JP3560294B2 - 脱タンパク天然ゴムラテックス成形体の製造方法 - Google Patents

脱タンパク天然ゴムラテックス成形体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、微量に残存するアレルギー誘発物質を除去した脱タンパク天然ゴムラテックス成形体に製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然ゴムラテックスは、フォームラバーの発泡製品、手袋、コンドーム、カテーテル等の浸漬製品、粘着剤、接着剤などの原料として工業的に広く用いられている。天然ゴムラテックスは、農園で栽培されたヘビヤブラジリエンス等のゴムの樹の樹液として得られ、約30%のゴム分のほか、それぞれ数%程度のタンパク質、脂肪酸類、多糖類、無機質などの非ゴム成分を含んでおり、フィールドラテックスと呼ばれる。
【0003】
工業用原料としては、フィールドラテックスをゴム分が約60%になるまで濃縮精製し、さらにラテックスの腐敗を防止するためにラテックスに対して0.2〜0.7%のアンモニアを添加した精製天然ゴムラテックスが用いられる。
フィールドラテックスの精製方法としては、例えばクリーミング法や遠心分離法があげられるが、一般には、精製効率の高い遠心分離法が用いられている。この遠心分離法によれば、希釈したラテックスを遠心分離により濃縮することによって、タンパク質の含有量を2〜3重量%程度にまで低減された精製天然ゴムラテックスを得ることができる。この精製天然ゴムラテックスに残存するタンパク質は、約半量が水溶性であり、ラテックス中で保護コロイドとして作用し、ラテックスの安定化に貢献している。また、残りのタンパク質はゴム粒子と化学的に結合している。ゴム粒子と結合した親水性のタンパク質はゴム粒子の水中での安定化に寄与しており、さらにそれ自体が酸化されやすいことから、ゴムの酸化および劣化を防止している。
【0004】
しかしながら、近年、天然ゴム製の手袋などの医療用具等を使用することによって即時性アレルギーが発生することが判明し、天然ゴム中に存在するタンパク質がアレルギー誘発物質(以下、アレルゲンという)であることが突き止められた。さらに、アレルゲンには、天然ゴムに含まれるタンパク質だけでなく、ラテックス精製時に添加されたアンモニアによって変性したタンパク質も含まれることが指摘されている。
【0005】
上記即時性アレルギーは、アレルゲンであるタンパク質との接触により体内に抗体ができた患者が再びアレルゲンに接触したときに発症することから、このアレルゲンを含む天然ゴム製品を常時使用している人の中に多くの潜在患者が含まれているおそれがある。また、天然ゴム製の手術用手袋や検査用手袋を常用する医療関係者の罹病率は10%に達するとの報告例もある。このため、米国食品医薬局(FDA)が天然ゴム製品の製造業者に対して天然ゴム中のタンパク質を低減するように働きかけるなど、天然ゴム製品の使用による即時性アレルギーの問題は社会的に大きな問題になっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
天然ゴムは上記した問題が指摘されているものの、安価で、かつ強靱であり、また手袋などの天然ゴム製品は作業性やフィット感が優れており、このような特性を有する適当な代替材料が見当たらない。このため、アレルゲンを低減した天然ゴム製品を作製することが重要となっている。
【0007】
アレルゲンであるタンパク質を低減する方法としては、従来より、天然ゴムラテックスまたは天然ゴム製品を温水で洗浄したり、洗浄タンクに適当な時間浸すなどの操作を行ったり、天然ゴムを塩素などの薬品で処理するといった方法が用いられている。しかし、これらの方法ではアレルギーの発生を十分に低減させるほどにはタンパク質が除去されない。
【0008】
一方、特開平6−56902号公報には、1種または2種以上の界面活性剤とプロテアーゼとを組み合わせにより、フィールドラテックスあるいは精製天然ゴムラテックスのタンパク質分解処理を行い、次いでこれを水で希釈し、遠心分離または限外ろ過などで濃縮することにより、タンパク質が高度に除去された脱タンパク天然ゴムラテックスを得る方法が開示されている。しかしながら、上記公報に記載の方法によってもアレルギー誘発物質を完全に除去することは事実上容易ではなく、微量のアレルギー誘発物質が残存してしまう。
【0009】
上記脱タンパク天然ゴムラテックスをより高度に精製し、微量に残存するアレルギー誘発物質を低減させるには、さらに希釈と濃縮を繰り返す方法があるが、この方法によればラテックスの歩留まりが悪くなり、ラテックスの加工性も悪化するため、天然ゴム製品の価格が上昇したり、質が低下してしまう。
