JP5312439B2 - 臭気を低減した天然ゴム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、臭気を低減した天然ゴム及びその製造方法に関するものであり、より詳細には、素練り工程などで発生する天然ゴム特有の臭気を低減してなる天然ゴム及びその製造方法に関するものである。
天然ゴムの製造工程は、天然ゴム各種等級品の国際品質包装標準(通称グリーンブック)における格付けによるリブド・スモーク・シート(RSS型)、技術的格付けゴム(TSR型)の2つの方法が代表的である。このうちTSR型では、大別してウェットプロセス、ドライプロセスの2種があり、天然ゴムラテックス採取→カップランプ作製(ラテックスのカップの中に予めギ酸を入れておいて自然に固める様にしたもの、採取農家などでタッピングしたもの)までが共通工程となっており、このカップランプ、USS/RSS等を混合してウェットプロセス又はドライプロセスによりクラム化してバケットに移動し、乾燥機で乾燥させた後、プレス成形してブロックとし、パッキングの順で製造されている。また、このようなTSRは、上級グレードと下級グレードに分類されている。上級グレードTSRは、新鮮なラテックスを酸で凝固し、それを水洗・粉砕し、更に120℃前後の熱風で乾燥して製造される。また、下級グレードTSRは、ゴムの樹のラテックス回収カップ内でラテックスが自然凝固してできたカップランプや、小規模農家が採取したラテックスを箱状に凝固させて得られるスラブ等を水洗・粉砕し、更に乾燥して製造される。
ところで、ゴム業界で用いられている天然ゴムは、熱帯地方に栽培されるへベア・ブラジリエンスと呼ばれるゴムの樹の樹液(天然ゴムラテックス)を凝固・乾燥して得られるものである。天然ゴムラテックス粒子は、平均粒径1.0μm程度であり、タンパク質、ポリイソプレン、リン脂質等が複合的に絡み合ったものであり、また、このラテックスを遠心分離すると、上澄みからは、タンパク質、脂質などを含有するゴム層(35%)、中間層には、タンパク質、アミノ酸、有機酸を含有するセラム層(天然ゴム漿液、55%)、底部層には、タンパク質、窒素化合物、リン脂質等を含有するボトム層(沈積物層、10%)に分離される。
従来、上級グレードTSRの生産工程において、凝固前のゴムラテックス、及びそれが凝固された直後には臭気は殆んどないが、120℃前後の熱風の乾燥工程中に天然の非ゴム成分である脂肪酸やタンパク質が酸化したり分解したりして悪臭を発するようになる。
また、上記下級グレードTSRの原料のカップランプやスラブは、農家で収穫されてから工場に入荷する前に約1ヶ月前後の流通期間があり、その間に非ゴム成分が酸化・分解して強い悪臭を発するようになる。これらの悪臭は、水洗・粉砕工程でかなりの程度、洗い流されるが、次工程の熱風乾燥で再び非ゴム成分である脂肪酸やタンパク質が酸化したり分解したりして悪臭を発するようになる。
また、TSR天然ゴムは、出荷前にポリエチレンで梱包され、又はタルクで表面をコーティングされ、流通時点では臭気は少なくなっている。
しかしながら、タイヤ工場等に搬入された上記の原料天然ゴムにあっては、合成ゴムと比較して分子量が大きいため、直接、各種の配合剤を均一に混練りすることが難しい。このため、天然ゴムを少量の素練り促進剤と共に混練りし、ゴム分子量を適度な大きさに下げる操作を必要とする場合がある。この操作等を、「素練り」という。
素練り中にゴム温度は130〜150℃程度に上昇する。温度上昇(発熱)により、天然ゴムに含有されていた臭気成分は発散すると共に、上述の非ゴム成分が更に酸化・分解し新たな臭気を発散する。これら臭気が工場内外に漏れると環境問題になる。
上記天然ゴムの素練りにより発生する臭気を捕捉してGC−MSで分析すると、酢酸やプロピオン酸などの低級脂肪酸類、アルデヒド類、ピラジン類やピロール類等の窒素環状化合物、アンモニア等が検出された。通常、高級脂肪酸が高温に晒されると、自動酸化を生じて低級脂肪酸とアルデヒド類を生成することが知られている。また、タンパク質とカルボニル化合物とが加熱されると、ストレッカー分解を生じて窒素環状化合物を、タンパク質が分解するとアンモニアを生成することも知られている。
他方、天然ゴムには、天然の高級脂肪酸やタンパク質などの非ゴム分が含まれることは上述の如く良く知られている。従って、天然ゴムに含有される高級脂肪酸、タンパク質が、天然ゴム生産工程での燻製や熱乾燥、ゴム製品工場での素練りにおいても上記同様の反応を生じることは容易に推察される。
