JP2000017002A - ゴム製品の製造方法およびそれに用いる感熱凝固性ラテックス - Google Patents

ゴム製品の製造方法およびそれに用いる感熱凝固性ラテックス

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JP2000017002A
JP2000017002A JP10329629A JP32962998A JP2000017002A JP 2000017002 A JP2000017002 A JP 2000017002A JP 10329629 A JP10329629 A JP 10329629A JP 32962998 A JP32962998 A JP 32962998A JP 2000017002 A JP2000017002 A JP 2000017002A
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Atsuko Ochi
敦子 越智
Yoshiaki Miyamoto
芳明 宮本
Hideo Nobuchika
英男 信近
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Kao Corp
Fuji Latex Co Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Kao Corp
Fuji Latex Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 界面活性剤によって安定化された脱蛋白天然
ゴムラテックスを用いて、良好な膜厚を有するゴム膜を
形成し得るゴム製品の製造方法と、それに用いる熱凝固
性ラテックスを提供する。 【解決手段】 本発明のゴム製品の製造方法は、脱蛋白
天然ゴムラテックス のゴム固形分100重量部に、感熱化剤(A)0.1〜
20重量部とアノード凝着剤(B)0.1〜10重量部
とを0.5〜10の重量比(A/B)で配合し、こうし
て得られた本発明の感熱凝固性ラテックスに予熱した型
を浸漬することを特徴とする

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱蛋白天然ゴムラテックスを用いて良好な膜
厚を有するゴムを形成 しうるゴム製品の製造方法、脱蛋白天然ゴムラテックス
からなる、充分な膜厚を 有するゴム手袋、およびそれらに用いる感熱凝固性ラテ
ックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
天然ゴムは伸びが大きい、弾性が高い、皮膜の強さが良
好である等の特徴を有 することから、従来より自動車用タイヤ、ベルト、粘着
剤、接着剤等の工業用品 から、手袋等の家庭用品、カテーテル等の医療用具、授
乳用具、避妊具等に至る 幅広い分野で利用されている。
【0003】 例えば手袋は、(a) 型を天然ゴムラテックスに直接浸漬
する、いわゆる直接法 、(b) 型にアノード凝着剤を塗布し、その型を天然ゴム
ラテックスに浸漬する、 いわゆるアノード凝着法、(c) 感熱化剤を含有した天然
ゴムラテックス中に、あ らかじめ予熱した型を浸漬して、型表面に順次ゲルを沈
着させる、いわゆる感熱 法等を用いて加工されている。
【0004】 これらの製法は、上記手袋製品の種類によって適宜選択
され、一般にゴムの膜 厚が非常に薄いコンドーム等の製品を作製する場合には
直接法が、ゴムの膜厚が 1mm程度の家庭用の手袋等を作製する場合にはアノー
ド凝着法が、作業用手袋 等の、より厚手のものを作製するには感熱法がそれぞれ
採用されている。 ところが近年、天然ゴムからなる手術用手袋、各種カテ
ーテル等の医療用具を 使用すると、数時間後に呼吸困難やアナフィラキシー様
症状(血管性浮腫、じん ましん、虚脱、チアノーゼ等)の症状を示す即時型(I
型)アレルギーを引き起 こすことが報告されている。かかる即時型アレルギー
は、天然ゴム中の蛋白質が 抗原となって誘発すると推測されている。
【0005】 また、天然ゴムラテックス中に含まれる蛋白質は、その
種類や量が天然ゴムラ テックスの産地や産出時期等によって異なるために、天
然ゴムの品質や加硫特性 等にばらつきを生じさせたり、天然ゴムのクリープ特性
や耐老化性等の機械特性 、絶縁性等の電気特性を低下させるなどの影響を及ぼす
ものである。 そこで、上記の問題点に鑑み、蛋白質が高度に除去され
た脱蛋白天然ゴムラテ ックスが有用視されている。
【0006】 特開平6−56902号公報には、天然ゴムラテックス
に蛋白分解酵素(プロ テアーゼ)と界面活性剤とを加えて蛋白質を分解した
後、遠心分離によってクリ ーム状の脱蛋白天然ゴム成分を分離する方法が開示され
ている。 かかる方法によれば、天然ゴムラテックス中の蛋白質を
非常に高いレベルで除 去することができ、蛋白質の含有量は、ケールダール法
によって測定される窒素 含有量(N%)が0.1重量%以下になるまで低減され
る。
【0007】 従って、上記のように蛋白質が高度に除去されたラテッ
クスを用いれば、従来 のアレルギー反応等の問題点を解決したゴム製品が得ら
れるものと期待される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、発明者等が実際に上記脱蛋白天然ゴムラテッ
クスを用いて、感熱法 によってゴム製品を作製しようとすると、良好な膜厚を
有するゴム製品が得られ ず、例えば手袋においては装着時のソフト感や耐水性が
充分でないことが明らか となった。
【0009】 この原因としては、上記公報に開示のように、一般に天
然ゴムラテックスから 蛋白質を除去するために使用される界面活性剤が、その
後ラテックス中に残留し ていることがあげられる。 すなわち、界面活性剤によって天然ゴムラテックス中か
ら蛋白質を効率よく除 去するには、使用する天然ゴムラテックスのpHをある
所定の領域(アルカリ領 域)に調節しておく必要がある。また、得られた脱蛋白
天然ゴムラテックスは、 上記の界面活性剤を含有することでラテックスの安定化
が保たれている。
【0010】 しかし、感熱法によるゴム膜の形成においては、このラ
テックスのpH領域で はゴム膜の形成に支障をきたす場合があり、良好な膜厚
を有するゴム膜が得られ ないおそれがある。 また、ラテックス中に残留する界面活性剤がラテックス
の安定化を図っている ため、型表面へのゲルの沈着を妨げてしまい、ゴム膜の
形成に支障をきたしてい ると考えられる。
【0011】 そこで、本発明の目的は、界面活性剤によって安定化さ
れた脱蛋白天然ゴムラ テックスを用いて、良好な膜厚を有するゴム膜を形成し
得るゴム製品の製造方法 、およびそれに用いる感熱凝固性ラテックスを提供する
ことである。 本発明の他の目的は、界面活性剤によって安定化された
脱蛋白天然ゴムラテッ クスを用いた、充分な膜厚を有するゴム手袋を提供する
ことである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重
ねた結果、界面活性剤 等によって安定化した脱蛋白天然ゴムラテックスに、所
定量の感熱化剤とアノー ド凝固剤とを併せて配合し、そして加熱した型を浸漬し
たときは、当該型にゲル が沈着されて良好な膜厚を有するゴム製品を作製するこ
とができるという新たな 事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】 すなわち、本発明のゴム製品の製造方法は、脱蛋白天然
ゴムラテックスに、当 該ラテックス中のゴム固形分100重量部に対して0.