従って、希釈と濃縮を繰り返し行うことなく、脱タンパク天然ゴムラテックス中に残存する微量のアレルギー誘発物質を除去することが望まれている。
【0010】
本発明の目的は、脱タンパク天然ゴムラテックス成形体に微量に残存するアレルギー誘発物質を容易に除去することができる脱タンパク天然ゴムラテックス成形体の製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、脱タンパク天然ゴムラテックス成形体を、特定のアルコールと水との混合液で洗浄することにより、天然ゴムラテックス成形体に残存する微量なアレルギー誘発物質を効率よく除去することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明の脱タンパク天然ゴムラテックス成形体の製造方法は、タンパク質分解処理を行い、分解生成物を除去した脱タンパク天然ゴムラテックスを加硫・成形した後、アルコールの割合が5〜80重量%であるアルコール−水混合液で洗浄することを特徴とする。
脱タンパク天然ゴムラテックスからなる成形体は、水および親水性タンパク質などの親水性物質が高度に除去されているため水では膨潤されない。従って、温水での洗浄や塩素水による塩素処理ではアレルギー誘発物質を洗浄除去する効果が低い。一方、上記アルコール−水混合液におけるアルコールは、ラテックス成形体との親和力を有しているために、ラテックス成形体を膨潤状態で維持することができ、この膨潤状態で洗浄処理を行うことによりアレルギー誘発物質を効果的に除去できると推定される。
【0013】
以下、本発明の脱タンパク天然ゴムラテックス成形体の製造方法について詳細に説明する。
本発明における脱タンパク天然ゴムラテックスは、フィールドラテックス、高アンモニアラテックス、低アンモニアラテックスなどをタンパク質分解処理し、遠心分離法や限外ろ過法などによりタンパク質を高度に除去したものである。
【0014】
タンパク分解処理は、例えば天然ゴムラテックス中にプロテアーゼ(タンパク分解酵素)と界面活性剤とを添加し、酵素反応させることによって行われる。この酵素反応により、ゴム粒子に結合あるいは吸着していたタンパク質は分解または低分子化されて水層に移行する。界面活性剤は、これらのタンパク質の水層への移行を助けるとともに、ゴム粒子に結合したタンパク質が分解することにより水中で不安定となったゴム粒子を安定に分散させ、さらには成形後の洗浄工程での不純物の洗浄除去を助けるために用いられる。
【0015】
プロテアーゼとしては、従来公知の種々のものが使用でき、特に限定されないが、アルカリプロテアーゼを用いるのが好ましい。また、プロテアーゼの由来としては、細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母由来のもののいずれも使用可能であるが、特に酵母由来のプロテアーゼを用いるのが好ましい。さらに必要に応じて、セルラーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、エステラーゼ等を併用することができる。
【0016】
上記プロテアーゼの添加量は、天然ゴムラテックス固形分100重量部に対して0.001〜1.0重量部が好ましい。プロテアーゼの添加量が前記範囲よりも少ないときは、ラテックス中のタンパク質を十分に分解させることができない。一方、前記範囲を超えるときは、酵素の活性が低下し、かつコストアップにつながる。
【0017】
界面活性剤としては、(a) カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系またはリン酸エステル系の陰イオン性界面活性剤、(b) ポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系またはポリオキシアルキレンポリグルコシド系などの非イオン性界面活性剤、(c) アミノ酸系、ベタイン系、イミダゾリン系またはアミンオキサイド系の両性界面活性剤が使用可能である。これらは単独で使用できるが、2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記(a) の陰イオン性界面活性剤の具体例を以下に示す。
カルボン酸系としては、例えば脂肪酸塩、多価カルボン酸塩、ポリカルボン酸塩、ロジン酸塩、ダイマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルアミドエーテル酢酸塩などがあげられる。
【0019】
スルホン酸系としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸アルデヒド縮合物、アリールスルホン酸アルデヒド縮合物、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などがあげられる。
