JP2003026680A - アセチルチオピロリジン誘導体の製法 - Google Patents

アセチルチオピロリジン誘導体の製法

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JP2003026680A JP2002129301A JP2002129301A JP2003026680A JP 2003026680 A JP2003026680 A JP 2003026680A JP 2002129301 A JP2002129301 A JP 2002129301A JP 2002129301 A JP2002129301 A JP 2002129301A JP 2003026680 A JP2003026680 A JP 2003026680A
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誠 柿沼
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稔昭 増井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ピロリジルチオカルバペネム誘導体を合成する
方法において、ハロゲン含有溶媒を使用しないかもしく
は使用を低減させ、ならびに/または極度の高温および
/もしくは低温を回避するかもしくは低減する中間体合
成工程またはそれらを利用するピロリジルチオカルバペ
ネム誘導体を合成方法を提供すること。 【解決手段】スルファミドを合成する方法であって、以
下の工程:a) ハロゲン化スルホニルイソシアナート
と、アルコールとを、トルエンまたはCH3CN中で反
応させて反応生成物を得る工程;b) 工程a)で得ら
れた反応生成物に、ピリジン、置換されたピリジンおよ
びキノリン類からなる群より選択される化合物を加えて
反応生成物を得る工程;およびc) 工程b)で得られ
た反応生成物に、アンモニア水を加えてスルファミドを
得る工程、を包含する、方法、ならびにこの方法を合成
工程として包含するピロリジルチオカルバペネム誘導体
の合成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アセチルチオピロ
リジン誘導体の製造方法に関する。詳細には、本発明
は、カルバペネム系抗生物質を、従来の合成方法よりは
るかに緩和な条件(例えば、低温の回避)で合成するこ
とに関する。本発明はまた、環境汚染物質とされるハロ
ゲン含有溶媒の使用を最小限にしたピロリジルチオカル
バペネム誘導体の合成方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】広範囲の抗菌スペクトルを有するピロリ
ジルチオカルバペネム誘導体
【0003】
【化23】(I) は、有用な抗生物質として合成され、現在有望な次世代
抗生物質として開発中である(特許第2542773
号)(この式において、R1は水素または低級アルキル
であり、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して、水
素、低級アルキル、置換された低級アルキル、またはア
ミノ基の保護基であり、あるいは、R2とR3とが窒素原
子とともに飽和もしくは不飽和の環式基を形成するか、
またはR2もしくはR3とR4とが窒素原子2個と硫黄原
子1個と共に飽和もしくは不飽和の環式基を形成し、こ
の環式基はそれぞれ、さらに酸素、硫黄および窒素から
なる群より選択される少なくとも1種を有し得、この環
式基はそれぞれ置換され得、X1は水素または水酸基の
保護基であり、X2は、水素、カルボキシル基の保護
基、アンモニオ基、アルカリ金属またはアルカリ土類金
属であり、そしてY2は水素またはアミノ基の保護基で
ある。)。特許第2542773号では、上記カルバペ
ネム誘導体を製造するための中間体となるピロリジン誘
導体およびそのピロリジン誘導体を製造する方法のいく
つかが開示された。
【0004】しかし、特許第2542773号で用いら
れる合成方法では、ジクロロメタンのようなハロゲン含
有溶媒を溶媒とし,−20℃、−25℃のようなかなり
の低温での反応が必要とされる。しかし、ハロゲン含有
溶媒は、環境汚染の原因であることから、現在の化合物
の合成方法においては使用は極力避けることが望まれ
る。また、−20℃のような低温での反応系を維持する
ためには、特殊な実験設備を必要とし、合成方法が煩雑
となることから、可能な限り、室温または室温付近での
反応系で全工程または殆どの工程を完了させることが所
望される。
【0005】上記ピロリジルチオカルバペネム誘導体を
合成するためには、一般に、中間体として、t−ブトキ
シカルボニル−スルファミドを合成することが必要であ
る。しかし、従来のスルファミド合成方法(例えば、特
開平5−72986)では、アンモニアガスを使用する
方法が採用されていることから反応系が複雑となってい
る。また、−40℃または−65℃といったかなりの低
温での長時間の反応が必要であることから、低温を保つ
反応系を必要とする。
【0006】また、L−ヒロドキシプロリンから有用な
中間体であるチオールピロリジンを合成する工程におい
ても、従来の方法では、ジクロロメタン中で−45℃で
の還元反応や、長時間の−65℃での反応などを必要と
する。従って、ピロリジルチオカルバペネム誘導体の従
来の合成方法は、改良が必要とされる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、ピ
ロリジルチオカルバペネム誘導体を合成する方法におい
て、ハロゲン含有溶媒を使用しないかもしくは使用を低
減させ、ならびに/または極度の高温および/もしくは
低温を回避するかもしくは低減する中間体合成工程また
はそれらを利用するピロリジルチオカルバペネム誘導体
の合成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ピロリジルチ
オカルバペネム誘導体の合成中間体の一つであるスルフ
ァミドを、ハロゲン含有溶媒を使用しないかもしくは使
用を低減させ、ならびに/または極度の高温および/も
しくは低温を回避するかもしくは低減する合成方法を提
供する。
【0009】本発明は、ハロゲン含有溶媒を使用しない
かもしくは使用を低減させ、ならびに/または極度の高
温および/もしくは低温を回避するかもしくは低減しな
がら、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換され
た、ヒドロキシル基およびカルボキシル基を含むへテロ
環化合物のヒドロキシル基をメチルスルホニルオキシ基
に、カルボキシル基をヒドロキシメチル基にそれぞれ変
換する方法を提供する。
【0010】本発明は、ハロゲン含有溶媒を使用しない
かもしくは使用を低減させ、ならびに/または極度の高
温および/もしくは低温を回避するかもしくは低減しな
がら、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換され
た、ヒドロキシル基およびカルボキシル基を含むへテロ
環化合物のヒドロキシル基をメチルスルホニルオキシ基
に、カルボキシル基をヒドロキシメチル基にそれぞれ変
換する方法を提供する。
【0011】本発明は、ハロゲン含有溶媒を使用しない
かもしくは使用を低減させ、ならびに/または極度の高
温および/もしくは低温を回避するかもしくは低減しな
がら、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換され
た、メチルスルホニルオキシ基およびヒドロキシメチル
基を含むヘテロ環化合物のメチルスルホニルオキシ基
を、アセチルチオ基へと変換する方法を提供する。
【0012】本発明は、ハロゲン含有溶媒を使用しない
かもしくは使用を低減させ、ならびに/または極度の高
温および/もしくは低温を回避するかもしくは低減しな
がら、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換され
た、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を含むヘ
テロ環化合物のカルボキシル基をスルファモイル−te
rt−ブトキシカルボキサミドメチル基へと変換する方
法を提供する。
【0013】本発明は、上記の中間体を調製する方法を
実施する工程を少なくとも1つ包含することによって、
ハロゲン含有溶媒を使用しないかもしくは使用を低減さ
せ、ならびに/または極度の高温および/もしくは低温
を回避するかもしくは低減しながら、チオールピロリジ
ンを合成する方法を提供する。
【0014】本発明は、上記の中間体を調製する方法を
実施する工程を少なくとも1つ包含することによって、
ハロゲン含有溶媒を使用しないかもしくは使用を低減さ
せ、ならびに/または極度の高温および/もしくは低温
を回避するかもしくは低減しながら、
【0015】
【化24】 で示される化合物(本明細書において、「化合物A」と
も称する)、その塩または水和物を合成する方法を提供
する。
【0016】以下に、本発明を詳述する。
【0017】本発明は、ピロリジルチオカルバペネム誘
導体の合成中間体の一つである、スルファミドを、低温
での反応を回避しながら合成する方法を提供する。この
方法は、以下の工程: a) ハロゲン化スルホニルイソシアナートと、アルコ
ールとを、溶媒中で反応させて反応生成物を得る工程; b) 工程a)で得られた反応生成物に、ピリジン、置
換されたピリジンおよびキノリン類からなる群より選択
される化合物を加えて反応生成物を得る工程;および c) 工程b)で得られた反応生成物に、アンモニア水
を加えてスルファミドを得る工程、を包含する。ここ
で、溶媒の例示としては、トルエン、CH3CN、酢酸
エチルなどが挙げられる。
【0018】1つの実施態様において、上記方法では、
上記スルファミドがBocスルファミド(ここで、Bo
cは、tert−ブトキシカルボニルである)であり
得、上記ハロゲン化スルホニルイソシアナートがクロロ
スルホニルイソシアナートであり得、そして上記アルコ
ールは、tert−ブタノールであり得る。
【0019】別の実施態様において、本発明の方法で
は、上記工程a)〜c)の少なくとも1つは、室温〜冷
却下、好ましくは、0℃〜−30℃にて行われ得る。
【0020】他の実施態様において、上記工程a)の反
応生成物は、ClSO2NHC(CO)Ot−Buであ
り得る(ここで、t−Buはtert−ブチルであ
る)。
【0021】他の実施態様において、上記工程b)の反
応生成物は、ClSO2NHC(CO)Ot−Buのピ
リジニウム塩、置換されたピリジニウム塩およびキノリ
ン類の塩からなる群より選択される塩であり得る。
【0022】別の局面において、本発明は、4−ニトロ
ベンジルオキシカルボニル置換された、ヒドロキシル基
およびカルボキシル基を含むへテロ環化合物のヒドロキ
シル基をメチルスルホニルオキシ基に、カルボキシル基
をヒドロキシメチル基にそれぞれ変換する方法を提供す
る。この方法は、 a)上記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換され
た、ヒドロキシル基およびカルボキシル基を含むへテロ
環化合物とROHとを、酸の存在下で反応させて反応生
成物を得る工程であって、ここで、Rは、C1〜C6ア
ルキルである、工程; b) 工程a)の反応生成物と、ハロゲン化メタンスル
ホニルとを、トリエチルアミン存在下で、酢酸エチル中
で反応させて反応生成物を得る工程; c) 工程b)の反応生成物を、酢酸エチル中で、アル
コールの存在下でNaBH4で還元して、4−ニトロベ
ンジルオキシカルボニル置換された、メチルスルホニル
オキシ基およびヒドロキシメチル基を含むへテロ環化合
物を得る工程、を包含する。
【0023】1つの実施態様において、上記4−ニトロ
ベンジルオキシカルボニル置換された、ヒドロキシル基
およびカルボキシル基を含むへテロ環化合物は
【0024】
【化25】 PPR であり得、上記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置
換された、メチルスルホニルオキシ基およびヒドロキシ
メチル基を含むへテロ環化合物は、
【0025】
【化26】 PLM であり得、上記酸が、SOCl2、H2SO4またはHC
lであり得、上記ハロゲン化メタンスルホニルが、塩化
メタンスルホニルであり得、そして上記アルコールが、
メタノールであり得る。ここで、PNZは、4−ニトロ
ベンジルオキシカルボニルであり、Msは、メタンスル
ホニルである。
【0026】一つの実施態様において、上記工程a)
は、0℃〜30℃にて行われる。別の実施態様におい
て、上記工程b)は、0℃〜30℃にて行われる。他の
実施態様において、上記工程c)が0℃〜30℃にて行
われる。
【0027】別の実施態様において、上記工程a)の反
応生成物は、
【0028】
