JP4078131B2 - 配合ラテックスと、それを用いるゴム製品およびゴム製品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アノード凝着法によるゴム製品の製造に用いられる、脱蛋白処理された配合ラテックスと、当該ラテックスを用いるゴム製品および当該ゴム製品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然ゴムは伸びが大きく、弾性が高く、皮膜の強さが適度であり、しかも安価であるといった特徴を有することから、ゴム風船、ゴム手袋を始めとして、その他幅広い分野で利用されている。
一方、近年、天然ゴムラテックスを用いたゴム製品については、当該製品中に含まれる蛋白質を高度に除去することが求められている。これは、(a) 天然ゴム製品を人体の皮膚や粘膜と直接に接触させると呼吸困難やじんましん等の即時型(I型)アレルギーを誘発する場合があり、その原因物質として、天然ゴムラテックスに含まれる蛋白質が関与している旨の指摘がなされていること、(b) 前記蛋白質の種類や含有量はラテックスの産地や産出時期等によって異なるため、天然ゴム製品の品質や加硫特性等にばらつきを生じさせる原因となること、さらに、(c) 前記蛋白質は、ゴム製品のクリープ特性、耐老化性等の機械特性、絶縁性等の電気特性を低下させる原因にもなること、が主な理由である。
【0003】
そこで、特開平6−56904号〜同56906号公報には、プロテアーゼと、陰イオン界面活性剤および/または非イオン界面活性剤との組合せによる脱蛋白処理剤と、天然ゴムラテックスに上記脱蛋白処理剤を加えて蛋白質を分解した後、遠心分離によってゴム分を洗浄する脱蛋白ゴムの製造方法と、が開示されている。上記処理剤を用いた脱蛋白処理によれば、天然ゴムラテックス中の蛋白質を非常に高いレベルで除去することができ、蛋白質の含有量をケルダール法によって測定される窒素含有量(N%)で0.1重量%以下になるまで低減させることができる。
【0004】
しかしながら、上記公報に開示の脱蛋白処理剤で処理された脱蛋白天然ゴムを水性分散媒に再分散してなるラテックスは、一般に、アノード凝固剤に対する感度(アノード感度)が低く、当該ラテクッスを用いてアノード凝着法により成膜を行っても、十分な厚みのゴム膜を成形することができないという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、上記公報に開示の脱蛋白処理剤に例示されている界面活性剤のうち、アノード凝固剤に対する凝集性を基準とする界面活性剤の組合せを抽出して、この組合せからなる界面活性剤を脱蛋白天然ゴムラテックスに配合したときは、アノード凝着法によって十分な厚みのゴム膜を成形できるという事実が、本発明者らの研究によって明らかとなった。
【0006】
しかしながら、この場合、アノード感度がむしろ高くなり過ぎてしまう問題があり、これに伴い、ラテックスのゲル化速度は極めて速くなる。
従って、例えばアノード凝着法によるゴム風船の製造では、型表面にゴム皮膜を形成した後、その型を回転させたり倒置させたりしてゴム皮膜の厚みを均一化させる、いわゆるローテーションまたはロッキングと呼ばれる処理が行われるが、上記の脱蛋白天然ゴムラテックスを用いた場合は当該処理を行うまでにゲル化が完了するため、膜厚の均一化を図ることができない。その結果、ゴム膜にいわゆる片ぶくれやダマを生じるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、高度に脱蛋白処理が施された脱蛋白天然ゴムラテックスを原料として、アノード感度が良好で、膜厚のばらつきの少ないゴム製品を製造することのできる配合ラテックスを提供することである。
また、本発明の他の目的は、高度に脱蛋白処理が施され、かつ膜厚のばらつきが少ないゴム製品と、当該ゴム製品の製造方法とを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記課題を解決するための本発明に係る配合ラテックスは、
カルボン酸系アニオン界面活性剤、高級アルコール硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、スルホン酸系アニオン界面活性剤、およびリン酸系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる高凝集性界面活性剤と、高級アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、および高級アルキルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる低凝集性界面活性剤と、プロテアーゼとを含む蛋白分解処理剤を用いて脱蛋白処理が施された脱蛋白天然ゴムと、
加硫剤と、
ポリオキシアルキレンエステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系、およびポリオキシアルキレン多価アルコールエーテル系からなる群より選ばれる少なくとも1種の非イオン界面活性剤と、
が水性分散媒中に分散されていることを特徴としている。
【0009】
