JP2005036046A - ゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスとその製造方法およびそれを用いた脱蛋白天然ゴム - Google Patents

ゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスとその製造方法およびそれを用いた脱蛋白天然ゴム Download PDF

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Abstract

【課題】ゲル分を経時的に上昇する量を超えて含有する脱蛋白天然ゴムラテックスとその製造方法、および短期間の貯蔵によって得られる、ゲル分の多い脱蛋白天然ゴムを提供する。
【解決手段】本発明に係るゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスは、トルエン不溶分として測定されるゲル分の含有率が30重量%以上であることを特徴とする。かかる脱蛋白天然ゴムラテックスは、(1)天然ゴムラテックスにカルボキシラト基を有する化合物を配合し、さらに蛋白分解酵素を加えて蛋白分解処理を施すことにより、または(2)天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素と界面活性剤とを加えて蛋白分解処理を施した後、カルボキシラト基を有する化合物を配合することにより、調製される。本発明に係る脱蛋白天然ゴムは、本発明に係るゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスを固形化してなるものである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、経時的に上昇し得る含有率の限度を超えてゲル分を含有する脱蛋白天然ゴムラテックスと、その製造方法およびそれを用いた脱蛋白天然ゴムとに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、天然ゴムラテックスにはアレルギー源となる蛋白質が多量に含まれていることから、皮膚と直接に接触する手袋等のゴム製品では、長時間使用することによって様々なアレルギー症状を生じることがある。そこで、近年、天然ゴムラテックスから蛋白質を除去した、いわゆる脱蛋白天然ゴムラテックス(DPNRラテックス)が開発されている。
【0003】
このDPNRラテックスは、通常、蛋白分解酵素の作用により蛋白質を分解除去したものであって、蛋白質で形成されたゴム分子の分岐が切断されるといった理由により、脱蛋白処理を施していない天然ゴムラテックスに比べてゲル分の含有率が著しく低いことを特徴としている。また、このことに起因して、浸漬法によるゴム皮膜の成膜性や当該ゴム皮膜の加硫物性が、天然ゴムラテックスに比べて低いという問題がある。
【0004】
ゲル分の含有率は、天然ゴムラテックスとDPNRラテックスのいずれについても、ラテックスを採取(調製)した後の貯蔵(保存)期間に比例して上昇する。しかしながら、天然ゴムラテックスのゲル分含有率が、ラテックスの採取後、1〜2週間の貯蔵によって30〜40重量%程度にまで上昇するのに対し、DPNRラテックスのゲル分含有率は、調製後(脱蛋白処理後)、3ヶ月間貯蔵しても20重量%程度までしか上昇しない。しかも、その後、長期に亘って貯蔵してもゲル分の含有率はほとんど上昇しない。
【0005】
従って、DPNRラテックスを用いて浸漬製品を得るには、DPNRラテックスの調製後に、少なくとも3ヶ月程度貯蔵する必要が生じる。しかも、DPNRラテックスをたとえ3ヶ月程度貯蔵したとしても、そのゲル分含有率は20重量%程度であることから、浸漬成形時の成膜性や浸漬製品の加硫物性を十分に向上させることはできない。
ところで、DPNRラテックスのゲル分含有率が低いことに伴う問題点については、DPNRラテックスからなる固形の脱蛋白天然ゴムについても同様である。従来、ゲル分の含有率が低い脱蛋白天然ゴムについては、引裂特性等の機械的特性の改善が期待されており(特許文献1参照)、逆にゲル分の含有率が高い固形天然ゴムは混練しにくく、加工性が低いとされているものの(特許文献2参照)、脱蛋白天然ゴムの使用状況、加工条件等によっては、ゲル分の含有率が低いことに起因して加工性や加硫物性の面で不利益を被る場合があることが見出されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−56903号公報(段落〔0011〕)
【特許文献2】
特開平11−12306号公報(段落〔0004〕,〔0008〕,〔0021〕)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、ゲル分を経時的に上昇する量を超えて含有する脱蛋白天然ゴムラテックスと、その製造方法とを提供することである。
本発明の他の目的は、短期間の貯蔵によって得られる、ゲル分の多い脱蛋白天然ゴムを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスは、トルエン不溶分として測定されるゲル分の含有率が30重量%以上であることを特徴とする。
