JP7263750B2 - ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム組成物及び空気入りタイヤに関する。
ゴム組成物の材料として汎用されている天然ゴム(NR)は、熱帯地方で栽培されるヘベア・ブラジリエンシスと呼ばれるゴムノキから採取された樹液(ラテックス)を固形化したものである。固形化する方法としては、ギ酸等の酸で凝固、乾燥して製造する方法や、ゴム農園においてラテックス採取用のカップの中で自然に凝固させて得られたカップランプを粉砕、洗浄を繰り返し、乾燥後プレスして製造する方法などがある。
上述のような方法で製造されることから、天然ゴムはポリイソプレン成分以外にタンパク質、脂質、糖等の非ゴム成分を多く含有している。そのため、乾燥の前段階での貯蔵期間中にこれらの成分が腐敗し、悪臭の原因となっている。特にカップランプに関しては、非ゴム成分を非常に多く含有し、農園での貯蔵、加工所での貯蔵・輸送期間などから貯蔵期間が長く、臭気の問題が生じ易い。しかしながら、製造のし易さ、コストの面からタイヤ用途では近年カップランプを原材料とした天然ゴムが非常に多く使用されている。天然ゴムの腐敗臭は、天然ゴムの加工工場はもちろん、タイヤ等のゴム製品の製造工場においても、工場の作業環境の悪化、工場周辺の環境への影響など問題になっている。
このような天然ゴムの臭気の問題を解決するために、天然ゴムラテックスに蛋白分解酵素、界面活性剤を添加し反応させて、腐敗の原因の1つであるタンパク質を除去することで臭気を低減させる方法(例えば、特許文献1参照)や、天然ゴムラテックスから天然ゴムを濃縮精製する際に生じるしょう液に無機塩と蛋白質分解酵素を添加して微粒子天然ゴムを調製することでゴム臭を低減する方法(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
また、特許文献3には、天然ゴムラテックスに酸化防止剤を添加し、更に乾燥温度を低下させることで臭気を低減させる方法が開示されている。その他、天然ゴムラテックスの凝固物を水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液といったアルカリ溶液に浸漬することで、臭気成分を低減する方法も開示されている(例えば、特許文献4、5参照)。
特許第3654934号公報 特許第3750100号公報 特許第5312439号公報 特許第3573498号公報 特開2013-249411号公報
上述のように、天然ゴムの臭気を除去すべく種々検討が行われているが、例えば、特許文献1、2のように、蛋白質分解酵素処理により天然ゴムラテックスやしょう液からタンパク質を除去する方法は、ラテックスやしょう液といった液状の原料を用いる場合にしか適用できず、カップランプのような固形状の天然ゴムに関しては臭気低減することができない。また、特許文献3についても同様に、ラテックスを原料とした場合にしか適用できず、カップランプのような固形状の天然ゴムに関しては臭気低減することができない。他方、特許文献4、5のように、凝固ゴムを水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液といった強アルカリ溶液で処理する方法では、臭気は低減できるが、本発明者らの検討の結果、処理後の乾燥中にゴムの劣化等が起こることが判明し、臭気低減と天然ゴム特性維持を両立させることができないことが分かった。
このように、容易かつ安価に入手できるカップランプを用いたゴム組成物を簡便に臭気低減し、かつ物性も保持できる技術はまだ存在していなかった。
本発明は、前記課題を解決し、カップランプを原料とした天然ゴムの臭気を簡便に低減し、かつ、耐熱老化性等の物性も低下させない臭気低減天然ゴムを含むゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、臭気成分指数0.1×10~2.0×10の臭気低減天然ゴムを含有するゴム成分、及びフィラーを含むゴム組成物に関する。
前記ゴム組成物の臭気成分指数が1.0×10~5.0×10であることが好ましい。
前記臭気低減天然ゴムは、カップランプを粉砕し、粉砕したカップランプを洗浄する粉砕洗浄処理、前記粉砕洗浄処理により粉砕、洗浄されたカップランプの水分率を低減させ、水分率低減天然ゴムを得る脱水処理、及び該水分率低減天然ゴムを乾燥する乾燥処理を経て得られるものであることが好ましい。
前記水分率低減天然ゴムの水分率が30%以下であることが好ましい。
前記乾燥処理における乾燥温度が140℃以下であることが好ましい。
更に、前記乾燥処理の前に、前記水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる塩基処理を含むことが好ましい。
前記塩基性溶液が更に界面活性剤を含む溶液であることが好ましい。
前記ゴム成分100質量部に対して、フィラーを5~100質量部含有することが好ましい。
本発明はまた、前記ゴム組成物を用いたタイヤ部材を有する空気入りタイヤに関する。
前記タイヤ部材がタイヤ外層部材であることが好ましい。
本発明によれば、臭気成分指数0.1×10~2.0×10の臭気低減天然ゴムを含有するゴム成分、及びフィラーを含むゴム組成物であるので、天然ゴムの臭気を簡便に低減でき、かつ、耐熱老化性等の物性も低下させずに維持できる。従って、このような臭気低減天然ゴムを含み、臭気を低減し、かつ耐熱老化性等の物性も低下させないゴム組成物を提供できる。
〔ゴム組成物〕
本発明のゴム組成物は、臭気成分指数0.1×10~2.0×10の臭気低減天然ゴムを含有するゴム成分、及びフィラーを含む。このような臭気低減天然ゴムを含むので、ゴム組成物の臭気を低減できる。また、耐熱老化性等の物性の低下も抑制できる。
臭気低減天然ゴムは、臭気成分指数0.1×10~2.0×10であるが、下限は、好ましくは0.3×10以上、より好ましくは0.5×10以上である。上限は、臭気抑制性の観点から、好ましくは1.5×10以下、更に好ましくは1.0×10以下である。なお、臭気低減天然ゴムの臭気成分指数は、GCMSを用いて検出される天然ゴムの臭気の主な原因物質のピーク面積比を各成分の嗅覚閾値で補正し、全てを足したものであり、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
臭気成分指数0.1×10~2.0×10の臭気低減天然ゴムは、例えば、カップランプを粉砕し、粉砕したカップランプを洗浄する粉砕洗浄処理、前記粉砕洗浄処理により粉砕、洗浄されたカップランプの水分率を低減させ、水分率低減天然ゴムを得る脱水処理、及び該水分率低減天然ゴムを乾燥する乾燥処理を経て、臭気低減天然ゴムを製造できる。前記臭気低減天然ゴムは、上記処理を含む限り、後述する塩基処理やpH調整処理、洗浄処理等その他の処理を含んでいてもよく、また、各処理は1回行われてもよいし、複数回繰り返し行われてもよい。なかでも、前記効果がより好適に得られるという理由から、粉砕洗浄処理を複数回行った後に、脱水処理を行うことが好ましい。また、「粉砕洗浄処理と、脱水処理と」を行った後、再度「粉砕洗浄処理と、脱水処理と」を行うことも好ましく、「粉砕洗浄処理と、脱水処理と」の一連の処理を複数回行うことがより好ましい。
天然ゴムの臭気は、天然ゴムの非ゴム成分であるタンパク質、脂質、糖などが貯蔵中に腐敗したり、乾燥中に分解したりすることで、臭気の原因物質である低級脂肪酸が発生することが原因と考えられる。そこで、粉砕、洗浄されたカップランプの水分含量を少なくすることで、その後貯蔵した場合であっても、貯蔵中の腐敗を抑制し臭気原因物質である低級脂肪酸の発生を抑えることができ、臭気を低減することが可能となる。なお、粉砕することにより貯蔵中の風通りが良くなり、腐敗の進行を抑制できると考えられる。そして更には、粉砕、洗浄、脱水及び乾燥を行うのみであるので、耐熱老化性等の物性も低下させずに維持することができる。従って、これらの処理を経て作製した臭気低減天然ゴムを含み、臭気を低減したゴム組成物を提供できる。
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中の臭気低減天然ゴムの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは35質量%以上である。該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。上記範囲内にすることで、ゴム組成物の臭気が抑制されると共に、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
〔臭気低減天然ゴムの製造〕
前記臭気低減天然ゴムは、例えば、前記粉砕洗浄処理、脱水処理及び乾燥処理を経て、製造できる。
(粉砕洗浄処理)
粉砕洗浄処理は、カップランプを粉砕し、粉砕したカップランプを洗浄することにより、粉砕、洗浄されたカップランプを得る工程(粉砕洗浄工程)である。
粉砕洗浄処理にはカップランプが供される。カップランプは、ゴム農園等においてラテックス採取用のカップの中で天然ゴムラテックスを自然に凝固させて得られるものであり、天然ゴムラテックスをギ酸等の酸で凝固、乾燥して固形化することで製造されるラテックス凝固ゴムなど他の固形状の天然ゴムに比べて、ポリイソプレン成分以外のタンパク質、脂質、糖等といった非ゴム成分を多く含有しており、また、農園での貯蔵、加工所での貯蔵・輸送期間などから貯蔵期間が長いことから、臭気の問題の生じ易い材料である。本発明においては、このような臭気の問題の生じやすいカップランプをゴム原料とした場合であっても、臭気を簡便に低減でき、かつ、耐熱老化性等の物性も低下させずに維持して、臭気低減天然ゴムを製造できる。
