JP2003020301A - 低アレルギー性天然ゴムラテックスの製造方法 - Google Patents

低アレルギー性天然ゴムラテックスの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アレルギー性を示すタンパク質や酵素などを
実質的に含有しないため、アレルギーを誘発するおそれ
が極めて低い低アレルギー性天然ゴムラテックスを製造
する方法を提供する。 【解決手段】 あらかじめ脱タンパク処理した天然ゴム
ラテックスに、苛性アルカリを加えてケン化処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アレルギーを誘
発するおそれを殆ど有しない低アレルギー性天然ゴムラ
テックスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】天然ゴムは伸びが大きい、弾性が高い、
皮膜の強さが良好である等の特徴を有することから、手
袋等の家庭用品、手術用手袋や各種カテーテル等の医療
用具、授乳用具、避妊具等に幅広く利用されている。し
かし、手術用手袋やカテーテル等の医療用具として天然
ゴム製のものを使用すると、呼吸困難やアナフィラキシ
ー様症状(血管性浮腫、じんましん、チアノーゼ等)な
どの即時型(I型)アレルギーを引き起こす場合のある
ことが報告されている。かかる即時型アレルギーは、天
然ゴムに含まれるタンパク質が抗原となって誘発される
と推測されている。
【0003】そこで、天然ゴム中のタンパク質を高度に
除去することが試みられており、例えば特許第2905
005号公報には、天然ゴムラテックス中にアルカリプ
ロテアーゼ等のタンパク分解酵素と、界面活性剤とを加
えてタンパク分解処理を施し、次いで遠心分離処理等に
よってラテックスを十分に洗浄する方法が提案されてい
る。上記特許公報に記載の方法によれば、天然ゴム中の
タンパク質を高いレベルで分解、除去することができ
る。具体的には、天然ゴムに含まれるタンパク質の量
を、ケルダール法(Kjeldahl's method)による窒素含
有量(N%)で表したときに、0.10%以下の極めて
低い値とすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記特許公
報に記載の方法をはじめとする従来公知の種々の脱タン
パク処理を行った場合であっても、依然として、天然ゴ
ムラテックスは僅かにアレルギー性を示すおそれのある
ことが、最近の研究により明らかとなった。この原因と
しては、天然ゴムラテックス中に、ごく微量ではあるも
ののタンパク質が残存しており、このタンパク質がアレ
ルギー性を示すことに加えて、脱タンパクに使用し、天
然ゴムラテックス中に残存している酵素が、やはり若干
のアレルギー性を示すことが判っている。
【0005】この発明の目的は、アレルギー性を示すタ
ンパク質や酵素などを実質的に含有しないため、アレル
ギーを誘発するおそれが極めて低い低アレルギー性天然
ゴムラテックスを製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】請求項
1記載の発明は、あらかじめ脱タンパク処理した天然ゴ
ムラテックスに、苛性アルカリを加えてケン化処理する
ことを特徴とする低アレルギー性天然ゴムラテックスの
製造方法である。請求項1の構成では、例えば酵素を加
えるなどしてあらかじめ脱タンパク処理した天然ゴム
に、さらに苛性アルカリを加えてケン化処理することに
よって、天然ゴムラテックス中に残存していた微量のタ
ンパク質を分解、除去することができる。またそれとと
もに酵素をも、分解除去することができる。したがっ
て、アレルギー性を示すタンパク質や酵素などを実質的
に含有しないためアレルギーを誘発するおそれが極めて
低い、低アレルギー性天然ゴムラテックスを製造するこ
とが可能となる。
【0007】なお前記公報の従来技術には、天然ゴムラ
テックスにアルカリを加えて加熱することで、タンパク
質を分解させる方法が記載されている。しかしこの方法
は、あくまでも未処理の天然ゴムラテックスを脱タンパ
ク処理する方法としての、アルカリによる処理に過ぎな
い。上記公報には、一旦、脱タンパク処理した天然ゴム
ラテックスをさらに苛性アルカリでケン化処理すると、
ラテックス中に残存していたごく微量のタンパク質をさ
らに分解、除去できることや、あるいは脱タンパク処理
に使用した酵素をも分解、除去できること、その結果、
これまでにない低アレルギー性の天然ゴムラテックスを
製造できることなどについては一切、記載されていな
い。
【0008】よって上記公報で言うところのアルカリを
用いた処理は、この発明を開示も示唆もするものではな
い。のみならず、この発明の低アレルギー性天然ゴムラ
テックスの製造方法は、上述したアルカリを用いて脱タ
ンパク処理をした天然ゴムラテックスについても適用可
能であり、その場合にもやはりラテックス中に残存して
いたごく微量のタンパク質をさらに分解、除去して、こ
れまでにない低アレルギー性の天然ゴムラテックスを製
造することが可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、この発明を説明する。 〈天然ゴムラテックスの脱タンパク処理〉この発明の低
アレルギー性天然ゴムラテックスの製造方法において
