JP5133479B2 - 低アレルギー性天然ゴムラテックスの製造方法 - Google Patents

低アレルギー性天然ゴムラテックスの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、アレルギーを誘発するおそれを殆ど有しない低アレルギー性天然ゴムラテックスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
天然ゴムは伸びが大きい、弾性が高い、皮膜の強さが良好である等の特徴を有することから、手袋等の家庭用品、手術用手袋や各種カテーテル等の医療用具、授乳用具、避妊具等に幅広く利用されている。
しかし、手術用手袋やカテーテル等の医療用具として天然ゴム製のものを使用すると、呼吸困難やアナフィラキシー様症状(血管性浮腫、じんましん、チアノーゼ等)などの即時型(I型)アレルギーを引き起こす場合のあることが報告されている。かかる即時型アレルギーは、天然ゴムに含まれるタンパク質が抗原となって誘発されると推測されている。
【0003】
そこで、天然ゴム中のタンパク質を高度に除去することが試みられており、例えば特許第2905005号公報には、天然ゴムラテックス中にアルカリプロテアーゼ等のタンパク分解酵素と、界面活性剤とを加えてタンパク分解処理を施し、次いで遠心分離処理等によってラテックスを十分に洗浄する方法が提案されている。
上記特許公報に記載の方法によれば、天然ゴム中のタンパク質を高いレベルで分解、除去することができる。具体的には、天然ゴムに含まれるタンパク質の量を、ケルダール法(Kjeldahl's method)による窒素含有量(N%)で表したときに、0.10%以下の極めて低い値とすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特許公報に記載の方法をはじめとする従来公知の種々の脱タンパク処理を行った場合であっても、依然として、天然ゴムラテックスは僅かにアレルギー性を示すおそれのあることが、最近の研究により明らかとなった。
この原因としては、天然ゴムラテックス中に、ごく微量ではあるもののタンパク質が残存しており、このタンパク質がアレルギー性を示すことに加えて、脱タンパクに使用し、天然ゴムラテックス中に残存している酵素が、やはり若干のアレルギー性を示すことが判っている。
【0005】
この発明の目的は、アレルギー性を示すタンパク質や酵素などを実質的に含有しないため、アレルギーを誘発するおそれが極めて低い低アレルギー性天然ゴムラテックスを製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1記載の発明は、天然ゴムラテックスに、前記天然ゴムラテックスの固形分100重量部あたり0.0001〜20重量部の酵素を加えてタンパク質を分解させる処理を行った後、前記天然ゴムラテックスに、前記天然ゴムラテックスの固形分100重量部あたり3〜30重量部の苛性アルカリを加えてケン化処理して、前記天然ラテックス中に残存するタンパク質、および前記酵素を分解、除去することを特徴とする低アレルギー性天然ゴムラテックスの製造方法である。
請求項1の構成では、前記所定量の酵素を加えてあらかじめ脱タンパク処理した天然ゴムに、さらに前記所定量の苛性アルカリを加えてケン化処理することによって、天然ゴムラテックス中に残存していた微量のタンパク質を分解、除去することができる。またそれとともに酵素をも、分解除去することができる。したがって、アレルギー性を示すタンパク質や酵素などを実質的に含有しないためアレルギーを誘発するおそれが極めて低い、低アレルギー性天然ゴムラテックスを製造することが可能となる。
【0007】
なお前記公報の従来技術には、天然ゴムラテックスにアルカリを加えて加熱することで、タンパク質を分解させる方法が記載されている。
しかしこの方法は、あくまでも未処理の天然ゴムラテックスを脱タンパク処理する方法としての、アルカリによる処理に過ぎない。
上記公報には、一旦、脱タンパク処理した天然ゴムラテックスをさらに苛性アルカリでケン化処理すると、ラテックス中に残存していたごく微量のタンパク質をさらに分解、除去できることや、あるいは脱タンパク処理に使用した酵素をも分解、除去できること、その結果、これまでにない低アレルギー性の天然ゴムラテックスを製造できることなどについては一切、記載されていない。
【0008】
よって上記公報で言うところのアルカリを用いた処理は、この発明を開示も示唆もするものではない
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明を説明する。
〈天然ゴムラテックスの脱タンパク処理〉
この発明の低アレルギー性天然ゴムラテックスの製造方法においては、まず天然ゴムラテックスを脱タンパク処理する
【0010】
すなわち、天然ゴムラテックス中のタンパク質を、酵素によって分解させることで、天然ゴムラテックスが脱タンパク処理される。
