JP2003015072A - 回転多面鏡 - Google Patents

回転多面鏡

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JP2003015072A JP2001204150A JP2001204150A JP2003015072A JP 2003015072 A JP2003015072 A JP 2003015072A JP 2001204150 A JP2001204150 A JP 2001204150A JP 2001204150 A JP2001204150 A JP 2001204150A JP 2003015072 A JP2003015072 A JP 2003015072A
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mirror
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Hiroto Inoue
裕人 井ノ上
Narumasa Yamagishi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂製のポリゴンミラーであっても、機械的
変形及び熱変形を最小限に抑制する。 【解決手段】 一方の端部に底部を有し、他方の端部に
開口部を有し、かつ内部に中空部7aが形成されている
柱状の基体部7bと、基体部7bの開口部側の外周面か
ら径方向外側に向けて形成されている支持部7cと、支
持部7cに対して垂直に形成され、かつ軸方向における
中央部が支持部7cにて支持され、かつ外周面に多面体
状のミラー面8aを有する鏡面体8とを備えているポリ
ゴンミラー7である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は回転多面鏡に関す
る。
【0002】
【従来の技術】回転多面鏡(以下、ポリゴンミラーと称
す。)は、従来から、例えば特開平5−11204号公
報のようなレーザープリンタやPOSシステムに広く使
われてきたが、最近では特開平10−187062号公
報や特開平11−64789号公報、特開平9−904
02号公報のようにレーザ光あるいは照明光の偏向装置
として投射型表示装置への適用も進められている。
【0003】こうした従来のポリゴンミラーでは、ほと
んどは比較的に軽量で熱膨張率の低いアルミニウム等の
金属材料を、切削により多面体に形成し、外周表面に鏡
面仕上げを施してミラー面を形成したものが用いられて
いる。
【0004】しかし、このようなアルミニウム製のポリ
ゴンミラーを用いる場合、外周表面に機械加工を施す作
業に手間がかかるので生産性が悪く、コストダウンの障
害となっていた。
【0005】また、ミラー面の高さが通常よりも高い場
合や、ミラー面において受ける光のエネルギが比較的に
大きい場合には、厚肉大径になってしまい、どうしても
重量が増加してしまっていた。したがって、ポリゴンミ
ラーを回転させるために大きなトルクが必要となり、そ
の結果、モータも大型なものが必要となるので、機器全
体が大型化し、重量がさらに増加していた。
【0006】こうした背景から、最近では、特開平7−
98403号公報や特開平8−20075号公報、特開
平5−19200号公報に示すように、ポリゴンミラー
に用いる素材の樹脂化により、軽量で低コストのポリゴ
ンミラーを実現しようという試みもなされつつある。
【0007】また、軽量化をさらに促進するために、ミ
ラー面すなわち受光面の厚みが10mm程度以上(通常
の受光面の厚みは5mm程度)である厚肉ポリゴンミラ
ーの形状を、特公平7−119898号公報に示すよう
に、上面を有底とした中空多角柱形状、すなわち軸方向
断面L字形状とする構成も提案されている。
【0008】軽量化とコストダウンを目的として、こう
した厚肉大径ポリゴンミラーを樹脂化する際の課題を以
下に示す。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】軽量化とコストダウン
のためにポリゴンミラーの材質をアルミニウムから樹脂
に変更した場合には、以下のような問題が発生してい
た。 (課題1:光照射による熱変形)アルミニウム製のポリ
ゴンミラーの熱膨張率は0.2×10-4〔1/℃〕程度
であるのに対し、樹脂製(ABS製)のポリゴンミラー
では1.0×10-4〜6.0×10-4〔1/℃〕と、ア
ルミニウム製のものに比べて数十倍も高い熱膨張率であ
る。また、比較的に熱膨張率の低い、例えばポリプラス
チックス社製ベクトラA130(以下、ベクトラと称
す。)製やPPS製のものでも、0.3×10-4〜0.
6×10-4〔1/℃〕とアルミニウム製のものに比べて
数倍の熱膨張率である。
【0010】また、アルミニウム製のポリゴンミラーの
熱伝導率は180〜230〔W/m・K〕であるのに対
し、樹脂製のポリゴンミラーの熱伝導率は0.1〜0.
3〔W/m・K〕程度とアルミニウム製のものに比べて
1/1000程度も低い。
【0011】このため、ミラー面に光が照射された場合
に、樹脂製のポリゴンミラーでは、アルミニウム製のも
のに比べて、照射された光による熱がポリゴンミラーの
全体に拡散しにくく、この熱が受光面すなわちミラー面
に蓄積するので、受光面の急激な温度上昇を引き起こ
し、アルミニウム製のものに比べて10倍以上の大きな
熱変形が発生する恐れがある。
【0012】その結果、アルミニウム製のポリゴンミラ
ーと比べると、ミラー面精度が大きく劣化し、所定の位
置に光を反射することが困難になる恐れがある。以下、
従来のポリゴンミラーの構造において、ポリゴンミラー
の動作中におけるミラー面の変形状態を図13及び図1
4を用いて説明する。
【0013】図13に示すものは、二十四角柱状で中実
かつ厚肉に形成された樹脂製のポリゴンミラー1の軸方
向の断面図(回転対称であるため、回転軸2より右半分
の形状のみを図示する)であり、仮想線に示す1aはポ
リゴンミラーの作動前の未変形状態の形状を示してい
る。実線に示す1bは、作動中のポリゴンミラー1の変
形状態を、有限要素法での数値計算により算出した値を
図示したものである。図中のθ〔°〕は、未変形状態の
ミラー面4aの位置に対して、作動中のポリゴンミラー
1におけるミラー面4bがどの程度傾斜しているのかを
示すミラー面傾斜角である。
【0014】図14は、ポリゴンミラー1の材質を、ア
ルミニウム製、ABS製及びベクトラ製として、各材質
に対して、ミラー面4bへの照射熱量〔W/24面〕と
ミラー面傾斜角θ〔°〕との関係をプロットしたもので
ある。
【0015】回転による遠心力が作用しているポリゴン
ミラー1に、光の照射による熱影響が加わることによっ
て、ポリゴンミラー1は微妙に膨張及び軟化し、特に、
図13の実線1bにおけるミラー面4bの中央部が、未
変形状態のミラー面4aの中央部よりも径方向外側に膨
らむ。このとき、ポリゴンミラー1の材質がABS製で
あれば、図14に示すように、アルミニウム製のポリゴ