この素練りゴムは、更に、カーボンブラックや各種配合薬品と共に混練りされるが、この工程では臭気がカーボンブラックなどに吸収されるため臭気問題は素練りほど大きくないが未だ特有の臭気を有するものである。
この臭気問題の対策のため、これまでに、混練り設備の排気ダクトに脱臭フィルターを設置したり、混練り設備周辺に香料を散布したり、様々な対応策を講じてきたが、それでも、対策が充分でない場合があり、更に、天然ゴムそのものの改善、すなわち、臭気が低減できる天然ゴムの出現が切望されている。
一方、天然ゴムの臭気を低減する方法としては、例えば、天然ゴムラテックスから天然ゴムを製造するに際し、天然ゴムラテックスを凝固前又は凝固後に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムから選ばれる1種以上のアルカリ溶液に接触させることにより、微生物によって非ゴム分から作り出される臭気成分の揮発性脂肪酸を不揮発性の脂肪酸に変えることにより臭いを低減した天然ゴムの製造方法が知られている(特許文献1参照)。
また、臭気を低減したものではないが、高品質天然ゴムを製造するプロセスとして、粉砕・水洗されたカップランプとラテックス凝固ゴムとをブレンドし、最大3mmの大きさに粉砕し、これを空気搬送中に0.1〜0.2%のヒドロキシルアミンサルファイト等の酸化防止剤を混合することにより、高品質天然ゴム(最上級グレードTSR)を得ることができることなどが知られている(特許文献2参照)。
更に、天然ゴム製品の使用によるアレルギー症状の発現を防止するために、近年、脱タンパク天然ゴムラテックスが開発され、使用されている。この脱タンパク天然ゴムラテックスは、耐老化性が劣るためラテックスにフェノール系等の老化防止剤を添加すること、更にこの老化防止剤の添加による変色防止(白色のラテックス全体が桃色に変色するピンキング現象防止)のために水溶性ジチオカルバミン酸誘導体の塩などの脱タンパク天然ゴムラテックスの変色防止剤を添加することなどが知られている(特許文献3参照)。
しかしながら、上記特許文献1に記載される技術は、微生物によって非ゴム分から作り出される臭気成分の揮発性脂肪酸を不揮発性の脂肪酸に変えることにより臭いを低減するものであるが、天然ゴムの臭気成分は揮発性脂肪酸のみならず、アルデヒド類、窒素環状化合物、アンモニアなど多く存在するものであり、この技術では未だ天然ゴムの臭気を低減できないという課題を有するものである。また、上記特許文献2に記載される技術には、臭気を低減させるために、特定量の酸化防止剤を添加するという認識等はなく、本願発明とは、その目的、技術思想などは相違するものである。更に、上記特許文献3に記載される技術は、脱タンパク天然ゴムラテックスにおける耐老化性のために、老化防止剤を添加するものであるが、これは天然ゴムのポリマー鎖自身の老化を抑えるために添加するものであり、また、臭気を低減するためのものではない。従って、この特許文献3に記載される技術は、本願発明の脱タンパク処理をしない通常の天然ゴムのラテックスの臭気を低減を対象とし、ポリマー鎖自身の老化でなく、含まれているタンパク質、脂肪酸等の酸化を防いで、臭気を低減するものものとは、その目的、技術思想などは相違するものである。
特開平8−81504号公報 米国特許公開2001/0049411 特開平10−139926号公報
本発明者は、上記従来の課題及び現状等に鑑み、天然ゴムに含まれる揮発性脂肪酸のみならず、アルデヒド類、窒素環状化合物、アンモニアなどの分解などによる特有の臭気成分の生成を簡易な手段として、酸化防止剤を添加することによって一部解決することを見出した。しかしながら、酸化防止剤を単に天然ゴムに添加したのみでは、タイヤゴム工場等での処理過程における臭気を十分に低減できず、これを改善することにも課題があることを見出した。
従って、本発明は、上記課題及び現状に鑑み、タイヤゴム工場等における素練り工程でも臭気を発生せず、外部環境だけでなく作業環境にも優しい、臭気をより効果的に低減してなる天然ゴム及びその製造方法、その天然ゴムを用いたゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題等について鋭意検討した結果、天然ゴムの生産工程において、ゴムラテックスの凝固前或いは凝固後に酸化防止剤を添加することにより、天然ゴムに臭気の低減が見られること、及びこれらのゴムを通常の乾燥(温度120℃以上)でなく、乾燥温度を115℃以下にして乾燥を行うと、従来のように効果が急激に低下することなく、酸化防止剤の効果が十分に維持されて、ゴム工場での素練り工程で臭気が発生しないことを見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明は、以下の構成又は構造を有することを特徴とするものである。