1〜20重量部の感熱化 剤(A)と、0.1〜10重量部のアノード凝着剤
(B)とを、重量比(A/B )が0.5〜10の範囲で配合して感熱凝固性ラテック
スを調製し、この感熱凝 固性ラテックスに予熱した型を浸漬して、当該型の表面
にゲルを沈着させてゴム 膜を形成することを特徴とする。
【0014】 本発明によれば、界面活性剤によって安定化されている
脱蛋白天然ゴムラテッ クスが、上記所定量の感熱化剤およびアノード凝固剤に
よってゲル化を起こす程 度に不安定な状態になるものと推測される。 従って、この不安定化されたラテックスに予熱した型表
面を浸漬することによ って、当該型表面にゲルを沈着させてゴム膜を形成する
ことができる。こうして 、本発明の製造方法によれば、良好な厚膜を有するゴム
製品を得ることができ、 手袋を製造する場合においては良好なソフト感や優れた
耐水性等を付与すること ができる。
【0015】 さらに、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意
研究を重ねた結果、界 面活性剤等によって安定化された脱蛋白天然ゴムラテッ
クスに、所定量の感熱化 剤とアノード凝固剤とを併せて配合したときは、このラ
テックスにあらかじめ加 熱された手袋の型を浸漬するいわゆる感熱法によって、
当該型にゲルを充分に沈 着させることができ、充分な膜厚を有するゴム手袋が得
ることができるという新 たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】 すなわち本発明のゴム手袋は、窒素含有量が0.1重量
%以下である脱蛋白天 然ゴムラテックスのゴム固形分100重量部に対して、
0.1〜20重量部の感 熱化剤(A)と0.1〜10重量部のアノード凝着剤
(B)とを、重量比(A/ B)が0.5〜10の範囲で配合した感熱凝固性ラテッ
クスを用いて形成した、 ゴム膜の厚みが1mm以上のものである。
【0017】 本発明によれば、界面活性剤によって安定化されている
脱蛋白天然ゴムラテッ クスが、上記所定量の感熱化剤およびアノード凝固剤に
よってゲル化を起こす程 度に不安定な状態になるものと推測される。 従って、本発明によれば、この不安定化されたラテック
スに予熱した手袋の型 を浸漬することにより、当該型の表面に充分な量のゲル
を沈着させて、ゴム膜の 厚みが1mm以上の充分な膜厚を有するゴム手袋を形成
することができる。
【0018】 こうして得られたゴム手袋には、ソフトな装着感や、優
れた耐水性等が付与さ れている。 上記本発明のゴム製品の製造方法およびゴム手袋は、界
面活性剤によって高度 に蛋白質が除去された脱蛋白天然ゴムラテックス、すな
わち窒素含有量が0.1 0%以下である脱蛋白天然ゴムラテックスを材料とする
ゴム製品の作製に好適で ある。
【0019】 また、上記本発明の感熱凝固性ラテックスは、脱蛋白天
然ゴムラテックスに、 当該ラテックス中のゴム固形分100重量部に対して
0.1〜20重量部の感熱 化剤(A)と、0.1〜10重量部のアノード凝着剤
(B)とを、重量比(A/ B)が0.5〜10の範囲で配合したことを特徴とす
る。 前述のゴム製品の製造方法およびゴム手袋に使用する、
本発明の感熱凝固性ラ テックスは、脱蛋白天然ゴムラテックスを用いているこ
とから品質や加硫特性等 にばらつきが生じず、その結果、優れたゴム特性を示
す。しかもゴム中の蛋白質 が除去されているので、即時型アレルギーを引き起こさ
ないゴム製品を作製する ことができる。
【0020】 ラテックスの感熱凝固性をより一層良好なものにすると
いう観点から、感熱化 剤がアンモニウム塩、または曇点が常温以上100℃以
下の水溶性高分子であり 、かつアノード凝着剤が、イオン価が2以上の金属塩ま
たは有機アルキルアミン 塩であるのが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。 本発明で使用する感熱凝固性ラテックスは、脱蛋白天然
ゴムラテックスに、所 定量の感熱化剤およびアノード凝着剤を配合したもので
ある。 〔天然ゴムラテックスの蛋白質分解処理〕 上記脱蛋白天然ゴムラテックスは、例えば上述の特開平
6−56902号公報 に開示の方法に従って、天然ゴムラテックスに蛋白分解
処理を施すことによって 得られる。すなわち、天然ゴムラテックスに蛋白分解酵
素を添加して蛋白質を分 解させた後、界面活性剤によってラテックスを繰り返し
洗浄することによって得 られる。洗浄は遠心分離などで行えばよい。
【0022】 本発明に用いられる天然ゴムラテックスは、市販のアン
モニア処理ラテックス でも、新鮮なフィールドラテックスのいずれであっても
よい。 蛋白分解酵素としては従来公知のものが使用可能であ
り、特に限定されないが 、例えばアルカリプロテアーゼ等が好適に用いられる。
プロテアーゼの由来とし ては、細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母由来の
もの等いずれでも構わな いが、これらの中では細菌由来のものを使用するのが好
ましい。また、リパーゼ 、エステラーゼ、アミラーゼ、ラッカーゼ、セルラーゼ
等の酵素を併用してもよ い。
【0023】 蛋白分解酵素としてアルカリプロテアーゼを用いる場
合、その活性は0.1〜 50APU/g、好ましくは1〜25APU/gの範囲
であるのが適当である。 前記酵素活性は、アンソン−ヘモグロビン法(Anson. M.
L., J. Gen. Physiol., 22, 79(1938) )の改良法を用いて測定した。すなわち、
基質として用いる尿素 変性ヘモグロビンの終濃度が14.7mg/mlとなる
ように調整した溶液中で 、温度25℃、pH10.5にて10分間反応させた
後、反応溶液にトリクロロ 酢酸を終濃度が31.25mg/mlとなるように添加
する。次いで、トリクロ ロ酢酸の可溶分をフェノール試薬によって呈色させ、1
モルのチロシンの呈色度 を1APUとした検量線により反応10分間当りの活性
を求め、これを1分間当 りに換算することによって測定した。なお、1APUと
は、1モルのチロシンが フェノール試薬によって呈色するのと同じ呈色度のトリ
クロロ酢酸可溶分量を1 分間に与えるプロテアーゼの量のことを示す。但し、ア
ルカリプロテアーゼの活 性測定はこの測定方法に限定されるものではない。
【0024】 上記蛋白分解酵素の添加量は、酵素活性に応じて適宜設
定されるものであるが 、通常天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対し
て0.0001〜20重 量部、好ましくは0.001〜10重量部の範囲で設定
される。蛋白分解酵素の 添加量が前記範囲を下回ると、ラテックス中の蛋白質を
充分に分解することがで きなくなるおそれがある。一方、蛋白分解酵素の添加量
が前記範囲を越えると、 酵素の活性が低下し、かつコストアップにつながるおそ
れがある。また、酵素を 添加する際にpH調整剤などの他の添加剤を添加しても
よい。
【0025】 蛋白質分解処理の処理時間も酵素活性に応じて適宜設定
されるものであって、 特に限定されないが、通常数分から1週間程度行うこと
が好ましい。蛋白質分解 処理中、ラテックスは攪拌していてもよく、静置してい
てもよい。温度調節は必 要に応じてすればよいが、処理に適当な温度としては5
〜90℃、好ましくは2 0〜60℃である。処理温度が90℃を超えると酵素の
失活が早く、5℃未満で あれば酵素の反応が進行しにくくなる。
【0026】 界面活性剤によるラテックス粒子の洗浄方法としては、
例えば酵素処理を完了 したラテックスに界面活性剤を添加し遠心分離法する方
法が好適に採用できる。 その際、界面活性剤はラテックスのゴム固形分100重
量部に対して0.001 〜20重量部の範囲で添加するのが適当である。 遠心分離処理は、まず、蛋白質分解処理を施した天然ゴ
ムラテックスに界面活 性剤を添加し、5000〜10000rpmで1〜60
分間遠心分離すればよい 。遠心分離は1回ないし数回行えばよいが、通常、1回
の遠心分離処理によって 、蛋白質が高度に除去された脱蛋白天然ゴムラテックス
を得ることができる。ま た、遠心分離処理は、蛋白質分解処理を施した天然ゴム
ラテックスのゴム分が5 〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるよう
に水で希釈した上で行っ てもよい。
【0027】 遠心分離処理後、上層に分離されたクリーム状のゴム分
を取り出す。かかる操 作は、ディスク式の遠心分離器で連続的に行ってもよ
い。取り出されたクリーム 状のゴム分は、必要に応じて水で希釈することにより脱
蛋白天然ゴムラテックス として供給される。また、遠心分離に代えて、ラテック
ス粒子を凝集させて分離 する洗浄方法も採用できる。
【0028】 界面活性剤としては、例えば(a) 陰イオン性界面活性
剤、(b) 非イオン性界面 活性剤、および(c) 両性イオン界面活性剤が使用可能で
ある。(a) の陰イオン界 面活性剤には、例えばカルボン酸系、スルホン酸系、硫
酸エステル系、リン酸エ ステル系等の界面活性剤が挙げられる。(b) の非イオン
界面活性剤には、例えば ポリオキシアルキレンエ−テル系、ポリオキシアルキレ
ンエステル系、多価アル コ−ル脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキ
ルポリグリコシド系等の 界面活性剤が挙げられる。(c) の両性イオン界面活性剤
には、例えばアミノ酸型 、ベタイン型、アミンオキサイド型等が挙げられる。
【0029】 なお、以上の説明では、酵素分解後、界面活性剤を添加
してラテックスを洗浄 したが、酵素と界面活性剤とは同時に添加して処理して
もよい。また、本発明に おいて、脱蛋白天然ゴムを得る方法は特に限定されるも
のではない。 また、上記例示の酵素および界面活性剤を用いるにあた
り、他の添加剤、すな わちpH調整剤、分散剤等を添加してもよい。
【0030】 pH調整剤としては、例えばリン酸二水素カリウム、リ
ン酸水素二カリウム、 リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等の
リン酸塩、酢酸カリウム 、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、硫酸、酢酸、塩酸、硝
酸、クエン酸、コハク酸な どの酸類またはその塩、アンモニア、水酸化カリウム、
水酸化ナトリウム、炭酸 ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等があげられる。pH
調整剤の添加量は、ラテ ックスのゴム固形分100重量部に対して、通常、0.
