〕メタン、2,2−ビ
ス〔4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3,5−ジブ
ロモフェニル〕メタン、2,2−ビス(3,5−ジブロ
モ−4−ヒドロキシフェニル)メタンの3molエチレ
ンオキサイド付加物、2,2−ビス(3,5−ジブロモ
−4−ヒドロキシフェニル)メタンの4molプロピレ
ンオキサイド付加物等を挙げることができる。ただし、
いうまでもなく、これらの具体例に限定されるものでは
ない。
【0122】上記の臭素含有化合物の中では、原料の入
手の容易さから、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシ
エトキシ)−3,5−ジブロモフェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−
3,5−ジブロモフェニル〕プロパンが好ましく使用さ
れる。より好ましくは、、2,2−ビス〔4−(2−ヒ
ドロキシエトキシ)−3,5−ジブロモフェニル〕プロ
パンである。
【0123】一般式(6)中、「R8は、それぞれ独立
に」とは、c個のR8のすべてが同一構造の有機基を有
していても、すべてが異なる構造の有機基であっても、
また、一部が同一構造の有機基であり、他部が異なる構
造の有機基であってもいいことを意味する。ただし、R
8は構造式(9)〜構造式(11)で表される有機基の
中から選ばれる必要がある。
【0124】また、一般式(6)中、「R9は、それぞ
れ独立に」とは、d個のR9のすべてが同一構造の有機
基を有していても、すべてが異なる構造の有機基であっ
ても、また、一部が同一構造の有機基であり、他部が異
なる構造の有機基であってもいいことを意味する。ただ
し、R9は構造式(12)〜構造式(14)で表される
有機基から選ばれる必要がある。
【0125】さらに、一般式(6)中、c、dはそれぞ
れ独立に0あるいは1〜10の整数を表す。
【0126】一般式(6)で表される2個以上の水酸基
を有する臭素含有化合物の具体例としては、4,4’−
ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’,5,5’
−テトラブロモジフェニル,4,4’−ビス(2−ヒド
ロキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラブロ
モジフェニル,4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,
5,5’−テトラブロモジフェニルのエチレンオキサイ
ド3mol付加物,4,4’−ジヒドロキシ−3,
3’,5,5’−テトラブロモジフェニルのプロピレン
オキサイド3mol付加物等を挙げることができる。た
だし、いうまでもなく、これらの具体例に限定されるも
のではない。
【0127】上記の臭素含有化合物の中では、4,4’
−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−3,3’,5,
5’−テトラブロモジフェニル,4,4’−ビス(2−
ヒドロキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラ
ブロモジフェニルが好ましく使用される。特に好ましい
のは、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)−
3,3’,5,5’−テトラブロモジフェニルである。
【0128】また、2個以上の水酸基を有する臭素含有
化合物と併用して他のアルコールを用いることができ
る。その具体例として、以下の化合物を挙げることがで
きる。ただし、いうまでもなく、これらの具体例に限定
されるものではない。
【0129】1,4−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゼ
ン、1,3−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゼン、1,2
−ジ(ヒドロキシメチル)ベンゼン、ビス〔4−(2−
ヒドロキシエトキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス
〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕シクロヘ
キサン、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシエトキ
シ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(2−ヒドロキシ
プロポキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−
(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕シクロヘキサ
ン、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキシプロポキシ)
フェニル〕プロパン、ビスフェノールAエチレンオキサ
イド3mol付加物、ビスフェノールFエチレンオキサ
イド4mol付加物、ビスフェノールZエチレンオキサ
イド3mol付加物、1,4−ビス(2−ヒドロキシエ
トキシ)ベンゼン、1,3−ビス(2−ヒドロキシエト
キシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキ
シ)ベンゼン、4,4’−ビス(2−ヒドロキシエトキ
シ)ジフェニル、3,3’−ビス(2−ヒドロキシエト
キシ)ジフェニル、2,2’−ビス(2−ヒドロキシエ
トキシ)ジフェニル等をあげることができる。
【0130】本発明(I)〜本発明(III)のプラス
チックレンズ用組成物の必須成分である成分(α)の繰
り返し単位である一般式(2)で表される基の繰り返し
回数に、特に制限はない。様々な繰り返し回数を有する
材料を混合して用いてもかまわない。また、繰り返し回
数が0である化合物(即ち、下記一般式(8)で表され
る化合物)と繰り返し回数が1以上の整数である化合物
とを併用して用いてもいっこうに問題ない。ただし、繰
り返し回数が0である化合物のみを用いるのは本発明の
目的を達成するためには好ましいことではない。
【0131】なお、本明細書では、本発明(I)〜本発
明(III)のプラスチックレンズ用組成物の必須成分
である成分(α)には、残存する下記一般式(8)で表
される化合物は含まれないものと定義する。
【0132】即ち、成分(α)を製造する際の原料とし
て、イソフタル酸ジアリルを使用し、イソフタル酸ジア
リルが残存した場合には、残存したイソフタル酸ジアリ
ルは成分(α)には含まれず、本発明(II)或いは本
発明(III)の組成物の必須成分である成分(β)に
含まれることを意味する。
【0133】さらに、成分(α)を製造する際の原料と
して、コハク酸ジアリルを使用し、コハク酸ジアリルが
残存した場合には、残存したコハク酸ジアリルは成分
(α)と成分(β)のどちらにも含まれないことを意味
する。 一般式(8)
【0134】
【化96】 (式中、Aは、2価のカルボン酸あるいはカルボン酸無
水物から誘導される有機残基を表し、R12,R13はそれ
ぞれ独立にアリル基またはメタリル基のいずれかを表
す。)
【0135】また、一般式(8)中のAは、2価のカル
ボン酸あるいはカルボン酸無水物から誘導される有機残
基を表す。ここでいう「2価のカルボン酸あるいはカル
ボン酸無水物」としては、以下に記す化合物を例示する
ことができる。ただし、いうまでもなく、これらの具体
例に限定されるものではない。
【0136】コハク酸あるいはその酸無水物、グルタル
酸あるいはその酸無水物、アジピン酸、マロン酸あるい
はその酸無水物、2−メチルコハク酸あるいはその酸無
水物等の脂肪族ジカルボン酸あるいはその無水物、1,
4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキ
サンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン
酸あるいはその酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−
1,2−ジカルボン酸あるいはその酸無水物等の脂環構
造を有するジカルボン酸あるいはその無水物、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、フタル酸あるいはその無水物、ビ
フェニル−2,2’−ジカルボン酸あるいはその無水
物、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル
−4,4’−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸ある
いはその無水物を挙げることができる。
【0137】上記の中では、化合物の高屈折率の維持の
面から、特にテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸あ
るいはその無水物、ビフェニル−2,2’−ジカルボン
酸あるいはその無水物、ビフェニル−3,3’−ジカル
ボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸等の芳香
族ジカルボン酸あるいはその無水物が好ましく、さらに
好ましいのは、イソフタル酸、ビフェニル−2,2’−
ジカルボン酸あるいはその無水物である。
【0138】本発明(I)〜本発明(III)のプラス
チックレンズ用組成物の必須成分である成分(α)の繰
り返し単位である一般式(2)で表される基の繰り返し
回数は、通常1〜30の整数であることが好ましい。繰
り返し回数が30を越えた化合物からのみなる成分
(α)をプラスチックレンズ用組成物に用いた場合、ア
リル基の濃度が低くなるために、硬化時に硬化遅延を起
こしたり化合物の一部が未硬化で残存して硬化物の機械
特性などの物性低下に影響を及ぼす恐れがあったり、さ
らに極端な粘度上昇を起こす可能性がある点などで好ま
しくない。好ましくは、成分(α)中のすべての化合物
の繰り返し回数が1〜30の範囲の整数であり、より好
ましくは1〜20の範囲の整数であり、さらに好ましく
は1〜10の範囲の整数である。
【0139】本発明(I)〜本発明(III)のプラス
チックレンズ用組成物の必須成分である成分(α)の製
造の際には、その製造条件によっては原料である一般式
(8)で表される化合物が残存することもあるが、一般
式(8)で表される化合物を除去することなく、そのま
まプラスチックレンズ用組成物に使用しても何ら差し支
えない。しかし、本発明(I)〜本発明(III)のプ
ラスチックレンズ用組成物に使用する場合、全硬化性成
分に対して一般式(8)で表される化合物が90質量%
より多く存在することは、臭素の含有量が少なくなりす
ぎ、硬化物の屈折率が小さくなりすぎるために好ましい
こととは言えない。
【0140】本発明のプラスチックレンズ用組成物中の
成分(α)の配合量は全硬化性成分に対し10質量%〜
60質量%であることが好ましい。さらに好ましくは、
15質量%〜50質量%であり、特に好ましくは、20
質量%〜45質量%である。
【0141】本発明のプラスチックレンズ用組成物中の
成分(α)の配合量が全硬化性成分に対し10質量%未
満であることは、プラスチックレンズ用組成物を硬化し
て得られる硬化物の屈折率を1.58以上に保持しかつ
アッベ数を30以上に維持することが困難になり、好ま
しいこととは言えない。また、本発明のプラスチックレ
ンズ用組成物中の成分(α)の配合量が全硬化性成分に
対し60質量%を越える場合には、組成物の粘度が極端
に高くなりかつ硬化物の比重が1.40を越えてしまう
可能性が高いので好ましいこととは言えない。
【0142】また、本発明の組成物には、成分(β)を
組成物の粘度を調整しかつ硬化物の屈折率を1.58以
上に維持する目的で使用することが好ましい。 一般式(3)
【0143】
【化97】 (式中、R2及びR3は、それぞれ独立にアリル基または
メタリル基のいずれかを表す。) 一般式(4)
【0144】
【化98】 (式中、R4及びR5は、それぞれ独立にアリル基または
メタリル基のいずれかを表す。)
【0145】一般式(3)及び一般式(4)で表される
化合物の配合量は、使用する化合物の種類によっても異
なるが、全硬化性成分に対し10質量%〜90質量%の
範囲で使用することが好ましい。さらに好ましくは、4
0質量%〜80質量%であり、特に好ましくは、50質
量%〜80質量%である。一般式(3)及び一般式
(4)で表される化合物の配合量が全硬化性成分に対し
10質量%未満である場合には、組成物の粘度が極端に
高くなり好ましいこととは言えない。また、一般式
(3)及び一般式(4)で表される化合物の配合量が全
硬化性成分に対し90質量%を越えて場合には、プラス
チックレンズ用組成物を硬化して得られる硬化物の屈折
率を1.58以上に保持しかつアッベ数を30以上に維
持することが困難になり、好ましいこととは言えない。
【0146】なお、本明細書に記載の「アッベ数」と
は、光学ガラスの分散の程度を表す量であり、その詳細
は、「物理学辞典−縮刷版− (物理化学辞典編集委員
会 編、(株)培風館 発行) 1989年11月30
日 初版第3刷」の「アッベ数」の項に記載がある。
【0147】また、本明細書に記載のアッベ数の値は、
アタゴ社製「アッベ屈折計1T」によって測定されたも
ので、下式で表される値である。
【0148】 アッベ数(νD)=(nD−1)/(nF−nC) (式中、nD,nF及びnCは、それぞれフラウンホーフ
ァーのd線(波長578.6nm),F線(486.1
nm)及びC線(656.3nm)に対する25℃での
屈折率を意味する。)
【0149】本発明(I)〜本発明(III)のプラス
チッックレンズ用組成物の必須成分である成分(α)
は、例えば以下の方法で製造できる。
【0150】一般式(5)で表される化合物の少なくと
も一種を一定の割合で使用し、これらの化合物と、2個
以上の水酸基を有する臭素含有化合物の少なくとも一種
以上を必須成分とする一種以上の臭素含有化合物とを、
触媒存在下、エステル交換反応を行う工程により目的と
する化合物を得ることができる。もちろん、これに限定
されるものではなく、必要に応じて精製等の工程が入っ
てもいっこうに差し支えない。
【0151】前記工程で用いる触媒としては、一般にエ
ステル交換反応に用いることが可能な触媒であれば特に
制限はない。有機金属化合物が特に好ましく、具体的に
はテトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタ
ン、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド、
ハフニウムアセチルアセトナート、ジルコニウムアセチ
ルアセトナート等を挙げることができるがこれに限定さ
れるわけではない。中でもジブチル錫オキサイド、ジオ
クチル錫オキサイドが好ましい。
【0152】この工程における反応温度には特に制限は
ないが、好ましくは100℃〜230℃の範囲、より好
ましくは120℃〜200℃の範囲である。特に溶媒を
用いた場合は、その沸点により制限を受けることがあ
る。
【0153】また、この工程では通常溶媒を用いること
はないが、必要に応じて溶媒を用いることもできる。エ
ステル交換反応を阻害することがなければ、用いること
が可能な溶媒としては特に制限はない。具体的にはベン
ゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等を挙げる
ことができるがこれに限定されるわけではない。中でも
ベンゼン、トルエンが好ましい。しかし、前述のように
溶媒を用いることなく実施することも可能である。
【0154】本発明のプラスチックレンズ用組成物の必
須成分である成分(α)を得るためには、一般式(8)
で表される化合物のカルボキシレートの総数が、2個以
上の水酸基を有する臭素含有化合物の少なくとも一種以
上を必須成分とする一種以上の臭素含有化合物の水酸基
の総数よりも多くする必要がある。あまりに前記一般式
(8)で表される化合物のカルボキシレートの総数と前
記臭素含有化合物の水酸基の総数の比率が1/1に近い
と、生成した成分(α)の数平均分子量が極端に大きく
なり、本発明(I)〜本発明(III)のプラスチック
レンズ用組成物には使用できなくなる。前記一般式
(8)で表される化合物のカルボキシレートの総数と前
記臭素含有化合物の水酸基の総数の比率は、4/3〜1
0/1の範囲が好ましく、より好ましくは3/2〜8/
1であり、さらに好ましくは、2/1〜7/1の範囲で
ある。
【0155】一方、本発明(I)あるいは本発明(I
I)のプラスチックレンズ用組成物に、主に該組成物の
粘度調製を目的として、成分(α)あるいは成分(β)
と共重合可能な化合物を、本発明のプラスチックレンズ
用組成物中に含まれる全硬化性成分に対して20質量%
を越えない範囲において、一種以上加えることができ、
且つ好ましい。
【0156】該化合物としては、(メタ)アクリル基、
ビニル基、(メタ)アリル基有するモノマー等が挙げら
れる。具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、
イソボルニル(メタ)アクリレート、ビニルアセテー
ト、ビニルベンゾエート、ジフェニルマレート、ジベン
ジルマレート、ジブチルマレート、ジメトキシエチルマ
レート、ジフェニルフマレート、ジベンジルフマレー