【化27】 R−PPR である。ここで、Rはアルキル基である。好ましくは、
Rは、C1〜C6アルキルであり得る。
【0029】別の実施態様において、上記工程b)の反
応生成物は、
【0030】
【化28】 PNC−Ms である。
【0031】好ましくは、上記C1〜C6アルキルは、
メチルまたはエチルである。より好ましくは、上記C1
〜C6アルキルは、メチルである。
【0032】別の局面において、本発明は、4−ニトロ
ベンジルオキシカルボニル置換された、ヒドロキシル基
およびカルボキシル基を含むへテロ環化合物のヒドロキ
シル基をメチルスルホニルオキシ基に、カルボキシル基
をヒドロキシメチル基にそれぞれ変換する方法を提供す
る。
【0033】この方法は、 a)上記へテロ環化合物と、ハロ炭酸アルキルとを、酢
酸エチル中で、トリブチルアミン存在下で反応させて反
応生成物を得る工程; b) 工程a)で得られる反応生成物と、ハロゲン化メ
タンスルホニルとを、トリエチルアミン存在下で反応さ
せて反応生成物を得る工程; c) 工程b)で得られる反応生成物を、アルコールの
存在下でNaBH4水溶液で還元して、4−ニトロベン
ジルオキシカルボニル置換された、メチルスルホニルオ
キシ基およびヒドロキシメチル基を含むへテロ環化合物
を得る工程、を包含する。
【0034】一つの実施態様において、上記4−ニトロ
ベンジルオキシカルボニル置換された、ヒドロキシル基
およびカルボキシル基を含むへテロ環化合物は、
【0035】
【化29】 PPR であり得る。
【0036】上記4−ニトロベンジルオキシカルボニル
置換された、メチルスルホニルオキシ基およびヒドロキ
シメチル基を含むへテロ環化合物は
【0037】
【化30】 PLM であり得る。
【0038】上記ハロ炭酸アルキルは、クロロ炭酸エチ
ルであり得る。上記ハロゲン化メタンスルホニルは、塩
化メタンスルホニルであり得る。上記アルコールは、イ
ソプロパノールであり得る。
【0039】好ましくは、上記工程a)は、−30℃〜
−40℃にて行われる。好ましくは、上記工程b)は、
−40℃〜−50℃にて行われる。好ましくは、上記工
程c)は、−40℃〜−50℃にて行われる。
【0040】一つの実施態様において、上記工程b)の
反応生成物は、
【0041】
【化31】 PRE である。
【0042】別の局面において、本発明は、ヒドロキシ
ル基およびカルボキシル基を含むヘテロ環化合物のヒド
ロキシル基をメチルスルホニルオキシ基に、カルボキシ
ル基を−COOR基にそれぞれ変換し、かつヘテロ環化
合物のヘテロ原子上に4−ニトロベンジルオキシカルボ
ニル基を導入する方法であって、ここで、Rは、C1〜
C6アルキルである方法を提供する。この方法は、以下
の工程: a) 該ヒドロキシル基およびカルボキシル基を含むへ
テロ環化合物とROHとを、酸から選択される試薬の存
在下で反応させて反応生成物を得る工程; b) 工程a)の反応生成物と、4−ニトロベンジルオ
キシカルボニルハライドとをアルカリ金属炭酸塩の存在
下で反応させて反応生成物を得る工程; c) 工程b)の反応生成物と、ハロゲン化メタンスル
ホニルとを、トリエチルアミン存在下で、トルエン中で
反応させて4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換さ
れた、メチルスルホニルオキシ基および−COOR基を
含むヘテロ環化合物を得る工程、を包含する。
【0043】1つの実施態様において、上記のヒドロキ
シル基およびカルボキシル基を含むヘテロ環化合物は
【0044】
【化32】 HYP であり得、上記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置
換された、メチルスルホニルオキシ基および−COOR
基を含むへテロ環化合物は
【0045】
【化33】 MPRM であり得(式中、MsおよびPNZは前記と同義であ
る)、上記酸が、SOCl 2、POCl3およびHClか
ら選択される試薬であり、上記アルカリ金属は、ナトリ
ウムまたはカリウムであり得、そして上記ハロゲン化メ
タンスルホニルは、塩化メタンスルホニルであり得る。
【0046】好ましくは、上記工程b)は、0〜5℃に
て行われる。好ましくは、上記工程c)は、10〜32
℃で行われる。
【0047】本発明はさらに、メチルMPRMの別の合
成法を提供する(スキーム1)。本方法では、HYPを
PNZ化した後エステル化を行うことにより、入手が比
較的困難なPNZ−Clを使用する工程を切り離して実
施し得、製造場所選択に柔軟性を付与できるという利点
がある。PPRの単離には抽出操作が簡便でかつ濃縮操
作を回避できる中和晶析法が適用され得る。この中和晶
析法で得られるPPRは、1水和物であった。
【0048】
【化34】スキーム1 1つの局面において、本発明は、4−ニトロベンジルオ
キシカルボニル置換された、メチルスルホニルオキシ基
およびヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化合物のメチ
ルスルホニルオキシ基を、アセチルチオ基へと変換する
方法を提供する。
【0049】この方法は、以下の工程: a) 上記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換さ
れた、メチルスルホニルオキシ基およびヒドロキシメチ
ル基を含むヘテロ環化合物と、チオ酢酸カリウムとを、
アセトニトリル/水、ジメチルホルムアミド/酢酸エチ
ルまたはジメチルホルムアミド/トルエンの混合溶媒中
で反応させて4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換
された、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を含
むヘテロ環化合物を得る工程、を包含する。
【0050】一つの実施態様において、上記4−ニトロ
ベンジルオキシカルボニル置換された、メチルスルホニ
ルオキシ基およびヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化
合物は
【0051】
【化35】 PLM であり得、上記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置
換された、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を
含むヘテロ環化合物は、
【0052】
【化36】 ATP であり得る。ここで、Acはアセチルである。好ましく
は、上記アセトニトリル/水の混合溶媒は、10容:
0.1容〜5容:5容の比の混合溶媒であり得る。
【0053】1つの実施態様において、上記工程a)
は、2〜10時間にわたって、65〜80℃に加熱され
得る。好ましくは上記工程a)は、80℃において1〜
3時間、またはそれと実質的に同様の加熱条件下で行わ
れ得る。
【0054】1つの好ましい実施態様において、本発明
の方法によってPNZ−プロリン(PPR)からピロリ
ジンメシレート(PLM)を合成し、得られたPLMか
ら、本発明の方法によってアセチルチオピロリジン(A
TP)を合成し得る。この実施態様において、好ましく
は、酸はH2SO4である。後記の実施例15に示される
ように、この製法は、ATPを、中間体(MPRMおよ
びPLM)に対して抽出操作以外の精製操作を行うこと
なく、簡便に合成し得るという利点を有する。
【0055】別の局面において、本発明は、4−ニトロ
ベンジルオキシカルボニル置換された、メチルスルホニ
ルオキシ基および−COOR基を含むヘテロ環化合物の
メチルスルホニルオキシ基をアセチルチオ基に、−CO
OR基をヒドロキシメチル基にそれぞれ変換する方法で
あって、ここで、Rは、C1〜C6アルキルである、方
法を提供する。この方法は、以下の工程: a) 上記ヘテロ環化合物を、アルコールの存在下でN
aBH4で還元して、反応生成物を得る工程; b) 工程a)の反応生成物と、チオ酢酸カリウムと
を、ジメチルホルムアミド/酢酸エチルの混合溶媒中で
反応させて4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換さ
れた、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を含む
ヘテロ環化合物を得る工程、を包含する。
【0056】1つの実施態様において、上記4−ニトロ
ベンジルオキシカルボニル置換された、メチルスルホニ
ルオキシ基および−COOR基を含むヘテロ環化合物が
【0057】
【化37】 MPRM であり得(式中、MsおよびPNZは前記と同義であ
る)、上記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換さ
れた、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を含む
ヘテロ環化合物が、
【0058】
【化38】 ATP であり得、上記Rが、メチルであり得、そして上記アル
コールが、メタノールであり得る。
【0059】1つの実施態様において、好ましくは、上
記工程a)0〜5℃で行われ得る。好ましくは、上記工
程b)は、8〜10時間にわたって60〜70℃に加熱
され得る。好ましくは、上記ジメチルホルムアミド/酢
酸エチルの混合溶媒は、10容:0容〜10容:1容の
比の混合溶媒であり得る。
【0060】1つの好ましい実施態様において、本発明
の方法によってL−ヒドロキシプロリン(HYP)から
メシルプロリンメチルエステル(MPRM)を合成し、
得られたMPRMから、本発明の方法によってアセチル
チオピロリジン(ATP)を合成し、そして得られたA
TPから、本発明の方法によってアセチルチオスルファ
ミド(ATS)を合成し得る。この実施態様に従って、
後記の実施例11および12に示されるように、単離回
数および抽出回数が顕著に減少し、それにより製造日数
が顕著に短縮されて高い生産性が達成され得る。
【0061】別の局面において、本発明は、4−ニトロ
ベンジルオキシカルボニル置換された、アセチルチオ基
およびヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化合物のヒド
ロキシメチル基をスルファモイル−tert−ブトキシ
カルボキサミドメチル基へと変換する方法を提供する。
この方法は、以下の工程:上記4−ニトロベンジルオキ
シカルボニル置換された、アセチルチオ基およびヒドロ
キシメチル基を含むヘテロ環化合物と、Bocスルファ
ミドとを、酢酸エチル中で、トリフェニルホスフィンお
よびジイソプロピルアゾジカルボン酸存在下で反応させ
て4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、ア
セチルチオ基およびスルファモイル−tert−ブトキ
シカルボキサミドメチル基を含むヘテロ環化合物を得る
工程、を包含する。
【0062】1つの実施態様において、上記4−ニトロ
ベンジルオキシカルボニル置換された、アセチルチオ基
およびヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化合物は、
【0063】
【化39】 ATP であり得、上記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置
換された、アセチルチオ基およびスルファモイル−te
rt−ブトキシカルボキサミドメチル基を含むヘテロ環
化合物は、
【0064】
【化40】 ATS であり得る。ここで、Bocは、tert−ブトキシカ
ルボニルである。
【0065】別の実施態様において、本発明の方法の上
記工程は、−20℃〜25℃にて行われ得る。好ましく
は、上記工程は、18〜21℃にて行われ得る。
【0066】1つの実施態様において、4−ニトロベン
ジルオキシカルボニル置換された、アセチルチオ基およ
びヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化合物のヒドロキ
シメチル基をスルファモイル−tert−ブトキシカル
ボキサミドメチル基へと変換する方法に使用される上記
Bocスルファミドは、本発明の方法によって合成され
たものであり得る。
【0067】別の局面において、本発明は、チオールピ
ロリジンを合成する方法を提供し、この方法は、本発明
の上記の中間体合成方法を少なくとも1つ包含する。
【0068】別の局面において、本発明は、チオールピ
ロリジンを合成する方法を提供する。この方法は、本発
明の方法でスルファミドを合成し、本発明の方法で、4
−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、ヒドロ
キシル基およびカルボキシル基を含むヘテロ環化合物か
ら、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、
メチルスルホニルオキシ基およびヒドロキシメチル基を
