JP2004197052A - 脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法 - Google Patents

脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法 Download PDF

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直哉 市川
Hideo Nobuchika
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Abstract

【課題】蛋白質や酵素等を実質的に含有しない低アレルギー性の脱蛋白天然ゴムラテックスを簡易にかつ効率よく製造する方法を提供する。
【解決手段】プロテアーゼと、pH6〜12において水分散可能なエーテル型陰イオン界面活性剤とを含む処理剤を用いて、天然ゴムラテックスに蛋白分解処理を施した後、当該ラテックスに水酸化アルカリを加えてケン化処理を施し、次いでゴム分を濃縮、分離する。または、あらかじめ脱蛋白処理を施した天然ゴムラテックスに、上記エーテル型陰イオン界面活性剤と水酸化アルカリとを加えてケン化処理を施し、次いでゴム分を濃縮、分離する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アレルギーを誘発するおそれをほとんど有しない脱蛋白天然ゴムラテックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
天然ゴムは伸びが大きい、弾性が高い、皮膜の強さが良好である等の特徴を有することから、従来、自動車用タイヤ、ベルト、粘着剤、接着剤等の工業用品だけでなく、手袋等の家庭用品、手術用手袋や各種カテーテル等の医療用具、授乳用具、避妊具等に至る幅広い分野で利用されている。天然ゴムは、ゴム分のほか、水、蛋白質、無機塩類等を含むラテックスとして得られ、手袋等の浸漬製品はこのラテックスから直接に成形される。
【0003】
ところが近年、手術用手袋やカテーテル等の医療用具として天然ゴム製のものを使用すると、呼吸困難やアナフィラキシー様症状(血管性浮腫、じんましん、チアノーゼ等)等の即時型(I型)アレルギーを引き起こす場合があるとの報告がなされており、さらにその原因(抗原)が、天然ゴムに含まれる蛋白質にあるとの指摘がなされている。
そこで、天然ゴム中の蛋白質を高度に除去することが試みられており、特許文献1では、天然ゴムラテックス中にアルカリプロテアーゼ等の蛋白分解酵素と、界面活性剤とを加えて蛋白分解処理を施した後、遠心分離処理等によってラテックスを十分に洗浄する、いわゆる脱蛋白処理を施すことを提案している。
【0004】
上記特許文献に記載の方法によれば、天然ゴム中の蛋白質を高いレベルで分解、除去することができる。具体的には、天然ゴムに含まれる蛋白質の量を、ケルダール法(Kjeldahl's method)による窒素含有量(N%)で表したときに、0.10%以下の極めて低い値とすることができる。
しかしながら、上記特許公報に記載の方法をはじめとする従来公知の種々の脱蛋白処理を天然ゴムラテックスに施した場合であっても、依然として、僅かにアレルギー性を示すおそれのあることが最近の研究により明らかとなった。その原因としては、天然ゴムラテックス中にごく微量ながら残存する蛋白質(または分解された蛋白質)と、脱蛋白処理に使用された後もラテックス中に残存する酵素とが考えられる。
【0005】
一方、本発明者らは、先に、蛋白分解処理が施された天然ゴムラテックスに水酸化アルカリ(苛性アルカリ)を加えて、ケン化処理を施すことによって、天然ゴムラテックス中に残存していた微量の蛋白質や酵素を分解、除去する、低アレルギー性天然ゴムラテックスの製造方法を提案している(特願2001−206680号)。
【0006】
【特許文献1】
特許第2905005号公報(段落〔0015〕)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
天然ゴムラテックスの脱蛋白処理では、蛋白質を除去することによってラテックス中でゴム分が不安定になり、凝集し易くなるという問題がある。そこで、脱蛋白処理時に蛋白分解酵素とともに界面活性剤を配合することが広く行われており、ゴム分の分散能や、蛋白分解酵素との相性、至適pH等の観点から、陰イオン界面活性剤が最も適しているとされている。
【0008】
しかしながら、陰イオン界面活性剤を安定剤として含有する脱蛋白天然ゴムラテックスにケン化処理を施すと、ケン化処理の反応中または反応後にラテックスのpHが極めて高くなることから不安定化し易く、しかもケン化処理によって副生物が生じて、蛋白分解処理後の濃縮、洗浄工程時にゴムの凝固分中に混入するという問題がある。