ト、ジブチルフマレート、ジメトキシエチルフマレート
等を挙げることができる。
【0157】なお、本明細書に記載の「(メタ)アクリ
ル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。さら
に、本明細書に記載の「(メタ)アクリレート」とは、
アクリレート及びメタクリレートを意味する。
【0158】更に(メタ)アリル基を有するモノマーと
しては、α−ナフトエ酸(メタ)アリル、β−ナフトエ
酸(メタ)アリル、2−フェニル安息香酸(メタ)アリ
ル、3−フェニル安息香酸(メタ)アリル、4−フェニ
ル安息香酸(メタ)アリル、安息香酸(メタ)アリル、
o−クロロ安息香酸(メタ)アリル、m−クロロ安息香
酸(メタ)アリル、p−クロロ安息香酸(メタ)アリ
ル、2,6−ジクロロ安息香酸(メタ)アリル、2,4
−ジクロロ安息香酸(メタ)アリル、2,4,6−トリ
クロロ安息香酸(メタ)アリル、o−ブロモ安息香酸
(メタ)アリル、m−ブロモ安息香酸(メタ)アリル、
p−ブロモ安息香酸(メタ)アリル、2,6−ジブロモ
安息香酸(メタ)アリル、2,4−ジブロモ安息香酸
(メタ)アリル、2,4,6−トリブロモ安息香酸(メ
タ)アリル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジ
(メタ)アリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸
ジ(メタ)アリル、1,2−シクロヘキサンジカルボン
酸ジ(メタ)アリル、4−シクロヘキセン−1,2−ジ
カルボン酸ジ(メタ)アリル、1−シクロヘキセン−
1,2−ジカルボン酸ジ(メタ)アリル、3−メチル−
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(メタ)アリ
ル、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸
ジ(メタ)アリル、エンディック酸ジ(メタ)アリル、
クロレンド酸ジ(メタ)アリル、3,6−メチレン−
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジ(メタ)アリル
等を挙げることができる。さらに、PPG社製商品名C
R−39に代表されるポリエチグリコールビス((メ
タ)アリルカーボネート)樹脂を挙げることができる。
もちろん、これらの具体例に限定されるものではなく、
硬化して得られるプラスチックレンズの物性を損なわな
い範囲であれば、その他のモノマー等の使用も可能であ
る。
【0159】上記の成分(α)あるいは成分(β)と共
重合可能な化合物の中で、比重を小さくしかつ硬化物の
高屈折率の維持することのバランスを考慮すると、好ま
しいものとしては、ジベンジルマレート、ジフェニルマ
レート、ジベンジルフマレート、ジフェニルフマレー
ト、2−フェニル安息香酸(メタ)アリル、3−フェニ
ル安息香酸(メタ)アリル、4−フェニル安息香酸(メ
タ)アリル、α−ナフトエ酸(メタ)アリル、β−ナフ
トエ酸(メタ)アリル、o−クロロ安息香酸(メタ)ア
リル、m−クロロ安息香酸(メタ)アリル、p−クロロ
安息香酸(メタ)アリル、2,6−ジクロロ安息香酸
(メタ)アリル、2,4−ジクロロ安息香酸(メタ)ア
リル、o−ブロモ安息香酸(メタ)アリル、m−ブロモ
安息香酸(メタ)アリル、p−ブロモ安息香酸(メタ)
アリルを挙げることができ、特に好ましいものとして
は、ジベンジルマレート、ジフェニルマレート、ジベン
ジルフマレート、ジフェニルマレート、2−フェニル安
息香酸(メタ)アリル、3−フェニル安息香酸(メタ)
アリル、4−フェニル安息香酸(メタ)アリル、α−ナ
フトエ酸(メタ)アリル、β−ナフトエ酸(メタ)アリ
ルを挙げることができる。
【0160】なお、本明細書に記載の「(メタ)アリ
ル」とは、アリル及びメタリルを意味する。
【0161】また、本発明(I)〜本発明(III)の
プラスチックレンズ用組成物は、該組成物を硬化して得
られる硬化物の25℃での屈折率(nD)が1.58以
上でなければならない。好ましくは、1.585以上の
屈折率である。硬化物の25℃での屈折率(nD)が
1.58未満の場合には、目的とする高屈折レンズを取
得したことにならない。
【0162】本明細書の記載の「屈折率」とは、真空中
の光の速度cと媒質中の位相速度υとの比c/υのこと
であり、詳細は、「物理学辞典−縮刷版− (物理化学
辞典編集委員会 編、(株)培風館 発行) 1989
年11月30日 初版第3刷」の「屈折率」の項に記載
がある。
【0163】さらに、本明細書に記載の屈折率の値は、
フラウンホーファーのd線(波長587.6nm)に対
する屈折率で、アタゴ社製「アッベ屈折計1T」を用い
て25℃で測定された値である。なお、アタゴ社製「ア
ッベ屈折計1T」の屈折率の測定原理は、全反射の臨界
角を測定する方法であり、その詳細は、「物理学辞典−
縮刷版− (物理化学辞典編集委員会 編、(株)培風
館 発行) 1989年11月30日 初版第3刷」の
「屈折計」の項の「(1)全反射の臨界角を測定する方
法」の部分に記載がある。
【0164】また、本発明(I)〜本発明(III)の
プラスチックレンズ用組成物は、該組成物を硬化して得
られる硬化物の23℃での比重が1.40以下でなけれ
ばならない。さらに好ましくは1.39以下である。該
組成物を硬化して得られる硬化物の23℃での比重が
1.40より大きい場合には、目的とする軽量のプラス
チックレンズを得たことにはならない。
【0165】本明細書に記載の「比重」とは、物質の質
量と、その物質と同体積の標準物質(4℃、標準大気圧
における水)の質量との比であり、詳細は、「物理学辞
典−縮刷版− (物理化学辞典編集委員会 編、(株)
培風館 発行) 1989年11月30日 初版第3
刷」の「比重」の項に記載がある。
【0166】なお、本明細書に記載の硬化物の比重の値
は、JIS K 7112の浮沈法(測定温度23℃)
によって測定された値である。
【0167】次に、本発明(IV)のプラスチックレン
ズ用組成物について説明する。本発明(IV)は、本発
明(I)〜本発明(III)のいずれかのプラスチック
レンズ用組成物中の全硬化性成分100質量部に対し
て、紫外線吸収剤及び/または光安定剤を0.01質量
部〜2質量部含有することを特徴とするプラスチックレ
ンズ用組成物である。
【0168】本発明(IV)のプラスチックレンズ用組
成物には、耐候性を向上させる目的で紫外線吸収剤や光
安定剤を使用する。紫外線吸収剤や光安定剤としては、
組成物中の配合できるものであれば特に制限はないが、
具体的には以下に示すような化合物を挙げることができ
る。ただし、いうまでもなく、これらの具体例に限定さ
れるものではない。
【0169】なお、本明細書に記載の「紫外線吸収剤」
とは、太陽光線及び蛍光灯などの光エネルギーを吸収し
て熱エネルギー等に変換する材料を意味する。また、本
明細書に記載の「光安定剤」とは、光酸化劣化で生成す
るラジカルを捕捉する材料を意味する。
【0170】まず、紫外線吸収剤の具体例としては、下
記構造式(15)で表されるベンゾトリアゾール構造単
位を有する化合物を挙げることができる。 構造式(15)
【0171】
【化99】
【0172】上記構造単位を有する化合物の具体例とし
ては、下記構造式(20)〜下記構造式(35)で示さ
れる化合物をあげることができる。 構造式(20)
【0173】
【化100】 構造式(21)
【0174】
【化101】 構造式(22)
【0175】
【化102】 構造式(23)
【0176】
【化103】 構造式(24)
【0177】
【化104】 構造式(25)
【0178】
【化105】 構造式(26)
【0179】
【化106】 構造式(27)
【0180】
【化107】 構造式(28)
【0181】
【化108】 構造式(29)
【0182】
【化109】 構造式(30)
【0183】
【化110】 構造式(31)
【0184】
【化111】 構造式(32)
【0185】
【化112】 構造式(33)
【0186】
【化113】 構造式(34)
【0187】
【化114】 構造式(35)
【0188】
【化115】
【0189】また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具
体例としては、下記構造式(36)〜下記構造式(4
0)の化合物を挙げることができる。 構造式(36)
【0190】
【化116】 構造式(37)
【0191】
【化117】 構造式(38)
【0192】
【化118】 構造式(39)
【0193】
【化119】 構造式(40)
【0194】
【化120】
【0195】さらに、下記構造式(41)のようなトリ
アジン系紫外線吸収剤や下記構造式(42)のような蓚
酸アニリド系紫外線吸収剤を用いることもできる。 構造式(41)
