JP2003024653A - ゴム風船 - Google Patents

ゴム風船

Info

Publication number
JP2003024653A
JP2003024653A JP2001211166A JP2001211166A JP2003024653A JP 2003024653 A JP2003024653 A JP 2003024653A JP 2001211166 A JP2001211166 A JP 2001211166A JP 2001211166 A JP2001211166 A JP 2001211166A JP 2003024653 A JP2003024653 A JP 2003024653A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
natural rubber
rubber
latex
examples
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001211166A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3806317B2 (ja
Inventor
Hideo Nobuchika
英男 信近
Naoya Ichikawa
直哉 市川
Akihiko Hamada
明彦 浜田
Keisuke Hashimoto
敬介 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TIGER GOMME KK
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
TIGER GOMME KK
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TIGER GOMME KK, Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical TIGER GOMME KK
Priority to JP2001211166A priority Critical patent/JP3806317B2/ja
Publication of JP2003024653A publication Critical patent/JP2003024653A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3806317B2 publication Critical patent/JP3806317B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Toys (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 伸びが大きく、弾性が高く、かつ被膜の強さ
が強いという天然ゴムの特性を損なうことなしに、色の
濁りやゴム臭、アレルギーを誘発する可能性などを極
力、排除し、しかも息を吹き込んで膨らます際にこれま
でより簡単に膨らますことのできるゴム風船を提供す
る。 【解決手段】 タンパク質を、固形分中の窒素含有率
(N%)で表して0.1%以下まで除去した脱タンパク
天然ゴムラテックスによってゴム風船を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、特に玩具等に使
用されるゴム風船に関するものである。 【0002】 【従来の技術】玩具用などとして広く普及しているゴム
風船は、伸びが大きく、弾性が高く、かつ被膜が強いこ
となどが求められる上、特に安価であることが求められ
ることから、従来は、天然ゴムラテックスを用いて、浸
漬法によって製造される。すなわち天然ゴムラテックス
に、加硫剤その他の添加剤を加えた配合ラテックスを作
製し、この配合ラテックスにゴム風船の型を浸漬して引
き上げ、乾燥して天然ゴムの膜を形成した後、型ごと加
熱して加硫させることでゴム風船を製造している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが従来のゴム風
船は、無着色の状態で、黄色味を帯びた濁った色調を有
している。しかもその色調が、天然ゴムラテックスの原
産地や産出時期等の違いに基づいて大きくばらつくとい
う問題がある。このため従来のゴム風船を着色する場合
には、正しい色を再現しようとすると隠ぺい性の高い濃
い色で着色せねばならず、逆に淡い色の場合は色の濁り
を承知の上で着色しているのが現状である。 【0004】また従来のゴム風船は、天然ゴム特有の強
い臭い(ゴム臭)を有している。しかもゴム風船の原料
である天然ゴムラテックスは、最近の研究では、即時型
(I型)アレルギーを誘発する可能性のあることが明ら
かとなってきている。玩具用のゴム風船は、子供が口に
する可能性が高いものであるため、強いゴム臭や、ある
いはアレルギーを誘発する可能性等は極力、排除するこ
とが望まれる。 【0005】さらに従来のゴム風船は、特に息を吹き込
んで膨らます際に、膨らまし始めが膨らましにくいとい
