JP2001201605A - プラスチックレンズ用組成物、プラスチックレンズ及び該プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

プラスチックレンズ用組成物、プラスチックレンズ及び該プラスチックレンズの製造方法

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JP2001201605A
JP2001201605A JP2000266383A JP2000266383A JP2001201605A JP 2001201605 A JP2001201605 A JP 2001201605A JP 2000266383 A JP2000266383 A JP 2000266383A JP 2000266383 A JP2000266383 A JP 2000266383A JP 2001201605 A JP2001201605 A JP 2001201605A
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plastic lens
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structural formula
group
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JP2000266383A
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Kazuhiko Oga
一彦 大賀
Yasuji Tanaka
保二 田中
Tsuneo Tajima
恒男 但馬
Hiroshi Uchida
博 内田
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Showa Denko KK
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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Polymerization Catalysts (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保存安定性が良好で、硬化時の型の損傷が起
きにくいプラスチックレンズ用組成物、並びに染色むら
の少ないプラスチックレンズの提供。 【解決手段】 ポリアリルカーボネートと、末端にアリ
ルエステル基を有するアリルエステルオリゴマーを含有
することを特徴とするプラスチックレンズ用組成物、並
びに該組成物を成形して得られる染色むらを低減したプ
ラスチックレンズ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックレン
ズ、特に視力矯正用プラスチックレンズにおいて、染色
むらの発生を抑制し、かつ、型の損傷を抑制することが
できるプラスチックレンズが製造可能なプラスチックレ
ンズ用組成物、並びに該組成物を硬化して得られるプラ
スチックレンズ及び該プラスチックレンズの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機ガラスは光学材料用、例え
ば、カメラ、テレビ、プリズム、望遠鏡、眼鏡レンズな
どに多く用いられている。特に、眼鏡レンズは、無機ガ
ラスから有機ガラス、特にプラスチックレンズへの置き
換えが進んでいる。この様な状況下、プラスチックレン
ズには従来に増して軽量であること、成型が容易である
こと、染色性が良好で染色むらが生じにくいことなどの
特性が要求されている。
【0003】従来、プラスチックレンズの原料として使
用されていた組成物、特に硬化性樹脂の代表例としては
ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチル
メタクリレート樹脂、ポリジエチレングリコールビス
(アリルカーボネート)樹脂などが挙げられる。これら
の樹脂の物性や製法については以前から知られており、
詳しくは例えばプラスチックエージ(Vol 35,1
98〜202ページ(1989))などに記載されてい
る。
【0004】この中で、各々の樹脂に由来するプラスチ
ックレンズの特徴について、以下のように記述されてい
る。ポリスチレン樹脂由来のプラスチックレンズでは、
屈折率は高いものの、複屈折や光散乱などの点で十分な
値が得られていない欠点があるとされている。また、ポ
リカーボネート樹脂由来のプラスチックレンズには、耐
衝撃性は高いが、耐溶剤性や耐傷つき性などが劣る欠点
が指摘されている。更に、ポリメチルメタクリレート樹
脂由来のプラスチックレンズでは、屈折率が低く、耐衝
撃性についても満足できるレベルではないことが述べら
れている。
【0005】これらに対して、ポリジエチレングリコー
ルビス(アリルカーボネート)樹脂由来のプラスチック
レンズが知られている(例えば、欧州特許出願公開04
73163)が、このプラスチックレンズは、屈折率は
1.498と低いが、耐衝撃性に優れ、アッベ数が高い
など、特に眼鏡用のプラスチックレンズとして優位な特
徴を有しており、最も多く使用されている。
【0006】さらに、ポリジエチレングリコールビス
(アリルカーボネート)樹脂は、重合反応がアクリル系
樹脂に比較すると遅いので、重合反応をコントロールし
やすい。故に、均一な重合反応が可能であり、ポリジエ
チレングリコールビスアリルカーボネート樹脂由来のプ
ラスチックレンズは、光学ひずみが少ない長所を有す
る。
【0007】また、ポリジエチレングリコールビス(ア
リルカーボネート)樹脂由来のプラスチックレンズの染
色性についても、注型成形法で得られたプラスチックレ
ンズを高温下で染色液につける一般的な手法により染色
する場合、染色濃度については他樹脂由来のプラスチッ
クレンズに対して優れていることが知られている。
【0008】しかし、ポリジエチレングリコールビス
(アリルカーボネート)樹脂由来のプラスチックレンズ
の場合、樹脂をレンズの型に入れ重合した後、型と硬化
物を剥離する際に、型の損傷が生じるという欠点を有し
ていた。
【0009】一般に、プラスチックレンズは、2つのガ
ラスの型の間でプラスチックレンズ用組成物を重合させ
ることによって作られる。型は注型成形の後洗浄されな
ければならず、そのような洗浄は通常、強アルカリ液ま
たは強酸を用いて行われる。この際ガラスは、金属とは
異なり、洗浄によって変質しづらいという理由から、型
の材料に好ましく用いられている。さらにガラスは容易
に研磨され、そして非常に表面の粗さを少なくできると
いう点でも優れている。
【0010】一方、プラスチックレンズの重合工程は硬
化収縮を伴う。しかし、注型レンズはガラス表面のカー
ブを完全に型どるものでなければならない。このこと
は、重合中における組成物のガラスへの良い接着性を要
求する。
【0011】他方、プラスチックレンズ用組成物の重合
後、レンズはガラス型から外されなければならない。実
際には、この工程は以下のようである。即ち、型がくさ
びでこじあけられる。この工程で非常に大きなエネルギ
ーが解放され、時々衝撃がおこることさえある。
【0012】そのような力による剥離は、いつも型の損
傷をもたらす。すなわちガラスの一部分が引き抜かれ、
以後ガラス型として使用できなくなる。これは、レンズ
の製造において無秩序に起きる現象である。普通、これ
はプラスチックレンズ製造量の数%に影響を及ぼす。
【0013】そのような型の損傷を低減させるために少
量の剥離剤を加えることがあるが、この方法では、レン
ズの他の特性、例えば、次工程で施与される耐引掻きコ
ーティングの接着などに影響する。従って、剥離剤の使
用はこの問題の解決法としては不十分である。
【0014】上記の問題を低減する技術として、特表平
10−513574号公報や国際出願公開特許WO99
/17137号が開示されている。
【0015】特表平10−513574号公報では、ジ
アリルフタレートオリゴマーの使用が開示されており、
これによって、剥離時の型の損傷が生じるという欠点は
多少改善されている。しかし、まだこの技術では満足で
きるレベルではない。さらに、ジアリルフタレートオリ
ゴマーの添加は、硬化したレンズの屈折率を高くする傾
向にあり、ポリジエチレングリコールビス(アリルカー
ボネート)樹脂由来のプラスチックレンズ用の型を使用
する上では好ましいことではない。また、耐候性にも問