本発明の配合ラテックスにおいて、(i)その主成分である脱蛋白天然ゴムは、Ca2+に対する凝集性が高いことを特徴とする上記の高凝集性界面活性剤と、Ca 2+ に対する凝集性が低いことを特徴とする上記の低凝集性界面活性剤と、プロテアーゼとを含む蛋白分解処理剤を用いて、天然ゴムラテックスを脱蛋白処理したものであるため、そのアノード感度が極めて高いのに対し、(ii)上記の特定の非イオン界面活性剤は、アノード凝固剤に対する感度を適度に調節するものであるため、その結果として、本発明の配合ラテックスは、アノード凝着法による成膜性が良好なものとなっている。
それゆえ、本発明の配合ラテックスは、高度に脱蛋白処理が施された脱蛋白天然ゴム(ラテックス)を原料として、膜厚のばらつきの少ないゴム製品を製造するのに好適である。
【0010】
本発明の配合ラテックスにおいて、前記非イオン界面活性剤の添加量は、前記脱蛋白処理が施された天然ゴムのゴム分100重量部に対して0.05〜4重量部であるのが、アノード凝固剤に対する感度を適度なものとし、ゴム皮膜の厚みにばらつきが生じるのを抑制する上で好ましい。
【0011】
本発明に係るゴム製品は、本発明に係る配合ラテックスを用いて成膜されていることを特徴としている。
すなわち、本発明に係るゴム製品は、
カルボン酸系アニオン界面活性剤、高級アルコール硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、スルホン酸系アニオン界面活性剤、およびリン酸系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる高凝集性界面活性剤と、高級アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、および高級アルキルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる低凝集性界面活性剤と、プロテアーゼとを含む蛋白分解処理剤を用いて脱蛋白処理が施された脱蛋白天然ゴムと、
加硫剤と、
ポリオキシアルキレンエステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系、およびポリオキシアルキレン多価アルコールエーテル系からなる群より選ばれる少なくとも1種の非イオン界面活性剤と、が(好ましくは、前記非イオン界面活性剤の配合量が、前記脱蛋白処理が施された天然ゴムのゴム分100重量部に対し、0.05〜4重量部となるように)、水性分散媒中に分散されている配合ラテックスを用いて成膜されたものである。
【0012】
本発明のゴム製品は、高度に脱蛋白処理が施された脱蛋白天然ゴム(ラテックス)を原料とすることから、蛋白質に起因するアレルギーが発生するおそれが著しく抑制される。しかも、当該脱蛋白天然ゴムを含有する配合ラテックスは、そのアノード感度が適度な範囲に調整されたものであることから、膜厚のばらつきも著しく抑制される。
それゆえ、本発明のゴム製品は、アレルギー対策に優れるだけでなく、ゴム皮膜の品質にも優れたものとなる。
【0013】
本発明に係るゴム製品の製造方法は、
カルボン酸系アニオン界面活性剤、高級アルコール硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、スルホン酸系アニオン界面活性剤、およびリン酸系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる高凝集性界面活性剤と、高級アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、および高級アルキルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる低凝集性界面活性剤と、プロテアーゼとを含む蛋白分解処理剤を用いて脱蛋白処理が施された脱蛋白天然ゴムと、
加硫剤と、
ポリオキシアルキレンエステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系、およびポリオキシアルキレン多価アルコ−ルエーテル系からなる群より選ばれる少なくとも1種の非イオン界面活性剤と、を水性分散媒中に分散させ、
次いで、こうして得られた配合ラテックスに、表面にアノード凝固剤を付着させた型を浸漬することを特徴としている。
【0014】
本発明に係るゴム製品の製造方法によれば、蛋白質に起因するアレルギーが発生するおそれが著しく抑制され、しかも膜厚のばらつきも著しく抑制されたゴム製品を、アノード凝着法によって製造することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
〔配合ラテックス〕
本発明の配合ラテックスは、例えば、
(I)天然ゴムラテックスに、カルボン酸系アニオン界面活性剤、高級アルコール硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、スルホン酸系アニオン界面活性剤、およびリン酸系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる高凝集性界面活性剤と、高級アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、および高級アルキルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる低凝集性界面活性剤と、プロテアーゼと、を含む蛋白分解処理剤を配合して熟成させ、次いで、熟成後のラテックスを、遠心分離、限外ろ過等の処理に供し、ゴム分を洗浄することによって得られる脱蛋白天然ゴムと、
