JP2001294620A - プラスチックレンズ材料、該材料の製造方法、プラスチックレンズ用組成物、該組成物を硬化してなるプラスチックレンズ、及び該プラスチックレンズの製造方法 - Google Patents

プラスチックレンズ材料、該材料の製造方法、プラスチックレンズ用組成物、該組成物を硬化してなるプラスチックレンズ、及び該プラスチックレンズの製造方法

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JP2001294620A
JP2001294620A JP2000108776A JP2000108776A JP2001294620A JP 2001294620 A JP2001294620 A JP 2001294620A JP 2000108776 A JP2000108776 A JP 2000108776A JP 2000108776 A JP2000108776 A JP 2000108776A JP 2001294620 A JP2001294620 A JP 2001294620A
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Tsuneo Tajima
恒男 但馬
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博 内田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期保存中に白濁を生じないプラスチックレ
ンズ材料の提供、該材料の製造方法の提供、該材料を含
有するプラスチックレンズ用組成物の提供、該組成物を
硬化してなるプラスチックレンズの提供、及び該プラス
チックレンズの製造方法の提供。 【解決手段】 1,4−シクロヘキサンジカルボキシレ
ート構造単位の一部又は全部がシス構造である化合物か
らなることを特徴とするプラスチックレンズ材料の提
供、該材料の製造方法の提供、該材料を含有するプラス
チックレンズ用組成物の提供、該組成物を硬化してなる
プラスチックレンズの提供、及び該プラスチックレンズ
の製造方法の提供。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックレン
ズ材料、該材料の製造方法、該材料を含むプラスチック
レンズ用組成物、該組成物を硬化してなるプラスチック
レンズ、及び該プラスチックレンズの製造方法に関す
る。
【0002】さらに詳しくは、染色むらの発生を抑制し
プラスチックレンズが製造可能で、かつ、注型重合の際
に用いる型の損傷を抑制することができるプラスチック
レンズ用組成物に用いることが可能なプラスチックレン
ズ材料、該材料の製造方法、該材料を含むプラスチック
レンズ用組成物、該組成物を硬化してなるプラスチック
レンズ、及び該プラスチックレンズの製造方法に関す
る。
【0003】
【従来の技術】近年、有機ガラスは光学材料用、例え
ば、カメラ、テレビ、プリズム、望遠鏡、眼鏡レンズな
どに多く用いられている。特に、眼鏡レンズは、無機ガ
ラスから有機ガラス、特にプラスチックレンズへの置き
換えが進んでいる。この様な状況下、プラスチックレン
ズには従来に増して軽量であること、成型が容易である
こと、染色性が良好で染色むらが生じにくいことなどの
特性が要求されている。
【0004】従来、プラスチックレンズの原料として使
用されていた樹脂の代表例としてはポリスチレン樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹
脂、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネート
樹脂などが挙げられる。これらの樹脂の物性や製法につ
いては以前から知られており、詳しくは例えばプラスチ
ックエージ(Vol 35,198〜202ページ(1
989))などに記載されている。
【0005】この中で、各々の樹脂に由来するプラスチ
ックレンズの特徴について、以下のように記述されてい
る。ポリスチレン樹脂由来のプラスチックレンズでは、
屈折率は高いものの、複屈折や光散乱などの点で十分な
値が得られていない欠点があるとされている。また、ポ
リカーボネート樹脂由来のプラスチックレンズには、耐
衝撃性は高いが、耐溶剤性や耐傷つき性などが劣る欠点
が指摘されている。更に、ポリメチルメタクリレート樹
脂由来のプラスチックレンズでは、屈折率が低く、耐衝
撃性についても満足できるレベルではないことが述べら
れている。
【0006】これらに対して、ポリジエチレングリコー
ルビスアリルカーボネート樹脂由来のプラスチックレン
ズが知られている(例えば、欧州特許出願公開0473
163号公報)が、このプラスチックレンズは、屈折率
は1.498と低いが、耐衝撃性に優れ、アッベ数が高
いなど、特に眼鏡用のプラスチックレンズとして優位な
特徴を有しており、最も多く使用されている。
【0007】さらに、ポリジエチレングリコールビスア
リルカーボネート樹脂は、重合反応がアクリル系樹脂に
比較すると遅いので、重合反応をコントロールしやす
い。故に、均一な重合反応が可能であり、ポリジエチレ
ングリコールビスアリルカーボネート樹脂由来のプラス
チックレンズは、光学ひずみが少ない長所を有する。
【0008】また、ポリジエチレングリコールビスアリ
ルカーボネート樹脂由来のプラスチックレンズの染色性
についても、注型成形法で得られたプラスチックレンズ
を高温下で染色液につける一般的な手法により染色する
場合、染色濃度については他樹脂由来のプラスチックレ
ンズに対して優れていることが知られている。
【0009】しかし、ポリジエチレングリコールビスア
リルカーボネート樹脂由来のプラスチックレンズをレン
ズの型に入れ重合した後、型と硬化物を剥離する際に、
型の損傷が生じるという欠点を有していた。
【0010】一般に、プラスチックレンズは、2つのガ
ラスの型の間でモノマーを重合させる、いわゆる注型重
合によって作られる。型は注型成形の後洗浄されなけれ
ばならず、そのような洗浄は通常、強アルカリ液または
強酸を用いて行われる。ガラスは、金属とは異なり、洗
浄によって変質しづらいという理由から、好ましく用い
られている。さらにガラスは容易に研磨され、そして非
常に表面の粗さを少なくできる。
【0011】一般に重合工程は硬化収縮を伴う。しか
し、レンズはガラス表面のカーブを完全に型どるもので
なければならない。このことは、重合中におけるモノマ
ーのガラスへの良い接着性を要求する。
【0012】一方、モノマーの重合後、レンズはガラス
型から外されなければならない。実際には、この工程は
以下のようである。即ち、型がくさびでこじあけられ
る。この工程で非常に大きなエネルギーが解放され、時
々衝撃がおこることさえある。
【0013】そのような力による剥離は、ガラス型の損
傷をもたらすことがある。すなわちガラス型の一部分が
引き抜かれ、以後ガラス型として使用できなくなる。こ
れは、レンズの製造において無秩序に起きる現象であ
る。普通、これはプラスチックレンズ製造量の数%に影
響を及ぼす。
【0014】そのような型の損傷を低減させるために少
量の剥離剤を加えることがあるが、この方法では、レン
ズの他の特性、例えば、次工程で施与される耐引掻きコ
ーティングの接着などに影響する。従って、剥離剤の使
用はこの問題の解決法としては不十分である。
【0015】上記の問題を低減する技術として、特表平
10−513574号公報や国際出願公開特許WO99
/17137号公報あるいはWO99/38899号公
報が開示されている。
【0016】特表平10−513574号公報では、ジ
アリルフタレートオリゴマーの使用が開示されており、
これによって、剥離時の型の損傷が生じるという欠点は
多少改善されている。しかし、まだこの技術では満足で
きるレベルではない。さらに、ジアリルフタレートオリ
ゴマーの添加は、硬化したレンズの屈折率を高くする傾
向にあり、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボ
ネート樹脂由来のプラスチックレンズ用の型を使用する
上では好ましいことではない。また、耐候性にも問題が
ある。
【0017】また、国際出願公開特許WO99/171
37号公報あるいはWO99/38899号公報では、
シクロヘキサンジカルボキシレート構造を含有するジア