題がある。
【0016】また、国際出願公開特許WO99/171
37号では、シクロヘキシルジアリルオリゴマーの使用
が開示されており、この技術によって、剥離時の型の損
傷が生じるという欠点はかなり改善されている。しか
し、この技術では別の問題を生じる。というのは、シク
ロヘキシルジアリルオリゴマーは、シクロヘキシルジカ
ルボキシレートユニットのトランス構造が一定割合以上
存在すると、常温以下の温度で長期保存中に白濁してし
まいプラスチックレンズの原料としては使用できなくな
ってしまうという欠点を有している。
【0017】また、プラスチックレンズの染色性に要求
されるもう一つの特性である均一な染色が可能であるこ
と、すなわち染色むらの低減に関しても、特表平10−
513574号公報や国際出願公開特許WO99/17
137号の技術で改善効果はあるものの、硬化物とガラ
スの型を剥離するときに生じる型の損傷と染色むらの2
つの欠点を同時に解決でき、かつ、シクロヘキシルジア
リルオリゴマーのようなハンドリング上の問題を生じる
ことのないような有効対策の決定版はなく、ポリジエチ
レングリコールビス(アリルカーボネート)樹脂由来の
プラスチックレンズの大きな問題点とされている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリジエチ
レングリコールビス(アリルカーボネート)樹脂由来の
プラスチックレンズの上記問題点、即ち、硬化物とガラ
スの型を剥離するときに生じる型の損傷と染色むらの2
つの欠点を同時に解決でき、かつ、シクロヘキシルジア
リルオリゴマーのようなハンドリング上の問題を生じる
ことのないプラスチックレンズ用組成物の提供、該組成
物を硬化して得られるプラスチックレンズの提供及び該
プラスチックレンズの製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するにために、広範囲にわたる組成物、並びにそ
の組成について鋭意研究を行った。その結果、特定の構
造を有するポリアリルカーボネートと、末端にアリルエ
ステル基を有し、特定の構造を有する2価のカルボン酸
と多価アルコールから誘導されたアリルエステルオリゴ
マーを含有することを特徴とするプラスチックレンズ用
組成物、並びに該組成物を硬化して得られるプラスチッ
クレンズが、硬化物とガラスの型を剥離するときに生じ
る型の損傷と染色むらの2つの欠点を同時に解決でき、
かつ、シクロヘキシルジアリルオリゴマーのようなハン
ドリング上の問題を生じることのないことを見出し、本
発明を完成させるに至った。
【0020】すなわち本発明(I)は、プラスチックレ
ンズ用組成物中に含まれる全硬化性成分に対して、下記
の成分(1)及び成分(2)を含有することを特徴とす
るプラスチックレンズ用組成物である。 ・成分(1):下記一般式(1)で表される化合物・・
・20質量%〜98質量% ・成分(2):下記一般式(2)で表される基の少なく
とも一種以上を末端基として有し、且つ下記一般式
(3)で表される基を繰り返し単位として有する化合物
・・・2質量%〜80質量% 一般式(1)
【0021】
【化19】
【0022】(式中、Xはn個の水酸基を有する炭素数
2〜炭素数20の多価アルコールから誘導された有機残
基を表し、nは2〜6の整数であり、R1は、アリル基
またはメタリル基のいずれかを表す。ただし、それぞれ
1は、それぞれ独立である。また、sは0〜n−1の
整数のいずれかであり、tは1〜nの整数のいずれかで
あり、且つs+t=nである。) 一般式(2)
【0023】
【化20】
【0024】(式中、R2はそれぞれ独立にアリル基ま
たはメタリル基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立
に構造式−1〜構造式−3で表されるいずれかの有機残
基を表す。) 一般式(3)
【0025】
【化21】
【0026】(式中、A2はそれぞれ独立に構造式−1
〜構造式−3で表されるいずれかの有機残基を表し、Y
はそれぞれ独立に2個〜6個の水酸基を有する炭素数2
〜20の多価アルコールから誘導された有機残基を表
す。ただし、Yはエステル結合によって、さらに上記一
般式(2)を末端基とし、上記一般式(3)を繰り返し
単位とする分岐構造を有することができる。)
【0027】構造式−1
【化22】 構造式−2
【化23】 構造式−3
【化24】
【0028】なお、本明細書記載の「全硬化性成分」と
は、プラスチックレンズ用組成物中に含まれる成分
(1)及び成分(2)を必須成分とし、所望により成分
(1)及び成分(2)のうちの少なくとも一種以上と共
重合可能なモノマーを合わせた総量を意味する。
【0029】また、本発明(II)はプラスチックレン
ズ用組成物中に含まれる全硬化性成分に対して、下記の
成分(1)及び成分(2)を含有することを特徴とする
プラスチックレンズ用組成物である。 ・成分(1):下記一般式(1)で表される化合物・・
・60質量%〜98質量% ・成分(2):下記一般式(2)で表される基の少なく
とも一種以上を末端基として有し、且つ下記一般式
(3)で表される基を繰り返し単位として有する化合物
・・・2質量%〜20質量% 一般式(1)
【0030】
【化25】
【0031】(式中、Xはn個の水酸基を有する炭素数
2〜炭素数20の多価アルコールから誘導された有機残
基を表し、nは2〜6の整数であり、R1は、アリル基
またはメタリル基のいずれかを表す。ただし、それぞれ
1は、それぞれ独立である。また、sは0〜n−1の
整数のいずれかであり、tは1〜nの整数のいずれかで
あり、且つs+t=nである。) 一般式(2)
【0032】
【化26】
【0033】(式中、R2はそれぞれ独立にアリル基ま
たはメタリル基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立
に構造式−1〜構造式−3で表されるいずれかの有機残
基を表す。) 一般式(3)
【0034】
【化27】
【0035】(式中、A2はそれぞれ独立に構造式−1
〜構造式−3で表されるいずれかの有機残基を表し、Y
はそれぞれ独立に2個〜6個の水酸基を有する炭素数2
〜20の多価アルコールから誘導された有機残基を表
す。ただし、Yはエステル結合によって、さらに上記一
般式(2)を末端基とし、上記一般式(3)を繰り返し
単位とする分岐構造を有することができる。)
【0036】構造式−1
【化28】 構造式−2
【化29】 構造式−3
【化30】
【0037】さらに、本発明(III)は、プラスチッ
クレンズ用組成物中に含まれる全硬化性成分に対して、
下記の成分(1)〜成分(3)を含有することを特徴と
するプラスチックレンズ用組成物である。 ・成分(1):下記一般式(1)で表される化合物・・
・60質量%〜98質量% ・成分(2):下記一般式(2)で表される基の少なく
とも一種以上を末端基として有し、且つ下記一般式
(3)で表される基を繰り返し単位として有する化合物
・・・2質量%〜20質量% ・成分(3):成分(1)及び成分(2)のうちの少な
くとも一種以上と共重合可能なモノマー・・・20質量
%以下 一般式(1)
【0038】
【化31】
【0039】(式中、Xはn個の水酸基を有する炭素数
2〜炭素数20の多価アルコールから誘導された有機残
基を表し、nは2〜6の整数であり、R1は、アリル基
またはメタリル基のいずれかを表す。ただし、それぞれ
1は、それぞれ独立である。また、sは0〜n−1の
整数のいずれかであり、tは1〜nの整数のいずれかで
あり、且つs+t=nである。) 一般式(2)
【0040】
【化32】
【0041】(式中、R2はそれぞれ独立にアリル基ま
たはメタリル基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立
に構造式−1〜構造式−3で表されるいずれかの有機残
基を表す。) 一般式(3)
【0042】
【化33】
【0043】(式中、A2はそれぞれ独立に構造式−1
〜構造式−3で表されるいずれかの有機残基を表し、Y
はそれぞれ独立に2個〜6個の水酸基を有する炭素数2
〜20の多価アルコールから誘導された有機残基を表
す。ただし、Yはエステル結合によって、さらに上記一
般式(2)を末端基とし、上記一般式(3)を繰り返し
単位とする分岐構造を有することができる。)
【0044】構造式−1
【化34】 構造式−2
【化35】 構造式−3
【化36】
【0045】さらに、本発明(IV)は、本発明(I)