は、まず天然ゴムラテックスを脱タンパク処理する。脱
タンパク処理としては、従来公知の種々の方法を採用す
ることができる。
【0010】すなわち、(i) 非常に希釈した天然ゴム
ラテックス中のゴム粒子を凝集させる、(ii) 非常に希
釈した天然ゴムラテックスを、遠心分離機にかけて濃縮
ラテックスを分離する、(iii) 天然ゴムラテックスを
透析する、(iv) 天然ゴムラテックス中のタンパク質
を、バクテリアまたは酵素によって分解する、(v) 天
然ゴムラテックスにアルカリを加えて加熱することでタ
ンパク質を分解させる、(vi) セッケン類により、ゴム
粒子に吸着しているタンパク質を遊離させる、等の方法
を適当に組み合わせることで、天然ゴムラテックスが脱
タンパク処理される。
【0011】その具体的な処理の方法としては、例えば
(A) タンパク質分解酵素と界面活性剤とで天然ゴムラ
テックスを同時または順次処理して一定時間放置するこ
とで酵素分解させたのち、分解したタンパク質とゴム分
とを分離する方法や、あるいは(B) アンモニア保存の
濃縮ラテックスのアンモニア濃度を0.2%に下げた上
で、保存剤としてナフテン酸アンモニウム0.4phr
を添加後、タンパク質分解酵素(superase)0.25p
hrを添加して20時間、酵素分解させる方法、等があ
げられる。
【0012】特に前者の(A)の方法によれば、比較的簡
単な操作で、天然ゴムラテックス中のタンパク質を、非
常に高いレベルで除去することができる。原料である天
然ゴムラテックスとしては、天然のゴムの木から得られ
た新鮮なフィールドラテックス、市販のアンモニア処理
ラテックスのいずれを使用することもできる。また(A)
の方法に使用されるタンパク質分解酵素はとくに限定さ
れず、例えばアルカリプロテアーゼ等の、従来公知の種
々のものが、いずれも使用可能である。プロテアーゼの
由来としては細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母
由来のもののいずれでも構わないが、これらの中では細
菌由来のプロテアーゼを使用するのが好ましい。またリ
パーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、ラッカーゼ、セル
ラーゼ等の他の酵素を併用しても良い。
【0013】タンパク質分解酵素の添加量は、天然ゴム
ラテックスの固形分100重量部に対して0.0001
〜20重量部であるのが好ましく、0.001〜10重
量部であるのがさらに好ましい。タンパク質分解酵素の
添加量がこの範囲未満では、天然ゴムラテックス中のタ
ンパク質を十分に分解できなくなるおそれがある。一
方、タンパク質分解酵素の添加量が前記範囲を超える
と、酵素の活性が低下して、却って天然ゴムラテックス
中のタンパク質を十分に分解できなくなるおそれがあ
る。また、コストアップにつながるおそれもある。
【0014】また界面活性剤としては、陰イオン性界面
活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤の
うちの少なくとも1種が使用可能である。このうち陰イ
オン性界面活性剤としては、例えばカルボン酸系、スル
ホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イ
オン性界面活性剤があげられる。カルボン酸系の陰イオ
ン性界面活性剤としては、例えば例えば炭素数が6〜3
0である脂肪酸塩、多価カルボン酸塩、ロジン酸塩、ダ
イマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩等があげ
られ、これらの中では炭素数10〜20のカルボン酸塩
が好ましい。炭素数が6以下では、タンパク質や不純物
の分散と乳化が不十分となり、30以上では水に分散し
にくくなる。
【0015】スルホン酸系の陰イオン性界面活性剤とし
ては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル
スルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフ
タレンスルホン酸塩、ジフェニルエーテルスルホン酸塩
等があげられる。硫酸エステル系の陰イオン性界面活性
剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、ジスチレ
ン化フェノール硫酸エステル塩、トリスチレン化フェノ
ール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫
酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニル
エーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フ
ェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレントリス
チレン化フェノール硫酸エステル塩、α−オレフィン硫
酸エステル塩、アルキルコハク酸硫酸エステル塩等があ
げられる。
【0016】リン酸エステル系の陰イオン性界面活性剤
としては、例えばアルキルリン酸エステル塩、ポリオキ
シアルキレンリン酸エステル塩等があげられる。なおこ
れらの陰イオン性界面活性剤を形成する塩としては、例