(II)加硫剤およびその他のいわゆる加硫系の配合剤と、
(III)ポリオキシアルキレンエステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系およびポリオキシアルキレン多価アルコ−ルエーテル系からなる群より選ばれる少なくとも1種の非イオン界面活性剤と、
を水性分散媒中に分散させることによって得られるものである。
【0016】
本発明において「水性分散媒」とは、主に水をいうが、ラテックスの分散安定性を阻害しない範囲において、水と混和する他の溶媒(例えば、有機溶媒等)や、アノード凝着法による成膜に用いるラテックスにおいて通常配合される添加剤などを含有するものを含む。
【0017】
本発明の配合ラテックスは、言い換えるならば、上記蛋白分解処理剤によって脱蛋白処理が施された天然ゴムを水性分散媒中に再分散させてラテックスとし、さらにこのラテックス中に加硫剤等の加硫系配合剤と、特定の非イオン界面活性剤とを配合してなるものである。
ここで、カルボン酸系アニオン界面活性剤、高級アルコール硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、スルホン酸系アニオン界面活性剤、およびリン酸系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる高凝集性界面活性剤と、高級アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、および高級アルキルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる低凝集性界面活性剤と、を含有する組み合わせは、これらの組み合わせを含有する水溶液(25℃)のCa2+濃度が0.1mol/L以下であるときに、上記水溶液が安定に分散状態を示し、かつ上記水溶液のCa2+濃度が1.0mol/L以上であるときに、上記水溶液が凝集する組合せである。
【0018】
一般に、脱蛋白処理が施された天然ゴムラテックスには、ラテックス状態の安定性を維持するために界面活性剤が配合されており(あるいは、脱蛋白処理剤中に配合されている界面活性剤によって、脱蛋白処理後のラテックスの安定性が維持されており)、当該界面活性剤の影響によって、脱蛋白天然ゴムラテックスのアノード感度が、極めて低いものとなっている。
これに対し、アノード凝固剤(具体的にはCa2+イオン)に対する凝集性を基準として抽出された界面活性剤の組合せを用いて脱蛋白処理を施した場合は、ラテックス状態の安定化が図られている一方で、アノード感度が極めて高い状態となっている。
本発明では、このようにアノード感度が極めて高い脱蛋白天然ゴムラテックスに特定の非イオン界面活性剤を配合することによって、配合ラテックスのアノード感度を適度で良好なものとすることができる。かかる配合ラテックスは、膜厚のばらつきの少ないゴム製品を製造するのに好適である。また、当該配合ラテックスの原料となる脱蛋白天然ゴムは高度に脱蛋白処理が施されたものであることから、ラテックスアレルギーに対する安全性が高い。
【0019】
(天然ゴムラテックス)
本発明において、脱蛋白天然ゴムラテックスの調製に用いられる天然ゴムラテックスは、ゴム樹液として得られるフィールドラテックスまたはアンモニア保存濃縮ラテックスのいずれであってもよい。
【0020】
(プロテアーゼ)
本発明において、天然ゴムラテックスの脱蛋白処理に用いられる蛋白分解処理剤は、前述のように、Ca2+に対する凝集性が異なる2種以上の界面活性剤とプロテアーゼとを含むものである。
前記プロテアーゼは、従来公知の種々のものが使用可能であって特に限定されるものではないが、なかでもアルカリプロテアーゼ等が好適である。プロテアーゼの由来としては、細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母由来のもの等いずれのものであってもよいが、これらの中では細菌由来のもので、特にBacillus属のものが好ましい。また、リパーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、ラッカーゼ、セルラーゼ等の酵素を併用することも可能である。
【0021】
アルカリプロテアーゼを用いる場合において、その活性〔アンソン−ヘモグロビン法(Anson. M. L.,J. Gen. Physiol.,22,79(1938))の改良法による測定値〕は0.1〜50APU/g、好ましくは1〜25APU/gの範囲であるのが適当である。
プロテアーゼの使用量は、当該プロテアーゼ自体の活性に応じて変動するものであって、特に限定されるものではない。しかし、一般的には、プロテアーゼの含有量が天然ゴムラテックス中のゴム分100重量部に対して0.0001〜20重量部となるように調整するのが好ましく、0.001〜10重量部となるように調整するのがより好ましい。プロテアーゼの含有量が上記範囲内であるときは、当該プロテアーゼの活性を保持しつつラテックス中の蛋白質を十分に分解することができ、あるいはプロテアーゼの使用量に見合った効果を有効に発現でき、コスト的に有利となる。