【0196】
【化121】 構造式(42)
【0197】
【化122】
【0198】光安定剤の具体例として、下記構造式(4
3)〜下記構造式(50)、下記構造式(52)及び下
記構造式(54)〜下記構造式(57)に示されるよう
なヒンダードアミン系光安定剤(以下、「HALS」と
略する。)を挙げることができる。 構造式(43)
【0199】
【化123】 構造式(44)
【0200】
【化124】 構造式(45)
【0201】
【化125】 構造式(46)
【0202】
【化126】 構造式(47)
【0203】
【化127】 構造式(48)
【0204】
【化128】 構造式(49)
【0205】
【化129】 ただし、R14,R15,R16,R17のすべてが水素原子で
あるものは除く。 構造式(50)
【0206】
【化130】 構造式(50)中、Rは、下記構造式(51)で表され
る有機残基である。 構造式(51)
【0207】
【化131】 構造式(52)
【0208】
【化132】 構造式(52)中、Rは、下記構造式(53)で表され
る有機残基である。 構造式(53)
【0209】
【化133】 構造式(54)
【0210】
【化134】 構造式(55)
【0211】
【化135】 構造式(56)
【0212】
【化136】 構造式(57)
【0213】
【化137】
【0214】上記紫外線吸収剤や光安定剤を添加する
と、その硬化は未添加系に比べ良くなることは確かであ
るが、化合物によっては硬化時に着色を伴うものもあ
る。
【0215】上記紫外線吸収剤あるいは光安定剤の中
で、硬化物の耐候性の改善効果及び本発明(IV)のプ
ラスチックレンズ用組成物を硬化する際の着色の度合い
を考慮すると、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤が
好ましい。
【0216】さらに好ましくは、構造式(21)〜構造
式(25)、構造式(27)、構造式(31)、構造式
(33)、構造式(34)の様な分子内にヒンダードフ
ェノール構造を有するもの、あるいは構造式(35)の
様な重合性不飽和基を有するものである。
【0217】また、紫外線吸収剤と光安定剤はそれぞれ
単独で、或いは二種以上を、さらには両者を一種以上併
用してもいっこうにかまわない。
【0218】上記紫外線吸収剤や光安定剤の使用量は、
全硬化性成分に対して0.001質量%〜2質量%であ
ることが好ましく、さらに好ましくは、0.05質量%
〜1.5質量%の範囲である。0.05質量%未満の添
加量では劣化防止効果を十分発現できず、また、2質量
%を越えて用いることは硬化時の着色及び経済的なこと
を考慮しても好ましいことではない。
【0219】次に、本発明(V)のプラスチックレンズ
用組成物について説明する。本発明(V)は、本発明
(I)〜本発明(IV)のプラスチックレンズ用組成物
中の全硬化性成分100質量部に対して、酸化防止剤を
0.01質量部〜5質量部含有することを特徴とするプ
ラスチックレンズ用組成物である。
【0220】酸化防止剤には、一般的なフェノール系酸
化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、チオエーテル系
酸化防止剤等を使用することができる。これらのそれぞ
れ系の異なる酸化防止剤は、それぞれ単独で用いても、
同系の酸化防止剤を二種以上併用しても、さらには系の
異なる酸化防止剤二種以上を併用してもかまわない。
【0221】フェノール系酸化防止剤の具体例として
は、以下のような化合物を挙げることができる。 構造式(58)
【0222】
【化138】 構造式(59)
【0223】
【化139】 構造式(60)
【0224】
【化140】 構造式(61)
【0225】
【化141】 構造式(62)
【0226】
【化142】 構造式(63)
【0227】
【化143】 構造式(64)
【0228】
【化144】 構造式(65)
【0229】
【化145】 構造式(66)
【0230】
【化146】 構造式(67)
【0231】
【化147】
【0232】ホスファイト系酸化防止剤の具体例として
は、以下のような化合物を挙げることができる。 構造式(68)
【0233】
【化148】 構造式(69)
【0234】
【化149】 構造式(70)
【0235】
【化150】 構造式(71)
【0236】
【化151】 構造式(72)
【0237】
【化152】 構造式(73)
【0238】
【化153】 構造式(74)
【0239】
【化154】 構造式(75)
【0240】
【化155】 構造式(76)
【0241】
【化156】 構造式(77)
【0242】
【化157】 構造式(78)
【0243】
【化158】 構造式(79)
【0244】
【化159】
【0245】チオエーテル系酸化防止剤の具体例として
は、以下のような化合物を挙げることができる。 構造式(80)
【0246】
【化160】 構造式(81)
【0247】
【化161】 構造式(82)
【0248】
【化162】 構造式(83)
【0249】
【化163】 構造式(84)
【0250】
【化164】 構造式(85)
【0251】
【化165】
【0252】これらの酸化防止剤の中で、着色せずかつ
硬化阻害を起こさないものが好ましいことを考慮する
と、ホスファイト系酸化防止剤が好ましい。さらに好ま
しくは、構造式(71)〜構造式(76)及び構造式
(78)〜構造式(79)のような、アリーロキシ基と
アルキロキシ基あるいはアルケニロキシ基が共に同一の
リン原子に結合しているポスファイト系酸化防止剤が好
ましい。
【0253】また、これらの酸化防止剤は、紫外線吸収
剤や光安定剤と併用してもいっこうにかまわない。
【0254】これら酸化防止剤の使用量は、全硬化性成
分に対して0.01質量%〜5質量%であることが好ま
しく、さらに好ましくは、0.1質量%〜3質量%の範
囲である。0.01質量%未満の添加量では劣化防止効
果を十分発現できず、また、5質量%を越えて用いるこ
とは経済的なことを考慮しても好ましいことではない。
【0255】また、本発明のプラスチックレンズ用組成
物には、2,5−ビス〔5−t−ブチルベンゾオキサゾ
リル(2)〕チオフェン等の蛍光増白剤等を添加しても
よい。
【0256】次に、本発明(VI)のプラスチックレン
ズ用組成物について説明する。本発明(VI)は、本発
明(I)〜本発明(V)のプラスチックレンズ用組成物
中の全硬化性成分100質量部に対して、少なくとも一
種以上のラジカル重合開始剤0.1質量部〜10質量部
を含有することを特徴とするプラスチックレンズ用組成
物である。
【0257】本発明(VI)のプラスチックレンズ用組
成物には、硬化剤としてラジカル重合開始剤を添加する
ことが可能でありかつ好ましい。
【0258】本発明(VI)のプラスチックレンズ用組
成物に添加可能なラジカル重合開始剤には、特に制限は
ない。硬化して得られるプラスチックレンズの光学特性
などの物性値に悪影響を及ぼすものでなければ、公知の
もので構わない。
【0259】しかし、本発明で使用されるラジカル重合
開始剤は、硬化されるべき組成物中に存在する他の成分
に可溶であり、かつ30℃〜120℃でフリーラジカル
を発生するものが望ましい。添加可能なラジカル重合開
始剤の具体例としては、ジイソプロピルパーオキシジカ
ーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−
sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチル
パーベンゾエート等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。硬化性の点から、好ましくは下記一般
式(7)で表される構造を有するラジカル重合開始剤で
ある。 一般式(7)
【0260】
【化166】 (式中、R10及びR11は、それぞれ独立に炭素数1〜炭
素数10のアルキル基、置換アルキル基、フェニル基及
び置換フェニル基から選ばれる基を表す。)
【0261】一般式(7)で表されるラジカル重合開始
剤の具体例としては、ジ−n−プロピルパーオキシジカ
ーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネー
ト、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシ
ジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジ
カーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカ
ーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカー
ボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネー
ト、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシ
ジカーボネート等を挙げることができる。
【0262】これらの中で好ましいものは、ジ−n−プ
ロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパー
オキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオ
キシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキ
シジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチ
ル)パーオキシジカーボネートであり、さらに好ましく
はジイソプロピルパーオキシジカーボネートである。
【0263】ラジカル重合開始剤の添加量は、本発明
(I)〜本発明(V)のプラスチックレンズ用組成物中
に含まれる全硬化性成分100質量部に対して0.1質
量部〜10質量部の範囲、好ましくは1質量部〜5質量
部の範囲である。0.1質量部未満では、該組成物の硬
化が不十分になる恐れがある。また、10質量部を越え
て添加することは、経済上好ましくない。
【0264】本発明(I)〜本発明(VI)のプラスチ
ックレンズ用組成物の粘度は、組成物の濾過性(即ち、
濾過速度)及び注型の作業性(即ち、型への流し込み易
さと充填速度)を考慮した場合、25℃で500mPa
・s以下あることが一般的であり、好ましくは、400
mPa・s以下であり、さらに好ましくは、300mP
a・s以下である。
【0265】なお、ここでいう「粘度」とは、回転粘度
計により測定されるもので、回転粘度計の詳細について
は「岩波理化学辞典 第3版 1977年6月1日 第
3版第8刷発行」に記載がある。
【0266】本発明(I)〜本発明(VI)のプラスチ
ックレンズ用組成物には、プラスチックレンズの性能向
上に使用される一般的な染料、顔料等の着色剤、離型剤
などの添加剤を添加しても構わない。
【0267】着色剤としては、例えば、アントラキノン
系、アゾ系、カルボニウム系、キノリン系、キノンイミ
ン系、インジゴイド系、フタロシアニン系などの有機顔
料、アゾイック染料、硫化染料などの有機染料、チタン
イエロー、黄色酸化鉄、亜鉛黄、クロムオレンジ、モリ
ブデンレッド、コバルト紫、コバルトブルー、コバルト
グリーン、酸化クロム、酸化チタン、硫化亜鉛、カーボ
ンブラックなどの無機顔料などが挙げられる。
【0268】離型剤としては、ステアリン酸、ステアリ
ン酸ブチル、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アミド、
フッ素系化合物類、シリコン化合物類などが挙げられ
る。
【0269】染料、顔料等の着色剤、離型剤などの添加
剤の添加総量は、本発明のプラスチックレンズ用樹脂組
成物中に含まれる全硬化性樹脂成分に対して1質量%以
下であることが望ましい。
【0270】次に、本発明(VII)について説明す
る。本発明(VII)は、本発明(I)〜本発明(V
I)のいずれかに記載のプラスチックレンズ用組成物を
硬化して得られるプラスチックレンズである。
【0271】本発明(VII)のプラスチックレンズの
25℃での屈折率(nD)は1.58以上でなければな
らない。好ましくは、1.585以上の屈折率である。
硬化物の25℃での屈折率(nD)が1.58未満の場
合には、目的とする高屈折レンズを取得したことになら
ない。
【0272】また、本発明(VII)のプラスチックレ
ンズの23℃での比重は1.40以下でなければならな
い。さらに好ましくは1.39以下である。該組成物を
硬化して得られる硬化物の23℃での比重が1.40よ
り大きい場合には、目的とする軽量のプラスチックレン
ズを得たことにはならない。
【0273】次に、本発明(VIII)について説明す
る。本発明(VIII)は、25℃での屈折率が1.5
8以上かつ23℃で比重が1.40以下であり、さらに
元素分析による炭素濃度が50.0質量%〜70.0質
量%で、元素分析による臭素濃度が9.0質量%〜1
5.0質量%であるプラスチックレンズである。
【0274】本発明(VIII)のプラスチックレンズ
の25℃での屈折率(nD)は、本発明(VII)と同
様に1.58以上でなければならない。好ましくは、
1.585以上の屈折率である。硬化物の25℃での屈
折率(nD)が1.58未満の場合には、目的とする高
屈折レンズを取得したことにならない。
【0275】また、本発明(VIII)のプラスチック
レンズの23℃での比重は、本発明(VII)と同様に
1.40以下でなければならない。さらに好ましくは
1.39以下である。硬化物の23℃での比重が1.4
0より大きい場合には、目的とする軽量のプラスチック
レンズを得たことにはならない。
【0276】さらに、本発明(VIII)の硬化物は、
元素分析による炭素濃度が50.0質量%〜70.0質
量%の範囲で、かつ元素分析による臭素濃度が9.0質
量%〜15.0質量%の範囲である。
【0277】元素分析による炭素濃度が、50.0質量
%未満の場合には相対的に臭素等の比重を重くする元素
の割合が多くなってしまい、その結果、硬化物の比重が
高くなってしまい好ましいことではない。また、元素分
析による炭素濃度が、70.0質量%より多くなった場
合には、硬化物の屈折率が低くなるかあるいは硬化物の
アッベ数が低くなりすぎてしまい、好ましいことではな
い。好ましい元素分析による炭素濃度は、52.0質量
%〜68.0質量%であり、特に好ましくは、55.0
質量%〜65.0質量%である。
【0278】元素分析による臭素濃度が、9.0質量%
未満の場合には、屈折率が低くなるかあるいは硬化物の
アッベ数が低くなりすぎてしまい、好ましいことではな
い。元素分析による臭素濃度が、15.0質量%より多
くなった場合には、硬化物の比重が高くなってしまい好
ましいことではない。好ましい元素分析による炭素濃度
は、10.0質量%〜14.0質量%であり、特に好ま
しくは10.5質量%〜13.5質量%である。
【0279】元素分析による炭素濃度と元素分析による
臭素濃度は、それぞれ50.0質量%〜70.0質量
%、9.0質量%〜15.0質量%であることが好まし
く、さらに好ましい元素分析による炭素濃度と元素分析
による臭素濃度は、それぞれ52.0質量%〜68.0
質量%、10.0質量%〜14.0質量%であり、特に
好ましくはそれぞれ55.0質量%〜65.0質量%、
10.5質量%〜13.5質量%である。
【0280】最後に本発明(IX)について説明する。
本発明(IX)は、本発明に記載のプラスチックレンズ
用組成物を硬化してなるプラスチックレンズの製造方法
である。
【0281】本発明におけるプラスチックレンズ用組成
物の成形加工方法には、注型成形が適している。具体的
には、組成物中にラジカル重合開始剤を添加して、エラ
ストマーガスケットやスペーサーで固定化している型
へ、ラインを通して注入して、オーブン中で、熱により
硬化する方法などで成形する方法などが挙げられる。
【0282】このとき、型として使用される材質として
は、金属やガラスである。一般に、プラスチックレンズ
の型は、注型成形の後洗浄されなければならず、そのよ
うな洗浄は通常、強アルカリ液または強酸を用いて行わ
れる。ガラスは、金属とは異なり、洗浄によって変質し
づらく、また、容易に研磨され、そして非常に表面の粗
さを少なくできるという理由から、好ましく用いられて
いる。
【0283】本発明(I)〜本発明(VI)のいずれか
に記載のプラスチックレンズ用組成物を成形する際の硬
化温度は約30℃〜120℃、好ましくは40℃〜10
0℃である。また、硬化温度の操作については、硬化時
の収縮やひずみを考慮すると、昇温しながら徐々に硬化
する方法が好ましく、一般的には0.5時間〜100時
間、好ましくは3時間〜50時間、さらに好ましくは1
0時間〜30時間かけて硬化するのが良い。
【0284】本発明のプラスチックレンズは通常のプラ
スチックレンズと同様に染色することが可能である。本
発明のプラスチックレンズの染色方法には、特に制限は
ない。公知のプラスチックレンズの染色法であれば、い
ずれの方法でも構わない。中でも、従来から一般的な方
法として知られる浸漬染色法が好ましい。
【0285】ここで言う「浸漬染色法」とは、分散染料
を界面活性剤と共に水中に分散させて染色液を調製し、
加熱下において、この染色液にプラスチックレンズを浸
漬して染色する方法である。
【0286】プラスチックレンズの染色方法は、浸漬染
色法に限定されるわけではなく、他の公知の方法、例え
ば有機顔料を昇華させプラスチックレンズを染色する方