〜本発明(III)のプラスチックレンズ用組成物中に
含まれる全硬化性成分100質量部に対して、少なくと
も一種以上のラジカル重合開始剤を0.1質量部〜10
質量部の範囲で含有することを特徴とするプラスチック
レンズ用組成物に関するものである。
【0046】さらに、本発明(V)は、本発明(IV)
に記載のプラスチックレンズ用組成物を硬化して得られ
るプラスチックレンズ、特に視力矯正用プラスチックレ
ンズに関するものである。
【0047】さらに、本発明 (VI)は、本発明(I
V)に記載のプラスチックレンズ用組成物を硬化するプ
ラスチックレンズの製造方法において、該製造方法が、
重合温度30℃〜120℃、重合時間0.5時間〜10
0時間での注型重合によって製造されることを特徴とす
るプラスチックレンズの製造方法に関するものである。
【0048】以下、本発明についてより詳しく説明す
る。まず、本発明(I)〜本発明(III)のプラスチ
ックレンズ用組成物について説明する。
【0049】本発明(I)〜本発明(III)のプラス
チックレンズ用組成物に含まれる成分(1)、すなわち
一般式(1)で表される化合物は、公知の方法で合成す
ることができる。例えば、ジアリルカーボネートと多価
アルコールとを触媒の存在下、エステル交換反応による
方法(特公平3−66327号公報)、アリルアルコー
ルと塩化カルボニル、多価アルコールを脱塩酸しながら
反応させる方法(米国特許2370565号、米国特許
2592058号)等を挙げることができるが、これら
に限定されるものではない。 一般式(1)
【0050】
【化37】
【0051】(式中、Xはn個の水酸基を有する炭素数
2〜炭素数20の多価アルコールから誘導された有機残
基を表し、nは2〜6の整数であり、R1は、アリル基
またはメタリル基のいずれかを表す。ただし、それぞれ
1は、それぞれ独立である。また、sは0〜n−1の
整数のいずれかであり、tは1〜nの整数のいずれかで
あり、且つs+t=nである。)
【0052】一般式(1)中、Xは、2個〜6個の水酸
基を有する炭素数2〜炭素数20の多価アルコールから
誘導された有機残基を表す。ここでいう「2個〜6個の
水酸基を有する炭素数2〜炭素数20の多価アルコー
ル」としては、以下のようなものがある。
【0053】まず、2価のアルコールの具体例としては
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−
プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−
ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチ
レングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール
等が挙げられる。
【0054】また、3価以上の多価アルコールの具体例
としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリ
メチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタリ
スリトール、ソルビドール等が挙げられる。更に、ジエ
チレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチ
レングリコール、ポリエチレングリコール等の主鎖にエ
ーテル基を含んだ2価の飽和アルコール等も含まれる。
さらにこれらのアルコールの二種以上の混合物であって
もかまわない。いうまでもなく、これらの具体例に限定
されるものではない。
【0055】これらの多価アルコールの中で好ましく使
用されるものとしては、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレング
リコール等が挙げられる。より好ましくは、ジエチレン
グリコールである。多価アルコールにジエチレングリコ
ールを用いた場合、得られるポリ(アリルカーボネー
ト)はジエチレングリコールビス(アリルカーボネー
ト)であり、具体的にはPPG社の商品名CR−39,
Akzo Nobel社の商品名Nouryset20
0等が挙げられる。
【0056】一般式(1)中、R1はアリル基またはメ
タリル基のいずれかの基を表す。ただし、それぞれのR
1はそれぞれ独立である。例えば、n=3のとき、一般
式(3)は、下記構造式−4〜構造式−6で表される化
合物の混合物として表される。
【0057】構造式−4
【化38】 構造式−5
【化39】 構造式−6
【化40】
【0058】このとき、例えば構造式−4における3個
のR1は、3個ともアリル基であっても、3個ともメタ
リル基であっても、また、2個がアリル基で1個がメタ
リル基であっても、1個がアリル基で2個がメタリル基
であってもいっこうに差し支えない。もちろん、構造式
−5における2個のR1も、構造式−6におけるR1も同
様である。
【0059】一般式(1)中、Xは2個〜6個の水酸基
を有する炭素数2〜炭素数20の多価アルコールから誘
導される有機残基である。Xの水酸基が6を越えた整数
である多価飽和アルコールから誘導された有機残基を有
する化合物をプラスチックレンズ用組成物に用いた場
合、硬化して得たプラスチックレンズの耐衝撃性が劣る
恐れがあり、好ましくない。また、Xの水酸基が2未満
の整数(即ち1)であるアルコールから誘導される有機
残基を有する化合物をプラスチックレンズ用組成物に用
いた場合、硬化して得たプラスチックレンズの耐熱性ま
たは耐溶剤性が極端に低下してしまい好ましくない。
【0060】Xの水酸基の数をnとした場合に、sは0
〜n−1の整数のいずれかであり、tは1〜nの整数の
いずれかであり、且つs+t=nである。一般式(1)
においてtは少なくとも1以上の整数であればよいが、
最終的なプラスチックレンズの物性から、出きるだけ多
くの水酸基がカーボネート基に置換されている方がよ
い。tがn未満である各化合物の割合にもよるが、一般
式(1)で表される化合物において好ましくはt=nで
ある化合物が80質量%以上である範囲であり、より好
ましくは90質量%以上の範囲である。 一般式(2)
【0061】
【化41】
【0062】(式中、R2はそれぞれ独立にアリル基ま
たはメタリル基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立
に構造式−1〜構造式−3で表されるいずれかの有機残
基を表す。) 一般式(3)
【0063】
【化42】
【0064】(式中、A2はそれぞれ独立に構造式−1
〜構造式−3で表されるいずれかの有機残基を表し、Y
はそれぞれ独立に2個〜6個の水酸基を有する炭素数2
〜20の多価アルコールから誘導された有機残基を表
す。ただし、Yはエステル結合によって、さらに上記一
般式(2)を末端基とし、上記一般式(3)を繰り返し
単位とする分岐構造を有することができる。) 構造式−1
【0065】
【化43】 構造式−2
【0066】
【化44】 構造式−3
【0067】
【化45】
【0068】一般式(2)において、R2はそれぞれ独
立に、アリル基またはメタリル基のいずれかを表す。ま
た、一般式(2)において、A1は、それぞれ独立に、
構造式−1〜構造式−3で表される有機残基を表す。ま
た、一般式(3)においてA 2は、それぞれ独立に、構
造式−1〜構造式−3で表される有機残基を表す。さら
に、一般式(3)において、Yはそれぞれ独立に2個〜
6個の水酸基を有する炭素数2〜20の多価アルコール
から誘導された有機残基を表す。
【0069】ここで言う「R2はそれぞれ独立に」と
は、本発明(I)〜本発明(III)の組成物中の一般
式(2)で表される末端基中のR2で表される部分のす
べてがアリル基であっても、メタリル基であっても、ま
た、一部がアリル基で他部がメタリル基であってもいい
ことを意味する。
【0070】一般式(2)中のA1は、それぞれ独立
に、構造式−1〜構造式−3で表される有機残基を表
す。一般式(3)中のA2も、同様にそれぞれ独立に、
構造式−1〜構造式−3で表される有機残基を表す。構
造式−1〜構造式−3の有機残基を誘導できる2価のカ
ルボン酸としては、それぞれ構造式−7〜構造式−9で
示される化合物が挙げられ、構造式−1〜構造式−3の
有機残基を誘導できる2価のカルボン酸無水物として
は、それぞれ構造式−10〜構造式−12で示される化
合物が挙げられる。 構造式−7
【0071】