【0020】
硫酸エステル系としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノまたはジまたはトリスチリルフェニル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンモノまたはジまたはトリスチリルフェニル硫酸エステル塩などがあげられる。
【0021】
リン酸エステル系としては、例えばアルキルリン酸エステル塩、アルキルフェノールリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンモノまたはジまたはトリスチリルフェニルエーテルリン酸エステル塩などがあげられる。
【0022】
これらの化合物の塩としては、金属塩(Na、K、Ca、Mg、Zn等)、アンモニア塩、アルカノールアミン塩(トリエタノールアミン塩等)などがあげられる。
前記(b) の非イオン性界面活性剤の具体例を以下に示す。
ポリオキシアルキレンエーテル系としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンポリオールアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノまたはジまたはトリスチリルフェニルエーテル等があげられる。前記ポリオールとしては、炭素数2〜12の多価アルコールがあげられ、例えばプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、グルコース、シュクロース、ペンタエリトリトール、ソルビタン等があげられる。
【0023】
ポリオキシアルキレンエステル系としては、例えばポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルロジン酸エステル等があげられる。多価アルコール脂肪酸エステル系としては、例えば炭素数2〜12の多価アルコールの脂肪酸エステルまたはポリオキシアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステル等があげられる。より具体的には、例えばソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリトリトール脂肪酸エステル等があげられる。また、これらのポリアルキレンオキサイド付加物(例えばポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル等)も使用可能である。
【0024】
糖脂肪酸エステル系としては、例えばショ糖、グルコース、マルトース、フルクトース、多糖類の脂肪酸エステル等があげられ、これらのポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能である。
アルキルポリグリコシド系としては、グリコシドとしてグルコース、マルトース、フルクトース、ショ糖などがあげられ、例えばアルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルポリグルコシドなどがあげられ、これらの脂肪酸エステル類もあげられる。また、これらすべてのポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能である。
【0025】
その他、ポリオキシアルキレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド等があげられる。
これらの界面活性剤におけるアルキル基としては、例えば炭素数4〜30の直鎖または分岐した飽和あるいは不飽和のアルキル基があげられる。また、ポリオキシアルキレン基としては、炭素数2〜4のアルキレン基を有するものがあげられ、例えば酸化エチレンの付加モル数が1〜50モル程度のものがあげられる。また、前記脂肪酸としては、例えば炭素数4〜30の直鎖または分岐した飽和あるいは不飽和の脂肪酸があげられる。
【0026】
前記(c) の両性界面活性剤の具体例を以下に示す。
アミノ酸系としては、アシルアミノ酸塩、アシルサルコシン酸塩、アシロイルメチルアミノプロピオン酸塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アシルアミドエチルアミノヒドロキシエチルメチルカルボン酸塩などがあげられる。
ベタイン系としては、アルキルジメチルベタイン、アルキルヒドロキシエチルベタイン、アシルアミドプロピルヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン、アシルアミドプロピルヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルカルボキシメチルアンモニオベタイン等があげられる。