粉砕洗浄処理では、カップランプが粉砕される。
カップランプの粉砕は、公知のクラッシャー(破砕機)又は粉砕機を使用して、カップランプを粉砕すればよい。クラッシャーとしては、ハンマークラッシャー(ハンマーミル)、プリブレーカー等、粉砕機としてはプラスチック粉砕機、スラブカッター、ロータリーカッター、シュレッダー等が用いられる。
粉砕洗浄処理では、カップランプが粉砕された後、粉砕したカップランプを洗浄する。
粉砕したカップランプを洗浄する方法としては、特に限定されず、例えば、粉砕したカップランプを水で希釈した後、遠心分離する方法、粉砕したカップランプを水浴に静置して浮かせ、水相のみを排出して粉砕したカップランプを取り出す方法、粉砕したカップランプを水浴で撹拌しながら洗浄し、水相のみを排出して粉砕したカップランプを取り出す方法などが挙げられる。
粉砕、洗浄後のカップランプの平均径は、好ましくは5cm以下、より好ましくは3cm以下、更に好ましくは1cm以下である。該平均径の下限は特に限定されないが、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上である。粉砕、洗浄後のカップランプの平均径が上記範囲内であると、前記効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、粉砕、洗浄後のカップランプの平均径は、粉砕、洗浄後のカップランプから20個を任意に選択し、この20個のカップランプについて、等体積球相当径の頻度粒度分布から算出したモード径を意味する。
粉砕洗浄処理に供するカップランプとしては、天然ゴムラテックスが凝固してから2週間以内のものを用いることが好ましく、1週間以内がより好ましく、3日以内が特に好ましい。これにより、貯蔵時の腐敗による臭気発生を効果的に防止することができる。
(脱水処理)
脱水処理は、上記粉砕洗浄処理により粉砕、洗浄されたカップランプの水分率を低減させ、水分率低減天然ゴムを得る工程(脱水工程)である。この工程により、臭気の原因となる物質を水分とともに天然ゴムから除去することが可能となる。
上記脱水処理において、カップランプの水分率を低減する方法としては、水分率が低減した水分率低減天然ゴムが得られれば特に制限されず、例えば、カップランプを搾る方法等により、カップランプの水分率を低減し、水分率が低減した水分率低減天然ゴムが得られる。なかでも、カップランプ内部に含まれる水分も除去でき、前記効果がより好適に得られるという理由から、カップランプを搾る方法が好ましく、カップランプを圧搾する方法がより好ましい。カップランプを搾る方法としては、例えば、カップランプをロールに通して圧搾する等の方法が挙げられる。カップランプをロールに通して圧搾する装置としては、クリーパーを使用すればよい。
カップランプをロールに通して圧搾した場合、水分率低減天然ゴムは比較的平たい形状となる。
上記水分率低減天然ゴムの厚みとしては、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、更に好ましくは8mm以上である。これにより、より生産性よく天然ゴムを製造できる。一方、該厚みは、好ましくは3cm以下、より好ましくは2cm以下である。これにより、脱水処理を行う効果がより好適に得られる。
上記水分率低減天然ゴムの水分率は好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、更に好ましくは15%以下である。脱水処理により得られる水分率低減天然ゴムの水分率がこのような範囲であることにより、貯蔵中の腐敗の進行を抑制することができる。他方、該水分率の下限は特に制限されず、低ければ低いほどよいが、水分率の調整の効率性の観点から、3%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上が更に好ましい。
上記水分率は、後述する実施例において実施されるように、水分率低減天然ゴムを充分乾燥させる前後での重量の差から求めることができる。
上記水分率低減天然ゴムの水分率は、上記脱水処理に供されるカップランプの状態によっては1度脱水処理を行っただけでは上記範囲内とはならない場合もあるが、例えば、脱水処理を複数回繰り返し行うことにより上記範囲内とすることができる。
なお、上述した水分率低減天然ゴムの水分率は、脱水処理により水分率低減天然ゴムが得られた直後に測定されたものであればよい。
前記臭気低減天然ゴムの製造においては、脱水処理を行うため、脱水処理後、長期間貯蔵しても、腐敗の進行は抑制され、臭気を低減できる。従って、脱水処理後、長期間水分率低減天然ゴムを貯蔵した場合に、前記効果がより顕著に発揮されることとなる。
(乾燥処理)
前記臭気低減天然ゴムの製造においては、水分率低減天然ゴムを乾燥する乾燥処理(乾燥工程)を行う。
上記乾燥する方法としては、特に制限されず、通常天然ゴムを乾燥する際に用いられる方法により行うことができる。
上記乾燥処理における乾燥温度は、好ましくは145℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは135℃以下、特に好ましくは130℃以下で、更に125℃以下、120℃以下、115℃以下の順で好適である。乾燥温度をこのような範囲とすることで、非ゴム成分の分解による低級脂肪酸の発生を抑えることができ、臭気を低減することが可能となる。他方、該乾燥温度の下限は特に制限されないが、温度を低くすればするほど同程度の乾燥状態を得るのにより時間がかかってしまうことから、効率性、生産性の観点から、75℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上が更に好ましい。
前記臭気低減天然ゴムの製造では、驚くべきことに、水分含量の少ない水分率低減天然ゴムを作製すること、水分率低減天然ゴムを一定温度以下(125℃以下)で乾燥すること、を両方行うことにより、すなわち、脱水処理と、乾燥温度が一定温度以下の乾燥処理とを行うことにより、臭気の低減に関し、それぞれを単独で行った場合の効果を足し合わせた以上の効果(いわゆる、相乗効果)が得られる、ということを本発明者らは初めて見出した。すなわち、脱水処理を行った上で、乾燥処理における乾燥温度を125℃以下(好ましくは120℃以下、より好ましくは115℃以下)とすることにより、相乗的に臭気成分率を大幅に低減できる。そして、これにより得られた臭気低減天然ゴムを用いたゴム組成物でも同様に、相乗的に臭気成分率を大幅に低減できる。
上記乾燥処理における乾燥時間は、上記乾燥温度に応じて適宜設定することができ、水分が充分に(完全に)除去出来れば出来るだけ短い方が好ましい。
(塩基処理)
前記臭気低減天然ゴムの製造では、更に、前記乾燥処理の前に、上記水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる塩基処理(塩基処理工程)を含むのが好ましい。すなわち、上記脱水処理の後、該脱水処理により得られた水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる塩基処理を行うことが好ましい。前記臭気低減天然ゴムの製造では、上記脱水処理を行うことにより、水分率低減天然ゴムを貯蔵した場合であっても、貯蔵中の腐敗を抑制し臭気原因物質である低級脂肪酸の発生を抑えることができ、臭気を低減することができるものであるが、それでも、低級脂肪酸の発生を完全に抑えることはできないところ、貯蔵後の水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させることにより、少量発生してしまった低級脂肪酸を中和、除去することで、更に臭気を低減することが可能である。
なお、上記塩基処理において水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる際には、水分率低減天然ゴムをそのまま用いてもよいし、適宜切断して任意の大きさまで小さくしてから処理してもよい。
上記塩基処理において、水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる方法としては、例えば、水分率低減天然ゴムに塩基性溶液を塗布したり、スプレー、シャワーなどにより噴霧したり、水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に浸漬したりすることによって行うことができるが、脱臭効果、効率の観点から、水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に浸漬する方法が好ましい。
上記水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる方法として、水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に浸漬する方法を採用する場合には、塩基性溶液中に水分率低減天然ゴムを放置しておくことによっても実施できるが、更に、浸漬時に、撹拌及び/又はマイクロ波照射を行うと、脱臭効果がより促進され好ましい。
上記塩基処理における、水分率低減天然ゴムと塩基性溶液との接触時間(処理時間)としては、特に限定されないが、5分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、30分以上が更に好ましく、3時間以上が特に好ましい。5分以上接触させることで、前記効果がより良好に得られる。水分率低減天然ゴムと塩基性溶液との接触時間の上限は、塩基性溶液のpH、濃度にも依存するため、特に規定されないが、生産性の観点から、48時間以下が好ましく、24時間以下がより好ましく、16時間以下が更に好ましい。
上記塩基処理における、水分率低減天然ゴムと塩基性溶液との接触温度(処理温度)としては、特に限定されないが、例えば、10~50℃とすることが好ましく、15~35℃がより好ましい。なかでも、室温(20~30℃)が特に好ましい。
上記塩基性溶液は、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩、金属リン酸塩、及びアンモニアからなる群より選択される少なくとも1種の塩基性無機物を含む溶液であることが好ましい。水分率低減天然ゴムと接触させる塩基性溶液としてこのような塩基性溶液を用いることで、臭気成分をより中和、除去することができ、これにより水分率低減天然ゴムの臭気をより低減することが可能となり、かつ、耐熱老化性等の物性を低下させずに維持することも可能となる。
上記塩基性溶液としては、上記塩基性無機物を含有する水溶液、上記塩基性無機物を含有するアルコール溶液等が挙げられるが、上記塩基性無機物を含有する水溶液が好ましい。
なお、上記塩基性溶液は、上記塩基性無機物を水、アルコール等の溶媒で希釈、溶解することで調製することができる。
上記金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどのアルカリ土類金属炭酸塩;等が挙げられる。
上記金属炭酸水素塩としては、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩等が挙げられる。
上記金属リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属リン酸塩等が挙げられる。
これら塩基性無機物としては、これらを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記塩基性無機物としては、なかでも、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩、アンモニアが好ましく、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アンモニアがより好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが更に好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが特に好ましい。
上記塩基性溶液における上記塩基性無機物の濃度としては、上記塩基性溶液100質量%中、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。0.1質量%以上であると、臭気成分をより充分に中和、除去できる。また、該濃度としては、上記塩基性溶液100質量%中、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5.0質量%以下が更に好ましく、3.0質量%以下が特に好ましい。20質量%以下であると、塩基性無機物の使用量に応じて臭気成分の減少量が増え、コストに見合った効率が得られる。また、処理後のゴム物性(耐熱老化性等)も維持できる。
上記塩基性溶液は、更に界面活性剤を含むことが好ましい。このように、上記塩基性無機物と共に界面活性剤を含めることにより、水分率低減天然ゴム内部の臭気原因成分を抽出しやすくしたり、水分率低減天然ゴム内部に塩基性無機物を浸透させやすくしたりすることが可能となり、臭気成分の中和、除去がより効率的に行われる。
上記界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種を使用することができる。上記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、カルボン酸系、スルホン酸系、硫酸エステル系、リン酸エステル系等の陰イオン性界面活性剤が挙げられる。
上記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンエステル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、糖脂質エステル系、アルキルポリグリコシド系等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸型、ベタイン型、アミンオキサイド型等の両性界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、陰イオン性界面活性剤が好適に用いられる。
これら界面活性剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、脂肪酸塩を好適に使用できる。なお、これらの塩としては、アルカリ金属塩(ナトリウム塩など)、アンモニウム塩、アミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン塩などのアルカノールアミン塩)などが挙げられる。
これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が特に好ましい。
上記アルキル硫酸エステル塩としては、高級アルキル硫酸エステル塩(高級アルコール硫酸エステル塩)が好適であり、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩が好ましい。また、アルキル硫酸エステル塩におけるアルキル基の炭素数は10~20が好ましく、10~16がより好ましい。上記アルキル硫酸エステル塩の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム)、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸カリウム、セチル硫酸ナトリウム、セチル硫酸カリウムなどが挙げられる。なかでも、タンパク質量などの低減効果に優れるという理由から、ラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10~18のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましく、アミン塩、ナトリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。上記炭素数は10~14が好ましい。また、オキシエチレン基の平均重合度は、好ましくは1~10、より好ましくは1~5である。上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンなどが挙げられる。なかでも、タンパク質量などの低減効果に優れるという理由から、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムが好ましい。
上記アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、炭素数3~20のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられ、アルカリ金属塩が好適である。上記アルキルベンゼンスルホン酸塩の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、デシルベンゼンスルホン酸、セチルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、カルシウム塩などが挙げられる。なかでも、タンパク質量などの低減効果に優れるという理由から、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
上記アルキルナフタレンスルホン酸塩としては、例えば、モノ、ジ又はトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム、モノ、ジ又はトリイソプロピルナフタレンスルホン酸カリウム、オクチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、オクチルナフタレンスルホン酸カリウム、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホン酸カリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸アルカリ金属塩が挙げられる。なかでも、タンパク質量などの低減効果に優れるという理由から、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
上記脂肪酸塩としては、炭素数10~20の高級脂肪酸塩が好適であり、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。上記脂肪酸塩の具体例としては、オレイン酸、ステアリン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、リノール酸、2-エチルヘキサン酸、2-オクチルウンデカン酸などのナトリウム塩、カリウム塩;やし油、パーム油、ヒマシ油、パーム核油、牛脂などから誘導される混合脂肪酸などのナトリウム塩、カリウム塩(ヒマシ油カリウム石けんなど)などが挙げられる。なかでも、タンパク質量などの低減効果に優れるという理由から、オレイン酸カリウム石けんが好ましい。
上記塩基性溶液における上記界面活性剤の濃度としては、上記塩基性溶液100質量%中、0.01質量%以上が好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましい。0.01質量%以上であると、臭気成分をより充分に中和、除去できる。また、該濃度としては、上記塩基性溶液100質量%中、5.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましい。5.0質量%以下であると、界面活性剤の使用量に応じて臭気成分の減少量が増え、コストに見合った効率が得られる。
(洗浄処理)
上記水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる塩基処理の後、得られる処理済み天然ゴムの表面上に残存する塩基性溶液を洗浄する洗浄処理(洗浄工程)を行うことが好ましい。
上記洗浄処理は、塩基処理を行った結果得られる処理済み天然ゴム(「塩基処理天然ゴム」ともいう。)の表面上に残存する塩基性溶液を洗浄、除去することができれば、その方法は特に制限されないが、例えば、処理済み天然ゴムを水で希釈した後、遠心分離する方法、処理済み天然ゴムを水浴に静置して浮かせ、水相のみを排出して天然ゴムを取り出す方法などが挙げられる。
(pH調整処理)
前記臭気低減天然ゴムの製造は、上記塩基処理により得られる塩基処理天然ゴムのpHを2~7に調整するpH調整処理を更に含んでもよい。すなわち、上記塩基性溶液による処理の後、必要に応じて上記洗浄処理を行った後で、更に得られた処理済み天然ゴムのpHを2~7に調整して脱臭処理天然ゴムを得ることもできる。なかでも、調整されるpHの範囲としては、3~6が好ましく、4~6がより好ましい。このような範囲内に塩基処理天然ゴムのpHを調整することで、脱臭効果を長期持続させることができ、耐熱老化性の低下をより防止することができる。
なお、上記pHは、上記塩基処理天然ゴムを各辺2mm角以内の大きさに切って蒸留水に浸漬し、マイクロ波を照射しながら90℃で15分間抽出して、該浸漬水をpHメーターを用いて測定された値である。
ここで、上記抽出については、超音波洗浄器などで1時間抽出してもゴム内部から完全に水溶性成分を抽出することはできないため、正確に内部のpHを知ることはできないが、上記マイクロ波を用いた抽出方法により抽出することで、処理後の天然ゴムの実体(pH)を知ることができる。
上記pH調整処理において、塩基処理天然ゴムのpHを2~7に調整する方法としては、特に制限されないが、例えば、塩基処理天然ゴムを酸性雰囲気下に曝したり、塩基処理天然ゴムに酸性化合物及び/又は酸性溶液を塗布したり、塩基処理天然ゴムに酸性化合物及び/又は酸性溶液をスプレー、シャワーなどにより噴霧したり、塩基処理天然ゴムを酸性溶液に浸漬したりすることによって行うことができるが、塩基処理天然ゴムに酸性溶液を塗布したり、塩基処理天然ゴムに酸性溶液を噴霧したり、塩基処理天然ゴムを酸性溶液に浸漬したりといった、塩基処理天然ゴムを酸性溶液に接触させる方法が好ましい。なかでも、作業効率の観点から、塩基処理天然ゴムを酸性溶液に浸漬する方法が特に好ましい。この処理を行うことによって、脱臭効果を長期持続させ、耐熱老化性の低下をより防止することができる。
上記酸性溶液としては、pHが6以下に調整されたものを用いることが好ましい。このような酸性溶液に塩基処理天然ゴムを接触させることによって、脱臭効果の長期持続性、優れた耐熱老化性が得られる。該酸性溶液のpHの上限としては、5以下がより好ましく、4.5以下が更に好ましい。また、下限は特に限定されず、接触時間にもよるが、酸性が強すぎるとゴムが劣化したり、廃水処理により手間がかかったりするため、好ましくは1以上、より好ましくは2以上である。
上記塩基処理天然ゴムのpHを2~7に調整する方法として、塩基処理天然ゴムを酸性溶液に浸漬する方法を採用する場合には、酸性溶液中に塩基処理天然ゴムを放置しておくことによっても実施できるが、更に、浸漬時に、撹拌及び/又はマイクロ波照射を行うと、処理効率がより向上し好ましい。
上記pH調整処理における、塩基処理天然ゴムと酸性溶液との接触時間としては、特に限定されないが、3秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましく、30秒以上が更に好ましく、5分以上がより更に好ましく、10分以上が特に好ましく、30分以上が最も好ましい。3秒以上であると、充分に中和され、前記効果がより良好に得られる。塩基処理天然ゴムと酸性溶液との接触時間の上限は、酸性溶液のpH、濃度にも依存するため、特に規定されないが、生産性、作業効率上、48時間以下が好ましく、24時間以下がより好ましく、10時間以下が更に好ましく、5時間以下が特に好ましい。
上記pH調整処理における、塩基処理天然ゴムと酸性溶液との接触温度(処理温度)としては、特に限定されないが、例えば、10~50℃とすることができる。好ましくは15~35℃である。なかでも、室温(20~30℃)が特に好ましい。
上記酸性溶液は、酸性化合物溶液であることが好ましい。該酸性化合物溶液としては、酸性化合物の水溶液、酸性化合物のアルコール溶液等が挙げられるが、酸性化合物の水溶液が好ましい。
なお、上記酸性溶液は、後述する酸性化合物を水、アルコール等の溶媒で希釈、溶解することで調製することができる。
上記酸性化合物としては、特に制限されず、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ほう酸、ボロン酸、スルファニル酸、スルファミン酸などの無機酸;ギ酸、酢酸、グリコール酸、シュウ酸、プロピオン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、グルタル酸、グルコン酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、イタコン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、スチレンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、バルビツール酸、アクリル酸、メタクリル酸、桂皮酸、4-ヒドロキシ安息香酸、アミノ安息香酸、ナフタレンジスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、トルエンスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、α-レゾルシン酸、β-レゾルシン酸、γ-レゾルシン酸、没食子酸、フロログリシン、スルホサリチル酸、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ビスフェノール酸などの有機酸等が挙げられる。上記酸性化合物としては、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、上記酸性化合物としては、硫酸、ギ酸、酢酸が好ましい。
上記酸性溶液における上記酸性化合物の濃度としては、上記酸性溶液100質量%中、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、1.0質量%以上が特に好ましい。また、該濃度としては、上記酸性溶液100質量%中、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5.0質量%以下が更に好ましく、3.0質量%以下が特に好ましい。上記酸性溶液における上記酸性化合物の濃度が上記範囲内であると、より良好な耐熱老化性が得られる。
上記塩基処理天然ゴムのpHを2~7に調整するpH調整処理の後、得られた脱臭処理天然ゴムの表面上に残存する酸性溶液を洗浄する処理を行ってもよい。当該洗浄処理を行う方法としては、上述したとおりである。
臭気低減天然ゴム以外に使用可能なゴム成分としては、臭気低減天然ゴム以外のイソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。これらジエン系ゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、イソプレン系ゴム、BRが好ましい。
前記ゴム組成物が臭気低減天然ゴム以外のイソプレン系ゴムを含む場合、ゴム成分100質量%中の該イソプレン系ゴムの合計含有量(臭気低減天然ゴム、他の天然ゴム、イソプレンゴム等の合計含有量)は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは35質量%以上である。該含有量の上限は特に限定されないが、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。上記範囲内にすることで、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