ンミラーに比べてミラー面傾斜角θ〔°〕が10倍以上
にもなる。
【0016】また、図15は上面を有底とした中空状、
すなわち軸方向断面L字形状のポリゴンミラー1(特公
平7−119898号公報に相当)の静止状態における
軸方向の断面形状を示しており、図16は図15に示す
ポリゴンミラー1の作動中におけるミラー面4bの傾斜
角A1〔°〕及びA2〔°〕を示している(回転対称で
あるため、回転軸2より左半分の形状のみを図示す
る)。図16において、A1〔°〕は、ポリゴンミラー
1の外周エッジの水平度合いを示すミラー面傾斜角であ
り、A2〔°〕は、ミラー面4bの、静止状態のミラー
面4aに対する径方向外側への広がりを示すミラー面傾
斜角である。A2〔°〕は、支持部4cに対するミラー
面4bの広がり(静止状態では直角)に、A1〔°〕の
値を加えた値である。
【0017】さらに、図17はポリゴンミラー1の材質
を、アルミニウム製、ABS製及びベクトラ製として、
各材質において、作動中のミラー面4bの照射熱量〔W
/24面〕とミラー面温度〔℃〕との関係を、有限要素
法での数値計算により算出した結果をプロットしたもの
である。また、前記の各材質において、ミラー面4bへ
の照射熱量〔W/24面〕とミラー面傾斜角A1〔°〕
(図16に図示)の変化量との関係を有限要素法により
数値計算した結果を図18に示し、ミラー面4bへの照
射熱量〔W/24面〕とミラー面傾斜角A2〔°〕(図
16に図示)の変化量との関係を有限要素法により数値
計算した結果を図19に示す。
【0018】樹脂製(ABS製またはベクトラ製)のポ
リゴンミラー1は、アルミニウム製のものに比べて熱伝
導率が低いことから、ミラー面4bにて受けた熱をポリ
ゴンミラー1の全体に拡散しにくく、この熱がミラー面
4bにおいて蓄積されやすい。このため、作動中の樹脂
製のポリゴンミラー1におけるミラー面4bの温度は、
図17に示すように、アルミニウム製のものに比べて3
〜4倍も高くなる。
【0019】このように、樹脂製のポリゴンミラー1
は、アルミニウム製のポリゴンミラー1よりも光の照射
による熱影響を受けて膨張及び軟化する。このとき、図
16に示すように、ポリゴンミラー1の上面は固定端で
あるので、支持部4cの外周部は盛り上がり、ミラー面
傾斜角A1〔°〕は、図18に示すように、アルミニウ
ム製のものに比べて数十倍も傾斜する。さらに、ポリゴ
ンミラー1の下面は自由端であるので、鏡面体4が径方
向外側に広がり、ミラー面傾斜角A2〔°〕は、図19
に示すように、アルミニウム製のものに比べて数十倍も
傾斜する。
【0020】レーザープリンタのようにレーザ光が照射
される場合には、単一波長であること及び照射エネルギ
が数mWと小さいので、比較的、鏡面体4の熱変形は小
さいことが予測される。しかし、投射型映像表示装置等
で、ランプの照明光を集光させて鏡面体4に照射する場
合には、数Wのエネルギが直径10mm程度のスポット
径に照射されるので、樹脂製ポリゴンミラー1の熱変形
を抑制する対策が必須となってくる。 (課題2:遠心力による変形)さらに、樹脂製のポリゴ
ンミラー1は、アルミニウム製のものに比べて剛性が極
めて低いことから、回転中に作用する遠心力により鏡面
体4にひずみが発生しやすくなるという問題も発生す
る。
【0021】特に、ポリゴンミラー1を特公平7−11
9898号公報に示すような上面を有底とする中空多角
形状とすることにより、軽量化には有効であるが、鏡面
体4の上端部のみが支持部4cに支持されていることか
ら、作用する遠心力により、鏡面体4の下端部が径方向
外側に広がりやすくなり、図16に示すミラー面傾斜角
A2〔°〕が大きくなってしまう。 (課題3:光照射中にポリゴンミラーが停止した場合の
ミラーの軟化等)アルミニウム製のポリゴンミラーの場
合には、光の照射中に何らかの原因(例えばモータの回
転停止やポリゴンミラーの回転軸接合部の接合状態の劣
化等)でポリゴンミラーの回転が遅くなることや停止す
ることがあっても、ポリゴンミラー自体が軟化し塑性変
形することはない。しかし、樹脂製ポリゴンミラーの場
合には、アルミニウム製のものに比べて熱伝導率が小さ
いことから、ミラー面に熱が蓄積し、ミラー面の温度が
上昇する。
【0022】ミラー面の温度が上昇すると、樹脂製のポ
リゴンミラーの軟化温度が通常100℃程度(高くても
250℃程度)と低いことから、短時間に軟化、塑性変
形する恐れがある。
【0023】図20(a)及び図20(b)には、雰囲
気温度25〔℃〕中でアルミニウム製(図20(a)に
図示)及び樹脂製(図20(b)に図示)のポリゴンミ
ラー1の回転が停止した場合において、ミラー面4bに
おける受光部5に0.05W程度の光が照射し続けたと
きの同一時間の経過時でのポリゴンミラー1の温度分布
を有限要素法にて数値計算した結果を示す。
【0024】図20(a)に示すように、アルミニウム
製のポリゴンミラー1であれば、熱伝導率が高いので、
照射熱は受光面5において蓄積せずにポリゴンミラー1
の全体にわたって拡散される。また、これによりポリゴ
ンミラー1全体の温度と周囲の空間6の温度との差が大
きくなるので、照射熱は周囲の空間6にも放散されやす
くなる。したがって受光部5の温度も37〔℃〕前後に
おさまっている。
【0025】しかし、図20(b)に示すように、樹脂
製のポリゴンミラー1は熱伝導率が低いので、受光部5
に光が照射され続けた場合に、照射熱はポリゴンミラー
1の全体にわたって拡散されにくい。さらに、照射熱が
ポリゴンミラー1の全体にわたって拡散されにくいと、
ポリゴンミラー1全体の温度と周囲の空間6の温度との
差が大きくならないので、照射熱は、アルミニウム製の
ものと比べて周囲の空間6に放散されにくくなる。
【0026】このように、照射熱がポリゴンミラー1の
全体にわたって拡散されずに、受光部5付近において蓄
積することにより、この付近のポリゴンミラー1の温度
が局部的に上昇し、特に、受光部5の温度は350
〔℃〕前後にまで上昇してしまい、こうした状況では軟
化溶融する恐れがあるので保護手段が必須である。
【0027】このような問題の予防策としては、モータ
あるいはポリゴンミラー1の回転速度を感知し、回転速
度の低下時に光源への電力を遮断する回路を設けること
が考えられる。しかし、そのためにはポリゴンミラー1
の回転速度を検出するセンサ等の装置を設ける必要があ
り、コストダウン及び機器の小型化に対する障害とな
る。
【0028】そこで本発明はこのような課題を解決し
て、樹脂製のポリゴンミラーであっても、機械的変形及
び熱変形を最小限に抑制することを目的とし、また、光
を照射中にたとえポリゴンミラーの回転が停止しても、
ポリゴンミラーが軟化溶融しないようにすることを目的
とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1記載の発明は、一方の端部に底部を有し、他
方の端部に開口部を有し、かつ内部に中空部が形成され
ている柱状の基体部と、前記基体部の開口部側の外周面
から径方向外側に向けて形成されている支持部と、前記