法(特公昭35−1384号公報)、昇華性染料を昇華
させてプラスチックレンズを染色する方法(特公昭56
−159376号公報、特公平1−277814号公
報)を用いることもできる。操作が簡便な点から、浸漬
染色法がもっとも好ましい。
【0287】
【実施例】以下本発明を実施例により、詳細な説明を行
うが、本発明はこれらに限定するものではない。
【0288】諸物性の測定については以下のとおりに実
施した。 1.屈折率(nD)およびアッベ数(νD) 9mm×16mm×4mmの試験片を作成し、アタゴ社
製「アッベ屈折計1T」を用いて、25℃における屈折
率(nD)及びアッベ数(νD)を測定した。接触液はα
−ブロモナフタリンを使用した。 2.粘度 後述の比較例2については、測定温度25℃で、東京計
器株式会社製B型粘度計(形式B8U型)を用いて、H
H−1ローターを使用し、指定の容器に試料5.2ml
を用いて、回転数50rpmで測定した。後述の実施例
1〜実施例9、比較例1については、測定温度25℃
で、東京計器株式会社製B型粘度計(型式BH型)を用
いて、No.1ローターを使用し、300mlトールビ
ーカーに試料300gを入れ、回転数20rpmで測定
した。測定温度は25℃にあった。
【0289】3.バーコル硬度 934−1型を用い、JIS K 6911に従い測定
した。 4.硬化物の比重の測定 硬化後の硬化物の比重は、JIS K 7112の浮沈
法(23℃)に従って測定した。 5.硬化物の色の評価 厚さ4mmの硬化物のHunterの均等知覚色空間
(HunterのLab−空間)のL値、a値及びb値
を、スガ試験機株式会社製SMカラーコンピューター
(MODEL SM−4)を用いて測定した。ここで、
Lは明度指数であり、a及びbは、知覚色度指数であ
る。なお、Hunterの均等知覚色空間の詳細は、
「新編色彩科学ハンドブック(昭和55年7月31日
2刷 財団法人 東京大学出版会発行)」の137頁の
「Hunterの均等知覚色空間」の項に記載されてい
る。
【0290】(製造例−1)蒸留装置のついた3リット
ル三ツ口フラスコにイソフタル酸ジアリル1477.6
g(6.0mol)、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロ
キシエトキシ)−3,5−ジブロモフェニル〕プロパン
632.0g(1.0mol)、ジブチル錫オキサイド
1.4776g(0.1質量%(対イソフタル酸ジアリ
ル))を仕込んで窒素気流下、180℃で加熱して生成
してくるアリルアルコールを留去した。アリルアルコー
ルが81g程度留出したところで、反応系内を1.33
kPaまで減圧にし、アリルアルコールを留出速度を速
めた。理論量(116.2g)のアリルアルコールが留
出した後、更に1時間加熱して、190℃−0.13k
Paで1時間保持した後、反応器を冷却して、アリルエ
ステル化合物(以下「サンプルA」とする。)を199
3g得た。得られたサンプルAの400MHz1H−N
MRスペクトル(溶媒:CDCl3)およびFT−IR
スペクトルをそれぞれ図1及び図2に示す。
【0291】ガスクロマトグラフィー(島津製作所
(株)製、GC−14B、水素炎イオン化検出器 使用
カラムOV−17 0.5m 温度条件160℃一定)
で分析したところ、サンプルAは、イソフタル酸ジアリ
ル55質量%を含んでいた。
【0292】(製造例−2)イソフタル酸ジアリル14
77.6gのかわりにテレフタル酸ジアリル1477.
6gを使用した他は、製造例−1と同様の方法によりア
リルエステル化合物(以下「サンプルB」とする。)1
993gを得た。ガスクロマトグラフィー(島津製作所
(株)製、GC−14B、水素炎イオン化検出器 使用
カラムOV−17 0.5m 温度条件160℃一定)
で分析したところ、サンプルBは、テレフタル酸ジアリ
ル55質量%を含んでいた。
【0293】(製造例−3)蒸留装置のついた2リット
ル三ツ口フラスコにイソフタル酸ジアリル738.8g
(3.0mol)、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキ
シエトキシ)−3,5−ジブロモフェニル〕プロパン6
32.0g(1.0mol)、ジブチル錫オキサイド
0.7388g(0.1質量%(対イソフタル酸ジアリ
ル))を仕込んで窒素気流下、180℃で加熱して生成
してくるアリルアルコールを留去した。アリルアルコー
ルが81g程度留出したところで、反応系内を1.33
kPaまで減圧にし、アリルアルコールを留出速度を速
めた。理論量(116.2g)のアリルアルコールが留
出した後、更に1時間加熱して、190℃−0.13k
Paで1時間保持した後、反応器を冷却して、アリルエ
ステル化合物(以下「サンプルC」とする。)を125
4.6gを得た。ガスクロマトグラフィー(島津製作所
(株)製、GC−14B、水素炎イオン化検出器 使用
カラムOV−17 0.5m 温度条件160℃一定)
で分析したところ、サンプルCは、イソフタル酸ジアリ
ル25質量%を含んでいた。
【0294】(製造例−4)蒸留装置のついた2リット
ル三ツ口フラスコにイソフタル酸ジアリル1477.6
g(6.0mol)、4,4’−ビス(2−ヒドロキシ
エトキシ)−3,3’,5,5’−テトラブロモジフェ
ニル589.9g(1.0mol)、ジブチル錫オキサ
イド0.7388g(0.05質量%(対イソフタル酸
ジアリル))を仕込んで窒素気流下、180℃で加熱し
て生成してくるアリルアルコールを留去した。アリルア
ルコールが81g程度留出したところで、反応系内を
1.33kPaまで減圧にし、アリルアルコールを留出
速度を速めた。理論量(116.2g)のアリルアルコ
ールが留出した後、更に1時間加熱して、190℃−
0.13kPaで1時間保持した後、反応器を冷却し
て、アリルエステル化合物(以下「サンプルD」とす
る。)を1951gを得た。ガスクロマトグラフィー
(島津製作所(株)製、GC−14B、水素炎イオン化
検出器 使用カラムOV−17 0.5m 温度条件1
60℃一定)で分析したところ、サンプルDは、イソフ
タル酸ジアリル55質量%を含んでいた。
【0295】(製造例−5)蒸留装置のついた1リット
ル三ツ口フラスコにイソフタル酸ジアリル1709.3
g(6.94mol)、2,2−ビス〔4−(2−ヒド
ロキシエトキシ)−3,5−ジブロモフェニル〕プロパ
ン632.0g(1.0mol)、ジブチル錫オキサイ
ド1.4776g(0.08644wt%(対イソフタ
ル酸ジアリル))を仕込んで窒素気流下、160℃で加
熱して生成してくるアリルアルコールを留去した。アリ
ルアルコールが81g程度留出したところで、反応系内
を1.33kPaまで減圧にし、アリルアルコールを留
出速度を速めた。理論量(116.2g)のアリルアル
コールが留出した後、更に1時間加熱して、160℃−
0.13kPaで1時間保持した後、反応器を冷却し
て、アリルエステル化合物(以下「サンプルE」とす
る。)を2225gを得た。ガスクロマトグラフィー
(島津製作所(株)製、GC−14B、水素炎イオン化
検出器 使用カラムOV−17 0.5m 温度条件1
60℃一定)で分析したところ、サンプルEは、イソフ
タル酸ジアリル58質量%を含んでいた。
【0296】(製造例−6)蒸留装置のついた1リット
ル三ツ口フラスコにテレフタル酸ジアリル492.5g
(2.0mol)、2,2−ビス〔4−(2−ヒドロキ
シエトキシ)−3,5−ジブロモフェニル〕プロパン6
32.0g(1.0mol)、ジブチル錫オキサイド
0.7388g(0.15質量%(対テレフタル酸ジア
リル))を仕込んで窒素気流下、180℃で加熱して生
成してくるアリルアルコールを留去した。アリルアルコ
ールが81g程度留出したところで、反応系内を1.3
3kPaまで減圧にし、アリルアルコールを留出速度を
速めた。理論量(116.2g)のアリルアルコールが
留出した後、更に1時間加熱して、190℃−0.13
kPaで1時間保持した後、反応器を冷却して、アリル
エステル化合物(以下「サンプルF」とする。)を10
08gを得た。ガスクロマトグラフィー(島津製作所
(株)製、GC−14B、水素炎イオン化検出器 使用
カラムOV−17 0.5m 温度条件160℃一定)
で分析したところ、サンプルFは、テレフタル酸ジアリ
ル16質量%を含んでいた。
【0297】(製造例−7)テレフタル酸ジアリル49
2.5gのかわりにイソフタル酸ジアリル492.5g
を使用した他は、製造例−6と同様の方法によりアリル
エステル化合物(以下「サンプルG」とする。)100
8gを得た。ガスクロマトグラフィー(島津製作所
(株)製、GC−14B、水素炎イオン化検出器 使用
カラムOV−17 0.5m 温度条件160℃一定)
で分析したところ、サンプルGは、イソフタル酸ジアリ
ル13質量%を含んでいた。
