JPH11106405A - 脱蛋白天然ゴムの製造方法 - Google Patents

脱蛋白天然ゴムの製造方法

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JPH11106405A
JPH11106405A JP27307897A JP27307897A JPH11106405A JP H11106405 A JPH11106405 A JP H11106405A JP 27307897 A JP27307897 A JP 27307897A JP 27307897 A JP27307897 A JP 27307897A JP H11106405 A JPH11106405 A JP H11106405A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蛋白質が高度に除去された天然ゴムを簡単な
工程で、かつ高収率でもって得ることのできる脱蛋白天
然ゴムの製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の脱蛋白天然ゴムの製造方法は、
天然ゴムラテックスに0.01〜1phrの割合で蛋白
分解酵素を添加して蛋白分解処理を行い、次いで0.1
〜1phrの割合でアルギン酸ナトリウム、こんにゃく
糊等のクリーム化剤を添加して静置し、漿液層とゴム分
のクリーム層とを分離させた後、前記クリーム分を回収
して、これを水で希釈して洗浄を行い、さらに静置し
て、漿液層とゴム分のクリーム層とを分離させることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脱蛋白天然ゴムの製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】天然ゴムは、通常約94%のゴム分のほ
か、蛋白質、脂質、無機塩等からなる約6%の非ゴム成
分を含んでおり、機械的強度、引裂強度、動的特性等の
種々の点において合成ゴムでは得ることのできない優れ
た性能を有している。しかし近年、天然ゴムに含まれる
蛋白質がアレルギー症状を引き起こす原因になるといっ
た問題が大きく取り上げられている。
【0003】また、天然ゴム中の蛋白質を除去した場合
には、高電気絶縁性、低吸水性、低クリープ性等の特性
を有するゴムが得られることが知られており、かかるゴ
ムはエンジニアリング材料としての展開が期待されてい
る。このため、近年、天然ゴムラテックス中の蛋白質を
いかに除去するかが重要な問題となっている。
【0004】蛋白質が除去された、いわゆる脱蛋白天然
ゴムを得る方法としては、従来より、蛋白分解酵素を用
いて天然ゴムラテックス中の蛋白質を分解させる方法が
知られている。天然ゴムラテックス中のゴム分は、蛋白
質が存在することによってラテックス中で安定に分散し
ていることから、この蛋白質を分解することによってゴ
ム粒子を不安定にさせ、凝結させることができる。しか
しながら、この方法では、凝結したゴム分と漿液との相
分離が不十分であるため、ラテックス中のゴム分を回収
したり、分解された蛋白質等の不純物とゴム分とを分離
したりするのが困難である。
【0005】一方、特開平6−56904号公報や特開
平6−56905号公報には、天然ゴムラテックスに蛋
白分解酵素を添加して、界面活性剤の存在下で蛋白分解
処理を行った後、ラテックスを希釈して遠心分離を施す
方法が開示されている。かかる方法によれば、遠心分離
処理を施すことによってゴム分が洗浄、濃縮されること
から、蛋白質が高度に除去された脱蛋白天然ゴムを得る
ことができる。
【0006】しかしながら、遠心分離の工程を経ること
によって製造工程が複雑になるという問題がある。ま
た、遠心分離装置の内部にラテックスの凝固物等が残存
し、これを洗浄除去するなどのメンテナンスに手間がか
かるという問題もある。さらに、天然ゴムラテックスに
遠心分離処理を施した場合には、ゴム分に5〜10%程
度のロスを生じることが避けられない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、遠心分離処理
の工程を経ずにゴム分を濃縮する方法として、天然ゴム
ラテックスに蛋白分解酵素を添加して蛋白分解処理を行