支持部に対して垂直に形成され、かつ軸方向における中
央部が前記支持部にて支持され、かつ外周面に多面体状
の反射面を有する反射体とを備えているものである。
【0030】このような構成によれば、反射体は、その
軸方向における中央部が支持部によって支持されている
ので、従来の上面を有底とした中空状、すなわち軸方向
断面L字形状の回転多面鏡に比べて、反射体が回転多面
鏡の外表面側の周囲の空気層と接する面積が広くなる。
これにより、反射面において受けた照射熱が、反射体か
ら周囲の空気層などに放散されやすくなる。したがっ
て、反射面の温度上昇を抑えることができ、反射面が熱
を受けることによって生じる変形を小さくすることがで
きる。また、反射体は上述のように軸方向中央部が支持
部によって支持されているので、従来の上面を有底とし
た中空状、すなわち軸方向断面L字形状の回転多面鏡に
比べて、反射体が遠心力を受けることによって生じる機
械的変形を小さくすることができる。以上のことから、
反射体が支持部に対して傾斜する角度をきわめて小さく
抑えることができる。また、回転多面鏡が中空部を有す
るので全体として軽量になる。
【0031】請求項2記載の発明は、請求項1記載の回
転多面鏡が樹脂部材からなるものである。このような構
成によれば、中空部を形成することで軽量になっている
回転多面鏡を、樹脂製にすることにより、さらに軽量に
することができる。
【0032】請求項3記載の発明は、請求項2記載の回
転多面鏡において、反射面が傾斜することを防止するた
めの反射体補強部材を反射体に固定したものである。こ
のような構成によれば、反射体は反射体補強部材によっ
て補強されているので、照射熱や遠心力を受けてもその
変形量は小さくなる。したがって、反射面の傾斜をより
小さく抑えることが可能である。
【0033】請求項4記載の発明は、請求項3記載の回
転多面鏡において、反射体補強部材を、反射体から基体
部にかけて固定したものである。このような構成によれ
ば、反射体は、照射熱や遠心力を受けても、反射体補強
部材が反射体から基体部までに及んで固定されているた
め、反射体補強部材だけでなく反射体補強部材に連なっ
ている基体部によっても補強されることになる。したが
って、反射体の変形量は小さくなるので、反射面の傾斜
をより確実に小さく抑えることが可能である。
【0034】請求項5記載の発明は、請求項3記載の回
転多面鏡において、反射体補強部材を、基体部を覆うよ
うにして反射体のみに固定したものである。このような
構成によれば、反射体補強部材が基体部を覆うようにし
て反射体のみに固定されていることにより、反射体補強
部材が基体部において開口している状態に比べて反射体
補強部材の剛性が増すので、反射面の傾斜をより確実に
小さく抑えることが可能である。また、反射体補強部材
は、基体部を覆っているが、反射体に固定されているだ
けで基体部には固定されていないので、反射体に固定す
る際に、反射体及び基体部の寸法に誤差がある場合に
も、反射体及び基体部が無理に固定されることがなく、
よって反射体及び基体部に初期応力を与えることを防止
することができる。
【0035】請求項6記載の発明は、請求項3から5ま
でのいずれか1項記載の回転多面鏡において、反射体補
強部材が、樹脂製の回転多面鏡よりも高弾性率で、かつ
低熱膨張率である材料によって形成されているものであ
る。
【0036】このような構成によれば、樹脂製である反
射体が照射熱や遠心力を受けても、反射体には、樹脂に
比べて熱膨張しにくく、かつ剛性の高い材料で形成され
ている反射体補強部材によって補強が施されていること
から、反射面の変形をより確実に小さく抑えることが可
能である。
【0037】請求項7記載の発明は、請求項3から6ま
でのいずれか1項記載の回転多面鏡において、反射体補
強部材が、樹脂製の回転多面鏡よりも高熱伝導率である
材料によって形成されているものである。
【0038】このような構成によれば、照射熱により反
射体の温度が上昇しようとしても、樹脂製の回転多面鏡
よりも高熱伝導率である反射体補強部材が反射体に固定
されていることにより、反射体において蓄積されつつあ
る照射熱を、反射体補強部材を経由して回転多面鏡の周
囲の空気層に放散させることができる。したがって、反
射体における照射熱の蓄積を緩和させることができる。
これにより、反射体の温度の上昇を緩和することができ
るので、反射面の熱による傾斜をさらに小さく抑えるこ
とが可能である。
【0039】請求項8記載の発明は、請求項2から7ま
でのいずれか1項記載の回転多面鏡において、支持部と
反射体との接合部に補強が施されているものである。こ
のような構成によれば、反射体は、照射熱や遠心力を受
けても、接合部に補強が施されているので支持部に対し
て傾斜しにくくなる。これにより、支持部に対する反射
体の直角度が低下しにくく、したがって照射熱や遠心力
などによる反射面の傾斜を抑制することができる。
【0040】請求項9記載の発明は、請求項8記載の回
転多面鏡において、接合部に面取り部が形成されている
か、あるいはフィレットが施されているものである。こ
のような構成によれば、接合部に、面取り部が形成され
ているか、あるいはフィレットが施されることにより、
接合部を厚肉に形成することができる。このように、接
合部が厚肉になると支持部に対して反射体が傾斜しにく
くなり、支持部に対する反射体の直角度を維持すること
ができる。したがって、照射熱や遠心力などによる反射
面の傾斜を抑制することができる。
【0041】請求項10記載の発明は、請求項8記載の
回転多面鏡において、接合部における周方向に沿った適
宜の位置に補強リブが設けられているものである。この
ような構成によれば、反射体は、接合部に補強リブが設
けられているので、照射熱や遠心力を受けても、反射体
が支持部に対して傾斜しにくくなる。したがって、支持
部に対する反射体の直角度が低下しないので、照射熱や
遠心力などによる反射面の傾斜を抑制することができ
る。
【0042】請求項11記載の発明は、請求項8記載の
回転多面鏡において、接合部に接合部補強部材を有し、
前記接合部補強部材は、支持部及び反射体を構成する樹
脂部材よりも高弾性率で、かつ低熱膨張率のL字型の部
材にて形成され、前記接合部補強部材を構成するL字の
一方の脚部と支持部とが固定され、かつL字の他方の脚
部と反射体とが固定されているものである。
【0043】このような構成によれば、反射体が照射熱
や遠心力を受けても、接合部は、支持部及び反射体を構
成する樹脂部材よりも剛性が高く、かつ熱膨張をしにく
いL字型の部材にて形成されている接合部補強部材によ
り補強が施されているので、反射体が支持部に対して傾
斜しにくくなる。これにより、支持部に対する反射体の
直角度が低下しにくく、したがって照射熱や遠心力など
による反射面の傾斜をより確実に抑制することができ
る。
【0044】請求項12記載の発明は、請求項11記載
の回転多面鏡において、接合部補強部材が、支持部及び
反射体を構成する樹脂部材よりも高熱伝導率である材料
によって形成されているものである。