01〜0.5重量部であ る。
【0031】 蛋白質分解処理においては、上記成分の他に、さらにス
チレンスルホン酸共重 合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、リグニ
ンスルホン酸、多環型芳 香族スルホン酸共重合物、アクリル酸および無水マレイ
ン酸のホモポリマーおよ び共重合物、イソブチレン−アクリル酸およびイソブチ
レン−無水マレイン酸共 重合物等の分散剤を併用してもよい。
【0032】 本発明に用いられる脱蛋白天然ゴムラテックスの窒素含
有率(N%)は、即時 型アレルギーの発生を抑制するという観点から、0.1
0重量%以下となるよう に調整するのが好ましい。窒素含有率(N%)は蛋白分
解処理の程度によって適 宜調整できる。即時型アレルギーの発生をより一層確実
に抑制するには、窒素含 有率(N%)を上記範囲の中でも特に0.05重量%以
下となるように調整する のが好ましく、0.02重量%以下となるように調整す
るのがより好ましい。
【0033】 〔感熱凝固性ラテックスの作製〕 本発明のゴム手袋に用いられる感熱凝固性ラテックス
は、上記脱蛋白天然ゴム ラテックスに所定量の感熱化剤およびアノード凝固剤を
配合したものである。 上記感熱凝固性ラテックスを調製する際、脱蛋白天然ゴ
ムラテックスの濃度と しては、ゴム固形分が30〜52重量%、好ましくは3
8〜48重量%の範囲に なるように希釈して使用されるのがよい。
【0034】 ゴム固形分が上記範囲より高ければ、ラテックスがより
不安定化して凝固して しまう場合がある。一方、ゴム固形分が上記範囲より小
さければ、溶液中のゴム 分が少ないために実用化に充分な膜厚を有するゴム製品
が得られない場合がある 。 本発明で使用される感熱化剤としては、無機または有機
アンモニウム塩、ある いは曇点が常温以上100℃以下の水溶性高分子があげ
られる。具体的に説明す ると、例えば上記水溶性高分子としては、ポリビニルメ
チルエーテル、ポリアル キレングリコール、ポリエーテルポリホルマール、官能
性ポリシロキサン等が挙 げられる。無機または有機アンモニウム塩としては、硝
酸アンモニウム、酢酸ア ンモニウム、種々の亜鉛アンモニウム錯塩等が例示され
る。
【0035】 またアノード凝着剤としては、イオン価が2以上の金属
塩や有機アルキルアミ ン塩などがあげられる。具体的に説明すると、例えばイ
オン価が2以上の金属塩 としては、硝酸カルシウム、塩化カルシウム等が例示さ
れる。これらは水溶液と して使用される。 前記感熱化剤の配合量は、脱蛋白天然ゴムラテックスの
ゴム固形分100重量 部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜1
0重量部である。前記ア ノード凝着剤の配合量は、脱蛋白天然ゴムラテックスの
ゴム固形分100重量部 に対して0.1〜10重量部であり、好ましくは0.5
〜8重量部である。また 前記感熱化剤(A)とアノード凝着剤(B)とは、重量
比(A/B)で0.5〜 10の範囲にあるのがよい。
【0036】 感熱化剤の配合量、アノード凝着剤、および前記感熱化
剤とアノード凝着剤と の配合比いずれか一つが、上記範囲より大きい場合に
は、ラテックスがより不安 定化して、ゲル化や凝固を引き起こすおそれがある。一
方、上記範囲より小さい 場合には、良好な膜厚を有するゴム製品を得ることがで
きないおそれがある。 〔ゴム製品の製造方法〕 次に、本発明のゴム製品の製造方法について説明する。
【0037】 例えばゴム手袋、プローブ用カバー、コンドーム等を作
製する場合には、下記 の各種添加剤を配合した感熱凝固性ラテックス中に、予
熱した型を浸積した後、 引き上げ、乾燥、加硫する方法を施して製造される。 感熱凝固性ラテックスに配合される添加剤としては、加
硫剤のほか、加硫促進 剤、加硫促進助剤(活性化剤)、老化防止剤、充填剤、
分散剤等の従来公知の種 々の添加剤があげられる。
【0038】 上記加硫剤としては、例えば硫黄や有機含硫黄化合物等
があげられ、その配合 量は、ゴムラテックスのゴム固形分100重量部に対し
て0.5〜3重量部程度 であるのが好ましい。 加硫促進剤としては、例えばPX(N−エチル−N−フ
ェニルジチオカルバミ ン酸亜鉛)、PZ(ジメチルジチオカルバミン酸亜
鉛)、EZ(ジエチルジチオ カルバミン酸亜鉛)、BZ(ジブチルジチオカルバミン
酸亜鉛)、MZ(2−メ ルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩)、TT(テトラメ
チルチウラムジスルフィ ド)等があげられる。これらは単独でまたは2種以上を
混合して用いることがで きる。その配合量は、ゴムラテックスのゴム固形分10
0重量部に対して0.5 〜3重量部程度であるのが好ましい。
【0039】 加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華等があげられる。
その配合量は、ゴムラ テックスのゴム固形分100重量部に対して0.5〜3
重量部であるのが好まし い。 老化防止剤としては、一般に、非汚染性のフェノール類
が好適に用いられるが 、アミン類を使用してもよい。老化防止剤の配合量は、
ゴムラテックスのゴム固 形分100重量部に対して0.5〜3重量部程度である
のが好ましい。
【0040】 充填剤としては、例えばカオリンクレー、ハードクレ
ー、炭酸カルシウム等が あげられる。その配合量は、ゴムラテックスのゴム固形
分100重量部に対して 10重量部以下であるのが好ましい。 また、上記各添加剤のゴムラテックス中への分散を良好
にするために分散剤を 配合してもよい。かかる分散剤としては、例えば各種陰
イオン系界面活性剤等が あげられる。分散剤の配合量は、分散対象である成分に
おける重量の0.3〜1 .0重量%程度であるのが好ましい。
【0041】 型は、例えば陶器、セラミック製のものなどが使用可能
であり、作製するゴム 製品と同一形状に形成されている。型の予熱温度は、使
用する感熱化剤やゴム材 料に応じて適宜決定することができるが、通常80〜1
00℃、好ましくは85 〜95℃程度の温度に表面を予熱しておくのがよい。 加硫の条件は、通常100〜120℃にて、約30〜9
0分間程度行うのがよ い。
【0042】 本発明で得られるゴム製品の膜厚や物性(伸縮性、引張
応力等)は、ゴム製品 の種類、使用目的等によって適宜調節される。 例えば作業用手袋の場合には、ゴム層の厚さは、ソフト
感、耐水性、ゴムの破 断などのおそれがない範囲で適宜選択され、通常0.5
〜3.0mm、好ましく は0.8〜2.0mmであるのがよい。
【0043】 またゴム手袋の伸縮性は、手袋の着脱が容易でかつ良好
