JP2003045875A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

半導体装置およびその製造方法

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JP2003045875A JP2001230436A JP2001230436A JP2003045875A JP 2003045875 A JP2003045875 A JP 2003045875A JP 2001230436 A JP2001230436 A JP 2001230436A JP 2001230436 A JP2001230436 A JP 2001230436A JP 2003045875 A JP2003045875 A JP 2003045875A
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semiconductor
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Junko Kono
純子 河野
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NEC Compound Semiconductor Devices Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体基板にクラック等の破損を生ぜず、表
面の半導体のデバイス特性を良好に保つことが可能なバ
イアホールを有する半導体装置、もしくはヒートシンク
層を含む裏電極部材等に於ける信頼性が低下しない半導
体装置及びそれらの製造方法を提供する。 【解決手段】 適宜の半導体素子50が形成されている
第1の面51と、前記第1の面51と対向する第2の面
52に裏面電極部若しくはヒートシンク層を構成する金
属部14又は53が形成されている半導体基板1であっ
て、前記半導体基板1の第2の面52には、前記金属部
14又は53内にハンダ材の拡散を防止するバリア層1
5が更に形成されている半導体装置100。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体基板を貫通し
て裏面に電気接続するバイアホール(貫通孔)を有する
半導体装置、もしくは裏面に放熱と応力緩和のためのP
HS(Plated HeatSink)層を有する半導体装置とその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電界効果トランジスタ(FET)やヘテ
ロバイポーラトランジスタ(HBT)等による高周波の
アナログ集積回路や高出力増幅素子では、半導体チップ
表面の回路素子群から低インピーダンスに接地(アー
ス)するため、基板を貫通するバイアホール(貫通孔)
とこの内部に電気導体の貫通金属を設け、半導体チップ
の裏全面に設けられた裏面電極に電気接続して接地する
ことが行なわれる。
【0003】その場合、接地で金属ワイヤを用いること
も可能であるが、配線として長くなりインダクタ成分や
抵抗成分が増すため、回路の高周波特性が異常発振を起
こして不安定になり易い。
【0004】そこで基板を貫通して直接に短距離で裏面
電極に接続して接地することで、インダクタや抵抗の成
分を低く抑えることが行われる。その後、この半導体チ
ップは、裏面の金属面を金属のハンダ材(ソルダー)で
実装基板やパッケージ等の金属面に接着して固定し、接
地を確保する。
【0005】一方、半導体チップ表面の配線パッドと実
装基板やパッケージ等の端子とは金属ワイヤでボンディ
ングすることで接続される。
【0006】このバイアホールを有する半導体装置の構
造と製造方法は、例えば、特開昭59−117171号
公報、特開昭61−79261号公報、特開平5−47
937号公報等で紹介されている。
【0007】図7は、これら従来例から理解される半導
体装置(半導体チップ)の構造を模式的に示した断面図
であり、又図8は、図7に示す従来の半導体チップをパ
ッケージ等の実装金属台にハンダ材で接着した状態を示
す断面図である。
【0008】図7の半導体チップにおいて、半絶縁性G
aAsの半導体基板1の表面に電界効果トランジスタ
(FET)の半導体素子が設けられる。
【0009】即ち、半絶縁性GaAs基板1の表面にn
形GaAs導電層2の素子領域が設けられており、この
表面にショットキー性ゲート電極5と、これを挟むよう
にソース電極3とドレイン電極4が形成され、且つこの
半導体素子の表面はSiO2等の絶縁膜7で覆われる。
【0010】更に、ソース電極3の近くに半導体基板1
を表面から裏面に貫通する貫通孔(バイアホール)6が
設けられており、ソース電極3を裏面に接地する配線の
貫通金属として、バイアホール6の内壁にチタン(T
i)層9と金(Au)層10とAuメッキ層12が形成
されている。
【0011】一方、半導体基板1の裏面全面にも、バイ
アホール6の貫通金属に接触して裏面電極としてTi層
30とAu層31とAuメッキ層32とがこの順に設け
られている。
【0012】図8は、パッケージ,リードフレーム,実
装基板等の銅(Cu)にAuメッキが施された金属台
に、図7に示す半導体チップの裏面のAuメッキ層32
とを、金スズ(AuSn)等のハンダ材18を介して接
着された構成の例を示すものである。
【0013】尚、ソース電極3はバイアホール6の貫通
金属を介して裏面電極に接続され、この裏面電極は導電
性のハンダ材18を介して金属台19に接続され、ソー
ス電極3は接地される。
【0014】ここで用いられた各Ti層9、30はAu
が半導体基板への密着が悪いため密着性を高めるように
設けられる。また、抵抗を増加させないように例えば1
00nm前後と薄く設定される。
【0015】つまり、上記した従来例に於けるチタン層
は、後述する本発明に於て使用されるバリア層の機能は
有していないものである。
【0016】一方、上記チタン層30の上のAu層31
はAuメッキを施すための給電層として100〜500
nm程度が設けられる。このTi層とAu層はスパッタ
蒸着もしくは電子銃蒸着により形成される。
【0017】表面の配線および貫通金属のAuメッキ層
32は0〜5μm程度の厚さである。なお、Auメッキ
層厚が0μmはメッキ層を用いず蒸着によるAu層31
のみで導電性を確保する場合である。
【0018】又、裏面電極のAu層31もしくはAuメ
ッキ層32の厚さは0.5〜30μm程度で、低雑音増
幅用等の低消費電力の素子はハンダ材との密着が確保さ
れればよいため、0.5μm程度の厚さで、Auメッキ