(1)凝固前の天然ゴムラテックスにトコフェロール及びフェノールの中から選ばれる酸化防止剤の少なくとも1種を添加し、乾燥温度115℃〜100℃で乾燥させてなる臭気を低減した天然ゴム。
(2)上記酸化防止剤は、乾燥ゴム分100質量部に対して、0.0001〜1.0質量部添加してなる上記(1)記載の天然ゴム。
(3)上記(1)に記載の天然ゴムに充填剤を配合してなることを特徴とするゴム組成物。
(4)凝固前の天然ゴムラテックスに酸化防止剤を添加し、該酸化防止剤処理した天然ゴムを115℃〜100℃で乾燥させる上記(1)記載の臭気を低減した天然ゴムの製造方法。
本発明によれば、天然ゴムに含まれる脂肪酸、アルデヒド類、窒素環状化合物、アンモニアなどの分解などによる特有の臭気成分の生成を酸化防止剤の添加して抑制せしめ、更に、酸化防止剤の効果を維持するために、乾燥の際に、乾燥温度を通常温度以下とすることにより、天然ゴム特有の臭気をより効果的に、即ち素練り工程においても十分に低減してなるものである。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の臭気を低減した天然ゴム及びその製造方法は、用いる天然ゴムラテックスの形態、加工度合い等に応じて好適な実施形態を規定するものであり、本発明は以下の実施形態の範囲に限定されるものではない。
本発明の臭気を低減した天然ゴムは、凝固前の天然ゴムラテックス、または凝固後に粉砕した天然ゴムに酸化防止剤を添加し、乾燥温度115℃〜100℃で乾燥させてなることを特徴とするものであり、特に好ましくは、100℃〜105℃の範囲で乾燥させてなる。
天然ゴムの製造方法としては、一般に下記の2つの方法が代表的である。すなわち、天然ゴム各種等級品の国際品質包装標準(通称グリーンブック)における格付けによるリブド・スモークド・シート(RSS)では、タッピング後、採取した天然ゴムラテックスを酸等によりゴム成分を凝固(USS)せしめて、固形ゴムをロールにより水溶性の非ゴム成分から分離し、この固形ゴムを約60℃で5〜7日間の乾燥(スモーキング)を行なう。また、技術的格付けゴム(TSR)では、タッピング後、天然ゴムラテックスのゴム成分を自然凝固(カップランプ)せしめて、固形ゴムを粉砕し、水洗し、脱水後、この固形ゴムを熱風乾燥をする。
本発明の天然ゴムは、基本的に凝固前のゴムラテックス、及び凝固後の上記の原料ゴム(RSS、USS、カップランプ、及びその混合物等)に酸化防止剤が添加されるものである。
<凝固前のゴムラテックス>
凝固前のラテックスに対して、すなわち、ゴム成分の他、非ゴム成分(セラム成分、ボトム成分)を含む凝固前のラテックスに対して、酸化防止剤を添加する。好ましくは乾燥ゴム分100質量部に対して、0.0001〜1.0質量部添加する。
天然ゴムのラテックスとしては、例えば、天然ゴム木からタッピングして3時間以内に使用するタッピング後のフレッシュラテックス、タッピング後のラテックスにアンモニア処理等で安定化してなる安定化剤を加えた、好ましくはpH7.0程度のラテックス、またこれらのラテックスを遠心分離機により遠心分離した遠心分離ラテックスの少なくとも1種(各単独又は2種以上の組合わせ使用)を挙げることができる。
凝固処理には、自然凝固によって得ることもできるが、通常、以下の凝固酸等による化学的な処理と機械的な装置を使用する機械的処理を行うことが好ましい。
化学的処理は、ゴムラテックスに凝固酸等を添加して所望の時間熟成させて固形ゴムとするものである。凝固酸は、有機酸又は無機酸でもよく、例えば、ギ酸や硫酸等を代表として挙げることができ、処理ラテックスにpH5.0以下になるように酸を加え、特に、pHが3.0〜4.8の範囲であることが好ましい。
<凝固後の天然ゴムの粉砕処理>