【0045】このような構成によれば、支持部及び反射
体を構成する樹脂部材よりも高熱伝導率である材料によ
って形成されている接合部補強部材によって、接合部に
補強が施されていることにより、反射体において蓄積さ
れる照射熱を、接合部補強部材を経由して回転多面鏡の
周囲の空気層に放散させることができる。したがって、
反射体における照射熱の蓄積を緩和させることができ
る。これにより、反射体の温度の上昇を緩和することが
できるので、反射面の熱による傾斜をさらに小さく抑え
ることが可能である。
【0046】請求項13記載の発明は、回転多面体にて
形成されている樹脂製の回転多面鏡であって、前記回転
多面鏡の本体部の外面に、前記本体部よりも熱伝導率の
高い材料によって形成されている保護シートが装着さ
れ、前記本体部の外周側面部に装着された部分の前記保
護シートの表面には鏡面仕上げが施されて反射面が形成
されているものである。
【0047】このような構成によれば、回転多面鏡の本
体部における外面に装着されている保護シートは、本体
部よりも熱伝導率の高い材料によって形成されているの
で、反射面が受けた照射熱は、保護シートによって伝熱
されて回転多面鏡の周囲の空気層に放散される。したが
って、反射面での熱の蓄積を緩和することができる。こ
れにより、反射面の温度の上昇を緩和することができる
ので、熱によって反射面が傾斜することを抑制すること
ができる。また、保護シートを回転多面鏡の本体部にお
ける外面に装着するだけであるので、樹脂部材のみで形
成される回転多面鏡と同様に、軽量を維持することがで
きる。
【0048】請求項14記載の発明は、外周面に多面体
状の反射面が形成されている樹脂製の回転多面鏡であっ
て、前記回転多面鏡に薄膜が取り付けられ、前記薄膜
は、前記回転多面鏡の回転時には、遠心力を受けること
により開いて前記反射面を露出し、かつ前記回転多面鏡
の回転速度低下時には、遠心力を受けなくなることによ
り閉じて前記反射面を覆うように構成されているもので
ある。
【0049】このような構成によれば、薄膜は、回転多
面鏡の回転時には、遠心力を受けることにより開いて反
射面を露出し、照射された光は反射面に到達することが
できる。一方、薄膜は、回転多面鏡の回転速度低下時に
は、遠心力を受けなくなることにより閉じて反射面を覆
うように構成されているので、回転多面鏡の回転速度が
通常よりも低下しているとき、または回転多面鏡の回転
が停止しているときでは、反射面に向けて照射された光
は、反射面に到達する前に薄膜により遮断される。した
がって、回転多面鏡の回転速度が通常よりも低下してい
るとき、または回転多面鏡の回転が停止しているときに
おいて、反射面へ照射される光が反射面に到達すること
を確実に防止することができ、樹脂製の回転多面鏡にお
ける反射面を照射熱から保護することができる。
【0050】請求項15記載の発明は、外周面に多面体
状の反射面が形成されている樹脂製の回転多面鏡であっ
て、光遮断装置を有し、前記光遮断装置は、前記回転多
面鏡の回転に伴って発生する空気流を受けて旋回する第
1の面部材と、前記第1の面部材が前記空気流を受けて
旋回したときにこの旋回動作に連動して前記反射面を露
出させる第2の面部材とを有し、前記第2の面部材は、
前記回転多面鏡の回転速度低下時に空気流が減衰して第
1の面部材が旋回状態を解消したときに、この解消動作
に連動して前記反射面を覆うように構成されているもの
である。
【0051】このような構成によれば、光遮断装置は、
回転多面鏡の回転に伴って発生する空気流を受けて旋回
する第1の面部材と、第1の面部材が旋回したときにこ
の旋回動作に連動して反射面を露出させる第2の面部材
とを有しているので、回転多面鏡の通常の回転時におい
ては、第2の面部材が光路からはずれ、照射された光は
そのまま反射面に到達することができる。一方、光遮断
装置における第2の面部材は、第1の面部材が回転多面
鏡の回転速度低下時に空気流が減衰して旋回状態を解消
したときに、この解消動作に連動して反射面を覆うよう
に構成されているので、回転多面鏡の回転速度が通常よ
りも低下しているとき、または回転多面鏡の回転が停止
しているときにおいては、第2の面部材は反射面を覆っ
ており、照射される光が反射面に到達することを防止す
ることができる。したがって、回転多面鏡の回転速度が
通常よりも低下しているとき、または回転多面鏡の回転
が停止しているときにおいて、反射面へ照射される光を
確実に遮断することができ、樹脂製の回転多面鏡におけ
る反射面を照射熱から保護することができる。
【0052】請求項16記載の発明は、請求項1から1
5までのいずれか1項記載の回転多面鏡を有する投射型
映像表示装置である。請求項17記載の発明は、請求項
1から15までのいずれか1項記載の回転多面鏡を有す
る画像形成装置である。
【0053】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の実施の形
態1〜実施の形態7を図1〜図12を用いて説明する。
【0054】(実施の形態1)図1は本発明の実施の形
態1を示すポリゴンミラー7の軸方向の断面図であり、
図2は図1に示すポリゴンミラー7の斜視図である。
【0055】図1及び図2に示すように、ポリゴンミラ
ー7は、上面が有底で、かつ内部に中空部7aを有する
柱状の基体部7bと、基体部7bの外周面の下端から径
方向外側に向けて広がっている支持部7cと、支持部7
cに対して垂直に、かつ一体に形成されている反射体と
しての鏡面体8とからなる。鏡面体8は、その軸方向に
おける中央部を支持部7cによって支持されており、鏡
面体8の外周面には、光を反射可能な反射面としてのミ
ラー面8aが形成されている。また、図1に示すよう
に、基体部7bは、その中心部において回転軸2を介し
てモータ9と連結されて回転可能に構成されている。な
お、照射される光はミラー面8aの全域に及んでいる。
【0056】また、図3は、ポリゴンミラー7の材質を
アルミニウム製、ABS製、ベクトラ製及びPPS製と
し、各材質において、ポリゴンミラーの形状を、図13
に示したポリゴンミラー1のような中実状、図15に示
した従来の技術におけるポリゴンミラー1のような中空
状、図1に示す本発明の実施の形態1におけるポリゴン
ミラー7のような中空状の3種類に分け、各ポリゴンミ
ラーを同一条件で作動させたときの各ミラー面の径方向
外側への広がりであるミラー面傾斜角を、有限要素法に
より数値計算した結果を示したものである。なお、ミラ
ー面傾斜角は、図13に示したポリゴンミラー1のよう
な中実状であればθ〔°〕、その他の形状であればA2
〔°〕(図16参照)で示す。
【0057】ポリゴンミラーの形状を、図1及び図2に
示すような、本発明における実施の形態1のポリゴンミ
ラー7の形状とすることで、鏡面体8は、その軸方向に
おける中央部において支持部7cに支持されているの
で、鏡面体8の表面積すなわち鏡面体8がポリゴンミラ
ー7の外表面側の周囲の空気層10と接する面積が、図
15に示す従来の上面を有底とした中空状、すなわち軸