を施さずスパッタ蒸着等で設ける。
【0019】一方、高出力増幅用等で高消費電力のもの
はAuメッキ層32を厚く設ける。
【0020】更に、上記した従来例に於いては、その他
に、半導体素子で発熱が大きいものでは、放熱性を向上
させるために半導体基板を薄層化する必要があり、その
為に、チップの物理的強度を補強するため、また半導体
基板が膨張して金属台もしくはハンダ材との間で応力が
発生する際の応力緩和のため、半導体基板の裏面に放熱
機能を有するヒートシンク層を設ける事が一般的であ
り、この層は、PHS(Plated Heat Sink)とも呼ばれ
る。
【0021】かかるヒートシンク層としては、一般的に
は、柔らかく、且つ熱伝導や電気伝導がよい金(Au)
が多く用いられるが最近では低価格のために、同じく柔
らかく熱伝導や電気伝導のよい銅(Cu)も用いられる
ようになってきている。
【0022】一方、従来に於ては、半導体チップを金属
台に固定するハンダ材は、信頼性が要求されるものには
金にスズを約20%加えた金スズ(Au−Sn)が多く
用いられ、半導体チップを固定するハンダ材の融点は3
00〜400℃と高めに設定される。その後、ボンディ
ングでの加熱、パッケージのキャップ封印、モールド樹
脂の形成、パッケージの回路基板へのハンダ付け等の加
熱作業があるためである。なおハンダ材として、鉛スズ
系(Pb−Sn)や亜鉛スズ系(Zn−Sn)も用いら
れる。
【0023】次にこのバイアホールとPHS層を有する
半導体チップの製造方法を説明する。
【0024】図9から図15は、従来に於ける半導体装
置の製造工程の一例を工程順に示した模式的な断面図で
ある。
【0025】先ず、図9に示す様に、厚さ約600μm
の半絶縁性GaAs基板1の表面にエピタキシャル成長
等でn形導電層2を形成し、素子以外の余分な領域をエ
ッチング等で除去して素子領域としてのn形導電層2を
設ける。この表面にショットキー性のゲート電極5とオ
ーム性のソース電極3とドレイン電極4を形成する。
【0026】更に、この表面に保護膜としてSiO2
の絶縁膜7を堆積して半導体素子を被覆する。
【0027】さらに前記絶縁膜7の表面に開口パターン
を有するフォトレジスト膜8を設け、絶縁膜7をドライ
エッチングで開口し、塩素系ガスを用いたドライエッチ
ングでGaAs基板1を例えば直径約40μmで深さ1
00μm掘り込みバイアホール6を設ける。
【0028】このエッチング後、図10に示す様に、表
面に設けたフォトレジスト膜8を除去し、更に絶縁膜7
を10μm程度サイドエッチングしてソース電極3の一
部を露出させる。この上に厚さ100nmのTi層9と
厚さ400nmのAu層10を順次スパッタ蒸着する。
Au層10はメッキの給電層、Ti層9はAuを密着さ
せる層である。
【0029】次に図11に示すように、バイアホール6
およびソース電極3の一部が連なって開口したフォトレ
ジスト膜11を設けてマスクとし、配線としてのAuメ
ッキ層12を厚さ3μm設ける。この後メッキのマスク
としたフォトレジスト膜11を除去する。
【0030】次に、Auメッキ層12自身をマスクにし
てイオンミリング等で配線以外の余分な給電層のAu層
10とTi層9を除去する。
【0031】次に、GaAs基板1の表面に半導体素子
と配線等を形成した後、このGaAs基板1の表面をワ
ックス13で石英等の支持板14に貼り付ける。その
後、GaAs基板1の裏面を研磨してGaAs基板1を
100μmまで薄くし、バイアホール6内の底部にある
金属を露出させる。研磨での基板厚さの変化は基板を研
磨面に押さえ付ける支持棒の位置変化を検出することで
計測される。
【0032】次に、図13に示すように、GaAs基板
1の裏面に裏面電極として厚さ100nmのTi層15
と厚さ400nmのAu層16をスパッタ蒸着する。な
お、低雑音用等の低消費電力の半導体素子ではこの状態
でダイシング等の切断をして半導体チップにしてよい。
【0033】次に図14に示すように、GaAs基板1
の裏面でチップの切断領域に厚いフォトレジスト膜17
のマスクを設け、Au層16を給電層として厚さ20μ
mのAuメッキを施してPHS層23を設ける。
【0034】次に図15に示すように、PHS層23を
マスクとして切断領域にあるAu層16とTi層15を
イオンミリング等で除去し、さらにGaAs基板1をド
ライエッチングもしくはウエットエッチングでチップ化
する。もしくはダイシングによりチップ化する。
【0035】この後、粘着テープに裏面を貼り付け、ワ
ックス13を溶かして支持板14から離し、粘着テープ
を熱で横に引き伸ばし、チップ間を広げて個々の半導体
チップを取ることにより、図7に示した半導体チップ
(半導体装置)が得られる。
【0036】なお配線もしくはPHS層でのAuメッキ
は、密着性を向上させるためのTi層と給電層としての
薄いAu層を蒸着もしくはスパッタで先に形成すること
が、通常プロセスでは行われる。
【0037】一方、図16及び図17は、従来に於ける
半導体装置の基板裏面にヒートシンク層21を形成する
場合の製造方法の一具体例を示すものであって、図12
で形成された半導体装置の基板の裏面に図16で示す様
にチップの切断領域に厚いフォトレジスト膜20のマス
クを設け、その後ヒートシンク層21を形成する。
【0038】次に図17に示すように、PHS層21を
マスクとして切断領域にあるGaAs基板1をドライエ
ッチングもしくはウエットエッチングでチップ化する。
もしくはダイシングによりチップ化する。
【0039】先に示した従来例である特開昭61−79
261号公報の実施例では、バイホール形成後に「チタ
ン、金を夫々100nm、1000nmの厚さとなる金
属部を被着し、……」とあり、基板研磨後の裏面金属と
しては「チタン、金を夫々100nm、500nmの厚
さとなる金属部を蒸着により被着し、……ヒートシンク
層となる厚さ50μmの金メッキ層(第2の金属部)
(7)を設ける。」とあり、Ti密着層の厚さは100
nmである。
【0040】他に特開平7−193214号公報では、
50nm以下のTi,Cr,Niが密着層として用いら
れている。また特開平7−58132号公報では、50
nmのTi層が、特開平7−176760号公報におい
ても50nmのTi層が密着層として用いられている。
【0041】このようにAu自身では基板に対して密着
性が悪いため、Ti等の金属を100nm以下と薄く挿
入して密着性を確保することが行われる。
【0042】
【発明が解決しようとする課題】このような半導体チッ
プを、加熱して溶融させたハンダ材でパッケージ等の金
属面に接着したとき、特に裏面電極のAu層が薄い場合
