JP2002367673A - 電解液及び二次電池 - Google Patents
電解液及び二次電池Info
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Abstract
及びそれに用いられる電解液を提供する。 【構成】 炭酸エステル、エーテル及びラクトンからな
る群から選ばれる少なくとも1種の非水系溶媒を主体と
する溶媒にリチウム塩を溶解してなる電解液において、
ジカルボン酸ジエステル(但し、シュウ酸ジエステル及
びコハク酸ジエステルは除く)及びその誘導体を上記溶
媒に対して、0.1〜5重量%含有させる。
Description
池に関する。詳しくは、過充電状況下での安全性が向上
した二次電池及びそれに用いられる電解液に関する。
て、炭酸エステル、エーテル、ラクトン等の非水系溶媒
を主体とする溶媒にリチウム塩を溶解した電解液が知ら
れている。これらの非水系溶媒は、誘電率が高く、また
酸化電位が高いために電池使用時の安定性にも優れる等
の電池特性上優れた溶媒である。
解液は、該非水系溶媒の高安定性のために高い電位での
使用が可能であるが故に、逆に充電時等に所定の上限電
圧以上の電圧になる、いわゆる過充電現象が問題となり
やすい。過充電になると、電池の変形や発熱だけでな
く、甚だしい場合には発火、破裂等の現象をも招き得る
ので、過充電時の二次電池の安全性を向上させることは
重要である。
て、重量当たりの容量が大きいことから、層状構造を有
するリチウムコバルト酸化物(LiCoO2)やリチウ
ムニッケル酸化物(LiNiO2)等のリチウム遷移金
属複合酸化物が有力な材料として挙げられるが、これら
の化合物は過充電状態においてリチウムイオンが殆ど脱
離した状態となって不安定になり、電解液と急激な発熱
反応を起こしたり、負極上にリチウム金属を析出させた
りすることがあるので、過充電時の安全性は非常に重要
である。
させる試みとして、電解液中に過充電防止剤を添加し
て、電流を遮断する方法が知られている。即ち、過充電
防止剤として、電池の上限電圧値以上の酸化電位を有す
るビフェニル等の芳香族化合物を電解液中に添加し、過
充電状態となった際には、上記芳香族化合物が酸化重合
して活物質表面に高抵抗の被膜を形成することによって
過充電電流を抑えて過充電の進行を止める方法である
(例えば、特開平9−106835号、特許第2939
469号、特許第2983205号の各公報等)
過充電防止方法でも十分とは言えないのが現状であっ
た。例えば、特開平9−106835号公報に記載され
た過充電防止剤であるビフェニルや3−クロロチオフェ
ン、フラン等は電池特性に悪影響を及ぼすことがあり、
特許第2939469号公報に記載された過充電防止剤
であるテルフェニル誘導体は電解液への溶解性が低いた
めに電池性能の低下をもたらすことがあり、さらに、特
許第2983205号公報に記載された過充電防止剤で
あるジフェニルエーテルは刺激臭が強く扱いづらいとい
う問題点を有していた。
しい過充電防止剤が求められていた。
みてなされたものであり、その目的は、効果的な過充電
防止剤を用いてより優れた過充電の防止を図り、過充電
時の安全性を高めることにある。本発明者らは上記の目
的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、過充電防止剤と
して、従来の芳香族系の化合物ではない、ジカルボン酸
ジエステル(但し、シュウ酸ジエステル及びコハク酸ジ
エステルは除く)及びその誘導体が、酸化に強いにも拘
わらず過充電防止剤として使用できること、そして炭酸
エステル、エーテル、ラクトン等の非水系溶媒を主体と
する溶媒に対して比較的少量の前記ジカルボン酸ジエス
テル又はその誘導体を用いることによって十分な過充電
時の安全性が確保できることを見出し、その知見に基づ
いて本発明を完成した。
ーテル及びラクトンからなる群から選ばれる少なくとも
1種の非水系溶媒を主体とする溶媒にリチウム塩を溶解
してなる電解液において、ジカルボン酸ジエステル(但
し、シュウ酸ジエステル及びコハク酸ジエステルを除
く)及びその誘導体を、上記溶媒に対して0.1〜5重
量%含有することを特徴とする電解液、に存する。
と、負極とを有することを特徴とする二次電池、に存す
る。
詳細に説明する。本発明の電解液に使用する溶媒は、炭
酸エステル、エーテル及びラクトンからなる群から選ば
れる少なくとも1種の非水系溶媒を主体とするものであ
る。これらの非水系溶媒の含有割合は、溶媒全体に対し
て、通常50重量%以上、好ましくは80%重量以上、
さらに好ましくは100重量%とする。上記非水系溶媒
の占める割合が少なすぎると電解液の電気伝導度等の低
下や、電解液の酸化還元反応に伴う劣化が大きいという
問題点が生じることがある。
テルとしては、プロピレンカーボネート(PC)、エチ
レンカーボネート(EC)等の環状炭酸エステル、ジメ
チルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート
(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等の
鎖状炭酸エステル等を例示することができる。また、上
記非水系溶媒として使用できるエーテルとしては、ジメ
トキシエタン(DME)、ジエトキシエタン(DEE)
等を例示することができる。
クトンとしては、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バ
レロラクトン等を例示することができる。上記非水系溶
媒は、炭酸エステル、エーテル及びラクトンの少なくと
も1種を用いればよいが、好ましくは、炭酸エステルを
含有させる。無論、これらの複数種を併用することもで
きる。特に好ましいのは、高誘電率溶媒であるPC、E
C等の環状炭酸エステル又はGBL等のラクトン類と、
低粘度溶媒であるDMC、DEC、EMC等の鎖状炭酸
エステルとの混合溶媒である。
剤としてジカルボン酸ジエステル(但し、シュウ酸ジエ
ステル及びコハク酸ジエステルを除く)及びその誘導体
を0.1〜5重量%含有させることを特徴とする。該ジ
カルボン酸ジエステルとして好ましくはジカルボン酸ジ
アルキルエステルを使用する。上記ジカルボン酸ジエス
テルとして好適な化合物としては、下記一般式(1):
キル基またはハロゲン置換アルキル基を表し、nは1及
び3〜10の整数である。)で表される飽和ジカルボン
酸ジエステル、及び下記一般式(2):
キル基またはハロゲン置換アルキル基を表し、p及びqは
それぞれ0〜5の整数であって、0≦p+q≦10であ
る。)で表される不飽和ジカルボン酸ジエステル、が挙
げられる。上記一般式(1)及び(2)中のR1、R2、R3
及びR4は、炭素数1〜10のアルキル基またはハロゲン
置換アルキル基である。具体的には、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチ
ル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソ
ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フルオロメチル
基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリ
フルオロエチル基、ペンタフルオロプロピル基、トリフ
ルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ノナフルオ
ロペンチル基、テトラフルオロプロピル基、ヘキサフル
オロブチル基、オクタフルオロペンチル基、プロピルフ
ルオロメチル基、プロピルジフルオロメチル基、プロピ
ルトリフルオロメチル基、ブチルフルオロメチル基、ブ
チルジフルオロメチル基、ブチルトリフルオロメチル
基、ペンタフルオロブチル基、ヘプタフルオロペンチル
基等を挙げることができる。また、上記一般式(1)中
のnは1及び3〜10の整数であり、一般式(2)中の
p及びqはそれぞれ0〜5の整数であって、0≦p+q
≦10の関係式を満たす。上記R1〜R4の炭素数、n及び
p+qが10を超えると、前記溶媒に対する溶解性が低
下する傾向にあるため、過充電防止効果が低下する恐れ
がある。
カルボン酸ジエステルの分子骨格を持つ化合物であれ
ば、シュウ酸ジエステル及びコハク酸ジエステルを除
き、特に限定されない。また、これらの誘導体を用いる
こともできる。誘導体としては、上記ジカルボン酸ジエ
ステルの水素原子の一部を置換基にて置換したもの等、
上記ジカルボン酸ジエステル骨格を有する各種の化合物
を挙げることができる。上記の置換基としては、例え
ば、ハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、アミノ基、ア
ルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボンアミノ
基、スルホンアミド基、オキシカルボニルアミノ基、オ
キシスルホニルアミノ基、ウレイド基、ヒドロキシル
基、メルカプト基、メトキシル基、炭素数1〜3の低級
アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルケ
ニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、シ
アノ基、ニトロ基、ホルミル基、アリールオキシ基、ア
ルキルチオ基、アクリル基、アリールチオ基、アシルオ
キシ基、スルホニルオキシ基、アシル基、オキシカルボ
ニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルフィニル
基、オキシスルフィニル基、スルファモイル基、カルボ
ン酸基若しくはその塩、スルホン酸基若しくはその塩、
ホスホン酸基若しくはその塩、複素環残基、又は水酸基
等を挙げることができる。なお、上記置換基の炭素数は
通常10以下、好ましくは5以下である。
誘導体の具体例としては、マロン酸ジメチル、マロン酸
ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジブチル、マ