【0011】
その具体的な処理の方法としては、例えば
(A) タンパク質分解酵素と界面活性剤とで天然ゴムラテックスを同時または順次処理して一定時間放置することで酵素分解させたのち、分解したタンパク質とゴム分とを分離する方法や、あるいは
(B) アンモニア保存の濃縮ラテックスのアンモニア濃度を0.2%に下げた上で、保存剤としてナフテン酸アンモニウム0.4phrを添加後、タンパク質分解酵素(superase)0.25phrを添加して20時間、酵素分解させる方法、等があげられる。
【0012】
特に前者の(A)の方法によれば、比較的簡単な操作で、天然ゴムラテックス中のタンパク質を、非常に高いレベルで除去することができる。
原料である天然ゴムラテックスとしては、天然のゴムの木から得られた新鮮なフィールドラテックス、市販のアンモニア処理ラテックスのいずれを使用することもできる。
また(A)の方法に使用されるタンパク質分解酵素はとくに限定されず、例えばアルカリプロテアーゼ等の、従来公知の種々のものが、いずれも使用可能である。プロテアーゼの由来としては細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母由来のもののいずれでも構わないが、これらの中では細菌由来のプロテアーゼを使用するのが好ましい。またリパーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、ラッカーゼ、セルラーゼ等の他の酵素を併用しても良い。
【0013】
タンパク質分解酵素の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.0001〜20重量部である必要があり、0.001〜10重量部であるのが好ましい。
タンパク質分解酵素の添加量がこの範囲未満では、天然ゴムラテックス中のタンパク質を十分に分解できなくな。一方、タンパク質分解酵素の添加量が前記範囲を超えると、酵素の活性が低下して、却って天然ゴムラテックス中のタンパク質を十分に分解できなくな。また、コストアップにつながるおそれもある。
【0014】
また界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤のうちの少なくとも1種が使用可能である。
このうち陰イオン性界面活性剤としては、例えばカルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イオン性界面活性剤があげられる。
カルボン酸系の陰イオン性界面活性剤としては、例えば例えば炭素数が6〜30である脂肪酸塩、多価カルボン酸塩、ロジン酸塩、ダイマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩等があげられ、これらの中では炭素数10〜20のカルボン酸塩が好ましい。炭素数が6以下では、タンパク質や不純物の分散と乳化が不十分となり、30以上では水に分散しにくくなる。
【0015】
スルホン酸系の陰イオン性界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ジフェニルエーテルスルホン酸塩等があげられる。
硫酸エステル系の陰イオン性界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、ジスチレン化フェノール硫酸エステル塩、トリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレントリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、α−オレフィン硫酸エステル塩、アルキルコハク酸硫酸エステル塩等があげられる。
【0016】
リン酸エステル系の陰イオン性界面活性剤としては、例えばアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンリン酸エステル塩等があげられる。
なおこれらの陰イオン性界面活性剤を形成する塩としては、例えば金属塩(Na、K、Ca、Mg、Zn等)、アンモニア塩、アミン塩(トリエタノールアミン塩等)などがあげられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等の非イオン性界面活性剤があげられる。
【0017】
このうちポリオキシアルキレンエーテル系の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンポリオールアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化フェノールエーテル、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノールエーテル、ポリオキシアルキレントリスチレン化フェノールエーテル等があげられる。
【0018】