に、ハンダ材に含まれるSn等がAu層やTi層を拡散
し、かつバイアホール内へも拡散して染み込み、加熱を
止めて室温に戻したときにバイアホール部からひび割れ
(クラック)が生じ、このクラックが表面にある半導体
素子や回路配線を破損させたり劣化させるという問題が
発生する。
【0043】これはSnが金属との濡れ性がよいため、
金属中に拡散して合金を生じ易いためである。また、合
金化した金属は一般に硬くなり易いという性質がある。
【0044】これらのことから、バイアホールに染み込
んだハンダ材が合金化により硬化して半導体基板にクラ
ックを生じさせるものと考えられる。
【0045】また、合金化した部分では抵抗値が上が
り、ドレイン電流の減少、デバイス特性の劣化も生じる
ことになる。
【0046】一方、上記した従来の半導体装置に於て、
その裏面にヒートシンク層を設ける場合に於ても、ハン
ダ材がヒートシンク層を構成する部材の内部に浸透し
て、固くなるとか変質して、柔軟性が欠如し、歪み緩和
機能が失われたり、熱導電性が悪化して放熱効果が低下
すると言う問題が有った。
【0047】その他には、特開平2−214127号公
報には、基板をダイシングする際にエッジの発生を防止
する目的で、基板の裏面に設けた放熱電極で当該ダイシ
ング領域を包み込む様に被覆させる技術が示されてお
り、又、特開平2−148739号公報には、エッチン
グによってダイシングを行う際に、精度良くダイシング
する為に、放熱電極を形成した後、放熱電極の下地層を
除去して基板のダイシング領域を露出される技術が開示
されているが、何れの公知例に於いても、メッキ処理に
於けるメッキ成分の拡散を防止する為のバリア層を設け
る技術に関しては開示がない。
【0048】更に特開平7−193122号公報には、
半導体装置をガラス等の支持台に張り付ける際に、張り
付け材の内部に間隙或いは気泡が発生する事を防止する
目的で、素子分離領域をドライエッチングする技術が開
示されているが、メッキ処理に於けるメッキ成分の拡散
を防止する為のバリア層を設ける技術に関しては開示が
ない。
【0049】従って、本発明の目的は、上記した従来技
術の欠点を改良し、半導体基板にクラック等の破損を生
ぜず、表面の半導体のデバイス特性を良好に保つことが
可能なバイアホールを有する半導体装置、もしくはヒー
トシンク層を含む裏電極部材等に於ける信頼性が低下し
ない半導体装置及びそれらの製造方法を提供することに
ある。
【0050】
【課題を解決する手段】本発明は上記した目的を達成す
るため、以下に記載されたような技術構成を採用するも
のである。即ち、本発明に係る第1の態様としては、適
宜の半導体素子が形成されている第1の面と前記第1の
面と対向する裏面電極部が形成されている第2の面とを
有する半導体基板であって、前記半導体基板の第2の面
には、前記裏面電極部内にハンダ材の拡散を防止するバ
リア層が形成されている半導体装置で有り、又本発明に
於ける第2の態様としては、適宜の半導体素子が形成さ
れている第1の面と前記第1の面と対向する裏面電極部
が形成されている第2の面とを有する半導体基板の前記
半導体基板の第2の面に、前記裏面電極部内にハンダ材
の拡散を防止するバリア層を形成する半導体装置の製造
方法である。
【0051】
【発明の実施の形態】本発明に係る当該半導体装置及び
半導体装置の製造方法は、上記した様な技術構成を採用
しているものであって、より詳細には、半導体装置(半
導体チップ)を固定するハンダ材が半導体装置のバイア
ホール内の金属や、もしくは裏面電極内に拡散して劣化
することを防ぐため、ハンダ材に対してハンダ材になじ
む接合金属部、ハンダ材の内側への拡散を阻止するバリ
ア層を順次に設けることを特徴とするものである。
【0052】更に、本発明に於ける第1の目的として
は、ハンダ成分の侵入によるバイアホール内に設けられ
た配線層の劣化改善であり、又第2の目的としては、半
導体基板の裏面に形成された厚い裏面電極或いはヒート
シンク層等からなる金属部のハンダ成分の侵入による劣
化改善を目的とする。
【0053】即ち、厚い緩和金属部を含む裏面電極の場
合、バイアホールの有無は関係ない。又、厚い緩和金属
部を含む裏面電極でバイアホールを有する場合、基板裏
面近くにバリア層があり、厚い緩和金属部の後にもバリ
ア層があってもよい。
【0054】又、上記したヒートシンク層は、放熱及び
応力緩和の目的の他に、電気伝導性の高い金属を使用す
る事によって、裏面電極部としても機能する事が可能で
ある。
【0055】更に、本発明における半導体素子は、電界
効果トランジスタ(FET)やバイポーラトランジスタ
(BT)やヘテロバイポーラトランジスタ(HBT)等
の3端子素子のみならず、レーザーダイオードや整流ダ
イオードや抵抗等の2端子素子、もしくは多数の端子の
素子であってもよい。複数の半導体素子からなる集積回
路、インダクタやキャパシタ等を含むアナログ集積回路
もしくはマイクロ波集積回路であってもよい。
【0056】
【実施例】以下に、本発明に係る半導体装置及び半導体
装置の製造方法の具体例の構成を図面を参照しながら詳
細に説明する。
【0057】図1は本発明第1の実施の形態としての半
導体装置(半導体チップ)の模式的断面図であり、図
中、適宜の半導体素子50が形成されている第1の面5
1と、前記第1の面51と対向する第2の面52に裏面
電極部若しくはヒートシンク層を構成する金属部14又
は53が形成されている半導体基板1であって、前記半
導体基板1の第2の面52には、前記金属部14又は5
3内にハンダ材の拡散を防止するバリア層15が更に形
成されている半導体装置100が示されている。
【0058】即ち、本発明における半導体装置100の
基本的な構成は、上記したバリア層を除いては、前記し
た図7に示す従来例の半導体装置の構成と同一であり、
従って図7に示された半導体装置に於ける各部材と同一
の部材に付いては同一の符合を付与してあり、従ってそ
れぞれの具体的な説明は省略する。
【0059】本発明における前記半導体装置100に於
いては、前記金属部14を形成する前記裏面電極部は、
適宜の導電性金属を前記半導体基板1の第2の面52上
に層状に形成して構成されている事が望ましい。
【0060】一方、本発明に於いては、前記金属部53
を形成する前記裏面電極部は、前記基板1に於ける第1
の面51と第2の面52との間に貫通して設けられてい
るバイアホール6内に埋め込まれている適宜の導電性金
属9の端部で、上記基板1に於ける第2の面52上に露
出している部分を含む事も望ましい。
【0061】この具体例に於いては、上記したバイアホ
ール6内に埋め込まれている適宜の導電性金属9で上記