リルエステルオリゴマーの使用が開示されており、これ
技術によって、剥離時の型の損傷が生じるという欠点は
改善されている。さらに、プラスチックレンズの染色性
に要求されるもう一つの特性である均一な染色が可能で
あること、すなわち染色むらの低減に関しても、改善効
果はあることが開示されている。
【0018】しかし、当該公報に開示されたシクロヘキ
サンジカルボキシレート構造を含有するジアリルエステ
ルオリゴマー化合物は比較的結晶性が高く、常温以下の
温度で長期保存しておくと白濁してしまうという問題点
がある。
【0019】このような場合には、何らかの方法で該化
合物の温度を上げ再溶解すればプラスチックレンズの原
料として使用するには何ら問題はないが、過剰の加熱に
より該化合物の構造が変質したり、あるいはその結果、
該化合物を添加する目的の改善効果が低下したりする恐
れがないわけではない。更に、使用時に加熱するという
余分な工程が必要であり、エネルギー的にも不経済であ
るという問題を有していた。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、シクロヘキ
サンジカルボキシレート構造を含有するジアリルエステ
ルオリゴマー化合物の常温保存時の白濁問題に着目し、
該化合物の結晶性の改善を目標とした。ひいては国際出
願公開特許WO99/17137号公報あるいはWO9
9/38899号公報に記載されているような、プラス
チックレンズの型からの剥離性改善効果、並びに染色性
改善効果をより簡単に実施できる、プラスチックレンズ
材料の提供、該材料の製造方法の提供、該材料を含有す
るプラスチックレンズ用組成物の提供、該組成物を硬化
してなるプラスチックレンズの提供、及び該プラスチッ
クレンズの製造方法の提供を目的とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するにために、シクロヘキサンジカルボキシレー
ト構造を含有するジアリルエステルオリゴマーの諸物
性、白濁防止効果の考えられる添加剤を含む広範囲に渡
る樹脂組成物、並びにその組成について鋭意研究を行っ
た。
【0022】その結果、シクロヘキサンジカルボキシレ
ート構造単位を含有するジアリルエステル化合物中のシ
クロヘキシルジカルボキシレート構造単位のシス構造と
トランス構造の比率を制御することにより、室温での結
晶化による白濁を生じないプラスチックレンズ材料を製
造できることが判明した。
【0023】さらに該材料と特定の構造を有するポリア
リルカーボネートを含有することを特徴とするプラスチ
ックレンズ用組成物、並びに該組成物を硬化して得られ
るプラスチックレンズが、硬化物の染色むらの欠点を同
時に解決できることを見出し、本発明を完成させるに至
った。
【0024】即ち、本発明(I)は、下記一般式(1)
で表される基を末端基として有し、下記一般式(2)で
表される基を繰り返し単位として有する化合物におい
て、1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート構造単
位の一部又は全部がシス構造である化合物からなること
を特徴とするプラスチックレンズ材料である。 一般式(1)
【化4】 一般式(2)
【化5】 (式中、R1はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
基のいずれかを表し、Xはそれぞれ独立に2個〜6個の
水酸基を有する炭素数2〜炭素数20の多価アルコール
から誘導された有機残基を表す。ただし、Xは、エステ
ル結合によってさらに上記一般式(1)を末端基とし上
記一般式(2)を繰り返し単位とする分岐構造を有する
ことが出来る。) なお、本明細書に記載の「シス」及び「トランス」と
は、化合物の幾何異性を表しており、詳しくは、岩波理
化学辞典 第3版増補版(1987年2月5日)発行の
「幾何異性」の項に記載されている。
【0025】また、本発明(II)は、以下の第一工程
及び第二工程を含むことを特徴とする、本発明(I)の
プラスチックレンズ材料の製造方法である。
【0026】第一工程 触媒の存在下、シス構造を含む1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸とアリルアルコール及び/又はメタリルア
ルコールとを反応させて1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸エステルを得る工程
【0027】第二工程 触媒の存在下、第一工程で得た1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸エステルと多価アルコールとのエステル交
換反応を行いプラスチックレンズ材料用化合物を得る工
【0028】さらにまた、本発明(III)は、本発明
(I)のプラスチックレンズ材料のうち少なくとも一種
以上、及び下記一般式(3)で表される化合物のうち少
なくとも一種以上を必須成分として含有することを特徴
とするプラスチックレンズ用組成物である。 一般式(3)
【0029】
【化6】
【0030】(式中、Yは、2個〜6個の水酸基を有す
る炭素数2〜炭素数20の多価飽和アルコールから誘導
された1種以上の有機残基を表し、R2は、アリル基ま
たはメタリル基のいずれかの基を表す。ただし、それぞ
れのR2は、それぞれ独立である。またYの水酸基の数
をnとした場合に、sは0〜n−1の整数のいずれかで
あり、tは1〜nの整数のいずれかであり、且つs+t
=nである。)
【0031】なお、本明細書記載の「全硬化性成分」と
は、本発明(I)で表されるプラスチックレンズ材料、
一般式(3)で表される化合物、及び本発明(I)で表
されるプラスチックレンズ材料または一般式(3)で表
される化合物と共重合可能なモノマーを合わせた総量を
意味する。
【0032】さらに、本発明(IV)は、本発明(II
I)のプラスチックレンズ用組成物100質量部に対し
て、少なくとも一種以上のラジカル重合開始剤0.1質
量部〜10質量部を含有することを特徴とするプラスチ
ックレンズ用組成物である。
【0033】さらに、本発明(V)は、本発明(II
I)又は本発明(IV)のプラスチックレンズ用組成物
を硬化して得られるプラスチックレンズである。
【0034】さらに、本発明(VI)は、本発明(V)
のプラスチックレンズ製造方法である。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてより詳しく
説明する。
【0036】まず、本発明(I)のプラスチックレンズ
材料用化合物について説明する。本発明(I)は、下記
一般式(1)で表される基を末端基として有し、下記一
般式(2)で表される基を繰り返し単位として有する化
合物において、1,4−シクロヘキサンジカルボキシレ
ート構造単位の一部又は全部がシス構造である化合物か
らなることを特徴とするプラスチックレンズ材料であ
る。 一般式(1)
【化7】 一般式(2)
【化8】
【0037】(式中、R1はそれぞれ独立にアリル基ま
たはメタリル基のいずれかを表し、Xはそれぞれ独立に
2個〜6個の水酸基を有する炭素数2〜炭素数20の多
価アルコールから誘導された有機残基を表す。ただし、
Xはエステル結合によって、さらに上記一般式(1)を
末端基とし、上記一般式(2)を繰り返し単位とする分
岐構造を有することが出来る。)
【0038】一般に、1,4−シクロヘキサンジカルボ
キシレート構造単位は、シス構造とトランス構造の立体
異性体を有する。本発明(I)で表されるプラスチック
レンズ材料の1,4−シクロヘキサンジカルボキシレー
ト構造単位には、シス構造が含まれていることを特徴と
する。トランス構造のみからなる化合物は、Xの構造単
位によっても多少左右されるのの、一般に結晶性に富
み、室温での流動性がなくなってしまい、ひいては白濁
する傾向がある。室温での流動性を維持するためには、
全1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート構造単位
の30%以上がシス構造であることが好ましく、さらに
好ましくは、50%以上である。
【0039】一般式(1)において、R1はそれぞれ独
立に、アリル基またはメタリル基のいずれかを表す。ま
た、一般式(2)において、Xはそれぞれ独立に2個〜
6個の水酸基を有する炭素数2〜炭素数20の多価アル
コールから誘導された有機残基を表す。