含むヘテロ環化合物を合成し、本発明の方法で、4−ニ
トロベンジルオキシカルボニル置換された、メチルスル
ホニルオキシ基およびヒドロキシメチル基を含むヘテロ
環化合物から、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置
換された、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を
含むヘテロ環化合物を合成し、そして、本発明の方法
で、上記スルファミドと、4−ニトロベンジルオキシカ
ルボニル置換された、アセチルチオ基およびヒドロキシ
メチル基を含むヘテロ環化合物とから、4−ニトロベン
ジルオキシカルボニル置換された、アセチルチオ基およ
びスルファモイル−tert−ブトキシカルボキサミド
メチル基を含むヘテロ環化合物を合成すること、ならび
に脱保護反応、を包含する。
【0069】一つの実施態様において、本発明は、チオ
ールピロリジンを合成する方法を提供する。この方法
は、本発明の方法によって、クロロスルホニルイソシア
ナートからBocスルファミドを合成し、本発明の方法
によって
【0070】
【化41】 PPR から、
【0071】
【化42】 PLM を合成し、本発明の方法によって
【0072】
【化43】 PLM から、
【0073】
【化44】 ATP を合成し、そして本発明の方法によって、上記Bocス
ルファミドと、
【0074】
【化45】 ATP とから、
【0075】
【化46】 ATS を合成すること、ならびに脱保護反応、を包含する。
【0076】本発明はさらにATSより得られるSPL
と、公知のエノールホスフェート(ELP−PNB)を
カップリングさせることにより、前記式(I)で示され
るピロリジルチオカルバペネム誘導体を製造する方法も
提供する。
【0077】本製法においては特に、後記の実施例8に
示されるように、カップリング反応により得られるTC
Eの脱保護反応後の抽出操作において、水と有機溶媒、
好ましくはテトラヒドロフランの混合液に、金属ハライ
ド、好ましくは塩化マグネシムを、TCEに対して約5
〜50重量%、好ましくは約20〜40重量%添加する
ことにより、目的化合物を高濃度に溶解させた水溶液の
調製が可能となった。その結果、従来、後処理工程にお
いて不可欠であった濃縮操作やカラムクロマトグラフィ
ー処理を行うことなく、目的のピロリジルチオカルバペ
ネム誘導体を純度よく結晶として単離することが可能と
なった。よって工業的製法としても有用である。この単
離操作においては、好ましくは目的物の種晶が使用され
る。
【0078】本発明はまた、
【0079】
【化47】 TCE で示される化合物を製造する方法を提供する。この方法
は、以下の工程:4−ニトロベンジル(1R,5R,6
S)−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−2−オキソ
−カルバペネム−3−カルボキシレートとジフェニルホ
スホクロリデートとを反応させて、以下の化合物:
【0080】
【化48】 ELP−PNB を得る工程;および該ELP−PNBと、以下の化合
物:
【0081】
【化49】 SPL とを反応させて
【0082】
【化50】 TCE を得る工程、を包含する。
【0083】1つの実施態様において、上記ELP−P
NBは、反応液中から単離することなく前記SPLと反
応させることができる。
【0084】本発明はまた、本発明の上記方法において
得られたTCEを含有する反応液またはその抽出液か
ら、結晶を得る工程を包含する、TCE結晶を製造する
方法を提供する。
【0085】1つの実施態様において、上記結晶を得る
工程は、前記反応液またはその抽出液にアルコールを添
加することを包含し得る。
【0086】本発明はまた、以下の式
【0087】
【化51】 で示される化合物を合成する方法を提供する。この方法
は、合成工程として本発明の中間体合成方法を少なくと
も1つ包含する。好ましくは、本発明の方法は、合成工
程として本発明の中間体合成方法を少なくとも2つ包含
する。より好ましくは、本発明の方法は、可能な中間体
合成経路において本発明の中間体合成方法をすべて包含
する。1つの実施態様において、本発明は、合成工程と
して上記方法を包含する、医薬品の製造方法を提供す
る。
【0088】別の局面において、本発明はまた、以下の
化合物または結晶を提供する。
【0089】
【化52】 PPR
【0090】
【化53】 PRE
【0091】
【化54】 ATP 、および
【0092】
【化55】 ATS
【0093】本発明はさらに、粉末X線回折解析におい
て、2θ値が4.580±0.100、9.060±
0.100、18.100±0.100および22.6
60に主なピークを示すATPの結晶を提供する。
【0094】本発明はまた、粉末X線回折解析におい
て、2θ値が6.920±0.100、7.000±
0.100、11.700±0.100および20.1
40±0.100に主なピークを示すATSの結晶を提
供する。
【0095】本発明はまた、粉末X線回折解析におい
て、2θ値が19.100±0.100、22.620
±0.100および26,000±0.100に主なピ
ークを示す、以下の構造:
【0096】
【化56】 PLM の化合物の結晶を提供する。
【0097】本発明はまた、粉末X線回折解析におい
て、2θ値が15.910±0.100、19.930
±0.100および25.400±0.100に主なピ
ークを示す、以下の構造:
【0098】
【化57】 TCE の化合物の結晶を提供する。
【0099】
【発明の実施の形態】本明細書において使用される用語
は、特に言及しない限り、単独または併用のいずれの場
合も、当該分野において通常用いられる意味において使
用される。 (略語)以下、本明細書において使用される略語を説明
する。 BSA(Bocスルファミド):N−tert−ブトキ
シカルボニルスルファミド PPR(PNZプロリン):(2S,4R)−4−ヒド
ロキシ−1−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)
ピロリジン−2−カルボン酸 PLM(ピロリジンメシレート):4−ニトロベンジル
(2S,4R)−2−ヒドロキシメチル−4−メチルス
ルホニルオキシピロリジン−1−カルボキシラート R−PPR:(2S,4R)−4−ヒドロキシ−1−
(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン−
2−カルボン酸エステル PNC−Ms:(2S,4R)−4−メチルスルホニル
オキシ−1−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)
ピロリジン−2−カルボン酸エステル PRE:(2S,4R)−4−メチルスルホニルオキシ
−1−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリ
ジン−2−カルボン酸炭酸アルキル ATP(アセチルチオピロリジン):4−ニトロベンジ
ル(2S,4S)−4−アセチルチオ−2−ヒドロキシ
メチルピロリジン−1−カルボキシラート ATS(アセチルチオスルファミド):4−ニトロベン
ジル(2S,4S)−4−アセチルチオ−2−(N−ス
ルファモイル−tert−ブトキシカルボキサミドメチ
ル)ピロリジン−1−カルボキシラート SPL(チオールピロリジン):4−ニトロベンジル
(2S,4S)−4−メルカプト−2−スルファモイル
アミノメチルピロリジン−1−カルボキシラート TCE(チオピロリジンカルバペネムエステル):4−
ニトロベンジル(4R,5S,6S)−6−[(1R)
−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−3−[[(3
S,5S)−1−(4−ニトロベンジルオキシカルボニ
ル)−5−(スルファモイルアミノメチル)ピロリジン
−3−イル]チオ]−7−オキソ−1−アザビシクロ
[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシラー
ト (定義)「ピロリジルチオカルバペネム誘導体」とは、
カルバペネム系化合物の2位(ただし、IUPAC命名
法に従えば、3位である)がピロリジルチオ基で置換さ
れた構造
【0100】
【化58】 を有する化合物をいう。ピロリジルチオカルバペネム誘
導体は、抗生物質活性を有することが知られている(特
許第2542773号)。
【0101】「スルファミド」、「スルファミド類」お
よび「スルファミド化合物」は、本明細書において互換
的に用いられ、−NSO2NH−構造を有する化合物を
いう。スルファミドは、医薬、食品、動植物薬、高分子
化学、立体異性体アルコール化合物の製薬上有用な化合
物として知られている。そのような有用な化合物として
は、ベータラクタム抗菌剤の他、解熱剤、鎮痛剤(A.
Giraldesら、Eur.J.Med.Chem.
(1989)24、497)、甘味料(J.Org.C
hem.(1989)、54、4471)、睡眠剤
(B.Unterhaltら、Arch.Phamr.
(Weinheim)1988、321、375)、抗
痙攣剤(C.H.Leeら、J.Pharm.Sci.
1990,79,716)などが挙げられる。
【0102】「ハロゲン含有溶媒」とは、ハロゲン元素
を含有する溶媒をいう。「ハロゲン」とは、周期表17
族に属する元素で、ハロゲンとしては、フッ素(F)、
塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)が挙げられ
る。また、「ハロゲン化」とは、ある化合物の水素がハ
ロゲンで置換されたことをいう。
【0103】本明細書において「低温」とは、室温付近
よりかなり低い温度をいい、低温の反応条件下で反応を
行う際には、通常、特殊な機器を必要とする。低温の具
体例としては、−60℃以下、−40℃以下、−20℃
以下、0℃以下、10℃以下などが挙げられるがそれら
に限定されない。また、「極度の低温」とは、例えば、
−40℃以下の温度をいう。本明細書において「高温」
とは、室温付近よりかなり高い温度をいう。高温の具体
例としては、100℃以上、80℃以上、60℃以上、
50℃以上、40℃以上、30℃以上などが挙げられる
がそれらに限定されない。本明細書において「極度の高
温」とは、例えば、80℃以上をいう。このような低温
または高温の反応条件は、一般に、特殊な反応系を必要
とすることから、あまり所望されない。従って、化合物
を合成する際には、このような低温および/または高温
の条件を回避するか、または低減することが好ましい。
【0104】「4−ニトロベンジルオキシカルボニル
(基)」とは、
【0105】
【化59】 で表される基をいい、本明細書において、ときに、PN
Zと表記する。PNZ基は、Bocなどと並んで有用な
保護基である。
【0106】「カルボキシ(基)」とは、−COOHで
表される基をいう。
【0107】「ヒドロキシ(基)」とは、−OHで表さ
れる基をいう。
【0108】「ヘテロ環(基)」とは、炭素およびヘテ
ロ原子をも含む環状構造を有する基をいう。ここで,ヘ
テロ原子は、O、SおよびNからなる群より選択され、
同一であっても異なっていてもよく、1つ含まれていて
も2以上含まれていてもよい。ヘテロ環基は、芳香族系
または非芳香族系であり得、そして単環式または多環式
であり得る。ヘテロ環基は置換されていてもよい。
【0109】「メチルスルホニルオキシ(基)」とは、
−OSO2CH3で表される基をいう。
【0110】「ヒドロキシメチル(基)」とは、−CH
2OHで表される基をいう。
【0111】「アセチルチオ(基)」とは、−S−CO
CH3で表される基をいう。
【0112】「スルファモイル−tert−ブトキシカ
ルボキサミドメチル(基)」とは、CH2N(Boc)
SO2NH2で表される基をいう。
【0113】「tert−ブトキシカルボニル(基)」
は、本明細書において「Boc」とも表記され、−CO
OC(CH33で表される基いう。Bocは、有用な保
護基である。
【0114】「チオールピロリジン」とは、ピロリジン
の水素の代わりにチオール基が置換された化合物または
その誘導体をいう。
【0115】「酸」とは、鉱酸、有機酸およびルイス酸
を含む広義の酸をいう。鉱酸としては、例えば、塩酸、
硫酸、硝酸、およびリン酸などが挙げられるがこれらに
限定されない。有機酸としては、例えば、p−トルエン
スルホン酸が挙げられるがこれに限定されない。ルイス
酸としては、例えば、SOCl2、POCl3、AlCl
3およびBF3などが挙げられるがこれらに限定されな
い。
【0116】「アルコール」とは、脂肪族炭化水素の1
または2以上の水素原子をヒドロキシル基で置換した有
機化合物をいう。本明細書においては、ROHとも表記
される。ここで、Rは、アルキル基である。好ましく
は、Rは、C1〜C6アルキルであり得る。アルコール
としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロ
パノール、2−プロパノール(イソプロパノール)、t
ert−ブタノールなどが挙げられるがそれらに限定さ
れない。
【0117】「アルキル」とは、メタン、エタン、プロ
パンのような脂肪族炭化水素から水素原子が一つ失われ
て生ずる1価の基をいい、一般にCn2n+1−で表され
る(ここで、nは正の整数である)。アルキルは、直鎖
または分枝鎖であり得、環状または非環状であり得る。
本明細書において「置換されたアルキル」とは、アルキ
ルのHが置換されたアルキルをいう。これらの具体例
は、C1〜C2アルキル、C1〜C3アルキル、C1〜
C4アルキル、C1〜C5アルキル、C1〜C6アルキ
ル、C1〜C7アルキル、C1〜C8アルキル、C1〜
C9アルキル、C1〜C10アルキル、C1〜C11ア
ルキルまたはC1〜C12アルキル、C1〜C2置換さ
れたアルキル、C1〜C3置換されたアルキル、C1〜
C4置換されたアルキル、C1〜C5置換されたアルキ
ル、C1〜C6置換されたアルキル、C1〜C7置換さ
れたアルキル、C1〜C8置換されたアルキル、C1〜
C9置換されたアルキル、C1〜C10置換されたアル
キル、C1〜C11置換されたアルキルまたはC1〜C
12置換されたアルキルであり得る。ここで、例えばC
1〜C10アルキルとは、炭素原子を1〜10個有する
直鎖または分枝状のアルキルを意味し、メチル(CH3
−)、エチル(C25−)、n−プロピル(CH3CH2
CH2−)、イソプロピル((CH32CH−)、n−
ブチル(CH3CH2CH2CH2−)、n−ペンチル(C
3CH2CH2CH2CH2−)、n−ヘキシル(CH3
2CH2CH2CH2CH2−)、n−ヘプチル(CH3
2CH2CH2CH2CH2CH2−)、n−オクチル(C
3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−)、n−ノ
ニル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH
2−)、n−デシル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2
CH2CH2CH2CH2−)、−C(CH32CH2CH2
CH(CH32、−CH2CH(CH32、シクロアル
キルとしては、シクロプロピル、シクロヘキシルなどな
どが例示される。また、例えば、C1〜C10置換され
たアルキルとは、C1〜C10アルキルであって、その
うち1または複数の水素原子が置換基により置換されて
いるものをいう。
【0118】本明細書においては、特に言及がない限
り、置換は、ある有機化合物または置換基中の1または
2以上の水素原子を他の原子または原子団で置き換える
ことをいう。水素原子を1つ除去して1価の置換基に置
換することも可能であり、そして水素原子を2つ除去し
て2価の置換基に置換することも可能である。
【0119】置換基としては、アルキル、置換されたア
ルキル、シクロアルキル、置換されたシクロアルキル、
アルケニル、置換されたアルケニル、シクロアルケニ
ル、置換されたシクロアルケニル、アルキニル、置換さ
れたアルキニル、アルコキシ、置換されたアルコキシ、
炭素環基、置換された炭素環基、ヘテロ環基、置換され
たヘテロ環基、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されたヒド
ロキシ、チオール、置換されたチオール、シアノ、ニト
ロ、アミノ、置換されたアミノ、カルボキシ、カルバモ
イル、置換されたカルボキシ、アシル、アシルアミノ、
置換されたアシル、チオカルボキシ、置換されたチオカ
ルボキシ、アミド、置換されたアミド、置換されたカル
ボニル、置換されたチオカルボニル、置換されたスルホ
ニルまたは置換されたスルフィニルが挙げられるがそれ
らに限定されない。上記の置換基が置換された基である
場合は、そのさらなる置換のための置換基についても上
記と同様に選択され得る。
【0120】「イソシアナート」とは、−N=C=Oを
有する化合物をいう。イソシアナートとしては、イソシ
アン酸メチルCH3N=C=O、スルホニルイソシアナ
ートOSO2−N=C=Oなどが挙げられるがそれらに
限定されない。
【0121】「メタンスルホニル」とは、CH3SO2
表される基をいう。
【0122】「ハロ炭酸アルキル」とは、XCOORで
表される化合物をいい、ここで、Xはハロゲン基であ
り、そしてRはアルキルである。ハロ炭酸アルキルとし
ては、クロロ炭酸エチルが挙げられる。
【0123】「アセトニトリル」とは、CH3CNで表
される化合物である。「ジメチルホルムアミド」、「D
MF」とは、(CH32NCHOで表される化合物であ
る。アセトニトリル/水の混合溶媒とは、アセトニトリ
ルと水とが混和可能な任意の割合で混合している溶媒を
いう。アセトニトリルと水の比率としては、好ましく
は、10容:0.1容〜5容:5容が挙げられるがそれ
らに限定されない。ジメチルホルムアミド/トルエンの
混合溶媒とは、ジメチルホルムアミドとトルエンとが混
和可能な任意の割合で混合している溶媒をいう。ジメチ
ルホルムアミドとトルエンの比率としては、好ましく
は、10容:0容〜1容:10容の比が挙げられるがそ
れらに限定されない。ジメチルホルムアミド/酢酸エチ
ルの混合溶媒とは、ジメチルホルアミドと酢酸エチルと
が混和可能な任意の割合で混合している溶媒をいう。ジ
メチルホルムアミドと酢酸エチルの比率としては、好ま
しくは、10容:0容〜1容:10容の比が挙げられる
がそれらに限定されない。
【0124】「脱保護反応」とは、BocまたはPNZ
のような保護基を脱離させる反応をいう。脱保護反応と
しては、Pd/Cを用いる還元反応のような反応が挙げ
られる。
【0125】本発明の各方法において、目的とする生成
物を、反応液から夾雑物(未反応減量、副生成物、溶媒
など)を、当該分野で慣用される方法(例えば、抽出、
蒸留、洗浄、濃縮、沈澱、濾過、乾燥など)によって除
去した後に、当該分野で慣用される後処理方法(例え
ば、吸着、溶離、蒸留、沈澱、析出、クロマトグラフィ
ーなど)を組み合わせて処理して単離し得る。
【0126】本明細書において、得られた化合物の物性
を決定するために、粉末X線回折を用いた解析法が用い
られる。
【0127】1つの局面において、本発明は、TCE結
晶を簡便に得る方法を提供する。この方法は、本発明の
ELP−PNBを、反応液中から単離した後または単離
することなく前記SPLと反応させる工程を包含する。
好ましくは、この工程は、本発明の方法において得られ
たTCEを含有する反応液またはその抽出液にアルコー
ル(例えば、メタノール)を加える工程を包含する。T
CEの前駆体を単離することなく、X線解析のためのT
CE結晶を得ることができるということは、従来予測不
可能であった格別の効果である。
【0128】本明細書において、化合物の物性は、上記
X線回折による解析結果によって特定することができ
る。特定の方法は、粉末X線解析によって得られた定性
分析のピークによって特定する方法が含まれる。ピーク
によって化合物の物性を特定する場合、主なピークによ
って特定することが好ましい。ここで、主なピークと
は、そのI/Ioの値が、30以上であるもの、通常
は、50以上であるもの、好ましくは、70以上である
もの、より好ましくは80以上であるものをいう。ここ
で、I/Ioは、最大強度を示すピークの強度値をIo
として各ピークの強度値IをIoで除して100倍する
ことによって得られる。ここで、主なピークを規定する
際のI/Ioの閾値は、上記に限定されず、解析結果に
応じて任意に決定することができる。従って、上記I/
Ioの閾値は、100以下であればどのような点に設定
しても良いが、通常は30と100との間の任意の点で
あり得る。
【0129】本発明の各中間体の結晶は、安定であり、
取り扱い易く、カルバペネム誘導体の工業的製法におい
て有用である。
【0130】以上のように、本発明について、その詳細
を種々の形態で記載したが、本明細書における具体的な
実施態様および実施例は、単なる例示であって、本発明
の範囲は、例示される特定の実施態様または実施例には
決して限定されないことが理解される。
【0131】
【実施例】(実施例1:N−tert−ブトキシカルボ
ニルスルファミド(Bocスルファミド、BSA)の合
成法) (A:液体アンモニア−法)(従来法) 酢酸エチル(626L)にt−ブチルアルコール(3
2.7kg)を加えて−40℃に冷却、これに−40±
10℃でクロロスルホニルイソシアネート(62.5k
g)を滴下した後、40分間攪拌した。反応液を−65
℃に冷却し、−60±10℃で液体アンモニア(45.
1kg)を滴下した後、15±10℃に昇温した。この
反応液に22%硫酸水(約150kg)を加えてpH
9.5±1.0に調節し、水(約100kg)を加えて
攪拌した後分液した。水層を酢酸エチル(230L)で
洗浄した後、22%硫酸水(約170kg)を加えてp
H2.0±0.5に調節し、得られたBSAスラリーを
7±3℃で1時間攪拌した後、結晶を濾過し、乾燥して
BSA 78.35kgを得た(収率:90.4%)。
【0132】(B:アンモニア水法)(本発明の方法) トルエン(387ml)にt−ブチルアルコール(2
0.95g)を加えて−0℃以下に冷却、−1〜−3℃
でクロロスルホニルイソシアネート(40.0g)を滴
下した後、20分間攪拌した。これに0〜−4℃でピリ
ジン(49.2g)を滴下した後、40分間攪拌した。
さらに0〜−4℃で25%アンモニア水(114g)を
滴下、さらに水(32g)を加えて−1〜3℃で2.5
時間攪拌した後氷冷下1晩放置した。この反応液を分液
し、水層はトルエン(150ml)で洗浄、各トルエン
層は水(128ml)で再抽出した後水層を合わせた。
この水層に22%硫酸水(271g)を加えてpH 2
に調節し、得られたBSAスラリーを5℃で30分攪拌
した後、結晶を濾過、乾燥してBSA 53.37gを
得た(収率:96.2%)。
【0133】
【化60】(スキーム2) (実施例2:(2S,4R)−4−ヒドロキシ−1−
(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン−
2−カルボン酸(PNZ−プロリン、PPR)の合成
法)水(600ml)に水酸化ナトリウム(53.69
g)を溶解させた後氷冷し、これにL−ヒドロキシプロ
リン(80.0g)を加えて溶解させ、PNZ−Cl
(144.69g)のトルエン(160ml)溶液を2
〜6℃で滴下した後2℃で1時間攪拌した。反応液にト
ルエン(240ml)を加えて分液、水層はトルエン
(120ml)で洗浄、各トルエン層は0.2%水酸化
ナトリウム水溶液(200ml)で再抽出した。水層を
合わせ、酢酸エチル(800ml)および36%塩酸
(80.33g)を加えて抽出、酢酸エチル層は食塩水
(240ml)で2回洗浄、各水層は酢酸エチル(20
0ml)で再抽出した。酢酸エチル層を合併、濃縮と酢
酸エチル(800ml)追加を3回繰り返して脱水し
た。得られた濃縮液(400g)にトルエン(270m
l)を加えて氷冷下1時間晶析後、結晶を濾過、乾燥し
てPPR 176.15gを得た(収率:93.1%、
融点133〜135℃)。
【0134】(実施例3:4−ニトロベンジル(2S,
4R)−2−ヒドロキシメチル−4−メチルスルホニル
オキシピロリジン−1−カルボキシラート(ピロリジン
メシレート、PLM)の合成法) (A:ジクロロメタン法(従来法))ジクロロメタン
(248L)にPNZ−プロリン(31.0kg)を加
えた後−5±5℃に冷却し、クロロ炭酸エチル(11.
9kg)を加え、さらに同温度でトリエチルアミン(1
2.1kg)を滴下後25分攪拌した。次に−45±5
℃に冷却し、同温度で塩化メタンスルホニル(12.6
kg)およびトリエチルアミン(12.1kg)を滴下
した後35分攪拌した。次に−45±5℃でイソプロピ
ルアルコール(78kg)を滴下、さらに同温度で水素
化ホウ素ナトリウム(5.7kg)の水(23kg)溶
液を滴下した後35分攪拌した。次に反応液を2.4%
塩酸水溶液(234kg)に加えて分液、ジクロロメタ
ン層は2%炭酸水素ナトリウム水溶液、3%食塩水の順
に洗浄、各水層はジクロロメタン(31L)で再抽出し
た。ジクロロメタン層を合わせ、50Lまで濃縮した
後、酢酸エチル(250L)を加えて110Lまで濃縮
した。次にヘキサン(62L)を加え、3℃で1時間晶
析熟成した後、結晶を濾過、乾燥してPLM 34.9
kgを得た(収率:93.3%)。
【0135】(B:トリブチルアミン/酢酸エチル法)
酢酸エチル(40ml)にPNZ−プロリン(5.00
g)およびトリブチルアミン(3.58g)を加えた後
−35±5℃に冷却し、これに同温度でクロロ炭酸エチ
ル(1.92g)を滴下後1時間攪拌した。次に−45
±5℃に冷却し、同温度で塩化メタンスルホニル(2.