方向断面L字形状のポリゴンミラー1に比べて、鏡面体
8の内面8bの分だけ広くなる。このように、本発明に
おける実施の形態1のポリゴンミラー7の形状におい
て、鏡面体8におけるポリゴンミラー7の外表面側の表
面積が内面8bの分だけ広くなったことにより、ミラー
面8aにおいて受けた照射熱が、鏡面体8の内面8bか
ら周囲の空気層10に放散されやすくなる。このため、
図3に示すように、同一材質であっても、その他の形状
のものに比べて、ミラー面8aの温度上昇を抑えること
ができる。したがって、ポリゴンミラー7の熱変形、す
なわちミラー面8aの傾斜を抑えることができる。
【0058】また、図15に示し、前述したような、特
に樹脂で形成されているポリゴンミラー1のミラー面傾
斜角A2〔°〕(図16参照)は、ポリゴンミラー1の
外周エッジの水平度合いを示すミラー面傾斜角A1
〔°〕(図16参照)と、支持部4cとミラー面4との
なす角(静止状態では直角)の総和となるので大きくな
る。
【0059】しかし、本発明の実施の形態1におけるポ
リゴンミラー7の形状では、鏡面体8の中央部が支持部
7cによって支持されていることから、鏡面体8におけ
る下端部が、支持部7cに対してポリゴンミラー1にお
ける径方向外側へ変形する量を小さくすることができる
ので、図16に示したようなミラー面傾斜角A1〔°〕
を小さくすることができ、結果的にミラー面傾斜角A2
〔°〕を小さく抑えることができる。
【0060】(実施の形態2)図4は、本発明の実施の
形態2におけるポリゴンミラー7の軸方向の断面図であ
る。このポリゴンミラー7の本体部7dは樹脂製であ
り、その形状は実施の形態1におけるポリゴンミラー7
と同様である。しかし、実施の形態2におけるポリゴン
ミラー7における本体部7dの上面には、基体部7bか
ら鏡面体8にかけて、鏡面体補強部材11としてのアル
ミニウム等の金属板が接着されている。この点において
のみ実施の形態1におけるポリゴンミラー7の構成とは
異なっている。
【0061】上記のようにポリゴンミラー7を構成する
ことにより、アルミニウム等の金属部材が樹脂に比べて
熱膨張率が低く、かつ高弾性率であることから、樹脂製
であるポリゴンミラー7が照射熱や遠心力を受けてもそ
の変形を抑制することができ、基体部7b及び鏡面体8
の変形をより小さく抑えることが可能である。
【0062】さらに、金属製の鏡面体補強部材11を設
けることにより、鏡面体8に蓄積されつつある照射熱
を、鏡面体補強部材11を経由して基体部7b及びポリ
ゴンミラー7の周囲の空気層10に放散させることがで
きる。したがって、鏡面体8における照射熱の蓄積を緩
和させることができ、鏡面体8の温度上昇を緩和させる
ことができるので、基体部7b及び鏡面体8の照射熱に
よる変形をさらに小さく抑えることが可能である。
【0063】なお、鏡面体補強部材11の材質として
は、コストと重量の観点に加え、熱伝導率が高いという
ことからアルミニウム製のものが適切である。 (実施の形態3)図5は、本発明の実施の形態3におけ
るポリゴンミラー7の軸方向の断面図である。実施の形
態3におけるポリゴンミラー7が実施の形態2のものと
異なるのは、アルミニウム等の金属板にて形成された鏡
面体補強部材11が基体部7bに接着されておらず、基
体部7bを覆うように鏡面体8にのみ接着されている点
である。この点においてのみ実施の形態2におけるポリ
ゴンミラー7の構成とは異なっており、その他の構成は
同様である。
【0064】実施の形態2では、ポリゴンミラー7の静
止状態において、ポリゴンミラー7における本体部7d
の上面の位置と鏡面体8の上面の位置とが誤差等によっ
て異なる場合、基体部7b及び鏡面体8に初期応力を与
えることなく鏡面体補強部材11を基体部7b及び鏡面
体8に接着するためには、鏡面体補強部材11に高い形
状精度が必要とされる。
【0065】しかし、実施の形態3のように、鏡面体補
強部材11を基体部7bには接着せずに、基体部7bを
覆うように鏡面体8にのみ接着させることにより、ポリ
ゴンミラー7における本体部7dの上面の位置と鏡面体
8の上面の位置とが異なる場合においても、基体部7b
及び鏡面体8に初期応力を与えることなく容易に鏡面体
補強部材11を鏡面体8に接着することができる。
【0066】(実施の形態4)図6(a)は、本発明の
実施の形態4であるポリゴンミラー7における支持部7
cと鏡面体8との接合部12の軸方向の断面図である。
【0067】図6(a)に示すように、接合部12、す
なわち支持部7cと鏡面体8との交わりの角には、周方
向に沿って面取り部12bが形成されている。このよう
に接合部12に面取り部12bが形成されることによっ
て、接合部12は、仮想線に示すような、面取り部12
bが形成されていない状態の接合部12aよりもやや厚
肉に形成される。
【0068】これにより、接合部12を補強することが
できるので、支持部7cに対する鏡面体8の直角度が低
下しにくくなり、照射熱や遠心力などによるミラー面8
aの傾斜を抑制することができる。
【0069】なお、接合部12の補強手段として、上記
のように面取り部12bを形成する他に、接合部12の
周方向に沿ってフィレット(図示は省略)を施すことも
できる。
【0070】また、図6(b)に示すように、ポリゴン
ミラー7の接合部12における周方向に沿った適宜の位
置に補強リブ12cを設けることもできる。このよう
に、接合部12に補強リブ12cを設けることによっ
て、鏡面体8は、照射熱や遠心力を受けても、支持部7
cに対して傾斜しにくくなる。したがって、支持部7c
に対する鏡面体8の直角度が低下しないので、照射熱や
遠心力などによるミラー面8aの傾斜を抑制することが
できる。
【0071】さらに、図6(c)に示すように、接合部
12に、支持部7c及び鏡面体8を構成する樹脂部材よ
りも高弾性率で、かつ低熱膨張率である、例えばアルミ
ニウム等の金属製の軸方向断面L字型の環状の接合部補
強部材12dを設けることもできる。図示するように、
接合部補強部材12dは、接合部12の周方向に沿っ
て、そのL字の一方の脚部12eと支持部7cとが固定
され、かつL字の他方の脚部12fと鏡面体8とが固定
されて、接合部12に補強を施している。
【0072】このように、接合部12に接合部補強部材
12dを設けることによって、鏡面体8が照射熱や遠心
力を受けても、接合部12は、上記のような、樹脂部材
よりも剛性が高く、かつ熱膨張をしにくい接合部補強部
材12dにより補強が施されているので、鏡面体8が支
持部7cに対して傾斜しにくくなる。したがって、支持
部7cに対する鏡面体8の直角度は低下しないので、照
射熱や遠心力などによるミラー面8aの傾斜をより確実
に抑制することができる。
【0073】(実施の形態5)図7は、本発明の実施の
形態5におけるポリゴンミラー7の軸方向の断面図であ
る。このポリゴンミラー7における本体部7dは樹脂製
であり、その形状は、図15に示した従来の技術におけ
るポリゴンミラー1と同様である。しかし、実施の形態
5におけるポリゴンミラー7には、基体部7bの上面、