【0040】ここで言う「R1はそれぞれ独立に」と
は、一般式(1)で表される末端基の両方ともにアリル
基であっても、両方ともにメタリル基であっても、一方
がアリル基で他方がメタリル基であってもいいことを意
味する。
【0041】さらに、ここで言う「Xはそれぞれ独立
に」とは、一般式(2)で表される繰り返し単位の一例
である下記構造式(1)においては、その繰り返し構造
中に含まれるのm個のXのそれぞれが独立であることを
意味する。 構造式(1)
【0042】
【化9】
【0043】(構造式(1)において、Xはそれぞれ独
立に2個〜6個の水酸基を有する炭素数2〜炭素数20
の多価アルコールから誘導された有機残基を表し、mは
0又は1以上の整数を表す。)
【0044】例えば、構造式(1)におけるm個のX
は、すべて異なった多価アリコールから誘導される有機
残基(即ち、m種類の多価アルコールから誘導される有
機残基が1つずつ)であっても、すべて同一の多価アル
コールから誘導される有機残基(即ち、1種類の多価ア
ルコールから誘導される有機残基がm個)であっても、
あるいはm個のXの内、いくらかは同一の多価アルコー
ルから誘導される有機残基であり、他のいくらかは別の
種類の多価アルコールから誘導する有機残基であるとい
った混合構造であってもいっこうに差し支えない。さら
には、その混合構造も、全部が完全にランダムであって
も一部は繰り返してもかまわない。
【0045】さらに、Xの一部又は全部が3個以上の水
酸基を有する多価アルコールから誘導された有機残基で
ある場合、そのXの一部又は全部はエステル結合によっ
て、さらに一般式(1)を末端基とし、一般式(2)を
繰り返し単位とする分岐構造を有することが出来る。す
なわち、例えばXに3価の飽和アルコールの一例である
トリメチロールプロパンから誘導された有機残基が存在
した場合、本発明(I)で表されるプラスチックレンズ
材料は下記構造式(2)で表される部分構造を有するこ
とが出来る。 構造式(2)
【0046】
【化10】
【0047】もちろん、Xの一部又は全部が3個以上の
水酸基を有する多価アルコールから誘導された有機残基
である場合であっても、分岐構造が一切無くてもかまわ
ない。
【0048】一般式(2)におけるXそれぞれ独立に2
個〜6個の水酸基を有する炭素数2〜炭素数20の多価
飽和アルコールから誘導された一種以上の有機残基を表
す。ここでいう「2個〜6個の水酸基を有する炭素数2
〜炭素数20の多価飽和アルコール」としては、以下の
ようなものがある。
【0049】まず、2価の飽和アルコールの具体例とし
てはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,
3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,
3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサ
メチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール等が挙げられる。
【0050】また、3価以上の多価飽和アルコールの具
体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、
トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペン
タリスリトール、ソルビドール等が挙げられる。更に、
ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール等の主鎖
にエーテル基を含んだ2価の飽和アルコール等も含まれ
る。いうまでもなく、これらの具体例に限定されるもの
ではない。
【0051】本発明(I)のプラスチックレンズ材料で
表される化合物の流動性の点から、これらの多価飽和ア
ルコールの中で好ましく使用されるものしては、プロピ
レングリコール、ネオペンチルグリコールが挙げられ
る。より好ましくは、プロピレングリコールである。
【0052】本発明(I)のプラスチックレンズ材料の
繰り返し単位である一般式(2)で表される基の繰り返
し回数に、特に制限はない。様々な繰り返し回数を有す
る材料を混合して用いてもかまわない。また、繰り返し
回数が0である材料と繰り返し回数が1以上の整数であ
る材料と併用して用いてもいっこうに問題ない。ただ
し、繰り返し回数が0である化合物のみを用いるのは本
発明の目的を達成するためには好ましいことではない。
【0053】本発明(I)のプラスチックレンズ材料の
繰り返し単位である一般式(2)で表される基の繰り返
し回数は、通常1〜50の整数であることが好ましい。
繰り返し回数が50を越えた化合物からのみなるプラス
チックレンズ材料をプラスチックレンズ用組成物に用い
た場合、アリル基の濃度が低くなるために、硬化時に硬
化遅延を起こしたり化合物の一部が未硬化で残存して硬
化物の機械特性などの物性低下に影響を及ぼす恐れがあ
り好ましくない。好ましくは、プラスチックレンズ材料
中のすべての化合物の繰り返し回数が1〜50の範囲の
整数であり、より好ましくは1〜30の範囲の整数であ
り、さらに好ましくは1〜10の範囲の整数である。
【0054】本発明(I)のプラスチックレンズ材料に
は、その製造条件によっては原料である1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸エステルが残存することもある
が、そのままプラスチックレンズ材料として使用しても
何ら差し支えない。しかし、本発明(I)のプラスチッ
クレンズ材料の全量に対して原料の1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸エステルが70質量%以上存在するこ
とは、後述のプラスチックレンズ用組成物として一般式
(3)の化合物と配合する場合に、染色むらや硬化物と
ガラスの型を剥離するときに生じる型の損傷の点から好
ましいとは言えない。
【0055】なお、ここで言う「1,4−シクロヘキサ
ンジカルボン酸エステル」には、二つのカルボキシル基
がいずれもアリル化した1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸ジアリル、いずれもがメタリル化した1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸ジメタリル、一つがアリル化
しもう一つがメタリル化した1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸アリルメタリル等を含む。
【0056】次に本発明(II)について説明する。本
発明(II)は、以下の第一工程及び第二工程を含むこ
とを特徴とする、本発明(I)のプラスチックレンズ材
料の製造方法である。
【0057】第一工程 触媒の存在下、シス構造を含む1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸とアリルアルコール及び/又はメタリルア
ルコールとを反応させて1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸エステルを得る工程
【0058】第二工程 触媒の存在下、第一工程で得た1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸エステルと多価アルコールとのエステル交
換反応を行いプラスチックレンズ材料を得る工程
【0059】本発明の1,4−シクロヘキサンジカルボ
キシレート構造単位が、シス体である部分を含むことを
特徴とする本発明(I)で表されるプラスチックレンズ
材料は、例えば以下の方法で製造できる。
【0060】すなわち、まずシス構造を含む1,4−シ
クロヘキサンジカルボン酸とアリルアルコール及び/又
はメタリルアルコールを触媒を用いてエステル化する第
一工程により1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エス
テルを得る。ここで言う「1,4−シクロヘキサンジカ
ルボン酸エステル」は、前述と同様に1,4−シクロヘ
キサンジカルボン酸ジアリル、1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸ジメタリル、1,4−シクロヘキサンジカ
ルボン酸アリルメタリル等を含む。