う問題もある。このため子供は言うまでもなく、例え大
人であっても、膨らますのに失敗するとゴム風船が急激
に縮み、内部の空気が口の中に逆流して、耳下腺の付近
が痛くなったりする場合を生じる。この発明の目的は、
伸びが大きく、弾性が高く、かつ被膜の強さが強いとい
う天然ゴムの特性を損なうことなしに、色の濁りやゴム
臭、アレルギーを誘発する可能性などを極力、排除し、
しかも息を吹き込んで膨らます際にこれまでより簡単に
膨らますことのできるゴム風船を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】アレルギーの原因は、天
然ゴムラテックス中に含まれるタンパク質が抗原として
作用することにある。このためアレルギーの誘発を抑制
すべく、タンパク質を極力、除去した脱タンパク天然ゴ
ムについて種々、研究が行われている。今般、発明者ら
は、この脱タンパク天然ゴムラテックスを、ゴム風船に
使用することを検討した。これは、前述した種々の問題
の原因が、いずれも天然ゴムラテックス中に含まれるタ
ンパク質にあると考えたためである。 【0007】そうしたところ、タンパク質を、固形分す
なわちゴム分中の窒素含有率(N%)で表して0.1%
以下のレベルまで除去した脱タンパク天然ゴムラテック
スにて形成したゴム風船は、アレルギーの誘発を抑制で
きるだけでなく、色味が乳白色ないし白色で濁りがな
く、かつ天然ゴム特有のゴム臭がしない上、低モジュラ
スであるため特に膨らまし初めに膨らましやすいことを
見出し、この発明を完成するに至った。 【0008】したがってこの発明のゴム風船は、タンパ
ク質を、固形分中の窒素含有率(N%)で表して0.1
%以下まで除去した脱タンパク天然ゴムラテックスにて
形成したことを特徴とするものである。 【0009】 【発明の実施の形態】以下に、この発明を説明する。 〔脱タンパク天然ゴムラテックス〕この発明のゴム風船
の原料となる脱タンパク天然ゴムラテックスとしては、
前記のようにタンパク質を、固形分中の窒素含有率(N
%)で表して0.1%以下まで除去したものが使用され
る。 【0010】タンパク質を、上記の範囲を超える割合で
含む天然ゴムラテックスは、脱タンパクが不十分であ
る。そして製造されたゴム風船は、残留したタンパク質
により、無着色の状態での色味が、前記のように黄色味
を帯びた濁った色調となる。また、天然ゴムラテックス
の原産地や産出時期等の違いによって、含まれるタンパ
ク質の種類と量が相違することから、前記のように無着
色の状態での色調が大きくばらついてしまう。また天然
ゴム特有のゴム臭がする上、モジュラスが高くなって膨
らますのが難しくなる。 【0011】なおこれらの問題が発生するのを防止し
て、より良好なゴム風船を得るためには、脱タンパク天
然ゴムラテックス中のタンパク質は、少なければ少ない
ほど好ましい。しかし脱タンパクの度合いを高めようと
すればするほど、その作業に時間と手間とを要すること
になるため、脱タンパク天然ゴムラテックスのコストが
高くつくことになり、特に安価な玩具用のゴム風船にお
いてはそのコストを圧迫することになり兼ねない。 【0012】それゆえこれらの点を併せ考慮すると、脱
タンパク天然ゴムラテックス中のタンパク質は、前記の
範囲内でも特に、固形分中の窒素含有率(N%)で表し
て0.05%以上であるのが好ましく、0.07〜0.
09%であるのがさらに好ましい。窒素含有率(N%)
は、よく知られているようにケルダール(Kjeldahl)法
によって求められる数値である。この窒素含有率(N
%)の6.3倍量が、通常は、脱タンパク天然ゴムラテ
ックスの固形分(ゴム分)中の、タンパク質の含有率に
相当する。 【0013】脱タンパク天然ゴムラテックスは、従来と
同様にして製造することができる。すなわち(i) 非常
に希釈した天然ゴムラテックス中のゴム粒子を凝集させ
る、(ii) 非常に希釈した天然ゴムラテックスを、遠心
分離機にかけて濃縮ラテックスを分離する、(iii) 天
然ゴムラテックスを透析する、(iv) 天然ゴムラテック
ス中のタンパク質を、バクテリアまたは酵素によって分
解する、(v) 天然ゴムラテックスにアルカリを加えて
加熱することでタンパク質を分解させる、(vi) セッケ
ン類により、ゴム粒子に吸着しているタンパク質を遊離
させる、等の方法を適当に組み合わせることで、脱タン
パク天然ゴムラテックスが製造される。 【0014】その具体的な処理の方法としては、例えば
(A) タンパク質分解酵素と界面活性剤とで天然ゴムラ
テックスを同時または順次処理して一定時間放置するこ
とで酵素分解させたのち、分解したタンパク質とゴム分
とを分離する方法や、あるいは(B) アンモニア保存の
濃縮ラテックスのアンモニア濃度を0.2%に下げた上
で、保存剤としてナフテン酸アンモニウム0.4phr
を添加後、タンパク質分解酵素(superase)0.25p
hrを添加して20時間、酵素分解させる方法、等があ
げられる。 【0015】特に前者の(A)の方法によれば、比較的簡
単な操作で、天然ゴムラテックス中のタンパク質を、非
常に高いレベルで除去することができる。原料である天