そこで本発明の目的は、蛋白質や酵素等を実質的に含有しない低アレルギー性の脱蛋白天然ゴムラテックスを簡易にかつ効率よく製造する方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記課題を解決するための本発明に係る第1の脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法は、プロテアーゼと、pH6〜12において水分散可能な エーテル型 陰イオン界面活性剤とを含む処理剤を用いて天然ゴムラテックスに蛋白分解処理を施した後、当該ラテックスに水酸化アルカリを加えてケン化処理を施し、次いでゴム分を濃縮、分離することを特徴とする。
上記課題を解決するための本発明に係る第2の脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法は、あらかじめ脱蛋白処理が施された天然ゴムラテックスに、pH6〜12において水分散可能な エーテル型 陰イオン界面活性剤と、水酸化アルカリとを加えてケン化処理を施し、次いでゴム分を濃縮、分離することを特徴とする。
【0010】
上記第1および第2の脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法によれば、ケン化処理中または処理後にラテックスが不安定化したり、ケン化処理後の濃縮時にゴム分に不純物が混入したりすることがなく、蛋白質や酵素等を実質的に含有しない(蛋白質や酵素等が極めて高度に除去された)ゴム分を得ることができる。
それゆえ、本発明に係る脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法によれば、蛋白質や酵素等を実質的に含有しない低アレルギー性の脱蛋白天然ゴムラテックスを簡易にかつ効率よく製造することができる。
【0011】
本発明において、界面活性剤が「pH6〜12において水分散可能」であるとは、当該界面活性剤を含有する水溶液のpHが6〜12の範囲にあるときは、当該水溶液中での界面活性剤の分散・懸濁状態が維持されており、当該水溶液中に凝集状の界面活性剤が観察されないことをいう。
【0012】
界面活性剤が、pH6〜8のいわゆる弱酸性から弱塩基性(弱アルカリ性)の領域(以下、「中性領域」という。)で水分散可能であることによって、プロテアーゼによる蛋白分解処理時におけるラテックスの分散・懸濁状態を維持(安定性を確保)することができる。また、pH10〜12のいわゆる強塩基性(強アルカリ性)領域で水分散可能であることによって、ケン化処理時に水酸化アルカリが加えられても、ラテックスの分散・懸濁状態を維持することができる。
【0013】
上記第1および第2の製造方法において、pH6〜12以上において水分散可能なエーテル型陰イオン界面活性剤は、モノアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩であるのが好ましい。
かかるエーテル型陰イオン界面活性剤を用いることによって、蛋白分解処理後のラテックスの分散状態を維持し、ケン化処理による副生物の生成を抑制しつつ、ラテックス中に残存する微量の蛋白質や酵素の分解、除去を効率よく行うことができる。
【0014】
なお、特許文献1の従来技術(段落〔0006〕参照)には、天然ゴムラテックスにアルカリを加えて加熱することにより、蛋白質を分解させる方法が記載されている。しかしながら、この方法は、未処理の天然ゴムラテックスに蛋白分解処理を施すための、アルカリによる処理に過ぎない。また、特許文献1には、脱蛋白処理が施された天然ゴムラテックスにケン化処理を施すことで、ラテックス中に残存していた微量の蛋白質や蛋白分解酵素を分解、除去することができるということについて、何らの記載も示唆もない。それゆえ、特許文献1でのアルカリを用いた処理は、本発明を開示も示唆もするものではない。のみならず、本発明に係る低アレルギー性天然ゴムラテックスの製造方法は、前述のアルカリを用いて蛋白分解処理をした天然ゴムラテックスにも適用可能であり、その場合にも、やはりラテックス中に残存する微量の蛋白質をさらに分解、除去して、これまでにない低アレルギー性の天然ゴムラテックスを製造することが可能である。
【0015】
また、特開平8−81504号公報には、天然ゴムラテックスの凝固前または凝固後にアルカリ溶液に接触させる天然ゴムの製造方法が記載されている。しかしながら、同公報に記載の方法は、天然ゴム特有の臭いを低減する方法に関するものであって、天然ゴムに含まれる蛋白質を分解、除去することや天然ゴムによるアレルギーの問題を低減化することについては、何らの記載も示唆もない。それゆえ、上記公報でのアルカリ溶液を用いた処理は、本発明を開示も示唆もするものではない。
【0016】
さらに、特開平11−12306号公報には、固形のまたは加硫された天然ゴムを水酸化アルカリ、特定のアルコールおよび水との混合液中に浸漬することによって、天然ゴムに含まれる蛋白質や結合脂肪酸を低減する方法が記載されている。しかしながら、同公報に記載の方法はあくまで固形天然ゴムに対する精製処理に過ぎず、脱蛋白処理がなされたゴムを、浸漬法によるゴム皮膜等の成形に適用可能なラテックス状態で提供することについて、何らの記載も示唆もない。それゆえ、上記公報での水酸化アルカリを用いた処理は、本発明を開示も示唆もするものではない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法について、詳細に説明する。
〔第1の脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法〕
(天然ゴムラテックスの脱蛋白処理)
本発明に係る第1の脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法(以下、「第1の製造方法」という。)では、まず、天然ゴムラテックスに対して蛋白分解処理を施す。蛋白分解処理は、プロテアーゼと、pH6〜12において水分散可能なエーテル型陰イオン界面活性剤とを含む処理剤(蛋白分解処理剤)を天然ゴムラテックスに加えて静置または撹拌し、ラテックスを熟成させることによって達成される。
【0018】
原料である天然ゴムラテックスとしては、天然のゴムの木から得られた新鮮なフィールドラテックス、市販のアンモニア処理ラテックスのいずれを使用することもできる。
蛋白分解処理に使用される処理剤は、プロテアーゼとpH6〜12において水分散可能なエーテル型陰イオン界面活性剤とを含み、さらに必要に応じて、pH調整剤、分散剤、その他従来公知の添加剤を含有するものである。
【0019】
蛋白分解処理剤に含まれるプロテアーゼ(蛋白分解酵素)は特に限定されるものではなく、例えばアルカリプロテアーゼ等の、従来公知の種々のものがいずれも使用可能である。プロテアーゼの由来としては細菌由来のもの、糸状菌由来のもの、酵母由来のもののいずれであってもよいが、これらの中では細菌由来のプロテアーゼを使用するのが好ましい。またリパーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、ラッカーゼ、セルラーゼ等の他の酵素を併用しても良い。
【0020】
プロテアーゼの添加量は、天然ゴムラテックスのゴム固形分100重量部に対して0.0001〜20重量部であるのが好ましく、0.001〜10重量部であるのがさらに好ましい。プロテアーゼの添加量がこの範囲未満では、天然ゴムラテックス中の蛋白質を十分に分解できなくなるおそれがある。一方、プロテアーゼの添加量が前記範囲を超えると、酵素の活性が低下して、かえって天然ゴムラテックス中の蛋白質を十分に分解できなくなるおそれがある。また、コストアップにつながるおそれもある。
【0021】
蛋白分解処理剤に含まれる界面活性剤は、pH6〜12において水分散可能なエーテル型の陰イオン界面活性剤であることを特徴とする。pHによる分散・凝集性の程度が上記範囲に設定された界面活性剤を蛋白分解処理時に添加することによって、当該蛋白分解処理後や後述するケン化処理時においてラテックスが不安定化したり、ケン化処理時に副生物が生じたりするのを防止できる。
上記第1の製造方法で使用する界面活性剤は、少なくともpH6〜12の範囲において水分散可能であればよい。蛋白分解処理に使用するプロテアーゼの至適pHが6程度である場合または6を下回る場合には、pHが5.5程度に、とりわけ5程度にまで低下しても界面活性剤が水分散可能であるのが好ましい。また、ケン化処理時のラテックスの安定性をより一層良好なものとするには、pHが12.5程度に、とりわけ13程度にまで上昇しても界面活性剤が水分散可能であるのが好ましい。
【0022】
エーテル型陰イオン界面活性剤としては、例えばモノアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩等が挙げられる。上記第1の製造方法においては、かかるエーテル型陰イオン界面活性剤の中から、pH6〜12において水分散可能なものを用いればよい。
【0023】
上記界面活性剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.001〜20重量部であるのが好ましい。
蛋白分解処理剤に含まれるpH調整剤としては、例えばリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム等のリン酸塩、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、硫酸、酢酸、塩酸、硝酸、クエン酸、コハク酸等の酸類またはその塩、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。pH調整剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.01〜0.5重量部であるのが好ましい。
【0024】
蛋白分解処理剤に含まれる分散剤としては、例えばスチレンスルホン酸共重合物、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、リグニンスルホン酸、多環型芳香族スルホン酸共重合物、アクリル酸および無水マレイン酸のホモポリマーおよび共重合物、イソブチレン−アクリル酸およびイソブチレン−無水マレイン酸共重合物等が挙げられる。
天然ゴムラテックスに蛋白分解処理剤を添加した後の、ラテックスを静置または撹拌して熟成させる時間としては特に限定されるものではないが、数分から1週間程度であるのが好ましい。温度調節は必要に応じて行えばよいが、適当な温度は5〜90℃、より好ましくは20〜60℃である。温度が90℃を超えるとプロテアーゼの失活が早くなり、5℃未満であればプロテアーゼによる蛋白質の分解反応が進行しにくくなる。
【0025】
(ケン化処理)
上記第1の製造方法では、蛋白分解処理を施した後、当該処理が施されたラテックスに対してケン化処理を施す。ケン化処理は、蛋白分解処理が施された天然ゴムラテックスに水酸化アルカリを加えて、静置または撹拌することによって達成される。
ケン化処理に使用する水酸化アルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0026】
ケン化処理の条件は特に限定されるものではないが、例えば処理の温度は、水酸化アルカリによるケン化反応を十分な反応速度でもって進行させ得る範囲で、かつ天然ゴムラテックスが凝固等の変質を起さない範囲で適宜設定することが求められる。通常、20〜40℃の範囲で設定される。また、処理の時間は、処理の温度やラテックスを静置するか撹拌するかによっても異なるが、ケン化処理を十分に進行させることや、低アレルギー性天然ゴムラテックスの生産性を向上するといった観点から、通常、10〜30時間で設定される。
【0027】
水酸化アルカリの添加量は特に限定されないが、脱蛋白処理が施された天然ゴムラテックスのゴム固形分100重量部あたり3〜30重量部であるのが好ましい。水酸化アルカリの添加量が3重量部を下回ると、ラテックス中に残存する蛋白質や酵素を十分に分解、除去できなくなるおそれがある。一方、水酸化アルカリの添加量が30重量部を超えてもそれ以上の添加効果は得られず、しかも過剰の水酸化アルカリを除去する工程が必要になることから、低アレルギー性天然ゴムラテックスの生産性が低下するおそれがある。なお、ラテックス中に残存する蛋白質や酵素を効率よく、かつ十分に分解除去することを考慮すると、水酸化アルカリの添加量は、上記の範囲内でも特に10重量部以上であるのが好ましい。
【0028】
(ゴム分の濃縮・分離処理)
上記第1の製造方法では、ケン化処理の後、当該処理が施されたラテックスからゴム分を濃縮し、分離する。この濃縮、分離処理によって蛋白質や酵素等の分解物が除去される結果、アレルギー性の低いゴム分を分離することができる。
ゴム分の濃縮、分離処理の方法としては、例えば遠心分離や、限外ろ過膜を用いた分解物の除去(限外ろ過法)等が挙げられるが、中でも遠心分離による方法が好ましい。
【0029】
遠心分離を行う際には、まず、天然ゴムラテックスのゴム分が5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%となるように水で希釈し、次いで5000〜10000rpmで1〜60分間遠心分離すればよい。
遠心分離処理の後、上層に分離されたクリーム状のゴム分を取り出す。この操作は、ディスク式の遠心分離器で連続的に行ってもよい。
取り出されたクリーム状のゴム分を水で所定の濃度に希釈すると、アレルギー性を示す蛋白質や酵素等がより高度に除去された、アレルギーを誘発するおそれが極めて低い低アレルギー性天然ゴムラテックスが得られる。
【0030】
(蛋白質分解処理の程度)
上記第1の製造方法によれば、天然ゴムラテックスの、ラスト阻害法(RAST-inhibition 法)によって測定されるアレルゲン性蛋白の含有量指数を10μg/ml以下、好ましくは5μg/ml以下にまで低減させることができる。なお、一般に、アレルゲン性蛋白の含有量指数が10μg/ml以下であれば、実質的に蛋白質に起因するアレルギーを生じるおそれが低いと考えられる。
【0031】
「アレルゲン性蛋白の含有量指数」とは、試料であるラテックス中に存在する蛋白質のうち、ヒト血清に対してIgEクラスの抗体を産生させ得る、つまり抗原となり得る蛋白質の含有量の程度を、一般的な天然ゴムラテックスを基準にして示した指標であって、アレルギー度を相対的に示した値である。天然ゴムラテックス中に存在する蛋白質については、その総量と溶出蛋白質の総量とを分析によって求めることができるものの、アレルゲン性蛋白と非アレルゲン性蛋白との量を個別に定量することができない。そこで、試料ラテックスのアレルギー性については、通常の一般的な天然ゴムラテックスを基準とするアレルギー度の相対値として評価することとなる。
【0032】
「アレルゲン性蛋白の含有量指数」は、Pharmacia Cap systemを用いた競合的ラスト免疫阻害法〔Competitive RAST-immunoinhibition 法,(X. Baur et Al., Allergy, 52, 661-664 (1997) 参照)〕に基づいて算出されるものであって、具体的には、次のようにして算出される。まず、基準サンプルとしての天然ゴムラテックスの抽出液を使用し、これにヒト血清中のIgE抗体を混合して熟成させることにより、ラテックス中のアレルゲン性蛋白と前記IgE抗体との抗原−抗体反応を進行させる。なお、IgE抗体の供給源には、ラテックスアレルギーを有する者の血清を用いる。次いで、抗原−抗体反応を起さずに残存したIgE抗体と固相のImmuno-Capラテックス抗原とを反応させ、さらに固定化されたIgE抗体に酵素(β−D−ガラクトシダーゼ)でラベルされた抗IgE抗体を結合させて、蛍光強度の測定により残存するIgE抗体の量を測定する。この測定値により、基準サンプルとしての天然ゴムラテックスの溶出蛋白質についてのアレルギー性の度合いが求められる。このアレルギー性の度合いを、上記天然ゴムラテックスを希釈した、希釈度が異なる数種のサンプルについて測定して、較正曲線を作成する。一方、試料ラテックスについても上記と同様にしてアレルギー性の度合いを求める。その結果、試料ラテックスのアレルギー性の度合いが、例えば天然ゴムラテックスの溶出総蛋白量がラテックス1ml当り10μgであるときのアレルギー度と同等であれば、試料ラテックスについてのアレルゲン性蛋白の含有量指数は10μg/mlとなる。
【0033】
〔第2の脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法〕
(天然ゴムラテックスの脱蛋白処理)
本発明に係る第2の脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法(以下、「第2の製造方法」という。)では、まず、あらかじめ脱蛋白処理が施された天然ゴムラテックスを原料として用いる。
当該天然ゴムラテックスに対する脱蛋白処理には、従来公知の種々の方法を採用することができる。すなわち、
(i) 天然ゴムラテックスを十分に希釈した後、当該ラテックス中のゴム粒子を凝集させる、
(ii)天然ゴムラテックスを十分に希釈した後、当該ラテックスに遠心分離処理を施して、濃縮されたゴム分を分離する、
(iii) 天然ゴムラテックスを透析する、
(iv)天然ゴムラテックス中の蛋白質をバクテリアまたは酵素によって分解する、
(v) 天然ゴムラテックスにアルカリを加えて加熱し、蛋白質を分解させる、
(vi)天然ゴムラテックス中にてゴム粒子に吸着している蛋白質をセッケン類によって遊離させる、
等の方法を適宜組み合わせて、天然ゴムラテックスに脱蛋白処理を施せばよい。
【0034】
特に、具体的な処理方法としては、例えば
(A) 天然ゴムラテックスをプロテアーゼと界面活性剤とで同時にまたは順次処理し、一定時間放置することによって当該ラテックス中の蛋白質を酵素分解させた後、分解した蛋白質とゴム分とを分離する方法、または、
(B) アンモニア保存の濃縮ラテックスのアンモニア濃度を0.2%程度に下げた上で、保存剤としてナフテン酸アンモニウムを約0.4phr添加し、その後、蛋白分解酵素(superase)を約0.25phr添加して20時間程度酵素分解させる方法、
等が挙げられる。
なかでも、上記(A) の方法によれば、比較的簡単な操作で、天然ゴムラテックス中の蛋白質を非常に高いレベルで除去することができる。
【0035】
上記第2の製造方法において、脱蛋白処理の対象となる天然ゴムラテックスについては、上記第1の製造方法の場合と同様である。
上記(A) の方法による脱蛋白処理を施す場合において、プロテアーゼには、上記第1の製造方法の場合と同様のものを同様の処方にて用いればよい。
【0036】
上記(A) の方法による脱蛋白処理を施す場合において、界面活性剤には、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤および両性界面活性剤のうちの少なくとも1種を用いることができる。
なお、上記第2の製造方法のケン化処理時には、当該処理時の不具合を防止するために、後述する特定のエーテル型陰イオン界面活性剤がラテックス中に配合される。それゆえ、脱蛋白処理時に配合する界面活性剤に当該特定のエーテル型陰イオン界面活性剤を用いる必要はない。天然ゴムラテックスに対する脱蛋白処理に際しては、蛋白分解処理時のラテックスの分散安定性を考慮するだけでなく、脱蛋白処理後のラテックスのアノード凝固性といった成形性についても考慮せざるを得ない場合がある。それゆえ、第2の製造方法の原料である脱蛋白天然ゴムラテックスに対して、あえて上記特定のエーテル型陰イオン界面活性剤を使用した脱蛋白処理の実施を要求する必要がないからである。また、製造コストを少なくする観点からも、脱蛋白処理時に特定のエーテル型陰イオン界面活性剤を用いることは好ましいことではない。
【0037】