【0061】続いて、得られた1,4−シクロヘキサン
ジカルボン酸エステルと多価アルコールとを触媒存在
下、エステル交換反応を行う第二工程により目的とする
プラスチックレンズ材料を得ることができる。もちろ
ん、これに限定されるものではなく、必要に応じて精製
等の工程が入ってもいっこうに差し支えない。
【0062】第一工程で用いる触媒としては、一般にカ
ルボン酸とアルコールからエステルを合成することが可
能な触媒であれば特に制限はない。酸触媒とされるもの
が特に適用可能であり、具体的にはp−トルエンスルホ
ン酸、メタンスルホン酸、硫酸、塩酸等を挙げることが
できるがこれに限定されるわけではない。中でもp−ト
ルエンスルホン酸、メタンスルホン酸が好ましい。
【0063】第一工程における反応温度には特に制限は
ないが、エントレーナーとして用いる溶媒の沸点に影響
を受ける。好ましくは60℃〜140℃の範囲、より好
ましくは80℃〜120℃の範囲であり、これは使用す
る溶媒により異なる。
【0064】また、第一工程では必要に応じて溶媒を用
いることもできる。エステル化反応を阻害することがな
ければ、用いることが可能な溶媒としては特に制限はな
い。具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、シクロ
ヘキサン等を挙げることができるがこれに限定されるわ
けではない。中でもベンゼン、トルエンが好ましい。
【0065】一方、第二工程で用いる触媒としては、一
般にエステル交換反応に用いることが可能な触媒であれ
ば特に制限はない。有機金属化合物が特に好ましく、具
体的にはテトライソプロポキシチタン、テトラブトキシ
チタン、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイ
ド、アセチルアセトンハフニウム、アセチルアセトンジ
ルコニウム等を挙げることができるがこれに限定される
わけではない。中でもジブチル錫オキサイド、ジオクチ
ル錫オキサイドが好ましい
【0066】第二工程における反応温度には特に制限は
ないが、好ましくは100℃〜230℃の範囲、より好
ましくは120℃〜200℃の範囲である。特に溶媒を
用いた場合は、その沸点により制限を受けることがあ
る。
【0067】また、第二工程では通常溶媒を用いること
はないが、必要に応じて溶媒を用いることもできる。エ
ステル交換反応を阻害することがなければ、用いること
が可能な溶媒としては特に制限はない。具体的にはベン
ゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等を挙げる
ことができるがこれに限定されるわけではない。中でも
ベンゼン、トルエンが好ましい。しかし、前述のように
溶媒を用いることなく実施することも可能である。
【0068】次に、本発明(III)又は本発明(I
V)のプラスチックレンズ用組成物について説明する。
本発明(III)は、本発明(I)のプラスチックレン
ズ材料のうち少なくとも一種以上、及び下記一般式
(3)で表される化合物のうち少なくとも一種以上を必
須成分として含有することを特徴とするプラスチックレ
ンズ用組成物である。 一般式(3)
【0069】
【化11】
【0070】(式中、Yは、2個〜6個の水酸基を有す
る炭素数2〜炭素数20の多価飽和アルコールから誘導
された一種以上の有機残基を表し、R2は、アリル基ま
たはメタリル基のいずれかの基を表す。ただし、それぞ
れのR2は、それぞれ独立である。またYの水酸基の数
をnとした場合に、sは0〜n−1の整数のいずれかで
あり、tは1〜nの整数のいずれかであり、且つs+t
=nである。)
【0071】さらに、本発明(IV)は、本発明(II
I)のプラスチックレンズ用組成物100質量部に対し
て、少なくとも一種以上のラジカル重合開始剤0.1質
量部〜10質量部を含有することを特徴とするプラスチ
ックレンズ用組成物である。
【0072】本発明(III)又は本発明(IV)のプ
ラスチックレンズ用組成物に含有される、一般式(3)
で表される化合物は、公知の方法で合成できる。例え
ば、ジアリルカーボネートと多価アルコールとを触媒の
存在下、エステル交換反応による方法(特公平3−66
327号公報)、アリルアルコールとホスゲン、多価ア
ルコールを脱塩酸しながら反応させる方法(米国特許2
370565号、米国特許2592058号)等を挙げ
ることができるが、これらに限定されるものではない。 一般式(3)
【0073】
【化12】
【0074】(式中、Yは、2個〜6個の水酸基を有す
る炭素数2〜炭素数20の多価飽和アルコールから誘導
された1種以上の有機残基を表し、R2は、アリル基ま
たはメタリル基のいずれかの基を表す。ただし、それぞ
れのR2は、それぞれ独立である。またYの水酸基の数
をnとした場合に、sは0〜n−1の整数のいずれかで
あり、tは1〜nの整数のいずれかであり、且つs+t
=nである。)
【0075】一般式(3)中、Yは2個〜6個の水酸基
を有する炭素数2〜炭素数20の多価飽和アルコールか
ら誘導された一種以上の有機残基を表す。ここでいう
「2個〜6個の水酸基を有する炭素数2〜炭素数20の
多価飽和アルコール」としては、以下のようなものがあ
る。
【0076】2価の飽和アルコールの具体例としてはエ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プ
ロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブ
タンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレ
ングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等
が挙げられる。
【0077】また、3価以上の多価飽和アルコールの具
体例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、
トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペン
タリスリトール、ソルビドール等が挙げられる。更に、
ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール等の主鎖
にエーテル基を含んだ2価の飽和アルコール等も含まれ
る。いうまでもなく、これらの具体例に限定されるもの
ではない。
【0078】これらの多価飽和アルコールの中で好まし
く使用されるものしては、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレン
グリコールが挙げられる。より好ましくは、ジエチレン
グリコールである。多価飽和アルコールにジエチレング
リコールを用いた場合、得られるポリアリルカーボネー
トはジエチレングリコールビスアリルカーボネートであ
り、具体的にはPPG社の商品名CR−39やAkzo
Nobel社の商品名Nouryset200等が挙
げられる。
【0079】一般式(3)中、R2はアリル基またはメ
タリル基のいずれかの基を表す。ただし、それぞれのR
2はそれぞれ独立である。例えば、n=3のとき、一般
式(3)は、下記構造式(3)〜構造式(5)で表され
る化合物の混合物として表される。
【0080】構造式(3)
【化13】
【0081】構造式(4)
【化14】
【0082】構造式(5)
【化15】
【0083】このとき、例えば構造式(3)における3
個のR2は、3個ともアリル基であっても、3個ともメ
タリル基であっても、また、2個がアリル基で1個がメ
タリル基であっても、1個がアリル基で2個がメタリル
基であってもいっこうに差し支えない。もちろん、構造
式(4)における2個のR2も、構造式(5)における
2も同様である。
【0084】一般式(3)中、Yは2個〜6個の水酸基
を有する炭素数2〜炭素数20の多価飽和アルコールか
ら誘導された一種以上の有機残基である。Yの水酸基が
6を越えた整数である多価飽和アルコールから誘導され
た有機残基を有する化合物をプラスチックレンズ用組成
物に用いた場合、硬化して得たプラスチックレンズの耐
衝撃性が劣る恐れがあり、好ましくない。また、Yの水
酸基が2未満の整数(即ち1)である多価飽和アルコー
ルから誘導された有機残基を有する化合物をプラスチッ
クレンズ用組成物に用いた場合、硬化して得たプラスチ