なおポリオールとしては、炭素数2〜12の多価アルコールがあげられる。具体的には、例えばプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、グルコース、シュクロース、ペンタエリスリトール、ソルビタン等があげられる。
ポリオキシアルキレンエステル系の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等があげられる。
多価アルコール脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤としては、炭素数2〜12の多価アルコールの脂肪酸エステルまたはポリオキシアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルがあげられる。より具体的には、例えばソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル等があげられる。また、これらのポリアルキレンオキサイド付加物(例えば、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル等)も使用可能である。
【0019】
糖脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤としては、例えばショ糖、グルコール、マルトース、フラクトース、多糖類の脂肪酸エステル等があげられ、これらのポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能である。
アルキルポリグリコシド系の非イオン性界面活性剤としては、例えばアルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルポリグルコシド等があげられ、これらの脂肪酸エステル類やポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能である。
【0020】
上記陰イオン性および非イオン性の界面活性剤におけるアルキル基としては、炭素数4〜30のアルキル基があげられる。また、ポリオキシアルキレン基としては、炭素数2〜4のアルキレン基を有するものがあげられ、例えば酸化エチレンの付加モル数が1〜50モル程度のものが示される。脂肪酸としては、例えば炭素数4〜30の直鎖または分岐した飽和または不飽和脂肪酸があげられる。
両性界面活性剤としては、例えばアミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性界面活性剤があげられる。
【0021】
界面活性剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.001〜20重量部であるのが好ましい。
酵素を添加する際には、pH調整剤その他の添加剤を添加してもよい。
pH調整剤としては、例えばリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等のリン酸塩、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、硫酸、酢酸、塩酸、硝酸、クエン酸、コハク酸などの酸類またはその塩、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等があげられる。pH調整剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.01〜0.5重量部であるのが好ましい。
【0022】
他の添加剤としては分散剤が例示される。分散剤としては、例えばスチレンスルホン酸共重合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸、多環型芳香族スルホン酸共重合物、アクリル酸および無水マレイン酸のホモポリマーおよび共重合物、イソブチレン−アクリル酸およびイソブチレン−無水マレイン酸共重合物等があげられる。
タンパク質分解酵素と界面活性剤とで天然ゴムラテックスを同時または順次処理した後、放置する時間は特に限定されないが、数分から1週間程度であるのが好ましい。放置中、天然ゴムラテックスは随時または常時、かく拌してもよく、静置してもよい。温度調節は必要に応じてすればよいが、適当な温度は5〜90℃、より好ましくは20〜60℃である。温度が90℃を超えると酵素の失活が早く、5℃未満であれば酵素の反応が進行しにくくなる。
【0023】
〈ケン化処理〉
上記放置によってタンパク質を分解処理した天然ゴムラテックスに、この発明では、苛性アルカリ、すなわち水酸化ナトリウムおよび/または水酸化カリウムを加えてケン化処理を行う。
ケン化処理は、天然ゴムラテックスに苛性アルカリの水溶液を加えて、所定温度で一定時間、静置することにより行うのが好ましいが、必要に応じてかく拌等を行っても良い。
【0024】