イソプレン系ゴムとしては、前記臭気低減天然ゴム以外の天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物がBRを含む場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量(合計含有量)は、好ましくは20質量%以上、好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である。該含有量の上限は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。上記範囲内にすることで、ゴム組成物の臭気が抑制されると共に、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
前記ゴム組成物において、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴム及びBRの合計含有量は、好ましくは50質量%以上、好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上である。該含有量の上限は特に限定されず、100質量%が好ましい。上記範囲内にすることで、ゴム組成物の臭気が抑制されると共に、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
BRとしては特に限定されず、高シス含量BR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類系BR等を使用できる。市販品としては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。BRは、非変性BR、変性BRのいずれでもよく、変性BRとしては、前述の官能基が導入された変性BRが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、高シス含量BR、希土類系BRが好適である。なお、高シス含量BRのシス含量(シス-1,4-結合量)は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。
変性BRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するBRであればよく、例えば、BRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性BR(末端に上記官能基を有する末端変性BR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性BRや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性BR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性BR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性BR等が挙げられる。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
変性BRとして、特に下記式で表される化合物(変性剤)により変性されたBRが好適である。
Figure 0007263750000001
(式中、R、R及びRは、同一又は異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(-COOH)、メルカプト基(-SH)又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を表す。R及びRは結合して窒素原子と共に環構造を形成してもよい。nは整数を表す。)
、R及びRとしてはアルコキシ基が好適である(好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基)。R及びRとしてはアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基)が好適である。nは、好ましくは1~5、より好ましくは2~4、更に好ましくは3である。また、R及びRが結合して窒素原子と共に環構造を形成する場合、4~8員環であることが好ましい。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ベンジルオキシ基等)も含まれる。
上記変性剤の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。なかでも、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
変性BRとしては、以下の化合物(変性剤)により変性された変性BRも好適に使用できる。変性剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;ジグリシジル化ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;1,4-ジグリシジルベンゼン、1,3,5-トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物;4,4’-ジグリシジル-ジフェニルメチルアミン、4,4’-ジグリシジル-ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、N,N’-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル-p-フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物;
ビス-(1-メチルプロピル)カルバミン酸クロリド、4-モルホリンカルボニルクロリド、1-ピロリジンカルボニルクロリド、N,N-ジメチルカルバミド酸クロリド、N,N-ジエチルカルバミド酸クロリド等のアミノ基含有酸クロリド;1,3-ビス-(グリシジルオキシプロピル)-テトラメチルジシロキサン、(3-グリシジルオキシプロピル)-ペンタメチルジシロキサン等のエポキシ基含有シラン化合物;
(トリメチルシリル)[3-(トリメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリブトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジブトキシシリル)プロピル]スルフィド等のスルフィド基含有シラン化合物;
エチレンイミン、プロピレンイミン等のN-置換アジリジン化合物;メチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジ-t-ブチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン、N,N,N’,N’-ビス-(テトラエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミノ基及び/又は置換アミノ基を有する(チオ)ベンゾフェノン化合物;4-N,N-ジメチルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジビニルアミノベンズアルデヒド等のアミノ基及び/又は置換アミノ基を有するベンズアルデヒド化合物;N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-フェニル-2-ピロリドン、N-t-ブチル-2-ピロリドン、N-メチル-5-メチル-2-ピロリドン等のN-置換ピロリドンN-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-ピペリドン、N-フェニル-2-ピペリドン等のN-置換ピペリドン;N-メチル-ε-カプロラクタム、N-フェニル-ε-カプロラクタム、N-メチル-ω-ラウリロラクタム、N-ビニル-ω-ラウリロラクタム、N-メチル-β-プロピオラクタム、N-フェニル-β-プロピオラクタム等のN-置換ラクタム類;の他、
N,N-ビス-(2,3-エポキシプロポキシ)-アニリン、4,4-メチレン-ビス-(N,N-グリシジルアニリン)、トリス-(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン類、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルマレイミド、N,N-ジエチル尿素、1,3-ジメチルエチレン尿素、1,3-ジビニルエチレン尿素、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリジノン、4-N,N-ジメチルアミノアセトフェン、4-N,N-ジエチルアミノアセトフェノン、1,3-ビス(ジフェニルアミノ)-2-プロパノン、1,7-ビス(メチルエチルアミノ)-4-ヘプタノン等を挙げることができる。なかでも、アルコキシシランにより変性された変性BRが好ましい。