ロン酸ビス(フルオロメチル)、マロン酸ビス(ジフル
オロメチル)、マロン酸ビス(トリフルオロメチル)等
のマロン酸ジエステル、マレイン酸ジメチル、マレイン
酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチ
ル、マレイン酸ビス(フルオロメチル)、マレイン酸ビ
ス(ジフルオロメチル)、マレイン酸ビス(トリフルオ
ロメチル)等のマレイン酸ジエステル、フマル酸ジメチ
ル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸
ジブチル、フマル酸ビス(フルオロメチル)、フマル酸
ビス(ジフルオロメチル)、フマル酸ビス(トリフルオ
ロメチル)等のフマル酸ジエステル、グルタル酸ジメチ
ル、グルタル酸ジエチル、グルタル酸ジプロピル、グル
タル酸ジブチル、グルタル酸ビス(フルオロメチル)、
グルタル酸ビス(ジフルオロメチル)、グルタル酸ビス
(トリフルオロメチル)等のグルタル酸ジエステル、ア
ジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジ
プロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ビス(フル
オロメチル)、アジピン酸ビス(ジフルオロメチル)、
アジピン酸ビス(トリフルオロメチル)等のアジピン酸
ジエステル、ピメリン酸ジメチル、ピメリン酸ジエチ
ル、ピメリン酸ビス(フルオロメチル)、ピメリン酸ビ
ス(ジフルオロメチル)、ピメリン酸ビス(トリフルオ
ロメチル)等のピメリン酸ジエステル、スベリン酸ジメ
チル、スベリン酸ジエチル、スベリン酸ジプロピル、ス
ベリン酸ジブチル、スベリン酸ビス(フルオロメチ
ル)、スベリン酸ビス(ジフルオロメチル)、スベリン
酸ビス(トリフルオロメチル)等のスベリン酸ジエステ
ル、アゼライン酸ジメチル、アゼライン酸ジエチル、ア
ゼライン酸ジプロピル、アゼライン酸ジブチル、アゼラ
イン酸ビス(フルオロメチル)、アゼライン酸ビス(ジ
フルオロメチル)、アゼライン酸ビス(トリフルオロメ
チル)等のアゼライン酸ジエステル、セバシン酸ジメチ
ル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジプロピル、セバ
シン酸ジブチル、セバシン酸ビス(フルオロメチル)、
セバシン酸ビス(ジフルオロメチル)、セバシン酸ビス
(トリフルオロメチル)等のセバシン酸ジエステル、ウ
ンデカン二酸ジメチル、ウンデカン二酸ジエチル、ウン
デカン二酸ジプロピル、ウンデカン二酸ジブチル、ウン
デカン二酸ビス(フルオロメチル)、ウンデカン二酸ビ
ス(ジフルオロメチル)、ウンデカン二酸ビス(トリフ
ルオロメチル)等のウンデカン二酸ジエステル、ドデカ
ン二酸ジメチル、ドデカン二酸ジエチル、ドデカン二酸
ジプロピル、ドデカン二酸ジブチル、ドデカン二酸ビス
(フルオロメチル)、ドデカン二酸ビス(ジフルオロメ
チル)、ドデカン二酸ビス(トリフルオロメチル)等の
ドデカン二酸ジエステル、アセトンジカルボン酸ジエチ
ル等を挙げることができるが、これらには限定されな
い。中でも、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マ
ロン酸ジプロピル、マロン酸ジブチル、マロン酸ビス
(フルオロメチル)、マロン酸ビス(ジフルオロメチ
ル)、マロン酸ビス(トリフルオロメチル)等のマロン
酸ジエステル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチ
ル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、マレ
イン酸ビス(フルオロメチル)、マレイン酸ビス(ジフ
ルオロメチル)、マレイン酸ビス(トリフルオロメチ
ル)等のマレイン酸ジエステル、フマル酸ジメチル、フ
マル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチ
ル、フマル酸ビス(フルオロメチル)、フマル酸ビス
(ジフルオロメチル)、フマル酸ビス(トリフルオロメ
チル)等のフマル酸ジエステル、グルタル酸ジメチル、
グルタル酸ジエチル、グルタル酸ジプロピル、グルタル
酸ジブチル、グルタル酸ビス(フルオロメチル)、グル
タル酸ビス(ジフルオロメチル)、グルタル酸ビス(ト
リフルオロメチル)等のグルタル酸ジエステルが好まし
く、さらに好ましくはマロン酸ジメチル、マロン酸ジエ
チル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジブチル、マロン
酸ビス(フルオロメチル)、マロン酸ビス(ジフルオロ
メチル)、マロン酸ビス(トリフルオロメチル)等のマ
ロン酸ジエステル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジ
エチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、
マレイン酸ビス(フルオロメチル)、マレイン酸ビス
