JP3806317B2 - ゴム風船 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、特に玩具等に使用されるゴム風船に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
玩具用などとして広く普及しているゴム風船は、伸びが大きく、弾性が高く、かつ被膜が強いことなどが求められる上、特に安価であることが求められることから、従来は、天然ゴムラテックスを用いて、浸漬法によって製造される。
すなわち天然ゴムラテックスに、加硫剤その他の添加剤を加えた配合ラテックスを作製し、この配合ラテックスにゴム風船の型を浸漬して引き上げ、乾燥して天然ゴムの膜を形成した後、型ごと加熱して加硫させることでゴム風船を製造している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが従来のゴム風船は、無着色の状態で、黄色味を帯びた濁った色調を有している。しかもその色調が、天然ゴムラテックスの原産地や産出時期等の違いに基づいて大きくばらつくという問題がある。
このため従来のゴム風船を着色する場合には、正しい色を再現しようとすると隠ぺい性の高い濃い色で着色せねばならず、逆に淡い色の場合は色の濁りを承知の上で着色しているのが現状である。
【0004】
また従来のゴム風船は、天然ゴム特有の強い臭い(ゴム臭)を有している。
しかもゴム風船の原料である天然ゴムラテックスは、最近の研究では、即時型(I型)アレルギーを誘発する可能性のあることが明らかとなってきている。
玩具用のゴム風船は、子供が口にする可能性が高いものであるため、強いゴム臭や、あるいはアレルギーを誘発する可能性等は極力、排除することが望まれる。
【0005】
さらに従来のゴム風船は、特に息を吹き込んで膨らます際に、膨らまし始めが膨らましにくいという問題もある。このため子供は言うまでもなく、例え大人であっても、膨らますのに失敗するとゴム風船が急激に縮み、内部の空気が口の中に逆流して、耳下腺の付近が痛くなったりする場合を生じる。
この発明の目的は、伸びが大きく、弾性が高く、かつ被膜の強さが強いという天然ゴムの特性を損なうことなしに、色の濁りやゴム臭、アレルギーを誘発する可能性などを極力、排除し、しかも息を吹き込んで膨らます際にこれまでより簡単に膨らますことのできるゴム風船を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
アレルギーの原因は、天然ゴムラテックス中に含まれるタンパク質が抗原として作用することにある。このためアレルギーの誘発を抑制すべく、タンパク質を極力、除去した脱タンパク天然ゴムについて種々、研究が行われている。
今般、発明者らは、この脱タンパク天然ゴムラテックスを、ゴム風船に使用することを検討した。これは、前述した種々の問題の原因が、いずれも天然ゴムラテックス中に含まれるタンパク質にあると考えたためである。
【0007】
そうしたところ、タンパク質を、固形分すなわちゴム分子中の窒素含有率(N%)で表して0.1%以下のレベルまで除去した脱タンパク天然ゴムにて形成したゴム風船は、アレルギーの誘発を抑制できるだけでなく、色味が乳白色ないし白色で濁りがなく、かつ天然ゴム特有のゴム臭がしない上、加硫後のモジュラスを低くして特に膨らまし初めに膨らましやすくできることを見出し、この発明を完成するに至った。
【0008】
したがってこの発明のゴム風船は、タンパク質を、固形分中の窒素含有率(N%)で表して0.1%以下まで除去した脱タンパク天然ゴムラテックスにて形成され、切断時伸びEbが1020〜1100%、伸び100%時の引張応力M1000.41〜0.51MPa、伸び300%時の引張応力M3000.56〜0.79MPaであることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明を説明する。
〔脱タンパク天然ゴムラテックス〕
この発明のゴム風船の原料となる脱タンパク天然ゴムラテックスとしては、前記のようにタンパク質を、固形分中の窒素含有率(N%)で表して0.1%以下まで除去したものが使用される。
【0010】
タンパク質を、上記の範囲を超える割合で含む天然ゴムラテックスは、脱タンパクが不十分である。そして製造されたゴム風船は、残留したタンパク質により、無着色の状態での色味が、前記のように黄色味を帯びた濁った色調となる。また、天然ゴムラテックスの原産地や産出時期等の違いによって、含まれるタンパク質の種類と量が相違することから、前記のように無着色の状態での色調が大きくばらついてしまう。また天然ゴム特有のゴム臭がする上、モジュラスが高くなって膨らますのが難しくなる。
【0011】
なおこれらの問題が発生するのを防止して、より良好なゴム風船を得るためには、脱タンパク天然ゴムラテックス中のタンパク質は、少なければ少ないほど好ましい。しかし脱タンパクの度合いを高めようとすればするほど、その作業に時間と手間とを要することになるため、脱タンパク天然ゴムラテックスのコストが高くつくことになり、特に安価な玩具用のゴム風船においてはそのコストを圧迫することになり兼ねない。
【0012】
それゆえこれらの点を併せ考慮すると、脱タンパク天然ゴムラテックス中のタンパク質は、前記の範囲内でも特に、固形分中の窒素含有率(N%)で表して0.05%以上であるのが好ましく、0.07〜0.09%であるのがさらに好ましい。