上記(A) の方法による脱蛋白処理を施す場合に用いられる界面活性剤のうち、陰イオン界面活性剤としては、例えばカルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イオン界面活性剤が挙げられる。
これらの陰イオン界面活性剤のうち、カルボン酸系の陰イオン界面活性剤としては、例えば例えば炭素数が6〜30である脂肪酸塩、多価カルボン酸塩、ロジン酸塩、ダイマー酸塩、ポリマー酸塩、トール油脂肪酸塩等が挙げられる。これらの中では、炭素数10〜20のカルボン酸塩が特に好ましい。炭素数が6以下では、蛋白質や不純物の分散と乳化が不十分となり、30以上では水に分散しにくくなる。スルホン酸系の陰イオン界面活性剤としては、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ジフェニルエーテルスルホン酸塩等が挙げられる。硫酸エステル系の陰イオン界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル塩、ジスチレン化フェノール硫酸エステル塩、トリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレントリスチレン化フェノール硫酸エステル塩、α−オレフィン硫酸エステル塩、アルキルコハク酸硫酸エステル塩等が挙げられる。リン酸エステル系の陰イオン界面活性剤としては、例えばアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0038】
なお、これらの陰イオン界面活性剤を形成する塩としては、例えば金属塩(Na、K、Ca、Mg、Zn等)、アンモニア塩、アミン塩(トリエタノールアミン塩等)等が挙げられる。
上記の陰イオン界面活性剤におけるアルキル基としては、炭素数4〜30のアルキル基が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン基としては、炭素数2〜4のアルキレン基を有するものが挙げられ、例えば酸化エチレンの付加モル数が1〜50モル程度のものが示される。
【0039】
上記(A) の方法による脱蛋白処理を施す場合に用いられる界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンエーテル系、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂肪酸エステル系、アルキルポリグリコシド系等の非イオン界面活性剤が挙げられる。
これらの非イオン界面活性剤のうち、ポリオキシアルキレンエーテル系の非イオン界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンポリオールアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンスチレン化フェノールエーテル、ポリオキシアルキレンジスチレン化フェノールエーテル、ポリオキシアルキレントリスチレン化フェノールエーテル等が挙げられる。ポリオールとしては、炭素数2〜12の多価アルコールが挙げられる。具体的には、例えばプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、グルコース、シュクロース、ペンタエリスリトール、ソルビタン等が挙げられる。ポリオキシアルキレンエステル系の非イオン界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等が挙げられる。多価アルコール脂肪酸エステル系の非イオン界面活性剤としては、炭素数2〜12の多価アルコールの脂肪酸エステルまたはポリオキシアルキレン多価アルコールの脂肪酸エステルが挙げられる。より具体的には、例えばソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。また、これらのポリアルキレンオキサイド付加物(例えば、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル等)も使用可能である。糖脂肪酸エステル系の非イオン界面活性剤としては、例えばショ糖、グルコール、マルトース、フラクトース、多糖類の脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能である。アルキルポリグリコシド系の非イオン界面活性剤としては、例えばアルキルグルコシド、アルキルポリグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、ポリオキシアルキレンアルキルポリグルコシド等が挙げられ、これらの脂肪酸エステル類やポリアルキレンオキサイド付加物も使用可能である。
【0040】
上記の非イオン界面活性剤におけるアルキル基としては、炭素数4〜30のアルキル基が挙げられる。また、ポリオキシアルキレン基としては、炭素数2〜4のアルキレン基を有するものが挙げられ、例えば酸化エチレンの付加モル数が1〜50モル程度のものが示される。脂肪酸としては、例えば炭素数4〜30の直鎖または分岐した飽和または不飽和脂肪酸が挙げられる。