えば金属塩(Na、K、Ca、Mg、Zn等)、アンモ
ニア塩、アミン塩(トリエタノールアミン塩等)などが
あげられる。非イオン性界面活性剤としては、例えばポ
リオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレン
エステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪
酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等の非イオン
性界面活性剤があげられる。
【0017】このうちポリオキシアルキレンエーテル系
の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシア
ルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアル
キルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンポリオー
ルアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化
フェノールエーテル、ポリオキシアルキレンジスチレン
化フェノールエーテル、ポリオキシアルキレントリスチ
レン化フェノールエーテル等があげられる。
【0018】なおポリオールとしては、炭素数2〜12
の多価アルコールがあげられる。具体的には、例えばプ
ロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、グル
コース、シュクロース、ペンタエリスリトール、ソルビ
タン等があげられる。ポリオキシアルキレンエステル系
の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシア
ルキレン脂肪酸エステル等があげられる。多価アルコー
ル脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤としては、
炭素数2〜12の多価アルコールの脂肪酸エステルまた
はポリオキシアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステ
ルがあげられる。より具体的には、例えばソルビトール
脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モ
ノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド、ポリグリセリ
ン脂肪酸エステル等があげられる。また、これらのポリ
アルキレンオキサイド付加物(例えば、ポリオキシアル
キレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレ
ングリセリン脂肪酸エステル等)も使用可能である。
【0019】糖脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性
剤としては、例えばショ糖、グルコール、マルトース、
フラクトース、多糖類の脂肪酸エステル等があげられ、
これらのポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能で
ある。アルキルポリグリコシド系の非イオン性界面活性
剤としては、例えばアルキルグルコシド、アルキルポリ
グルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシ
ド、ポリオキシアルキレンアルキルポリグルコシド等が
あげられ、これらの脂肪酸エステル類やポリアルキレン
オキサイド付加物も使用可能である。
【0020】上記陰イオン性および非イオン性の界面活
性剤におけるアルキル基としては、炭素数4〜30のア
ルキル基があげられる。また、ポリオキシアルキレン基
としては、炭素数2〜4のアルキレン基を有するものが
あげられ、例えば酸化エチレンの付加モル数が1〜50
モル程度のものが示される。脂肪酸としては、例えば炭
素数4〜30の直鎖または分岐した飽和または不飽和脂
肪酸があげられる。両性界面活性剤としては、例えばア
ミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性界
面活性剤があげられる。
【0021】界面活性剤の添加量は、天然ゴムラテック
スの固形分100重量部に対して0.001〜20重量
部であるのが好ましい。酵素を添加する際には、pH調
整剤その他の添加剤を添加してもよい。pH調整剤とし
ては、例えばリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリ
ウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウ
ム等のリン酸塩、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等の酢
酸塩、硫酸、酢酸、塩酸、硝酸、クエン酸、コハク酸な
どの酸類またはその塩、アンモニア、水酸化カリウム、
水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウ
ム等があげられる。pH調整剤の添加量は、天然ゴムラ
テックスの固形分100重量部に対して0.01〜0.