本発明では、上述の凝固処理したラテックス凝固ゴム、カップランプ、スラブ、及び未燻製ゴム、及びその混合物等を原料として粉砕処理(クラム化処理)することが好ましい。これは、通常、均一な乾燥のために行うものであり、例えば、クレーパー工程及び/又はシュレッダー工程を経ることによりクラム化することができる。クレーパー工程としては、例えば、SPHERE社製のCreper Model CRC 14/28に凝固物を4回通してクレーパーシートを得ることができ、また、シュレッダー工程としては、例えば、SPHERE社製のShvedder Model CRC 14/28にこのクレーパーシートを投入しクラムを得ることができる。尚、本発明において、凝固させた天然ゴムは、通常のTSRプロセスと同様にクレーパーナシュレッダー、又はペレタイザーなどにかけてクラム化することが好ましい。
<酸化防止剤の添加>
本発明において、酸化防止剤は凝固前にゴムラテックスに加える。その凝固前の添加では、均質に分散した天然ゴム原料が得られることとなる。
尚、凝固前とは、ゴムラテックスが凝固状態にある前であり、例えば、ゴムラテックス状態にある限り、酸化防止剤は上述の凝固酸と同時にゴムラテックスに配合しても良い。しかしながら、好ましくは酸化防止剤をゴムラテックスに投入混合した後に凝固処理(その他の凝固処理を含む。)を開始することが好ましい。
酸化防止剤は、凝固前であればそのまま直接添加することもできるが、酸化防止剤を分散媒、溶媒などに溶解して配合することが好ましい。
上述の酸化防止剤が水溶性の場合は、水溶液にして用いても良く、また、非水溶性の酸化防止剤は、まずエチルアルコール等に溶解し、それをカルボン酸塩ないしアルキルアリールスルホン酸塩の界面活性剤入りの水(精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等)で希釈して懸濁液として添加してもよいものである。
酸化防止剤水溶液の濃度は、0.005〜5質量%であることが好ましい。上記濃度が薄すぎると、目的の臭気低減効果を発揮することができず、また、5%超過の濃度では、酸化防止剤が多量にゴム中に残るため、そのものの臭気が悪影響を及ぼすことがあり、好ましくない。
ここで本発明の天然ゴムにあっては、上記の天然ゴム原料を10mm以下、好ましくは、2〜5mmの大きさの粒子に粉砕されたものを用いることが望ましい。なお、10mm超過の天然ゴム原料では、その後の乾燥に多大な時間を要するため、好ましくない。
また、未燻製ゴムシートとしては、浸漬、噴霧、及びその後の燻製による乾燥のしやすさの点から、大きさ(縦×横)が(400〜500)×(1000〜1300)mmであり、厚さが3〜5mmとなるものを用いることが好ましい。未燻製ゴムシートは酸化防止剤の0.005〜5%濃度の水溶液又は懸濁液に浸漬される。
本発明の酸化防止剤は、天然ゴムラテックスに含有される脂肪酸、タンパク質等が、分解・反応等して、天然ゴム生産工程での燻製や熱乾燥工程等や、ゴム製品工場での素練りにおいて生じる特有の臭気を低減するものである限り、その使用ができる。
用いることができる酸化防止剤としては、トコフェロール、フェノールの中から選ばれる少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物、以下同様)が挙げられる。
また、トコフェロールは、食品の酸化防止剤として使用されるものであり、その安全性は確認されているものである。
これらの酸化防止剤の添加量は、凝固前のゴムラテックスにおける乾燥ゴム分100質量部に対して、0.0001〜1.0質量部、好ましくは、0.001〜0.1質量部、更に好ましくは、0.01〜0.05質量部とすること望ましい。
この添加量が0.0001質量部未満では、添加量が少ないため、目的の臭気低減効果を発揮することができず、また、1.0質量部を越えると、添加量が多くなり、酸化防止剤がゴム中に残るため、そのものの臭気が悪影響を及ぼすことがあり、好ましくない。
<乾燥工程>
本発明において上述の酸化防止剤を添加した天然ゴム材料は、乾燥温度を115℃〜100℃で乾燥する。より好ましい乾燥温度は100℃〜105℃の範囲である。
上述の乾燥防止剤は、それ自身が選択的に酸化され、その近傍に存在するものの酸化を防止する働きがある。そして、酸化防止剤自身が酸化を受ける速さは、その雰囲気温度と密接に関係し、温度が10℃相違しても反応速度は数倍の相違がある。従来、天然ゴムの乾燥温度は120℃前後であるが、本発明の天然ゴム及びその製造方法にあっては、乾燥温度を115℃以下、好ましくは105℃以下にて乾燥するので、天然ゴムに存在する酸化防止剤の消耗量が大幅に抑制される。このため、タイヤ等のゴム工場で実施される素練り工程で、酸化防止剤が十分に作用することとなり、工場内の作業環境を悪化させない。また、乾燥温度が、100℃未満では、乾燥に時間がかかり、乾燥も十分になされない。