上記(A) の方法による脱蛋白処理を施す場合に用いられる界面活性剤のうち、両性界面活性剤としては、例えばアミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0041】
上記界面活性剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100重量部に対して0.001〜20重量部であるのが好ましい。
天然ゴムラテックスにプロテアーゼを添加する際には、pH調整剤、分散剤、その他の添加剤を添加してもよい。pH調整剤としては、上記第1の製造方法で例示したものと同じものが挙げられる。
【0042】
上記(A) の方法による脱蛋白処理を施す場合において、プロテアーゼによる酵素分解処理(蛋白分解処理)時の条件については特に限定されるものではなく、上記第1の製造方法における蛋白分解処理と同様の条件を採用すればよい。
上記(A) の方法による脱蛋白処理を施す場合において、酵素分解処理後の、分解蛋白質とゴム分とを分離する処理は、酵素分解処理が施されたラテックスからゴム分を濃縮し、分離することによって達成される。ゴム分の濃縮、分離処理の方法および条件は、前述の第1の製造方法における「ゴム分の濃縮・分離処理」の場合と同様である。
【0043】
(ケン化処理)
上記第2の製造方法では、脱蛋白処理を施した後、当該処理が施されたラテックスに対してケン化処理を施す。ケン化処理は、蛋白分解処理が施された天然ゴムラテックスに水酸化アルカリを加えて、静置または撹拌することによって達成される。
ケン化処理の方法、条件は、前述の第1の製造方法における「ケン化処理」の場合と同様である。
【0044】
(ゴム分の濃縮・分離処理)
上記第2の製造方法では、ケン化処理の後、当該処理が施されたラテックスからゴム分を濃縮し、分離する。この濃縮、分離処理によって蛋白質や酵素等の分解物が除去される結果、アレルギー性の低いゴム分を分離することができる。
ゴム分の濃縮、分離処理の方法および条件は、上記第1の製造方法における「ゴム分の濃縮・分離処理」の場合と同様である。
ゴム分の濃縮・分離処理を施した後、クリーム状のゴム分を水で所定の濃度に希釈すると、アレルギー性を示す蛋白質や酵素等がより高度に除去された、アレルギーを誘発するおそれが極めて低い低アレルギー性天然ゴムラテックスが得られる。
【0045】
(蛋白質分解処理の程度)
上記第2の製造方法によれば、第1の製造方法の場合と同様に、天然ゴムラテックスの、ラスト阻害法(RAST-inhibition 法)によって測定されるアレルゲン性蛋白の含有量指数を10μg/ml以下、好ましくは5μg/ml以下にまで低減させることができる。
【0046】
【実施例】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を説明する。
(実施例1)
天然ゴムのハイアンモニアラテックス(固形分60重量%、アンモニア含有量0.7%、ケルダール法による固形分中の窒素含有率0.3%)を希釈して、ゴム分の濃度を30重量%に調整した。
【0047】
次いで、希釈されたハイアンモニアラテックスのゴム分100重量部に対して、細菌由来の酵素(プロテアーゼ)0.1重量部と、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム〔pH6〜12において水分散可能なエーテル型陰イオン界面活性剤,花王(株)製の商品名「ペレックスSS−L」〕1.2重量部とを添加して、30℃で24時間静置した。
蛋白分解処理を施した後、当該ラテックスのゴム分100重量部に対して10重量部の水酸化カリウム(KOH)を、20%水溶液として上記ラテックス中に添加した。その後、再度静置した(30℃、24時間)。
【0048】
再度の静置後、ラテックスに遠心分離処理(13,000rpm、30分)を施して濃縮し、こうして得られた固形分(脱蛋白ゴム)を水に再分散させて、その濃度(ゴム分の濃度)を60重量%に調整した。
こうして得られた脱蛋白天然ゴムラテックスについて、そのアレルギー性と機械的安定性の評価、ならびにラテックス中での凝固物の含有量の測定を行った。
アレルギー性は、前述のラスト阻害法によるアレルゲン性蛋白の含有量指数(μg/ml)に基づいて評価した。機械的安定性は、ISO 35(JIS K6381)の規定に準じて測定されたクラクソン試験機による機械的安定度(MST,単位:秒)に基づいて評価した。凝固物の含有量(重量%)は、ISO706“Rubber latex - Determination of coagulum content (sieve residue)”の規定に従ってして測定した。
【0049】
(実施例2および3)