5重量部であるのが好ましい。
【0022】他の添加剤としては分散剤が例示される。
分散剤としては、例えばスチレンスルホン酸共重合物、
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、リグニンスル
ホン酸、多環型芳香族スルホン酸共重合物、アクリル酸
および無水マレイン酸のホモポリマーおよび共重合物、
イソブチレン−アクリル酸およびイソブチレン−無水マ
レイン酸共重合物等があげられる。タンパク質分解酵素
と界面活性剤とで天然ゴムラテックスを同時または順次
処理した後、放置する時間は特に限定されないが、数分
から1週間程度であるのが好ましい。放置中、天然ゴム
ラテックスは随時または常時、かく拌してもよく、静置
してもよい。温度調節は必要に応じてすればよいが、適
当な温度は5〜90℃、より好ましくは20〜60℃で
ある。温度が90℃を超えると酵素の失活が早く、5℃
未満であれば酵素の反応が進行しにくくなる。
【0023】〈ケン化処理〉上記放置によってタンパク
質を分解処理した天然ゴムラテックスに、この発明で
は、苛性アルカリ、すなわち水酸化ナトリウムおよび/
または水酸化カリウムを加えてケン化処理を行う。ケン
化処理は、天然ゴムラテックスに苛性アルカリの水溶液
を加えて、所定温度で一定時間、静置することにより行
うのが好ましいが、必要に応じてかく拌等を行っても良
い。
【0024】処理の温度は、苛性アルカリによるケン化
反応が十分な反応速度で進行しうる範囲、および天然ゴ
ムラテックスが凝固等の変質を起さない範囲で適宜、設
定できるが、通常は20〜40℃であるのが好ましい。
また処理の時間は、天然ゴムラテックスを静置して処理
を行う場合、処理の温度にもよるが、十分な処理を行う
ことと、低アレルギー性天然ゴムラテックスの生産性を
向上することとを併せ考慮すると10〜30時間である
のが好ましい。
【0025】苛性アルカリの添加量は特に限定されない
が、天然ゴムラテックスの固形分100重量部あたり3
〜30重量部であるのが好ましい。苛性アルカリの添加
量が3重量部未満では、ラテックス中に残存するタンパ
ク質や酵素を十分に分解、除去できないおそれがある。
また逆に苛性アルカリの添加量が30重量部を超えても
それ以上の添加効果が得られないだけでなく、過剰の苛
性アルカリを処理後に除去する工程が必要となって、低
アレルギー性天然ゴムラテックスの生産性が低下するお
それがある。なおラテックス中に残存するタンパク質や
酵素を効率よく、かつ十分に分解除去することを考慮す
ると、苛性アルカリの添加量は、上記の範囲内でも特に
10重量部以上であるのがさらに好ましい。
【0026】次にこの発明の製造方法においては、さら
に必要に応じて、タンパク質や酵素などの分解物を洗浄
除去してゴム分と分離するのが好ましい。その方法とし
ては、例えば遠心分離による方法や、限外ろ過膜を用い
て分解物を除去する限外ろ過法等があげられるが、中で
も遠心分離による方法が好ましい。遠心分離する際は、
まず天然ゴムラテックスのゴム分が5〜40重量%、好
ましくは10〜30重量%となるように水で希釈する。
次いで、5000〜10000rpmで1〜60分間遠
心分離すればよい。
【0027】遠心分離処理後、上層に分離されたクリー
ム状のゴム分を取り出す。かかる操作は、ディスク式の
遠心分離器で連続的に行ってもよい。そして取り出され
たクリーム状のゴム分を水で所定の濃度に希釈すると、
アレルギー性を示すタンパク質や酵素などがより高度に
除去された、アレルギーを誘発するおそれが極めて低い
低アレルギー性天然ゴムラテックスが得られる。〈タン
パク質分解処理の程度〉本発明の製造方法により、天然
ゴムラテックスの、ラスト阻害法(RAST-inhibition
法)によって測定されるアレルゲン性タンパクの含有量
指数を10μg/ml以下、好ましくは5μg/ml以
下にまで低減させることができる。
【0028】一般に、アレルゲン性タンパクの含有量指
数が10μg/ml以下であれば、実質的にタンパク質
に起因するアレルギーを生じるおそれが低いと考えられ
る。ここで「アレルゲン性タンパクの含有量指数」と
は、試料であるラテックス中に存在するタンパク質のう
ち、ヒト血清に対してIgEクラスの抗体を産生させ得
る、つまり抗原となり得るタンパク質の含有量の程度
を、一般的な天然ゴムラテックスを基準にして示した指
標であって、アレルギー度を相対的に示した値である。
【0029】天然ゴムラテックス中に存在するタンパク
質については、その総量と溶出タンパク質の総量とを分
析によって求めることができるものの、アレルゲン性タ
ンパクと非アレルゲン性タンパクとの量を個別に定量す
ることができない。そこで試料ラテックスのアレルギー
性については、通常の一般的な天然ゴムラテックスを基
準とするアレルギー度の相対値として評価することとな
る。「アレルゲン性タンパクの含有量指数」は、Pharma
cia Cap systemを用いた競合的ラスト免疫阻害法〔Comp
etitive RAST-immunoinhibition 法,(X. Baur etAl.,
Allergy, 52, 661-664 (1997) 参照)〕に基づいて算
出されるものであって、具体的には、以下のようにして
算出される。
【0030】まず、基準サンプルとしての天然ゴムラテ
ックスの抽出液を使用し、これにヒト血清中のIgE抗
体を混合して熟成させることにより、ラテックス中のア
レルゲン性タンパクと前記IgE抗体との抗原−抗体反
応を進行させる。なおIgE抗体の供給源には、ラテッ
クスアレルギーを有する者の血清を用いる。次いで抗原
−抗体反応を起さずに残存したIgE抗体と固相のImmu
no-Capラテックス抗原とを反応させ、さらに固定化され
たIgE抗体に酵素(β−D−ガラクトシダーゼ)でラ
ベルされた抗IgE抗体を結合させて、蛍光強度の測定
により残存するIgE抗体の量を測定する。この測定値
により、基準サンプルとしての天然ゴムラテックスの溶
出タンパク質についてのアレルギー性の度合いが求めら
れる。
【0031】このアレルギー性の度合いを、上記天然ゴ
ムラテックスを希釈した、希釈度が異なる数種のサンプ
ルについて測定して、較正曲線を作成する。一方、試料
ラテックスについても上記と同様にしてアレルギー性の
度合いを求める。その結果、試料ラテックスのアレルギ
ー性の度合いが、例えば天然ゴムラテックスの溶出総タ
ンパク量がラテックス1ml当り10μgであるときの
アレルギー度と同等であれば、試料ラテックスについて
のアレルゲン性タンパクの含有量指数は10μg/ml
となる。
【0032】
【実施例】以下、実施例、比較例に基づいてこの発明を
説明する。 実施例1〜3 〈天然ゴムラテックスの脱タンパク処理〉ハイアンモニ
アラテックス(固形分60重量%、アンモニア含有量
0.7%、ケルダール法による固形分中の窒素含有率
0.3%)を、固形分が30重量%となるように同量の
水で希釈した。
【0033】次いでこのラテックスに、2重量部の細菌
由来のプロテアーゼと98重量部の10%ポリオキシエ
チレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム〔界面活性剤、
花王(株)製のKP4401〕とを配合した脱タンパク処
理剤を、ラテックス中の固形分100重量部に対して1
重量部の割合で添加した後、30℃で24時間静置し
た。 〈天然ゴムラテックスのケン化処理〉上記の混合物に、
20%水酸化カリウム水溶液を、ラテックス中の固形分
100重量部に対して水酸化カリウムが20重量部(実
施例1)、10重量部(実施例2)、または5重量部
(実施例3)となる割合で添加した後、30℃で24時