窒素含有率(N%)は、よく知られているようにケルダール(Kjeldahl)法によって求められる数値である。この窒素含有率(N%)の6.3倍量が、通常は、脱タンパク天然ゴムラテックスの固形分(ゴム分)中の、タンパク質の含有率に相当する。
【0013】
脱タンパク天然ゴムラテックスは、従来と同様にして製造することができる。
すなわち
(i) 非常に希釈した天然ゴムラテックス中のゴム粒子を凝集させる、
(ii) 非常に希釈した天然ゴムラテックスを、遠心分離機にかけて濃縮ラテックスを分離する、
(iii) 天然ゴムラテックスを透析する、
(iv) 天然ゴムラテックス中のタンパク質を、バクテリアまたは酵素によって分解する、
(v) 天然ゴムラテックスにアルカリを加えて加熱することでタンパク質を分解させる、
(vi) セッケン類により、ゴム粒子に吸着しているタンパク質を遊離させる、
等の方法を適当に組み合わせることで、脱タンパク天然ゴムラテックスが製造される。
【0014】
その具体的な処理の方法としては、例えば
(A) タンパク質分解酵素と界面活性剤とで天然ゴムラテックスを同時または順次処理して一定時間放置することで酵素分解させたのち、分解したタンパク質とゴム分とを分離する方法や、あるいは
(B) アンモニア保存の濃縮ラテックスのアンモニア濃度を0.2%に下げた上で、保存剤としてナフテン酸アンモニウム0.4phrを添加後、タンパク質分解酵素(superase)0.25phrを添加して20時間、酵素分解させる方法、等があげられる。
【0015】
特に前者の(A)の方法によれば、比較的簡単な操作で、天然ゴムラテックス中のタンパク質を、非常に高いレベルで除去することができる。
原料である天然ゴムラテックスとしては、天然のゴムの木から得られた新鮮なフィールドラテックス、市販のアンモニア処理ラテックスのいずれを使用することもできる。
また(A)の方法に使用されるタンパク質分解酵素はとくに限定されず、例えばアルカリプロテアーゼ等の、従来公知の種々のものが、いずれも使用可能である。プロテアーゼの由来としては細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母由来のもののいずれでも構わないが、これらの中では細菌由来のプロテアーゼを使用するのが好ましい。またリパーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、ラッカーゼ、セルラーゼ等の他の酵素を併用しても良い。
【0016】
タンパク質分解酵素の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.0001〜20重量部であるのが好ましく、0.001〜10重量部であるのがさらに好ましい。
タンパク質分解酵素の添加量がこの範囲未満では、天然ゴムラテックス中のタンパク質を十分に分解できなくなるおそれがある。一方、タンパク質分解酵素の添加量が前記範囲を超えると、酵素の活性が低下して、却って天然ゴムラテックス中のタンパク質を十分に分解できなくなるおそれがある。また、コストアップにつながるおそれもある。
【0017】
また界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤のうちの少なくとも1種が使用可能である。
このうち陰イオン性界面活性剤としては、例えばカルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イオン性界面活性剤があげられる。
カルボン酸系の陰イオン性界面活性剤としては、例えば例えば炭素数が6〜30である脂肪酸塩、多価カルボン酸塩、ロジン酸塩、ダイマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩等があげられ、これらの中では炭素数10〜20のカルボン酸塩が好ましい。炭素数が6以下では、タンパク質や不純物の分散と乳化が不十分となり、30以上では水に分散しにくくなる。
【0018】
スルホン酸系の陰イオン性界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ジフェニルエーテルスルホン酸塩等があげられる。
硫酸エステル系の陰イオン性界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、ジスチレン化フェノール硫酸エステル塩、トリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレントリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、α−オレフィン硫酸エステル塩、アルキルコハク酸硫酸エステル塩等があげられる。
【0019】
リン酸エステル系の陰イオン性界面活性剤としては、例えばアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンリン酸エステル塩等があげられる。
なおこれらの陰イオン性界面活性剤を形成する塩としては、例えば金属塩(Na、K、Ca、Mg、Zn等)、アンモニア塩、アミン塩(トリエタノールアミン塩等)などがあげられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等の非イオン性界面活性剤があげられる。