27g)およびトリエチルアミン(2.61g)を滴下
した後1.5時間攪拌した。次に−45±5℃でイソプ
ロピルアルコール(16ml)を滴下、さらに同温度で
水素化ホウ素ナトリウム(0.91g)の水(3.6m
l)溶液を滴下した後30分攪拌した。次に反応液を
3.3%硫酸水溶液(42g)に加えて分液、酢酸エチ
ル層は3.3%硫酸水溶液、2%炭酸水素ナトリウム水
溶液、3%食塩水の順に洗浄、各水層は酢酸エチル(1
0ml)で再抽出した。酢酸エチル層を合わせ濃縮した
後、トルエン(5ml)を加え、氷冷下1時間晶析熟成
した後、結晶を濾過し、乾燥してPLM 2.54gを
得た(収率:84.2%、融点100〜102℃)。
【0136】
【化61】(スキーム3) (実施例4:4−ニトロベンジル(2S,4R)−2−
ヒドロキシメチル−4−メチルスルホニルオキシピロリ
ジン−1−カルボキシラート(ピロリジンメシレート、
PLM)の合成法−メチルエステル経由法(低温反応回
避)) (メチル(2S,4R)−4−ヒドロキシ−1−(4−
ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン−2−カ
ルボキシラート(メチルエステル体(1))の合成法)
メタノール(124ml)にPNZ−プロリン(31.
03g)を加えた後、約20℃で塩化チオニル(7.9
9ml)を滴下し、同温度で3時間攪拌した。次に反応
液を7%炭酸水素ナトリウム水溶液(540ml)に流
入し、トルエン(124ml)および酢酸エチル(50
0ml)で抽出した。有機層は水(200ml)2回、
飽和食塩水(200ml)の順に洗浄後硫酸マグネシウ
ムで脱水し、溶媒留去することによりメチルエステル体
(1)を淡黄褐色油状物として35.06g得た(収
率:100%)。
【0137】(メチル(2S,4R)−1−(4−ニト
ロベンジルオキシカルボニル)−4−メチルスルホニル
オキシピロリジン−2−カルボキシラート(MPRM)
の合成法)メチルエステル体(1)(35.06g)を
酢酸エチル(350ml)に溶解させ、−10℃に冷却
した。つぎに−10〜−5℃で塩化メタンスルホニル
(10.06ml)およびトリエチルアミン(17.8
4ml)を滴下後−5±5℃で1時間攪拌した。反応液
を1.4%硫酸水(170ml)に流入して抽出、有機
層は水(170ml)、1%炭酸水素ナトリウム水溶液
(170ml)、飽和食塩水(170ml)の順に洗
浄、各水層は酢酸エチル(170ml)で再抽出した。
有機層を合併、硫酸マグネシウムで乾燥した後溶媒を留
去し、得られたスラリーにトルエン(150ml)を加
えて晶析後濾過し、乾燥してMPRMを白色結晶として
36.92g得た(収率:91.8%(PPRを基準と
する))。
【0138】(4−ニトロベンジル(2S,4R)−2
−ヒドロキシメチル−4−メチルスルホニルオキシピロ
リジン−1−カルボキシラート(ピロリジンメシレー
ト、PLM)の合成法)MPRM(1.5g)を酢酸エ
チル(12ml)に溶解させ、NaBH4(0.28
g)を加え、さらに7〜10℃でメタノール(0.92
ml)を滴下した後5〜10℃で6.5時間攪拌した。
反応液を2%硫酸水(12.3ml)に流入して抽出、
有機層は1%炭酸水素ナトリウム水溶液(12ml)、
水(12ml)2回の順に洗浄、各水層は酢酸エチル
(10ml)で再抽出した。有機層を合わせて無水硫酸
ナトリウムで乾燥後溶媒留去し、これにトルエン(4m
l)を加えて晶析後濾過し、乾燥してPLMを結晶とし
て1.31g得た(収率:94.1%)。
【0139】
【化62】(スキーム4) この結晶について、理学電機株式会社製RINT110
0を用いて以下の条件で粉末X線回折構造解析を行った
ところ、図1のようなピークを示す結果を得た。管球:
Cu、管電圧:40kV、管電流:40mA、ゴニオメ
ータ:広角ゴニオメータ、サンプリング角度0.020
°、スキャンスピード:2.00°/分、走査軸:2θ
/θ、オフセット角度:0.000°、アタッチメン
ト:標準試料ホルダー、モノクロメータ:使用、モノク
ロ受光スリット:0.60mm、発散スリット:1°、
散乱スリット:1°、および受光スリット:0.15m
m。
【0140】図1は、上段において、粉末X線回折解析
の生データを示し、下段において、各ピークの位置およ
び大きさを示す。さらに、各ピークについて数値化した
ものを図2に示す。 (実施例5:4−ニトロベンジル(2S,4S)−4−
アセチルチオ−2−ヒドロキシメチルピロリジン−1−
カルボキシラート(アセチルチオピロリジン、ATP)
の合成法) (A:DMF−トルエン溶媒)PLM(40.0kg)
にチオ酢酸カリウム(16.0kg)、ジメチルホルム
アミド(75kg)およびトルエン(104kg)を加
えてスラリー化した後、65±5℃に昇温し、4時間攪
拌した。反応終了後酢酸エチル(540kg)と水(3
00kg)で抽出、有機層は5%食塩水(200kg)
で2回洗浄、各水層は酢酸エチル(110kg)で再抽
出した。酢酸エチル層を合わせ、290Lまで濃縮した
後、トルエン(300kg)を加えて290Lまで濃縮
した。得られたスラリーを25±10℃で1晩晶析熟成
した後、結晶を濾過し、乾燥してATP 27.9kg
を得た(収率:73.7%、融点130〜132℃)。
【0141】この結晶について、RINT1100を用
いて実施例4に記載のものと同一の条件で粉末X線回折
構造解析を行ったところ、図3のようなピークを示す結
果を得た。上段は、粉末X線回折解析の生データを示
し、下段は各ピークの位置および大きさを示す。さら
に、各ピークについて数値化したものを図4に示す。 (B:CH3CN−水溶媒)PLM(7.5g)にチオ
酢酸カリウム(4.60g)、アセトニトリル(22.
5ml)および水(1.5ml)を加えた後、65℃に
昇温し、10時間攪拌した。反応終了後酢酸エチル(1
13ml)と水(30ml)で抽出、有機層は5%食塩
水(37.5ml)で2回洗浄、各水層は酢酸エチル
(52.5ml)で再抽出した。酢酸エチル層を合わ
せ、HPLCで定量したところ、ATPが5.59g生
成していた(生成率:80.7%)。
【0142】
【化63】(スキーム5) (実施例6:4−ニトロベンジル(2S,4S)−4−
アセチルチオ−2−(N−スルファモイル−tert−
ブトキシカルボキサミドメチル)ピロリジン−1−カル
ボキシラート(アセチルチオスルファミド、ATS)の
合成法)ATP(100.0g)にトリフェニルホスフ
ィン(90.2g)、BSA(83.0g)および酢酸
エチル(2.4L)を加えてスラリー化した後、20℃
以下でジイソプロピルアゾジカルボン酸(DIAD)
(68.3g)を滴下した。18〜21℃で2時間攪拌
した後濃縮、メタノール(0.5L)を加えて濃縮、再
度メタノール(0.5L)を加えて濃縮した後メタノー
ルで液量を700gに調整した。この溶液を65℃に加
熱し水(75g)を加えた後、50℃で2時間攪拌して
晶析、さらに室温で1晩放置後、結晶を濾過し、乾燥し
てATS 121.68gを得た(収率:81.0%、
融点133〜136℃:IR(KBr) 3361,3
226,2978,1708,1692,1523,1
381,1336,1187,1149 cm-11
−NMR(CDCl3)δ 1.48(s,9H),
1.57−1.61(ddd,1H,J=14.1H
z,J=5.4Hz,J=3.6Hz),2.35
(s,3H),2.59(dt,1H,J=14.1H
z,J=8.6Hz),3.27(dd,1H,J=1
2.1Hz,J=6.5Hz),3.62(dd,1
H,J=14.9Hz,J=2.7Hz),3.96
(m,1H),4.02(dd,1H,J=14.9H
z,J=8.5Hz),4.27(dd,1H,J=1
2.1Hz,J=7.8Hz),4.55(m,1
H),5.18(ABq,2H,J=13.4Hz),
5.86(br,2H),7.49(A22,2H,J
=8.7Hz),8.24(A22,2H,J=8.7
Hz);13C−NMR(CDCl3)δ 28.09,
30.51,34.46,39.15,49.93,5
2.17,56.72,66.11,84.15,12
3.91,128.19,143.10,147.8
1,151.81,155.10,194.85;FA
BMS m/z 533 [M+H]+,555 [M
+Na]+)。
【0143】
【化64】(スキーム6) この結晶について、RINT1100を用いて実施例4
に記載のものと同一の条件で粉末X線回折構造解析を行
ったところ、図5のようなピークを示す結果を得た。上
段は、粉末X線回折解析の生データを示し、下段は各ピ
ークの位置および大きさを示す。さらに、各ピークにつ
いて数値化したものを図6に示す。
【0144】さらに、ATSの単結晶X線結晶構造解析
の立体図を以下に示す。
【0145】
【化65】 (実施例7:4−ニトロベンジル(2S,4S)−4−
メルカプト−2−スルファモイルアミノメチルピロリジ
ン−1−カルボキシラート(チオールピロリジン、SP
L)の合成法) (1)アセチルチオスルファミド(18.3kg)にメ
タノール(72.3kg)およびメタンスルホン酸
(1.65kg)を加えて65±5℃で7.7時間攪拌
した。反応液を25℃以下に冷却した後、減圧下、溶媒
留去して約50Lまで濃縮した。濃縮液を酢酸エチル
(125kg)と水(136kg)の混合液に流入して
抽出、有機層は5%食塩水(94kg)で3回洗浄、各
水層は酢酸エチル(55kg)で再抽出し、有機層を合
併した。この有機層を減圧下、溶媒留去して約34kg
まで濃縮し、さらに酢酸エチル(98kg)を加えて減
圧下、再び溶媒留去して約34kgまで濃縮してSPL
/酢酸エチル溶液を得た。
【0146】
【化66】 スキーム7 (2)アセチルチオスルファミド(134.4g)にメ
タノール(672ml)および98%硫酸(63.2
g)を加えて65±5℃で2時間攪拌した後、減圧下、
溶媒留去した。濃縮液を酢酸エチル(1067ml)と
水(933ml)の混合液に流入して抽出、有機層は5
%食塩水(700ml)で3回洗浄、各水層は酢酸エチ
ル(400ml)で再抽出し、有機層を合併した。この
有機層を減圧下、溶媒留去、さらに酢酸エチル(800
ml)を加えて減圧下、再び溶媒留去してSPL/酢酸
エチル溶液280gを得た。
【0147】(実施例8:化合物Aの合成法) (1)4−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−6−
[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−3
−[[(3S,5S)−1−(4−ニトロベンジルオキ
シカルボニル)−5−(スルファモイルアミノメチル)
ピロリジン−3−イル]チオ]−7−オキソ−1−アザ
ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボ
キシラート(チオピロリジンカルバペネムエステル、T
CE)の合成法 (抽出法)SPL/酢酸エチル溶液(280g)にエノ
ールホスフェート(120.0g)、ジメチルホルムア
ミド(600ml)を加えて氷冷し、さらにジイソプロ
ピルエチルアミン(36.4g)を加えて5℃以下で1
晩反応させた。この反応液を酢酸エチル(900ml)
と水(900ml)の混合液に流入して抽出、有機層は
0.7%塩酸水(612g)、5%炭酸水素ナトリウム
水溶液(252g)、5%食塩水(360g×2回)の
順に洗浄、各水層は酢酸エチル(400ml)で再抽出
し、有機層を合併した。この有機層を減圧下、溶媒留去
して740gまで濃縮した後、メタノール(222.5
ml)とTCE種晶を加えて25℃で65分間晶析、さ
らにメタノール(1157ml)を加えて室温下、60
分間晶析した。得られた結晶を濾過し、乾燥してTCE
142.18gを得た(収率:95.9%)。
【0148】この結晶について、RINT1100を用
いて実施例4に記載のものと同一の条件で粉末X線回折
構造解析を行ったところ、図7のようなピークを示す結
果を得た。上段は、粉末X線回折解析の生データを示
し、下段は各ピークの位置および大きさを示す。さら
に、各ピークについて数値化したものを図8に示す。
【0149】(直接晶析法)SPL/酢酸エチル溶液
(11.7g、ATS 5.60g相当)にエノールホ
スフェート(5.0g)、アセトニトリル(20ml)