ックレンズの耐熱性や耐溶剤性が極端に低下してしまい
好ましくない。Yの水酸基の数をnとした場合に、sは
0〜n−1の整数のいずれかであり、tは1〜nの整数
のいずれかであり、且つs+t=nである。一般式
(3)においてtは少なくとも1以上の整数であればよ
いが、最終的なプラスチックレンズの物性から、出来る
だけ多くの水酸基がカーボネート基に置換されている方
がよい。tがn未満である各化合物の割合にもよるが、
一般式(3)で表される化合物において好ましくはt=
nである化合物が80質量%以上である範囲であり、よ
り好ましくは90質量%以上の範囲である。
【0085】本発明(III)又は本発明(IV)のプ
ラスチックレンズ用組成物中に含まれる全硬化性成分に
対する本発明(I)で表されるプラスチックレンズ材料
の配合量は、0.05質量%〜30質量%であることが
好ましく、さらに好ましくは、0.5質量%〜15質量
%である。
【0086】該材料の配合量が2質量%未満では、染色
むらの低減効果が発現できなくなったなる恐れがある。
また、配合量が30質量%を越えることは、性能上問題
ないが、経済上好ましいことではない場合が多い。
【0087】一方、本発明(III)又は本発明(I
V)のプラスチックレンズ用組成物中に含まれる全硬化
性成分に対する一般式(3)で表される化合物の配合量
は、50質量%〜99.95質量%であることが好まし
く、さらに好ましくは、70質量%〜98質量%であ
る。配合量が50質量%未満では、該組成物を硬化して
得たプラスチックレンズの機械特性、光学特性が低下す
る恐れがある。また、99.95質量%より多いと、染
色不良を生じ、好ましくない。
【0088】一方、本発明(III)又は本発明(I
V)のプラスチックレンズ用組成物には、主に該組成物
の粘度調製を目的として、本発明(I)で表されるプラ
スチックレンズ材料あるいは一般式(3)で表されるポ
リアリルカーボネートと共重合可能なモノマーを、本発
明のプラスチックレンズ用樹脂組成物中に含まれる全硬
化性成分に対して20質量%を越えない範囲において、
一種以上加えることができる。
【0089】該モノマーとしては、アクリル基、ビニル
基、アリル基有するモノマー等が挙げられる。具体例と
しては、アクリル基を有するモノマーとしてはメチル
(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレ
ート等が、ビニル基を有するモノマーとしてはビニルア
セテート、ビニルベンゾエート等が、更にアリル基を有
するモノマーとしては、1,2−シクロヘキサンジカル
ボン酸ジアリル、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸
ジアリル等が挙げられる。もちろん、これらの具体例に
限定されるものではなく、硬化して得られるプラスチッ
クレンズの物性を損なわない範囲でジアリルフタレー
ト、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレー
ト、アリルベンゾエート等の使用も可能である。
【0090】本発明(III)又は本発明(IV)のプ
ラスチックレンズ用組成物の粘度は、注型の作業性を考
慮した場合、25℃で10mPa・S〜10000mP
a・Sの範囲にあることが一般的であり、好ましくは、
10mPa・S〜1000mPa・Sの範囲にあり、さ
らに好ましくは、10mPa・S〜200mPa・Sで
ある。
【0091】ここでいう「粘度」とは、回転粘度計によ
り測定されるもので、回転粘度計の詳細については岩波
理化学辞典 第3版 1977年6月1日 第3版第8
刷発行に記載がある。
【0092】該モノマーの添加量は、本発明のプラスチ
ックレンズ用組成物中に含まれる全硬化性成分に対し
て、20質量%以下であり、好ましくは、10質量%以
下であり、さらに好ましくは、5質量%以下である。2
0質量%を越えて添加すると、該樹脂を硬化して得られ
るプラスチックレンズに求められる光学特性などの物性
値が低下する恐れがあり好ましくない。更に、プラスチ
ックレンズ用樹脂組成物に含まれるポリアリルカーボネ
ート及びアリルエステルオリゴマーの種類と配合比、硬
化して得られるプラスチックレンズに求められる光学特
性などの物性値によって、最適なモノマーが選択され
る。
【0093】本発明(IV)のプラスチックレンズ用組
成物には、硬化剤としてラジカル重合開始剤を添加する
ことが可能でありかつ好ましい。
【0094】本発明(IV)のプラスチックレンズ用組
成物に添加可能なラジカル重合開始剤には、特に制限は
ない。硬化して得られるプラスチックレンズの光学特性
などの物性値に悪影響を及ぼすものでなければ、公知の
もので構わない。
【0095】しかし、本発明で使用されるラジカル重合
開始剤は、硬化されるべき組成物中に存在する他の成分
に可溶であり、かつ30℃〜120℃でフリーラジカル
を発生するものが望ましい。添加可能なラジカル重合開
始剤の具体例としては、ジイソプロピルパーオキシジカ
ーボネート、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネー
ト、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−
sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチル
パーベンゾエート等が挙げられるが、これらに限定され
るものではない。硬化性の点から、好ましくはジイソプ
ロピルパーオキシジカーボネートである。
【0096】ラジカル重合開始剤の添加量は、本発明
(III)のプラスチックレンズ用組成物中に含まれる
全硬化性成分100質量部に対して0.1質量部〜10
質量部の範囲、好ましくは1質量部〜5質量部の範囲で
ある。0.1質量部未満では、該組成物の硬化が不十分
になる恐れがある。また、10質量部を越えて添加する
ことは、経済上好ましくない。
【0097】本発明(III)又は本発明(IV)のプ
ラスチックレンズ用組成物には、プラスチックレンズの
性能向上に使用される一般的な染料、顔料等の着色剤、
紫外線吸収剤や、離型剤、酸化防止剤などの添加剤を添
加しても構わない。
【0098】着色剤としては、例えば、アントラキノン
系、アゾ系、カルボニウム系、キノリン系、キノンイミ
ン系、インジゴイド系、フタロシアニン系などの有機顔
料、アゾイック染料、硫化染料などの有機染料、チタン
イエロー、黄色酸化鉄、亜鉛黄、クロムオレンジ、モリ
ブデンレッド、コバルト紫、コバルトブルー、コバルト
グリーン、酸化クロム、酸化チタン、硫化亜鉛、カーボ
ンブラックなどの無機顔料などが挙げられる。
【0099】離型剤としては、ステアリン酸、ステアリ
ン酸ブチル、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アミド、
フッ素系化合物類、シリコン化合物類などが挙げられ
る。
【0100】紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒド
ロキシ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ルなどのトリアゾール類、2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノン等のベンゾフェノン類、4−tert−ブチル
フェニルサリシラート等のサリシラート類、ビス−
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)
セバシートなどのヒンダートアミン類が挙げられる。
【0101】酸化防止剤としては、2,6−ジ−ter
t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス−[メ
チレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオナート]メタン等のフ
ェノール類、ジラウリル−3、3’−チオジプロオナー
ト等の硫黄類、トリスノニルフェニルホスファイト等の
リン系の酸化防止剤が挙げられる。
【0102】染料、顔料等の着色剤、紫外線吸収剤や、
離型剤、酸化防止剤などの添加剤の添加総量は、本発明
のプラスチックレンズ用樹脂組成物中に含まれる全硬化
性樹脂成分に対して1質量部以下であることが望まし