【0022】
(界面活性剤)
前記蛋白分解処理剤における、高凝集性界面活性剤と低凝集性界面活性剤とを上記の割合で含有する組み合わせは、前述のように、上記組み合わせを含有する水溶液(25℃)のCa2+濃度が0.1mol/L以下であるときに安定に分散し、かつ上記水溶液のCa2+濃度が1.0mol/L以上であるときに凝集する組合せからなるものである。
【0023】
本発明に使用可能な2種以上の界面活性剤の組合せとしては、相対的にCa2+に対する凝集性が高く、分散性が低いもの(高凝集性界面活性剤)と、相対的にCa2+に対する凝集性が低く、分散性が高いもの(低凝集性界面活性剤)との組合せが挙げられる。
具体的には、
カルボン酸系アニオン界面活性剤、高級アルコール硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、スルホン酸系アニオン界面活性剤およびリン酸系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(高凝集性界面活性剤)Hと、
高級アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤および高級アルキルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤(低凝集性界面活性剤)Lと、
の組合せが挙げられる。
【0024】
前記界面活性剤Hの群に含まれるものはCa2+に対する凝集性が相対的に高い(分散性が相対的に低い)界面活性剤であって、前記界面活性剤Lの群に含まれるものはCa2+に対する凝集性が相対的に低い(分散性が相対的に高い)界面活性剤である。
上記界面活性剤Hの群に含まれるものの具体例を表1に示す。また、上記界面活性剤Lの群に含まれるものの具体例を表2に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
本発明において「2種以上の界面活性剤が凝集する」とは、2種以上の界面活性剤のうち少なくとも一方の界面活性剤がCa2+と結合して水に不溶性の塩を形成することをいう。一方、本発明において「2種以上の界面活性剤が安定に分散する」とは、界面活性剤がCa2+によって上記のような塩を生じることがなく、水溶液中での分散性が維持されることをいう。
前記2種以上の界面活性剤についてのCa2+に対する凝集性の評価は、通常、前記界面活性剤を水溶液として、これをCa2+を含有する水溶液に滴下することによって行われる。この際、界面活性剤水溶液の濃度は特に限定されるものではないが、濃度が低すぎると凝集の有無を判別しにくくなるおそれがあることから、あらかじめ2種以上の界面活性剤(混合物)水溶液の濃度を10重量%程度に設定しておくのが好ましい。また、前記2種以上の界面活性剤についてのCa2+に対する凝集性を評価するのに用いられる、所定のCa2+濃度を有する水溶液についての液温は、これに限定されるものではないが、アノード凝着法での成膜処理を行う温度範囲に設定しておくのが好ましい。一般には、Ca2+濃度に対する凝固性の程度を評価する際に前記水溶液の液温を25℃に設定しておくのが好ましい。そこで、本発明においてCa2+に対する凝集性の程度を評価するのに際しては、特に言及しない限り、所定のCa2+濃度を有する水溶液についての液温を25℃に設定した。
【0028】
本発明に用いられる蛋白分解処理剤において、前記界面活性剤Hと前記界面活性剤Lとの混合割合は特に限定されるものではないが、通常、その重量比(H:L)を15:85〜70:30となるように設定するのが好ましい。
界面活性剤Hと界面活性剤Lとの総添加量(総含有量)を100としたときの界面活性剤Hの添加(含有)割合は、前記範囲の中でも、その下限が20〔H:L=20:80〕であるのが好ましく、25〔H:L=25:75〕であるのがより好ましい。一方、界面活性剤Hの添加(含有)割合は、前記範囲の中でも、その上限が65〔H:L=65:35〕であるのが好ましく、60〔H:L=60:40〕であるのがより好ましい。
【0029】
(プロテアーゼと界面活性剤との含有割合)
上記蛋白分解処理剤において、プロテアーゼと界面活性剤との含有割合は特に限定されるものではないが、蛋白質の分解処理を効率よく進行させるには、両者の比を重量比で1:1〜1:200、好ましくは1:10〜1:50の範囲に設定するのが好ましい。
(蛋白質の分解・除去処理方法)
天然ゴムラテックスに対する蛋白質の分解処理は、原料となる天然ゴムラテックスに前述のプロテアーゼと界面活性剤とを適宜添加して、数十分から1週間程度、好ましくは1〜3日程度熟成させることによって行われる。
【0030】
この熟成処理は、ラテックスを撹拌しながら行ってもよく、静置した状態で行ってもよい。また、必要に応じて温度調整を行ってもよい。プロテアーゼの活性を十分なものとするには、5〜90℃にするのが好ましく、20〜60℃に調整するのがより好ましい。5℃を下回ると蛋白質の分解反応が進まないおそれがあり、逆に90℃を超えるとプロテアーゼの失活を招くおそれがある。