【化46】 構造式−8
【0072】
【化47】 構造式−9
【0073】
【化48】 構造式−10
【0074】
【化49】 構造式−11
【0075】
【化50】 構造式−12
【0076】
【化51】
【0077】また、ここで言う「A1はそれぞれ独立
に」または「A2はそれぞれ独立に」とは、本発明
(I)〜本発明(III)の組成物中の一般式(2)で
表される末端基中のA1で表される部分、又は本発明
(I)〜本発明(III)の組成物中の一般式(3)で
表される繰り返し単位のA2で表される部分(以下、
「A1」及び「A2」をまとめて「A」と表現する。)の
すべてが同一構造を有する有機残基であっても、すべて
が異なる構造を有する有機残基であっても、また、一部
が同一構造を有する有機残基で他部が異なる構造を有す
る有機残基であってもいいことを意味する。
【0078】即ち、本発明(I)〜本発明(III)の
組成物中に含まれる、一般式(2)で表される基の少な
くとも一種以上を末端基として有し、且つ一般式(3)
で表される基を繰り返し単位として有する化合物の一例
である下記構造式−13においては、3個のAのそれぞ
れが独立であることを意味する。 構造式−13
【0079】
【化52】
【0080】(構造式−13において、Aはそれぞれ独
立に、下記構造式−1〜構造式−3のいずれかで表され
る有機残基を表す。また、Yは3個の水酸基を有する炭
素数2〜炭素数20の多価アルコールから誘導された有
機残基を表す。) 構造式−1
【0081】
【化53】 構造式−2
【化54】 構造式−3
【化55】
【0082】例えば、構造式−13における3個のA
は、すべて異なった脂環構造を有する有機残基(即ち、
構造式−1、構造式−2及び構造式−3で表される有機
残基が1つずつ)であっても、すべてが同一の脂環構造
有する有機残基(即ち、3つのAはすべて構造式−1で
表される有機残基か、3つのAはすべて構造式−2で表
される有機残基か、あるいは3つのAはすべて構造式−
3で表される有機残基かのいずれか)であっても、ある
いは3つのAの内、2つは同一の脂環構造を有する有機
残基(ただし、構造式−1〜構造式−8のいずれかで表
される有機残基)であり、他の1つは別の種類の脂環構
造を有する有機残基(ただし、構造式−1〜構造式−8
のいずれかで表される有機残基)であるといった混合構
造であってもいっこうに差し支えない。
【0083】さらに、ここで言う「Yはそれぞれ独立
に」とは、一般式(3)で表される繰り返し単位の一例
である下記構造式−14においては、その繰り返し構造
中に含まれるm個のYのそれぞれが独立であることを意
味する。 構造式−14
【0084】
【化56】
【0085】(構造式−14において、Yはそれぞれ独
立に2個〜6個の水酸基を有する炭素数2〜炭素数20
の多価アルコールから誘導された有機残基を表し、mは
0又は1以上の整数を表す。また、mが1以上の整数で
ある場合は、nは0または1〜4の整数を表し、Aは、
それぞれ独立に構造式−1〜構造式−3で表される有機
残基である。)
【0086】例えば、構造式−14におけるm個のY
は、ずべて異なった多価アルコールから誘導される有機
残基(即ち、m種類の多価アルコールから誘導される有
機残基が1つずつ)であっても、すべて同一の多価アル
コールから誘導される有機残基(即ち、一種類の多価ア
ルコールから有機残基がm個)であっても、あるいはm
個のYの内、いくらかは同一の多価アルコールから誘導
される有機残基であり、他のいくらかは別の種類の多価
アルコールから誘導される有機残基であるといった混合
構造であってもいっこうに差し支えない。さらには、そ
の混合構造も、全部が完全にランダムであっても一部は
繰り返してもかまわない。
【0087】さらに、Yはエステル結合によって、さら
に一般式(2)を末端基とし、一般式(3)を繰り返し
単位とする分岐構造を有することができる。即ち、例え
ばYに3価のアルコールの一例であるトリメチロールプ
ロパンから誘導される有機残基が存在した場合、本発明
(I)〜本発明(III)の組成物中に含まれる、一般
式(2)で表される基の少なくとも一種以上を末端基と
して有し、且つ一般式(3)で表される基を繰り返し単
位として有する化合物は下記構造式−15で表される部
分構造を有することができる。 構造式−15
【0088】
【化57】
【0089】もちろん、Yはそれぞれ独立に2個〜6個
の水酸基を有する炭素数2〜炭素数20の多価アルコー
ルから誘導された有機残基である。また、Aは、それぞ
れ独立に構造式−1〜構造式−3で表される有機残基の
いずれかである。
【0090】一般式(3)におけるYはそれぞれ独立に
2個〜6個の水酸基を有する炭素数2〜炭素数20の多
価アルコールから誘導された有機残基を表す。ここで言
う「2個〜6個の水酸基を有する炭素数2〜炭素数20
の多価アルコール」としては、以下のようなものがあ
る。ただし、いうまでもなく、これらの具体例に限定さ
れるものではない。
【0091】まず、2価の飽和アルコールの具体例とし
てはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,
3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,
3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6
−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、ジエチレングリコール等が挙げられる。また、3
価以上の多価飽和アルコールの具体例としては、グリセ
リン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタ
ン、ペンタエリスリトール、ジペンタリスリトール、ソ
ルビドール等が挙げられる。更に、ジエチレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール等の主鎖にエーテル基を含
んだ2価の飽和アルコール等も含まれる。いうまでもな
く、これらの具体例に限定されるものではない。これら
の中で、好ましいものは、1,3−プロパンジオール、
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、
ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタ
ノールであり、特に好ましいものは、1,3−プロパン
ジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール、ジエチレングリコールである。
【0092】本発明(I)〜本発明(III)の組成物
中に含まれる成分(2)、すなわち一般式(2)で表さ
れる基の少なくとも一種以上を末端基として有し、且つ
一般式(3)で表される基を繰り返し単位として有する
化合物の繰り返し単位である一般式(3)で表される基
の繰り返し回数に、特に制限はない。様々な繰り返し回
数を有する材料を混合して用いてもかまわない。また、
繰り返し回数が0である材料と繰り返し回数が1以上の
整数である材料と併用して用いてもいっこうに問題な
い。ただし、繰り返し回数が0である化合物のみを用い
るのは本発明の目的を達成するためには好ましいことで
はない。
【0093】本発明(I)〜本発明(III)の組成物
中に含まれる成分(2)の繰り返し単位である一般式
(3)で表される基の繰り返し回数は、通常0〜50の
整数であることが好ましい。繰り返し回数が50を越え
た化合物からのみなる成分(2)を本発明(I)〜本発
明(III)の組成物に用いた場合、アリル基の濃度が
低くなるために、硬化時に硬化遅延を起こしたり、化合
物の一部が未硬化で残存して硬化物の機械特性などの物
性低下に影響を及ぼす恐れがあり好ましくない。好まし
くは、プラスチックレンズ材料中のすべての化合物の繰
り返し回数が0〜50の範囲の整数であり、より好まし
くは0〜30の範囲の整数であり、さらに好ましくは0
〜10の範囲の整数である。
【0094】本発明(I)〜本発明(III)の組成物
中に含まれる成分(2)には、その製造条件によっては
原料であるジカルボン酸ジ(メタ)アリルエステルが残
存することもあるが、そのまま本発明(I)〜本発明
(III)の組成物の成分(2)として使用しても何ら
差し支えない。
【0095】なお、本明細書記載の「原料であるジカル
ボン酸ジ(メタ)アリルエステル」とは、原料であるジ