い。
【0103】次に、本発明(V)について説明する。本
発明(V)は、本発明(III)又は本発明(IV)の
プラスチックレンズ用組成物を硬化して得られるプラス
チックレンズである。
【0104】本発明のプラスチックレンズは、25℃で
1.497〜1.505の屈折率を必要とする。一般式
(3)で表される化合物を原料とするプラスチックレン
ズ(屈折率1.498(25℃))を製造する際に使用
される型は、同等の屈折率を有するプラスチックを製造
する際にのみ適しているものである。同一の型を使用し
た場合、屈折率の変更はレンズの能力の変更を意味す
る。
【0105】高屈折率レンズとなる組成物は、同等の能
力を有するプラスチックレンズを得るためには異なる型
を必要とする。従って、本発明(I)で表されるプラス
チックレンズ材料、一般式(3)で表される化合物、及
び本発明(I)で表されるプラスチックレンズ材料また
は一般式(3)で表される化合物と共重合可能なモノマ
ーの導入によるレンズの特性改良は、型を変更する必要
がないようにするために、得られるレンズの屈折率を限
定すること無しには達成できない。好ましくは、本発明
のプラスチックレンズの屈折率は、25℃で1.498
〜1.505であり、さらに好ましくは、1.498〜
1.503である。
【0106】最後に本発明(VI)について説明する。
本発明(VI)は、本発明(III)又は本発明(I
V)のプラスチックレンズ用組成物を硬化してなる本発
明(V)のプラスチックレンズの製造方法である。
【0107】本発明におけるプラスチックレンズ用組成
物の成形加工方法には、注型成形が適している。具体的
には、組成物中にラジカル重合開始剤を添加して、エラ
ストマーガスケットやスペーサーで固定化している型
へ、ラインを通して注入して、オーブン中で、熱により
硬化する方法などで成形する方法などが挙げられる。
【0108】このとき、型として使用される材質として
は、金属やガラスである。一般に、プラスチックレンズ
の型は、注型成形の後洗浄されなければならず、そのよ
うな洗浄は通常、強アルカリ液または強酸を用いて行わ
れる。ガラスは、金属とは異なり、洗浄によって変質し
づらく、また、容易に研磨され、そして非常に表面の粗
さを少なくできるという理由から、好ましく用いられて
いる。
【0109】本発明(III)又は本発明(IV)のプ
ラスチックレンズ用組成物は、シクロヘキサン環構造を
有するのでプラスチックレンズで多く使用されているポ
リジエチレングリコールビスアリルカーボネートを原料
とするプラスチックレンズの屈折率1.498に容易に
近づけることができる。従って、成形に用いるモールド
等を変更をせずに、従来から使用している物をそのまま
使用ができるという利点もある。
【0110】成形の際の硬化温度は約30℃〜120
℃、好ましくは40℃〜100℃である。また、硬化温
度の操作については、硬化時の収縮やひずみを考慮する
と、昇温しながら徐々に硬化する方法が好ましく、一般
的には0.5時間〜100時間、好ましくは3時間〜5
0時間、さらに好ましくは10時間〜30時間かけて硬
化するのが良い。
【0111】本発明のプラスチックレンズの染色方法
に、特に制限はない。公知のプラスチックレンズの染色
法であれば、いずれの方法でも構わない。中でも、従来
から一般的な方法として知られる浸漬染色法が好まし
い。ここで言う「浸漬染色法」とは、分散染料を界面活
性剤と共に水中に分散させて染色液を調製し、加熱下に
おいて、この染色液にプラスチックレンズを浸漬して染
色する方法である。
【0112】プラスチックレンズの染色方法は、浸漬染
色法に限定されるわけではなく、他の公知の方法、例え
ば有機顔料を昇華させプラスチックレンズを染色する方
法(特公昭35−1384号公報)、昇華性染料を昇華
させてプラスチックレンズを染色する方法(特公昭56
−159376号公報、特公平1−277814号公
報)を用いることもできる。操作が簡便な点から、浸漬
染色法がもっとも好ましい。
【0113】
【実施例】以下本発明を実施例により、詳細な説明を行
うが、本発明はこれらに限定するものではない。
【0114】諸物性の測定については以下のとおりに実
施した。 1.屈折率(nD)およびアッベ数 9mm×16mm×4mmの試験片を作成し、アダコ社
製「アッベ屈折率計1T」を用いて、室温における屈折
率(nD)及びアッベ数(νD)を測定した。接触液はα
−ブロモナフタリンを使用した。 2.粘度 東京計器株式会社製B型粘度計(BU8型)を用いて2
5℃で測定した。 3.バーコール硬度 934−1型を用い、JIS K−6911に従い測定
した。
【0115】4.染色方法及び染色むらの評価 1リットルのビーカーに0.8gのスミカロンブルーE
−FBL(住友化学工業(株)製)と0.5リットルの
水を加えて攪拌して溶かした。これを80℃に水浴中で
加熱して、この分散染料溶液中に硬化したプラスチック
レンズサンプルを重ならないようにホルダーに取り付け
て、さらに80℃で10分浸漬した後、取り出した。水
洗を十分行った後、30℃のオーブン中で熱風乾燥し
た。得られた染色済プラスチックレンズサンプルを目視
して、外観上均一に染色されずに染色むらが確認された
ものを不良とした。硬化サンプルは、全個数を30個と
して、不良個数を数えた。
【0116】5.アリルエステル樹脂のシス/トランス
比の決定方法 400MHz1H−NMRスペクトルのシス構造に由来
するピーク及びトランス構造に由来するピークの積分比
から判断した。
【0117】(1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジ
アリルの製造例−1)ディーンスターク付き還流冷却器
を取り付けた3リットル三ツ口丸底フラスコに1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸(シス/トランス=6.5
/3.5)(イーストマン・ケミカル社製)1000
g,アリルアルコール1012g,ベンゼン800g及
びp−トルエンスルホン酸20gを入れ、オイルバスの
温度を100℃の調整し、反応を開始した。反応中、精
製する水はディーンスタークを用いて3リットル三ツ口
丸底フラスコから除去した。15時間後反応を終了し、
三ツ口丸底フラスコ内の溶液を5リットルの分液ロート
に移した。その後、1wt%水酸化ナトリウム水溶液5
00gを5リットルの分液ロートに入れ、分液ロート振
り、液が2相の分離するまで静置した。その後、水相を
除去した。さらに1wt%水酸化ナトリウム水溶液50
0gを5リットルの分液ロートに入れ、同様の操作をし
た。その後、1wt%塩化ナトリウム水溶液を500g
を2回5リットルの分液ロートに入れ、2回同様の操作
を繰り返した。その後、有機相からエバポレーターを用
いてベンゼン及び過剰のアリルアルコールを留去した。
その後、蒸留装置を用いて、減圧蒸留を行った。147
℃〜150℃/0.4kPaで蒸留を行い、1300g
の無色透明液体を得た(以下、「サンプルA」とす
る。)。この液体を、ガスクロマトグラフ法により、分
析したところ、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジ
アリルのシス構造とトランス構造の存在比は6.5/
3.5であった。ガスクロマトグラフ法の分析条件は以
下の通りである。
【0118】 使用機器;GC−14B(島津製作所(株)製) 検出器;水素炎イオン化検出器 使用カラム;Gカラム 温度条件;スタート温度70℃で2℃/分で220℃ま
で昇温し、220℃で10分間ホールドした。
【0119】(1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジ
アリルの製造例−2)1,4−シクロヘキサンジカルボ
ン酸(シス/トランス=7/3)(イーストマン・ケミ
カル社製)1000gの代わりに、1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸(トランス体100%)(アルドリッ
チ社製)1000gを用いた以外は1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸ジアリルの製造例−1と同様の操作を
行い、147℃〜150℃/0.4kPaで蒸留を行
い、1300gの無色透明液体を得た(以下、「サンプ
ルB」とする。)。この液体を、ガスクロマトグラフ法