蛋白質の分解処理後における蛋白質(およびその分解物)の除去処理は、ラテックス中のゴム粒子の洗浄(精製)処理としてなされるものである。当該洗浄処理の方法は特に限定されるものではないが、例えば遠心分離、限外濾過法等によってラテックスを濃縮し、水中に移行した蛋白質分解物等の非ゴム成分と、ラテックス中のゴム分とを分離する処理や、ゴム分を酸等によって凝集させて分離する処理が挙げられる。中でも、遠心分離処理により精製を行うのが、精製の精度、効率等の観点からもっとも好ましい。
【0031】
天然ゴムラテックスに添加されたプロテアーゼは、上記蛋白質分解処理に供された後、上記精製処理によって洗浄、除去される。また、天然ゴムラテックスに添加された界面活性剤についても、その一部は上記精製処理によって洗浄、除去される。界面活性剤の一部は、精製処理後も脱蛋白天然ゴムラテックスに残存して、ラテックスの安定剤として作用するが、この残存量が極端に少ないと(精製処理によって大部分が除去されると)、脱蛋白天然ゴムラテックスの安定性が著しく損なわれてしまう。しかし、脱蛋白処理後のラテックスの洗浄(精製)処理を、例えば通常行われる遠心分離の方法で、かつ、通常の処理条件で処理を行うのであれば、すなわちプロテアーゼと蛋白質の分解物等を洗浄除去できる程度の条件で洗浄(精製)処理が行われるのであれば、脱蛋白天然ゴムラテックスの安定性は維持される。
【0032】
より具体的には、例えば遠心分離処理によって洗浄(精製)処理を行う場合、その処理条件を5000〜14000rpmで1〜60分間程度とし、遠心分離処理によって上層に分離したクリーム分を当該クリーム分と同体積程度の水に再分散させるのであれば、脱蛋白処理時にあらかじめ添加された界面活性剤によって脱蛋白処理後のラテックスに十分な安定性を付与することができる。
なお、本発明においては、蛋白質の分解処理時に配合される界面活性剤の量に十分に留意する必要がある。脱蛋白処理によって得られる凝集ゴム(脱蛋白天然ゴム)に界面活性剤が残存すると、当該ゴムを含むラテックスのアノード凝着性(アノード凝固剤に対する感度)に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。残存量が極端に多いと(精製処理によってほとんど除去されなければ)、脱蛋白天然ゴムラテックスの安定性が過度になって、アノード凝固法における通常の手法によって浸漬ゴム製品の製造を可能にするという本発明の効果が得られなくなるおそれがある。
【0033】
(脱蛋白天然ゴムラテックスのCa2+に対する凝集性)
本発明において、脱蛋白天然ゴムラテックスのカルシウムイオン(Ca2+)に対する凝集性は特に限定されるものではないが、上記蛋白分解処理剤によって脱蛋白処理が施された脱蛋白ゴムを水性分散媒中に再分散した場合には、通常、Ca2+濃度が0.01mol/L以下であるときにゴム分の凝集が生じず、Ca2+濃度が0.1mol/L以上であるときにゴム分の凝集が生じるものとなる。
【0034】
(脱蛋白の程度)
本発明において、脱蛋白天然ゴムラテックスの脱蛋白の程度は特に限定されるものではないが、最終的に得られるゴム製品を低アレルギー性のものとする上で、脱蛋白処理後におけるケルダール法による窒素含有量(N%)が0.1%以下、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.02%以下となるように調整されていることが求められる。窒素含有量が上記範囲を超える場合は脱蛋白の程度が不十分であって、最終ゴム製品の使用によりアレルギーが発生してしまうのを十分に抑制することができなくなるおそれがある。
【0035】
脱蛋白の程度は、赤外線吸収スペクトルでの蛋白質に基づく吸収の有無および吸収の程度によっても確認することができる。前述の方法によって脱蛋白処理が施されたゴムには、短鎖ペプチドまたはアミノ酸に由来する3320cm-1の吸収が観察されてもよいが、アレルギーの原因となる高分子ポリペプチドに由来する3280cm-1の吸収は小さい方が好ましく、3280cm-1に吸収が全く観察されないのがより好ましい。
【0036】
(加硫剤)
本発明の配合ラテックスに用いられる加硫剤としては、例えば硫黄;トリメチルチオ尿素、N,N’−ジエチルチオ尿素等の有機含硫黄化合物といった、従来公知の種々の加硫剤が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。加硫剤の配合量は、前加硫の程度や加硫促進剤等の配合量と兼ね合いによって決定されるものであるが、通常、配合ラテックス中のゴム固形分100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜2重量部の範囲で設定される。
【0037】
本発明の配合ラテックスには、上記加硫剤のほか、必要に応じて、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤等の加硫系薬剤や、充填剤等の種々の添加剤を配合することができる。