カルボン酸ジアリルエステル、原料であるジカルボン酸
ジメタリルエステル及び原料であるジカルボン酸アリル
メタリルエステルを意味する。具体的には、3−メチル
−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、3−
メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジメタリ
ル、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸
アリルメタリル、3−メチル−4−シクロヘキセン−
1,2−ジカルボン酸ジアリル、3−メチル−4−シク
ロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジメタリル、3−メ
チル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸アリ
ルメタリル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン
酸ジアリル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン
酸ジメタリル、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボ
ン酸アリルメタリルである。
【0096】本発明(I)〜本発明(III)のプラス
チックレンズ用組成物中に含まれる成分(2)は、公知
の方法で合成することができる。例えば、構造式−7〜
構造式−9の一種以上の2価カルボン酸、またはその無
水物(構造式−10〜構造式−12)のジ(メタ)アリ
ルエステルと多価アルコールを触媒存在下エステル交換
反応を行い合成する方法(特開平6−73145号公
報)等が挙げることができるが、これに限定されるもの
ではない。
【0097】なお、本明細書記載の「ジ(メタ)アリル
エステル」とは、ジアリルエステル、ジメタリルエステ
ル及びアリルメタリルエステルを意味する。
【0098】本発明(I)〜本発明(III)のプラス
チックレンズ用組成物中に含まれる全硬化性成分に対す
る成分(1)の配合量は、20質量%〜98質量%であ
り、好ましくは60質量%〜98質量%であり、より好
ましくは75質量%〜98質量%、最も好ましくは80
質量%〜98質量%である。20質量%未満では、該組
成物を硬化して得たプラスチックレンズの機械特性、光
学特性が低下する恐れがある。また、98質量%より多
いと、染色不良を生じ、好ましくない。
【0099】一方、本発明(I)〜本発明(III)の
プラスチックレンズ用組成物中に含まれる全硬化性成分
に対する成分(2)の配合量は、2質量%〜80質量%
であり、好ましくは2質量%〜20質量%である。さら
に好ましくは、2〜15質量%、最も好ましくは2〜1
0質量%である。2質量%未満では、染色むらの低減効
果が発現できなくなったなる恐れがある。また、配合量
が80質量%を越えることは、経済上好ましいことでは
ない。
【0100】一方、本発明のプラスチックレンズ用組成
物には、主に組成物の粘度調製を目的として、成分
(1)及び成分(2)のうちの少なくとも一種以上と共
重合可能なモノマー(以下、「成分(3)」と略す。)
を、本発明のプラスチックレンズ用組成物中に含まれる
全硬化性成分に対して20質量%を越えない範囲におい
て、一種以上加えることができる。
【0101】成分(3)に相当するモノマーとしては、
アクリル基、ビニル基、アリル基を有するモノマー等が
挙げられる。具体例としては、アクリル基を有するモノ
マーとしてはメチル(メタ)アクリレート、イソボルニ
ル(メタ)アクリレート等が、ビニル基を有するモノマ
ーとしてはビニルアセテート、ビニルベンゾエート等
が、更にアリル基を有するモノマーとしては、1,2−
シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,3−シクロ
ヘキサンジカルボン酸ジアリル、1,4−シクロヘキサ
ンジカルボン酸ジアリル等が挙げられる。もちろん、こ
れらの具体例に限定されるものではなく、硬化して得ら
れるプラスチックレンズの物性を損なわない範囲でジア
リルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイ
ソフタレート、アリルベンゾエート等の使用も可能であ
る。
【0102】プラスチックレンズ用組成物の粘度は、注
型の作業性を考慮した場合、25℃で10mPa・s〜
10000mPa・sの範囲にあることが一般的であ
り、好ましくは、10mPa・s〜5000mPa・s
の範囲にあり、さらに好ましくは、10mPa・s〜5
00mPa・sである。ここでいう「粘度」とは、回転
粘度計により測定されるもので、回転粘度計の詳細につ
いては「岩波理化学辞典第3版 1977年6月1日
第3版第8刷発行」に記載がある。
【0103】成分(3)の添加量は、本発明のプラスチ
ックレンズ用組成物中に含まれる全硬化性成分に対し
て、20質量%以下であり、好ましくは、10質量%以
下であり、さらに好ましくは、5質量%以下である。2
0質量%を越えて添加すると、該組成物を硬化して得ら
れるプラスチックレンズに求められる光学特性などの物
性値が低下する恐れがあり好ましくない。更に、プラス
チックレンズ用組成物に含まれるポリアリルカーボネー
ト及びアリルエステルオリゴマーの種類と配合比、硬化
して得られるプラスチックレンズに求められる光学特性
などの物性値によって、最適なモノマーが選択される。
【0104】次に本発明(IV)について説明する。本
発明(IV)は、本発明(I)〜本発明(III)のプ
ラスチックレンズ用組成物中に含まれる全硬化性成分1
00質量部に対して、少なくとも一種以上のラジカル重
合開始剤を0.1質量部〜10質量部の範囲で含有する
ことを特徴とするプラスチックレンズ用組成物に関する
ものである。
【0105】本発明のプラスチックレンズ用組成物は、
硬化剤としてラジカル重合開始剤を添加することが可能
であり、かつ好ましい。
【0106】本発明のプラスチックレンズ用組成物に添
加可能なラジカル重合開始剤には、特に制限はない。硬
化して得られるプラスチックレンズの光学特性などの物
性値に悪影響を及ぼすものでなければ、公知のもので構
わない。しかし、本発明で使用されるラジカル重合開始
剤は、硬化されるべき組成物中に存在する他の成分に可
溶であり、かつ30℃〜120℃でフリーラジカルを発
生するものが望ましい。
【0107】添加可能なラジカル重合開始剤の具体例と
しては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ
シクロヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プ
ロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチル
パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーベンゾエー
ト等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。硬化性の点から、好ましくはジイソプロピルパーオ
キシジカーボネートである。
【0108】ラジカル重合開始剤の添加量は、本発明の
プラスチックレンズ用組成物中に含まれる全硬化性成分
に対して0.1質量部〜10質量部の範囲、好ましくは
1質量部〜5質量部の範囲である。0.1質量部未満で
は、該組成物の硬化が不十分になる恐れがある。また、
10質量部を越えて添加することは、経済上好ましくな
い。
【0109】また、本発明のプラスチックレンズ用組成
物には、プラスチックレンズの性能向上に使用される一
般的な染料、顔料等の着色剤、紫外線吸収剤や、離型
剤、酸化防止剤などの添加剤を添加しても構わない。
【0110】着色剤としては、例えば、アントラキノン
系、アゾ系、カルボニウム系、キノリン系、キノンイミ
ン系、インジゴイド系、フタロシアニン系などの有機顔
料、アゾイック染料、硫化染料などの有機染料、チタン
イエロー、黄色酸化鉄、亜鉛黄、クロムオレンジ、モリ
ブデンレッド、コバルト紫、コバルトブルー、コバルト
グリーン、酸化クロム、酸化チタン、硫化亜鉛、カーボ
ンブラックなどの無機顔料などが挙げられる。
【0111】離型剤としては、ステアリン酸、ステアリ