(ジフルオロメチル)、マレイン酸ビス(トリフルオロ
メチル)等のマレイン酸ジエステル、フマル酸ジメチ
ル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸
ジブチル、フマル酸ビス(フルオロメチル)、フマル酸
ビス(ジフルオロメチル)、フマル酸ビス(トリフルオ
ロメチル)等のフマル酸ジエステルであり、最も好まし
くはマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジ
プロピル、マロン酸ジブチル、マロン酸ビス(フルオロ
メチル)、マロン酸ビス(ジフルオロメチル)、マロン
酸ビス(トリフルオロメチル)等のマロン酸ジエステル
である。無論、これらの具体的化合物の誘導体も同様に
好ましく使用することができる。
誘導体は上記非水系溶媒に溶解するものが好ましい。溶
解度が低すぎると過充電防止剤として作用するための有
効な添加量が得られないという問題が生じることがあ
る。また、その沸点は、通常100℃以上、好ましくは
120℃以上である、沸点が低すぎると、電池内部で揮
発し、電池使用時に膨れが生じるとか、添加剤として有
効に作用しないという問題点が生じることがある。
誘導体は、無論複数種を併用することができる。ジカル
ボン酸ジエステル及びその誘導体の含有量は、前記溶媒
に対して5重量%以下とするが、好ましくは3重量%以
下、さらに好ましくは2重量%以下とする。含有量が多
すぎると電池特性に悪影響を及ぼすという問題点が生じ
ることがある。ただし、含有量が少なすぎると過充電防
止剤として有効に作用しないことがあるので、0.1重
量%以上、好ましくは0.25重量%以上、さらに好ま
しくは0.5重量%以上とする。
効果を有する理由については明らかではないが、恐らく
過充電時に負極に生成したLi金属とジカルボン酸ジエ
ステルとが電池内で反応し、過充電の進行をくい止めて
いるのであろうと推察している。本発明の電解液は、上
記溶媒中にリチウム塩を含有する。リチウム塩としては
LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、L
iB(C6H5)4、LiCl、LiBr、LiCH3SO
3、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN
(SO2C2F5)2、LiC(SO2CF3)3、LiN
(SO3CF3)2等を挙げることができる。無論、これ
らを2種以上混合して用いてもよい。上記の中でも、L
iBF4及びLiPF6を使用するのが好ましい。リチウ
ム塩の濃度は、電解液全体に対して、通常0.5〜1.
5モル/リットル、好ましくは0.75〜1.25モル
/リットルである。リチウム塩濃度が高すぎても低すぎ
ても電導度の低下が起き、電池特性に悪影響があること
がある。
含有することができる。他の成分としては、例えば、電
池の活物質表面に被膜(SEI)を形成するための各種
の添加剤や界面活性剤を挙げることができる。本発明の
電解液は、リチウム二次電池等の二次電池に用いること
ができる。本発明の二次電池は、正極、負極及び前記電
解液を含んで構成される。前記電解液は、通常、正極と
負極との間の電解質層の成分として用いられるが、過充
電時の安全性を向上させることができれば、電池のどこ
に用いられていてもよい。
としては、好ましくはリチウム遷移金属複合酸化物を使
用する。リチウム遷移金属複合酸化物としては、LiC
oO 2等のリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO2等
のリチウムニッケル複合酸化物、LiMn2O4等のリチ
ウムマンガン複合酸化物等を挙げることができるが、本
発明は特に、正極の活物質としてリチウム含有量の大き
いコバルト系及びニッケル系のリチウム遷移金属複合酸
化物、即ちリチウムコバルト複合酸化物及びリチウムニ
ッケル複合酸化物を用いる場合に効果的である。
体となる遷移金属元素の一部をAl、Ti、V、Cr、
Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、G
a、Zr等の他の金属種で置き換えることにより安定化
させることもでき、また好ましい。無論、正極の活物質
を複数種併用することもできる。本発明の二次電池を構
成する負極の活物質としては、リチウムを吸蔵及び放出
し得る物質を用いることができるが、炭素質物が好まし
い。該炭素質物の具体例としては、例えば様々な熱分解
条件での有機物の熱分解物や、人造黒鉛、天然黒鉛等が
挙げられる。好適には種々の原料から得た易黒鉛性ピッ
チの高温熱処理によって製造された人造黒鉛並びに黒鉛
化メソフェーズ小球体、黒鉛化メソフェーズピッチ系炭
素繊維等の他の人造黒鉛及び精製天然黒鉛、或いはこれ
らの黒鉛にピッチを含む種々の表面処理を施した材料が
使用される。これらの炭素質物は、学振法によるX線回
折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が
0.335〜0.34nmであるものが好ましく、0.