【0020】
このうちポリオキシアルキレンエーテル系の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンポリオールアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化フェノールエーテル、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノールエーテル、ポリオキシアルキレントリスチレン化フェノールエーテル等があげられる。
【0021】
なおポリオールとしては、炭素数2〜12の多価アルコールがあげられる。具体的には、例えばプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、グルコース、シュクロース、ペンタエリスリトール、ソルビタン等があげられる。
ポリオキシアルキレンエステル系の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等があげられる。
多価アルコール脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤としては、炭素数2〜12の多価アルコールの脂肪酸エステルまたはポリオキシアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルがあげられる。より具体的には、例えばソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル等があげられる。また、これらのポリアルキレンオキサイド付加物(例えば、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル等)も使用可能である。
【0022】
糖脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤としては、例えばショ糖、グルコール、マルトース、フラクトース、多糖類の脂肪酸エステル等があげられ、これらのポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能である。
アルキルポリグリコシド系の非イオン性界面活性剤としては、例えばアルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルポリグルコシド等があげられ、これらの脂肪酸エステル類やポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能である。
【0023】
上記陰イオン性および非イオン性の界面活性剤におけるアルキル基としては、炭素数4〜30のアルキル基があげられる。また、ポリオキシアルキレン基としては、炭素数2〜4のアルキレン基を有するものがあげられ、例えば酸化エチレンの付加モル数が1〜50モル程度のものが示される。脂肪酸としては、例えば炭素数4〜30の直鎖または分岐した飽和または不飽和脂肪酸があげられる。
両性界面活性剤としては、例えばアミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性界面活性剤があげられる。
【0024】
界面活性剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.001〜20重量部であるのが好ましい。
酵素を添加する際には、pH調整剤その他の添加剤を添加してもよい。
pH調整剤としては、例えばリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等のリン酸塩、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、硫酸、酢酸、塩酸、硝酸、クエン酸、コハク酸などの酸類またはその塩、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等があげられる。pH調整剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.01〜0.5重量部であるのが好ましい。
【0025】
他の添加剤としては分散剤が例示される。分散剤としては、例えばスチレンスルホン酸共重合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸、多環型芳香族スルホン酸共重合物、アクリル酸および無水マレイン酸のホモポリマーおよび共重合物、イソブチレン−アクリル酸およびイソブチレン−無水マレイン酸共重合物等があげられる。
タンパク質分解酵素と界面活性剤とで天然ゴムラテックスを同時または順次処理した後、放置する時間は特に限定されないが、数分から1週間程度であるのが好ましい。放置中、天然ゴムラテックスは随時または常時、かく拌してもよく、静置してもよい。温度調節は必要に応じてすればよいが、適当な温度は5〜90℃、より好ましくは20〜60℃である。温度が90℃を超えると酵素の失活が早く、5℃未満であれば酵素の反応が進行しにくくなる。
【0026】