【0027】
イミダゾリン系としては、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルエトキシカルボキシメチルカルボキシメチルイミダゾリウムベタイン等があげられる。
アミンオキサイド系としては、アルキルジメチルアミンオキサイド等があげられる。
【0028】
タンパク分解処理された天然ゴムラテックスには、さらに分解生成物などの不純物を除去するための操作が行われる。これには、例えば遠心分離法、限外ろ過法があげられる。遠心分離法は、ラテックスを遠心分離して生じるしょう液(重液成分)に含まれるゴム分を濃縮することにより精製するものである。一方、限外ろ過法は、限外ろ過膜を用いてタンパク質の分解生成物のみをろ過するものである。
【0029】
上記したタンパク分解処理と、遠心分離法または限外ろ過法による精製で得られた脱タンパク天然ゴムラテックスを、加硫成形して天然ゴムラテックス成形体が得られる。
脱タンパク天然ゴムラテックスの加硫成形は、例えば、加硫剤と、その他必要に応じて加硫助剤、加硫促進剤、老化防止剤、補強剤、充填剤、可塑剤、軟化剤などを添加し、20〜60℃で0.1〜24時間程度加硫反応を行うことにより、部分的に加硫された状態のラテックス(前加硫ラテックス)を得、次いでこの前加硫ラテックスをディップ成形などによって所望の形状に成形し、必要に応じて後加硫が行われる。
【0030】
このようにして得られた脱タンパク天然ゴムラテックス成形体の洗浄処理は、アルコールと水との混合液、またはこの混合液に遊離塩素を含有させたものを用いて行われる。
上記アルコール−水混合液におけるアルコール含有量は5〜80重量%、好ましくは10〜50重量%である。アルコールの含有量が上記範囲よりも少ないときは、脱タンパク天然ゴムラテックス成形体を膨潤させる能力が低いために、洗浄の効果が低くなる。一方、アルコールを上記範囲を超えて含有させても洗浄効果の上昇が見られないために、コスト面から不利である。
【0031】
上記アルコール−水混合液は、ラテックス成形体1gに対して10〜1000g程度の割合で用いられ、これにラテックス成形体を浸漬させ、1〜24時間程度静置あるいは攪拌することにより洗浄が行われる。洗浄温度はアルコール−水混合液の共沸点以下であればよく、通常25〜50℃であればよい。
上記混合液に用いられるアルコールは、炭素数1〜5の脂肪族アルコールまたはそれらに炭素数1〜2のアルコキシ基が置換したアルコールであり、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール(IPA)、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、n−ブタノール、n−ペンタノール、これらにメトキシまたはエトキシが置換したものなどがあげられる。これらのうち、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、3−メチル−3−メトキシブタノール(MMBA)等が好適に用いられる。
【0032】
アルコール−水混合液への塩素含有量は0.02重量%以下、好ましくは0.005〜0.02重量%、より好ましくは0.005〜0.01重量%である。天然ゴムの塩素水による処理は、天然ゴム製手袋の滑性を向上させ、装着性を高めるために従来より行われている技術であり、アレルゲンとなるタンパク質の低減に寄与することも知られているが、従来より用いられている塩素水の塩素含有量は0.06%以上である。このような高濃度の塩素水で洗浄し、タンパク質分解生成物などを抽出させる場合、ゴム成形体の表面が塩素化されて粗くなり、その表面積が増大することから、洗浄初期においては抽出速度が速まる。しかしながら、塩素化の進行とともにゴムの表面が分子運動を行いにくい素材に変化したり、あるいはタンパク質の分解残渣であるアミノ酸類が酸化重合し、成形体表面に皮膜を形成することから、抽出が阻害され、結果として洗浄の効果が低下してしまう。一方、本発明における洗浄液は、塩素含有量が0.02重量%以下であることから、前述のような塩素化の進行にともなう洗浄効果の低下は見られない。
【0033】
上記遊離塩素を含有するアルコール−水混合液を用いるときも、前述と同様の条件にて洗浄処理を行えばよいが、洗浄温度が高いときは塩素含有量を多くし、逆に洗浄温度が低いときは塩素含有量を少なくすることにより、洗浄条件の適性化を図ることができる。なお、塩素含有量が0.005重量%よりも少ないときは、脱タンパク天然ゴムラテックス成形体を膨潤させる能力が低いために、洗浄の効果が低くなる。
【0034】