脱蛋白処理時に配合する界面活性剤として、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(エーテル型陰イオン界面活性剤)に代えて、実施例2ではポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔pH6〜12において水分散可能なエーテル型陰イオン界面活性剤,花王(株)製の商品名「エマール20CM」〕を、実施例3ではポリオキシエチレンアルキルリン酸ナトリウム〔pH6〜12において水分散可能なエーテル型陰イオン界面活性剤,花王(株)製の商品名「エレクトロストリッパーF」〕を用いたほかは、それぞれ実施例1と同様にして、脱蛋白処理、ケン化処理および再分散による脱蛋白天然ゴムラテックスの調製を行った。
【0050】
(比較例1および2)
脱蛋白処理時に配合する界面活性剤として、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(エーテル型陰イオン界面活性剤)に代えて、比較例1ではラウリル酸カリウム〔非エーテル型の陰イオン界面活性剤,花王(株)製の商品名「ルナックL−98」,ラウリン酸にKOHをモル数で1.1倍量加えたもの〕を、比較例2ではドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム〔非エーテル型の陰イオン界面活性剤,花王(株)製の商品名「ネオペレックスF−65」〕を用いたほかは、それぞれ実施例1と同様にして、脱蛋白処理、ケン化処理および再分散による脱蛋白天然ゴムラテックスの調製を行った。
【0051】
(実施例4)
脱蛋白天然ゴムラテックスの調製に際して、上記ハイアンモニアラテックスに代えて、フィールドラテックス(マレーシア国産)を用いたほかは、実施例1と同様にして、脱蛋白処理、ケン化処理および再分散による脱蛋白天然ゴムラテックスの調製を行った。
(比較例3)
脱蛋白処理時に配合する安定剤として、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(エーテル型陰イオン界面活性剤)に代えて、アルキル硫酸ナトリウム〔非エーテル型の陰イオン界面活性剤,花王(株)製の商品名「エマール10P」〕を用いたほかは、実施例4と同様にして、脱蛋白処理、ケン化処理および再分散による脱蛋白天然ゴムラテックスの調製を行った。
【0052】
上記実施例2〜4および比較例1〜3で得られた脱蛋白天然ゴムラテックスについて、そのアレルギー性と機械的安定性の評価ならびに凝固物の含有量の測定を、実施例1と同様にして行った。
以上の結果を表1に示す。
(対照1〜2)
実施例での脱蛋白の効果を評価するための基準サンプルとして、実施例で使用したハイアンモニアラテックスおよびフィールドラテックスの、脱蛋白処理もケン化処理も施していない状態のものを用いた。ハイアンモニアラテックス(対照1)およびフィールドラテックス(対照2)の、希釈しない状態でのアレルゲン性蛋白の含有量指数を表1に示す。
【0053】
【表1】
Figure 2004197052
【0054】
表1より明らかなように、プロテアーゼと、pH6〜12において水分散可能なエーテル型陰イオン界面活性剤とを含む処理剤を用いて天然ゴムラテックスに蛋白分解処理を施した実施例1〜4では、アレルゲン蛋白の含有量を極めて少なくして、アレルギー性を著しく低減させることができた。しかも、ケン化処理時およびその後においても、ラテックスが不安定化したり、不純物としての凝固物が生じたりすることがなかった。
【0055】
一方、エーテル型陰イオン界面活性剤以外の界面活性剤を使用した比較例1〜3では、アレルゲン蛋白の含有量を極めて少なくすることができたものの、ケン化処理によってラテックスが不安定化し、不純物としての凝固物の発生量も多いという問題があった。

Claims (3)

  1. プロテアーゼと、pH6〜12において水分散可能なエーテル型陰イオン界面活性剤とを含む処理剤を用いて天然ゴムラテックスに蛋白分解処理を施した後、当該ラテックスに水酸化アルカリを加えてケン化処理を施し、次いでゴム分を濃縮、分離することを特徴とする脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法。
  2. あらかじめ脱蛋白処理が施された天然ゴムラテックスに、pH6〜12において水分散可能なエーテル型陰イオン界面活性剤と、水酸化アルカリとを加えてケン化処理を施し、次いでゴム分を濃縮、分離することを特徴とする脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法。
  3. pH6〜12において水分散可能なエーテル型陰イオン界面活性剤が、モノアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩である請求項1または2記載の脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法。
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