然ゴムラテックスとしては、天然のゴムの木から得られ
た新鮮なフィールドラテックス、市販のアンモニア処理
ラテックスのいずれを使用することもできる。また(A)
の方法に使用されるタンパク質分解酵素はとくに限定さ
れず、例えばアルカリプロテアーゼ等の、従来公知の種
々のものが、いずれも使用可能である。プロテアーゼの
由来としては細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母
由来のもののいずれでも構わないが、これらの中では細
菌由来のプロテアーゼを使用するのが好ましい。またリ
パーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、ラッカーゼ、セル
ラーゼ等の他の酵素を併用しても良い。 【0016】タンパク質分解酵素の添加量は、天然ゴム
ラテックスの固形分100重量部に対して0.0001
〜20重量部であるのが好ましく、0.001〜10重
量部であるのがさらに好ましい。タンパク質分解酵素の
添加量がこの範囲未満では、天然ゴムラテックス中のタ
ンパク質を十分に分解できなくなるおそれがある。一
方、タンパク質分解酵素の添加量が前記範囲を超える
と、酵素の活性が低下して、却って天然ゴムラテックス
中のタンパク質を十分に分解できなくなるおそれがあ
る。また、コストアップにつながるおそれもある。 【0017】また界面活性剤としては、陰イオン性界面
活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤の
うちの少なくとも1種が使用可能である。このうち陰イ
オン性界面活性剤としては、例えばカルボン酸系、スル
ホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イ
オン性界面活性剤があげられる。カルボン酸系の陰イオ
ン性界面活性剤としては、例えば例えば炭素数が6〜3
0である脂肪酸塩、多価カルボン酸塩、ロジン酸塩、ダ
イマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩等があげ
られ、これらの中では炭素数10〜20のカルボン酸塩
が好ましい。炭素数が6以下では、タンパク質や不純物
の分散と乳化が不十分となり、30以上では水に分散し
にくくなる。 【0018】スルホン酸系の陰イオン性界面活性剤とし
ては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル
スルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフ
タレンスルホン酸塩、ジフェニルエーテルスルホン酸塩
等があげられる。硫酸エステル系の陰イオン性界面活性
剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、ジスチレ
ン化フェノール硫酸エステル塩、トリスチレン化フェノ
ール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫
酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニル
エーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フ
ェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレントリス
チレン化フェノール硫酸エステル塩、α−オレフィン硫
酸エステル塩、アルキルコハク酸硫酸エステル塩等があ
げられる。 【0019】リン酸エステル系の陰イオン性界面活性剤
としては、例えばアルキルリン酸エステル塩、ポリオキ
シアルキレンリン酸エステル塩等があげられる。なおこ
れらの陰イオン性界面活性剤を形成する塩としては、例
えば金属塩(Na、K、Ca、Mg、Zn等)、アンモ
ニア塩、アミン塩(トリエタノールアミン塩等)などが
あげられる。非イオン性界面活性剤としては、例えばポ
リオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレン
エステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪
酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等の非イオン
性界面活性剤があげられる。 【0020】このうちポリオキシアルキレンエーテル系
の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシア
ルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアル
キルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンポリオー
ルアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化
フェノールエーテル、ポリオキシアルキレンジスチレン
化フェノールエーテル、ポリオキシアルキレントリスチ