加硫促進剤には、例えばN−エチル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛(PX)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(PZ)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(EZ)、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(BZ)、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩(MZ)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TT)等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。加硫促進剤の配合量は、配合ラテックス中のゴム固形分100重量部に対して0.5〜3重量部程度に調整するのが好ましい。加硫促進助剤には、例えば亜鉛華等が挙げられる。加硫促進助剤の配合量は、配合ラテックス中のゴム固形分100重量部に対して0.5〜3重量部程度に調整するのが好ましい。
充填剤には、例えばカオリンクレー、ハードクレー、炭酸カルシウム等が挙げられる。充填剤の配合量は、配合ラテックス中のゴム固形分100重量部に対して10重量部以下であるのが好ましい。
【0038】
(非イオン界面活性剤)
本発明の配合ラテックスに用いられる非イオン界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンエステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系、ポリオキシアルキレン多価アルコ−ルエーテル系等の非イオン界面活性剤が挙げられる。
【0039】
前記ポリオキシアルキレンエステル系の非イオン界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等が挙げられる。
糖脂肪酸エステル系の非イオン界面活性剤としては、例えばショ糖、グルコース、マルトース、フラクトース、多糖類の脂肪酸エステル等が挙げられる。また、これらのポリアルキレンオキサイド付加物も用いることも可能である。
アルキルポリグリコシド系の非イオン界面活性剤としては、例えばアルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルポリグルコシド等が挙げられる。また、これらの脂肪酸エステル類、あるいはこれらのポリアルキレンオキサイド付加物を用いることも可能である。
【0040】
ポリオキシアルキレン多価アルコールエーテル系の非イオン界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン多価アルコールアルキルエーテルが挙げられる。多価アルコールとしては炭素数2〜12のポリオールが挙げられ、具体的には、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、シュクロース、ペンタエリスリトール、ソルビタン等が挙げられる。
これらの界面活性剤におけるアルキル基としては、例えば炭素数4〜30のアルキル基が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン基としては、炭素数2〜4のアルキレン基を有するものが挙げられ、具体的には、酸化エチレンの付加モル数が1〜50モル程度のものが挙げられる。また、前記脂肪酸としては、例えば炭素数4〜30の直鎖または分岐した飽和または不飽和脂肪酸が挙げられる。
【0041】
非イオン界面活性剤の配合量は特に限定されるものではないが、前記脱蛋白処理が施された天然ゴムのゴム分100重量部に対して0.05〜4重量部であるのが好ましい。
非イオン界面活性剤の配合量が上記範囲を下回ると、脱蛋白天然ゴムラテックスのアノード感度が低下せずに、依然としてアノード感度が極めて高い状態を維持するおそれがある。この場合、ゴム製品の膜厚にバラツキが生じるのを防止することができなくなるおそれがある。逆に、非イオン界面活性剤の配合量が上記範囲を超えると、アノード感度が低くなり過ぎて、十分な膜厚のゴム製品をアノード凝固法によって製造することができなくなるおそれがある。非イオン界面活性剤の配合量は、上記範囲の中でも、好ましくは0.1〜1重量部、より好ましくは0.1〜0.5重量部、さらに好ましくは0.2〜0.5重量部である。
【0042】
〔ゴム製品およびその製造方法〕
本発明に係るゴム製品は、あらかじめ表面にアノード凝固剤を付着させた浸漬型を使用し、この浸漬型を本発明に係る脱蛋白天然ゴムラテックスに浸漬して、その表面にゴム皮膜を形成し、次いで当該ゴム皮膜を加硫して、脱型することにより得られるものである。
本発明のゴム製品には、例えばゴム風船、ゴム手袋等が挙げられる。特に、ゴム製品がゴム風船やゴム手袋である場合は、ゴム製品の皮膜厚みのばらつきを抑制できるという本発明の効果が最も顕著に現れる。
【0043】
(アノード凝固剤)
浸漬型の表面にあらかじめ付着させておくアノード凝固剤としては、これに限定されるものではないが、例えばイオン価が2以上の金属塩や有機アルキルアミン塩等が挙げられる。イオン価が2以上の金属塩としては、硝酸カルシウム、塩化カルシウム等が挙げられる。これらのアノード凝固剤は一般に水溶液として使用されるものである。
【0044】
