JP5001228B2 - アセチルチオピロリジン誘導体の製法 - Google Patents
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Description
本発明は、アセチルチオピロリジン誘導体の製造方法に関する。詳細には、本発明は、カルバペネム系抗生物質を、従来の合成方法よりはるかに緩和な条件(例えば、低温の回避)で合成することに関する。本発明はまた、環境汚染物質とされるハロゲン含有溶媒の使用を最小限にしたピロリジルチオカルバペネム誘導体の合成方法を提供する。
広範囲の抗菌スペクトルを有するピロリジルチオカルバペネム誘導体(I)
は、有用な抗生物質として合成され、現在有望な次世代抗生物質として開発中である(特許文献1)(この式において、R1は水素または低級アルキルであり、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して、水素、低級アルキル、置換された低級アルキル、またはアミノ基の保護基であり、あるいは、R2とR3とが窒素原子とともに飽和もしくは不飽和の環式基を形成するか、またはR2もしくはR3とR4とが窒素原子2個と硫黄原子1個と共に飽和も
しくは不飽和の環式基を形成し、この環式基はそれぞれ、さらに酸素、硫黄および窒素からなる群より選択される少なくとも1種を有し得、この環式基はそれぞれ置換され得、X1は水素または水酸基の保護基であり、X2は、水素、カルボキシル基の保護基、アンモニオ基、アルカリ金属またはアルカリ土類金属であり、そしてY2は水素またはアミノ基の
保護基である。)。特許文献1では、上記カルバペネム誘導体を製造するための中間体となるピロリジン誘導体およびそのピロリジン誘導体を製造する方法のいくつかが開示された。
a) ハロゲン化スルホニルイソシアナートと、アルコールとを、溶媒中で反応させて反応生成物を得る工程;
b) 工程a)で得られた反応生成物に、ピリジン、置換されたピリジンおよびキノリン類からなる群より選択される化合物を加えて反応生成物を得る工程;
および
c) 工程b)で得られた反応生成物に、アンモニア水を加えてスルファミドを得る工程、
を包含する。ここで、溶媒の例示としては、トルエン、CH3CN、酢酸エチルなどが挙
げられる。
上記ハロゲン化スルホニルイソシアナートがクロロスルホニルイソシアナートであり得、そして
上記アルコールは、tert−ブタノールであり得る。
−Buであり得る(ここで、t−Buはtert−ブチルである)。
a)上記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、ヒドロキシル基およびカルボキシル基を含むへテロ環化合物とROHとを、酸の存在下で反応させて反応生成物を得る工程であって、ここで、Rは、C1〜C6アルキルである、工程;
b) 工程a)の反応生成物と、ハロゲン化メタンスルホニルとを、トリエチルアミン存在下で、酢酸エチル中で反応させて反応生成物を得る工程;
c) 工程b)の反応生成物を、酢酸エチル中で、アルコールの存在下でNaBH4で還元して、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、メチルスルホニルオキシ基およびヒドロキシメチル基を含むへテロ環化合物を得る工程、
を包含する。
であり得、
上記酸が、SOCl2、H2SO4またはHClであり得、上記ハロゲン化メタンスルホ
ニルが、塩化メタンスルホニルであり得、そして上記アルコールが、メタノールであり得る。ここで、PNZは、4−ニトロベンジルオキシカルボニルであり、Msは、メタンスルホニルである。
a)上記へテロ環化合物と、ハロ炭酸アルキルとを、酢酸エチル中で、トリブチルアミン存在下で反応させて反応生成物を得る工程;
b) 工程a)で得られる反応生成物と、ハロゲン化メタンスルホニルとを、トリエチルアミン存在下で反応させて反応生成物を得る工程;
c) 工程b)で得られる反応生成物を、アルコールの存在下でNaBH4水溶液で還
元して、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、メチルスルホニルオキシ基およびヒドロキシメチル基を含むへテロ環化合物を得る工程、
を包含する。
a) 該ヒドロキシル基およびカルボキシル基を含むへテロ環化合物とROHとを、酸から選択される試薬の存在下で反応させて反応生成物を得る工程;
b) 工程a)の反応生成物と、4−ニトロベンジルオキシカルボニルハライドとをアルカリ金属炭酸塩の存在下で反応させて反応生成物を得る工程;
c) 工程b)の反応生成物と、ハロゲン化メタンスルホニルとを、トリエチルアミン存在下で、トルエン中で反応させて4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、メチルスルホニルオキシ基および−COOR基を含むヘテロ環化合物を得る工程、
を包含する。
であり得(式中、MsおよびPNZは前記と同義である)、上記酸が、SOCl2、PO
Cl3およびHClから選択される試薬であり、上記アルカリ金属は、ナトリウムまたは
カリウムであり得、そして上記ハロゲン化メタンスルホニルは、塩化メタンスルホニルであり得る。
スキーム1
1つの局面において、本発明は、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、メチルスルホニルオキシ基およびヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化合物のメチルスルホニルオキシ基を、アセチルチオ基へと変換する方法を提供する。
a) 上記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、メチルスルホニルオキシ基およびヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化合物と、チオ酢酸カリウムとを、アセトニトリル/水、ジメチルホルムアミド/酢酸エチルまたはジメチルホルムアミド/トルエンの混合溶媒中で反応させて4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化合物を得る工程、
を包含する。
a) 上記ヘテロ環化合物を、アルコールの存在下でNaBH4で還元して、反応生成
物を得る工程;
b) 工程a)の反応生成物と、チオ酢酸カリウムとを、ジメチルホルムアミド/酢酸エチルの混合溶媒中で反応させて4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化合物を得る工程、
を包含する。
上記4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化合物と、Bocスルファミドとを、酢酸エチル中で、トリフェニルホスフィンおよびジイソプロピルアゾジカルボン酸存在下で反応させて4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、アセチルチオ基およびスルファモイル−tert−ブトキシカルボキサミドメチル基を含むヘテロ環化合物を得る工程、を包含する。
本発明の方法でスルファミドを合成し、
本発明の方法で、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、ヒドロキシル基およびカルボキシル基を含むヘテロ環化合物から、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、メチルスルホニルオキシ基およびヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化合物を合成し、
本発明の方法で、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、メチルスルホニルオキシ基およびヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化合物から、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化合物を合成し、そして、
本発明の方法で、上記スルファミドと、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化合物とから、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、アセチルチオ基およびスルファモイル−tert−ブトキシカルボキサミドメチル基を含むヘテロ環化合物を合成すること、ならびに
脱保護反応、
を包含する。
本発明の方法によって、クロロスルホニルイソシアナートからBocスルファミドを合成し、
本発明の方法によって、PPR
で示される化合物を製造する方法を提供する。この方法は、以下の工程:
4−ニトロベンジル(1R,5R,6S)−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−2−オキソ−カルバペネム−3−カルボキシレートとジフェニルホスホクロリデートとを反応させて、以下の化合物:ELP−PNB
PPR
本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、単独または併用のいずれの場合も、当該分野において通常用いられる意味において使用される。
(略語)
以下、本明細書において使用される略語を説明する。
BSA(Bocスルファミド):N−tert−ブトキシカルボニルスルファミド
PPR(PNZプロリン):(2S,4R)−4−ヒドロキシ−1−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボン酸
PLM(ピロリジンメシレート):4−ニトロベンジル(2S,4R)−2−ヒドロキシメチル−4−メチルスルホニルオキシピロリジン−1−カルボキシラート
R−PPR:(2S,4R)−4−ヒドロキシ−1−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボン酸エステル
PNC−Ms:(2S,4R)−4−メチルスルホニルオキシ−1−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボン酸エステル
PRE:(2S,4R)−4−メチルスルホニルオキシ−1−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボン酸炭酸アルキル
ATP(アセチルチオピロリジン):4−ニトロベンジル(2S,4S)−4−アセチルチオ−2−ヒドロキシメチルピロリジン−1−カルボキシラート
ATS(アセチルチオスルファミド):4−ニトロベンジル(2S,4S)−4−アセチルチオ−2−(N−スルファモイル−tert−ブトキシカルボキサミドメチル)ピロリジン−1−カルボキシラート
SPL(チオールピロリジン):4−ニトロベンジル(2S,4S)−4−メルカプト−2−スルファモイルアミノメチルピロリジン−1−カルボキシラート
TCE(チオピロリジンカルバペネムエステル):4−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−3−[[(3S,5S)−1−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)−5−(スルファモイルアミノメチル)ピロリジン−3−イル]チオ]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシラート
(定義)
「ピロリジルチオカルバペネム誘導体」とは、カルバペネム系化合物の2位(ただし、IUPAC命名法に従えば、3位である)がピロリジルチオ基で置換された構造
、医薬、食品、動植物薬、高分子化学、立体異性体アルコール化合物の製薬上有用な化合物として知られている。そのような有用な化合物としては、ベータラクタム抗菌剤の他、解熱剤、鎮痛剤(A.Giraldesら、Eur.J.Med.Chem.(1989)24、497)、甘味料(J.Org.Chem.(1989)、54、4471)、睡眠剤(B.Unterhaltら、Arch.Phamr.(Weinheim)1988、321、375)、抗痙攣剤(C.H.Leeら、J.Pharm.Sci.1990,79,716)などが挙げられる。
(Boc)SO2NH2で表される基をいう。
整数である)。アルキルは、直鎖または分枝鎖であり得、環状または非環状であり得る。本明細書において「置換されたアルキル」とは、アルキルのHが置換されたアルキルをいう。これらの具体例は、C1〜C2アルキル、C1〜C3アルキル、C1〜C4アルキル、C1〜C5アルキル、C1〜C6アルキル、C1〜C7アルキル、C1〜C8アルキル、C1〜C9アルキル、C1〜C10アルキル、C1〜C11アルキルまたはC1〜C12アルキル、C1〜C2置換されたアルキル、C1〜C3置換されたアルキル、C1〜C4置換されたアルキル、C1〜C5置換されたアルキル、C1〜C6置換されたアルキル、C1〜C7置換されたアルキル、C1〜C8置換されたアルキル、C1〜C9置換されたアルキル、C1〜C10置換されたアルキル、C1〜C11置換されたアルキルまたはC1〜C12置換されたアルキルであり得る。ここで、例えばC1〜C10アルキルとは、炭素原子を1〜10個有する直鎖または分枝状のアルキルを意味し、メチル(CH3−
)、エチル(C2H5−)、n−プロピル(CH3CH2CH2−)、イソプロピル((CH3)2CH−)、n−ブチル(CH3CH2CH2CH2−)、n−ペンチル(CH3CH2CH2CH2CH2−)、n−ヘキシル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2−)、n−ヘプチル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2−)、n−オクチル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−)、n−ノニル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−)、n−デシル(CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−)、−C(CH3)2CH2CH2CH(CH3)2、−CH2CH(CH3)2、シクロアルキルとしては、
シクロプロピル、シクロヘキシルなどなどが例示される。また、例えば、C1〜C10置換されたアルキルとは、C1〜C10アルキルであって、そのうち1または複数の水素原子が置換基により置換されているものをいう。
ド」、「DMF」とは、(CH3)2NCHOで表される化合物である。アセトニトリル/水の混合溶媒とは、アセトニトリルと水とが混和可能な任意の割合で混合している溶媒をいう。アセトニトリルと水の比率としては、好ましくは、10容:0.1容〜5容:5容が挙げられるがそれらに限定されない。ジメチルホルムアミド/トルエンの混合溶媒とは、ジメチルホルムアミドとトルエンとが混和可能な任意の割合で混合している溶媒をいう。ジメチルホルムアミドとトルエンの比率としては、好ましくは、10容:0容〜1容:10容の比が挙げられるがそれらに限定されない。ジメチルホルムアミド/酢酸エチルの混合溶媒とは、ジメチルホルアミドと酢酸エチルとが混和可能な任意の割合で混合している溶媒をいう。ジメチルホルムアミドと酢酸エチルの比率としては、好ましくは、10容:0容〜1容:10容の比が挙げられるがそれらに限定されない。
(A:液体アンモニア−法)(従来法)
酢酸エチル(626L)にt−ブチルアルコール(32.7kg)を加えて−40℃に冷却、これに−40±10℃でクロロスルホニルイソシアネート(62.5kg)を滴下した後、40分間攪拌した。反応液を−65℃に冷却し、−60±10℃で液体アンモニア(45.1kg)を滴下した後、15±10℃に昇温した。この反応液に22%硫酸水(約150kg)を加えてpH 9.5±1.0に調節し、水(約100kg)を加えて攪拌した後分液した。水層を酢酸エチル(230L)で洗浄した後、22%硫酸水(約170kg)を加えてpH 2.0±0.5に調節し、得られたBSAスラリーを7±3℃で1時間攪拌した後、結晶を濾過し、乾燥してBSA 78.35kgを得た(収率:90.4%)。
トルエン(387ml)にt−ブチルアルコール(20.95g)を加えて−0℃以下に冷却、−1〜−3℃でクロロスルホニルイソシアネート(40.0g)を滴下した後、20分間攪拌した。これに0〜−4℃でピリジン(49.2g)を滴下した後、40分間攪拌した。さらに0〜−4℃で25%アンモニア水(114g)を滴下、さらに水(32g)を加えて−1〜3℃で2.5時間攪拌した後氷冷下1晩放置した。この反応液を分液し、水層はトルエン(150ml)で洗浄、各トルエン層は水(128ml)で再抽出した後水層を合わせた。この水層に22%硫酸水(271g)を加えてpH 2に調節し、得られたBSAスラリーを5℃で30分攪拌した後、結晶を濾過、乾燥してBSA 53.37gを得た(収率:96.2%)。
(スキーム2)
(実施例2:(2S,4R)−4−ヒドロキシ−1−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボン酸(PNZ−プロリン、PPR)の合成法)
水(600ml)に水酸化ナトリウム(53.69g)を溶解させた後氷冷し、これにL−ヒドロキシプロリン(80.0g)を加えて溶解させ、PNZ−Cl(144.69g)のトルエン(160ml)溶液を2〜6℃で滴下した後2℃で1時間攪拌した。反応液にトルエン(240ml)を加えて分液、水層はトルエン(120ml)で洗浄、各トルエン層は0.2%水酸化ナトリウム水溶液(200ml)で再抽出した。水層を合わせ、酢酸エチル(800ml)および36%塩酸(80.33g)を加えて抽出、酢酸エチル層は食塩水(240ml)で2回洗浄、各水層は酢酸エチル(200ml)で再抽出した。酢酸エチル層を合併、濃縮と酢酸エチル(800ml)追加を3回繰り返して脱水した。得られた濃縮液(400g)にトルエン(270ml)を加えて氷冷下1時間晶析後、結晶を濾過、乾燥してPPR 176.15gを得た(収率:93.1%、融点133〜135℃)。
(A:ジクロロメタン法(従来法))
ジクロロメタン(248L)にPNZ−プロリン(31.0kg)を加えた後−5±5℃に冷却し、クロロ炭酸エチル(11.9kg)を加え、さらに同温度でトリエチルアミン(12.1kg)を滴下後25分攪拌した。次に−45±5℃に冷却し、同温度で塩化メタンスルホニル(12.6kg)およびトリエチルアミン(12.1kg)を滴下した後35分攪拌した。次に−45±5℃でイソプロピルアルコール(78kg)を滴下、さらに同温度で水素化ホウ素ナトリウム(5.7kg)の水(23kg)溶液を滴下した後35分攪拌した。次に反応液を2.4%塩酸水溶液(234kg)に加えて分液、ジクロロメタン層は2%炭酸水素ナトリウム水溶液、3%食塩水の順に洗浄、各水層はジクロロメタン(31L)で再抽出した。ジクロロメタン層を合わせ、50Lまで濃縮した後、酢酸エチル(250L)を加えて110Lまで濃縮した。次にヘキサン(62L)を加え、3℃で1時間晶析熟成した後、結晶を濾過、乾燥してPLM 34.9kgを得た(収率:93.3%)。
酢酸エチル(40ml)にPNZ−プロリン(5.00g)およびトリブチルアミン(3.58g)を加えた後−35±5℃に冷却し、これに同温度でクロロ炭酸エチル(1.92g)を滴下後1時間攪拌した。次に−45±5℃に冷却し、同温度で塩化メタンスルホニル(2.27g)およびトリエチルアミン(2.61g)を滴下した後1.5時間攪拌した。次に−45±5℃でイソプロピルアルコール(16ml)を滴下、さらに同温度で水素化ホウ素ナトリウム(0.91g)の水(3.6ml)溶液を滴下した後30分攪拌した。次に反応液を3.3%硫酸水溶液(42g)に加えて分液、酢酸エチル層は3.3%硫酸水溶液、2%炭酸水素ナトリウム水溶液、3%食塩水の順に洗浄、各水層は酢酸エチル(10ml)で再抽出した。酢酸エチル層を合わせ濃縮した後、トルエン(5ml)を加え、氷冷下1時間晶析熟成した後、結晶を濾過し、乾燥してPLM 2.54gを得た(収率:84.2%、融点100〜102℃)。
(スキーム3)
(実施例4:4−ニトロベンジル(2S,4R)−2−ヒドロキシメチル−4−メチルスルホニルオキシピロリジン−1−カルボキシラート(ピロリジンメシレート、PLM)の合成法−メチルエステル経由法(低温反応回避))
(メチル(2S,4R)−4−ヒドロキシ−1−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン−2−カルボキシラート(メチルエステル体(1))の合成法)
メタノール(124ml)にPNZ−プロリン(31.03g)を加えた後、約20℃で塩化チオニル(7.99ml)を滴下し、同温度で3時間攪拌した。次に反応液を7%炭酸水素ナトリウム水溶液(540ml)に流入し、トルエン(124ml)および酢酸エチル(500ml)で抽出した。有機層は水(200ml)2回、飽和食塩水(200ml)の順に洗浄後硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒留去することによりメチルエステル体(1)を淡黄褐色油状物として35.06g得た(収率:100%)。
メチルエステル体(1)(35.06g)を酢酸エチル(350ml)に溶解させ、−10℃に冷却した。つぎに−10〜−5℃で塩化メタンスルホニル(10.06ml)およびトリエチルアミン(17.84ml)を滴下後−5±5℃で1時間攪拌した。反応液を1.4%硫酸水(170ml)に流入して抽出、有機層は水(170ml)、1%炭酸水素ナトリウム水溶液(170ml)、飽和食塩水(170ml)の順に洗浄、各水層は酢酸エチル(170ml)で再抽出した。有機層を合併、硫酸マグネシウムで乾燥した後溶媒を留去し、得られたスラリーにトルエン(150ml)を加えて晶析後濾過し、乾燥してMPRMを白色結晶として36.92g得た(収率:91.8%(PPRを基準とする))。
MPRM(1.5g)を酢酸エチル(12ml)に溶解させ、NaBH4(0.28g
)を加え、さらに7〜10℃でメタノール(0.92ml)を滴下した後5〜10℃で6.5時間攪拌した。反応液を2%硫酸水(12.3ml)に流入して抽出、有機層は1%炭酸水素ナトリウム水溶液(12ml)、水(12ml)2回の順に洗浄、各水層は酢酸エチル(10ml)で再抽出した。有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒留去し、これにトルエン(4ml)を加えて晶析後濾過し、乾燥してPLMを結晶として1.31g得た(収率:94.1%)。
(スキーム4)
この結晶について、理学電機株式会社製RINT1100を用いて以下の条件で粉末X線回折構造解析を行ったところ、図1のようなピークを示す結果を得た。管球:Cu、管電圧:40kV、管電流:40mA、ゴニオメータ:広角ゴニオメータ、サンプリング角度0.020°、スキャンスピード:2.00°/分、走査軸:2θ/θ、オフセット角度:0.000°、アタッチメント:標準試料ホルダー、モノクロメータ:使用、モノクロ受光スリット:0.60mm、発散スリット:1°、散乱スリット:1°、および受光スリット:0.15mm。
(実施例5:4−ニトロベンジル(2S,4S)−4−アセチルチオ−2−ヒドロキシメチルピロリジン−1−カルボキシラート(アセチルチオピロリジン、ATP)の合成法)(A:DMF−トルエン溶媒)
PLM(40.0kg)にチオ酢酸カリウム(16.0kg)、ジメチルホルムアミド(75kg)およびトルエン(104kg)を加えてスラリー化した後、65±5℃に昇温し、4時間攪拌した。反応終了後酢酸エチル(540kg)と水(300kg)で抽出、有機層は5%食塩水(200kg)で2回洗浄、各水層は酢酸エチル(110kg)で再抽出した。酢酸エチル層を合わせ、290Lまで濃縮した後、トルエン(300kg)を加えて290Lまで濃縮した。得られたスラリーを25±10℃で1晩晶析熟成した後、結晶を濾過し、乾燥してATP 27.9kgを得た(収率:73.7%、融点130〜132℃)。
(B:CH3CN−水溶媒)
PLM(7.5g)にチオ酢酸カリウム(4.60g)、アセトニトリル(22.5ml)および水(1.5ml)を加えた後、65℃に昇温し、10時間攪拌した。反応終了後酢酸エチル(113ml)と水(30ml)で抽出、有機層は5%食塩水(37.5ml)で2回洗浄、各水層は酢酸エチル(52.5ml)で再抽出した。酢酸エチル層を合わせ、HPLCで定量したところ、ATPが5.59g生成していた(生成率:80.7%)。
(スキーム5)
(実施例6:4−ニトロベンジル(2S,4S)−4−アセチルチオ−2−(N−スルファモイル−tert−ブトキシカルボキサミドメチル)ピロリジン−1−カルボキシラート(アセチルチオスルファミド、ATS)の合成法)
ATP(100.0g)にトリフェニルホスフィン(90.2g)、BSA(83.0g)および酢酸エチル(2.4L)を加えてスラリー化した後、20℃以下でジイソプロピルアゾジカルボン酸(DIAD)(68.3g)を滴下した。18〜21℃で2時間攪拌した後濃縮、メタノール(0.5L)を加えて濃縮、再度メタノール(0.5L)を加えて濃縮した後メタノールで液量を700gに調整した。この溶液を65℃に加熱し水(75g)を加えた後、50℃で2時間攪拌して晶析、さらに室温で1晩放置後、結晶を濾過し、乾燥してATS 121.68gを得た(収率:81.0%、融点133〜136℃:IR(KBr) 3361,3226,2978,1708,1692,1523,1381,1336,1187,1149 cm-1;1H−NMR(CDCl3)δ 1.48(s,9H),1.57−1.61(ddd,1H,J=14.1Hz,J=5.4Hz,J=3.6Hz),2.35(s,3H),2.59(dt,1H,J=14.1Hz,J=8.6Hz),3.27(dd,1H,J=12.1Hz,J=6.5Hz),3.62(dd,1H,J=14.9Hz,J=2.7Hz),3.96(m,1H),4.02(dd,1H,J=14.9Hz,J=8.5Hz),4.27(dd,1H,J=12.1Hz,J=7.8Hz),4.55(m,1H),5.18(ABq,2H,J=13.4Hz),5.86(br,2H),7.49(A2B2,2H,J=8.7Hz),8.24(A2B2,2H,J=8.7Hz);13C−NMR(CDCl3)δ
28.09,30.51,34.46,39.15,49.93,52.17,56.72,66.11,84.15,123.91,128.19,143.10,147.81,151.81,155.10,194.85;FABMS m/z 533 [M+H]+,555 [M+Na]+)。
(スキーム6)
この結晶について、RINT1100を用いて実施例4に記載のものと同一の条件で粉末X線回折構造解析を行ったところ、図5のようなピークを示す結果を得た。上段は、粉末X線回折解析の生データを示し、下段は各ピークの位置および大きさを示す。さらに、各ピークについて数値化したものを図6に示す。
(実施例7:4−ニトロベンジル(2S,4S)−4−メルカプト−2−スルファモイルアミノメチルピロリジン−1−カルボキシラート(チオールピロリジン、SPL)の合成法)
(1)
アセチルチオスルファミド(18.3kg)にメタノール(72.3kg)およびメタンスルホン酸(1.65kg)を加えて65±5℃で7.7時間攪拌した。反応液を25℃以下に冷却した後、減圧下、溶媒留去して約50Lまで濃縮した。濃縮液を酢酸エチル(125kg)と水(136kg)の混合液に流入して抽出、有機層は5%食塩水(94kg)で3回洗浄、各水層は酢酸エチル(55kg)で再抽出し、有機層を合併した。この有機層を減圧下、溶媒留去して約34kgまで濃縮し、さらに酢酸エチル(98kg)を加えて減圧下、再び溶媒留去して約34kgまで濃縮してSPL/酢酸エチル溶液を得た。
スキーム7
(2)
アセチルチオスルファミド(134.4g)にメタノール(672ml)および98%硫酸(63.2g)を加えて65±5℃で2時間攪拌した後、減圧下、溶媒留去した。濃縮液を酢酸エチル(1067ml)と水(933ml)の混合液に流入して抽出、有機層は5%食塩水(700ml)で3回洗浄、各水層は酢酸エチル(400ml)で再抽出し、有機層を合併した。この有機層を減圧下、溶媒留去、さらに酢酸エチル(800ml)を加えて減圧下、再び溶媒留去してSPL/酢酸エチル溶液280gを得た。
(1)4−ニトロベンジル(4R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−4−メチル−3−[[(3S,5S)−1−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)−5−(スルファモイルアミノメチル)ピロリジン−3−イル]チオ]−7−オキソ−1−アザビシクロ[3.2.0]ヘプト−2−エン−2−カルボキシラート(チオピロリジンカルバペネムエステル、TCE)の合成法
(抽出法)
SPL/酢酸エチル溶液(280g)にエノールホスフェート(120.0g)、ジメチルホルムアミド(600ml)を加えて氷冷し、さらにジイソプロピルエチルアミン(36.4g)を加えて5℃以下で1晩反応させた。この反応液を酢酸エチル(900ml)と水(900ml)の混合液に流入して抽出、有機層は0.7%塩酸水(612g)、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(252g)、5%食塩水(360g×2回)の順に洗浄、各水層は酢酸エチル(400ml)で再抽出し、有機層を合併した。この有機層を減圧下、溶媒留去して740gまで濃縮した後、メタノール(222.5ml)とTCE種晶を加えて25℃で65分間晶析、さらにメタノール(1157ml)を加えて室温下、60分間晶析した。得られた結晶を濾過し、乾燥してTCE 142.18gを得た(収率:95.9%)。