レン化フェノールエーテル等があげられる。 【0021】なおポリオールとしては、炭素数2〜12
の多価アルコールがあげられる。具体的には、例えばプ
ロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、グル
コース、シュクロース、ペンタエリスリトール、ソルビ
タン等があげられる。ポリオキシアルキレンエステル系
の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシア
ルキレン脂肪酸エステル等があげられる。多価アルコー
ル脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性剤としては、
炭素数2〜12の多価アルコールの脂肪酸エステルまた
はポリオキシアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステ
ルがあげられる。より具体的には、例えばソルビトール
脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モ
ノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド、ポリグリセリ
ン脂肪酸エステル等があげられる。また、これらのポリ
アルキレンオキサイド付加物(例えば、ポリオキシアル
キレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレ
ングリセリン脂肪酸エステル等)も使用可能である。 【0022】糖脂肪酸エステル系の非イオン性界面活性
剤としては、例えばショ糖、グルコール、マルトース、
フラクトース、多糖類の脂肪酸エステル等があげられ、
これらのポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能で
ある。アルキルポリグリコシド系の非イオン性界面活性
剤としては、例えばアルキルグルコシド、アルキルポリ
グルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシ
ド、ポリオキシアルキレンアルキルポリグルコシド等が
あげられ、これらの脂肪酸エステル類やポリアルキレン
オキサイド付加物も使用可能である。 【0023】上記陰イオン性および非イオン性の界面活
性剤におけるアルキル基としては、炭素数4〜30のア
ルキル基があげられる。また、ポリオキシアルキレン基
としては、炭素数2〜4のアルキレン基を有するものが
あげられ、例えば酸化エチレンの付加モル数が1〜50
モル程度のものが示される。脂肪酸としては、例えば炭
素数4〜30の直鎖または分岐した飽和または不飽和脂
肪酸があげられる。両性界面活性剤としては、例えばア
ミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性界
面活性剤があげられる。 【0024】界面活性剤の添加量は、天然ゴムラテック
スの固形分100重量部に対して0.001〜20重量
部であるのが好ましい。酵素を添加する際には、pH調
整剤その他の添加剤を添加してもよい。pH調整剤とし
ては、例えばリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリ
ウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウ
ム等のリン酸塩、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等の酢
酸塩、硫酸、酢酸、塩酸、硝酸、クエン酸、コハク酸な
どの酸類またはその塩、アンモニア、水酸化カリウム、
水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウ
ム等があげられる。pH調整剤の添加量は、天然ゴムラ
テックスの固形分100重量部に対して0.01〜0.
5重量部であるのが好ましい。 【0025】他の添加剤としては分散剤が例示される。
分散剤としては、例えばスチレンスルホン酸共重合物、
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、リグニンスル
ホン酸、多環型芳香族スルホン酸共重合物、アクリル酸
および無水マレイン酸のホモポリマーおよび共重合物、
イソブチレン−アクリル酸およびイソブチレン−無水マ
レイン酸共重合物等があげられる。タンパク質分解酵素
と界面活性剤とで天然ゴムラテックスを同時または順次
処理した後、放置する時間は特に限定されないが、数分
から1週間程度であるのが好ましい。放置中、天然ゴム
ラテックスは随時または常時、かく拌してもよく、静置
してもよい。温度調節は必要に応じてすればよいが、適
当な温度は5〜90℃、より好ましくは20〜60℃で
ある。温度が90℃を超えると酵素の失活が早く、5℃
未満であれば酵素の反応が進行しにくくなる。 【0026】上記放置によってタンパク質の分解処理を
行った後、分解したタンパク質を洗浄除去してゴム分と
分離する方法としては、例えば遠心分離による方法や、