ン酸ブチル、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アミド、
フッ素系化合物類、シリコン化合物類などが挙げられ
る。
【0112】紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒド
ロキシ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ルなどのトリアゾール類、2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノン等のベンゾフェノン類、4−tert−ブチル
フェニルサリシラート等のサリシラート類、ビス−
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)
セバシートなどのヒンダートアミン類が挙げられる。
【0113】酸化防止剤としては、2,6−ジ−ter
t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス−[メ
チレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]メタン等のフ
ェノール類、ジラウリル−3,3’−チオジプロオナー
ト等の硫黄類、トリスノニルフェニルホスファイト等の
リン系の酸化防止剤が挙げられる。
【0114】染料、顔料等の着色剤、紫外線吸収剤や、
離型剤、酸化防止剤などの添加剤の添加総量は、本発明
のプラスチックレンズ用組成物中に含まれる全硬化性成
分に対して1質量部以下であることが望ましい。
【0115】次に、本発明(V)のプラスチックレンズ
について説明する。本発明のプラスチックレンズは、2
5℃で1.497〜1.505の屈折率を必要とする。
一般式(1)で表される化合物を原料とするプラスチッ
クレンズ(屈折率1.498(25℃))を製造する際
に使用される型は、同等の屈折率を有するプラスチック
レンズを製造する際にのみ適しているものである。同一
の型を使用した場合、屈折率の変更はレンズの能力の変
更を意味する。高屈折率レンズとなる組成物は、同等の
能力を有するプラスチックレンズを得るためには異なる
型を必要とする。
【0116】従って、成分(1)、成分(2)、さらに
成分(3)によるレンズの特性改良は、型を変更する必
要がないようにするために、得られるレンズの屈折率を
限定すること無しには達成できない。好ましくは、本発
明のプラスチックレンズの屈折率は、25℃で1.49
8〜1.505であり、さらに好ましくは、1.498
〜1.503である。本明細書の記載の「屈折率」と
は、真空中の光の速度cと媒質中の位相速度υとの比c
/υのことであり、詳細は、「物理学辞典−縮刷版−
(物理化学辞典編集委員会 編、(株)培風館 発行)
1989年11月30日 初版第3刷」の「屈折率」
の項に記載がある。
【0117】さらに、本明細書に記載の屈折率の値は、
フラウンホーファーのd線(波長587.6nm)に対
する屈折率で、アタゴ社製「アッベ屈折計1T」を用い
て25℃で測定された値である。なお、アタゴ社製「ア
ッベ屈折計1T」の屈折率の測定原理は、全反射の臨界
角を測定する方法であり、その詳細は、「物理学辞典−
縮刷版− (物理化学辞典編集委員会 編、(株)培風
館 発行) 1989年11月30日 初版第3刷」の
「屈折計」の項の(1)全反射の臨界角を測定する方法
の部分に記載がある。
【0118】次に、本発明 (VI)のプラスチックレ
ンズの製造方法について説明する。本発明におけるプラ
スチックレンズ用組成物の成形加工方法には、注型成形
が適している。具体的には、組成物中にラジカル重合開
始剤を添加して、エラストマーガスケットやスペーサー
で固定化している型へ、ラインを通して注入して、オー
ブン中で、熱により硬化する方法などで成形する方法な
どが挙げられる。このとき、型として使用される材質と
しては、金属やガラスである。一般に、プラスチックレ
ンズの型は、注型成形の後洗浄されなければならず、そ
のような洗浄は通常、強アルカリ液または強酸を用いて
行われる。ガラスは、金属とは異なり、洗浄によって変
質しづらく、また、容易に研磨され、そして非常に表面
の粗さを少なくできるという理由から、好ましく用いら
れている。
【0119】本発明のプラスチックレンズ用組成物は脂
環構造を有するので、プラスチックレンズで多く使用さ
れているポリジエチレングリコールビスアリルカーボネ
ートを原料とするプラスチックレンズの屈折率1.49
8に容易に近づけることができる。従って、成形に用い
るモールド等を変更せずに、従来から使用している物を
そのまま使用ができるという利点もある。
【0120】成形の際の硬化温度は30℃〜120℃、
好ましくは40℃〜100℃である。また、硬化温度の
操作については、硬化時の収縮やひずみを考慮すると、
昇温しながら徐々に硬化する方法が好ましく、一般的に
は0.5時間〜100時間、好ましくは3時間〜50時
間、さらに好ましくは10時間〜30時間かけて硬化す
るのが良い。
【0121】本発明のプラスチックレンズの染色方法
に、特に制限はない。公知のプラスチックレンズの染色
法であれば、いずれの方法でも構わない。中でも、従来
から一般的な方法として知られる浸漬染色法が好まし
い。ここで言う「浸漬染色法」とは、分散染料を界面活
性剤と共に水中に分散させて染色液を調製し、加熱下に
おいて、この染色液にプラスチックレンズを浸漬して染
色する方法である。
【0122】プラスチックレンズの染色方法は、浸漬染
色法に限定されるわけではなく、他の公知の方法、例え
ば有機顔料を昇華させプラスチックレンズを染色する方
法(特公昭35−1384号公報)、昇華性染料を昇華
させてプラスチックレンズを染色する方法(特公昭56
−159376号公報、特公平1−277814号公
報)を用いることもできる。操作が簡便な点から、浸漬
染色法がもっとも好ましい。
【0123】
【実施例】以下本発明を実施例によりさらに詳細な説明
を行うが、本発明はこれらに限定するものではない。
【0124】諸物性の測定については以下のとおりに実
施した。 1.屈折率(nD) 9mm×16mm×4mmの試験片を作成し、アダコ社
製「アッベ屈折計1T」を用いて、25℃における屈折
率(nD)を測定した。接触液はα−ブロモナフタリン
を使用した。 2.粘度 測定温度25℃で、東京計器株式会社製B型粘度計(型
式BH型)を用いて、No.1ローターを使用し、30
0mlトールビーカーに試料300gを入れ、回転数2
0rpmで測定した。 3.鉛筆硬度 JIS K−5400に従い測定した。
【0125】4.染色方法及び染色むらの評価 1リットルのビーカーに0.8gのスミカロンブルーE
−FBL(住友化学工業(株)製)と0.5リットルの
水を加えて攪拌して溶かした。これを80℃に水浴中で
加熱して、この分散染料溶液中に硬化したプラスチック
レンズサンプルを重ならないようにホルダーに取り付け
て、さらに80℃で10分浸漬した後、取り出した。水
洗を十分行った後、30℃のオーブン中で熱風乾燥し
た。得られた染色済プラスチックレンズサンプルを目視
して、外観上均一に染色されずに染色むらが確認された
ものを不良とした。硬化サンプルは、全個数を30個と
して、不良個数を数えた。
【0126】5.型の損傷を予想するための試験(ガラ
ス製の型と硬化物の剥離試験) 型の損傷は、硬化されたポリマーがガラス型に接着する
ことによって生じる。硬化されたポリマーのガラスへの
接着は、引張り試験機によって測定することができる。
このために、樹脂製ガスケットで止められた2枚の平行
なガラス板の間で、モノマー組成物を重合させた。重合
後、樹脂製ガスケットをはずし、上側のガラス板を、引
張り試験機で一方の側に引っ張った。引き剥がすのに必
要な力をの伸び%に対してプロットし、引き剥がすのに
必要な最大の力(以下、F−オープンと記す)及び引き
剥がすのに必要なトータルのエネルギー(以下、E−ト
ータルと記す)を測定した。
【0127】ここで必要なのは、ガラスとの強固な接着
力を維持できる程度のF−オープンを有し、かつE−ト
ータルはできるだけ低くできる(即ち、型を外す時の損
傷が少ないことを意味する)ことである。
【0128】(アリルエステル化合物の製造−1)蒸留
装置のついた2リットル三ツ口フラスコに3−メチル−
1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル799.