上記放置によってタンパク質の分解処理を行った後、分解したタンパク質を洗浄除去してゴム分と分離する方法としては、例えば遠心分離による方法や、限外ろ過膜を用いて分解タンパク質を除去する限外ろ過法等があげられるが、中でも遠心分離による方法が好ましい。遠心分離する際は、まずタンパク質分解処理を施した天然ゴムラテックスのゴム分が5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるように水で希釈する。次いで、5000〜10000rpmで1〜60分間遠心分離すればよい。
【0027】
遠心分離処理後、上層に分離されたクリーム状のゴム分を取り出す。かかる操作は、ディスク式の遠心分離器で連続的に行ってもよい。そして取り出されたクリーム状のゴム分を水で所定の濃度に希釈することにより脱タンパク天然ゴムラテックスが得られる。
〔ゴム風船およびその製造〕
上記脱タンパク天然ゴムラテックスを用いて製造されるこの発明のゴム風船は、切断時伸びEbが1020〜1100%、伸び100%時の引張応力M1000.41〜0.51MPa、伸び300%時の引張応力M3000.56〜0.79MPaに限定される。これにより、息を吹き込んで膨らます際にこれまでより簡単に膨らますことも可能となる。
上記ゴム風船を製造するには、従来と同様に浸漬法が採用される。
【0028】
すなわちまず、脱タンパク天然ゴムラテックスに加硫剤その他の添加剤を加え、必要に応じて熟成させて配合ラテックスを作製する。
次にこの配合ラテックスに、あらかじめ凝固剤を塗布したゴム風船の型を浸漬したのち引き上げ、乾燥して天然ゴムの膜を形成する工程を、ゴム風船の厚み等に応じて1回または2回以上行う。
そして形成した天然ゴムの膜を型ごと加熱して加硫させると、ゴム風船を製造することができる。
【0029】
上記熟成や型の浸漬、乾燥、あるいは加硫の各工程における、温度や時間等の条件は、従来公知の条件にて適宜設定される。なお単に脱タンパク天然ゴムラテックス中に型を浸漬する成膜法のほかに、静電気力を利用してゴム粒子を凝集させる凝固液法や、感熱凝固剤を含有した脱タンパク天然ゴムラテックスと、加熱した型とを用いる感熱法によって型の表面に天然ゴムの膜を形成することもできる。
【0030】
加硫剤としては、例えば硫黄や有機含硫黄化合物等があげられる。加硫剤の添加量は、脱タンパク天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.5〜1.5重量部であるのが好ましい。
またその他の添加剤としては、例えば加硫促進剤、加硫促進助剤(活性化剤)、老化防止剤、充てん剤、分散剤等の,従来公知の種々の添加剤があげられる。
このうち加硫促進剤としては、例えばPX(N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛)、PZ(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)、EZ(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)、BZ(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)、MZ(2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩)、TT(テトラメチルチウラムジスルフィド)等があげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。その添加量は、脱タンパク天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.5〜2.0重量部であるのが好ましい。
【0031】
加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華等があげられる。その添加量は、脱タンパク天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.5〜3.0重量部であるのが好ましい。
老化防止剤としては、一般に、非汚染性のフェノール類が好適に用いられるが、アミン類を使用してもよい。老化防止剤の添加量は、脱タンパク天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して1〜2重量部であるのが好ましい。
【0032】
充てん剤としては、例えばカオリンクレー、ハードクレー、炭酸カルシウム等があげられる。その添加量は、脱タンパク天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して20重量部以下であるのが好ましい。
分散剤は、主として上記各成分の、脱タンパク天然ゴムラテックス中への分散を良好にするためのものである。かかる分散剤としては、例えば前記例示の陰イオン系界面活性剤等があげられる。分散剤の添加量は、分散対象である成分の総量の、2〜5重量%であるのが好ましい。
【0033】
かくして製造されるこの発明のゴム風船は、前記のように天然ゴムラテックス由来のタンパク質を極力除去したものゆえ、伸びが大きく、弾性が高く、かつ被膜の強さが強いという天然ゴムの特性を損なうことなしに、色の濁りやゴム臭、アレルギーを誘発する可能性などを極力、排除することができ、しかも、加硫後の切断時伸びEbが1020〜1100%、伸び100%時の引張応力M1000.41〜0.51MPa、伸び300%時の引張応力M3000.56〜0.79MPaに調整されていることから、息を吹き込んで膨らます際にこれまでより簡単に膨らますことも可能となる。