なフィット性を発揮す るのに必要な伸縮性を有するように、JIS K 63
01に従った測定法で求 めた伸びが、通常700〜1000%、好ましくは80
0〜900%であるのが よい。 さらにゴム手袋の引張応力は、装着者の手への手袋の装
着が容易になるように 、JIS K 6301に従った測定法で求めた引張応
力が、通常、20〜40 MPa、好ましくは25〜35MPaであるのがよい。
【0044】 なお、以上の説明では、感熱凝固性ラテックス中に、予
熱した型を浸漬してい たが、この感熱凝固性ラテックスに代えて、感熱化剤と
アノード凝着剤とを配合 しない脱蛋白天然ゴムラテックスに、上記各種添加剤を
配合して加硫(以下、前 加硫という)を行い、この前加硫したラテックス中に感
熱化剤およびアノード凝 着剤を配合して調製した脱蛋白天然ゴムラテックスを使
用してもよい。
【0045】 その際、前加硫は、通常30〜50℃にて、約15〜3
0時間行うのがよい。 また、上記感熱凝固性ラテックスからゴム分を凝固、乾
燥させた固形脱蛋白天 然ゴムを、ゴム製品の原料として用いてもよい。 〔ゴム手袋およびその製造方法〕 次に、本発明のゴム手袋およびその製造方法について説
明する。
【0046】 本発明のゴム手袋の製造方法としては、感熱凝固性ラテ
ックス中に下記の各種 添加剤を配合した後、予熱された手袋の型を浸積し、次
いで型を引き上げ、乾燥 、加硫する方法が用いられる。 感熱凝固性ラテックス中に配合される添加剤としては、
前述と同様である。 ゴム手袋の製造に用いる型や、製造時の加硫条件も前述
と同様である。
【0047】 本発明のゴム手袋は、例えば手術、医療現場等での検
査、化学薬品を用いた作 業等において手を保護するために用いられるものであっ
て、人間の手の形状に応 じて設計される。 本発明のゴム手袋におけるゴム膜の厚みは、従来脱蛋白
天然ゴムラテックスを 用いた場合には形成することができなかった厚みであっ
て、1mm以上、好まし くは1〜3mm範囲で、手袋の種類、使用目的によって
適宜調節される。なお、 ゴム膜の厚みが1mm未満のゴム手袋は、たとえ界面活
性剤を含有する脱蛋白天 然ゴムラテックスを用いても、従来の直接法やアノード
凝着法で形成することが できる。
【0048】 本発明のゴム手袋における物性(伸縮性、引張応力等)
も、ゴム手袋の種類、 使用目的等によって適宜調節される。
【0049】
【実施例】
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明
する。 実施例1 特開平6−56902号公報に開示の方法に準拠して得
た脱蛋白天然ゴムラテ ックス(ゴム固形分の濃度45.0重量%,窒素含有量
0.05%,pH10. 4)222.2g(ゴム固形分100重量部)に対し、
各種添加剤[水に分散さ せたコロイド硫黄、亜鉛華およびノクセラーBZ]を添
加し、40℃で24時間 熟成させた(前加硫)。なお、上記コロイド硫黄、亜鉛
華およびノクセラーBZ の添加量は、順に1重量部、1重量部、0.6重量部で
あった。
【0050】 ついで、この前加硫したラテックスを20℃まで冷却
し、感熱化剤としてポリ ビニルメチルエーテルを0.5重量部、およびアノード
凝着剤として硝酸カルシ ウム水溶液0.5重量部を配合した。 なお、脱蛋白天然ゴムラテックス中の界面活性剤の含有
量は、ゴム固形分10 0重量部に対して0.25重量%あった。また、硝酸カ
ルシウム水溶液の配合量 は、硝酸カルシウム自体の重量を示し、感熱化剤(A)
とアノード凝着剤(B) との配合比は、重量比(A/B)で0.5である。
【0051】 次に、この感熱化剤およびアノード凝着剤を配合したラ
テックス中に、あらか じめ90℃に予熱した直径5cmの陶器製試験管を30
秒間浸漬した後、100 ℃、90分間加硫して、ゴム膜を作製した。 実施例2〜3、比較例1〜3 下記表1および表2に示す天然ゴムラテックス、感熱化
剤およびアノード凝着 剤を添加した以外は実施例1と同様にしてゴム膜を作製
した。
【0052】 実施例4 40℃で24時間熟成(前加硫)を行わなかった以外
は、実施例1と同様にし てゴム膜を作製した。 比較例4 脱蛋白天然ゴムラテックスに代えて、市販のハイアンモ
ニア天然ゴムラテック ス(ゴム固形分の濃度45.0重量%,窒素含有量0.
3%,pH10.8)を 使用した以外は、実施例1と同様にしてゴム膜を作製し
た。
【0053】 上記実施例および比較例のゴム膜について、JIS−6
301に準拠して以下 の各試験を行い、その物理特性を評価した。 (引張試験) 実施例および比較例のゴム膜から、JIS−6301に
規定された引張試験用 の試験片(ダンベル状3号形:厚さ1.2〜1.4m
m)を作製した。そしてこ の試験片を用いて、JIS−6301に記載の試験操作
方法に準じて、伸び50 0%時の引張応力(500%モジュラス)M500 、切断
時伸びEb (%)、およ び引張強さTb (MPa)を求めた。
【0054】 以上の結果を、各成分の配合量と共に表1および2に示
す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】 表1および2から明らかなように、実施例では良好な膜
厚およびゴム特性を有 するのに対して、比較例では凝固したり(比較例1、
3)、あるいは良好な膜厚 (比較例2)を有しないことがわかる。 また、脱蛋白されていないラテックス(ハイアンモニア
ラテックス)に、感熱 化剤とアノード凝着剤との両方を添加した比較例4で
は、ラテックスが凝固して しまい、ゴム膜を形成できなかった。
【0058】 参考例 (脱蛋白天然ゴムラテックスの作製) 天然ゴムのハイアンモニアラテックスを水で希釈し、ゴ
ム固形分が30重量% の天然ゴムラテックス100gを調製した。 次いで、このラテックスにpH調整剤としてリン酸二水
素ナトリウムを添加し てpHを9.0に調整し、蛋白分解酵素(プロテアー
ゼ)0.02g、界面活性 剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウ
ム、花王(株)製のエマ ールE−70C)1gを添加し、30℃で24時間静置
した。
【0059】 静置後、天然ゴムラテックスに水を加えて300gまで
希釈した。次いで、1 000rpm(重力加速度約900G)で30分間遠心
分離を行った。 こうして上層に分離したクリーム状留分を取り出して2
4時間減圧乾燥し、ケ ルダール法に基づいて得られたゴムの窒素含有量(N
%)を測定したところ、0 .015%であった。
【0060】 実施例5 (ゴム手袋の製造) 上記参考例で得られた脱蛋白天然ゴムラテックス(全固
形分濃度60.0重量 %,窒素含有量0.015%,pH10.8)166.