限外ろ過膜を用いて分解タンパク質を除去する限外ろ過
法等があげられるが、中でも遠心分離による方法が好ま
しい。遠心分離する際は、まずタンパク質分解処理を施
した天然ゴムラテックスのゴム分が5〜40重量%、好
ましくは10〜30重量%となるように水で希釈する。
次いで、5000〜10000rpmで1〜60分間遠
心分離すればよい。 【0027】遠心分離処理後、上層に分離されたクリー
ム状のゴム分を取り出す。かかる操作は、ディスク式の
遠心分離器で連続的に行ってもよい。そして取り出され
たクリーム状のゴム分を水で所定の濃度に希釈すること
により脱タンパク天然ゴムラテックスが得られる。 〔ゴム風船の製造〕上記脱タンパク天然ゴムラテックス
を用いてゴム風船を製造するには、従来と同様に浸漬法
が採用される。 【0028】すなわちまず、脱タンパク天然ゴムラテッ
クスに加硫剤その他の添加剤を加え、必要に応じて熟成
させて配合ラテックスを作製する。次にこの配合ラテッ
クスに、あらかじめ凝固剤を塗布したゴム風船の型を浸
漬したのち引き上げ、乾燥して天然ゴムの膜を形成する
工程を、ゴム風船の厚み等に応じて1回または2回以上
行う。そして形成した天然ゴムの膜を型ごと加熱して加
硫させると、ゴム風船を製造することができる。 【0029】上記熟成や型の浸漬、乾燥、あるいは加硫
の各工程における、温度や時間等の条件は、従来公知の
条件にて適宜設定される。なお単に脱タンパク天然ゴム
ラテックス中に型を浸漬する成膜法のほかに、静電気力
を利用してゴム粒子を凝集させる凝固液法や、感熱凝固
剤を含有した脱タンパク天然ゴムラテックスと、加熱し
た型とを用いる感熱法によって型の表面に天然ゴムの膜
を形成することもできる。 【0030】加硫剤としては、例えば硫黄や有機含硫黄
化合物等があげられる。加硫剤の添加量は、脱タンパク
天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.
5〜1.5重量部であるのが好ましい。またその他の添
加剤としては、例えば加硫促進剤、加硫促進助剤(活性
化剤)、老化防止剤、充てん剤、分散剤等の,従来公知
の種々の添加剤があげられる。このうち加硫促進剤とし
ては、例えばPX(N−エチル−N−フェニルジチオカ
ルバミン酸亜鉛)、PZ(ジメチルジチオカルバミン酸
亜鉛)、EZ(ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛)、B
Z(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)、MZ(2−メ
ルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩)、TT(テトラメ
チルチウラムジスルフィド)等があげられる。これらは
単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
その添加量は、脱タンパク天然ゴムラテックスの固形分
100重量部に対して0.5〜2.0重量部であるのが
好ましい。 【0031】加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華等が
あげられる。その添加量は、脱タンパク天然ゴムラテッ
クスの固形分100重量部に対して0.5〜3.0重量
部であるのが好ましい。老化防止剤としては、一般に、
非汚染性のフェノール類が好適に用いられるが、アミン
類を使用してもよい。老化防止剤の添加量は、脱タンパ
ク天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して1
〜2重量部であるのが好ましい。 【0032】充てん剤としては、例えばカオリンクレ
ー、ハードクレー、炭酸カルシウム等があげられる。そ
の添加量は、脱タンパク天然ゴムラテックスの固形分1
00重量部に対して20重量部以下であるのが好まし
い。分散剤は、主として上記各成分の、脱タンパク天然
ゴムラテックス中への分散を良好にするためのものであ
る。かかる分散剤としては、例えば前記例示の陰イオン
系界面活性剤等があげられる。分散剤の添加量は、分散
対象である成分の総量の、2〜5重量%であるのが好ま
しい。 【0033】かくして製造されるこの発明のゴム風船
は、前記のように天然ゴムラテックス由来のタンパク質
を極力除去したものゆえ、伸びが大きく、弾性が高く、
かつ被膜の強さが強いという天然ゴムの特性を損なうこ
となしに、色の濁りやゴム臭、アレルギーを誘発する可
能性などを極力、排除することができ、しかも息を吹き
込んで膨らます際にこれまでより簡単に膨らますことも
可能となる。 【0034】 【実施例】以下にこの発明を、実施例、比較例に基づい
て説明する。 実施例1 〈脱タンパク天然ゴムラテックスの作製〉ハイアンモニ
アラテックス(固形分60重量%、アンモニア含有量
0.7%、ケルダール法による固形分中の窒素含有率
0.3%)を、固形分が30重量%となるように、同量
の水で希釈した。 【0035】次いでこのラテックスに、2重量部のプロ
テアーゼと98重量部の10%ポリオキシエチレンラウ
リルエーテル硫酸ナトリウム〔界面活性剤、花王(株)製