った後、無機塩類を添加してゴム分をクリーム化する方
法が提案されている。この方法によれば、天然ゴムラテ
ックスを、ゴム分からなるクリーム層と、分解された蛋
白質を含む漿液との2層に相分離させることができる。
【0008】しかしながら、この方法ではクリーム分の
濃縮度が低く、分解された蛋白質がゴム分に混入した
り、漿液中にゴム分が残存するために歩泊まりが低くな
るといった問題が生じる。また、クリーム分の濃縮度を
高めたり、分解蛋白質の含有量を低減させるためには、
結局遠心分離の工程を必要としたり、あるいは長時間の
減圧乾燥処理を必要とすることから、製造工程の複雑化
を免れない。
【0009】さらに、上記の方法では、ゴム分をクリー
ム化するのに多量の無機塩を要するために、脱蛋白天然
ゴムに多量の無機塩が混入するおそれがある。そこで本
発明の目的は、蛋白質が高度に除去された天然ゴムを簡
単な工程でもって、かつ高収率で得ることのできる脱蛋
白天然ゴムの製造方法に関する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、天然ゴムラテ
ックスに0.01〜1phr(天然ゴムラテックス中の
ゴム固形分100重量部に対する重量部、以下同じ)の
割合で蛋白分解酵素を添加して蛋白分解処理を行い、次
いで0.1〜1phrの割合でクリーム化剤を添加して
静置し、前記ラテックス中のゴム分をクリーム化した
後、分離したクリーム状のゴム分を水で希釈して洗浄
し、さらに静置して、ゴム分を再度クリーム化するとき
は、蛋白質が高度に除去された天然ゴムを簡単な工程で
もって、かつ高い収率で得ることができるという新たな
事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】上記本発明の脱蛋白天然ゴムの製造方法に
よれば、ラテックス中のゴム分からなるクリーム層と、
分解された蛋白質を含む漿液層とがほぼ完全に相分離す
る。従って、遠心分離処理の工程を経ずに、クリーム化
剤を添加するといった操作だけで容易にゴム分をクリー
ム化することができる。また、クリーム分を取り出して
脱蛋白天然ゴムを得る際にゴム分のロスが少なく、高い
収率でもって脱蛋白ゴムを得ることができる。
【0012】本発明の脱蛋白天然ゴムの製造方法におけ
るクリーム化剤としては、例えばアルギン酸ナトリウ
ム、アルギン酸アンモニウム、こんにゃく糊、トラカガ
ントゴム等が好適に用いられる。上記本発明の方法によ
ってクリーム化されたゴム分は、これを水に再分散させ
てラテックスの形態で使用してもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の脱蛋白天然ゴムの製造方
法によれば、(1) 天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素を
添加し、蛋白分解処理を施す工程(蛋白分解処理)、
(2) 所定量のクリーム化剤を添加して静置し、ゴム分の
クリーム層と、漿液層とを分離させる工程(1回目のク
リーム化)、(3) クリーム層を水で希釈、攪拌して洗浄
する工程(クリーム層の洗浄)、および(4) 再度静置し
て、ゴム分のクリーム層と、漿液層とを分離させる工程
(2回目のクリーム化)の各工程を経ることによって、
脱蛋白天然ゴムが得られる。
【0014】以下、本発明の脱蛋白天然ゴムの製造方法
について、上記の各工程に沿って詳細に説明する。 (1) 蛋白分解処理 蛋白質分解処理の工程は、天然ゴムラテックスに蛋白分
解酵素を添加して、ラテックス中の蛋白質を分解する工
程である。
【0015】本発明に用いられる天然ゴムラテックスと
しては、市販のアンモニア処理ラテックスや新鮮なフィ
ールドラテックスのいずれであってもよい。本発明に用
いられる蛋白分解酵素(プロテアーゼ)としては、市販
のアルカリプロテアーゼが使用可能であって、その活性
は0.1〜50APU/g、好ましくは1〜25APU
/gの範囲にあるのが適当である。
【0016】酵素活性の測定は、アンソン−ヘモグロビ
ン法(Anson. M. L., J. Gen. Physiol., 22, 79 (193
8) )の改良法を用いた。すなわち、基質として用いる
尿素変性ヘモグロビンの終濃度が14.7mg/mlと
なるように調整した溶液中で、温度25℃、pH10.