7g(ゴム固形分100 重量部)に対し、各種添加剤〔水に分散させたコロイド
硫黄、亜鉛華およびノク セラー BZ〕を添加し、40℃で24時間熟成(前加
硫)させた。なお、上記 コロイド硫黄、亜鉛化およびノクセラーBZの添加量
は、順に1重量部、1重量 部および0.6重量部であった。
【0061】 次いで、上記ラテックスを20℃まで冷却し、感熱化剤
としてポリビニルメチ ルエーテルを0.5重量部、およびアノード凝着剤とし
て硝酸カルシウム水溶液 0.5重量部をそれぞれ配合した。 なお、上記硝酸カルシウム水溶液の配合量は硝酸カルシ
ウム自体の重量を示す 。また、感熱化剤(A)とアノード凝着剤(B)との配
合比(A/B)は重量比 で0.5であった。脱蛋白天然ゴムラテックス中の界面
活性剤の含有量は、ゴム 固形分100重量部に対して0.25重量%あった。
【0062】 次に、この感熱化剤およびアノード凝着剤を配合したラ
テックス中に、あらか じめ90℃に予熱した陶器製の手袋の型を30秒間浸漬
した後、100℃、90 分間加硫して、ゴム膜の厚みが1.0mmのゴム手袋を
作製した。 実施例6、7および比較例5、6 感熱化剤およびアノード凝着剤の添加量を表1に示す値
に設定したほかは、実 施例1と同様にしてゴム手袋を作製した。
【0063】 比較例7 上記参考例で得られた脱蛋白天然ゴムラテックスに代え
て、市販のハイアンモ ニア天然ゴムラテックス(ゴム固形分の濃度60.0重
量%、窒素含有量0.3 2重量%)を使用したほかは、実施例5と同様にしてゴ
ム手袋を作製した。 上記実施例5〜7および比較例5〜7のゴム手袋につい
て、JIS−6301 に準拠して以下の各試験を行い、その物理特性を評価し
た。
【0064】 (引張試験) 実施例および比較例のゴム膜から、JIS−6301に
規定された引張試験用 の試験片(ダンベル状3号形:厚さ1.2〜1.4m
m)を作製した。そしてこ の試験片を用いて、JIS−6301に記載の試験操作
方法に準じて、伸び50 0%時の引張応力(500%モジュラス)M500 、切
断時伸びEB (%)、お よび引張強さTB (MPa)を求めた。
【0065】 (蛋白質の含有量) 上記実施例および比較例で得られたゴム手袋に残存する
蛋白質の量を評価する ため、ゴム手袋中の水溶性蛋白質の量(μg/g)をA
STM D5712に記 載の方法に準じて測定した。 (手袋の装着感) 各実施例、比較例で得られたゴム手袋を実際に装着した
ときの装着感を評価し た。評価の基準は以下のとおりである。 ◎:装着感が極めてソフトで、指の曲げ伸ばしが自然に
行え、あたかも手袋を装 着していないように感じられた。 〇:装着感がソフトで、指の曲げ伸ばしが自然に行え
た。 △:手袋が多少硬く感じられたものの、実用上問題はな
かった。 ×:装着感が極めて低く、長時間の装着により手に疲労
感が生じた。
【0066】 以上の結果を、各成分の配合量と共に表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】 表3より明らかなように、実施例5〜7では、感熱法に
よっても良好な膜厚を 有するのゴム手袋を製造することができたのに対し、比
較例では凝固したり(比 較例5)、充分な膜厚が得られない(比較例6)等の問
題が生じた。 また、脱蛋白されていないラテックス(ハイアンモニア
ラテックス)に、感熱 化剤とアノード凝着剤との両方を添加した比較例7で
は、ラテックスが凝固して しまい、ゴム膜を形成できなかった。
【0069】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のゴム製品の製造方法お
よび本発明の感熱凝固 性ラテックスによれば、脱蛋白天然ゴムラテックスから
良好な膜厚を有するゴム 製品を製造することができる。 上記ゴム製品の製造方法および感熱凝固性ラテックスか
ら得られるゴム製品は 、蛋白質が高度に除去されているので、即時型アレルギ
ーを引き起こすおそれが ないゴム製品である。
【0070】 また、本発明のゴム手袋によれば、蛋白質が高度に除去
されているので即時型 アレルギーを引き起こすおそれがなく、かつ充分な膜厚
と良好なゴム特性とを得 ることができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年2月22日(1999.2.2
2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ゴム製品の製造方法およびそれに用い
る感熱凝固性ラテックス
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱蛋白天然ゴムラ
テックスを用いて良好な膜厚を有するゴムを形成しうる
ゴム製品の製造方法と、それに用いる感熱凝固性ラテッ
クスに関する。
【0002】
【従来の技術】天然ゴムは伸びが大きい、弾性が高い、
皮膜の強さが良好である等の特徴を有することから、従
来より自動車用タイヤ、ベルト、粘着剤、接着剤等の工
業用品から、手袋等の家庭用品、カテーテル等の医療用
具、授乳用具、避妊具等に至る幅広い分野で利用されて
いる。
【0003】例えば手袋は、(a) 型を天然ゴムラテック
スに直接浸漬する、いわゆる直接法、(b) 型にアノード
凝着剤を塗布し、その型を天然ゴムラテックスに浸漬す
る、いわゆるアノード凝着法、(c) 感熱化剤を含有した
天然ゴムラテックス中に、あらかじめ予熱した型を浸漬
して、型表面に順次ゲルを沈着させる、いわゆる感熱法
等を用いて加工されている。
【0004】これらの製法は、上記手袋製品の種類によ
って適宜選択され、一般にゴムの膜厚が非常に薄いコン
ドーム等の製品を作製する場合には直接法が、ゴムの膜
厚が1mm程度の家庭用の手袋等を作製する場合にはア
ノード凝着法が、作業用手袋等の、より厚手のものを作
製するには感熱法がそれぞれ採用されている。ところが
近年、天然ゴムからなる手術用手袋、各種カテーテル等
の医療用具を使用すると、数時間後に呼吸困難やアナフ
ィラキシー様症状(血管性浮腫、じんましん、虚脱、チ
アノーゼ等)の症状を示す即時型(I型)アレルギーを
引き起こすことが報告されている。かかる即時型アレル
ギーは、天然ゴム中の蛋白質が抗原となって誘発すると
推測されている。
【0005】また、天然ゴムラテックス中に含まれる蛋
白質は、その種類や量が天然ゴムラテックスの産地や産
出時期等によって異なるために、天然ゴムの品質や加硫
特性等にばらつきを生じさせたり、天然ゴムのクリープ
特性や耐老化性等の機械特性、絶縁性等の電気特性を低
下させるなどの影響を及ぼすものである。そこで、上記
の問題点に鑑み、蛋白質が高度に除去された脱蛋白天然
ゴムラテックスが有用視されている。
【0006】特開平6−56902号公報には、天然ゴ
ムラテックスに蛋白分解酵素(プロテアーゼ)と界面活
性剤とを加えて蛋白質を分解した後、遠心分離によって
クリーム状の脱蛋白天然ゴム成分を分離する方法が開示
されている。かかる方法によれば、天然ゴムラテックス
中の蛋白質を非常に高いレベルで除去することができ、
蛋白質の含有量は、ケールダール法によって測定される
窒素含有量(N%)が0.1重量%以下になるまで低減
される。
【0007】従って、上記のように蛋白質が高度に除去
されたラテックスを用いれば、従来のアレルギー反応等
の問題点を解決したゴム製品が得られるものと期待され
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、発明者等が
実際に上記脱蛋白天然ゴムラテックスを用いて、感熱法
によってゴム製品を作製しようとすると、良好な膜厚を
有するゴム製品が得られず、例えば手袋においては装着
時のソフト感や耐水性が充分でないことが明らかとなっ
た。
【0009】この原因としては、上記公報に開示のよう
に、一般に天然ゴムラテックスから蛋白質を除去するた
めに使用される界面活性剤が、その後ラテックス中に残
留していることがあげられる。すなわち、界面活性剤に
よって天然ゴムラテックス中から蛋白質を効率よく除去
するには、使用する天然ゴムラテックスのpHをある所
定の領域(アルカリ領域)に調節しておく必要がある。
また、得られた脱蛋白天然ゴムラテックスは、上記の界
面活性剤を含有することでラテックスの安定化が保たれ
ている。
【0010】しかし、感熱法によるゴム膜の形成におい
ては、このラテックスのpH領域ではゴム膜の形成に支
障をきたす場合があり、良好な膜厚を有するゴム膜が得
られないおそれがある。また、ラテックス中に残留する
界面活性剤がラテックスの安定化を図っているため、型
表面へのゲルの沈着を妨げてしまい、ゴム膜の形成に支
障をきたしていると考えられる。
【0011】そこで、本発明の目的は、界面活性剤によ
って安定化された脱蛋白天然ゴムラテックスを用いて、
良好な膜厚を有するゴム膜を形成し得るゴム製品の製造
方法、およびそれに用いる感熱凝固性ラテックスを提供
することである
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、界面活性剤等
によって安定化された脱蛋白天然ゴムラテックスに、所
定量の感熱化剤とアノード凝固剤とを併せて配合し、そ
して加熱した型を浸漬したときは、当該型にゲルが沈着
て良好な膜厚を有するゴム製品を作製することができ
るという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0013】すなわち、本発明のゴム製品の製造方法
は、脱蛋白天然ゴムラテックスに、当該ラテックス中の
ゴム固形分100重量部に対して0.1〜20重量部の
感熱化剤(A)と、0.1〜10重量部のアノード凝着
剤(B)とを、重量比(A/B)が0.5〜10の範囲
で配合して感熱凝固性ラテックスを調製し、この感熱凝
固性ラテックスに予熱した型を浸漬して、当該型の表面
にゲルを沈着させてゴム膜を形成することを特徴とす
る。
【0014】本発明によれば、界面活性剤によって安定
化されている脱蛋白天然ゴムラテックスが、上記所定量
の感熱化剤およびアノード凝固剤によってゲル化を起こ
す程度に不安定な状態になるものと推測される。従っ
て、この不安定化されたラテックスに予熱した型表面を
浸漬することによって、当該型表面にゲルを沈着させて
ゴム膜を形成することができる。こうして、本発明の製
造方法によれば、良好な厚膜を有するゴム製品を得るこ
とができ、手袋を製造する場合においては良好なソフト
感や優れた耐水性等を付与することができる
【0015】記本発明のゴム製品の製造方法は、界面
活性剤によって高度に蛋白質が除去された脱蛋白天然ゴ
ムラテックス、すなわち窒素含有量が0.10%以下で
ある脱蛋白天然ゴムラテックスを材料とするゴム製品の
作製に好適である。また、上記本発明の感熱凝固性ラテ
ックスは、脱蛋白天然ゴムラテックスに、当該ラテック
ス中のゴム固形分100重量部に対して0.1〜20重
量部の感熱化剤(A)と、0.1〜10重量部のアノー
ド凝着剤(B)とを、重量比(A/B)が0.5〜10
の範囲で配合したことを特徴とする。
【0016】前述のゴム製品の製造方法に使用する本
明の感熱凝固性ラテックスは、脱蛋白天然ゴムラテック
スを用いていることから品質や加硫特性等にばらつきが
生じず、その結果、優れたゴム特性を示す。しかもゴム
中の蛋白質が除去されているので、即時型アレルギーを
引き起こさないゴム製品を作製することができる。ラテ
ックスの感熱凝固性をより一層良好なものにするという
観点から、感熱化剤がアンモニウム塩、または曇点が常
温以上100℃以下の水溶性高分子であり、かつアノー
ド凝着剤が、イオン価が2以上の金属塩または有機アル
キルアミン塩であるのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明感熱凝固性ラテックスは、脱蛋白天然ゴ
ムラテックスに、所定量の感熱化剤およびアノード凝着
剤を配合したものである。 〔天然ゴムラテックスの蛋白質分解処理〕上記脱蛋白天
然ゴムラテックスは、例えば上述の特開平6−5690
2号公報に開示の方法に従って、天然ゴムラテックスに
蛋白分解処理を施すことによって得られる。すなわち、
天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素を添加して蛋白質を
分解させた後、界面活性剤によってラテックスを繰り返
し洗浄することによって得られる。洗浄は遠心分離など
で行えばよい。
【0018】本発明に用いられる天然ゴムラテックス
は、市販のアンモニア処理ラテックスでも、新鮮なフィ
ールドラテックスのいずれであってもよい。蛋白分解酵
素としては従来公知のものが使用可能であり、特に限定
されないが、例えばアルカリプロテアーゼ等が好適に用
いられる。プロテアーゼの由来としては、細菌由来のも
の、糸状菌由来のもの、酵母由来のもの等いずれでも構
わないが、これらの中では細菌由来のものを使用するの
が好ましい。また、リパーゼ、エステラーゼ、アミラー
ゼ、ラッカーゼ、セルラーゼ等の酵素を併用してもよ
い。
【0019】蛋白分解酵素としてアルカリプロテアーゼ
を用いる場合、その活性は0.1〜50APU/g、好
ましくは1〜25APU/gの範囲であるのが適当であ
る。前記酵素活性は、アンソン−ヘモグロビン法(Anso
n. M. L., J. Gen. Physiol., 22, 79(1938))の改良法
を用いて測定した。すなわち、基質として用いる尿素変
性ヘモグロビンの終濃度が14.7mg/mlとなるよ
うに調整した溶液中で、温度25℃、pH10.5にて
10分間反応させた後、反応溶液にトリクロロ酢酸を終
濃度が31.25mg/mlとなるように添加する。次
いで、トリクロロ酢酸の可溶分をフェノール試薬によっ
て呈色させ、1モルのチロシンの呈色度を1APUとし
た検量線により反応10分間当りの活性を求め、これを
1分間当りに換算することによって測定した。なお、1
APUとは、1モルのチロシンがフェノール試薬によっ
て呈色するのと同じ呈色度のトリクロロ酢酸可溶分量を
1分間に与えるプロテアーゼの量のことを示す。但し、
アルカリプロテアーゼの活性測定はこの測定方法に限定
されるものではない。
【0020】上記蛋白分解酵素の添加量は、酵素活性に
応じて適宜設定されるものであるが、通常天然ゴムラテ
ックスの固形分100重量部に対して0.0001〜2
0重量部、好ましくは0.001〜10重量部の範囲で
設定される。蛋白分解酵素の添加量が前記範囲を下回る
と、ラテックス中の蛋白質を充分に分解することができ
なくなるおそれがある。一方、蛋白分解酵素の添加量が
前記範囲を越えると、酵素の活性が低下し、かつコスト
アップにつながるおそれがある。また、酵素を添加する
際にpH調整剤などの他の添加剤を添加してもよい。
【0021】蛋白質分解処理の処理時間も酵素活性に応
じて適宜設定されるものであって、特に限定されない
が、通常数分から1週間程度行うことが好ましい。蛋白
質分解処理中、ラテックスは攪拌していてもよく、静置
していてもよい。温度調節は必要に応じてすればよい
が、処理に適当な温度としては5〜90℃、好ましくは
20〜60℃である。処理温度が90℃を超えると酵素
の失活が早く、5℃未満であれば酵素の反応が進行しに
くくなる。
【0022】界面活性剤によるラテックス粒子の洗浄方
法としては、例えば酵素処理を完了したラテックスに界
面活性剤を添加し遠心分離法する方法が好適に採用でき
る。その際、界面活性剤はラテックスのゴム固形分10
0重量部に対して0.001〜20重量部の範囲で添加
するのが適当である。遠心分離処理は、まず、蛋白質分
解処理を施した天然ゴムラテックスに界面活性剤を添加
し、5000〜10000rpmで1〜60分間遠心分
離すればよい。遠心分離は1回ないし数回行えばよい
が、通常、1回の遠心分離処理によって、蛋白質が高度
に除去された脱蛋白天然ゴムラテックスを得ることがで
きる。また、遠心分離処理は、蛋白質分解処理を施した
天然ゴムラテックスのゴム分が5〜40重量%、好まし
くは10〜30重量%となるように水で希釈した上で行
ってもよい。
【0023】遠心分離処理後、上層に分離されたクリー
ム状のゴム分を取り出す。かかる操作は、ディスク式の
遠心分離器で連続的に行ってもよい。取り出されたクリ
ーム状のゴム分は、必要に応じて水で希釈することによ
り脱蛋白天然ゴムラテックスとして供給される。また、
遠心分離に代えて、ラテックス粒子を凝集させて分離す
る洗浄方法も採用できる。
【0024】界面活性剤としては、例えば(a) 陰イオン
性界面活性剤、(b) 非イオン性界面活性剤、および(c)
両性イオン界面活性剤が使用可能である。(a) の陰イオ
ン界面活性剤には、例えばカルボン酸系、スルホン酸
系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の界面活性剤
が挙げられる。(b) の非イオン界面活性剤には、例えば
ポリオキシアルキレンエ−テル系、ポリオキシアルキレ
ンエステル系、多価アルコ−ル脂肪酸エステル系、糖脂
肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等の界面活
性剤が挙げられる。(c) の両性イオン界面活性剤には、
例えばアミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等
が挙げられる。
【0025】なお、以上の説明では、酵素分解後、界面
活性剤を添加してラテックスを洗浄したが、酵素と界面
活性剤とは同時に添加して処理してもよい。また、本発
明において、脱蛋白天然ゴムを得る方法は特に限定され
るものではない。また、上記例示の酵素および界面活性
剤を用いるにあたり、他の添加剤、すなわちpH調整
剤、分散剤等を添加してもよい。
【0026】pH調整剤としては、例えばリン酸二水素
カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素ナトリ
ウム、リン酸水素二ナトリウム等のリン酸塩、酢酸カリ
ウム、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、硫酸、酢酸、塩酸、
硝酸、クエン酸、コハク酸などの酸類またはその塩、ア
ンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナ
トリウム、炭酸水素ナトリウム等があげられる。pH調
整剤の添加量は、ラテックスのゴム固形分100重量部
に対して、通常、0.01〜0.5重量部である。
【0027】蛋白質分解処理においては、上記成分の他
に、さらにスチレンスルホン酸共重合物、ナフタレンス
ルホン酸ホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸、多環
型芳香族スルホン酸共重合物、アクリル酸および無水マ
レイン酸のホモポリマーおよび共重合物、イソブチレン
−アクリル酸およびイソブチレン−無水マレイン酸共重
合物等の分散剤を併用してもよい。
【0028】本発明に用いられる脱蛋白天然ゴムラテッ
クスの窒素含有率(N%)は、即時型アレルギーの発生
を抑制するという観点から、0.10重量%以下となる
ように調整するのが好ましい。窒素含有率(N%)は蛋
白分解処理の程度によって適宜調整できる。即時型アレ
ルギーの発生をより一層確実に抑制するには、窒素含有
率(N%)を上記範囲の中でも特に0.05重量%以下
となるように調整するのが好ましく、0.02重量%以
下となるように調整するのがより好ましい。
【0029】〔感熱凝固性ラテックスの作製〕本発明の
ゴム手袋に用いられる感熱凝固性ラテックスは、上記脱
蛋白天然ゴムラテックスに所定量の感熱化剤およびアノ
ード凝固剤を配合したものである。上記感熱凝固性ラテ
ックスを調製する際、脱蛋白天然ゴムラテックスの濃度
としては、ゴム固形分が30〜52重量%、好ましくは
38〜48重量%の範囲になるように希釈して使用され
るのがよい。
【0030】ゴム固形分が上記範囲より高ければ、ラテ
ックスがより不安定化して凝固してしまう場合がある。
一方、ゴム固形分が上記範囲より小さければ、溶液中の
ゴム分が少ないために実用化に充分な膜厚を有するゴム
製品が得られない場合がある。本発明で使用される感熱
化剤としては、無機または有機アンモニウム塩、あるい
は曇点が常温以上100℃以下の水溶性高分子があげら
れる。具体的に説明すると、例えば上記水溶性高分子と
しては、ポリビニルメチルエーテル、ポリアルキレング
リコール、ポリエーテルポリホルマール、官能性ポリシ
ロキサン等が挙げられる。無機または有機アンモニウム
塩としては、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、種
々の亜鉛アンモニウム錯塩等が例示される。
【0031】またアノード凝着剤としては、イオン価が
2以上の金属塩や有機アルキルアミン塩などがあげられ
る。具体的に説明すると、例えばイオン価が2以上の金
属塩としては、硝酸カルシウム、塩化カルシウム等が例
示される。これらは水溶液として使用される。前記感熱
化剤の配合量は、脱蛋白天然ゴムラテックスのゴム固形
分100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましく
は0.5〜10重量部である。前記アノード凝着剤の配
合量は、脱蛋白天然ゴムラテックスのゴム固形分100
重量部に対して0.1〜10重量部であり、好ましくは
0.5〜8重量部である。また前記感熱化剤(A)とア
ノード凝着剤(B)とは、重量比(A/B)で0.5〜
10の範囲にあるのがよい。
【0032】感熱化剤の配合量、アノード凝着剤、およ
び前記感熱化剤とアノード凝着剤との配合比いずれか一
つが、上記範囲より大きい場合には、ラテックスがより
不安定化して、ゲル化や凝固を引き起こすおそれがあ
る。一方、上記範囲より小さい場合には、良好な膜厚を
有するゴム製品を得ることができないおそれがある。 〔ゴム製品の製造方法〕次に、本発明のゴム製品の製造
方法について説明する。
【0033】例えばゴム手袋、プローブ用カバー、コン
ドーム等を作製する場合には、下記の各種添加剤を配合
した感熱凝固性ラテックス中に、予熱した型を浸積した
後、引き上げ、乾燥、加硫する方法を施して製造され
る。感熱凝固性ラテックスに配合される添加剤として
は、加硫剤のほか、加硫促進剤、加硫促進助剤(活性化
剤)、老化防止剤、充填剤、分散剤等の従来公知の種々
の添加剤があげられる。
【0034】上記加硫剤としては、例えば硫黄や有機含
硫黄化合物等があげられ、その配合量は、ゴムラテック
スのゴム固形分100重量部に対して0.5〜3重量部
程度であるのが好ましい。加硫促進剤としては、例えば
PX(N−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜
鉛)、PZ(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)、EZ
(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)、BZ(ジブチル
ジチオカルバミン酸亜鉛)、MZ(2−メルカプトベン
ゾチアゾールの亜鉛塩)、TT(テトラメチルチウラム
ジスルフィド)等があげられる。これらは単独でまたは
2種以上を混合して用いることができる。その配合量
は、ゴムラテックスのゴム固形分100重量部に対して
0.5〜3重量部程度であるのが好ましい。
【0035】加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華等が
あげられる。その配合量は、ゴムラテックスのゴム固形
分100重量部に対して0.5〜3重量部であるのが好
ましい。老化防止剤としては、一般に、非汚染性のフェ
ノール類が好適に用いられるが、アミン類を使用しても
よい。老化防止剤の配合量は、ゴムラテックスのゴム固
形分100重量部に対して0.5〜3重量部程度である
のが好ましい。
【0036】充填剤としては、例えばカオリンクレー、
ハードクレー、炭酸カルシウム等があげられる。その配
合量は、ゴムラテックスのゴム固形分100重量部に対
して10重量部以下であるのが好ましい。また、上記各
添加剤のゴムラテックス中への分散を良好にするために
分散剤を配合してもよい。かかる分散剤としては、例え
ば各種陰イオン系界面活性剤等があげられる。分散剤の
配合量は、分散対象である成分における重量の0.3〜
1.0重量%程度であるのが好ましい。
【0037】型は、例えば陶器、セラミック製のものな
どが使用可能であり、作製するゴム製品と同一形状に形
成されている。型の予熱温度は、使用する感熱化剤やゴ
ム材料に応じて適宜決定することができるが、通常80
〜100℃、好ましくは85〜95℃程度の温度に表面
を予熱しておくのがよい。加硫の条件は、通常100〜
120℃にて、約30〜90分間程度行うのがよい。
【0038】本発明で得られるゴム製品の膜厚や物性
(伸縮性、引張応力等)は、ゴム製品の種類、使用目的
等によって適宜調節される。例えば作業用手袋の場合に
は、ゴム層の厚さは、ソフト感、耐水性、ゴムの破断な
どのおそれがない範囲で適宜選択され、通常0.5〜
3.0mm、好ましくは0.8〜2.0mmであるのが
よい。
【0039】またゴム手袋の伸縮性は、手袋の着脱が容
易でかつ良好なフィット性を発揮するのに必要な伸縮性
を有するように、JIS K 6301に従った測定法
で求めた伸びが、通常700〜1000%、好ましくは
800〜900%であるのがよい。さらにゴム手袋の引
張応力は、装着者の手への手袋の装着が容易になるよう
に、JIS K 6301に従った測定法で求めた引張
応力が、通常、20〜40MPa、好ましくは25〜3
5MPaであるのがよい。
【0040】なお、以上の説明では、感熱凝固性ラテッ
クス中に、予熱した型を浸漬していたが、この感熱凝固
性ラテックスに代えて、感熱化剤とアノード凝着剤とを
配合しない脱蛋白天然ゴムラテックスに、上記各種添加
剤を配合して加硫(以下、前加硫という)を行い、この
前加硫したラテックス中に感熱化剤およびアノード凝着
剤を配合して調製した脱蛋白天然ゴムラテックスを使用
してもよい。
【0041】その際、前加硫は、通常30〜50℃に
て、約15〜30時間行うのがよい。また、上記感熱凝
固性ラテックスからゴム分を凝固、乾燥させた固形脱蛋
白天然ゴムを、ゴム製品の原料として用いてもよい
【0042】
【実施例】以下、実施例および比較例を示して本発明を
詳細に説明する。 実施例1 特開平6−56902号公報に開示の方法に準拠して得
た脱蛋白天然ゴムラテックス(ゴム固形分の濃度45.