なお、上記化合物(変性剤)による変性は公知の方法で実施可能である。
前記ゴム組成物は、タイヤ部材の要求特性を確保できる観点から、フィラーを含むことが好ましい。
前記ゴム組成物において、フィラーの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは25質量部以上である。下限以上にすることで、良好な補強効果が得られ、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。上限以下にすることで、良好なフィラー分散性が得られる傾向がある。
フィラーとしては、カーボンブラック等の有機フィラー;シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、タルク、チタン白、チタン黒、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化アルミニウムマグネシウム、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウムカルシウム、ケイ酸マグネシウム、ジルコニウム、酸化ジルコニウムなどの無機フィラー;が挙げられる。なかでも、タイヤ部材の要求特性を確保できる観点から、カーボンブラック、シリカが好ましい。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記ゴム組成物において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは25質量部以上である。該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な補強効果が得られ、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
タイヤ部材の要求特性を確保できる観点から、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは80m/g以上であり、また、好ましくは200m/g以下、より好ましくは150m/g以下である。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、ASTM D4820-93に従って測定される。
カーボンブラックとしては特に限定されず、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351、N550、N762等が挙げられる。市販品としては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは25質量部以上である。該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。上記範囲内にすることで、良好な補強効果が得られ、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは40m/g以上、より好ましくは70m/g以上、更に好ましくは110m/g以上である。下限以上にすることで、良好な補強効果が得られ、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。また、シリカのNSAは、好ましくは220m/g以下、より好ましくは200m/g以下である。上限以下にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。市販品としては、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
ゴム組成物の他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、軟化剤、固体樹脂、ワックス、各種老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、加工助剤、粘着剤などの従来ゴム工業で使用される配合剤が挙げられる。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフィド系、メルカプト系が好ましい。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物がシリカを含む場合、更にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
前記ゴム組成物において、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。3質量部以上であると、添加による効果が得られる傾向がある。また、上記含有量は、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。25質量部以下であると、配合量に見合った効果が得られ、良好な混練時の加工性が得られる傾向がある。
軟化剤(常温(25℃)で液体状態の炭化水素、樹脂等)としては特に限定されないが、オイル、液状ジエン系重合体等を用いることが好ましい。軟化剤を用いることで、良好なタイヤ部材の要求特性を確保できる。なかでも、オイルが好ましい。
前記ゴム組成物において、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上、更に好ましくは1.5質量部以上である。上限は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
なお、オイルの含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイルの量も含まれる。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。市販品としては、オイルとしては、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。
固体樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂(固体樹脂))としては、タイヤ工業で汎用されているものであれば特に限定されず、石油樹脂、スチレン系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン系樹脂、p-t-ブチルフェノールアセチレン樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。なかでも、石油樹脂が好ましい。
前記ゴム組成物において、石油樹脂の含有量は、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上、更に好ましくは3.0質量部以上である。上限は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。上記範囲内にすることで、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
石油樹脂とは、石油化学工業で用いられるナフサ分解の副生油の一部(C5留分やC9留分など)の重合により生成した樹脂を指し、C5の鎖状オレフィン混合物をカチオン重合したC5系石油樹脂、ジシクロペンタジエン留分を熱重合したジシクロペンタジエン系石油樹脂、C9芳香族オレフィン類混合物をカチオン重合したC9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂、C9留分に含有されるアルファメチルスチレンを抜き取り、純アルファメチルスチレンで製造したピュアモノマーレジンと呼ばれる石油樹脂、およびこれらを水素添加した樹脂などが挙げられる。なかでも、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、C5C9系石油樹脂が好ましく、C5系石油樹脂、C5C9系石油樹脂がより好ましい。
石油樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1500以上、より好ましくは1700以上である。また、上記Mwは、好ましくは5000以下、より好ましくは4500以下、更に好ましくは4000以下である。上記範囲内にすることで、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
なお、本明細書において、石油樹脂のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
石油樹脂の軟化点は、好ましくは30℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは80℃以上である。また、上記軟化点は、140℃以下が好ましく、110℃以下がより好ましい。上記範囲内にすることで、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
本明細書において、石油樹脂の軟化点は、JIS K 6220-1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックスなどが挙げられる。市販品としては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、石油系ワックスが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