5にて10分間反応させた後、反応溶液にトリクロロ酢
酸を終濃度が31.25mg/mlとなるように添加す
る。次いで、トリクロロ酢酸の可溶分をフェノール試薬
によって呈色させ、1モルのチロシンの呈色度を1AP
Uとした検量線により反応10分間当たりの活性を求
め、これを1分間当たりに換算することによって測定し
た。なお、1APUとは、1モルのチロシンがフェノー
ル試薬によって呈色するのと同じ呈色度のトリクロロ酢
酸可溶分量を1分間に与えるプロテアーゼの量のことを
示す。
【0017】但し、本発明に用いられる蛋白分解酵素は
前記アルカリプロテアーゼに限定されるものではなく、
リパーゼ、エステラーゼ、アルカラーゼ、アミラーゼ、
セルラーゼ等の従来公知の種々の酵素を単独で用いても
よく、これらを併用してもよい。これらの酵素の酵素活
性は0.1〜50APU/gの範囲であるのが適当であ
る。
【0018】蛋白分解酵素の添加量は、天然ゴムラテッ
クスに対して0.01〜1phr、好ましくは0.02
〜0.2phr、より好ましくは0.05〜0.1ph
rの範囲であるのが適当である。蛋白分解酵素の添加量
が上記範囲を下回ると、蛋白質の分解反応が不十分にな
るおそれがあるために好ましくない。一方、蛋白分解酵
素を上記範囲を超えて添加してもそれに見合う効果がな
く、逆にコストが高くなったり、得られる脱蛋白天然ゴ
ムに蛋白分解酵素が多量に残存するおそれが生じるため
に好ましくない。
【0019】蛋白分解処理は、天然ゴムラテックスの温
度を室温〜40℃程度、好ましくは37℃前後に調整
し、ラテックス中に上記蛋白分解酵素を所定量添加して
攪拌した後、3〜5時間程度静置して熟成するのが、蛋
白質の分解反応を効率よく行うという観点から好まし
い。本発明において、蛋白分解処理を行う際には、蛋白
分解酵素とともに界面活性剤を添加してもよい。界面活
性剤としては、種々の陰イオン界面活性剤、非イオン界
面活性剤等がいずれも使用可能である。
【0020】(2) 1回目のクリーム化 1回目のクリーム化の工程は、蛋白分解処理を施した天
然ゴムラテックスに所定量のクリーム化剤を添加して静
置し、ラテックス中のゴム分をクリーム化することによ
り、前記ゴム分からなるクリーム層と、分解された蛋白
質を含む漿液層とに分離する工程である。
【0021】本発明に用いられるクリーム化剤として
は、アルギン酸ナトリウム(アルギン酸ソーダ)、アル
ギン酸アンモニウム、こんにゃく糊(マンナン)、トラ
カガントゴム(トラガント)等があげられる。クリーム
化剤の配合量は、天然ゴムラテックスに対して0.1〜
1phr、好ましくは0.3〜0.6phrの範囲であ
るのが適当である。クリーム化剤の配合量が上記範囲を
下回ると、ゴム分のクリーム化(凝集)が不十分になる
おそれがあるため好ましくない。一方、クリーム化剤を
上記範囲を超えて添加してもそれに見合う効果がなく、
逆にコストが高くなったり、得られる脱蛋白天然ゴムに
クリーム化剤が多量に残存するおそれが生じるために好
ましくない。
【0022】ゴム分をクリーム化する際の条件は特に限
定されないが、蛋白分解処理が施された天然ゴムラテッ
クスの温度を室温〜40℃程度に調整し、ラテックス中
に上記クリーム化剤を所定量添加して攪拌した後、12
〜24時間程度静置するのが適当である。クリーム化剤
を添加後、静置することにより、天然ゴムラテックス
は、ゴム分からなるクリーム層が上層に、分解された蛋
白質を含む漿液層が下層にそれぞれ相分離する。
【0023】1回目のクリーム化において、クリーム層
と漿液層とは完全に相分離し、分解蛋白質等の不純物は
漿液層中に移行する。その結果、ケルダール法により求
められる上記クリーム層の窒素含有量(N%)は、脱蛋
白処理前のラテックスにおける窒素含有量(N%)に対
して50%以下となる。また、漿液層中にはゴム分が含
まれず、あるいはゴム分の含有率が2重量%以下と極め
て低い値を示すことから、漿液層は透明な層として得ら
れる。
【0024】(3) クリーム層の洗浄 クリーム層の洗浄工程は、上記1回目のクリーム化によ
って相分離したクリーム層のみを分液法により取り出し
て希釈し、このクリーム層を水に分散させて攪拌するこ
とによって、ゴム分とともに、クリーム層に残存した分
解蛋白質等の不純物をも水に分散させる工程である。
【0025】クリーム層の希釈は、洗浄効果の観点か
ら、ゴム分の重量割合が10〜30重量%程度となるよ
うに調整するのが好ましい。洗浄工程においては、クリ
ーム層の希釈液を攪拌してもよく、静置してもよい。 (4) 2回目のクリーム化 クリーム層を洗浄した後、静置すると、クリーム層に残
存したクリーム化剤の作用によって、再度ゴム分がクリ
ーム化されて、ゴム分からなるクリーム層と、分解蛋白
質等の不純物を含む漿液層とに分離する。
【0026】2回目のクリーム化において、ゴム分をク
リーム化する際の条件は特に限定されないが、上記希釈
液を室温〜40℃程度に調整し、12〜24時間程度静
置するのが適当である。2回目のクリーム化において
も、クリーム層と漿液層とはほぼ完全に相分離する。そ
の結果、分解蛋白質等の不純物をほとんど含まないクリ
ーム層が得られる。ケルダール法により求められる上記
クリーム層の窒素含有量(N%)は、脱蛋白処理前のラ
テックスにおける窒素含有量(N%)に対して10%以
下と極めて低い値となる。また、漿液層中にはゴム分が
含まれず、あるいはゴム分の含有率が2重量%以下と極
めて低い値を示すことから、透明な層として得られる。
【0027】2回目のクリーム化後、上層のクリーム層
を取り出して、凝固剤の添加により凝固させることによ
って、蛋白質が高度に除去された脱蛋白天然ゴムが得ら
れる。本発明によって得られた脱蛋白天然ゴムをラテッ
クス形態で供する場合には、上記の方法によって得られ
たクリーム状のゴム分を水で希釈し、ゴム分の濃度が3
0〜60重量%程度となるように調整すればよい。
【0028】
【実施例】以下、実施例および比較例をあげて本発明を
説明する。 実施例1および2 天然ゴムラテックスとして、フィールドラテックス〔全
固形分の濃度(TSC)30重量%、窒素含有率(N
%)0.72%〕を用いた。
【0029】500cm3 の分液機構付きビーカーに上
記フィールドラテックス300cm 3 を秤取し、これに
0.067phrのアルカリプロテアーゼ(蛋白分解酵
素)を添加して攪拌した後、3時間放置して熟成した。
次いで、アルギン酸ナトリウム(クリーム化剤)を表1
に示す割合で添加して攪拌した後、室温で24時間静置
することによって、1回目のクリーム化を行った。
【0030】静置後、2層に分離したうちの漿液層を除
去し、次いでクリーム層に150cm3 の水を加えてク
リーム状のゴム分を分散させ、攪拌することにより、ゴ
ム分を洗浄した。次いで、さらに24時間静置して、2
回目のクリーム化を行った。こうして再び2層に分離さ
せた後、上層のクリーム層を取り出し、凝固させること
によって、脱蛋白天然ゴムを得た。 (漿液層の割合の測定)上記1回目および2回目のクリ
ーム化によって分離した漿液層の体積を測定し、クリー
ム層と漿液層との全体積に対する割合を求めて、漿液層
の割合(%)とした。 (漿液層中のゴム固形分の含有量の測定)上記1回目お
よび2回目のクリーム化によって得られた漿液につい
て、それぞれの全固形分の濃度(TSC、重量%)を求
めた。 (クリーム分の窒素含有量の測定)上記1回目および2
回目のクリーム化によって得られたクリーム分につい
て、それぞれの窒素含有量(N%)を、ヤナコ分析工業
社製の「CHN CORDER MT−5型」を用い
て、ケルダール法に従って測定した。
【0031】すなわち、測定は、まずアンチピリンを標
準物質として、窒素含有量を求めるための検量線を作製
し、次いで各実施例で得られた脱蛋白天然ゴムから約1
0mgを秤量して窒素含有量の測定を行った。測定結果
は、3回の測定結果の平均値である。なお、窒素含有量
(N%)が0.07%以下であれば、高電気絶縁性、低
吸水性およびアレルギーフリーの諸特性について好まし
い結果が得られる。
【0032】アルギン酸ナトリウムの配合量(phr)
と、上記測定の結果とを表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】比較例1〜3 実施例1および2と同様にして、フィールドラテックス
に0.067phrのアルカリプロテアーゼを添加して
攪拌した後、3時間放置した。次いで、アルギン酸ナト
リウムに代えて、炭酸ソーダ(無機塩)を表1に示す割
合で添加して攪拌した後、室温で24時間静置した。
【0035】静置後、2層に分離したうちのクリーム層
を取り出して、クリーム層の窒素含有量(N%)を前述
と同様にして測定した。また、漿液層の中のゴム固形分
の含有量および漿液層の割合を前述と同様にして測定し
た。なお、上記クリーム層に150cm3 の水を加えて
ゴム分を分散させ、攪拌した後、静置したが、ゴム分と
漿液との相分離が生じず、2回目のクリーム化を行うこ
とができなかった。
【0036】以上の結果は、上記表1に示すとおりであ
る。 比較例4および5 実施例1および2で使用したフィールドラテックスに、
アルギン酸ナトリウム表1に示す割合で添加して攪拌し
た後、室温で24時間静置することによって、1回目の
クリーム化を行った。
【0037】静置後、2層に分離したうちの漿液層を除
去し、次いでクリーム層に150cm3 の水を加えてク
リーム状のゴム分を分散させ、攪拌することにより、ゴ
ム分を洗浄した。次いで、さらに24時間静置して、2
回目のクリーム化を行った。こうして再び分離した2層
のうち、上層のクリーム層を取り出し、クリーム層の窒
素含有量(N%)を前述と同様にして測定した。また、
漿液層の中のゴム固形分の含有量および漿液層の割合を
前述と同様にして測定した。
【0038】以上の結果は、上記表1に示すとおりであ
る。表1より明らかなように、実施例1および2では、
蛋白分解処理後にクリーム化剤を添加することにより、
容易にかつ高濃度でもってゴム分をクリーム化すること
ができ、さらにクリーム状のゴム分を希釈して洗浄した
後も、クリーム化剤の作用により再度ゴム分をクリーム
化することができた。すなわち、蛋白質が高度に除去さ
れた天然ゴムを簡単な工程でもって、かつ高収率で得る
ことができた。
【0039】これに対し、比較例1では、無機塩類の含
有量が少ないため、ゴム分をクリーム化することができ
なかった。比較例2では、ゴム分をクリーム化すること
ができたものの、クリーム層と漿液層との相分離が不十
分で、漿液層にゴム分が多量に残存した結果、漿液層が
不透明になった。比較例2および3では、クリーム層の
窒素含有率を十分に低下させることができなかった。さ
らに、無機塩類は漿液層に含まれることから、一旦クリ
ーム層を取り出し、水で希釈、洗浄した場合には、ゴム
分を再クリーム化するために改めて無機塩類を添加する
必要があった。
【0040】比較例4および5では、1回目のクリーム
化においても相分離の程度が不十分で、漿液層が白濁し
ていた。さらに、2回目のクリーム化では相分離しなか
った。すなわち、アルカリプロテアーゼを添加せずに、
クリーミング剤のみを添加した場合には完全な相分離状
態が得られなかった。なお、前出のフィールドラテック
スに0.067phrのアルカリプロテアーゼ(蛋白分
解酵素)を添加して攪拌した後、3時間放置して熟成し
た場合であって、アルギン酸ナトリウムや炭酸ナトリウ
ムを添加しない場合には、ゴム分のクリーム層と、漿液
層との相分離が生じなかった(対照)。
【0041】実施例3 アルギン酸ナトリウムに代えてアルギン酸アンモニウム
を用いたほかは、実施例2と同様にして、1回目および
2回目のクリーム化を行い、脱蛋白天然ゴムを得た。 実施例4 アルギン酸ナトリウムに代えてこんにゃく糊(こんにゃ
く粉)を用いたほかは、実施例2と同様にして、1回目
および2回目のクリーム化を行い、脱蛋白天然ゴムを得
た。
【0042】上記実施例3および4について、それぞれ
1回目および2回目のクリーム化における「漿液層の割
合」、「漿液層中のゴム固形分の含有量」および「クリ
ーム分の窒素含有量」を、前述と同様の方法にて測定し
た。その結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】表2より明らかなように、実施例3および
4では、前記実施例1および2と同様に、蛋白質が高度
に除去された天然ゴムを簡単な工程でもって、かつ高収
率で得ることができた。
【0045】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
蛋白質が高度に除去された天然ゴムを簡単な工程でもっ
て、かつ高収率で得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 信近 英男 兵庫県神戸市西区竜ヶ岡4−6−1 県住 902

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】天然ゴムラテックスに0.01〜1phr
    の割合で蛋白分解酵素を添加して蛋白分解処理を行い、
    次いで0.1〜1phrの割合でクリーム化剤を添加し
    て静置し、漿液層とゴム分のクリーム層とを分離させた
    後、前記クリーム層を回収して、これを水で希釈して洗
    浄を行い、さらに静置して、漿液層とゴム分のクリーム
    層とを分離させることを特徴とする脱蛋白天然ゴムの製
    造方法。
  2. 【請求項2】前記クリーム化剤がアルギン酸ナトリウ
    ム、アルギン酸アンモニウム、こんにゃく糊およびトラ
    カガントゴムから選ばれる少なくとも1種である請求項
    1記載の脱蛋白天然ゴムラテックスの製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の方法によってクリーム化し
    たゴム分を水に再分散させることを特徴とする、ラテッ
    クス形態の脱蛋白天然ゴムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002338603A (ja) * 2001-05-16 2002-11-27 Sumitomo Rubber Ind Ltd 微粒子天然ゴムの製造方法
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WO2021184703A1 (zh) * 2020-03-18 2021-09-23 田晓慧 天然胶乳的乳析加工方法

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