のKP4401〕とを配合した脱タンパク処理剤を、ラ
テックス中の固形分100重量部に対して1重量部の割
合で添加した後、30℃で24時間静置した。次に上記
混合物を、13,000rpmで30分間、遠心分離し
た後、上層に分離したクリーム状のゴム分を取り出して
同量の水で希釈することにより、固形分60重量%、ケ
ルダール法による固形分中の窒素含有率0.08%の、
脱タンパク天然ゴムラテックスを得た。 【0036】〈ゴム風船の製造〉上記で作製した脱タン
パク天然ゴムラテックスに、下記の各成分を、固形分1
00重量部あたりの添加量が下記の重量部となるように
添加し、40℃で24時間熟成させた後、室温(23±
1℃)まで冷却して配合ラテックスを得た。 (成 分) (重量部) 水に分散させたコロイド硫黄 0.5(固形分としての硫黄の量) 亜鉛華 0.5 加硫促進剤EZ 0.3 (ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛) フェノール系老化防止剤 1.0 (大内新興化学工業(株)製のノクラックPBK、p-クレソールとジシクロペ ンタジエンのブチル化反応生成物) オレイン酸カリウム 0.2 また陶器製のゴム風船の型を50℃に予熱した状態で、
20%塩化カルシウム水溶液に10秒間、浸漬して引き
上げた。 【0037】次にこの型を、上記配合ラテックスに10
秒間、浸漬して引き上げ、室温で60秒間、乾燥させた
後、再び上記配合ラテックスに10秒間、浸漬して引き
上げた。そして100℃で30分間、加熱、加硫した
後、型から取り外してゴム風船を得た。 実施例2 加硫促進剤として、加硫促進剤EZに代えて、加硫促進
剤BZ(ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛)0.3重量
部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてゴム風船を
得た。 【0038】実施例3 加硫促進剤として、0.2重量部の加硫促進剤EZと、
0.3重量部の加硫促進剤BZとを併用したこと以外は
実施例1と同様にしてゴム風船を得た。 実施例4 加硫促進剤として、0.5重量部の加硫促進剤BZを用
いるとともに、コロイド硫黄の量を0.7重量部にした
こと以外は実施例1と同様にしてゴム風船を得た。 【0039】比較例1〜3 脱タンパク天然ゴムに代えて、その原料である未処理の
ハイアンモニアラテックス(固形分60重量%、アンモ
ニア含有量0.7%、ケルダール法による固形分中の窒
素含有率0.3%)を用いたこと以外は実施例1〜3と
同様にしてゴム風船を得た。上記各実施例、比較例のゴ
ム風船について、以下の各試験を行い、その特性を評価
した。 【0040】色味評価 各実施例、比較例のゴム風船の色味を、目視にて観察し
て評価した。 ゴム臭評価 各実施例、比較例のゴム風船の、ゴム臭の有無を、実際
に臭いを嗅いで評価した。 引張特性試験 実施例、比較例のゴム風船を打ち抜いて、ASTM D
IE Cに規定された引張試験用の試験片(厚み0.1
1〜0.12mm)を作製した。そしてこの試験片を用
いて、ASTM D−412に所載の試験方法に則っ
て、伸び100%時の引張応力M100(MPa)、伸び
300%時の引張応力M300(MPa)、切断時伸びEB
(%)、および切断時の引張強さTB(MPa)を求め
た。 【0041】結果を表1に示す。 【0042】 【表1】 【0043】表より、実施例1〜4のゴム風船は、比較
例1〜3に比べて色味が乳白色で濁りが無い上、天然ゴ
ム特有のゴム臭も無いことがわかった。また上記実施例
1〜4のゴム風船は、その原料である脱タンパク天然ゴ
ムラテックスの、ケルダール法による固形分中の窒素含
有率が0.08%と小さいことから、比較例1〜3に比
べてアレルギーを誘発する可能性が小さいこともわかっ
た。さらに実施例1〜4のゴム風船は、比較例1〜3に
比べて、切断時の引張強さTBを同レベルに維持し、か
つ切断時伸びEBを僅かに向上させつつ、引張応力M100
および引張応力M300を小さくできることも判明した。 【0044】そしてこれらのことから実施例1〜4のゴ
ム風船は、伸びが大きく、弾性が高く、かつ被膜の強さ
が強いという天然ゴムの特性を損なうことなしに、色の
濁りやゴム臭、アレルギーを誘発する可能性などを極
力、排除し、しかも息を吹き込んで膨らます際にこれま
でより簡単に膨らますことができるものであることが確
認された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市川 直哉 兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内 (72)発明者 浜田 明彦 兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内 (72)発明者 橋本 敬介 大阪府東大阪市中小阪3−10−29 株式会 社タイガーゴム内 Fターム(参考) 2C150 AA03 CA09 DA18 DE02 EB16 EB19 FB13 FB14 FB43 FB55