前記ゴム組成物において、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~20質量部、より好ましくは1.0~10質量部である。上記範囲内にすることで、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。市販品としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物において、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1~10質量部以上、より好ましくは2~7質量部以上である。上記範囲内にすることで、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物において、ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10.0質量部、より好ましくは1.0~5.0質量部である。上記範囲内にすることで、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
前記ゴム組成物において、酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~7質量部である。上記範囲内にすることで、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
ゴム組成物に配合する材料としては、例えば、加硫剤、加硫促進剤等を好適に使用できる。加硫剤としては、ゴム成分を架橋可能な薬品であれば特に限定されないが、例えば、硫黄等が挙げられる。また、ハイブリッド架橋剤(有機架橋剤)についても加硫剤として使用できる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。なかでも、硫黄が好ましい。
前記ゴム組成物において、硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1~10.0質量部、より好ましくは0.5~5.0質量部、更に好ましく0.7~3.0質量部である。上記範囲内にすることで、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。有機架橋剤としては、特に限定されず、マレイミド化合物類、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物類、有機過酸化物類、アミン有機サルファイド類等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。市販品としては、例えば、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。
前記ゴム組成物において、有機架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1~10.0質量部、より好ましくは0.5~5.0質量部、更に好ましく0.7~3.0質量部である。上記範囲内にすることで、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
前記ゴム組成物において、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1~7.0質量部、より好ましくは0.3~5.0質量部、更に好ましくは0.5~3.0質量部である。上記範囲内にすることで、タイヤ部材の要求特性を確保できる傾向がある。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
〔ゴム組成物の製造〕
例えば、前記粉砕洗浄処理、前記脱水処理、及び前記乾燥処理を経て、臭気低減天然ゴムを製造する工程により臭気低減天然ゴムを製造した後、得られた臭気低減天然ゴムを含有するゴム成分及びフィラーを混練する工程を経ることで、前記ゴム組成物を製造できる。得られた臭気低減天然ゴムを用いて作製したゴム組成物は、カップランプを原料としているにも関わらず、充分に臭気が低減されている。また、耐熱老化性等の物性も低下も抑制できる。
前記臭気低減天然ゴム及びフィラーを混練する工程は、臭気低減天然ゴム及びフィラーを混練する手法であれば特に限定されず、例えば、臭気低減天然ゴムを含むゴム成分、フィラー、必要に応じて他の成分を混練するベース練り工程と、該ベース練り工程で得られた混練物、加硫剤、必要に応じて他の成分を混練する仕上げ練り工程とを含む態様が挙げられる。例えば、このような製法により、前記ゴム組成物(加硫済)を作製できる。
(ベース練り工程)
ベース練り工程は、例えば、前記臭気低減天然ゴム、これ以外の他のゴムと、フィラー(充填剤)と、必要に応じて他の成分とを混練することにより実施できる。ベース練り工程の混練方法としては特に限定されず、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなどの公知の(密閉式)混練機を用いて混合すればよい。
ベース練り工程では、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。
(仕上げ練り工程)
仕上げ練り工程は、例えば、ベース練り工程で得られた混練物と、加硫剤と、必要に応じて他の成分とを混練することにより実施できる。仕上げ練り工程の混練方法としては特に限定されず、例えば、オープンロール等の公知の混練機を用いることができる。混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温~80℃である。
仕上げ練り工程で混練する他の成分としては、例えば、加硫促進剤等が挙げられる。また、ベース練り工程でゴム成分、フィラー等の一部を混練する場合、その残部も挙げられる。
(加硫工程)
仕上げ練り工程で得られた未加硫ゴム組成物(混練物)は、通常、その後加硫される。例えば、未加硫ゴム組成物に公知の加硫手段を適用することで実施でき、ゴム組成物(加硫済)を製造できる。加硫工程における加硫温度は130~200℃が好ましく、加硫時間は5~15分が好ましい。
前記ゴム組成物(加硫済)は、臭気抑制性の観点から、臭気成分指数が1.0×10~5.0×10であることが好ましい。下限は、より好ましくは1.2×10以上、更に好ましくは1.4×10以上である。上限は、臭気抑制性の観点から、より好ましくは4.5×10以下、更に好ましくは4.0×10以下である。なお、ゴム組成物(加硫済)の臭気成分指数は、ゴム組成物(加硫済)について、GCMSを用いて検出される天然ゴムの臭気の主な原因物質のピーク面積比を各成分の嗅覚閾値で補正し、全てを足したものであり、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
前記ゴム組成物は、各種タイヤ部材(トレッド(キャップトレッド))、サイドウォール、ベーストレッド、アンダートレッド、クリンチエイペックス、ビードエイペックス、ブレーカークッションゴム、カーカスコード被覆用ゴム、インスレーション、チェーファー、インナーライナー等や、ランフラットタイヤのサイド補強層に用いてもよい。なかでも、臭気を低減できる点から、トレッド、サイドウォール、クリンチ、ウイング等のタイヤ外層部材にも好適に使用可能であり、特にサイドウォールに好適である。
前記空気入りタイヤは、ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物(未加硫)を、未加硫の段階で各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
前記空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バスなどの重荷重用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ等として好適に用いられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例、比較例の天然ゴムサンプルで用いた各種薬品を下記に示す。
塩基性物質:炭酸ナトリウム(NaCO)(シグマ・アルドリッチ社製)
界面活性剤:花王(株)製のエマールE-27C(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)
<天然ゴムサンプルの入手>
通常のゴム農園で作製されたカップランプを入手した。そして、入手したカップランプをナチュラルラバーマシーンアンドイクイップメント社製のハンマーミルで処理した後、ラバーグラヌュエイターで微細化(粉砕)した後、粉砕したカップランプを、水浴で撹拌しながら洗浄し、水相のみを排出して粉砕したカップランプを取り出すことにより洗浄した(粉砕洗浄処理)。粉砕、洗浄後のカップランプの平均径は5mmであった。
(比較例1)
粉砕、洗浄後のカップランプを室温(20~30℃)で1ヶ月間貯蔵した。貯蔵する前のカップランプの水分率を下記方法にて測定したところ、表1のとおりであった。