下面及びその他の外表面にアルミニウム製の保護シート
13が接着されており、このポリゴンミラー7におい
て、光が照射される側面部分には鏡面仕上げが施されて
ミラー面8aが形成されている。この点においてのみ図
15に示した従来の技術におけるポリゴンミラー1の構
成とは異なっており、その他の構成は同様である。ま
た、図8は実施の形態5におけるポリゴンミラー7の平
面図である。
【0074】上記のようにポリゴンミラー7を構成する
ことにより、ミラー面8aが受けた照射熱は、保護シー
ト13における他の部分へ伝熱されてポリゴンミラー7
の周囲の空気層10に放散される。したがって、図15
に示したようなポリゴンミラー1の形状であって、樹脂
部材のみで形成されるものに比べて、ミラー面8aでの
熱の蓄積が緩和されるため、熱によって鏡面体8が変形
することを抑えることができる。また、保護シート13
をポリゴンミラー7の本体部7dにおける外面に装着す
るだけであるので、図15に示したような従来の技術に
おける、樹脂部材のみで形成されるポリゴンミラー1と
同様に、軽量を維持することができる。
【0075】(実施の形態6)図9は、本発明の実施の
形態6におけるポリゴンミラー7の静止状態の軸方向の
断面図であり、図10は、本発明の実施の形態6におけ
るポリゴンミラー7の作動状態の軸方向の断面図であ
る。
【0076】図9及び図10におけるポリゴンミラー7
の本体部7dは樹脂製であり、その形状は、図9及び図
10においては軸方向断面が矩形状のものを示している
が、本体部7dの外周面に多面体状のミラー面が形成さ
れているものであればいずれの形状であってもかなわな
い。
【0077】実施の形態6におけるポリゴンミラー7の
本体部7dの上端部には、例えばアルミニウム製の薄膜
のような、可とう性で、難燃性であり、かつ不透明な保
護膜14の一端側14aのみが接着されている。また、
図9及び図10において、15に示す矢印は、ミラー面
8aに照射される光の進行方向を示している。
【0078】上記のようにポリゴンミラー7を構成する
ことによって、ポリゴンミラー7の回転速度が通常の回
転状態よりも低下しているとき、または停止していると
きでは、図9に示すように、保護膜14の他端側14b
がミラー面8aの下端部にまで垂れ下がるので、ミラー
面8aに向けて照射された光15はミラー面8aに到達
する前に、保護膜14の表面で他方向に向けて反射す
る。したがって、ポリゴンミラー7の回転速度が通常の
回転状態よりも低下しているとき、または停止している
ときには、ミラー面8aへの光15の照射を遮断するこ
とができる。一方、ポリゴンミラー7の通常の回転時に
は、図10に示すように、自由端である保護膜14の他
端側14bは、遠心力によりミラー面8aの上端部とほ
ぼ水平となる位置まで上昇することができるので、照射
された光15はミラー面8aに到達することができる。
【0079】これにより、回転軸2とポリゴンミラー7
との接続部に異常が発生し、モータ9が回転しているに
もかかわらずポリゴンミラー7が回転していないような
状況でも、安価に、かつ確実にミラー面8aへ照射され
る光15を遮断することができ、樹脂製のポリゴンミラ
ー7を保護することができる。
【0080】したがって、ポリゴンミラー7の回転速度
が通常の状態よりも低下している状態、または停止して
いる状態を検出するためのセンサ等の装置をあらためて
設ける必要がなく、機器のコストダウンをはかることが
できる。
【0081】(実施の形態7)図11は、本発明の実施
の形態7におけるポリゴンミラー7の静止状態の斜視図
であり、図12は、本発明の実施の形態7におけるポリ
ゴンミラー7の作動状態の斜視図である。
【0082】図11及び図12におけるポリゴンミラー
7の本体部7dは樹脂製であり、ポリゴンミラー7に
は、光遮断装置16が設けられている。上記の光遮断装
置16は、ミラー面8aに対して垂直な方向に、かつポ
リゴンミラー7の上部に取り付けられている支持棒17
と、この支持棒17に回転自在に取り付けられている回
転翼18からなる。回転翼18は互いに直交する2つの
面部材からなり、第1の面部材である一方の面は、支持
棒17に平行かつ回転自在に取り付けられて、ポリゴン
ミラー7の回転に伴って発生する風19を受けることが
できる風受面20であり、第2の面部材である他方の面
は、風受面20が風19を受けていない時において、光
源(図示は省略)に対してミラー面8aを覆うように形
成されて光15を遮断することができる光遮断面21で
ある。
【0083】上記のようにポリゴンミラー7を構成する
ことによって、ポリゴンミラー7の回転速度が通常の回
転状態よりも低下しているとき、または停止していると
きでは、図11に示すように、回転翼18における光遮
断面21が光源(図示は省略)に対してミラー面8aを
覆っているので、ミラー面8aに照射される光15を遮
断することができる。一方、ポリゴンミラー7の通常の
回転時には、図12に示すように、回転翼18における
風受面20が、ポリゴンミラー7の回転に伴って発生す
る風19を受けることによって、支持棒17を中心にミ
ラー面8aの上端部とほぼ水平となる位置まで旋回し、
これによって光遮断面21が光15の光路からはずれ、
照射されている光15がミラー面8aに到達することが
できる。
【0084】これにより、実施の形態6と同様に、例え
ば光照射中に回転軸2とポリゴンミラー7との接続部に
異常が発生し、モータ9が回転しているにもかかわらず
ポリゴンミラー7が回転していないような状況でも、ミ
ラーの回転速度検出手段を必要とせず、安価に、かつ確
実にミラー面8aへ照射される光15を遮断することが
でき、樹脂製のポリゴンミラー7を保護することができ
る。
【0085】したがって、ポリゴンミラー7の回転速度
が通常の状態よりも低下している状態、または停止して
いる状態を検出するためのセンサ等の装置をあらためて
設ける必要がなく、機器のコストダウンをはかることが
できる。
【0086】なお、上記の実施の形態1〜実施の形態7
における樹脂製ポリゴンミラーを、レーザープリンタ等
の画像形成装置や投射型映像表示装置における偏向装置
として用いることにより、機器全体のコストダウンや軽
量化を実現することができる。
【0087】
【発明の効果】以上のように本発明によると、反射体
は、その軸方向における中央部が支持部によって支持さ
れているので、従来の上面を有底とした中空状、すなわ
ち軸方向断面L字形状の回転多面鏡に比べて、反射体が
回転多面鏡の外表面側の周囲の空気層と接する面積が広
くなる。これにより、反射面において受けた照射熱が、
反射体から周囲の空気層などに放散されやすくなる。し
たがって、反射面の温度上昇を抑えることができ、反射
面が熱を受けることによって生じる変形を小さくするこ
とができる。また、反射体は上述のように軸方向中央部
が支持部によって支持されているので、従来の上面を有
底とした中空状、すなわち軸方向断面L字形状の回転多
面鏡に比べて、反射体が遠心力を受けることによって生
じる機械的変形を小さくすることができる。以上のこと