本発明の脱タンパク天然ゴムラテックス成形体の製造方法は、フォームラバー等の発泡製品、手袋、コンドーム、カテーテルなどの浸漬製品などの種々の形態の天然ゴム製品を製造するのに用いることができる。
【0035】
【実施例】
実施例1
(脱タンパク天然ゴムラテックス成形体の作製)
フィールドラテックス(ゴム固形分30%)に、ゴム固形分に対して非イオン−陰イオン複合系界面活性剤1%、プロテアーゼ0.02%となるように添加し、40℃で24時間酵素反応させた。
【0036】
上記フィールドラテックスにはマレーシアFELDA社のラテックスを、非イオン−陰イオン複合系界面活性剤には花王(株)のエマールE−70C(ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム)を、プロテアーゼとしては花王(株)製のアルカリプロテアーゼをそれぞれ用いた。
酵素処理後、ゴム固形分の濃度が10%となるように水で希釈し、デラバル型連続遠心分離機(遠心分離時の加速度:約10000G)を用い、固形ゴム分の濃度が65%になるまで濃縮精製した。濃縮精製により得られたクリームを、再度ゴム成分が10%になるように水で希釈し、再度遠心分離を行って、ゴム固形分の濃度65%、生ゴムの窒素含有量(N%)が0.007%の脱タンパク天然ゴムラテックスを得た。
【0037】
このラテックスを原料とし、このラテックスのゴム固形分100重量部に対して、硫黄1重量部、酸化亜鉛1重量部、ジ−n−ブチルジチオカルバミン酸亜鉛0.6重量部を添加し、30℃で24時間加硫を行った。さらに、加硫により得られた前加硫ラテックスを用い、ゴム膜の平均厚さが0.25mmである天然ゴム製手袋を作製した。
(天然ゴムラテックス成形体の洗浄)
上記の方法にて得られた成形体(ゴム手袋)を2cm角に切り取って試料とし、エタノールを50重量%含むアルコール−水混合液を、試料1gにつき300g用い、40℃程度の温度で30分程度軽く攪拌しながら、試料中に残存するタンパク質分解生成物を洗浄除去した。
実施例2〜9および比較例2〜5
実施例1と同様にして脱タンパク天然ゴムラテックスからなるゴム製手袋を作製し、2cm角の試料を作製した。次いで、この試料を用い、洗浄処理をするための混合液の組成、処理温度および処理時間が異なるほかは、実施例1と同様にして洗浄処理を行った。
【0038】
各実施例および比較例で用いた処理液の組成は下記の表1に示した。なお、比較例2の処理液は純水を用いた。
比較例1
実施例1と同様にして脱タンパク天然ゴムラテックスからなるゴム製手袋を作製し、2cm角の試料を作製し、洗浄処理を行わずに試料中に残存したタンパク質の量を測定した。
洗浄処理効果の評価
洗浄処理前の試料と、各実施例および比較例2〜5において洗浄処理された試料と比較例1の試料とを、それぞれ乾燥させた状態で使用し、試料400mg当たり純水5mlを用いて、40℃で1時間タンパク質の抽出を行った。抽出されたタンパク類似物質は、改良ローリー試薬を用いるSIGMA社のタンパク定量キット(Procedure No.P5656)により、タンパク質を沈澱させない直接法を用いて750nmの吸光度を測定し、抽出液のタンパク質量をアルブミンを標準物質として作製した検量線からアルブミン換算量として求め、試料1g当たりに換算した値をラテックス成形体の残存タンパク質量とした。
【0039】
上記評価の結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0003560294
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、微量に残存するアレルギー誘発物質が除去された脱タンパク天然ゴムラテックス成形体を容易に製造することができる。
従って、タンパク質分解処理後に、遠心分離や限外ろ過などを繰り返し行う必要がなく、アレルギーを引き起こす心配がなく、かつ品質のよい天然ゴム製品を容易に製造することができる。

Claims (3)

  1. タンパク質分解処理を行い、分解生成物を除去した脱タンパク天然ゴムラテックスを加硫・成形した後、アルコールの割合が5〜80重量%であるアルコール−水混合液で洗浄することを特徴とする、微量残存アレルギー誘発物質が除去された脱タンパク天然ゴムラテックス成形体の製造方法。
  2. 上記アルコールが、炭素数1〜5の脂肪族アルコールまたは炭素数1〜2のアルコキシ基が置換した炭素数1〜5の脂肪族アルコールである請求項1記載の脱タンパク天然ゴムラテックス成形体の製造方法。
  3. 上記アルコール−水混合液が、遊離塩素を0.02重量%以下の割合で含む請求項1記載の脱タンパク天然ゴムラテックス成形体の製造方法。
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