処理の温度は、苛性アルカリによるケン化反応が十分な反応速度で進行しうる範囲、および天然ゴムラテックスが凝固等の変質を起さない範囲で適宜、設定できるが、通常は20〜40℃であるのが好ましい。また処理の時間は、天然ゴムラテックスを静置して処理を行う場合、処理の温度にもよるが、十分な処理を行うことと、低アレルギー性天然ゴムラテックスの生産性を向上することとを併せ考慮すると10〜30時間であるのが好ましい。
【0025】
苛性アルカリの添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100重量部あたり3〜30重量部に限定される
苛性アルカリの添加量が3重量部未満では、ラテックス中に残存するタンパク質や酵素を十分に分解、除去できな。また逆に苛性アルカリの添加量が30重量部を超えてもそれ以上の添加効果が得られないだけでなく、過剰の苛性アルカリを処理後に除去する工程が必要となって、低アレルギー性天然ゴムラテックスの生産性が低下す。なおラテックス中に残存するタンパク質や酵素を効率よく、かつ十分に分解除去することを考慮すると、苛性アルカリの添加量は、上記の範囲内でも特に10重量部以上であるのがさらに好ましい。
【0026】
次にこの発明の製造方法においては、さらに必要に応じて、タンパク質や酵素などの分解物を洗浄除去してゴム分と分離するのが好ましい。その方法としては、例えば遠心分離による方法や、限外ろ過膜を用いて分解物を除去する限外ろ過法等があげられるが、中でも遠心分離による方法が好ましい。
遠心分離する際は、まず天然ゴムラテックスのゴム分が5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるように水で希釈する。次いで、5000〜10000rpmで1〜60分間遠心分離すればよい。
【0027】
遠心分離処理後、上層に分離されたクリーム状のゴム分を取り出す。かかる操作は、ディスク式の遠心分離器で連続的に行ってもよい。
そして取り出されたクリーム状のゴム分を水で所定の濃度に希釈すると、アレルギー性を示すタンパク質や酵素などがより高度に除去された、アレルギーを誘発するおそれが極めて低い低アレルギー性天然ゴムラテックスが得られる。
〈タンパク質分解処理の程度〉
本発明の製造方法により、天然ゴムラテックスの、ラスト阻害法(RAST-inhibition 法)によって測定されるアレルゲン性タンパクの含有量指数を10μg/ml以下、好ましくは5μg/ml以下にまで低減させることができる。
【0028】
一般に、アレルゲン性タンパクの含有量指数が10μg/ml以下であれば、実質的にタンパク質に起因するアレルギーを生じるおそれが低いと考えられる。
ここで「アレルゲン性タンパクの含有量指数」とは、試料であるラテックス中に存在するタンパク質のうち、ヒト血清に対してIgEクラスの抗体を産生させ得る、つまり抗原となり得るタンパク質の含有量の程度を、一般的な天然ゴムラテックスを基準にして示した指標であって、アレルギー度を相対的に示した値である。
【0029】
天然ゴムラテックス中に存在するタンパク質については、その総量と溶出タンパク質の総量とを分析によって求めることができるものの、アレルゲン性タンパクと非アレルゲン性タンパクとの量を個別に定量することができない。そこで試料ラテックスのアレルギー性については、通常の一般的な天然ゴムラテックスを基準とするアレルギー度の相対値として評価することとなる。
「アレルゲン性タンパクの含有量指数」は、Pharmacia Cap systemを用いた競合的ラスト免疫阻害法〔Competitive RAST-immunoinhibition 法,(X. Baur et Al., Allergy, 52, 661-664 (1997) 参照)〕に基づいて算出されるものであって、具体的には、以下のようにして算出される。
【0030】
まず、基準サンプルとしての天然ゴムラテックスの抽出液を使用し、これにヒト血清中のIgE抗体を混合して熟成させることにより、ラテックス中のアレルゲン性タンパクと前記IgE抗体との抗原−抗体反応を進行させる。なおIgE抗体の供給源には、ラテックスアレルギーを有する者の血清を用いる。
次いで抗原−抗体反応を起さずに残存したIgE抗体と固相のImmuno-Capラテックス抗原とを反応させ、さらに固定化されたIgE抗体に酵素(β−D−ガラクトシダーゼ)でラベルされた抗IgE抗体を結合させて、蛍光強度の測定により残存するIgE抗体の量を測定する。この測定値により、基準サンプルとしての天然ゴムラテックスの溶出タンパク質についてのアレルギー性の度合いが求められる。
【0031】
このアレルギー性の度合いを、上記天然ゴムラテックスを希釈した、希釈度が異なる数種のサンプルについて測定して、較正曲線を作成する。一方、試料ラテックスについても上記と同様にしてアレルギー性の度合いを求める。その結果、試料ラテックスのアレルギー性の度合いが、例えば天然ゴムラテックスの溶出総タンパク量がラテックス1ml当り10μgであるときのアレルギー度と同等であれば、試料ラテックスについてのアレルゲン性タンパクの含有量指数は10μg/mlとなる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例、比較例に基づいてこの発明を説明する。