成膜時におけるアノード凝固剤の濃度は常法に従って設定すればよく、特に限定されるものではないが、通常、5〜20重量%、好ましくは10〜15重量%となるように設定される。この濃度は、アノード凝固剤が硝酸カルシウム(式量164)であると仮定した場合において、Ca2+濃度に換算すると、0.3〜1.2mol/L程度、好ましくは0.6〜0.9mol/L程度である。
上記ゴム製品の製造に用いられる浸漬型は、目的とするゴム製品の形状に応じたものであればよい。例えば、ゴム製品がゴム手袋の場合、浸漬型には、従来公知の手型を用いればよい。
【0045】
成膜条件は、目的とするゴム製品の種類、ゴム皮膜の厚み等に応じて、常法に従って設定すればよい。
【0046】
【実施例】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。
〔脱蛋白天然ゴムラテックスの作製〕
参考例
ハイアンモニアタイプの天然ゴムラテックスをゴム分の濃度が30重量%となるように水で希釈した。次いで、このラテックスのゴム分に対して、プロテアーゼと界面活性剤とからなる脱蛋白処理剤を1重量%の割合で添加し、液温を30℃に保って24時間静置、熟成させることにより、蛋白質の分解処理を施した。
【0047】
上記脱蛋白処理剤には、プロテアーゼ(アルカリプロテアーゼ,ノボノルディスクバイオインダストリー(株)製の商品名「アルカラーゼ2.0M」)2重量部と、オレイン酸カリウム〔表1に示す界面活性剤H(No. H-1-1)〕49重量部と、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム〔表2に示す界面活性剤L(No. L-1-1)〕49重量部とを混合したものを用いた。
蛋白質の分解処理後、ラテックスに13000rpmで30分間遠心分離処理を施し、分子した上層のクリーム分を水性分散媒(蒸留水)に再分散させることによって、脱蛋白天然ゴムラテックスを得た。
【0048】
〔配合ラテックスの調製およびゴム風船の作製〕
実施例1
上記参考例で得られた脱蛋白天然ゴムラテックス166.7重量部(ゴム分100重量部)に、硫黄1.0重量部、亜鉛華0.5重量部、加硫促進剤ZnMBT(2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩)1.0重量部およびポリオキシアルキレン系のノニオン界面活性剤〔ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル,バイエル(株)製の商品名「EMW」〕0.05重量部を配合し、さらに蒸留水0.35重量部を添加して、総量169.6重量部の配合ラテックスを得た。
【0049】
一方、風船の型を硝酸カルシウムの15重量%水溶液(アノード凝固剤)に浸漬し、型表面に付着したアノード凝固剤を乾燥させた。
次いで、この風船の型を前記配合ラテックスに浸漬した後、ローテーションおよび/またはロッキングを行いつつ、型表面に付着したラテックスを乾燥させた。さらに、当該型をオーブンに入れて、100℃で30分間加熱することによってゴム皮膜を加硫し、脱型してゴム風船を得た。
【0050】
実施例2
ノニオン界面活性剤の配合量を0.1重量部とし、最後に添加する蒸留水を0.3重量部としたほかは、実施例1と同様にして配合ラテックス(総量169.6重量部)を得た。さらに、この配合ラテックスを用いたほかは、実施例1と同様にしてゴム風船を作製した。
実施例3
ノニオン界面活性剤の配合量を0.4重量部とし、最後に蒸留水を添加しなかったほかは、実施例1と同様にして配合ラテックス(総量169.6重量部)を得た。さらに、この配合ラテックスを用いたほかは、実施例1と同様にしてゴム風船を作製した。
【0051】
実施例4
ノニオン界面活性剤の配合量を0.02重量部とし、最後に添加する蒸留水を0.38重量部としたほかは、実施例1と同様にして配合ラテックス(総量169.6重量部)を得た。さらに、この配合ラテックスを用いたほかは、実施例1と同様にしてゴム風船を作製した。
実施例5
ノニオン界面活性剤の配合量を0.5重量部とし、最後に蒸留水を添加しなかったほかは、実施例1と同様にして配合ラテックス(総量169.7重量部)を得た。さらに、この配合ラテックスを用いたほかは、実施例1と同様にしてゴム風船を作製した。
【0052】
比較例1
ノニオン界面活性剤を配合せずに、最後に添加する蒸留水を4.0重量部としたほかは、実施例1と同様にして配合ラテックス(総量169.6重量部)を得た。さらに、この配合ラテックスを用いたほかは、実施例1と同様にしてゴム風船を作製した。
比較例2
ポリオキシアルキレン系のノニオン界面活性剤(前出の商品名「EMW」)に代えて、多価アルコール脂肪酸エステル系のノニオン界面活性剤〔ラウリン酸モノグリセライド,ラウリン酸とグリセリンとを用いて調製したもの。〕を使用し、これを脱蛋白天然ゴムラテックスのゴム分100重量部に対して0.1重量部配合したほかは、実施例2と同様にして配合ラテックス(総量169.6重量部)を得た。さらに、この配合ラテックスを用いたほかは、実施例1と同様にしてゴム風船を作製した。
【0053】
比較例3
ポリオキシアルキレン系のノニオン界面活性剤(前出の商品名「EMW」)に代えて、脂肪酸系のアニオン界面活性剤〔カプリル酸ソーダ,和光純薬(株)製〕を使用し、これを脱蛋白天然ゴムラテックスのゴム分100重量部に対して0.2重量部配合したほかは、実施例2と同様にして配合ラテックス(総量169.6重量部)を得た。さらに、この配合ラテックスを用いたほかは、実施例1と同様にしてゴム風船を作製した。