SPL/酢酸エチル溶液(11.7g、ATS 5.60g相当)にエノールホスフェート(5.0g)、アセトニトリル(20ml)を加えて氷冷し、さらにジイソプロピルエチルアミン(1.52g)を加えて5℃以下で1晩反応させた。この反応液に、2℃以下を維持しながらメタノール(60ml)とTCE種晶を加えて0〜2℃で1時間晶析した後、結晶を濾過し、乾燥してTCE 4.42gを得た(収率:71.5%)。
TCE(10.0kg)にテトラヒドロフラン(60L)を加えて溶解させ、これにイオン交換水(40kg)、10%Pd−C(5.0kg)および塩化マグネシウム・6水和物(1.4kg)を加えた後、水素ガスを導入して0.5MPaに加圧下、26〜38℃で2時間攪拌した。反応液を濾過し、Pd−Cをテトラヒドロフラン(18L)−イオン交換水(12L)の混合液で洗浄してろ液に合併、これに塩化マグネシウム・6水和物(0.7kg)を加えて溶解させ、さらにテトラヒドロフラン(300L)を加えて26±2℃で下層を分液した。得られた下層を0±5℃に冷却した後、メタノール(40L)と化合物Aの種晶(10g)を加えて化合物Aを晶析させた。一方、分液後の上層に塩化マグネシウム・6水和物(0.7kg)を加えて下層を分液する操作をさらに2回繰り返し、得られた下層は順次、化合物Aのスラリーに合併した。これにさらにメタノール(75L)を流入し、0±5℃で1時間、さらに−10±5℃で1時間晶析熟成させた後、結晶を濾過、乾燥して粗化合物A 3.84kgを得た(収率:67.1%)。
イオン交換水(66.0kg)に粗化合物A(3.30kg)を加えて約55℃に加温溶解し、50℃以上を維持しながらこの溶液を活性炭素(0.10kg)でプレコートした濾過機、0.2μのメンブレンフィルター、限外濾過膜および無菌濾過フィルターの順に通して濾過した。濾過液を24〜18℃に冷却後、30分攪拌して結晶を析出させ、さらに2±3℃に冷却して2時間熟成した。これに無菌濾過フィルターで濾過したイソプロピルアルコール(26.1kg)を1時間20分かけて流入後、−3〜−7℃で4時間、さらに−10〜−13℃で1晩晶析熟成した後、結晶をろ取した。得られた結晶はイソプロピルアルコール(4.17kg)とイオン交換水(1.32kg)を混合し、無菌濾過フィルターで濾過した80%イソプロピルアルコール水で洗浄後、60℃で18時間減圧乾燥して化合物A 2.89kgを得た(収率87.5%)。
スキーム8
して約2.5gまで濃縮してTCE/酢酸エチル溶液を得た。この溶液を0℃に冷却し、ジメチルホルムアミド(2ml)およびメタノール(10ml)を加(実施例9:アモルファスTCEの合成)
(1)4−ニトロベンジル(2S,4S)−4−メルカプト−2−スルファモイルアミノエチルピロリジン−1−カルボキシレート(チオールピロリジン、SPL)の合成
アセチルチオスルファミド(33.6kg)にメタノール(140.0kg)および98%精製硫酸(15.8kg)を加えて65±5℃で2.0±0.5時間攪拌した。反応液を減圧下、溶媒留去して約110Lにまで濃縮した。濃縮液を酢酸エチル(225kg)と水(250kg)との混合液に流入して抽出し、有機層を5%食塩水(175kg)で3回洗浄、各水層を酢酸エチル(90kg)で再抽出し、有機層を合併した。この有機層を減圧下、溶媒留去して約70kgまで濃縮し、さらに酢酸エチル(180kg)を加えて減圧下、再び溶媒留去して約70kgまで濃縮してSPL/酢酸エチル溶液を得た。
SPL/酢酸エチル溶液(約70kg)にエノールホスフェート(30.0kg)、ジメチルホルムアミド(143kg)を加えて0±5℃に冷却し、さらにジイソプロピルエチルアミン(9.1kg)を加えて0±5℃で18±4時間攪拌した。この反応液に酢酸エチル(200kg)および水(225kg)を流入して抽出し、有機層を0.7%塩酸水(153kg)、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(63kg)、5%食塩水(90kg×2回)の順に洗浄、各水層を酢酸エチル(90kg)で再抽出し、有機層を合併した。この有機層を減圧下、溶媒留去して約104Lまで濃縮し、さらに酢酸エチル(180kg)を加えて減圧下、溶媒留去して約104Lまで濃縮し、さらに酢酸エチル(180kg)を加えて減圧下、溶媒留去して約155Lにまで濃縮した。このTCE/酢酸エチル溶液をトルエン(365kg)に約30分かけて流入し、得られたTCEスラリーをろ過、乾燥してTCEを淡黄色粉末として36.6kg得た(収率:98.7%)。
(ELP−PNBを単離しないTCEの合成)
(1)4−ニトロベンジル(2S,4S)−4−メルカプト−2−スルファモイルアミノメチルピロリジン−1−カルボキシレート(チオールピロリジン、SPL)の合成法
アセチルチオスルファミド(1.08g)にメタノール(5.4ml)および濃硫酸(0.20g)を加えて65±5℃で7時間攪拌した。反応液を25℃以下に冷却した後、酢酸エチル(8.2ml)と水(8ml)の混合液に流入して抽出、有機層は5%食塩水(5.5ml)で3回洗浄、各水層は酢酸エチル(3.3ml)で再抽出し、有機層を合併した。この有機層を減圧下、溶媒留去した後、さらに酢酸エチル(5ml)を加えて減圧下、再び溶媒留去して約2.2gまで濃縮してSPL/酢酸エチル溶液を得た。
(A)アセトニトリル法
ケトン体(609mg)にアセトニトリル(2.4ml)を加えて−30℃に冷却し、ジフェニルホスホロクロリデート(0.43g)およびジイソプロピルエチルアミン(0.22g)を加え、0℃で2時間攪拌した後、ジメチルホルムアミド(3ml)およびSPL/酢酸エチル溶液(約2.2g)、ジイソプロピルエチルアミン(0.26g)を加えて5℃以下で16時間攪拌した。反応液は酢酸エチル(13ml)と5%食塩水(6.1ml)の混合液に流入して分液し、有機層は5%食塩水(6.1ml)で2回洗浄、各水層は酢酸エチル(13ml)で再抽出し、有機層を合併した。この有機層を減圧下、溶媒留去した後、さらに酢酸エチル(6ml)を加えて減圧下、再び溶媒留去して約2.5gまで濃縮してTCE/酢酸エチル溶液を得た。この溶液を0℃に冷却し、ジメチルホルムアミド(2ml)およびメタノール(15ml)を加えた後、TCE種晶(10mg)を加え、0±5℃で1時間、−10±5℃で4時間晶析した後、結晶をろ過、乾燥してTCE 807mgを得た(収率:70.5%)。
ケトン体(609mg)にジメチルホルムアミド(3ml)を加えて−30℃に冷却し、ジフェニルホスホロクロリデート(0.43g)およびジイソプロピルエチルアミン(0.22g)を加え、0℃で2時間攪拌した後、SPL/酢酸エチル溶液(約2.2g)と混合し、さらにジイソプロピルエチルアミン(0.26g)を加えて5℃以下で16時間攪拌した。反応液は酢酸エチル(13ml)と水(6.1ml)の混合液に流入して分液し、有機層は5%食塩水(6.1ml)で2回洗浄、各水層は酢酸エチル(13ml)で再抽出し、有機層を合併した。この有機層を減圧下、溶媒留去した後、さらに酢酸エチル(6ml)を加えて減圧下、再び溶媒留去えた後、TCE種晶(10mg)を加え、0±5℃で1時間、−10±5℃で3時間晶析した後、結晶をろ過、乾燥してTCE 910mgを得た(収率:73.7%)。
スキーム9
(実施例11:アセチルチオピロリジン(ATP)の合成法)
(MPRM(メシル体(2))の直接合成法)
A)塩化チオニル法
メタノール(50ml)にL−ヒドロキシプロリン(10.0g)を加えて冷却し、塩化チオニル(9.98g)を0〜10℃で滴下した後、40℃で2時間攪拌した。反応液を冷却後、48%水酸化ナトリウム水溶液(6.99g)を0〜10℃で滴下した。冷水道水(30ml)を加えて冷却し、炭酸カリウム(15.81g)を0〜20℃で発泡に注意しながら加えた。再び冷却後、53%PNZ−Clトルエン溶液(31.02g)を0〜5℃で滴下し、0〜5℃で1時間攪拌した。反応液を濃縮後、酢酸エチル(100ml)、水道水(60ml)を加えて分液し、有機層を濃縮した。濃縮液にトルエン(100ml)を加えて濃縮した後、再度トルエン(100ml)を加え、10〜20℃でトリエチルアミン(9.26g)を加えた。塩化メタンスルホニル(9.61g)を12〜32℃で滴下した後、水道水(60ml)を加えて晶析後、ろ過、乾燥してMPRMを結晶として27.8g得た(収率:90.6%)。
B)オキシ塩化リン法
メタノール(50ml)にL−ヒドロキシプロリン(10.0g)を加えて冷却し、オキシ塩化リン(5.85g)を0〜20℃で滴下した後60℃で2時間攪拌した。反応液を冷却後、48%水酸化ナトリウム水溶液(3.18g)を0〜10℃で滴下した。冷水道水(40ml)を加えて冷却し、炭酸カリウム(15.81g)を0〜20℃で発泡に注意しながら加えた。再び冷却後、53%PNZ−Clトルエン溶液(31.02g)を0〜5℃で滴下し、0〜5℃で1時間攪拌した。反応液を濃縮後、酢酸エチル(100ml)、水道水(50ml)を加えて分液し、有機層を濃縮した。濃縮液にトルエン(100ml)を加えて濃縮した後、再度トルエン(100ml)を加え、10〜20℃でトリエチルアミン(9.26g)を加えた。塩化メタンスルホニル(9.61g)を10〜30℃で滴下した後、水道水(60ml)を加えて晶析後、ろ過、乾燥してMPRMを結晶として26.1g得た(収率:85.0%)。
C)塩酸ガス法
12.5%メタノール−塩酸ガス溶液(38.9g)にL−ヒドロキシプロリン(5.0g)を0〜20℃で加え、室温(25±5℃)で3時間攪拌した。反応液を冷却後、48%水酸化ナトリウム水溶液(7.33g)を0〜10℃で滴下した。約30mlまで濃縮後、冷水道水(40ml)を加えて冷却し、炭酸カリウム(8.43g)を0〜20℃で発泡に注意しながら加えた。再び冷却後、53%PNZ−Clトルエン溶液(31.02g)を0〜5℃で滴下し、0〜5℃で1時間攪拌した。反応液を濃縮後、酢酸エチル(50ml)、水道水(30ml)を加えて分液し、有機層を濃縮した。濃縮液にトルエン(50ml)を加えて濃縮した後、再度トルエン(50ml)を加え、10〜20℃でトリエチルアミン(4.63g)を加えた。塩化メタンスルホニル(4.80g)を10〜30℃で滴下した後、水道水(30ml)を加えて晶析後、ろ過、乾燥してMPRMを結晶として13.2g得た(収率:85.9%)。
D)合成塩酸(35%塩酸)法
メタノール(50ml)にL−ヒドロキシプロリン(10.0g)を加え、合成塩酸(10.8g)を流入し60℃で8時間攪拌後、室温(25±5℃)で一晩(約15時間)放置した。反応液を冷却後、48%水酸化ナトリウム水溶液(3.14g)を0〜10℃で滴下した。冷水道水(30ml)を加えて冷却し、炭酸カリウム(15.81g)を0〜20℃で発泡に注意しながら加えた。再び冷却後、53%PNZ−Clトルエン溶液(31.02g)を0〜5℃で滴下し、0〜5℃で1時間攪拌した。反応液を濃縮後、酢酸エチル(100ml)、水道水(60ml)を加えて分液した。(有機層定量生成率:95%)
(スキーム10)
(アセチルチオピロリジン(ATP)の合成法)
A)ATP抽出省略法
メシル体(2)(27.55g)に酢酸エチル(120ml)およびメタノール(16.5ml)を加え、34℃に加温して溶解させた後冷却した。0〜5℃でNaBH4(1