から、反射体が支持部に対して傾斜する角度をきわめて
小さく抑えることができる。また、回転多面鏡が中空部
を有するので全体として軽量になる。
【0088】また、中空部を形成することで軽量になっ
ている回転多面鏡を、樹脂製にすることにより、さらに
軽量にすることができる。また、反射体は反射体補強部
材によって補強されているので、照射熱や遠心力を受け
てもその変形量は小さくなる。したがって、反射面の傾
斜をより小さく抑えることが可能である。
【0089】また、反射体は、照射熱や遠心力を受けて
も、反射体補強部材が反射体から基体部までに及んで固
定されているため、反射体補強部材だけでなく反射体補
強部材に連なっている基体部によっても補強されること
になる。したがって、反射体の変形量は小さくなるの
で、反射面の傾斜をより確実に小さく抑えることが可能
である。
【0090】また、反射体補強部材が基体部を覆うよう
にして反射体のみに固定されていることにより、反射体
補強部材が基体部において開口している状態に比べて反
射体補強部材の剛性が増すので、反射面の傾斜をより確
実に小さく抑えることが可能である。また、反射体補強
部材は、基体部を覆っているが、反射体に固定されてい
るだけで基体部には固定されていないので、反射体に固
定する際に、反射体及び基体部の寸法に誤差がある場合
にも、反射体及び基体部が無理に固定されることがな
く、よって反射体及び基体部に初期応力を与えることを
防止することができる。
【0091】また、樹脂製である反射体が照射熱や遠心
力を受けても、反射体には、樹脂に比べて熱膨張しにく
く、かつ剛性の高い材料で形成されている反射体補強部
材によって補強が施されていることから、反射面の変形
をより確実に小さく抑えることが可能である。
【0092】また、照射熱により反射体の温度が上昇し
ようとしても、樹脂製の回転多面鏡よりも高熱伝導率で
ある反射体補強部材が反射体に固定されていることによ
り、反射体において蓄積されつつある照射熱を、反射体
補強部材を経由して回転多面鏡の周囲の空気層に放散さ
せることができる。したがって、反射体における照射熱
の蓄積を緩和させることができる。これにより、反射体
の温度の上昇を緩和することができるので、反射面の熱
による傾斜をさらに小さく抑えることが可能である。
【0093】また、反射体は、照射熱や遠心力を受けて
も、接合部に補強が施されているので支持部に対して傾
斜しにくくなる。これにより、支持部に対する反射体の
直角度が低下しにくく、したがって照射熱や遠心力など
による反射面の傾斜を抑制することができる。
【0094】また、接合部に、面取り部が形成されてい
るか、あるいはフィレットが施されることにより、接合
部を厚肉に形成することができる。このように、接合部
が厚肉になると支持部に対して反射体が傾斜しにくくな
り、支持部に対する反射体の直角度を維持することがで
きる。したがって、照射熱や遠心力などによる反射面の
傾斜を抑制することができる。
【0095】また、反射体は、接合部に補強リブが設け
られているので、照射熱や遠心力を受けても、反射体が
支持部に対して傾斜しにくくなる。したがって、支持部
に対する反射体の直角度が低下しないので、照射熱や遠
心力などによる反射面の傾斜を抑制することができる。
【0096】また、反射体が照射熱や遠心力を受けて
も、接合部は、支持部及び反射体を構成する樹脂部材よ
りも剛性が高く、かつ熱膨張をしにくいL字型の部材に
て形成されている接合部補強部材により補強が施されて
いるので、反射体が支持部に対して傾斜しにくくなる。
これにより、支持部に対する反射体の直角度が低下しに
くく、したがって照射熱や遠心力などによる反射面の傾
斜をより確実に抑制することができる。
【0097】また、支持部及び反射体を構成する樹脂部
材よりも高熱伝導率である材料によって形成されている
接合部補強部材によって、接合部に補強が施されている
ことにより、反射体において蓄積される照射熱を、接合
部補強部材を経由して回転多面鏡の周囲の空気層に放散
させることができる。したがって、反射体における照射
熱の蓄積を緩和させることができる。これにより、反射
体の温度の上昇を緩和することができるので、反射面の
熱による傾斜をさらに小さく抑えることが可能である。
【0098】また、回転多面鏡の本体部における外面に
装着されている保護シートは、本体部よりも熱伝導率の
高い材料によって形成されているので、反射面が受けた
照射熱は、保護シートによって伝熱されて回転多面鏡の
周囲の空気層に放散される。したがって、反射面での熱
の蓄積を緩和することができる。これにより、反射面の
温度の上昇を緩和することができるので、熱によって反
射面が傾斜することを抑制することができる。また、保
護シートを回転多面鏡の本体部における外面に装着する
だけであるので、樹脂部材のみで形成される回転多面鏡
と同様に、軽量を維持することができる。
【0099】また、薄膜は、回転多面鏡の回転時には、
遠心力を受けることにより開いて反射面を露出し、照射
された光は反射面に到達することができる。一方、薄膜
は、回転多面鏡の回転速度低下時には、遠心力を受けな
くなることにより閉じて反射面を覆うように構成されて
いるので、回転多面鏡の回転速度が通常よりも低下して
いるとき、または回転多面鏡の回転が停止しているとき
では、反射面に向けて照射された光は、反射面に到達す
る前に薄膜により遮断される。したがって、回転多面鏡
の回転速度が通常よりも低下しているとき、または回転
多面鏡の回転が停止しているときにおいて、反射面へ照
射される光が反射面に到達することを確実に防止するこ
とができ、樹脂製の回転多面鏡における反射面を照射熱
から保護することができる。
【0100】また、光遮断装置は、回転多面鏡の回転に
伴って発生する空気流を受けて旋回する第1の面部材
と、第1の面部材が旋回したときにこの旋回動作に連動
して反射面を露出させる第2の面部材とを有しているの
で、回転多面鏡の通常の回転時においては、第2の面部
材が光路からはずれ、照射された光はそのまま反射面に
到達することができる。一方、光遮断装置における第2
の面部材は、第1の面部材が回転多面鏡の回転速度低下
時に空気流が減衰して旋回状態を解消したときに、この
解消動作に連動して反射面を覆うように構成されている
ので、回転多面鏡の回転速度が通常よりも低下している
とき、または回転多面鏡の回転が停止しているときにお
いては、第2の面部材は反射面を覆っており、照射され
る光が反射面に到達することを防止することができる。
したがって、回転多面鏡の回転速度が通常よりも低下し
ているとき、または回転多面鏡の回転が停止していると
きにおいて、反射面へ照射される光を確実に遮断するこ
とができ、樹脂製の回転多面鏡における反射面を照射熱
から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるポリゴンミラー
の軸方向の断面図
【図2】図1に示すポリゴンミラーの斜視図
【図3】ポリゴンミラーの形状及び材質に対する作動時