上述のように1ヶ月間貯蔵したカップランプを、水で5回程度洗浄した後、表1に示す濃度で作製した水溶液1Lに、当該カップランプ100gを、6時間、室温(20~30℃)で浸漬した。浸漬中はカップランプが水溶液の液面に浮いてこないように適宜重し等を載せ、全体が水溶液に沈むよう配置した。カップランプを取り出し、水で洗浄した後、135℃で4時間乾燥し、天然ゴムサンプル(NR1)を得た。
(比較例2)
1ヶ月間貯蔵した水分率低減天然ゴムを、水で洗浄、カッターで微細化を5回繰り返した後、120℃で4時間乾燥した以外、比較例1と同様にして、天然ゴムサンプル(NR2)を得た。
(実施例1)
粉砕、洗浄後のカップランプをクリーパー(ロールを用いて圧搾する装置)に通して8mmの厚みになるように圧搾し、水分率低減天然ゴムを調製した(脱水処理)。得られた水分率低減天然ゴムは室温(20~30℃)で1ヶ月間貯蔵した。貯蔵する前の水分率低減天然ゴムの水分率を下記方法にて測定したところ、表1のとおりであった。
上述のように1ヶ月間貯蔵した水分率低減天然ゴムを、水で5回程度洗浄した後、135℃で4時間乾燥し(乾燥処理)、天然ゴムサンプル(NR3)を得た。
(実施例2)
1ヶ月間貯蔵した水分率低減天然ゴムを、水で5回程度洗浄した後、145℃で4時間乾燥した以外、実施例1と同様にして、天然ゴムサンプル(NR4)を得た。
(実施例3)
粉砕、洗浄後のカップランプをクリーパー(ロールを用いて圧搾する装置)に通して8mmの厚みになるように圧搾し、水分率低減天然ゴムを調製し(脱水処理)、この脱水処理を5回行った。得られた水分率低減天然ゴムは室温(20~30℃)で1ヶ月間貯蔵した。貯蔵する前の水分率低減天然ゴムの水分率を下記方法にて測定したところ、表1のとおりであった。
上述のように1ヶ月間貯蔵した水分率低減天然ゴムを、水で5回程度洗浄した後、表1に示す濃度で作製した水溶液1Lに、当該水分率低減天然ゴム100gを、6時間、室温(20~30℃)で浸漬した。浸漬中は水分率低減天然ゴムが水溶液の液面に浮いてこないように適宜重し等を載せ、全体が水溶液に沈むよう配置した。水分率低減天然ゴムを取り出し、水で洗浄した後、135℃で4時間乾燥し(乾燥処理)、天然ゴムサンプル(NR5)を得た。
試験用タイヤの製造で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR1~5:上記比較例、実施例で製造した天然ゴムサンプル
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量:98質量%)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックN550(NSA:42m/g)
石油樹脂:東ソー(株)製のペトロタック100V(C5C9系石油樹脂、Mw:3800、軟化点:96℃)
ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
老化防止剤6C:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
老化防止剤RD:大内新興化学工業(株)製のノクラック224(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体)
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
オイル:H&R社製のVIVATEC400(TDAEオイル)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄(5%オイル含有)
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS))
〔試験用タイヤの製造〕
表2に示す配合内容に従い、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物をサイドウォールの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、150℃の条件下で12分間加硫し、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
前記で作製されたカップランプ、水分率低減天然ゴム、比較例及び実施例で得られた天然ゴムサンプル、試験用タイヤについて、下記の評価を行った。結果を表1~2に示す。
(水分率の測定)
カップランプ又は水分率低減天然ゴム1gを正確に量り取り(乾燥前の重量)、細かく切断してから70℃、14時間乾燥させた後、乾燥後の重量を測定した。そして、下記式により、水分率を求めた。
水分率(%)={(乾燥前の重量(g)-乾燥後の重量(g))/乾燥前の重量(g)}×100
1.天然ゴムの分析方法
(天然ゴムの臭気成分指数)
天然ゴムの臭気の主な原因物質としては、酢酸、吉草酸、イソ吉草酸、イソ吉草酸アルデヒド、酪酸のような低級脂肪酸及びそれらのアルデヒドが挙げられる。
そこでHead-Space GCMS(株式会社島津製作所製、製品名「GCMS-QP2010 Ultra」、ヘッドスペースサンプラ―として株式会社島津製作所製「HS-20」を使用)を用いて検出される上記成分のピーク面積比を各成分の嗅覚閾値で補正し、全てを足したものを臭気成分指数(天然ゴム)とした。
(天然ゴムの臭気成分率(%))
上記で得られた臭気成分指数について、下記式により、臭気成分率を評価した。
天然ゴムの臭気成分率(%)=(各例の天然ゴムサンプルにおける臭気成分指数/比較例1の天然ゴムサンプルにおける臭気成分指数)×100
(天然ゴムの劣化特性評価)
天然ゴムサンプルの劣化特性は、下記式により、80℃で72時間老化させた後のムーニー粘度の保持率を評価した。ムーニー粘度保持率の値が大きいほど、天然ゴムサンプルが劣化特性(耐熱老化性)に優れていることを示す。具体的には、ムーニー粘度保持率が60%以上であれば充分劣化特性に優れているといえる。
ムーニー粘度保持率(%)=(老化後のムーニー粘度/老化前のムーニー粘度)×100
2.ゴム組成物の分析方法
(ゴム組成物の臭気成分指数)
試験用タイヤのサイドウォール部からサンプル(ゴム組成物サンプル)を採取し、そのサンプルについて、天然ゴムの臭気成分の分析方法と同様に測定し、検出される上記成分のピーク面積比を各成分の嗅覚閾値で補正し、全てを足したものを臭気成分指数(ゴム組成物)とした。
(ゴム組成物の臭気成分率(%))
上記で得られた臭気成分指数について、下記式により、臭気成分率を評価した。
ゴム組成物の臭気成分率(%)=(各例のゴム組成物サンプルにおける臭気成分指数/比較例1のゴム組成物サンプルにおける臭気成分指数)×100
(ゴム組成物の劣化特性評価)
JIS K6251に準じて、サンプル(ゴム組成物サンプル)からなる3号ダンベル型試験片を用いて引張試験を実施し、各サンプルの破断強度(TB)を測定した。次に、サンプルを80℃、168時間熱老化させた後のTBを測定した。下記式により、老化前後の破断強度(TB)の保持率を求めた。数値が高い方が熱老化によるゴム物性変化が小さく、耐熱老化性に優れる。具体的には、破断強度保持率が70%以上であれば充分劣化特性に優れているといえる。
保持率(%)=熱老化後のTB/熱老化前のTB×100
Figure 0007263750000002
Figure 0007263750000003
表1の結果から、カップランプを粉砕し、粉砕したカップランプを洗浄する粉砕洗浄処理と、前記粉砕洗浄処理により粉砕、洗浄されたカップランプの水分率を低減させ、水分率低減天然ゴムを得る脱水処理と、水分率低減天然ゴムを乾燥する乾燥処理とを経て製造した臭気低減天然ゴムを用いたゴム組成物は、臭気が低減し、かつ、耐熱老化性にも優れていた。
更に、塩基性溶液で水分率低減天然ゴムを処理することにより、臭気成分が大幅に低減できることも明らかとなった。

Claims (9)

  1. 臭気成分指数0.1×101.3×10の臭気低減天然ゴムを含有するゴム成分、及びフィラーを含むゴム組成物であって、
    前記臭気低減天然ゴムは、カップランプを粉砕し、粉砕したカップランプを洗浄する粉砕洗浄処理、前記粉砕洗浄処理により粉砕、洗浄されたカップランプの水分率を低減させ、水分率低減天然ゴムを得る脱水処理、及び該水分率低減天然ゴムを乾燥する乾燥処理を経て得られるものであるゴム組成物
  2. 前記ゴム組成物の臭気成分指数が1.0×10~5.0×10である請求項1記載のゴム組成物。
  3. 前記水分率低減天然ゴムの水分率が15%以下である請求項1又は2記載のゴム組成物。
  4. 前記乾燥処理における乾燥温度が140℃以下である請求項1~3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 更に、前記乾燥処理の前に、前記水分率低減天然ゴムを塩基性溶液に接触させる塩基処理を含む請求項1~4のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. 前記塩基性溶液が更に界面活性剤を含む溶液である請求項記載のゴム組成物。
  7. 前記ゴム成分100質量部に対して、フィラーを5~100質量部含有する請求項1~のいずれかに記載のゴム組成物。
  8. 請求項1~のいずれかに記載のゴム組成物を用いたタイヤ部材を有する空気入りタイヤ。
  9. 前記タイヤ部材がタイヤ外層部材である請求項記載の空気入りタイヤ。
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