基板1に於ける第2の面52上に露出している端部53
に更に上記基板1に於ける第2の表面52に沿って層状
に形成された導電性部材14とが組み合わされて構成さ
れているもので有っても良い。
【0062】又、本発明に於ける別の具体例に於いて
は、図4乃至図6に示す様に、上記した基板1に於ける
第2の面52には、金属部としてヒートシンク層23を
設けると共に、上記ヒートシンク層23に更にバリア層
24を設けた半導体装置100である。
【0063】更に、上記具体例に於いては、前記金属部
を形成する前記ヒートシンク層23は、放熱と応力緩和
を行う緩和金属層で構成されている事が望ましい。
【0064】更に、本発明に於ける別の具体例に於いて
は、前記金属部を形成する前記ヒートシンク層23は、
導電性材料で構成され、裏面電極部として機能する様に
構成されているものであっても良い。
【0065】又、上記ヒートシンク層を含む金属部23
は、直接基板1の裏面に配接されていても良く、図4に
示す様に、適宜の金属部材層を介して配接されているも
ので有っても良い。
【0066】一方、本発明に於ける他の具体例に於いて
は、上記した構成からなる半導体装置100に於いて、
前記バリア層15又は24に更にハンダ材となじむ接合
金属層17又は25が設けられている事も好ましい。
【0067】本発明に於ける別の具体例に於いては、前
記半導体基板1の裏面52に設けられた前記緩和金属層
23は、直接前記半導体基板1の裏面52と接触してい
ても良く又、上記した図4に示す様に、適宜のチタン金
属層21と金層22とから構成される金属層と接触する
もので有っても良い。
【0068】一方、本発明に於ける前記半導体基板1の
裏面52に設けられた前記緩和金属層23の側面を前記
バリア層15或いは24で被覆する事も好ましい。
【0069】本発明に於いては、前記バイアホール6内
に埋め込まれている導電性金属が金(Au)もしくは銅
(Cu)を主成分とする導電性金属である事が望まし
く、又前記の緩和金属層が金(Au)もしくは銅(C
u)を主成分とする金属である事も好ましい。
【0070】又、その他、前記したバイアホール6内の
導電性金属とコンタクトする裏面電極部としては、チタ
ン(Ti)、金(Au)もしくは銅(Cu)を主成分と
する導電性金属が使用されるものである。
【0071】更に、本発明に於いて使用される前記のバ
リア層がバナジウム(V),クロム(Cr),ジルコニ
ウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),
ルテニウム(Ru),ロジウム(Rh),タンタル(T
a),タングステン(W),レニウム(Re),オスミ
ウム(Os),イリジウム(Ir),白金(Pt)もし
くはこれらの珪化物或いは窒化物から選択された少なく
とも一つで構成されている事が好ましい。
【0072】又、本発明に於ける前記のバリア層がチタ
ン(Ti),ニッケル(Ni),パラジウム(Pd)で
ある場合には、それ等の珪化物、もしくは窒化物である
事が望ましい。
【0073】一方、本発明に於ける前記バリア層とし
て、厚みの薄いチタン(Ti)膜では、バリア効果を得
ることが出来ないが、例えばその膜の厚さが200nm
以上のチタン(Ti)膜であるとバリア層として使用す
る事が可能である。
【0074】又、本発明に於ける半導体装置100は最
終的な構造としては、図2に示す様に、前記の半導体基
板1が、当該半導体基板1の裏面52にある接合金属層
17を介して、パッケージやリードフレームや実装基板
19等の導体金属面にハンダ材18で接着されているも
のである。
【0075】以下に、上記した本発明に於ける半導体装
置100のより詳細な構成とその製造方法の具体例につ
いて説明する。
【0076】即ち、図1に示される本発明の半導体装置
100の第1の具体例に於いては、半導体装置(半導体
チップ)はバイアホール6を含む基板表面部分は従来例
と同じであるが、前記基板1の裏面52に設ける金属層
の構成が異なる。
【0077】つまり、具体的には、厚さ100μmのG
aAs半導体基板1の表面に、FETの半導体素子50
とその回路があり、半導体基板1の所定の位置に直径4
0μmのバイアホール6が基板表面51から裏面52に
貫通して設けられ、基板表面51からこのバイアホール
6内に厚さ100nmのTi層9と厚さ400nmのA
u層10とさらに厚さ2μmのAuメッキ層12が施さ
れた配線部が形成され、この半導体基板1の裏面52
に、裏面電極部を構成する密着用の厚さ100nmに形
成された金属部としてのTi層14と、バリア層として
機能する厚さ200nmのPt層15及び厚さ400n
mのAu層17が積層して設けられる。
【0078】本具体的に於いては、上記したAuメッキ
層の形成以外のTi層14やAu層17およびバリア金
属Pt15はスパッタ蒸着により形成される。
【0079】又、図2は本発明にかかる第1の具体的と
しての半導体装置(半導体チップ)100をパッケージ
19にマウントした模式的断面図である。
【0080】図中、Cu板にAuメッキが施されたパッ
ケージ19の一表面に、AuSnのハンダ材18を介し
て半導体チップ100の底面に設けられているAu層1
7が接着されマウントされる。
【0081】この場合、上記パッケージ19を350℃
に加熱されたホットプレート(加熱板)の上に置くこと
で、パッケージ19の一表面に置かれたハンダ材18を
融かし、この上に半導体チップ100を真空チャックで
掴んで置き、軽く揺動させて密着させ、パッケージ19
をホットプレートから離すことで冷却されマウント作業
が終わる。
【0082】本具体的に於いては、半導体チップ100
が加熱される時間は約30秒である。この後、ボンディ
ング装置で半導体チップ100の表面51の電極パッド
とパッケージ19のパッドがAuワイヤで配線接続され
る。なおハンダ材として、PbSnやZnSn等を用い
てもよい。
【0083】図3は本発明に於ける上記した第1の具体
的における半導体装置(半導体チップ)100の平面図
で、高出力用FETもしくはオン時に低抵抗なスイッチ
用FETを形成している状態を示している。
【0084】即ち、図中、線状(フィンガ状)の電極が
ソース,ゲート,ドレイン,ゲート,ソース,ゲート,
ドレイン,ゲート,ソース等と、1つおきのゲートに対
して交互にソースとドレインが設けられている。複数の
ドレイン、ゲート、ソースがまとまって、ソースはソー
ス電極パッド33に、ゲートはゲート電極パッド34に
ドレインはドレイン電極パッド35に接続されて一つの
セルを構成している。
【0085】1チップとしてはこのセルが横に複数並べ