また、本発明に係るゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法は、
(1)天然ゴムラテックスにカルボキシラト基を有する化合物を配合した後、当該ラテックスに蛋白分解酵素を加えて蛋白分解処理を施す、または
(2)天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素と界面活性剤とを加えて蛋白分解処理を施した後、当該ラテックスにカルボキシラト基を有する化合物を配合する
ことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、従来のDPNRラテックスでは達成することのできなかった高いゲル分の含有率を得ることができ、しかもその高いゲル分含有率を短い貯蔵期間で得ることが可能になる。その結果、かかるDPNRラテックスを用いて得られる浸漬製品の成膜性や物性等を改善することが可能になる。
本発明に係るゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスは、窒素含有率が0.1%以下であるのが好ましい。窒素含有率が0.1%以下になるまで脱蛋白処理が施されたラテックスは、蛋白質の含有量が少ないことから、アレルギーを引き起こすおそれの低い浸漬製品を製造するのに好適である。
【0010】
本発明に係るゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスは、カルボキシラト基を有する化合物を含有するのが好ましい。ラテックス中にカルボキシラト基を有する化合物が含まれることによって、高いゲル分含有率を短い貯蔵期間で得ることができる。
上記目的を達成するための、本発明に係る脱蛋白天然ゴムは、本発明に係るゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスを固形化してなるものである。本発明に係る脱蛋白天然ゴムラテックスを固化することによって、ゲル分の含有率が高い脱蛋白された固形の天然ゴムを、しかも極めて短期間の貯蔵によって得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
<ゲル分の含有率>
本発明において、ラテックス中のゲル分含有率は、トルエン不溶分として測定した値を意味する。
ゲル分含有率の測定は、次のようにして行われる。まず、測定対象となるラテックスをガラスプレート上に流延して、室温で乾燥することによりフィルムを作製し、このフィルムを1mm×1mmの大きさに切断してサンプルとする。次いで、このサンプル70.00mgを量り取って、これに35mLのトルエンを加えて冷暗所にて1週間静置する。静置後、遠心分離処理を施してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ、上澄みのトルエン可溶分を除去する。沈殿したゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥させて重量を測定する。こうして測定されたゲル分の乾燥重量(mg)と、最初のサンプル重量(=70.00mg)とから、式:
ゲル分含有率=[(ゲル分の乾燥重量)/(最初のサンプル重量)]×100
によりゲル分含有率(%)が求められる。
【0012】
本発明において、脱蛋白天然ゴムラテックスのゲル分の含有率は、上記範囲のなかでも特に35重量%以上であるのが好ましい。
脱蛋白天然ゴムラテックスのゲル分含有率の上限については特に限定されるものではないが、加工性や加硫物性の観点から、およびゲル分含有率を上昇させる限度の観点から、当該ゲル分含有率は50重量%以下であるのが好ましい。
<カルボキシラト基を有する化合物>
脱蛋白処理前または脱蛋白処理後に天然ゴムラテックス中に添加される、カルボキシラト基(−COO)を有する化合物としては、例えば
(a)炭素数が8〜22である飽和または不飽和の脂肪酸、
(b)ポリカルボン酸、
(c)アミド基等の窒素原子を含む基とカルボキシラト基とを有する化合物
等が挙げられる。これらの化合物は塩であってもよい。かかる塩としては、例えばナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の金属塩や、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0013】
上記(a)の具体例としては、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸等が挙げられる。上記(b)の具体例としては、ポリカルボン酸型の高分子界面活性剤等が挙げられる。上記(c)の具体例としては、アミノ酸、アミドカルボン酸等が挙げられ、より具体的にはβ−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。
カルボキシラト基を有する化合物は、後述のとおり、(i)天然ゴムラテックスに対する蛋白分解処理時に配合してもよく、(ii)蛋白分解処理後に配合してもよい。