【0298】実施例1 表1に記したように、サンプルAのアリルエステル化合
物を80.0質量部、イソフタル酸ジアリルを16.0
質量部、CR−39(PPG社製)4質量部、ジイソプ
ロピルパーオキシジカーボネート(IPP)を3質量部
を配合して、混合攪拌して完全に均一にした溶液組成物
とし、そのときの粘度を測定した。その後、減圧可能な
デシケーターに、この溶液が入った容器を入れ、約15
分ほど真空ポンプで減圧することにより、溶液中の気体
を脱気した。この溶液組成物を、眼鏡プラスチックレン
ズ用のガラス製の型と樹脂性のガスケットによって組み
立てられた型に気体が混入しないように慎重に注射器に
て注入した後、オーブン中で、40℃で7時間、40℃
〜60℃まで10時間、60℃〜80℃まで3時間、8
0℃で1時間、85℃で2時間のプログラム昇温加熱に
より硬化させた。
【0299】また、得られたレンズの屈折率、アッベ
数、バーコル硬度の測定結果、及び23℃での比重の結
果を表1に示す。
【0300】
【表1】
【0301】実施例2〜実施例6及び比較例1〜比較例
表1に示した配合で、組成物を調製して、実施例1と同
様な方法で、粘度測定を行い、その後硬化し、レンズの
屈折率、アッベ数、バーコル硬度の測定及び23℃での
比重の結果を行った。結果を表1に示す。なお、比較例
1及び比較例2は、それぞれ、特開平7−33831号
公報に記載の実施例1及び実施例2に相当する例であ
る。
【0302】実施例7 表2に記したように、サンプルAのアリルエステル化合
物を80.0質量部、イソフタル酸ジアリルを16.0
質量部、CR−39(PPG社製)4質量部、構造式
(31)の紫外線吸収剤0.08質量部、構造式(4
1)の紫外線吸収剤0.08質量部、ジイソプロピルパ
ーオキシジカーボネート(IPP)を3質量部を配合し
て、混合攪拌して完全に均一にした溶液組成物とし、そ
のときの粘度を測定した。その後、減圧可能なデシケー
ターに、この溶液が入った容器を入れ、約15分ほど真
空ポンプで減圧することにより、溶液中の気体を脱気し
た。この溶液組成物を、眼鏡プラスチックレンズ用のガ
ラス製の型と樹脂性のガスケットによって組み立てられ
た型に気体が混入しないように慎重に注射器にて注入し
た後、オーブン中で、40℃で7時間、40℃〜60℃
まで10時間、60℃〜80℃まで3時間、80℃で1
時間、85℃で2時間のプログラム昇温加熱により硬化
させた。
【0303】また、得られたレンズの屈折率、アッベ
数、バーコル硬度の測定結果、23℃での比重及びHu
nterの均等知覚色空間(HunterのLab−空
間)のL値、a値及びb値の測定結果を表2に示す。
【0304】
【表2】
【0305】実施例8〜実施例10 表2に示した配合で、組成物を調製して、実施例1と同
様な方法で、粘度測定を行い、その後硬化し、レンズの
屈折率、アッベ数、バーコル硬度の測定及び23℃での
比重の結果を行った。結果を表1に示す。
【0306】表1及び表2の結果から、本発明により、
低粘度のアリルエステル化合物含有組成物を提供でき、
さらに該組成物を硬化することによって、高屈折率でか
つ比重の小さいプラスチックレンズを製造することが可
能であることは明らかである。
【0307】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のプラスチッ
クレンズ用組成物は、従来の(メタ)アリル系プラスチ
ックレンズ用組成物と比較して粘度が低く、かつ高屈折
率で比重の小さい硬化物の製造が可能であることはは明
かである。
【0308】従って、従来のポリエチレングリコールビ
ス(アリルカーボネート)樹脂と同様の硬化手法により
高屈折かつ比重の小さいプラスチックレンズの生産が可
能になる。
【0309】
【図面の簡単な説明】
以下に示す図は実施例に記載したプラスチックレンズ材
料用化合物の400MHz1H−NMRスペクトルチャ
ート及びFT−IRスペクトルチャートである。
【図1】図1は製造例−1で生産されたアリルエステル
化合物の400MHz1H−NMRスペクトルチャート
である。
【図2】図2は製造例−1で生産されたアリルエステル
化合物のFT−IRスペクトルチャートである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/3475 C08K 5/3475 5/524 5/524 C08L 67/06 C08L 67/06 (72)発明者 甲斐 和史 大分県大分市大字中の洲2 昭和電工株式 会社大分生産・技術統括部内 (72)発明者 内田 博 大分県大分市大字中の洲2 昭和電工株式 会社大分生産・技術統括部内 Fターム(参考) 4J002 CF241 EE038 EH107 EH127 EH146 EJ019 EJ029 EJ039 EJ049 EK059 EK089 EP028 EU038 EU178 EU188 EU199 EV069 EW069 EW089 FD048 FD058 FD079 FD090 FD149 FD160 GP01 4J015 BA07 BA08 4J027 AB03 AB10 AB18 AB19 AB23 AB24 AB25 BA04 BA07 BA17 BA22 CA12 CA14 CA16 CA24 CA25 CA27 CA29 CA34 CB03 CD04 4J029 AA07 AB07 AC01 AE04 BG07X BG08X BG23X BG24X BG25X CA03 CA04 CA05 CA06 CB04A CB05A CB06A CB10A CD03 GA32 GA33 HA01 HB01 HB06

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記に示す成分(α)を必須成分とする
    組成物であって、該組成物を硬化して得られる硬化物の
    25℃での屈折率が1.58以上かつ23℃での比重が
    1.40以下であることを特徴とするプラスチックレン
    ズ用組成物。 ・成分(α):下記一般式(1)で表される基の少なく
    とも一種以上を末端基として有し、下記一般式(2)で
    表される基を繰り返し単位として有する化合物 一般式(1) 【化1】 (式中、R1はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
    基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立に2価のカル
    ボン酸あるいはカルボン酸無水物から誘導された有機残
    基を表す。) 一般式(2) 【化2】 (式中、A2はそれぞれ独立に2価のカルボン酸あるい
    はカルボン酸無水物から誘導された有機残基を表し、X
    は、それぞれ独立の有機残基でありかつ2個以上の水酸
    基を有する臭素含有化合物から誘導された有機残基を必
    須成分とする一種以上の有機残基を表す。ただし、Xは
    エステル結合によって、さらに上記一般式(1)を末端
    基とし、上記一般式(2)を繰り返し単位とする分岐構
    造を有することが出来る。)
  2. 【請求項2】 下記に示す成分(α)及び成分(β)を
    含有する組成物であって、該組成物を硬化して得られる
    硬化物の25℃での屈折率が1.58以上かつ23℃で
    の比重が1.40以下であることを特徴とするプラスチ
    ックレンズ用組成物。 ・成分(α):一般式(1)で表される基の少なくとも
    一種以上を末端基として有し、一般式(2)で表される
    基を繰り返し単位として有する化合物を、全硬化性成分
    に対して10質量%〜60質量% 一般式(1) 【化3】 (式中、R1はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
    基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立に2価のカル
    ボン酸あるいはカルボン酸無水物から誘導された有機残
    基を表す。) 一般式(2) 【化4】 (式中、A2はそれぞれ独立に2価のカルボン酸あるい
    はカルボン酸無水物から誘導された有機残基を表し、X
    は、それぞれ独立の有機残基でありかつ2個以上の水酸
    基を有する臭素含有化合物から誘導された有機残基を必
    須成分とする一種以上の有機残基を表す。ただし、Xは
    エステル結合によって、さらに上記一般式(1)を末端
    基とし、上記一般式(2)を繰り返し単位とする分岐構
    造を有することが出来る。) ・成分(β) 下記一般式(3)及び下記一般式(4)
    で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも一
    種以上の化合物を、全硬化性成分に対して10質量%〜