【0034】
【実施例】
以下にこの発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
実施例1
〈脱タンパク天然ゴムラテックスの作製〉
ハイアンモニアラテックス(固形分60重量%、アンモニア含有量0.7%、ケルダール法による固形分中の窒素含有率0.3%)を、固形分が30重量%となるように、同量の水で希釈した。
【0035】
次いでこのラテックスに、2重量部のプロテアーゼと98重量部の10%ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム〔界面活性剤、花王(株)製のKP4401〕とを配合した脱タンパク処理剤を、ラテックス中の固形分100重量部に対して1重量部の割合で添加した後、30℃で24時間静置した。
次に上記混合物を、13,000rpmで30分間、遠心分離した後、上層に分離したクリーム状のゴム分を取り出して同量の水で希釈することにより、固形分60重量%、ケルダール法による固形分中の窒素含有率0.08%の、脱タンパク天然ゴムラテックスを得た。
【0036】
〈ゴム風船の製造〉
上記で作製した脱タンパク天然ゴムラテックスに、下記の各成分を、固形分100重量部あたりの添加量が下記の重量部となるように添加し、40℃で24時間熟成させた後、室温(23±1℃)まで冷却して配合ラテックスを得た。
Figure 0003806317
また陶器製のゴム風船の型を50℃に予熱した状態で、20%塩化カルシウム水溶液に10秒間、浸漬して引き上げた。
【0037】
次にこの型を、上記配合ラテックスに10秒間、浸漬して引き上げ、室温で60秒間、乾燥させた後、再び上記配合ラテックスに10秒間、浸漬して引き上げた。
そして100℃で30分間、加熱、加硫した後、型から取り外してゴム風船を得た。
実施例2
加硫促進剤として、加硫促進剤EZに代えて、加硫促進剤BZ(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)0.3重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム風船を得た。
【0038】
実施例3
加硫促進剤として、0.2重量部の加硫促進剤EZと、0.3重量部の加硫促進剤BZとを併用したこと以外は実施例1と同様にしてゴム風船を得た。
実施例4
加硫促進剤として、0.5重量部の加硫促進剤BZを用いるとともに、コロイド硫黄の量を0.7重量部にしたこと以外は実施例1と同様にしてゴム風船を得た。
【0039】
比較例1〜3
脱タンパク天然ゴムに代えて、その原料である未処理のハイアンモニアラテックス(固形分60重量%、アンモニア含有量0.7%、ケルダール法による固形分中の窒素含有率0.3%)を用いたこと以外は実施例1〜3と同様にしてゴム風船を得た。
上記各実施例、比較例のゴム風船について、以下の各試験を行い、その特性を評価した。
【0040】
色味評価
各実施例、比較例のゴム風船の色味を、目視にて観察して評価した。
ゴム臭評価
各実施例、比較例のゴム風船の、ゴム臭の有無を、実際に臭いを嗅いで評価した。
引張特性試験
実施例、比較例のゴム風船を打ち抜いて、ASTM DIE Cに規定された引張試験用の試験片(厚み0.11〜0.12mm)を作製した。そしてこの試験片を用いて、ASTM D−412に所載の試験方法に則って、伸び100%時の引張応力M100(MPa)、伸び300%時の引張応力M300(MPa)、切断時伸び b (%)、および切断時の引張強さ b (MPa)を求めた。
【0041】
結果を表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0003806317
【0043】
表より、実施例1〜4のゴム風船は、比較例1〜3に比べて色味が乳白色で濁りが無い上、天然ゴム特有のゴム臭も無いことがわかった。また上記実施例1〜4のゴム風船は、その原料である脱タンパク天然ゴムラテックスの、ケルダール法による固形分中の窒素含有率が0.08%と小さいことから、比較例1〜3に比べてアレルギーを誘発する可能性が小さいこともわかった。さらに実施例1〜4のゴム風船は、比較例1〜3に比べて、切断時の引張強さTBを同レベルに維持しながら、切断時伸びEbを1020〜1100%、引張応力M1000.41〜0.51MPa、引張応力M3000.56〜0.79MPaにできることも判明した。
【0044】
そしてこれらのことから実施例1〜4のゴム風船は、伸びが大きく、弾性が高く、かつ被膜の強さが強いという天然ゴムの特性を損なうことなしに、色の濁りやゴム臭、アレルギーを誘発する可能性などを極力、排除し、しかも息を吹き込んで膨らます際にこれまでより簡単に膨らますことができるものであることが確認された。

Claims (1)

  1. タンパク質を、固形分中の窒素含有率(N%)で表して0.1%以下まで除去した脱タンパク天然ゴムラテックスにて形成され、切断時伸びEbが1020〜1100%、伸び100%時の引張応力M1000.41〜0.51MPa、伸び300%時の引張応力M3000.56〜0.79MPaであることを特徴とするゴム風船。
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