【0014】
<ゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法>
本発明に係るゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスは、前述のように、
(1)天然ゴムラテックスにカルボキシラト基を有する化合物を配合した後、当該ラテックスに蛋白分解酵素を加えて蛋白分解処理を施す、または
(2)天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素と界面活性剤とを加えて蛋白分解処理を施した後、当該ラテックスにカルボキシラト基を有する化合物を配合する
ことによって得られる。
【0015】
(上記(1)の方法による脱蛋白処理)
上記(1)の製造方法による場合(蛋白分解処理時にカルボキシラト基を有する化合物を配合する場合)において、カルボキシラト基を有する化合物は、蛋白分解処理時の界面活性剤としての作用を兼ねて配合される。この場合の、カルボキシラト基を有する化合物の配合量は特に限定されるものではないが、ラテックス中のゴム固形分100重量部に対して0.01〜10重量部とするのが好ましく、1〜3重量部とするのがより好ましい。
【0016】
蛋白質の分解処理(蛋白分解処理)に使用する蛋白分解酵素(プロテアーゼ)は特に限定されるものではなく、従来公知の種々のプロテアーゼを採用することができるが、中でもアルカリプロテアーゼを用いるのが好適である。蛋白分解酵素は、細菌、糸状菌、酵母等のいずれに由来するものであってもよいが、これらの中では、細菌由来のものであるのが好ましく、特にBacillus属のものであるのが好ましい。また、リパーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、ラッカーゼ、セルラーゼ等の酵素を併用することも可能である。
【0017】
アルカリプロテアーゼを用いる場合において、その活性〔アンソン−ヘモグロビン法(Anson.M.L.,J.Gen.Physiol.,22,79(1938))の改良法による測定値〕は0.1〜50APU/g、好ましくは1〜25APU/gであるのが適当である。
蛋白分解処理に使用する蛋白分解酵素の量はプロテアーゼ自体の活性に応じて変動するものであって、特に限定されるものではない。しかし、一般的には、蛋白分解酵素の含有量が天然ゴムラテックス中のゴム分100重量部に対して0.0001〜20重量部となるように調整するのが好ましく、0.001〜10重量部となるように調整するのがより好ましい。蛋白分解酵素の含有量が上記範囲内であると、酵素の活性を保持しつつラテックス中の蛋白質を十分に分解することができ、あるいは酵素の使用量に見合った効果を有効に発現でき、コスト的に有利になる。
【0018】
脱蛋白天然ゴムラテックスを得るための出発原料となる天然ゴムラテックスは、天然のゴムの木から得られたラテックスを意味する。本発明において、当該ラテックスには、新鮮なフィールドラテックスや、市販のアンモニア処理ラテックス等のいずれも使用可能である。
蛋白分解処理は、前述の蛋白分解酵素を単独でまたは2種以上混合して天然ゴムラテックス中に添加し、数時間〜1週間程度熟成することによって行われる。
【0019】
蛋白分解処理時のラテックスのpHは、使用する蛋白分解酵素の至適pHに応じて適宜設定すればよい。また、蛋白分解処理時のラテックスの温度は、使用する蛋白分解酵素の至適温度に応じて設定されるものであって特に限定されるものではないが、通常、5〜90℃に設定するのが好ましく、20〜60℃に設定するのがより好ましい。
蛋白分解処理を終えた天然ゴムラテックスには、さらに遠心分離、ゴム分の凝固、限外ろ過等の処理を経ることによって、ゴム分と、蛋白質およびその分解物との分離ならびに除去(洗浄処理)が施される。かかる洗浄処理を経ることによって、脱蛋白処理が施されてアレルギー性が低減された、いわゆる脱蛋白天然ゴムラテックスとなる。
【0020】
遠心分離によって上記洗浄処理を行う場合において、遠心分離処理の回数は1回で十分であるが、ゴム分の損失および歩留まりの低下に伴う不利益を被ることのない範囲であれば2回以上行ってもよい。
(上記(2)の方法による脱蛋白処理)
上記(2)の製造方法による場合(カルボキシラト基を有する化合物を蛋白分解処理後に配合する場合)において、当該化合物の配合量は特に限定されるものではないが、ラテックス中のゴム固形分100重量部に対して、その配合量を0.01〜10重量部とするのが好ましく、1〜3重量部とするのがより好ましい。
【0021】
蛋白分解処理に使用する蛋白分解酵素の種類およびその量、出発原料となる天然ゴムラテックスの種類、ならびに蛋白分解処理の諸条件等については、上記(1)に示す場合と同様にして適宜設定すればよい。
上記(2)の製造方法においては、蛋白分解処理時のラテックスの安定を図るために、安定剤としての界面活性剤が配合される。界面活性剤の配合は、蛋白分解酵素による処理の前にあらかじめ、または当該処理中に必要に応じて行われるものであって、処理の対象となるラテックスに対して0.01〜10重量%の範囲で配合すればよい。