【0054】
対照
脱蛋白天然ゴムラテックスに代えて、ゴム固形分が60重量%のフィールドラテックス200重量部(ゴム分169.6重量部)を用いたほかは、比較例1と同様にして、総量202.9重量部の配合ラテックスを得た。さらに、この配合ラテックスを用いたほかは、実施例1と同様にしてゴム風船を作製した。
〔ゴム風船の物性〕
上記実施例、比較例および対照のゴム風船について、空気の封入口から風船の先端部までの中間の位置に、当該風船の周方向に沿って均等に、4ヶ所の測定位置(ポイント)を決定した。さらに、当該ポイントにおけるゴム皮膜の厚みを測定して、下記式よりゴム皮膜の厚みについてのバラツキ指数を求めた。
【0055】
【数1】
【0056】
(式中、ポイント1〜4での最大値、最小値および平均厚みの単位は、いずれもmmである。)
上記実施例1〜5、比較例1〜3および対照における配合ラテックスの組成を表3に、ゴム風船の物性を表4に、それぞれ示す。
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
表3中、ポリオキシアルキレン系のノニオン界面活性剤は前述の商品名「EMW」を、多価アルコール脂肪酸エステル系のノニオン界面活性剤は前述のラウリン酸モノグリセライドを、脂肪酸系のアニオン界面活性剤は前述のカプリル酸ソーダを、それぞれ示す。
表3および表4より明らかなように、実施例1〜5では、いずれもゴム膜の厚みのばらつきを極めて小さくすることができた。この効果は、特定の非イオン界面活性剤を添加していない比較例1のラテックスを用いて得られた対照のゴム風船と比べても顕著であった。
【0060】
これに対し、脱蛋白天然ゴムラテックスにポリオキシアルキレン系の非イオン界面活性剤を添加していない比較例1では、当該ラテックスのアノード凝着性を低下させることができなかったため、ゴム膜の厚みにばらつきが生じた。また、目視により観察したところ、比較例1のゴム風船には多数のダマや片ぶくれが生じていた。
Claims (5)
- カルボン酸系アニオン界面活性剤、高級アルコール硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、スルホン酸系アニオン界面活性剤、およびリン酸系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる高凝集性界面活性剤と、高級アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、および高級アルキルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる低凝集性界面活性剤と、プロテアーゼとを含む蛋白分解処理剤を用いて脱蛋白処理が施された脱蛋白天然ゴムと、
加硫剤と、
ポリオキシアルキレンエステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系、およびポリオキシアルキレン多価アルコールエーテル系からなる群より選ばれる少なくとも1種の非イオン界面活性剤と、
が水性分散媒中に分散されていることを特徴とする、配合ラテックス。 - 前記高凝集性界面活性剤と前記低凝集性界面活性剤との含有割合が、重量比で15:85〜70:30であることを特徴とする、請求項1に記載の配合ラテックス。
- 前記非イオン界面活性剤の配合量が、前記脱蛋白処理が施された天然ゴムのゴム分100重量部に対し、0.05〜4重量部であることを特徴とする、請求項1または2に記載の配合ラテックス。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の配合ラテックスを用いて成膜されていることを特徴とする、ゴム製品。
- カルボン酸系アニオン界面活性剤、高級アルコール硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、スルホン酸系アニオン界面活性剤、およびリン酸系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる高凝集性界面活性剤と、高級アルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、および高級アルキルエーテル硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤からなる群より選ばれる低凝集性界面活性剤と、プロテアーゼとを含む蛋白分解処理剤を用いて脱蛋白処理が施された脱蛋白天然ゴムと、
加硫剤と、
ポリオキシアルキレンエステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系、およびポリオキシアルキレン多価アルコールエーテル系からなる群より選ばれる少なくとも1種の非イオン界面活性剤と、を水性分散媒中に分散させ、
次いで、こうして得られた配合ラテックスに、表面にアノード凝固剤を付着させた型を浸漬することを特徴とする、ゴム製品の製造方法。
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