本発明のゴム組成物は、上記で得られた天然ゴムに対して、充填剤、例えば、カーボンブラックやシリカなどの補強性補強剤、加硫促進剤、老化防止剤、イオウなどの加硫剤などを配合してなる。
従って、本発明のゴム組成物では、臭気を低減した天然ゴムを用いるので、素練り以後の各種ゴム組成物製造工程においても、天然ゴム由来の臭気は低減した状態でゴム組成物が得られることとなる。
次に、本発明を実施例及び比較例に基づいて具体的かつ詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。
下記表1に天然ゴム原料がカップランプの場合における下級グレードTSRの実施例及び比較例を示す。
下級グレードTSRの場合は、カップランプを水洗・粉砕し、最終的にシュレッダーマシンで10mm以下にし、各ゴムは、表1に示す温度で熱風乾燥し、各天然ゴム(下級グレードTSR)を得た。
得られた各天然ゴムについて、下記方法により、素練り時の臭気濃度を評価した。これらの結果を下記表1に示す。
1) 臭気濃度は、以下のような手順1)〜6)で実施された。すなわち、
試験室用の3.7リッターのバンバリーミキサーで、循環水70、ローター回転数70rpmの条件で、天然ゴム2.2kgを素練り促進剤(ノクタイザーSK、大内新興化学工業社製)1.3kgと共に、3分30秒間素練りした。
2)素練り後、直ちにラムを上昇させ、ゴム投入口から排出する臭気の混じった空気をポンプでサンプリングバックに約2分間、約5リッター回収した。
3)サンプリングバッグに回収された臭気の混じった空気を、化学用シリンジで規定量採取し、それを予め清浄な空気を満たしておいた3リッターの臭い袋に注入した(サンプル)。注入量mlと3リッターとで希釈倍率を求めておく。例えば、注入量が1mlであれば、希釈倍率は3000である。
4)少なくとも3名の臭気モニターによって、清浄な空気と比較してサンプルに臭いが感じられるかどうかを鼻で臭いを判定した。
5)臭いが感じられるなら、希釈倍率を上げたサンプルを準備し、再度モニターによって臭いが感じられるかどうかを判定した。
6)臭いが感じられなくなった希釈倍率を臭気濃度とした。
以上の素練り臭気濃度測定手順は、以下の実施例においても共通である。
〔実施例1〜4及び比較例1〜4〕
下記表1天然ゴム原料がラテックスの場合におけるTSRの実施例及び比較例を示す。乾燥ゴム分5kgを含有するラテックス17リットルに下記表1に示す添加量で酸化防止剤(水溶液)を添加して、撹拌棒で撹拌することにより充分分散せしめた。
このラテックスをギ酸で凝固し、表1に示す乾燥温度で乾燥し、業界で一般に行われている常法で各天然ゴム(上級TSR)を得た。得られた各天然ゴムについて、上記方法により、素練り時の臭気濃度を評価した。これらの結果を下記表21示す。
Figure 0005312439
上記表1結果に示すように、実施例1〜4ゴム原料がラテックスの場合におけるRSSの場合においても、比較例1〜4(コントロール)に較べ、臭気濃度の低減効果を発揮することが判明した。
本発明の天然ゴムは、凝固前の天然ゴムラテックス、または凝固後に粉砕した天然ゴムに酸化防止剤を添加し、乾燥温度115℃以下で乾燥させてなる臭気を低減したものであり、かかる天然ゴム及びその製造方法、更にはそれを用いたゴム組成物にあっては素練り工程などで環境を悪化させるような臭気を発生することのない産業上利用可能性の高いものである。

Claims (3)

  1. 凝固前の天然ゴムラテックスにトコフェロール及びフェノールの中から選ばれる酸化防止剤の少なくとも1種を乾燥ゴム分100質量部に対して、0.0001〜1.0質量部添加し、乾燥温度115℃〜100℃で乾燥させてなる臭気を低減した天然ゴム。
  2. 請求項1に記載の天然ゴムに充填剤を配合してなることを特徴とするゴム組成物。
  3. 凝固前の天然ゴムラテックスにトコフェロール及びフェノールの中から選ばれる酸化防止剤の少なくとも1種を乾燥ゴム分100質量部に対して、0.0001〜1.0質量部添加し、該酸化防止剤処理した天然ゴムを115℃〜100℃で乾燥させることを特徴とする臭気を低減した天然ゴムの製造方法。
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