【0022】
蛋白分解処理時に配合される界面活性剤としては、例えばアニオン界面活性、ノニオン界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤には、例えばカルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の界面活性剤が挙げられる。ノニオン界面活性剤には、例えばポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等の界面活性剤が挙げられる。
【0023】
蛋白分解処理後の天然ゴムラテックスに対する洗浄処理についても、上記(1)に示す場合と同様にして、その諸条件を適宜設定すればよい。
<窒素含有率>
本発明の脱蛋白天然ゴムラテックスにおける脱蛋白の程度は特に限定されるものではないが、最終のゴム製品についてのアレルギー性をより一層低くするという観点から、脱蛋白処理後のケルダール法による窒素含有量(N%)が0.1%以下となるように調整するのが好ましい。上記窒素含有量(N%)は、上記範囲の中でも特に0.05%以下であるのが好ましく、0.02%以下であるのがより好ましい。
【0024】
脱蛋白の程度は、赤外線吸収スペクトルでの蛋白質に基づく吸収の有無および吸収の程度によっても確認することができる。本発明の脱蛋白処理剤によって処理されたゴムには、短鎖ペプチドまたはアミノ酸に由来する3320cm−1の吸収が観察されてもよいが、アレルギーの原因となる高分子ポリペプチドに由来する3280cm−1の吸収は小さい方が好ましく、3280cm−1に吸収が全く観察されないのがより好ましい。
【0025】
<ゲル分の多い脱蛋白天然ゴムの製造方法>
本発明に係る脱蛋白天然ゴムは、本発明に係るゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスを固形化してなるものである。
脱蛋白天然ゴムラテックスの固形化は、通常の固形ゴム(生ゴム)の作製方法と同様にして行えばよく、例えばスモークド・シート(RSS)やペールクレープの作製法に準じて行えばよい。
【0026】
スモークド・シート(RSS)の作製法は次のとおりである。まず、リン酸マグネシウムを除去したゴムラテックスを凝固槽に入れ、必要に応じて水を入れて約20%濃度に調整し、凝固薬品として主に酢酸またはギ酸を加える。生成する凝固物を、二本ロールを通しながら、上から水を注いで漿液をしぼる。水洗しながら一定の厚みになったところで、型付ロールにかける。次いで、煙室に吊るして煙で燻しながら乾燥させる。乾燥室内の温度は45〜60℃程度とする。ここで、スモーキングすることなく、ADS(Air Dried Sheet)としてもよい。ペールクレープは、凝固剤を添加する前に腐敗の防止と純白化のために重亜硫酸ナトリウムを加え、自然通風または熱風を強制通風するトンネル式乾燥方法によって乾燥し、クレープをロールに押し出して得られる。
【0027】
【実施例】
<脱蛋白天然ゴムラテックスおよび脱蛋白天然ゴムの製造>
(実施例1)
(1)脱蛋白処理
天然ゴムのハイアンモニアラテックス(ゴム固形分60重量%、ケルダール法による窒素含有量0.3%)を、その固形分(ゴム分)濃度が30重量%となるように希釈した。
【0028】
次いで、ハイアンモニアラテックスのゴム分100重量部に対し、アルカリプロテアーゼ(蛋白分解酵素)0.07重量部と、β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム〔三洋化成工業(株)製の商品名「レボンAPL」〕1.0重量部とを添加して、30℃で24時間静置した(蛋白分解処理)。静置後、ラテックスに、13000rpmで30分間遠心分離処理を施し(洗浄処理)、上層に分離したクリーム分を取り出した。さらに、このクリーム分を同体積の水に再分散させることによって、脱蛋白天然ゴムラテックスを得た。
【0029】
得られた脱蛋白天然ゴムラテックスの窒素含有量をケルダール法によって測定したところ、0.017%であった。なお、前述の商品名「レボンAPL」は、本発明にいうカルボキシラト基を有する化合物に該当するものである。
(2)ゴムの固形化処理
上記(1)で得られた脱蛋白天然ゴムラテックスをイオン交換水で希釈して、ゴム固形分の濃度を15重量%にまで低下させた後、5重量%のギ酸を添加した。こうして凝固したゴム分から漿液を搾り出し、45℃のオーブンで乾燥させることによって、固形の脱蛋白天然ゴムを得た。
【0030】
(実施例2)
蛋白分解処理の際に、前述の商品名「レボンAPL」に代えて、特殊ポリカルボン酸系高分子界面活性剤〔花王(株)製の商品名「デモールEP」〕を天然ゴムラテックス中に配合したほかは、実施例1の(1)と同様にして脱蛋白処理を行った。なお、前述の商品名「デモールEP」は、本発明にいうカルボキシラト基を有する化合物に該当するものである。
【0031】
次いで、こうして得られた脱蛋白天然ゴムラテックスを用いて、実施例1の(2)と同様にして固形の脱蛋白天然ゴムを得た。
(実施例3)