られた構造をしている。ソースは接地のため、半導体チ
ップの表面上で一連に接続され、ゲートの引き出し配線
36を挟むようにソース電極のパッド33が設けられ、
この下に基板のバイアホール37が設けられる。
【0086】FETはゲートしきい値が負のノーマリオ
ン型で、1本の線状のゲート電極は長さ100μmであ
り、ソースパッドに設けられたバイアホールは直径約4
0μmである。バイアホール部の抵抗は0.1Ω以下で
ある。
【0087】本発明による効果を従来例と比較した実験
結果を以下に説明する。
【0088】即ち、比較例として、従来品は金属部であ
る裏面電極部が厚さ100nmのTi層14と厚さ40
0nmのAu層だけで構成されたものとし、バリア層と
しての厚さ200nmのPt層15を含まないものとし
た。
【0089】図1に示す本発明にかかる半導体装置10
0と上記した比較例の半導体装置とを各々100個製造
し、それぞれをパッケージに組み立て、電気的特性を測
定した。
【0090】その結果、本発明では特性の不良がなく均
一であった。一方、従来品では3個に、ドレイン電流が
ゲート電圧でカットオフできない不良が見られた。この
不良品を表面観察すると隣り合うバイアホール間にクラ
ック(ひび割れ)が見られ、この間を通るゲート配線が
切れ、ゲート電圧が一部のFETセルに伝わらなくなっ
ていた。
【0091】バイアホール部を集束イオンビーム(FI
B)で断面に加工して観察すると、バイアホール内にハ
ンダ材の進入が見られた。また、表面観察では、バイア
ホール近傍のAuメッキ配線が輝く金色から暗い黄色に
変色していた。このようなバイアホール部の変色で評価
すると、従来品では100個中で57個に変色した箇所
が見られた。一方、本発明品ではこのような変色は全く
見られなかった。
【0092】次に、本発明における上記した半導体装置
100に関し、基板1の裏面電極部を構成する金属部で
あるTi膜層14の膜厚を従来例に於ける100nmか
ら150nm、200nm、250nm、300nmと
厚くする様に変化させて半導体装置を形成しそれぞれ1
00個の試料を組み立て、上記Ti膜層14の膜厚によ
る特性の変化を調べて見た。
【0093】その結果、Ti膜14の膜厚を増すに従っ
て特性不良とバイアホール部の変色が急速に少なくな
り、特に200nm以上に膜厚を設定する事によってそ
の効果が確認でき、更に300nmでは異常が全く見ら
れなかった。この結果から、Ti層についても膜厚を厚
くすることによりハンダ材に対するバリア性が認められ
る事が判明した。
【0094】次に、本発明に於ける上記具体的に於て、
バリア層15を構成する金属の種類に関して種々の実験
を行った。
【0095】即ち、前記した様に、半導体装置100の
基板1の裏面52に設けられる金属部を100nmのT
i層14と厚さ400nmのAu層17とし、この間に
挿入するバリア層15の厚さ300nmとして、前記バ
リア層を構成する金属の元素を変化させて実験を行っ
た。
【0096】成膜はスパッタ蒸着もしくは電子銃蒸着に
よった。
【0097】上記の実験の結果、次の金属元素でバリア
効果が見られた。即ち、バナジウム(V)、クロム(C
r)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブ
デン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(R
h)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウ
ム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(I
r)。
【0098】上記各種の実験の結果、傾向として融点が
1700℃以上と高い金属でバリア性が高いことが判明
した。
【0099】また、各元素におけるバイアホール部の抵
抗は0.1Ω以下であった。
【0100】更に、本発明にかかる上記した半導体装置
100に関して、上記のバリア層15を構成する材料と
して、珪素(Si)を含むバリア金属の元素の種類を調
べた。
【0101】つまり、前記した様に、半導体装置100
の基板1の裏面52に設けられる金属部を100nmの
Ti層14と厚さ400nmのAu層17とし、この間
に挿入するバリア層15の厚さ300nmとして、前記
バリア層を構成するSiを含む金属の元素を変化させて
実験を行った。
【0102】上記実験に際し、Siを含むバリア金属の
成膜はコスパッタ蒸着で、基板を保持して回転する台の
上にあるSiのターゲットと単元素のターゲットを同時
にスパッタリングすることで珪化金属膜を形成する。
【0103】Siを添加することでSnに対するバリア
性が向上する傾向があり、Siを含むバリア層の厚さを
200nmとし、Siの原子含有割合は30〜60%と
した。
【0104】その結果、次の金属でバリア効果が見られ
た。即ち、W・Si、Mo・Si、Cr・Si、Ta・
Si、Nb・Si、V・Si、Ti・Si、Pt・S
i、Pd・Si、Ni・Si。NiやPdのように単元
素ではバリア性が低いものでも、Siを添加することで
バリア性が高まる。
【0105】なお、スパッタのターゲットとして金属が
非常に高価なものやターゲットの製作が難しいものは試
みてないが、上記実験に於て使用した金属元素との珪化
金属はバリア性があると考えられる。また、Siの添加
割合を高めるとバリア性は高まるが、抵抗率も高まるた
め、Siの添加割合はバリア層の膜厚を含めた調整とな
る。ここに示した元素の珪化金属膜ではバイアホール部
の抵抗が0.1Ω以下であった。
【0106】一方、本発明に於ける半導体装置100に
於て、上記のバリア層 15を構成する材料として、窒
素(N)を含むバリア金属の元素の種類を調べた。
【0107】つまり、前記した様に、半導体装置100
の基板1の裏面52に設けられる金属部を100nmの
Ti層14と厚さ400nmのAu層17とし、この間
に挿入するバリア層15の厚さ300nmとして、前記
バリア層を構成する窒素Nを含む金属の元素を変化させ
て実験を行った。
【0108】上記実験に際し、窒素Nを含むバリア層の
成膜はスパッタするガスのアルゴン(Ar)に流量で窒
素を10〜30%添加した。
【0109】その結果、窒素を添加することでもSnに
対するバリア性が向上する傾向があり、窒素を含むバリ
ア層の厚さを200nmとした場合、次の金属でバリア
効果が見られた。W・N、Mo・N、Cr・N、Ta・
N、Nb・N、V・N、Ti・N。
【0110】なお、スパッタのターゲットとして金属が
非常に高価なものやターゲットの製作が難しいものは試