により、分析したところ、1,4−シクロヘキサンジカ
ルボン酸ジアリルのトランス構造が100%であった。
【0120】また、サンプルAとサンプルBを混合し
て、シス構造とトランス構造の存在比が8/2である
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル(以下、
「サンプルC」とする。)、シス構造とトランス構造の
存在比が5/5である1,4−シクロヘキサンジカルボ
ン酸ジアリル(以下、「サンプルD」とする。)及び、
シス構造とトランス構造の存在比が3/7である1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル(以下、「サン
プルE」とする。)を調整した。
【0121】(アリルエステル化合物の製造−1)蒸留
装置のついた1リットル三ツ口フラスコにサンプルA5
00.0g、プロピレングリコール100.5g、ジブ
チル錫オキサイド0.50gを仕込んで窒素気流下、1
80℃に加熱して生成してくるアリルアルコールを留去
した。アリルアルコールが115.6g程度留出したと
ころで、反応系内を1.33kPaまで減圧にし、アリ
ルアルコールを留出速度を速めた。理論量のアリルアル
コールが留出した後、更に1時間加熱して、180℃−
0.13kPaで1時間保持した後、反応器を冷却し
て、アリルエステル化合物(以下、「サンプルF」とす
る。)を448g得た。
【0122】ガスクロマトグラフィー(島津科学(株)
製、GC−14B、水素炎イオン化検出器 使用カラム
OV−17 0.5m 温度条件160℃一定)で分析
したところ、サンプルFは、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸ジアリル13重量%を含んでいた。
【0123】400MHz1H−NMR(希釈溶媒;C
DCl3)により、サンプルFの1,4−シクロヘキサ
ンジカルボキシレート構造単位のシス構造とトランス構
造の存在比は6.5/3.5であった。
【0124】図1にサンプルFの400MHz1H−N
MRスペクトルチャートを、また表1に該チャートの帰
属及び積分比を記す。
【0125】(アリルエステル化合物の製造−2)サン
プルA500.0gの代わりにサンプルC500.0g
を用いた他は、アリルエステル化合物の製造−1と同様
の操作を行った。その結果、アリルエステル化合物(以
下、「サンプルG」とする。)を448g得た。
【0126】ガスクロマトグラフィー(島津科学(株)
製、GC−14B、水素炎イオン化検出器 使用カラム
OV−17 0.5m 温度条件160℃一定)で分析
したところ、サンプルGは、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸ジアリル13重量%を含んでいた。
【0127】400MHz1H−NMR(希釈溶媒;C
DCl3)により、サンプルGの1,4−シクロヘキサ
ンジカルボキシレート構造単位のシス構造とトランス構
造の存在比は2/8であった。
【0128】図2にサンプルGの400MHz1H−N
MRスペクトルチャートを、また表1に該チャートの帰
属及び積分比を記す。
【0129】(アリルエステル化合物の製造−3)サン
プルA500.0gの代わりにサンプルD500.0g
を用いた他は、アリルエステル化合物の製造−1と同様
の操作を行った。その結果、アリルエステル化合物(以
下、「サンプルH」とする。)を448g得た。
【0130】ガスクロマトグラフィー(島津科学(株)
製、GC−14B、水素炎イオン化検出器 使用カラム
OV−17 0.5m 温度条件160℃一定)で分析
したところ、サンプルHは、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸ジアリル14重量%を含んでいた。
【0131】400MHz1H−NMR(希釈溶媒;C
DCl3)により、サンプルHの1,4−シクロヘキサ
ンジカルボキシレート構造単位のシス構造とトランス構
造の存在比は5/5であった。
【0132】図3にサンプルHの400MHz1H−N
MRスペクトルチャートを、また表2に該チャートの帰
属及び積分比を記す。
【0133】(アリルエステル化合物の製造−4)サン
プルA500.0gの代わりにサンプルE500.0g
を用いた他は、アリルエステル化合物の製造−1と同様
の操作を行った。その結果、アリルエステル化合物(以
下、「サンプルI」とする。)を448g得た。
【0134】ガスクロマトグラフィー(島津科学(株)
製、GC−14B、水素炎イオン化検出器 使用カラム
OV−17 0.5m 温度条件160℃一定)で分析
したところ、サンプルIは、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸ジアリル14重量%を含んでいた。
【0135】400MHz1H−NMR(希釈溶媒;C
DCl3)により、サンプルIの1,4−シクロヘキサ
ンジカルボキシレート構造単位のシス構造とトランス構
造の存在比は3/7であった。
【0136】図4にサンプルIの400MHz1H−N
MRスペクトルチャートを、また表2に該チャートの帰
属及び積分比を記す。
【0137】
【表1】
【表2】
【0138】実施例1 表3に記したように、ジエチレングリコールビスアリル
カーボネート(PPG社製 商品名CR−39)97.
0重量部、サンプルEを5.0重量部、ジイソプロピル
パーオキシジカーボネート(IPP)を3重量部を配合
して、混合攪拌して完全に均一にした溶液組成物とし、
そのときの粘度を測定した。その後、減圧可能なデシケ
ーターに、この溶液が入った容器を入れ、約15分ほど
真空ポンプで減圧することにより、溶液中の気体を脱気
した。この溶液組成物を、眼鏡プラスチックレンズ用の
ガラス製の型と樹脂性のガスケットによって組み立てら
れた型に気体が混入しないように慎重に注射器にて注入
した後、オーブン中で、40℃で7時間、40℃〜60
℃まで10時間、60℃〜80℃まで3時間、80℃で
1時間、85℃で2時間のプログラム昇温加熱により硬
化させた。
【0139】また、得られたレンズの屈折率、アッベ
数、バーコール硬度の測定結果、及び染色むらの評価結
果を表3に示す。
【0140】
【表3】
【0141】実施例2〜実施例5及び比較例1〜比較例
表3に示した配合で、組成物を調製して、実施例1と同
様な方法で、粘度測定を行い、その後硬化し、レンズの
屈折率、アッベ数、バーコール硬度の測定及び染色むら
の評価を行った。結果を表3に示す。
【0142】外観の変化(保存安定性試験) また、サンプルF、サンプルG、サンプルH及びサンプ
ルIを25℃で2週間保存し、サンプル製造直後と2週
間後の外観を目視により比較した。その結果を表4に示
す。また、サンプル製造直後と2週間後のサンプルF、
サンプルG、サンプルH及びサンプルIを用いて混合し
たプラスチックレンズ用樹脂組成物についても同様の方
法により外観を比較した。その結果を表5に示す。
【0143】
【表4】
【0144】
【表5】
【0145】上記の表3,表4及び表5の結果から、本
発明により、保存安定性が良好でかつ、染色性が良好な
レンズを製造することが可能でことは明らかである。
【0146】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のプラスチッ
クレンズ材料用化合物は、従来のシクロヘキシルジカル
ボキシレート構造を含有するジアリルエステルオリゴマ
ー化合物が比較的結晶性が高く、常温以下の温度で長期
保存しておくと白濁してしまうという問題点を解決し、
取り扱いに優れた化合物であることは明かである。
【0147】その結果、該プラスチックレンズ材料用化
合物はもとより、該化合物を含むプラスチックレンズ用
組成物も、保存安定性が良好で、長期保存後も特段の操
作を行うことなく従来のプラスチックの注型成形法をそ
のまま使用できる。しかも、該組成物を硬化して得られ
るプラスチックレンズは、従来品に比べて染色むらが少
ないので、より効率的なプラスチックレンズの生産が可
能になる。
【0148】
【図面の簡単な説明】
図は実施例に記載したプラスチックレンズ材料用化合物
の400MHz1H−NMRスペクトルチャートであ
る。
【図1】図1はサンプルFの400MHz1H−NMR
スペクトルチャート(シス/トランス=6.5/3.