0g、1,4−ブタンジオール180.2g、ジブチル
錫オキサイド1.60gを仕込んで窒素気流下、200
℃に加熱して生成してくるアリルアルコールを留去し
た。アリルアルコールが175g程度留出したところ
で、反応系内を1.3kPaまで減圧にし、アリルアル
コールの留出速度を速めた。理論量のアリルアルコール
が留出した後、更に1時間加熱して、190℃−0.1
3kPaで1時間保持した後、反応器を冷却して、アリ
ルエステル化合物(以下「サンプルA」とする。)を7
47.0g得た。
【0129】ガスクロマトグラフィー(島津科学(株)
製、GC−14B、水素炎イオン化検出器 使用カラム
OV−17 0.5m 温度条件160℃一定)で分析
したところ、サンプルAは、3−メチル−1,2−シク
ロヘキサンジカルボン酸ジアリル15質量%を含んでい
た。
【0130】(アリルエステル化合物の製造−2)蒸留
装置のついた2リットル三ツ口フラスコに3−メチル−
4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジアリル7
93.0g、1,4−ブタンジオール180.2g、ジ
ブチル錫オキサイド1.59gを仕込んで窒素気流下、
190℃で加熱して生成してくるアリルアルコールを留
去した。アリルアルコールが175g程度留出したとこ
ろで、反応系内を1.3kPaまで減圧にし、アリルア
ルコールの留出速度を速めた。理論量のアリルアルコー
ルが留出した後、更に1時間加熱して、190℃−0.
13kPaで1時間保持した後、反応器を冷却してアリ
ルエステル化合物(以下「サンプルB」とする。)を7
40.9g得た。
【0131】ガスクロマトグラフィー(島津科学(株)
製、GC−14B、水素炎イオン化検出器 使用カラム
OV−17 0.5m 温度条件160℃一定)で分析
したところ、サンプルBは、3−メチル−4−シクロヘ
キセン−1,2−ジカルボン酸ジアリル15質量%を含
んでいた。
【0132】(アリルエステル化合物の製造−3)蒸留
装置のついた2リットル三ツ口フラスコに、3−メチル
−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジアリル
396.5g、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジ
カルボン酸ジアリル399.5g、1,4−ブタンジオ
ール180.2g、ジブチル錫オキサイド1.59gを
仕込んで窒素気流下、190℃で加熱して生成してくる
アリルアルコールを留去した。アリルアルコールが17
5g程度留出したところで、反応系内を1.3kPaま
で減圧にし、アリルアルコールの留出速度を速めた。理
論量のアリルアルコールが留出した後、更に1時間加熱
して、190℃−0.13kPaで1時間保持した後、
反応器を冷却してアリルエステル化合物(以下「サンプ
ルC」とする。)を740.9g得た。
【0133】ガスクロマトグラフィー(島津科学(株)
製、GC−14B、水素炎イオン化検出器 使用カラム
OV−17 0.5m 温度条件160℃一定)で分析
したところ、サンプルCは、3−メチル−1,2−シク
ロヘキサンジカルボン酸ジアリル7.5質量%及び3−
メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ジ
アリル7.5質量%を含んでいた。
【0134】(アリルエステル化合物の製造−4)蒸留
装置のついた2リットル三ツ口フラスコにテレフタル酸
ジアリル500g、プロピレングリコール101g、ジ
ブチル錫オキサイド0.5gを仕込んで窒素気流下、1
80℃で加熱して生成してくるアリルアルコールを留去
した。アリルアルコールが90g程度留出したところ
で、反応系内を1.3kPaまで減圧にし、アリルアル
コールの留出速度を速めた。理論量のアリルアルコール
が留出した後、更に1時間加熱して、190℃−0.1
3kPaで1時間保持した後、反応器を冷却して、アリ
ルエステル化合物(以下「サンプルD」とする。)を4
50g得た。
【0135】ガスクロマトグラフィー(島津科学(株)
製、GC−14B、水素炎イオン化検出器 使用カラム
OV−17 0.5m 温度条件160℃一定)で分析
したところ、サンプルDは、テレフタル酸ジアリル11
質量%を含んでいた。
【0136】(アリルエステル化合物の製造−5)蒸留
装置のついた2リットル三ツ口フラスコに1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸ジアリル505g、プロピレン
グリコール101g、ジブチル錫オキサイド0.5gを
仕込んで窒素気流下、180℃で加熱して生成してくる
アリルアルコールを留去した。アリルアルコールが90
g程度留出したところで、反応系内を1.3kPaまで
減圧にし、アリルアルコールを留出速度を速めた。理論
量のアリルアルコールが留出した後、更に1時間加熱し
て、190℃−0.13kPaで1時間保持した後、反
応器を冷却してアリルエステル化合物(以下「サンプル
E」とする。)を455g得た。
【0137】ガスクロマトグラフィー(島津科学(株)
製、GC−14B、水素炎イオン化検出器 使用カラム
OV−17 0.5m 温度条件160℃一定)で分析
したところ、サンプルEは、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸ジアリル12質量%を含んでいた。また、こ
のアリルエステル化合物について、400MHz1H−
NMR測定(希釈溶媒;CDCl3)を行ったところ、
アリルエステル化合物中の1,4−シクロヘキサンジカ
ルボニルユニットのシス構造とトランス構造の比は3:
7であった。
【0138】実施例1 表1に記したように、ジエチレングリコールビスアリル
カーボネート(PPG社製 商品名CR−39)97.
0質量部、サンプルAを3.0質量部、ジイソプロピル
パーオキシジカーボネート(IPP)を3質量部を配合
して、混合攪拌して完全に均一にした溶液組成物とし、
そのときの粘度を測定した。その後、減圧可能なデシケ
ータに、この溶液が入った容器を入れ、約15分ほど真
空ポンプで減圧することにより、溶液中の気体を脱気し
た。この溶液組成物を、眼鏡プラスチックレンズ用のガ
ラス製の型と樹脂性のガスケットによって組み立てられ
た型に気体が混入しないように慎重に注射器にて注入し
た後、オーブン中で、40℃で7時間、40℃〜60℃
まで10時間、60℃〜80℃まで3時間、80℃で1
時間、85℃で2時間のプログラム昇温加熱により硬化
させた。
【0139】このとき、ガラス製の型と硬化物の剥離試
験を行った。また、得られたレンズの屈折率、鉛筆硬度
の測定結果及び染色むらの評価を表1に示す。
【0140】実施例2〜実施例5 表1に示した配合で、組成物を調製して、実施例1と同
様な方法で、粘度測定を行い、その後硬化し、ガラス製
の型と硬化物の剥離試験およびレンズの屈折率、鉛筆硬
度の測定及び染色むらの評価を行った。結果を表1に示
す。
【0141】比較例1 CR−39を100質量部、IPP3質量部の組成物を
使用して実施例1と同様な方法で、粘度測定を行い、そ
の後硬化し、ガラス製の型と硬化物の剥離試験およびレ
ンズの屈折率、鉛筆硬度の測定及び染色むらの評価を行
った。結果を表1に示す。
【0142】比較例2〜比較例3 表1に示した配合で、組成物を調製して、実施例1と同
様な方法で、粘度測定を行い、その後硬化し、ガラス製
の型と硬化物の剥離試験およびレンズの屈折率、鉛筆硬
度の測定及び染色むらの評価を行った。結果を表1に示
す。
【0143】
【表1】
【0144】外観の変化(保存安定性試験) また、サンプルA、サンプルB、サンプルC、サンプル
D及びサンプルEを15℃で2ヶ月間保存し、サンプル
製造直後と2週間後の外観を目視により比較した。その
結果を表2に示す。また、サンプル製造直後と2週間後
のサンプルA、サンプルB、サンプルC、サンプルD及
びサンプルEを用いて混合したプラスチックレンズ用組
成物についても同様の方法により外観を比較した。その
結果を表3に示す。
【0145】
【表2】
【0146】
【表3】
【0147】上記の表1、表2及び表3の結果から、本
発明により、保存安定性が良好でかつ、ガラス製の型と
硬化物の剥離性及び染色性が良好なレンズを製造するこ
とが可能であることは明らかである。
【0148】
【発明の効果】本発明のプラスチックレンズ用組成物
は、保存安定性が良好で、従来のプラスチックの注型成
形法をそのまま使用でき、硬化時の型の損傷が起きにく
い。また、該組成物を硬化して得られるプラスチックレ
ンズは、従来品に比べて染色むらが少ないので、より効
率的なプラスチックレンズの生産が可能になる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 69:00 B29K 69:00 B29L 11:00 B29L 11:00 (72)発明者 但馬 恒男 大分県大分市大字中の洲2 昭和電工株式 会社大分生産・技術統括部内 (72)発明者 内田 博 大分県大分市大字中の洲2 昭和電工株式 会社大分生産・技術統括部内 Fターム(参考) 4F204 AA28 AH74 AR06 EA03 EB01 EE02 EE10 EE21 EF02 EF27 EK08 FA01 FB01 FB11 4J015 BA08 4J027 AB03 CA29 CB03 CC02 CD04