みてないが、上記した実験結果から、金属元素との窒化
金属はバリア性があると考えられる。また、窒素の添加
割合を高めるとバリア性は高まるが、抵抗率も高まるた
め、窒素の添加割合はバリア層の膜厚を含めた調整とな
る。ここに示した元素の窒化金属膜ではバイアホール部
の抵抗が0.1Ω以下であった。
【0111】又、本発明に於ける上記した半導体装置1
00に於て、バイアホール部6に表面からニッケル(N
i)を厚さ200nmスパッタして給電層とし、銅(C
u)を厚さ3μmメッキした。
【0112】その後、基板1の裏面52を研磨してバイ
アホール6の端面を露出させた後、基板2の裏面52に
厚さ100nmのNi層、厚さ300nmのCu層、厚
さ200nmのNi層をスパッタ蒸着し、半導体チップ
を形成した。
【0113】次いで、亜鉛(Zn)とスズ(Sn)を含
むハンダ材もしくは鉛(Pb)とスズ(Sn)を含むハ
ンダ材を用いて約350℃で半導体チップ100をパッ
ケージ19に接着した。
【0114】この場合もバイアホール6内へハンダ材の
拡散が見られた。
【0115】そこで、裏面金属部の厚さ100nmのN
i層、バリア層として厚さ300nmのNi・Si層、
厚さ300nmのCu層、厚さ200nmのNi層とし
た。
【0116】これにより、バイアホール部6へのハンダ
材の拡散が防止された。
【0117】尚、本発明に於いては、上記した金属部と
バリア層との位置関係は特に特定されるものではなく、
上記した様に、任意に決定する事が可能である。
【0118】本発明にかかる半導体装置の製造方法は、
上記した具体的の説明から明らかな様に、適宜の半導体
素子50が形成されている第1の面51と前記第1の面
51と対向する第2の面52に裏面電極部若しくはヒー
トシンク層を構成する金属部9、14が形成されている
半導体基板1の前記半導体基板の第2の面52に、前記
金属部0、14内にハンダ材の拡散を防止するバリア層
15を形成する事を特徴とする半導体装置の製造方法で
ある。
【0119】本発明に於ける半導体装置の製造方法に於
いては、前記裏面電極部を構成する金属部14は、適宜
の導電性金属を前記半導体基板1の第2の面52に層状
に形成するか、前記半導体基板1に於ける第1の面51
と第2の面52との間に設けられているバイアホール6
内に適宜の導電性金属9を埋め込み、その一端部を露出
させて使用するもので有っても良い。
【0120】又、本発明に於ける半導体装置の製造方法
の他の具体的としては、前記金属部を形成する前記ヒー
トシンク層23を、放熱と応力緩和を行う緩和金属層で
形成するものである。
【0121】更に、本発明に於ける半導体装置の製造方
法に於いては、前記バリア層15に更にハンダ材となじ
む接合金属層17を形成する事が望ましい。
【0122】又、本発明に於ける半導体装置の製造方法
に於いては、前記の半導体基板を、当該半導体基板の裏
面にある接合金属層を介して、パッケージやリードフレ
ームや実装基板等の導体金属面にハンダ材で接着する様
に構成されている事も好ましい。
【0123】次に、本発明に於ける半導体装置100の
第2の具体例について説明する。
【0124】従来例でチップの裏面に緩和金属層(PH
S層)としてAuメッキが厚く設けられることを述べ
た。これは素子が高出力用で発熱が多い場合に適用され
る。PHS・Auメッキ層の目的は、素子の発熱を速や
かに放熱すること、素子の発熱による半導体基板の膨張
の応力を柔らかい金Auの層で吸収することである。
【0125】然しながら、従来に於けるヒートシンク層
に於いても、前記した柔らかさが要求されるAuメッキ
のPHS層にハンダ材が拡散する事が多く、それによっ
て緩和金属層が硬化したり亀裂が発生すると、歪みを緩
和する機能が失われると同時に熱伝導機能も低下する事
になるので、製品の信頼性を失う事になる。
【0126】この事は、基板にバイアホールが有る無し
に係わらず発生する問題であり、又基板にバイアホール
があれば、当然バイアホール部にハンダ材のスズSnが
拡散してバイアホール内の配線層を破壊することから、
同様に信頼性が低下することに繋がっていた。
【0127】本発明に於ける第2の具体例としては、上
記の様に、半導体装置の基板の裏面に例えばヒートシン
ク層或いは厚めの裏面電極部を形成する場合に於ける上
記の問題を解決するものである。
【0128】即ち、図4の模式的断面図に示す様に、本
発明の第2の具体例に於ける半導体装置(半導体チッ
プ)は、厚さ50μmのGaAs半導体基板1の表面
に、FETの半導体素子50とその回路があり、半導体
基板1の所定の位置に直径40μmのバイアホール6が
基板表面51から裏面52に貫通して設けられ、基板表
面51からこのバイアホール6内に厚さ100nmのT
i層9と厚さ400nmのAu層10とさらに厚さ2μ
mのAuメッキ11が施された配線が形成され、この半
導体基板1の裏面52に厚さ100nmのTi21と厚
さ400nmのAu22がスパッタ蒸着で設けられ、こ
の層を給電層とし、フォトレジストのマスクでチップ周
辺を除いて厚さ10μmのAuメッキ層からなるヒート
シンク層(PHS層)23が設けられ、更にこの側面を
含めてバリア層として厚さ400nmのW膜層24と厚
さ400nmのAu膜層25で覆われる。
【0129】図5は本発明における第2の具体例として
の半導体装置(半導体チップ)をパッケージ19にマウ
ントした模式的断面図である。CuW板にAuメッキが
施されたパッケージ19の一表面に、AuSnのハンダ
材18を介して半導体チップの底面Au層25が接着さ
れマウントされる。パッケージを350℃に加熱された
ホットプレート(加熱板)の上に置くことで、パッケー
ジの底部表面に置かれたハンダ材を融かして密着させ
る。ハンダ材の拡散はバリア金属Wで止まるため、厚い
AuメッキのPHS層に深く拡散して合金化し硬化する
ことがない。
【0130】この半導体装置(半導体チップ)の製造方
法は、図16及び図17に示すような従来の製造方法と
同様に、図6に示す様に、半導体基板の切断領域を除く
ようにフォトレジスト膜でマスクしてAuメッキのPH
S層23を形成し、切断領域をエッチングで半導体チッ
プに分離した後に、バリア層としての厚さ400nmの
W膜24と厚さ400nmのAu膜25をスパッタ蒸着
で堆積する。これにより半導体チップの側面としてのA
uメッキPHS層および半導体基板の側面が覆われる。
この後、ダイシングにより分離領域にある金属膜を切断
して半導体チップに分離する。この後は従来と同様にワ
ックス13を溶かして個々の半導体チップを得る。
【0131】本発明に於ける第2の具体例としての半導
体装置(半導体チップ)を従来のものと比較実験をし