3.2g)を2時間かけて加え、さらに0〜5℃で3時間攪拌した。反応液を5%硫酸水(138ml)に流入して抽出、有機層を5%食塩水(55ml)で2回洗浄した後、濃縮した。濃縮液ににチオ酢酸カリウム(10.17g)、ジメチルホルムアミド(50ml)および酢酸エチル(66ml)を加えた後、65±5℃に昇温し、8時間攪拌した。反応液を30℃以下に冷却し、水道水(44ml)および5%硫酸水溶液(11ml)を加え、溶媒留去して晶析後、ろ過、乾燥してATPを結晶として18.4g得た(収率:75.8%)。
メシル体(2)(5.00g)に酢酸エチル(20ml)およびメタノール(3ml)を加え、36℃に加温して溶解させた後冷却した。0〜5℃でNaBH4(0.94g)
の酢酸エチル(5ml)懸濁液を2時間かけて加え、さらに0〜5℃で4時間攪拌した。反応液を5%硫酸水(25ml)に流入して抽出、有機層を水道水(5ml)で2回洗浄した後、濃縮した。濃縮液ににチオ酢酸カリウム(1.84g)、ジメチルホルムアミド(9ml)および酢酸エチル(13.5ml)を加えた後、65±5℃に昇温し、10時間攪拌した。反応液を30℃以下に冷却し、水道水(9ml)および酢酸エチル(9ml)を加えて抽出、有機層は1%硫酸水溶液(9ml)、水道水(9ml)の順に洗浄、各水層は酢酸エチル(4.5ml)で再抽出した。酢酸エチル層を合併し、濃縮した後、トルエン(25ml)を加えて濃縮した。得られたスラリーを晶析後ろ過、乾燥してATPを結晶として3.35g得た(収率:76.1%)。
(スキーム11)
(実施例12:アセチルチオスルファミド(ATS)の合成法)
ATP(10.0g)にトリフェニルホスフィン(9.03g)、BSA(7.48g)および酢酸エチル(60mL)を加えてスラリー化した後、20℃以下でジイソプロピルアゾジカルボン酸(DIAD)(68.3g)/酢酸エチル(10mL)を1時間で滴下した。18〜21℃で7時間攪拌した後46.6gまで濃縮、イソプロピルアルコール(IPA)(50mL)を加えて48.5gまで濃縮、再度IPA(50mL)を加えて48.2gまで濃縮した。再度IPA(50mL)を加え66.7gまで濃縮した。この溶液を65℃に加熱し水(7.5g)を加えた後、50℃で2時間攪拌して晶析、次に50℃から25℃まで2.5 時間かけて徐冷晶析、最後に25℃で2時間攪拌して結晶をろ過、乾燥してATS 11.05gを得た(収率:73.5%)。
水(50ml)に炭酸カリウム(18.97g)を溶解させた後氷冷し、これにL−ヒドロキシプロリン(10.0g)を加えて溶解させ、53%PNZ−Clトルエン溶液(31.02g)を2〜8℃で滴下した後2℃で1時間攪拌した。反応液からトルエン層を分液後、水層に36%塩酸を15.40g加え10℃で30分攪拌した。晶析を確認後、36%塩酸4.60gを加え5℃で1時間攪拌した後、結晶をろ過、乾燥してPPR1水和物 23.76gを得た(収率:94.9%)。
(スキーム12)
(実施例14:メシルプロリンメチルエステル(MPRM)の合成(直接晶析法))
PPR1水和物(10.00g)をメタノール(50ml)に溶解させた後、濃硫酸(598mg)を加えた。60℃に加温後7時間攪拌した。10℃以下に冷却してpH約5まで中和した後、16.6gまで濃縮した。酢酸エチル(50ml)、10%NaCl(50ml)に反応液を加え分液操作により水層を除去後、酢酸エチル層を20.7gまで減圧濃縮した。トルエンに溶媒置換した後、トリエチルアミン(3.70g)を10℃以下で加えた。25℃に温調後、塩化メタンスルホニル(3.83g)を10分間で滴下した後、水を加えて晶析後、ろ過、乾燥してMPRMを結晶として11.23g得た(収率91.6%)。
(スキーム13)
(実施例15:アセチルチオピロリジン、ATP)の合成法(MPRM非単離法)
PPR1水和物(10.00g)をメタノール(50ml)に溶解させた後、濃硫酸(598mg)を加えた。60℃に加温後7時間攪拌した。10℃以下に冷却してpH約5まで中和した後、17.8gまで濃縮した。酢酸エチル(50ml)、10%NaCl(50ml)に反応液を加え分液操作により水層を除去後、酢酸エチル層を脱水濃縮した。PNZ−プロリンメチルエステル(PPRM)酢酸エチル溶液を氷冷した後、塩化メタンスルホニル(3.83g)、トリエチルアミン(3.70g)を加えた。反応終了後、酸洗浄、水洗を行い酢酸エチル層を脱水濃縮した。濃縮液(14.5g)に酢酸エチル(48ml)、メタノール(7.5ml)を加え、氷冷後、NaBH4を30分間隔で5分割
(計2.31g)して加えた。1時間攪拌後、5%硫酸洗浄、水洗を行い酢酸エチル層を減圧濃縮(11.8g)した。濃縮液にDMF(23ml)、酢酸エチル(34ml)、AcSK(4.52g)を加え65℃に加温して7時間熟成した。40℃以下に冷却後、1%硫酸(24ml)を加え減圧濃縮(60.0gまで)を行った。室温に冷却後、1.5時間晶析を行い、ATPを7.62g得た。
Claims (2)
- 以下の4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、アセチルチオ基およびヒドロキシメチル基を含むヘテロ環化合物ATP
(式中、Acはアセチルであり、PNZは、4−ニトロベンジルオキシカルボニルである)と、Bocスルファミドとを、酢酸エチル中で、トリフェニルホスフィンおよびジイソプロピルアゾジカルボン酸存在下で反応させて、4−ニトロベンジルオキシカルボニル置換された、アセチルチオ基およびスルファモイル−tert−ブトキシカルボキサミドメチル基を含むヘテロ環化合物ATS
(式中、AcおよびPNZは前記と同義であり、Bocは、tert−ブトキシカルボニルである)を得る工程、
を包含する、粉末X線回折解析において、2θ値が6.920±0.100、7.000±0.100、11.700±0.100および20.140±0.100に主なピークを示す、ATS
- 前記ヘテロ環化合物ATPとBocスルファミドとの反応後、アルコールを加える工程を包含する、請求項1に記載の製造方法。
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