蛋白分解処理の際に、前述の商品名「レボンAPL」に代えて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(アニオン界面活性剤)を天然ゴムラテックス中に配合したほかは、実施例1の(1)と同様にして脱蛋白処理を行った。次いで、こうして得られた脱蛋白天然ゴムラテックスのゴム分100重量部に対して、オレイン酸を0.5重量部添加して、60分間静置した。なお、上記「オレイン酸」は、本発明にいうカルボキシラト基を有する化合物に該当するものである。
【0032】
さらに、こうして得られた脱蛋白天然ゴムラテックスを用いて、実施例1の(2)と同様にして固形の脱蛋白天然ゴムを得た。
(実施例4)
蛋白分解処理の際に、前述の商品名「レボンAPL」に代えて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを天然ゴムラテックス中に配合したほかは、実施例1の(1)と同様にして脱蛋白処理を行った。次いで、こうして得られた脱蛋白天然ゴムラテックスのゴム分100重量部に対して、前述の商品名「レボンAPL」を0.5重量部添加して、60分間静置した。
【0033】
さらに、こうして得られた脱蛋白天然ゴムラテックスを用いて、実施例1の(2)と同様にして固形の脱蛋白天然ゴムを得た。
(比較例1)
蛋白分解処理の際に、前述の商品名「レボンAPL」に代えて、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを天然ゴムラテックス中に配合したほかは、実施例1の(1)と同様にして脱蛋白処理を行った。
【0034】
次いで、こうして得られた脱蛋白天然ゴムラテックスをそのまま用いて、実施例1の(2)と同様にして固形の脱蛋白天然ゴムを得た。
<ゲル分含有率の測定>
上記実施例および比較例で得られた脱蛋白天然ゴムラテックスを、それぞれガラスプレート上に流延してフィルムを作製し、個々のフィルムを1mm×1mmの大きさに切断してサンプルとした。次いで、このサンプルを、各実施例および比較例で70.00mg量り取って、これに35mLのトルエンを加えて冷暗所にて1週間静置した。静置後、遠心分離処理を施してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ、上澄みのトルエン可溶分を除去した。さらに、沈殿したゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥させて重量を測定して、測定されたゲル分の乾燥重量(mg)と、最初のサンプル重量(=70.00mg)とから、次式によりゲル分含有率(%)を算出した。
【0035】
ゲル分含有率=[(ゲル分の乾燥重量)/(最初のサンプル重量)]×100
ゲル分含有率の測定は、脱蛋白天然ゴムラテックスを調整した直後(カルボキシラト基を有する化合物を後添加した場合には、その添加から1時間静置後)と、当該ラテックスを2週間静置(貯蔵)した後の2回にわたって測定した。
ゲル分含有率の測定結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 2005036046
【0037】
表1より明らかなように、蛋白分解処理時または脱蛋白処理後(蛋白分解処理後)に、ラテックス中にカルボキシラト基を有する化合物を配合した実施例1〜4によれば、2週間のわずかな貯蔵期間を経ることによって、30重量%を超える極めて高いゲル分含有率を示す脱蛋白天然ゴムラテックスを得ることができた。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。

Claims (6)

  1. トルエン不溶分として測定されるゲル分の含有率が30重量%以上であることを特徴とするゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックス。
  2. 窒素含有率が0.1%以下である請求項1記載のゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックス。
  3. カルボキシラト基を有する化合物を含有する請求項1または2記載の脱蛋白天然ゴムラテックス。
  4. 天然ゴムラテックスにカルボキシラト基を有する化合物を配合した後、当該ラテックスに蛋白分解酵素を加えて蛋白分解処理を施すことを特徴とする、ゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法。
  5. 天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素と界面活性剤とを加えて蛋白分解処理を施した後、当該ラテックスにカルボキシラト基を有する化合物を配合することを特徴とする、ゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のゲル分の多い脱蛋白天然ゴムラテックスを固形化してなる脱蛋白天然ゴム。
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