0重量%,窒素含有量0.05%,pH10.4)22
2.2g(ゴム固形分100重量部)に対し、各種添加
剤[水に分散させたコロイド硫黄、亜鉛華およびノクセ
ラーBZ]を添加し、40℃で24時間熟成させた(前
加硫)。なお、上記コロイド硫黄、亜鉛華およびノクセ
ラーBZの添加量は、順に1重量部、1重量部、0.6
重量部であった。
【0043】ついで、この前加硫したラテックスを20
℃まで冷却し、感熱化剤としてポリビニルメチルエーテ
ルを0.5重量部、およびアノード凝着剤として硝酸カ
ルシウム水溶液0.5重量部を配合した。なお、脱蛋白
天然ゴムラテックス中の界面活性剤の含有量は、ゴム固
形分100重量部に対して0.25重量%あった。ま
た、硝酸カルシウム水溶液の配合量は、硝酸カルシウム
自体の重量を示し、感熱化剤(A)とアノード凝着剤
(B)との配合比は、重量比(A/B)で0.5であ
る。
【0044】次に、この感熱化剤およびアノード凝着剤
を配合したラテックス中に、あらかじめ90℃に予熱し
た直径5cmの陶器製試験管を30秒間浸漬した後、1
00℃、90分間加硫して、ゴム膜を作製した。 実施例2〜3、比較例1〜3 下記表1および表2に示す天然ゴムラテックス、感熱化
剤およびアノード凝着剤を添加した以外は実施例1と同
様にしてゴム膜を作製した。
【0045】実施例4 40℃で24時間熟成(前加硫)を行わなかった以外
は、実施例1と同様にしてゴム膜を作製した。 比較例4 脱蛋白天然ゴムラテックスに代えて、市販のハイアンモ
ニア天然ゴムラテックス(ゴム固形分の濃度45.0重
量%,窒素含有量0.3%,pH10.8)を使用した
以外は、実施例1と同様にしてゴム膜を作製した。
【0046】上記実施例および比較例のゴム膜につい
て、JIS−6301に準拠して以下の各試験を行い、
その物理特性を評価した。 (引張試験)実施例および比較例のゴム膜から、JIS
−6301に規定された引張試験用の試験片(ダンベル
状3号形:厚さ1.2〜1.4mm)を作製した。そし
てこの試験片を用いて、JIS−6301に記載の試験
操作方法に準じて、伸び500%時の引張応力(500
%モジュラス)M500 、切断時伸びEb (%)、および
引張強さTb (MPa)を求めた。
【0047】以上の結果を、各成分の配合量と共に表1
および2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】表1および2から明らかなように、実施例
では良好な膜厚およびゴム特性を有するのに対して、比
較例では凝固したり(比較例1、3)、あるいは良好な
膜厚(比較例2)を有しないことがわかる。また、脱蛋
白されていないラテックス(ハイアンモニアラテック
ス)に、感熱化剤とアノード凝着剤との両方を添加した
比較例4では、ラテックスが凝固してしまい、ゴム膜を
形成できなかった
【0051】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明のゴム製
品の製造方法および本発明の感熱凝固性ラテックスによ
れば、脱蛋白天然ゴムラテックスから良好な膜厚を有す
るゴム製品を製造することができる。上記ゴム製品の製
造方法および感熱凝固性ラテックスから得られるゴム製
品は、蛋白質が高度に除去されているので、即時型アレ
ルギーを引き起こすおそれがないゴム製品である
フロントページの続き (72)発明者 越智 敦子 兵庫県明石市大久保町ゆりのき通1−1− 1 イーストスクエアIII番館1205 (72)発明者 宮本 芳明 兵庫県神戸市西区美賀多台1−3−2703 (72)発明者 信近 英男 兵庫県神戸市西区竜ケ丘4−6−1 県住 902号 Fターム(参考) 4J002 AC011 BE042 BE062 CH022 CP032 DD067 DF036 DF037 EG026 EN137 FD010 FD030 FD140 FD150 FD202 FD206 FD207

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱蛋白天然ゴムラテックスに、当該ラテックス中のゴム
    固形分100重量部に 対して0.1〜20重量部の感熱化剤(A)と、0.1
    〜10重量部のアノード 凝着剤(B)とを、重量比(A/B)が0.5〜10の
    範囲で配合して感熱凝固 性ラテックスを調製し、この感熱凝固性ラテックスに予
    熱した型を浸漬して、当 該型の表面にゲルを沈着させてゴム膜を形成することを
    特徴とするゴム製品の製 造方法。
  2. 【請求項2】 感熱化剤(A)がアンモニウム塩、または曇点が常温以
    上100℃以下の水溶 性高分子であり、かつアノード凝着剤(B)が、イオン
    価が2以上の金属塩また は有機アルキルアミン塩である請求項1記載のゴム製品
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 脱蛋白天然ゴムラテックスに、当該ラテックス中のゴム
    固形分100重量部に 対して0.1〜20重量部の感熱化剤(A)と、0.1
    〜10重量部のアノード 凝着剤(B)とを、重量比(A/B)が0.5〜10の
    範囲で配合したことを特 徴とする感熱凝固性ラテックス。
  4. 【請求項4】 脱蛋白天然ゴムラテックスのゴム固形分100重量部に
    対して、0.1〜20 重量部の感熱化剤(A)と0.1〜10重量部のアノー
    ド凝着剤(B)とを、重 量比(A/B)が0.5〜10の範囲で配合した感熱凝
    固性ラテックスを用いて 形成した、ゴム膜の厚みが1mm以上であることを特徴
    とするゴム手袋。
  5. 【請求項5】 感熱化剤(A)がアンモニウム塩、または曇点が常温以
    上100℃以下の水溶 性高分子であり、かつアノード凝着剤(B)が、イオン
    価が2以上の金属塩また は有機アルキルアミン塩である請求項4記載のゴム手
    袋。
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