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックレンズ用組成物中に含まれ
    る全硬化性成分に対して、下記の成分(1)及び成分
    (2)を含有することを特徴とするプラスチックレンズ
    用組成物。 ・成分(1):下記一般式(1)で表される化合物・・
    ・20質量%〜98質量% ・成分(2):下記一般式(2)で表される基の少なく
    とも一種以上を末端基として有し、且つ下記一般式
    (3)で表される基を繰り返し単位として有する化合物
    ・・・2質量%〜80質量% 一般式(1) 【化1】 (式中、Xはn個の水酸基を有する炭素数2〜炭素数2
    0の多価アルコールから誘導された有機残基を表し、n
    は2〜6の整数であり、R1は、アリル基またはメタリ
    ル基のいずれかを表す。ただし、それぞれR1は、それ
    ぞれ独立である。また、sは0〜n−1の整数のいずれ
    かであり、tは1〜nの整数のいずれかであり、且つs
    +t=nである。) 一般式(2) 【化2】 (式中、R2はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
    基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立に構造式−1
    〜構造式−3で表されるいずれかの有機残基を表す。) 一般式(3) 【化3】 (式中、A2はそれぞれ独立に構造式−1〜構造式−3
    で表されるいずれかの有機残基を表し、Yはそれぞれ独
    立に2個〜6個の水酸基を有する炭素数2〜20の多価
    アルコールから誘導された有機残基を表す。ただし、Y
    はエステル結合によって、さらに上記一般式(2)を末
    端基とし、上記一般式(3)を繰り返し単位とする分岐
    構造を有することができる。) 構造式−1 【化4】 構造式−2 【化5】 構造式−3 【化6】
  2. 【請求項2】 プラスチックレンズ用組成物中に含まれ
    る全硬化性成分に対して、下記の成分(1)及び成分
    (2)を含有することを特徴とするプラスチックレンズ
    用組成物。 ・成分(1):下記一般式(1)で表される化合物・・
    ・60質量%〜98質量% ・成分(2):下記一般式(2)で表される基の少なく
    とも一種以上を末端基として有し、且つ下記一般式
    (3)で表される基を繰り返し単位として有する化合物
    ・・・2質量%〜20質量% 一般式(1) 【化7】 (式中、Xはn個の水酸基を有する炭素数2〜炭素数2
    0の多価アルコールから誘導された有機残基を表し、n
    は2〜6の整数であり、R1は、アリル基またはメタリ
    ル基のいずれかを表す。ただし、それぞれR1は、それ
    ぞれ独立である。また、sは0〜n−1の整数のいずれ
    かであり、tは1〜nの整数のいずれかであり、且つs
    +t=nである。) 一般式(2) 【化8】 (式中、R2はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
    基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立に構造式−1
    〜構造式−3で表されるいずれかの有機残基を表す。) 一般式(3) 【化9】 (式中、A2はそれぞれ独立に構造式−1〜構造式−3
    で表されるいずれかの有機残基を表し、Yはそれぞれ独
    立に2個〜6個の水酸基を有する炭素数2〜20の多価
    アルコールから誘導された有機残基を表す。ただし、Y
    はエステル結合によって、さらに上記一般式(2)を末
    端基とし、上記一般式(3)を繰り返し単位とする分岐
    構造を有することができる。) 構造式−1 【化10】 構造式−2 【化11】 構造式−3 【化12】
  3. 【請求項3】 プラスチックレンズ用組成物中に含まれ
    る全硬化性成分に対して、下記の成分(1)〜成分
    (3)を含有することを特徴とするプラスチックレンズ
    用組成物。 ・成分(1):下記一般式(1)で表される化合物・・
    ・60質量%〜98質量% ・成分(2):下記一般式(2)で表される基の少なく
    とも一種以上を末端基として有し、且つ下記一般式
    (3)で表される基を繰り返し単位として有する化合物
    ・・・2質量%〜20質量% ・成分(3):成分(1)及び成分(2)のうちの少な
    くとも一種以上と共重合可能なモノマー・・・20質量
    %以下 一般式(1) 【化13】 (式中、Xはn個の水酸基を有する炭素数2〜炭素数2
    0の多価アルコールから誘導された一種以上の有機残基
    を表し、nは2〜6の整数であり、R1は、アリル基ま
    たはメタリル基のいずれかを表す。ただし、それぞれR
    1は、それぞれ独立である。また、sは0〜n−1の整
    数のいずれかであり、tは1〜nの整数のいずれかであ
    り、且つs+t=nである。) 一般式(2) 【化14】 (式中、R2はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
    基のいずれかを表し、A1はそれぞれ独立に構造式−1
    〜構造式−3で表されるいずれかの有機残基を表す。) 一般式(3) 【化15】 (式中、A2はそれぞれ独立に構造式−1〜構造式−3
    で表されるいずれかの有機残基を表し、Yはそれぞれ独
    立に2個〜6個の水酸基を有する炭素数2〜20の多価
    アルコールから誘導された有機残基を表す。ただし、Y
    はエステル結合によって、さらに上記一般式(2)を末
    端基とし、上記一般式(3)を繰り返し単位とする分岐
    構造を有することができる。) 構造式−1 【化16】 構造式−2 【化17】 構造式−3 【化18】
  4. 【請求項4】 一般式(1)で表される化合物が、ジエ
    チレングリコールビス(アリルカーボネート)であるこ
    とを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    プラスチックレンズ用組成物。
  5. 【請求項5】 一般式(3)で表される化合物を構成す
    る多価アルコールが、1,3−プロパンジオール、ジエ
    チレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−
    シクロヘキサンジメタノール及び1,6−ヘキサンジオ
    ールの中から選ばれる一種以上であることを特徴とす
    る、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のプラスチッ
    クレンズ用組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の
    組成物100質量部に対して、少なくとも一種以上のラ
    ジカル重合開始剤を0.1質量部〜10質量部の範囲で
    含有することを特徴とするプラスチックレンズ用組成
    物。
  7. 【請求項7】 少なくとも一種以上のラジカル重合開始
    剤が、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートである
    ことを特徴とする請求項6記載にプラスチックレンズ用
    組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の
    プラスチックレンズ用組成物を硬化して得られるプラス
    チックレンズ。
  9. 【請求項9】 プラスチックレンズの25℃での屈折率
    が1.497〜1.505である請求項1〜請求項7の
    いずれかに記載のプラスチックレンズ用組成物を硬化し
    て得られることを特徴とするプラスチックレンズ。
  10. 【請求項10】 視力矯正用である請求項8または請求
    項9のいずれかに記載のプラスチックレンズ。
  11. 【請求項11】 請求項8〜請求項10のいずれかに記
    載のプラスチックレンズの製造方法において、該製造方
    法が重合温度30℃〜120℃、重合時間0.5時間〜
    100時間での注型重合によって行われることを特徴と
    するプラスチックレンズの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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