間静置して低アレルギー性天然ゴムラテックスを得た。
【0034】比較例1 脱タンパク処理のみ行ってケン化処理をしなかったもの
を比較例1とした。 実施例4 ケン化処理後の混合物を、13,000rpmで30分
間、遠心分離した後、上層に分離したクリーム状のゴム
分を取り出して同量の水で希釈して再分散させる遠心分
離処理を行ったこと以外は実施例2と同様にして、低ア
レルギー性天然ゴムラテックスを得た。
【0035】比較例2 脱タンパク処理と遠心分離処理のみ行ってケン化処理を
しなかったものを比較例2とした。 実施例5、6 出発原料としてフィールドラテックス(マレーシア国
産)を用いたこと以外は実施例1、2と同様にして、低
アレルギー性天然ゴムラテックスを得た。
【0036】上記実施例および比較例で得た低アレルギ
ー性天然ゴムラテックスに含まれるアレルゲン性タンパ
クの含有量指数を、前述したラスト阻害法(RAST-inhib
ition 法)に基づいて測定した。測定は、Pharmacia Ca
p systemを用いた競合的免疫阻害法により、ドイツBG
FA(職業医療研究所)にて実施した。なお基準サンプ
ルとして、実施例1〜4、比較例1、2では、これらの
実施例、比較例の出発原料である、脱タンパク処理もケ
ン化処理もしていないハイアンモニアラテックスを用い
た。このハイアンモニアラテックスの、希釈しない状態
でのアレルゲン性タンパクの含有量指数は852μg/
mlであった。
【0037】また基準サンプルとして、実施例5、6で
は、これら実施例の出発原料である、脱タンパク処理も
ケン化処理もしていないフィールドラテックスを用い
た。このフィールドラテックスの、希釈しない状態での
アレルゲン性タンパクの含有量指数は5931μg/m
lであった。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】表の実施例1〜3および比較例1の結果よ
り、出発原料としてハイアンモニアラテックスを用いた
系では、酵素による脱タンパク処理後にケン化処理を行
うと、脱タンパク処理だけでは除去しきれないタンパク
質や、あるいは処理に使用した酵素をさらに分解、除去
して、これまでにない低アレルギー性の天然ゴムラテッ
クスを製造できることがわかった。また実施例1〜3と
比較例2の結果より、ケン化処理を行うと、従来の、脱
タンパク処理後に遠心分離処理をしただけの場合よりも
低アレルギー性を向上できることがわかった。
【0040】また実施例1〜3の結果を比較すると、ケ
ン化処理に使用する水酸化カリウムの、天然ゴムラテッ
クスの固形分に対する割合を多くするほど、低アレルギ
ー性を向上できることがわかった。また実施例2と実施
例4の結果より、ケン化処理後に遠心分離処理を行う
と、低アレルギー性を向上できることがわかった。さら
に実施例5,6の結果より、フィールドラテックスを出
発原料とした系においても同様に低アレルギー性を向上
できること、特に天然ゴムラテックスの固形分に対する
割合を多くするほど低アレルギー性を向上できることが
わかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松浦 亜衣 兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】あらかじめ脱タンパク処理した天然ゴムラ
    テックスに、苛性アルカリを加えてケン化処理すること
    を特徴とする低アレルギー性天然ゴムラテックスの製造
    方法。
  2. 【請求項2】脱タンパク処理として、天然ゴムラテック
    スに酵素を加えてタンパク質を分解させる処理を行う請
    求項1記載の低アレルギー性天然ゴムラテックスの製造
    方法。
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