5)である。
【図2】図2はサンプルGの400MHz1H−NMR
スペクトルチャート(シス/トランス=2/8)であ
る。
【図3】図3はサンプルHの400MHz1H−NMR
スペクトルチャート(シス/トランス=5/5)であ
る。
【図4】図4はサンプルIの400MHz1H−NMR
スペクトルチャート(シス/トランス=3/7)であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/04 G02B 1/04 // B29K 67:00 B29K 67:00 B29L 11:00 B29L 11:00 (72)発明者 田中 保二 大分県大分市大字中の洲2 昭和電工株式 会社大分生産・技術統括部内 (72)発明者 但馬 恒男 大分県大分市大字中の洲2 昭和電工株式 会社大分生産・技術統括部内 (72)発明者 内田 博 大分県大分市大字中の洲2 昭和電工株式 会社大分生産・技術統括部内 Fターム(参考) 4F204 AA28 AB04 AH74 EA03 EB01 EF02 EF27 EK16 4J011 GA05 GB02 GB03 GB07 4J015 BA08 4J029 AB02 AB04 AC01 AE04 BA03 CD03 KE02 4J100 AE18P AE18Q AE77P AE77Q AG04R AL03R AL08R BA03Q BA15P BA22Q BC04P BC08R CA01 CA04 CA05 JA33

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される基を末端基
    として有し、下記一般式(2)で表される基を繰り返し
    単位として有する化合物において、1,4−シクロヘキ
    サンジカルボキシレート構造単位の一部又は全部がシス
    構造である化合物からなることを特徴とするプラスチッ
    クレンズ材料。 一般式(1) 【化1】 一般式(2) 【化2】 (式中、R1はそれぞれ独立にアリル基またはメタリル
    基のいずれかを表し、Xはそれぞれ独立に2個〜6個の
    水酸基を有する炭素数2〜炭素数20の多価アルコール
    から誘導された有機残基を表す。ただし、Xはエステル
    結合によって、さらに上記一般式(1)を末端基とし、
    上記一般式(2)を繰り返し単位とする分岐構造を有す
    ることが出来る。)
  2. 【請求項2】 シス構造の割合が、全ての1,4−シク
    ロヘキサンジカルボキシレート構造単位に対して30%
    以上であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチ
    ックレンズ材料。
  3. 【請求項3】 多価アルコールが、プロピレングリコー
    ルであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載
    のプラスチックレンズ材料。
  4. 【請求項4】 以下の第一工程及び第二工程を含むこと
    を特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    プラスチックレンズ材料の製造方法。 第一工程 触媒の存在下、シス構造を含む1,4−シクロヘキサン
    ジカルボン酸とアリルアルコール及び/又はメタリルア
    ルコールとを反応させて1,4−シクロヘキサンジカル
    ボン酸エステルを得る工程 第二工程 触媒の存在下、第一工程で得た1,4−シクロヘキサン
    ジカルボン酸エステルと多価アルコールとのエステル交
    換反応を行いプラスチックレンズ材料用化合物を得る工
  5. 【請求項5】 第一工程で用いる触媒が、p−トルエン
    スルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸、塩酸からなる群
    から選ばれたの少なくとも一種以上であることを特徴と
    する請求項4記載のプラスチックレンズ材料の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 第二工程で用いる触媒が、テトライソプ
    ロポキシチタン、テトラブトキシチタン、ジブチル錫オ
    キサイド、ジオクチル錫オキサイド、アセチルアセトン
    ハフニウム、アセチルアセトンジルコニウムからなる群
    から選ばれた少なくとも一種以上であることを特徴とす
    る請求項4又は請求項5のいずれかに記載のプラスチッ
    クレンズ材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    プラスチックレンズ材料のうち少なくとも一種以上、及
    び下記一般式(3)で表される化合物のうち少なくとも
    一種以上、を含有することを特徴とするプラスチックレ
    ンズ用組成物。 一般式(3) 【化3】 (式中、Yは2個〜6個の水酸基を有する炭素数2〜炭
    素数20の多価飽和アルコールから誘導された一種以上
    の有機残基を表し、R2は、アリル基またはメタリル基
    のいずれかを表す。ただし、それぞれのR2は、それぞ
    れ独立である。またYの水酸基の数をnとした場合に、
    sは0〜n−1の整数のいずれかであり、tは1〜nの
    整数のいずれかであり、且つs+t=nである。)
  8. 【請求項8】 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の
    プラスチックレンズ材料のうち少なくとも一種以上:
    0.05質量%〜30質量%、一般式(3)で表される
    化合物のうち少なくとも一種以上:50質量%〜99.
    95質量%、及び請求項1〜請求項3のいずれかに記載
    のプラスチックレンズ材料または一般式(3)で表され
    る化合物と共重合可能なモノマーのうち少なくとも一種
    以上:0質量%〜20質量%を含有することを特徴とす
    る請求項7記載のプラスチックレンズ用組成物。
  9. 【請求項9】 一般式(3)で表される化合物が、ジエ
    チレングリコールビスアリルカーボネートであることを
    特徴とする請求項7又は請求項8に記載のプラスチック
    レンズ用組成物。
  10. 【請求項10】 プラスチックレンズ用組成物100質
    量部に対して、少なくとも一種以上のラジカル重合開始
    剤0.1質量部〜10質量部を含有することを特徴とす
    る請求項7〜請求項9のいずれかに記載のプラスチック
    レンズ用組成物。
  11. 【請求項11】 少なくとも一種以上のラジカル重合開
    始剤が、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートを含
    有することを特徴とする請求項10記載のプラスチック
    レンズ用組成物。
  12. 【請求項12】 請求項7〜請求項11のいずれかに記
    載のプラスチックレンズ用組成物を硬化して得られるプ
    ラスチックレンズ。
  13. 【請求項13】 25℃での屈折率が1.497〜1.
    505であることを特徴とする請求項12記載のプラス
    チックレンズ。
  14. 【請求項14】 請求項12又は請求項13に記載のプ
    ラスチックレンズの製造方法において、該製造方法が重
    合温度30℃〜120℃、重合時間0.5〜100時間
    での注型重合であることを特徴とするプラスチックレン
    ズの製造方法。
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