のミラー面の傾斜角の値を示す図
【図4】本発明の実施の形態2におけるポリゴンミラー
の軸方向の断面図
【図5】本発明の実施の形態3におけるポリゴンミラー
の軸方向の断面図
【図6】本発明の実施の形態4におけるポリゴンミラー
の接合部に補強が施されている様子を示す斜視図
【図7】本発明の実施の形態5におけるポリゴンミラー
の軸方向の断面図
【図8】図7に示すポリゴンミラーの平面図
【図9】本発明の実施の形態6におけるポリゴンミラー
の静止状態の軸方向の断面図
【図10】本発明の実施の形態6におけるポリゴンミラ
ーの作動状態の軸方向の断面図
【図11】本発明の実施の形態7におけるポリゴンミラ
ーの静止状態の斜視図
【図12】本発明の実施の形態7におけるポリゴンミラ
ーの作動状態の斜視図
【図13】従来の技術における、二十四角柱状で中実か
つ厚肉に形成された樹脂製のポリゴンミラーの軸方向の
断面図
【図14】図13の形状のポリゴンミラーの作動時にお
いて、ポリゴンミラーの材質に対するミラー面の傾斜角
の値を示す図
【図15】従来の技術における、上面を有底とした中空
状のポリゴンミラーの静止状態における軸方向の断面図
【図16】図15に示すポリゴンミラーの作動状態にお
ける軸方向の断面図
【図17】図16に示すポリゴンミラーの材質別のミラ
ー面の照射熱量とミラー面温度との関係を示す図
【図18】図16に示すポリゴンミラーの材質別のミラ
ー面の照射熱量とミラー面傾斜角A1との関係を示す図
【図19】図16に示すポリゴンミラーの材質別のミラ
ー面の照射熱量とミラー面傾斜角A2との関係を示す図
【図20】図15に示す形状のポリゴンミラーの回転停
止時における、光照射を受けているミラー面の材質別の
温度分布図
【符号の説明】
7 ポリゴンミラー 7a 中空部 7b 基体部 7c 支持部 8 鏡面体 8a ミラー面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山岸 成多 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2H045 AA06 AA07 AA62

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一方の端部に底部を有し、他方の端部に開
    口部を有し、かつ内部に中空部が形成されている柱状の
    基体部と、前記基体部の開口部側の外周面から径方向外
    側に向けて形成されている支持部と、前記支持部に対し
    て垂直に形成され、かつ軸方向における中央部が前記支
    持部にて支持され、かつ外周面に多面体状の反射面を有
    する反射体とを備えていることを特徴とする回転多面
    鏡。
  2. 【請求項2】樹脂部材からなることを特徴とする請求項
    1記載の回転多面鏡。
  3. 【請求項3】反射面が傾斜することを防止するための反
    射体補強部材を反射体に固定したことを特徴とする請求
    項2記載の回転多面鏡。
  4. 【請求項4】反射体補強部材を、反射体から基体部にか
    けて固定したことを特徴とする請求項3記載の回転多面
    鏡。
  5. 【請求項5】反射体補強部材を、基体部を覆うようにし
    て反射体のみに固定したことを特徴とする請求項3記載
    の回転多面鏡。
  6. 【請求項6】反射体補強部材が、樹脂製の回転多面鏡よ
    りも高弾性率で、かつ低熱膨張率である材料によって形
    成されていることを特徴とする請求項3から5までのい
    ずれか1項記載の回転多面鏡。
  7. 【請求項7】反射体補強部材が、樹脂製の回転多面鏡よ
    りも高熱伝導率である材料によって形成されていること
    を特徴とする請求項3から6までのいずれか1項記載の
    回転多面鏡。
  8. 【請求項8】支持部と反射体との接合部に補強が施され
    ていることを特徴とする請求項2から7までのいずれか
    1項記載の回転多面鏡。
  9. 【請求項9】接合部に面取り部が形成されているか、あ
    るいはフィレットが施されていることを特徴とする請求
    項8記載の回転多面鏡。
  10. 【請求項10】接合部における周方向に沿った適宜の位
    置に補強リブが設けられていることを特徴とする請求項
    8記載の回転多面鏡。
  11. 【請求項11】接合部に接合部補強部材を有し、前記接
    合部補強部材は、支持部及び反射体を構成する樹脂部材
    よりも高弾性率で、かつ低熱膨張率のL字型の部材にて
    形成され、前記接合部補強部材を構成するL字の一方の
    脚部と支持部とが固定され、かつL字の他方の脚部と反
    射体とが固定されていることを特徴とする請求項8記載
    の回転多面鏡。
  12. 【請求項12】接合部補強部材が、支持部及び反射体を
    構成する樹脂部材よりも高熱伝導率である材料によって
    形成されていることを特徴とする請求項11記載の回転
    多面鏡。
  13. 【請求項13】回転多面体にて形成されている樹脂製の
    回転多面鏡であって、前記回転多面鏡の本体部の外面
    に、前記本体部よりも熱伝導率の高い材料によって形成
    されている保護シートが装着され、前記本体部の外周側
    面部に装着された部分の前記保護シートの表面には鏡面
    仕上げが施されて反射面が形成されていることを特徴と
    する回転多面鏡。
  14. 【請求項14】外周面に多面体状の反射面が形成されて
    いる樹脂製の回転多面鏡であって、前記回転多面鏡に薄
    膜が取り付けられ、前記薄膜は、前記回転多面鏡の回転
    時には、遠心力を受けることにより開いて前記反射面を
    露出し、かつ前記回転多面鏡の回転速度低下時には、遠
    心力を受けなくなることにより閉じて前記反射面を覆う
    ように構成されていることを特徴とする回転多面鏡。
  15. 【請求項15】外周面に多面体状の反射面が形成されて
    いる樹脂製の回転多面鏡であって、光遮断装置を有し、
    前記光遮断装置は、前記回転多面鏡の回転に伴って発生
    する空気流を受けて旋回する第1の面部材と、前記第1
    の面部材が前記空気流を受けて旋回したときにこの旋回
    動作に連動して前記反射面を露出させる第2の面部材と
    を有し、前記第2の面部材は、前記回転多面鏡の回転速
    度低下時に空気流が減衰して第1の面部材が旋回状態を
    解消したときに、この解消動作に連動して前記反射面を
    覆うように構成されていることを特徴とする回転多面
    鏡。
  16. 【請求項16】請求項1から15までのいずれか1項記
    載の回転多面鏡を有することを特徴とする投射型映像表
    示装置。
  17. 【請求項17】請求項1から15までのいずれか1項記
    載の回転多面鏡を有することを特徴とする画像形成装
    置。
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