を加えて氷冷し、さらにジイソプロピルエチルアミン
(1.52g)を加えて5℃以下で1晩反応させた。こ
の反応液に、2℃以下を維持しながらメタノール(60
ml)とTCE種晶を加えて0〜2℃で1時間晶析した
後、結晶を濾過し、乾燥してTCE 4.42gを得た
(収率:71.5%)。
【0150】この結晶について、RINT1100を用
いて実施例4に記載のものと同一の条件で粉末X線回折
構造解析を行ったところ、図9のようなピークを示す結
果を得た。上段は、粉末X線回折解析の生データを示
し、下段は各ピークの位置および大きさを示す。さら
に、各ピークについて数値化したものを図10に示す。
【0151】(2)(4R,5S,6S)−6−[(1
R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−7−オキ
ソ−3−[[(3S,5S)−5−(スルファモイルア
ミノメチル)ピロリジン−3−イル]チオ]−1−アザ
ビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボ
ン酸(化合物A)の合成法 TCE(10.0kg)にテトラヒドロフラン(60
L)を加えて溶解させ、これにイオン交換水(40k
g)、10%Pd−C(5.0kg)および塩化マグネ
シウム・6水和物(1.4kg)を加えた後、水素ガス
を導入して0.5MPaに加圧下、26〜38℃で2時
間攪拌した。反応液を濾過し、Pd−Cをテトラヒドロ
フラン(18L)−イオン交換水(12L)の混合液で
洗浄してろ液に合併、これに塩化マグネシウム・6水和
物(0.7kg)を加えて溶解させ、さらにテトラヒド
ロフラン(300L)を加えて26±2℃で下層を分液
した。得られた下層を0±5℃に冷却した後、メタノー
ル(40L)と化合物Aの種晶(10g)を加えて化合
物Aを晶析させた。一方、分液後の上層に塩化マグネシ
ウム・6水和物(0.7kg)を加えて下層を分液する
操作をさらに2回繰り返し、得られた下層は順次、化合
物Aのスラリーに合併した。これにさらにメタノール
(75L)を流入し、0±5℃で1時間、さらに−10
±5℃で1時間晶析熟成させた後、結晶を濾過、乾燥し
て粗化合物A 3.84kgを得た(収率:67.1
%)。
【0152】(3)化合物Aの精製 イオン交換水(66.0kg)に粗化合物A(3.30
kg)を加えて約55℃に加温溶解し、50℃以上を維
持しながらこの溶液を活性炭素(0.10kg)でプレ
コートした濾過機、0.2μのメンブレンフィルター、
限外濾過膜および無菌濾過フィルターの順に通して濾過
した。濾過液を24〜18℃に冷却後、30分攪拌して
結晶を析出させ、さらに2±3℃に冷却して2時間熟成
した。これに無菌濾過フィルターで濾過したイソプロピ
ルアルコール(26.1kg)を1時間20分かけて流
入後、−3〜−7℃で4時間、さらに−10〜−13℃
で1晩晶析熟成した後、結晶をろ取した。得られた結晶
はイソプロピルアルコール(4.17kg)とイオン交
換水(1.32kg)を混合し、無菌濾過フィルターで
濾過した80%イソプロピルアルコール水で洗浄後、6
0℃で18時間減圧乾燥して化合物A 2.89kgを
得た(収率87.5%)。
【0153】
【化67】 スキーム8 して約2.5gまで濃縮してTCE/酢酸エチル溶液を
得た。この溶液を0℃に冷却し、ジメチルホルムアミド
(2ml)およびメタノール(10ml)を加(実施例
9:アモルファスTCEの合成) (1)4−ニトロベンジル(2S,4S)−4−メルカ
プト−2−スルファモイルアミノエチルピロリジン−1
−カルボキシレート(チオールピロリジン、SPL)の
合成 アセチルチオスルファミド(33.6kg)にメタノー
ル(140.0kg)および98%精製硫酸(15.8
kg)を加えて65±5℃で2.0±0.5時間攪拌し
た。反応液を減圧下、溶媒留去して約110Lにまで濃
縮した。濃縮液を酢酸エチル(225kg)と水(25
0kg)との混合液に流入して抽出し、有機層を5%食
塩水(175kg)で3回洗浄、各水層を酢酸エチル
(90kg)で再抽出し、有機層を合併した。この有機
層を減圧下、溶媒留去して約70kgまで濃縮し、さら
に酢酸エチル(180kg)を加えて減圧下、再び溶媒
留去して約70kgまで濃縮してSPL/酢酸エチル溶
液を得た。
【0154】(2)4−ニトロベンジル(4R,5S,
6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4
−メチル−3−[[(3S,5S)−1−(4−ニトロ
ベンジルオキシカルボニル)−5−(スルファモイルア
ミノエチル)ピロリジン−3−イル]チオ]−7−オキ
ソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン
−2−カルボキシレート(チオピロリジンカルバペネム
エステル、TCE)の合成 SPL/酢酸エチル溶液(約70kg)にエノールホス
フェート(30.0kg)、ジメチルホルムアミド(1
43kg)を加えて0±5℃に冷却し、さらにジイソプ
ロピルエチルアミン(9.1kg)を加えて0±5℃で
18±4時間攪拌した。この反応液に酢酸エチル(20
0kg)および水(225kg)を流入して抽出し、有
機層を0.7%塩酸水(153kg)、5%炭酸水素ナ
トリウム水溶液(63kg)、5%食塩水(90kg×
2回)の順に洗浄、各水層を酢酸エチル(90kg)で
再抽出し、有機層を合併した。この有機層を減圧下、溶
媒留去して約104Lまで濃縮し、さらに酢酸エチル
(180kg)を加えて減圧下、溶媒留去して約104
Lまで濃縮し、さらに酢酸エチル(180kg)を加え
て減圧下、溶媒留去して約155Lにまで濃縮した。こ
のTCE/酢酸エチル溶液をトルエン(365kg)に
約30分かけて流入し、得られたTCEスラリーをろ
過、乾燥してTCEを淡黄色粉末として36.6kg得
た(収率:98.7%)。
【0155】(実施例10) (ELP−PNBを単離しないTCEの合成) (1)4−ニトロベンジル(2S,4S)−4−メルカ
プト−2−スルファモイルアミノメチルピロリジン−1
−カルボキシレート(チオールピロリジン、SPL)の
合成法 アセチルチオスルファミド(1.08g)にメタノール
(5.4ml)および濃硫酸(0.20g)を加えて6
5±5℃で7時間攪拌した。反応液を25℃以下に冷却
した後、酢酸エチル(8.2ml)と水(8ml)の混
合液に流入して抽出、有機層は5%食塩水(5.5m
l)で3回洗浄、各水層は酢酸エチル(3.3ml)で
再抽出し、有機層を合併した。この有機層を減圧下、溶
媒留去した後、さらに酢酸エチル(5ml)を加えて減
圧下、再び溶媒留去して約2.2gまで濃縮してSPL
/酢酸エチル溶液を得た。
【0156】(2)4−ニトロベンジル(4R,5S,
6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4
−メチル−3−[[(3S,5S)−1−(4−ニトロ
ベンジルオキシカルボニル)−5−(スルファモイルア
ミノメチル)ピロリジン−3−イル]チオ]−7−オキ
ソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン
−2−カルボキシレート(チオピロリジンカルバペネム
エステル、TCE)の合成 (A)アセトニトリル法 ケトン体(609mg)にアセトニトリル(2.4m
l)を加えて−30℃に冷却し、ジフェニルホスホロク
ロリデート(0.43g)およびジイソプロピルエチル
アミン(0.22g)を加え、0℃で2時間攪拌した
後、ジメチルホルムアミド(3ml)およびSPL/酢
酸エチル溶液(約2.2g)、ジイソプロピルエチルア
ミン(0.26g)を加えて5℃以下で16時間攪拌し
た。反応液は酢酸エチル(13ml)と5%食塩水
(6.1ml)の混合液に流入して分液し、有機層は5
%食塩水(6.1ml)で2回洗浄、各水層は酢酸エチ
ル(13ml)で再抽出し、有機層を合併した。この有
機層を減圧下、溶媒留去した後、さらに酢酸エチル(6
ml)を加えて減圧下、再び溶媒留去して約2.5gま
で濃縮してTCE/酢酸エチル溶液を得た。この溶液を
0℃に冷却し、ジメチルホルムアミド(2ml)および
メタノール(15ml)を加えた後、TCE種晶(10
mg)を加え、0±5℃で1時間、−10±5℃で4時
間晶析した後、結晶をろ過、乾燥してTCE 807m
gを得た(収率:70.5%)。
【0157】(B)ジメチルホルムアミド法 ケトン体(609mg)にジメチルホルムアミド(3m
l)を加えて−30℃に冷却し、ジフェニルホスホロク
ロリデート(0.43g)およびジイソプロピルエチル
アミン(0.22g)を加え、0℃で2時間攪拌した
後、SPL/酢酸エチル溶液(約2.2g)と混合し、
さらにジイソプロピルエチルアミン(0.26g)を加
えて5℃以下で16時間攪拌した。反応液は酢酸エチル
(13ml)と水(6.1ml)の混合液に流入して分
液し、有機層は5%食塩水(6.1ml)で2回洗浄、
各水層は酢酸エチル(13ml)で再抽出し、有機層を
合併した。この有機層を減圧下、溶媒留去した後、さら
に酢酸エチル(6ml)を加えて減圧下、再び溶媒留去
えた後、TCE種晶(10mg)を加え、0±5℃で1
時間、−10±5℃で3時間晶析した後、結晶をろ過、
乾燥してTCE 910mgを得た(収率:73.7
%)。
【0158】
【化68】 スキーム9 (実施例11:アセチルチオピロリジン(ATP)の合
成法) (MPRM(メシル体(2))の直接合成法) A)塩化チオニル法 メタノール(50ml)にL−ヒドロキシプロリン(1
0.0g)を加えて冷却し、塩化チオニル(9.98
g)を0〜10℃で滴下した後、40℃で2時間攪拌し
た。反応液を冷却後、48%水酸化ナトリウム水溶液
(6.99g)を0〜10℃で滴下した。冷水道水(3
0ml)を加えて冷却し、炭酸カリウム(15.81
g)を0〜20℃で発泡に注意しながら加えた。再び冷
却後、53%PNZ−Clトルエン溶液(31.02
g)を0〜5℃で滴下し、0〜5℃で1時間攪拌した。
反応液を濃縮後、酢酸エチル(100ml)、水道水
(60ml)を加えて分液し、有機層を濃縮した。濃縮
液にトルエン(100ml)を加えて濃縮した後、再度
トルエン(100ml)を加え、10〜20℃でトリエ
チルアミン(9.26g)を加えた。塩化メタンスルホ
ニル(9.61g)を12〜32℃で滴下した後、水道
水(60ml)を加えて晶析後、ろ過、乾燥してMPR
Mを結晶として27.8g得た(収率:90.6%)。 B)オキシ塩化リン法 メタノール(50ml)にL−ヒドロキシプロリン(1
0.0g)を加えて冷却し、オキシ塩化リン(5.85
g)を0〜20℃で滴下した後60℃で2時間攪拌し
た。反応液を冷却後、48%水酸化ナトリウム水溶液
(3.18g)を0〜10℃で滴下した。冷水道水(4
0ml)を加えて冷却し、炭酸カリウム(15.81
g)を0〜20℃で発泡に注意しながら加えた。再び冷
却後、53%PNZ−Clトルエン溶液(31.02
g)を0〜5℃で滴下し、0〜5℃で1時間攪拌した。
反応液を濃縮後、酢酸エチル(100ml)、水道水
(50ml)を加えて分液し、有機層を濃縮した。濃縮
液にトルエン(100ml)を加えて濃縮した後、再度
トルエン(100ml)を加え、10〜20℃でトリエ
チルアミン(9.26g)を加えた。塩化メタンスルホ
ニル(9.61g)を10〜30℃で滴下した後、水道
水(60ml)を加えて晶析後、ろ過、乾燥してMPR
Mを結晶として26.1g得た(収率:85.0%)。 C)塩酸ガス法 12.5%メタノール−塩酸ガス溶液(38.9g)に
L−ヒドロキシプロリン(5.0g)を0〜20℃で加
え、室温(25±5℃)で3時間攪拌した。反応液を冷
却後、48%水酸化ナトリウム水溶液(7.33g)を
0〜10℃で滴下した。約30mlまで濃縮後、冷水道
水(40ml)を加えて冷却し、炭酸カリウム(8.4
3g)を0〜20℃で発泡に注意しながら加えた。再び
冷却後、53%PNZ−Clトルエン溶液(31.02
g)を0〜5℃で滴下し、0〜5℃で1時間攪拌した。
反応液を濃縮後、酢酸エチル(50ml)、水道水(3
0ml)を加えて分液し、有機層を濃縮した。濃縮液に
トルエン(50ml)を加えて濃縮した後、再度トルエ
ン(50ml)を加え、10〜20℃でトリエチルアミ
ン(4.63g)を加えた。塩化メタンスルホニル
(4.80g)を10〜30℃で滴下した後、水道水
(30ml)を加えて晶析後、ろ過、乾燥してMPRM
を結晶として13.2g得た(収率:85.9%)。 D)合成塩酸(35%塩酸)法 メタノール(50ml)にL−ヒドロキシプロリン(1
0.0g)を加え、合成塩酸(10.8g)を流入し6
0℃で8時間攪拌後、室温(25±5℃)で一晩(約1
5時間)放置した。反応液を冷却後、48%水酸化ナト
リウム水溶液(3.14g)を0〜10℃で滴下した。
冷水道水(30ml)を加えて冷却し、炭酸カリウム
(15.81g)を0〜20℃で発泡に注意しながら加
えた。再び冷却後、53%PNZ−Clトルエン溶液
(31.02g)を0〜5℃で滴下し、0〜5℃で1時
間攪拌した。反応液を濃縮後、酢酸エチル(100m
l)、水道水(60ml)を加えて分液した。(有機層
定量生成率:95%)
【0159】
【化69】(スキーム10) (アセチルチオピロリジン(ATP)の合成法) A)ATP抽出省略法 メシル体(2)(27.55g)に酢酸エチル(120
ml)およびメタノール(16.5ml)を加え、34
℃に加温して溶解させた後冷却した。0〜5℃でNaB
4(13.2g)を2時間かけて加え、さらに0〜5
℃で3時間攪拌した。反応液を5%硫酸水(138m
l)に流入して抽出、有機層を5%食塩水(55ml)
で2回洗浄した後、濃縮した。濃縮液ににチオ酢酸カリ
ウム(10.17g)、ジメチルホルムアミド(50m
l)および酢酸エチル(66ml)を加えた後、65±
5℃に昇温し、8時間攪拌した。反応液を30℃以下に
冷却し、水道水(44ml)および5%硫酸水溶液(1
1ml)を加え、溶媒留去して晶析後、ろ過、乾燥して
ATPを結晶として18.4g得た(収率:75.8
%)。
【0160】B)ATP抽出法 メシル体(2)(5.00g)に酢酸エチル(20m
l)およびメタノール(3ml)を加え、36℃に加温
して溶解させた後冷却した。0〜5℃でNaBH
4(0.94g)の酢酸エチル(5ml)懸濁液を2時
間かけて加え、さらに0〜5℃で4時間攪拌した。反応
液を5%硫酸水(25ml)に流入して抽出、有機層を
水道水(5ml)で2回洗浄した後、濃縮した。濃縮液
ににチオ酢酸カリウム(1.84g)、ジメチルホルム
アミド(9ml)および酢酸エチル(13.5ml)を
加えた後、65±5℃に昇温し、10時間攪拌した。反
応液を30℃以下に冷却し、水道水(9ml)および酢
酸エチル(9ml)を加えて抽出、有機層は1%硫酸水
溶液(9ml)、水道水(9ml)の順に洗浄、各水層
は酢酸エチル(4.5ml)で再抽出した。酢酸エチル
層を合併し、濃縮した後、トルエン(25ml)を加え
て濃縮した。得られたスラリーを晶析後ろ過、乾燥して
ATPを結晶として3.35g得た(収率:76.1
%)。
【0161】
【化70】 (スキーム11) (実施例12:アセチルチオスルファミド(ATS)の
合成法)ATP(10.0g)にトリフェニルホスフィ
ン(9.03g)、BSA(7.48g)および酢酸エ
チル(60mL)を加えてスラリー化した後、20℃以
下でジイソプロピルアゾジカルボン酸(DIAD)(6
8.3g)/酢酸エチル(10mL)を1時間で滴下し
た。18〜21℃で7時間攪拌した後46.6gまで濃
縮、イソプロピルアルコール(IPA)(50mL)を
加えて48.5gまで濃縮、再度IPA(50mL)を
加えて48.2gまで濃縮した。再度IPA(50m
L)を加え66.7gまで濃縮した。この溶液を65℃
に加熱し水(7.5g)を加えた後、50℃で2時間攪
拌して晶析、次に50℃から25℃まで2.5 時間か
けて徐冷晶析、最後に25℃で2時間攪拌して結晶をろ
過、乾燥してATS 11.05gを得た(収率:7
3.5%)。
【0162】実施例11および12に従って、L−ヒド
ロキシプロリンを出発物質としてATSを合成した場
合、実施例2および4〜6に従って合成した場合と比較
して、単離回数は5回から3回に削減され、抽出回数は
19回から4回に削減され、そして概算製造日数は53
6日から160日短縮されて、生産性が526/160
=3.3倍に向上した。
【0163】(実施例13:PNZ−プロリン(PP
R)の直接晶析法による合成)水(50ml)に炭酸カ
リウム(18.97g)を溶解させた後氷冷し、これに
L−ヒドロキシプロリン(10.0g)を加えて溶解さ
せ、53%PNZ−Clトルエン溶液(31.02g)
を2〜8℃で滴下した後2℃で1時間攪拌した。反応液
からトルエン層を分液後、水層に36%塩酸を15.4
0g加え10℃で30分攪拌した。晶析を確認後、36
%塩酸4.60gを加え5℃で1時間攪拌した後、結晶
をろ過、乾燥してPPR1水和物 23.76gを得た
(収率:94.9%)。
【0164】
【化71】 (スキーム12) (実施例14:メシルプロリンメチルエステル(MPR
M)の合成(直接晶析法))PPR1水和物(10.0
0g)をメタノール(50ml)に溶解させた後、濃硫
酸(598mg)を加えた。60℃に加温後7時間攪拌
した。10℃以下に冷却してpH約5まで中和した後、
16.6gまで濃縮した。酢酸エチル(50ml)、1
0%NaCl(50ml)に反応液を加え分液操作によ
り水層を除去後、酢酸エチル層を20.7gまで減圧濃
縮した。トルエンに溶媒置換した後、トリエチルアミン
(3.70g)を10℃以下で加えた。25℃に温調
後、塩化メタンスルホニル(3.83g)を10分間で
滴下した後、水を加えて晶析後、ろ過、乾燥してMPR
Mを結晶として11.23g得た(収率91.6%)。
【0165】
【化72】 (スキーム13) (実施例15:アセチルチオピロリジン、ATP)の合
成法(MPRM非単離法)PPR1水和物(10.00
g)をメタノール(50ml)に溶解させた後、濃硫酸
(598mg)を加えた。60℃に加温後7時間攪拌し
た。10℃以下に冷却してpH約5まで中和した後、1
7.8gまで濃縮した。酢酸エチル(50ml)、10
%NaCl(50ml)に反応液を加え分液操作により
水層を除去後、酢酸エチル層を脱水濃縮した。PNZ−
プロリンメチルエステル(PPRM)酢酸エチル溶液を
氷冷した後、塩化メタンスルホニル(3.83g)、ト
リエチルアミン(3.70g)を加えた。反応終了後、
酸洗浄、水洗を行い酢酸エチル層を脱水濃縮した。濃縮
液(14.5g)に酢酸エチル(48ml)、メタノー
ル(7.5ml)を加え、氷冷後、NaBH4を30分
間隔で5分割(計2.31g)して加えた。1時間攪拌
後、5%硫酸洗浄、水洗を行い酢酸エチル層を減圧濃縮
(11.8g)した。濃縮液にDMF(23ml)、酢
酸エチル(34ml)、AcSK(4.52g)を加え
65℃に加温して7時間熟成した。40℃以下に冷却
後、1%硫酸(24ml)を加え減圧濃縮(60.0g
まで)を行った。室温に冷却後、1.5時間晶析を行
い、ATPを7.62g得た。
【0166】
【発明の効果】本発明によって、ハロゲン含有溶媒を使
用しないかもしくは使用を低減させ、ならびに/または
極度の高温および/もしくは低温を回避するかもしくは
低減しながら、ピロリジルチオカルバペネム誘導体を合
成することが達成された。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、PLMの粉末X線回折解析図の一例で
ある。上段において、粉末X線回折解析の生データを示
し、下段において、各ピークの位置および大きさを示
す。縦軸は、cps(counts per seco
nd、計数率)を表し、横軸は、2θ(回折角)を表
す。
【図2】図2は、図1の解析図の各ピークについて数値
化した結果である。
【図3】図3は、ATPの粉末X線回折解析図の一例で
ある。上段において、粉末X線回折解析の生データを示
し、下段において、各ピークの位置および大きさを示
す。縦軸は、cpsを表し、横軸は、2θを表す。
【図4】図4は、図3の解析図の各ピークについて数値
化した結果である。
【図5】図5は、ATSの粉末X線回折解析図の一例で
ある。上段において、粉末X線回折解析の生データを示
し、下段において、各ピークの位置および大きさを示
す。縦軸は、cpsを表し、横軸は、2θを表す。
【図6】図6は、図5の解析図の各ピークについて数値
化した結果である。
【図7】図7は、抽出法によって単離されたTCEの粉
末X線回折解析図の一例である。上段において、粉末X
線回折解析の生データを示し、下段において、各ピーク
の位置および大きさを示す。縦軸は、cpsを表し、横
軸は、2θを表す。
【図8】図8は、図7の解析図の各ピークについて数値
化した結果である。
【図9】図9は、直接晶析法によって単離されたTCE
の粉末X線回折解析図の一例である。上段において、粉
末X線回折解析の生データを示し、下段において、各ピ
ークの位置および大きさを示す。縦軸は、cpsを表
し、横軸は、2θを表す。
【図10】図10は、図9の解析図の各ピークについて
数値化した結果である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小紫 唯史 兵庫県尼崎市杭瀬寺島2丁目1番3号 塩 野義製薬株式会社内 (72)発明者 柿沼 誠 兵庫県尼崎市杭瀬寺島2丁目1番3号 塩 野義製薬株式会社内 (72)発明者 増井 稔昭 兵庫県尼崎市杭瀬寺島2丁目1番3号 塩 野義製薬株式会社内 (72)発明者 小林 誠 兵庫県尼崎市杭瀬寺島2丁目1番3号 塩 野義製薬株式会社内 Fターム(参考) 4C050 KA18 KB05 KB13 KB16 KC05 4C069 AA13 AA21 BB02 BB15 BB44 BC10 BC14 BC17 BD04 CC19 CC20 4H039 CA66 CD30

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スルファミドを合成する方法であって、
    以下の工程: a) ハロゲン化スルホニルイソシアナートと、アルコ
    ールとを、溶媒中で反応させて反応生成物を得る工程; b) 工程a)で得られた反応生成物に、ピリジン、置
    換されたピリジンおよびキノリン類からなる群より選択
    される化合物を加えて反応生成物を得る工程;および c) 工程b)で得られた反応生成物に、アンモニア水
    を加えてスルファミドを得る工程、を包含する、方法。
  2. 【請求項2】 4−ニトロベンジルオキシカルボニル置
    換された、ヒドロキシル基およびカルボキシル基を含む
    へテロ環化合物のヒドロキシル基をメチルスルホニルオ
    キシ基に、カルボキシル基をヒドロキシメチル基にそれ
    ぞれ変換する方法であって、 a)該4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換され
    た、ヒドロキシル基およびカルボキシル基を含むへテロ
    環化合物とROHとを、酸の存在下で反応させて反応生
    成物を得る工程であって、ここで、Rは、C1〜C6ア
    ルキルである、工程; b) 工程a)の反応生成物と、ハロゲン化メタンスル
    ホニルとを、トリエチルアミン存在下で、酢酸エチル中
    で反応させて反応生成物を得る工程; c) 工程b)の反応生成物を、酢酸エチル中で、アル
    コールの存在下でNaBH4で還元して、4−ニトロベ
    ンジルオキシカルボニル置換された、メチルスルホニル
    オキシ基およびヒドロキシメチル基を含むへテロ環化合
    物を得る工程、を包含する、方法。
  3. 【請求項3】 前記4−ニトロベンジルオキシカルボニ
    ル置換された、ヒドロキシル基およびカルボキシル基を
    含むへテロ環化合物が 【化1】 PPR であり(式中、PNZは、4−ニトロベンジルオキシカ
    ルボニルである)、 前記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、
    メチルスルホニルオキシ基およびヒドロキシメチル基を
    含むへテロ環化合物が 【化2】 PLM であり(式中、Msはメタンスルホニルであり、PNZ
    は前記と同義である)、 前記酸が、SOCl2またはH2SO4であり、 前記ハロゲン化メタンスルホニルが、塩化メタンスルホ
    ニルであり、 前記アルコールが、メタノールである、請求項2に記載
    の方法。
  4. 【請求項4】 4−ニトロベンジルオキシカルボニル置
    換された、ヒドロキシル基およびカルボキシル基を含む
    へテロ環化合物のヒドロキシル基をメチルスルホニルオ
    キシ基に、カルボキシル基をヒドロキシメチル基にそれ
    ぞれ変換する方法であって、 a)該へテロ環化合物と、ハロ炭酸アルキルとを、酢酸
    エチル中で、トリブチルアミン存在下で反応させて反応
    生成物を得る工程; b) 工程a)で得られる反応生成物と、ハロゲン化メ
    タンスルホニルとを、トリエチルアミン存在下で反応さ
    せて反応生成物を得る工程; c) 工程b)で得られる反応生成物を、アルコールの
    存在下でNaBH4水溶液で還元して、4−ニトロベン
    ジルオキシカルボニル置換された、メチルスルホニルオ
    キシ基およびヒドロキシメチル基を含むへテロ環化合物
    を得る工程、を包含する、方法。
  5. 【請求項5】 前記4−ニトロベンジルオキシカルボニ
    ル置換された、ヒドロキシル基およびカルボキシル基を
    含むへテロ環化合物が 【化3】 PPR であり(式中、PNZは前記と同義である)、 前記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、
    メチルスルホニルオキシ基およびヒドロキシメチル基を
    含むへテロ環化合物が 【化4】 PLM であり(式中、MsおよびPNZは前記と同義であ
    る)、 前記ハロ炭酸アルキルが、クロロ炭酸エチルであり、 前記ハロゲン化メタンスルホニルが、塩化メタンスルホ
    ニルであり、そして前記アルコールが、イソプロピルア
    ルコールである、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 4−ニトロベンジルオキシカルボニル置
    換された、メチルスルホニルオキシ基およびヒドロキシ
    メチル基を含むヘテロ環化合物のメチルスルホニルオキ
    シ基を、アセチルチオ基へと変換する方法であって、以
    下の工程: a) 該4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換され
    た、メチルスルホニルオキシ基およびヒドロキシメチル
    基を含むヘテロ環化合物と、チオ酢酸カリウムとを、ア
    セトニトリル/水、ジメチルホルムアミド/酢酸エチル
    またはジメチルホルムアミド/トルエンの混合溶媒中で
    反応させて4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換さ
    れた、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を含む
    ヘテロ環化合物を得る工程、を包含する、方法。
  7. 【請求項7】 前記4−ニトロベンジルオキシカルボニ
    ル置換された、メチルスルホニルオキシ基およびヒドロ
    キシメチル基を含むヘテロ環化合物が 【化5】 PLM であり(式中、MsおよびPNZは前記と同義であ
    る)、前記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換さ
    れた、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を含む
    ヘテロ環化合物が、 【化6】 ATP である(式中、Acはアセチルであり、PNZは前記と
    同義である)、請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 4−ニトロベンジルオキシカルボニル置
    換された、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を
    含むヘテロ環化合物のヒドロキシメチル基をスルファモ
    イル−tert−ブトキシカルボキサミドメチル基へと
    変換する方法であって、以下の工程:該4−ニトロベン
    ジルオキシカルボニル置換された、アセチルチオ基およ
    びヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化合物と、Boc
    スルファミドとを、酢酸エチル中で、トリフェニルホス
    フィンおよびジイソプロピルアゾジカルボン酸存在下で
    反応させて4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換さ
    れた、アセチルチオ基およびスルファモイル−tert
    −ブトキシカルボキサミドメチル基を含むヘテロ環化合
    物を得る工程、を包含する、方法。
  9. 【請求項9】 前記4−ニトロベンジルオキシカルボニ
    ル置換された、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル
    基を含むヘテロ環化合物が、 【化7】 ATP であり(式中、AcおよびPNZは前記と同義であ
    る)、前記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換さ
    れた、アセチルチオ基およびスルファモイル−tert
    −ブトキシカルボキサミドメチル基を含むヘテロ環化合
    物が、 【化8】 ATS である(式中、Bocは、tert−ブトキシカルボニ
    ルであり、AcおよびPNZは前記と同義である)、請
    求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 チオールピロリジンを合成する方法で
    あって、請求項1〜9に記載の方法からなる群より選択
    される方法を実施する工程を少なくとも1つ包含する、
    方法。
  11. 【請求項11】 【化9】 TCE を製造する方法であって、以下の工程: 4−ニトロベンジル(1R,5R,6S)−[(R)−
    1−ヒドロキシエチル]−2−オキソ−カルバペネム−
    3−カルボキシレートとジフェニルホスホクロリデート
    とを反応させて、以下の化合物: 【化10】 ELP−PNB を得る工程;および該ELP−PNBと、以下の化合
    物: 【化11】 SPL とを反応させて 【化12】 TCE を得る工程、を包含する、方法。
  12. 【請求項12】 前記ELP−PNBを、反応液中から
    単離することなく前記SPLと反応させる、請求項11
    に記載の方法。
  13. 【請求項13】 請求項11または12に記載の方法に
    おいて得られたTCEを含有する反応液またはその抽出
    液から、結晶を得る工程を包含する、TCE結晶を製造
    する方法。
  14. 【請求項14】 前記結晶を得る工程が、前記反応液ま
    たはその抽出液にアルコールを添加することを包含す
    る、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 ヒドロキシル基およびカルボキシル基
    を含むヘテロ環化合物のヒドロキシル基をメチルスルホ
    ニルオキシ基に、カルボキシル基を−COOR基にそれ
    ぞれ変換し、かつ該ヘテロ環化合物のヘテロ原子上に4
    −ニトロベンジルオキシカルボニル基を導入する方法で
    あって、ここで、Rは、C1〜C6アルキルであり、該
    方法は、以下の工程: a) 該ヒドロキシル基およびカルボキシル基を含むへ
    テロ環化合物とROHとを、酸の存在下で反応させて反
    応生成物を得る工程; b) 工程a)の反応生成物と、4−ニトロベンジルオ
    キシカルボニルハライドとをアルカリ金属炭酸塩の存在
    下で反応させて反応生成物を得る工程; c) 工程b)の反応生成物と、ハロゲン化メタンスル
    ホニルとを、トリエチルアミン存在下でトルエン中で反
    応させて、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換さ
    れた、メチルスルホニルオキシ基および−COOR基を
    含むヘテロ環化合物を得る工程、を包含する方法。
  16. 【請求項16】 前記ヒドロキシル基およびカルボキシ
    ル基を含むヘテロ環化合物が 【化13】 HYP であり、前記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換
    された、メチルスルホニルオキシ基および−COOR基
    を含むへテロ環化合物が 【化14】 MPRM であり(式中、MsおよびPNZは前記と同義であ
    る)、前記酸が、SOCl2、POCl3およびHClか
    ら選択される試薬であり、前記アルカリ金属が、ナトリ
    ウムまたはカリウムであり、そして前記ハロゲン化メタ
    ンスルホニルが、塩化メタンスルホニルである、請求項
    15に記載の方法。
  17. 【請求項17】 4−ニトロベンジルオキシカルボニル
    置換された、メチルスルホニルオキシ基および−COO
    R基を含むヘテロ環化合物のメチルスルホニルオキシ基
    をアセチルチオ基に、−COOR基をヒドロキシメチル
    基にそれぞれ変換する方法であって、ここで、Rは、C
    1〜C6アルキルであり、該方法は、以下の工程: a) 該ヘテロ環化合物を、アルコールの存在下でNa
    BH4で還元して、反応生成物を得る工程; b) 工程a)の反応生成物と、チオ酢酸カリウムと
    を、アセトニトリル/水、ジメチルホルムアミド/酢酸
    エチルまたはジメチルホルムアミド/トルエンの混合溶
    媒中で反応させて4−ニトロベンジルオキシカルボニル
    置換された、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基
    を含むヘテロ環化合物を得る工程、を包含する、方法。
  18. 【請求項18】 前記4−ニトロベンジルオキシカルボ
    ニル置換された、メチルスルホニルオキシ基および−C
    OOR基を含むヘテロ環化合物が 【化15】 MPRM であり(式中、MsおよびPNZは前記と同義であ
    る)、前記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換さ
    れた、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を含む
    ヘテロ環化合物が、 【化16】 ATP であり、 前記Rが、メチルであり、そして前記アルコールが、メ
    タノールである、請求項17に記載の方法。
  19. 【請求項19】 【化17】 で示される化合物、その塩または水和物を合成する方法
    であって、請求項1〜18に記載の方法からなる群より
    選択される方法を実施する工程を少なくとも1つ包含す
    る、方法。
  20. 【請求項20】 以下の化合物: 【化18】 PRE
  21. 【請求項21】 以下の化合物: 【化19】 ATS
  22. 【請求項22】 粉末X線回折解析において、2θ値が
    4.580±0.100、9.060±0.100、1
    8.100±0.100および22.660に主なピー
    クを示す、以下の化合物: 【化20】 ATP の結晶。
  23. 【請求項23】 粉末X線回折解析において、2θ値が
    6.920±0.100、7.000±0.100、1
    1.700±0.100および20.140±0.10
    0に主なピークを示す、請求項21に記載の化合物の結
    晶。
  24. 【請求項24】 粉末X線回折解析において、2θ値が
    19.100±0.100、22.620±0.100
    および26,000±0.100に主なピークを示す、
    以下の構造: 【化21】 PLM の化合物の結晶。
  25. 【請求項25】 粉末X線回折解析において、2θ値が
    15.910±0.100、19.930±0.100
    および25.400±0.100に主なピークを示す、
    以下の構造: 【化22】 TCE の化合物の結晶。
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