実施例1〜3
〈天然ゴムラテックスの脱タンパク処理〉
ハイアンモニアラテックス(固形分60重量%、アンモニア含有量0.7%、ケルダール法による固形分中の窒素含有率0.3%)を、固形分が30重量%となるように同量の水で希釈した。
【0033】
次いでこのラテックスに、2重量部の細菌由来のプロテアーゼと98重量部の10%ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム〔界面活性剤、花王(株)製のKP4401〕とを配合した脱タンパク処理剤を、ラテックス中の固形分100重量部に対して1重量部の割合で添加した後、30℃で24時間静置した。
〈天然ゴムラテックスのケン化処理〉
上記の混合物に、20%水酸化カリウム水溶液を、ラテックス中の固形分100重量部に対して水酸化カリウムが20重量部(実施例1)、10重量部(実施例2)、または5重量部(実施例3)となる割合で添加した後、30℃で24時間静置して低アレルギー性天然ゴムラテックスを得た。
【0034】
比較例1
脱タンパク処理のみ行ってケン化処理をしなかったものを比較例1とした。
実施例4
ケン化処理後の混合物を、13,000rpmで30分間、遠心分離した後、上層に分離したクリーム状のゴム分を取り出して同量の水で希釈して再分散させる遠心分離処理を行ったこと以外は実施例2と同様にして、低アレルギー性天然ゴムラテックスを得た。
【0035】
比較例2
脱タンパク処理と遠心分離処理のみ行ってケン化処理をしなかったものを比較例2とした。
実施例5、6
出発原料としてフィールドラテックス(マレーシア国産)を用いたこと以外は実施例1、2と同様にして、低アレルギー性天然ゴムラテックスを得た。
【0036】
上記実施例および比較例で得た低アレルギー性天然ゴムラテックスに含まれるアレルゲン性タンパクの含有量指数を、前述したラスト阻害法(RAST-inhibition 法)に基づいて測定した。測定は、Pharmacia Cap systemを用いた競合的免疫阻害法により、ドイツBGFA(職業医療研究所)にて実施した。
なお基準サンプルとして、実施例1〜4、比較例1、2では、これらの実施例、比較例の出発原料である、脱タンパク処理もケン化処理もしていないハイアンモニアラテックスを用いた。このハイアンモニアラテックスの、希釈しない状態でのアレルゲン性タンパクの含有量指数は852μg/mlであった。
【0037】
また基準サンプルとして、実施例5、6では、これら実施例の出発原料である、脱タンパク処理もケン化処理もしていないフィールドラテックスを用いた。このフィールドラテックスの、希釈しない状態でのアレルゲン性タンパクの含有量指数は5931μg/mlであった。
結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 0005133479
【0039】
表の実施例1〜3および比較例1の結果より、出発原料としてハイアンモニアラテックスを用いた系では、酵素による脱タンパク処理後にケン化処理を行うと、脱タンパク処理だけでは除去しきれないタンパク質や、あるいは処理に使用した酵素をさらに分解、除去して、これまでにない低アレルギー性の天然ゴムラテックスを製造できることがわかった。
また実施例1〜3と比較例2の結果より、ケン化処理を行うと、従来の、脱タンパク処理後に遠心分離処理をしただけの場合よりも低アレルギー性を向上できることがわかった。
【0040】
また実施例1〜3の結果を比較すると、ケン化処理に使用する水酸化カリウムの、天然ゴムラテックスの固形分に対する割合を多くするほど、低アレルギー性を向上できることがわかった。
また実施例2と実施例4の結果より、ケン化処理後に遠心分離処理を行うと、低アレルギー性を向上できることがわかった。
さらに実施例5,6の結果より、フィールドラテックスを出発原料とした系においても同様に低アレルギー性を向上できること、特に天然ゴムラテックスの固形分に対する割合を多くするほど低アレルギー性を向上できることがわかった。

Claims (1)

  1. 天然ゴムラテックスに、前記天然ゴムラテックスの固形分100重量部あたり0.0001〜20重量部の酵素を加えてタンパク質を分解させる処理を行った後、前記天然ゴムラテックスに、前記天然ゴムラテックスの固形分100重量部あたり3〜30重量部の苛性アルカリを加えてケン化処理して、前記天然ラテックス中に残存するタンパク質、および前記酵素を分解、除去することを特徴とする低アレルギー性天然ゴムラテックスの製造方法。
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