た。
【0132】従来品は、上記した追加のWバリア層とA
u層を設けなかったものである。
【0133】本発明品と従来品の半導体チップをセラミ
ック系のパッケージに組立て、高温通電加速試験を加え
た。ドレイン電圧を8V、ドレイン電流を4Aに設定
し、FETチャネルの温度を120℃になるように周囲
を加熱した。従来品は10時間でドレイン電流が10%
以上減少する劣化が見られ、時間の経過でドレイン電流
は更に減少した。一方、本発明品は1000時間でも変
化がなく高信頼性が確認された。
【0134】応力を緩和するPHS層は従来から知られ
るようにAuだけでなくCuでもよい。Cuも他の金属
等が拡散して合金化しなければ柔軟性がある。そして、
PHS層を保護するため、バリア層を半導体基板側とP
HS層の外側に設けても良い。
【0135】それによって、ハンダ材はPHS層23の
外側のバリア層24で阻止される。
【0136】また、バリア層やハンダ材は第1の具体例
に述べた材料が同様に対応する。
【0137】
【発明の効果】本発明の半導体装置(半導体チップ)は
裏面電極にハンダ材になじむ接合金属層とハンダ材の拡
散を阻止するバリア層を設けることで、バイアホールか
ら半導体基板にクラック等の破損を生ぜず、表面の半導
体素子等に影響を及ぼない、安定した半導体装置が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に於ける半導体装置の一具体例
の構成を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明に於ける半導体装置をパッケー
ジにマウントした状態を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明に於ける半導体装置の一具体例
の構成を示す平面図である。
【図4】図4は、本発明に於ける半導体装置の別の具体
例の構成を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明に於ける別の具体例に於ける半
導体装置をパッケージにマウントした状態を示す断面図
である。
【図6】図6は、本発明に於ける半導体装置の別の具体
例に於てダイシングを行う場合の処理方法を説明する断
面図である。
【図7】図7は、従来に於ける半導体装置の製造方法の
一例を示す断面図である。
【図8】図8は、従来に於ける半導体装置の製造方法の
一例を示す断面図である。
【図9】図9は、従来に於ける半導体装置の製造方法の
一例を示す断面図である。
【図10】図10は、従来に於ける半導体装置の製造方
法の一例を示す断面図である。
【図11】図11は、従来に於ける半導体装置の製造方
法の一例を示す断面図である。
【図12】図12は、従来に於ける半導体装置の製造方
法の一例を示す断面図である。
【図13】図13は、従来に於ける半導体装置の製造方
法の一例を示す断面図である。
【図14】図14は、従来に於ける半導体装置の製造方
法の一例を示す断面図である。
【図15】図15は、従来に於ける半導体装置の製造方
法の一例を示す断面図である。
【図16】図16は、従来に於ける半導体装置の製造方
法の一例を示す断面図である。
【図17】図17は、従来に於ける半導体装置の製造方
法の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 素子領域 5 ゲート電極 3 ソース電極 4 ドレイン電極 7 絶縁膜 6 バイアホール 9 チタン(Ti)層 10 金(Au)層 8 フォトレジスト膜 11 フォトレジスト膜 12 Auメッキ層 13 ワックス 14 支持板 15 Ti層 16 Au層 17 フォトレジスト膜 18 ハンダ材 19 パッケージ、金属台 20 フォトレジスト膜 21 ヒートシンク層 22 Au膜 23 PHS層 24 W膜 25 Au膜 30 Ti層 31 Au層 32 Auメッキ層 50 半導体素子 51 基板の第1の面 52 基板の第2の面 53 バイアホールの端面 100 半導体装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4M104 AA05 BB04 BB06 BB13 BB14 BB15 BB16 BB17 BB18 BB19 BB21 BB23 BB24 BB25 BB30 CC00 DD37 FF17 FF18 FF40 GG12 HH05 HH20 5F033 GG02 JJ12 JJ13 JJ18 KK07 KK17 KK18 KK19 KK20 KK21 KK25 KK26 MM05 MM13 MM30 NN06 NN07 PP15 PP19 PP26 VV07 WW02 XX17 XX19 XX28 5F102 FA00 GB02 GC01 GD01 GJ05 GS09 HC11 HC30

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 適宜の半導体素子が形成されている第1
    の面と、前記第1の面と対向する第2の面に裏面電極部
    若しくはヒートシンク層を構成する金属部が形成されて
    いる半導体基板であって、前記半導体基板の第2の面に
    は、前記金属部内にハンダ材の拡散を防止するバリア層
    が更に形成されている事を特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 前記金属部を形成する前記裏面電極部
    は、適宜の導電性金属を前記半導体基板の第2の面に層
    状に形成して構成されている事を特徴とする請求項1記
    載の半導体装置。
  3. 【請求項3】 前記金属部を形成する前記裏面電極部
    は、前記基板に於ける第1の面と第2の面との間に貫通
    して設けられているバイアホール内に埋め込まれている
    適宜の導電性金属の端部で構成されている事を特徴とす
    る請求項1記載の半導体装置。
  4. 【請求項4】 前記金属部を形成する前記裏面電極部若
    しくは前記ヒートシンク層は、放熱と応力緩和を行う緩
    和金属層で構成されている事を特徴とする請求項1記載
    の半導体装置。
  5. 【請求項5】 前記金属部を形成する前記ヒートシンク
    層は、裏面電極部を兼用する事を特徴とする請求項1又
    は4記載の半導体装置。
  6. 【請求項6】 前記バリア層に更にハンダ材となじむ接
    合金属層が設けられている事を特徴とする請求項1乃至
    5の何れかに記載の半導体装置。
  7. 【請求項7】 前記バイアホール内に埋め込まれている