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】タンパク質を、固形分中の窒素含有率(N
    %)で表して0.1%以下まで除去した脱タンパク天然
    ゴムラテックスにて形成したことを特徴とするゴム風
    船。
JP2001211166A 2001-07-11 2001-07-11 ゴム風船 Expired - Fee Related JP3806317B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001211166A JP3806317B2 (ja) 2001-07-11 2001-07-11 ゴム風船

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001211166A JP3806317B2 (ja) 2001-07-11 2001-07-11 ゴム風船

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003024653A true JP2003024653A (ja) 2003-01-28
JP3806317B2 JP3806317B2 (ja) 2006-08-09

Family

ID=19046526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001211166A Expired - Fee Related JP3806317B2 (ja) 2001-07-11 2001-07-11 ゴム風船

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3806317B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011074392A (ja) * 2010-12-09 2011-04-14 Bridgestone Corp 臭気を低減した天然ゴム及びその製造方法
WO2017195604A1 (ja) * 2016-05-11 2017-11-16 住友ゴム工業株式会社 天然ゴム、ゴム組成物及び空気入りタイヤ

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011074392A (ja) * 2010-12-09 2011-04-14 Bridgestone Corp 臭気を低減した天然ゴム及びその製造方法
WO2017195604A1 (ja) * 2016-05-11 2017-11-16 住友ゴム工業株式会社 天然ゴム、ゴム組成物及び空気入りタイヤ
US10982074B2 (en) 2016-05-11 2021-04-20 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Natural rubber, rubber composition and pneumatic tire

Also Published As

Publication number Publication date
JP3806317B2 (ja) 2006-08-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6335407B1 (en) Deproteinized natural rubber and process for producing the same
EP1652862B1 (en) Deproteinized natural rubber, its composition and use thereof
US5910567A (en) Process for preparing deproteinized natural rubber latex molding and deproteinizing agent for natural rubber latex
JP3593368B2 (ja) 脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法
JP4726490B2 (ja) 天然ゴムラテックス、天然ゴム、それを用いたゴム組成物及びタイヤ
US6204358B1 (en) Process for producing deproteinized natural rubber using protease and anionic surfactant
JP2905005B2 (ja) 脱蛋白天然ゴム
JPH06322003A (ja) 脱蛋白天然ゴムラテックスの安定化剤およびこれを用いる安定化脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法
US20010051675A1 (en) Deproteinizing agent, deproteinized natural rubber latex using the same, and method of producing rubber product
JP5100027B2 (ja) 酵素処理天然ゴムラテックスの製造方法、天然ゴム及びそのゴム組成物
JP3604445B2 (ja) 脱蛋白質天然ゴムラテックス成形体の製造方法
JP2003024653A (ja) ゴム風船
EP1568714B1 (en) Natural rubber latex, natural rubber, rubber composition containing the same, and tire
JP4028086B2 (ja) 脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法
US6943212B2 (en) Deproteinized natural rubber latex, method of preparing the same, rubber product using the same, and proteolytic agent for deproteinized natural rubber latex
JP4112681B2 (ja) ゴム手袋
JP2000198881A (ja) 脱蛋白天然ゴムラテックスおよびそれを用いたゴム手袋
JPH10139926A (ja) 脱蛋白天然ゴムラテックスの変色防止剤、脱蛋白天然ゴムラテックスおよびその貯蔵方法
JPH10279607A (ja) 脱蛋白天然ゴムラテックスおよび加硫ゴム
JP4721614B2 (ja) 天然ゴム、それを用いたゴム組成物及びタイヤ
JP2004197052A (ja) 脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法
JP2000017002A (ja) ゴム製品の製造方法およびそれに用いる感熱凝固性ラテックス
Wren The chemistry of natural rubber production
JP2005120153A (ja) 配合脱蛋白天然ゴムラテックスとそれを用いた浸漬ゴム製品
JP2008263806A (ja) 酵素処理ラテックス、酵素処理天然ゴム、酵素処理天然ゴム組成物、酵素処理ラテックスの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050315

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050513

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051206

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051216

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060509

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060512

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3806317

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090519

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100519

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110519

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110519

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120519

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130519

Year of fee payment: 7

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140519

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees