JP3698875B2 - 脱蛋白天然ゴムの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は脱蛋白天然ゴムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然ゴムは、通常約94%のゴム分のほか、蛋白質、脂質、無機塩等からなる約6%の非ゴム成分を含んでおり、機械的強度、引裂強度、動的特性等の種々の点において合成ゴムでは得ることのできない優れた性能を有している。
しかし近年、天然ゴムに含まれる蛋白質がアレルギー症状を引き起こす原因になるといった問題が大きく取り上げられている。
【0003】
また、天然ゴム中の蛋白質を除去した場合には、高電気絶縁性、低吸水性、低クリープ性等の特性を有するゴムが得られることが知られており、かかるゴムはエンジニアリング材料としての展開が期待されている。
このため、近年、天然ゴムラテックス中の蛋白質をいかに除去するかが重要な問題となっている。
【0004】
蛋白質が除去された、いわゆる脱蛋白天然ゴムを得る方法としては、従来より、蛋白分解酵素を用いて天然ゴムラテックス中の蛋白質を分解させる方法が知られている。天然ゴムラテックス中のゴム分は、蛋白質が存在することによってラテックス中で安定に分散していることから、この蛋白質を分解することによってゴム粒子を不安定にさせ、凝結させることができる。しかしながら、この方法では、凝結したゴム分と漿液との相分離が不十分であるため、ラテックス中のゴム分を回収したり、分解された蛋白質等の不純物とゴム分とを分離したりするのが困難である。
【0005】
一方、特開平6−56904号公報や特開平6−56905号公報には、天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素を添加して、界面活性剤の存在下で蛋白分解処理を行った後、ラテックスを希釈して遠心分離を施す方法が開示されている。かかる方法によれば、遠心分離処理を施すことによってゴム分が洗浄、濃縮されることから、蛋白質が高度に除去された脱蛋白天然ゴムを得ることができる。
【0006】
しかしながら、遠心分離の工程を経ることによって製造工程が複雑になるという問題がある。また、遠心分離装置の内部にラテックスの凝固物等が残存し、これを洗浄除去するなどのメンテナンスに手間がかかるという問題もある。
さらに、天然ゴムラテックスに遠心分離処理を施した場合には、ゴム分に5〜10%程度のロスを生じることが避けられない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、遠心分離処理の工程を経ずにゴム分を濃縮する方法として、天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素を添加して蛋白分解処理を行った後、無機塩類を添加してゴム分をクリーム化する方法が提案されている。
この方法によれば、天然ゴムラテックスを、ゴム分からなるクリーム層と、分解された蛋白質を含む漿液との2層に相分離させることができる。
【0008】
しかしながら、この方法ではクリーム分の濃縮度が低く、分解された蛋白質がゴム分に混入したり、漿液中にゴム分が残存するために歩泊まりが低くなるといった問題が生じる。また、クリーム分の濃縮度を高めたり、分解蛋白質の含有量を低減させるためには、結局遠心分離の工程を必要としたり、あるいは長時間の減圧乾燥処理を必要とすることから、製造工程の複雑化を免れない。
【0009】
さらに、上記の方法では、ゴム分をクリーム化するのに多量の無機塩を要するために、脱蛋白天然ゴムに多量の無機塩が混入するおそれがある。
そこで本発明の目的は、蛋白質が高度に除去された天然ゴムを簡単な工程でもって、かつ高収率で得ることのできる脱蛋白天然ゴムの製造方法に関する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、天然ゴムラテックスに0.01〜1phr(天然ゴムラテックス中のゴム固形分100重量部に対する重量部、以下同じ)の割合で蛋白分解酵素を添加して蛋白分解処理を行い、次いで0.1〜1phrの割合でクリーム化剤を添加して静置し、前記ラテックス中のゴム分をクリーム化した後、分離したクリーム状のゴム分を水で希釈して洗浄し、さらに静置して、ゴム分を再度クリーム化するときは、蛋白質が高度に除去された天然ゴムを簡単な工程でもって、かつ高い収率で得ることができるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
上記本発明の脱蛋白天然ゴムの製造方法によれば、ラテックス中のゴム分からなるクリーム層と、分解された蛋白質を含む漿液層とがほぼ完全に相分離する。従って、遠心分離処理の工程を経ずに、クリーム化剤を添加するといった操作だけで容易にゴム分をクリーム化することができる。また、クリーム分を取り出して脱蛋白天然ゴムを得る際にゴム分のロスが少なく、高い収率でもって脱蛋白ゴムを得ることができる。
【0012】
本発明の脱蛋白天然ゴムの製造方法におけるクリーム化剤としては、例えばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、こんにゃく糊、トラカガントゴム等が好適に用いられる。
上記本発明の方法によってクリーム化されたゴム分は、これを水に再分散させてラテックスの形態で使用してもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の脱蛋白天然ゴムの製造方法によれば、
(1) 天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素を添加し、蛋白分解処理を施す工程(蛋白分解処理)、
(2) 所定量のクリーム化剤を添加して静置し、ゴム分のクリーム層と、漿液層とを分離させる工程(1回目のクリーム化)、
(3) クリーム層を水で希釈、攪拌して洗浄する工程(クリーム層の洗浄)、および
(4) 再度静置して、ゴム分のクリーム層と、漿液層とを分離させる工程(2回目のクリーム化)
の各工程を経ることによって、脱蛋白天然ゴムが得られる。
【0014】
以下、本発明の脱蛋白天然ゴムの製造方法について、上記の各工程に沿って詳細に説明する。
(1) 蛋白分解処理
蛋白質分解処理の工程は、天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素を添加して、ラテックス中の蛋白質を分解する工程である。
【0015】
本発明に用いられる天然ゴムラテックスとしては、市販のアンモニア処理ラテックスや新鮮なフィールドラテックスのいずれであってもよい。
本発明に用いられる蛋白分解酵素(プロテアーゼ)としては、市販のアルカリプロテアーゼが使用可能であって、その活性は0.1〜50APU/g、好ましくは1〜25APU/gの範囲にあるのが適当である。
【0016】
酵素活性の測定は、アンソン−ヘモグロビン法(Anson. M. L., J. Gen. Physiol., 22, 79 (1938) )の改良法を用いた。すなわち、基質として用いる尿素変性ヘモグロビンの終濃度が14.7mg/mlとなるように調整した溶液中で、温度25℃、pH10.5にて10分間反応させた後、反応溶液にトリクロロ酢酸を終濃度が31.25mg/mlとなるように添加する。次いで、トリクロロ酢酸の可溶分をフェノール試薬によって呈色させ、1モルのチロシンの呈色度を1APUとした検量線により反応10分間当たりの活性を求め、これを1分間当たりに換算することによって測定した。なお、1APUとは、1モルのチロシンがフェノール試薬によって呈色するのと同じ呈色度のトリクロロ酢酸可溶分量を1分間に与えるプロテアーゼの量のことを示す。
【0017】
但し、本発明に用いられる蛋白分解酵素は前記アルカリプロテアーゼに限定されるものではなく、リパーゼ、エステラーゼ、アルカラーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ等の従来公知の種々の酵素を単独で用いてもよく、これらを併用してもよい。これらの酵素の酵素活性は0.1〜50APU/gの範囲であるのが適当である。
【0018】
蛋白分解酵素の添加量は、天然ゴムラテックスに対して0.01〜1phr、好ましくは0.02〜0.2phr、より好ましくは0.05〜0.1phrの範囲であるのが適当である。蛋白分解酵素の添加量が上記範囲を下回ると、蛋白質の分解反応が不十分になるおそれがあるために好ましくない。一方、蛋白分解酵素を上記範囲を超えて添加してもそれに見合う効果がなく、逆にコストが高くなったり、得られる脱蛋白天然ゴムに蛋白分解酵素が多量に残存するおそれが生じるために好ましくない。
【0019】
蛋白分解処理は、天然ゴムラテックスの温度を室温〜40℃程度、好ましくは37℃前後に調整し、ラテックス中に上記蛋白分解酵素を所定量添加して攪拌した後、3〜5時間程度静置して熟成するのが、蛋白質の分解反応を効率よく行うという観点から好ましい。
本発明において、蛋白分解処理を行う際には、蛋白分解酵素とともに界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、種々の陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤等がいずれも使用可能である。
【0020】
(2) 1回目のクリーム化
1回目のクリーム化の工程は、蛋白分解処理を施した天然ゴムラテックスに所定量のクリーム化剤を添加して静置し、ラテックス中のゴム分をクリーム化することにより、前記ゴム分からなるクリーム層と、分解された蛋白質を含む漿液層とに分離する工程である。
【0021】
本発明に用いられるクリーム化剤としては、アルギン酸ナトリウム(アルギン酸ソーダ)、アルギン酸アンモニウム、こんにゃく糊(マンナン)、トラカガントゴム(トラガント)等があげられる。
クリーム化剤の配合量は、天然ゴムラテックスに対して0.1〜1phr、好ましくは0.3〜0.6phrの範囲であるのが適当である。クリーム化剤の配合量が上記範囲を下回ると、ゴム分のクリーム化(凝集)が不十分になるおそれがあるため好ましくない。一方、クリーム化剤を上記範囲を超えて添加してもそれに見合う効果がなく、逆にコストが高くなったり、得られる脱蛋白天然ゴムにクリーム化剤が多量に残存するおそれが生じるために好ましくない。
【0022】
ゴム分をクリーム化する際の条件は特に限定されないが、蛋白分解処理が施された天然ゴムラテックスの温度を室温〜40℃程度に調整し、ラテックス中に上記クリーム化剤を所定量添加して攪拌した後、12〜24時間程度静置するのが適当である。
クリーム化剤を添加後、静置することにより、天然ゴムラテックスは、ゴム分からなるクリーム層が上層に、分解された蛋白質を含む漿液層が下層にそれぞれ相分離する。
【0023】
1回目のクリーム化において、クリーム層と漿液層とは完全に相分離し、分解蛋白質等の不純物は漿液層中に移行する。その結果、ケルダール法により求められる上記クリーム層の窒素含有量(N%)は、脱蛋白処理前のラテックスにおける窒素含有量(N%)に対して50%以下となる。また、漿液層中にはゴム分が含まれず、あるいはゴム分の含有率が2重量%以下と極めて低い値を示すことから、漿液層は透明な層として得られる。
【0024】
(3) クリーム層の洗浄
クリーム層の洗浄工程は、上記1回目のクリーム化によって相分離したクリーム層のみを分液法により取り出して希釈し、このクリーム層を水に分散させて攪拌することによって、ゴム分とともに、クリーム層に残存した分解蛋白質等の不純物をも水に分散させる工程である。
【0025】
クリーム層の希釈は、洗浄効果の観点から、ゴム分の重量割合が10〜30重量%程度となるように調整するのが好ましい。洗浄工程においては、クリーム層の希釈液を攪拌してもよく、静置してもよい。
(4) 2回目のクリーム化
クリーム層を洗浄した後、静置すると、クリーム層に残存したクリーム化剤の作用によって、再度ゴム分がクリーム化されて、ゴム分からなるクリーム層と、分解蛋白質等の不純物を含む漿液層とに分離する。
【0026】
2回目のクリーム化において、ゴム分をクリーム化する際の条件は特に限定されないが、上記希釈液を室温〜40℃程度に調整し、12〜24時間程度静置するのが適当である。
2回目のクリーム化においても、クリーム層と漿液層とはほぼ完全に相分離する。その結果、分解蛋白質等の不純物をほとんど含まないクリーム層が得られる。ケルダール法により求められる上記クリーム層の窒素含有量(N%)は、脱蛋白処理前のラテックスにおける窒素含有量(N%)に対して10%以下と極めて低い値となる。また、漿液層中にはゴム分が含まれず、あるいはゴム分の含有率が2重量%以下と極めて低い値を示すことから、透明な層として得られる。
【0027】
2回目のクリーム化後、上層のクリーム層を取り出して、凝固剤の添加により凝固させることによって、蛋白質が高度に除去された脱蛋白天然ゴムが得られる。
本発明によって得られた脱蛋白天然ゴムをラテックス形態で供する場合には、上記の方法によって得られたクリーム状のゴム分を水で希釈し、ゴム分の濃度が30〜60重量%程度となるように調整すればよい。
【0028】
【実施例】
以下、実施例および比較例をあげて本発明を説明する。
実施例1および2
天然ゴムラテックスとして、フィールドラテックス〔全固形分の濃度(TSC)30重量%、窒素含有率(N%)0.72%〕を用いた。
【0029】
500cm3 の分液機構付きビーカーに上記フィールドラテックス300cm3 を秤取し、これに0.067phrのアルカリプロテアーゼ(蛋白分解酵素)を添加して攪拌した後、3時間放置して熟成した。
次いで、アルギン酸ナトリウム(クリーム化剤)を表1に示す割合で添加して攪拌した後、室温で24時間静置することによって、1回目のクリーム化を行った。
【0030】
静置後、2層に分離したうちの漿液層を除去し、次いでクリーム層に150cm3 の水を加えてクリーム状のゴム分を分散させ、攪拌することにより、ゴム分を洗浄した。
次いで、さらに24時間静置して、2回目のクリーム化を行った。
こうして再び2層に分離させた後、上層のクリーム層を取り出し、凝固させることによって、脱蛋白天然ゴムを得た。
(漿液層の割合の測定)
上記1回目および2回目のクリーム化によって分離した漿液層の体積を測定し、クリーム層と漿液層との全体積に対する割合を求めて、漿液層の割合(%)とした。
(漿液層中のゴム固形分の含有量の測定)
上記1回目および2回目のクリーム化によって得られた漿液について、それぞれの全固形分の濃度(TSC、重量%)を求めた。
(クリーム分の窒素含有量の測定)
上記1回目および2回目のクリーム化によって得られたクリーム分について、それぞれの窒素含有量(N%)を、ヤナコ分析工業社製の「CHN CORDER MT−5型」を用いて、ケルダール法に従って測定した。
【0031】
すなわち、測定は、まずアンチピリンを標準物質として、窒素含有量を求めるための検量線を作製し、次いで各実施例で得られた脱蛋白天然ゴムから約10mgを秤量して窒素含有量の測定を行った。測定結果は、3回の測定結果の平均値である。
なお、窒素含有量(N%)が0.07%以下であれば、高電気絶縁性、低吸水性およびアレルギーフリーの諸特性について好ましい結果が得られる。
【0032】
アルギン酸ナトリウムの配合量(phr)と、上記測定の結果とを表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003698875
【0034】
比較例1〜3
実施例1および2と同様にして、フィールドラテックスに0.067phrのアルカリプロテアーゼを添加して攪拌した後、3時間放置した。
次いで、アルギン酸ナトリウムに代えて、炭酸ソーダ(無機塩)を表1に示す割合で添加して攪拌した後、室温で24時間静置した。
【0035】
静置後、2層に分離したうちのクリーム層を取り出して、クリーム層の窒素含有量(N%)を前述と同様にして測定した。また、漿液層の中のゴム固形分の含有量および漿液層の割合を前述と同様にして測定した。
なお、上記クリーム層に150cm3 の水を加えてゴム分を分散させ、攪拌した後、静置したが、ゴム分と漿液との相分離が生じず、2回目のクリーム化を行うことができなかった。
【0036】
以上の結果は、上記表1に示すとおりである。
比較例4および5
実施例1および2で使用したフィールドラテックスに、アルギン酸ナトリウム表1に示す割合で添加して攪拌した後、室温で24時間静置することによって、1回目のクリーム化を行った。
【0037】
静置後、2層に分離したうちの漿液層を除去し、次いでクリーム層に150cm3 の水を加えてクリーム状のゴム分を分散させ、攪拌することにより、ゴム分を洗浄した。
次いで、さらに24時間静置して、2回目のクリーム化を行った。
こうして再び分離した2層のうち、上層のクリーム層を取り出し、クリーム層の窒素含有量(N%)を前述と同様にして測定した。また、漿液層の中のゴム固形分の含有量および漿液層の割合を前述と同様にして測定した。
【0038】
以上の結果は、上記表1に示すとおりである。
表1より明らかなように、実施例1および2では、蛋白分解処理後にクリーム化剤を添加することにより、容易にかつ高濃度でもってゴム分をクリーム化することができ、さらにクリーム状のゴム分を希釈して洗浄した後も、クリーム化剤の作用により再度ゴム分をクリーム化することができた。すなわち、蛋白質が高度に除去された天然ゴムを簡単な工程でもって、かつ高収率で得ることができた。
【0039】
これに対し、比較例1では、無機塩類の含有量が少ないため、ゴム分をクリーム化することができなかった。比較例2では、ゴム分をクリーム化することができたものの、クリーム層と漿液層との相分離が不十分で、漿液層にゴム分が多量に残存した結果、漿液層が不透明になった。
比較例2および3では、クリーム層の窒素含有率を十分に低下させることができなかった。さらに、無機塩類は漿液層に含まれることから、一旦クリーム層を取り出し、水で希釈、洗浄した場合には、ゴム分を再クリーム化するために改めて無機塩類を添加する必要があった。
【0040】
比較例4および5では、1回目のクリーム化においても相分離の程度が不十分で、漿液層が白濁していた。さらに、2回目のクリーム化では相分離しなかった。すなわち、アルカリプロテアーゼを添加せずに、クリーミング剤のみを添加した場合には完全な相分離状態が得られなかった。
なお、前出のフィールドラテックスに0.067phrのアルカリプロテアーゼ(蛋白分解酵素)を添加して攪拌した後、3時間放置して熟成した場合であって、アルギン酸ナトリウムや炭酸ナトリウムを添加しない場合には、ゴム分のクリーム層と、漿液層との相分離が生じなかった(対照)。
【0041】
実施例3
アルギン酸ナトリウムに代えてアルギン酸アンモニウムを用いたほかは、実施例2と同様にして、1回目および2回目のクリーム化を行い、脱蛋白天然ゴムを得た。
実施例4
アルギン酸ナトリウムに代えてこんにゃく糊(こんにゃく粉)を用いたほかは、実施例2と同様にして、1回目および2回目のクリーム化を行い、脱蛋白天然ゴムを得た。
【0042】
上記実施例3および4について、それぞれ1回目および2回目のクリーム化における「漿液層の割合」、「漿液層中のゴム固形分の含有量」および「クリーム分の窒素含有量」を、前述と同様の方法にて測定した。その結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
Figure 0003698875
【0044】
表2より明らかなように、実施例3および4では、前記実施例1および2と同様に、蛋白質が高度に除去された天然ゴムを簡単な工程でもって、かつ高収率で得ることができた。
【0045】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、蛋白質が高度に除去された天然ゴムを簡単な工程でもって、かつ高収率で得ることができる。

Claims (2)

  1. 天然ゴムラテックスに0.01〜1phrの割合で蛋白分解酵素を添加して蛋白分解処理を行い、次いで0.1〜1phrの割合で、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アンモニウム、こんにゃく糊およびトラカガントゴムから選ばれる少なくとも1種のクリーム化剤を添加して静置し、漿液層とゴム分のクリーム層とを分離させた後、前記クリーム層を回収して、これを水で希釈して洗浄を行い、さらに静置して、漿液層とゴム分のクリーム層とを分離させることを特徴とする脱蛋白天然ゴムの製造方法。
  2. 請求項1記載の方法によってクリーム化したゴム分を水に再分散させることを特徴とする、ラテックス形態の脱蛋白天然ゴムの製造方法。
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