    導電性金属が金(Au)もしくは銅(Cu)を主成分と
    する導電性金属である事を特徴とする請求項3に記載の
    半導体装置。
  8. 【請求項8】 前記の緩和金属層が金(Au)もしくは
    銅(Cu)を主成分とする金属である事を特徴とする請
    求項4又は6に記載の半導体装置。
  9. 【請求項9】 前記半導体基板の裏面に設けられた前記
    緩和金属層の側面が前記バリア層で覆われている事を特
    徴とする請求項4、6又は8の何れかに記載の半導体装
    置。
  10. 【請求項10】 前記のバリア層がバナジウム(V),
    クロム(Cr),ジルコニウム(Zr),ニオブ(N
    b),モリブデン(Mo),ルテニウム(Ru),ロジ
    ウム(Rh),タンタル(Ta),タングステン
    (W),レニウム(Re),オスミウム(Os),イリ
    ジウム(Ir),白金(Pt)もしくはこれらの珪化物
    或いは窒化物から選択された少なくとも一つで構成され
    ている事を特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の
    半導体装置。
  11. 【請求項11】 前記のバリア層がチタン(Ti),ニ
    ッケル(Ni),パラジウム(Pd)の珪化物、もしく
    は窒化物である1乃至9の何れかに記載の半導体装置。
  12. 【請求項12】 前記のバリア層が厚さ200nm以上
    のチタン(Ti)である請求項1乃至9の何れかに記載
    の半導体装置。
  13. 【請求項13】 前記の半導体基板が、当該半導体基板
    の裏面にある接合金属部を介して、パッケージやリード
    フレームや実装基板等の導体金属面にハンダ材で接着さ
    れている事を特徴とする請求項1乃至12の何れかに記
    載の半導体装置。
  14. 【請求項14】 適宜の半導体素子が形成されている第
    1の面と前記第1の面と対向する第2の面に裏面電極部
    若しくはヒートシンク層を構成する金属部が形成されて
    いる半導体基板の前記半導体基板の第2の面に、前記金
    属部内にハンダ材の拡散を防止するバリア層を形成する
    事を特徴とする半導体装置の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記裏面電極部は、適宜の導電性金属
    を前記半導体基板の第2の面に層状に形成するか、前記
    半導体基板に於ける第1の面と第2の面との間に設けら
    れているバイアホール内に適宜の導電性金属を埋め込
    み、その一端部を使用する事を特徴とする請求項14記
    載の半導体装置の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記金属部を形成する前記裏面電極部
    は、適宜の導電性金属を前記半導体基板の第2の面に層
    状に形成する事を特徴とする請求項14又は15に記載
    の半導体装置の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記金属部を形成する前記裏面電極部
    は、前記基板に於ける第1の面と第2の面との間に貫通
    して設けられているバイアホール内に適宜の導電性金属
    を埋め込み、次いでバイアホール内に適宜の導電性金属
    を埋め込れている適宜の導電性金属の端部を前記第2の
    面に露出されて形成する事を特徴とする請求項14乃至
    16の何れかに記載の半導体装置。
  18. 【請求項18】 前記金属部を形成する前記裏面電極部
    若しくは前記ヒートシンク層を、放熱と応力緩和を行う
    緩和金属層で形成する事を特徴とする請求項14記載の
    半導体装置の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記バリア層に更にハンダ材となじむ
    接合金属層を形成する事を特徴とする請求項14乃至1
    8の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記バイアホール内に埋め込まれてい
    る導電性金属を金(Au)もしくは銅(Cu)を主成分
    とする導電性金属で形成する事を特徴とする請求項15
    乃至17の何れかに記載の半導体装置の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記の緩和金属層を金(Au)もしく
    は銅(Cu)を主成分とする金属で形成する事を特徴と
    する請求項18に記載の半導体装置の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記半導体基板の裏面に設けられた前
    記緩和金属層の側面を前記バリア層で被覆する事を特徴
    とする請求項18乃至21の何れかに記載の半導体装置
    の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記のバリア層を、バナジウム
    (V),クロム(Cr),ジルコニウム(Zr),ニオ
    ブ(Nb),モリブデン(Mo),ルテニウム(R
    u),ロジウム(Rh),タンタル(Ta),タングス
    テン(W),レニウム(Re),オスミウム(Os),
    イリジウム(Ir),白金(Pt)、チタン(Ti),
    ニッケル(Ni),パラジウム(Pd)もしくはこれら
    の珪化物或いは窒化物から選択された少なくとも一つで
    形成する事を特徴とする請求項14乃至22の何れかに
    記載の半導体装置の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記のバリア層がチタン(Ti),ニ
    ッケル(Ni),パラジウム(Pd)の珪化物、もしく
    は窒化物から選択された少なくとも一つで形成する事を
    特徴とする請求項14乃至22の何れかに記載の半導体
    装置の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記の半導体基板を、当該半導体基板
    の裏面にある接合金属層を介して、パッケージやリード
    フレームや実装基板等の導体金属面にハンダ材で接着す
    る事を特徴とする請求項14乃至24の何れかに記載の
    半導体装置の製造方法。
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