    90質量% 一般式(3) 【化5】 (式中、R2及びR3は、それぞれ独立にアリル基または
    メタリル基のいずれかを表す。) 一般式(4) 【化6】 (式中、R4及びR5は、それぞれ独立にアリル基または
    メタリル基のいずれかを表す。)
  3. 【請求項3】 下記に示す成分(α)、成分(β)及び
    成分(γ)を含有する組成物であって、該組成物を硬化
    して得られる硬化物の25℃での屈折率が1.58以上
    かつ23℃での比重が1.40以下であることを特徴と
    するプラスチックレンズ用組成物。 ・成分(α):一般式(1)で表される基の少なくとも
    一種以上を末端基として有し、一般式(2)で表される
    基を繰り返し単位として有する化合物を、全硬化性成分
    に対して10質量%〜60質量% 一般式(1) 【化7】 (式中、R1はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
    基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立に2価のカル
    ボン酸あるいはカルボン酸無水物から誘導された有機残
    基を表す。) 一般式(2) 【化8】 (式中、A2はそれぞれ独立に2価のカルボン酸あるい
    はカルボン酸無水物から誘導された有機残基を表し、X
    は、それぞれ独立の有機残基でありかつ2個以上の水酸
    基を有する臭素含有化合物から誘導された有機残基を必
    須成分とする一種以上の有機残基を表す。ただし、Xは
    エステル結合によって、さらに上記一般式(1)を末端
    基とし、上記一般式(2)を繰り返し単位とする分岐構
    造を有することが出来る。) ・成分(β) 下記一般式(3)及び下記一般式(4)
    で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも一
    種以上の化合物を、全硬化性成分に対して10質量%〜
    90質量% 一般式(3) 【化9】 (式中、R2及びR3は、それぞれ独立にアリル基または
    メタリル基のいずれかを表す。) 一般式(4) 【化10】 (式中、R4及びR5は、それぞれ独立にアリル基または
    メタリル基のいずれかを表す。) ・成分(γ) ジベンジルマレート、ジフェニルマレー
    ト、ジベンジルフマレート、ジフェニルフマレート、2
    −フェニル安息香酸(メタ)アリル、3−フェニル安息
    香酸(メタ)アリル、4−フェニル安息香酸(メタ)ア
    リル、α−ナフトエ酸(メタ)アリル、β−ナフトエ酸
    (メタ)アリル、o−クロロ安息香酸(メタ)アリル、
    m−クロロ安息香酸(メタ)アリル、p−クロロ安息香
    酸(メタ)アリル、2,6−ジクロロ安息香酸(メタ)
    アリル、2,4−ジクロロ安息香酸(メタ)アリル、o
    −ブロモ安息香酸(メタ)アリル、m−ブロモ安息香酸
    (メタ)アリル、p−ブロモ安息香酸(メタ)アリルか
    らなる群より選ばれる少なくとも一種以上の化合物を、
    全硬化性成分に対して0質量%〜20質量%
  4. 【請求項4】 臭素含有化合物が、下記一般式(5)〜
    下記一般式(6)で表される化合物から選ばれる少なく
    とも一種以上であることを特徴とする請求項1〜請求項
    3のいずれかに記載のプラスチックレンズ用組成物。 一般式(5) 【化11】 (式中、R6は、それぞれ独立に下記構造式(1)〜下
    記構造式(3)で表される有機基から選ばれる少なくと
    も一種以上を表し、R7は、それぞれ独立に下記構造式
    (4)〜下記構造式(6)から選ばれる少なくとも1種
    を表す。また、式中、a、bはそれぞれ独立に0あるい
    は1〜10の整数を表し、Z1、Z2、Z3、Z4、Z5
    6、Z7及びZ8はそれぞれ独立に臭素、塩素及び水素
    から選ばれる少なくとも一種以上の置換基であることを
    表しかつZ1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7及びZ8
    少なくとも1つが臭素であることを表す。また、式中、
    Yは下記構造式(7)あるいは下記構造式(8)から選
    ばれるいずれかの有機基を表す。) 一般式(6) 【化12】 (式中、R8は、それぞれ独立に下記構造式(9)〜下
    記構造式(11)で表される有機基から選ばれる少なく
    とも一種以上を表し、R9は、それぞれ独立に下記構造
    式(12)〜下記構造式(14)から選ばれる少なくと
    も1種を表す。また、式中、c、dはそれぞれ独立に0
    あるいは1〜10の整数を表し、Z9、Z1 0、Z11、Z
    12、Z13、Z14、Z15及びZ16はそれぞれ独立に臭素、
    塩素及び水素から選ばれる少なくとも一種以上の置換基
    であることを表しかつZ9、Z10、Z11、Z12、Z13
    14、Z15及びZ16の少なくとも1つが臭素であること
    を表す。) 構造式(1) 【化13】 構造式(2) 【化14】 構造式(3) 【化15】 構造式(4) 【化16】 構造式(5) 【化17】 構造式(6) 【化18】 構造式(7) 【化19】 構造式(8) 【化20】 構造式(9) 【化21】 構造式(10) 【化22】 構造式(11) 【化23】 構造式(12) 【化24】 構造式(13) 【化25】 構造式(14) 【化26】
  5. 【請求項5】 25℃での粘度が400mPa・s未満
    であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか
    に記載のプラスチックレンズ用組成物。
  6. 【請求項6】 プラスチックレンズ用組成物中の全硬化
    性成分100質量部に対して、紫外線吸収剤及び/また
    は光安定剤を0.01質量部〜2質量部含有する事を特
    徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のプラス
    チックレンズ用組成物。
  7. 【請求項7】 紫外線吸収剤の少なくとも一種以上が、
    下記構造式(15)で表される部位を分子内に有する化
    合物であることを特徴とする請求項6に記載のプラスチ
    ックレンズ用組成物。 構造式(15) 【化27】
  8. 【請求項8】 プラスチックレンズ用組成物中の全硬化
    性成分100質量部に対して、酸化防止剤を0.01質
    量部〜5質量部含有する事を特徴とする請求項1〜請求
    項7のいずれかに記載のプラスチックレンズ用組成物。
  9. 【請求項9】 酸化防止剤の少なくとも一種以上が、ホ
    スファイト系酸化防止剤であることを特徴とする請求項
    8に記載のプラスチックレンズ用組成物。
  10. 【請求項10】 プラスチックレンズ用組成物中の全硬
    化性成分100質量部に対して、少なくとも一種以上の
    ラジカル重合開始剤0.1質量部〜10質量部を含有す
    ることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記
    載のプラスチックレンズ用組成物。
  11. 【請求項11】 少なくとも一種以上のラジカル重合開
    始剤が、下記一般式(7)で表される構造を有する化合
    物であることを特徴とする請求項10に記載のプラスチ
    ックレンズ用組成物。 一般式(7) 【化28】 (式中、R10及びR11は、それぞれ独立に炭素数1〜炭
    素数10のアルキル基、置換アルキル基、フェニル基及
    び置換フェニル基から選ばれる基を表す。)
  12. 【請求項12】 請求項1〜請求項11のいずれかに記
    載のプラスチックレンズ用組成物を硬化して得られる、
    25℃での屈折率が1.58以上かつ23℃での比重が
    1.40以下であるプラスチックレンズ。
  13. 【請求項13】 25℃での屈折率が1.58以上かつ
    23℃で比重が1.40以下であり、さらに元素分析に
    よる炭素濃度が50.0質量%〜70.0質量%で、元
    素分析による臭素濃度が9.0質量%〜15.0質量%
    であるプラスチックレンズ。
  14. 【請求項14】 請求項12又は請求項13のいずれか
    に記載のプラスチックレンズの製造方法が、重合温度3
    0℃〜120℃、重合時間0.5時間〜100時間での
    注型重合であることを特徴とするプラスチックレンズの
    製造方法。
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