335〜0.337nmであるものがより好ましい。灰
分は1重量%以下であるのが好ましく、0.5重量%以
下であるのがより好ましく、0.1重量%以下であるの
が特に好ましい。また、学振法によるX線回折で求めた
結晶子サイズ(Lc)が30nm以上であるのが好まし
く、50nm以上であるのがより好ましく、100nm
以上であるのが特に好ましい。これらの炭素質物にリチ
ウムを吸蔵・放出可能な他の活物質を更に混合して用い
ることもできる。炭素質物以外のリチウムを吸蔵・放出
可能な活物質としては、酸化錫、酸化珪素等の金属酸化
物材料、更にはリチウム金属並びに種々のリチウム合金
を例示することができる。これらの負極材料は二種類以
上混合して用いてもよい。
記の活物質と結着剤とを含有する。結着剤としては、ポ
リフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ス
チレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエン
ゴム等を挙げることができる。さらに必要に応じて、電
極中には、銅やニッケル等の金属材料、グラファイト、
カーボンブラック等のような炭素材料等の導電材を含有
させることもできる。特に正極については、導電材を含
有させるのが好ましい。
されない。例えば、活物質に、必要に応じて結着剤、増
粘剤、導電材、溶媒等を加えてスラリー状とし、集電体
の基板に塗布し、乾燥することにより製造することがで
きるし、また、該活物質をそのままロール成形してシー
ト電極としたり、圧縮成形によりペレット電極とするこ
ともできる。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロ
ース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロー
ス、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化ス
ターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等が挙げられる。
電体として、銅、ニッケル、ステンレス等の金属又は合
金、好ましくは銅を挙げることができ、また正極集電体
として、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属又は
合金、好ましくはアルミニウム及びその合金を挙げるこ
とができる。二次電池においては、通常、正極と負極と
の間にセパレータが介装される。使用するセパレータの
材質や形状については、特に限定されないが、電解液に
対して安定で、保液性の優れた材料として、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多
孔性シート又は不織布等を用いるのが好ましい。
有する本発明に係る非水系二次電池を製造する方法につ
いては、特に限定されず、通常採用されている方法の中
から適宜選択することができる。また、電池の形状につ
いては特に限定されず、シート電極及びセパレータをス
パイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及び
セパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリ
ンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層した
コインタイプ等が使用可能である。
細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下
の実施例によって限定されるものではない。 [正極の作製]正極は、正極活物質としてのコバルト酸
リチウム(LiCoO2)90重量%と、導電剤として
のアセチレンブラック5重量%と、結着剤としてのポリ
フッ化ビニリデン(PVdF)5重量%とを、N−メチ
ルピロリドン溶媒中で混合して、スラリー化した後、2
0μmのアルミ箔の片面に塗布して乾燥し、さらにプレ
ス機で圧延したものを直径12mmの打ち抜きポンチで
打ち抜いて作製した。 [負極の作製]負極は、負極活物質としての黒鉛(面間
隔0.336nm)95重量%と結着剤のポリフッ化ビ
ニリデン(PVdF)5重量%とを、N−メチルピロリ
ドン溶媒中で混合して、スラリー化した後、20μm厚
さの銅箔の片面に塗布して乾燥し、さらにプレス機で圧
延したものを直径12mmで打ち抜いて作製した。 [電池の組立]アルゴン雰囲気のドライボックス内で、
CR2032型コインセルを使用して、リチウム二次電
池を作製した。即ち、正極缶の上に正極を置き、その上
にセパレータとして25μmの多孔性ポリエチレンフィ
ルムを置き、ポリプロピレン製ガスケットで押さえた
後、負極を置き、厚み調整用のスペーサーを置いた後、
電解液を加え、電池内に十分滲みこませた後、負極缶を
載せて電池を封口した。なお、実施例および比較例で電
池の容量は、充電上限4.2V、放電下限3.0Vで約
4.0mAhになる設計とした。
活物質の重量W(a)との比率は、二次電池の通常の使
用上限電圧において、正極から放出されるリチウムイオ
ンが、対向する負極上でリチウム金属の析出を起こさな
い範囲が好ましいので、負極と正極との容量比Rqが、
1.1≦Rq≦1.2、となるように、その重量を決定
した。なお、容量比Rqは、Q(a)×W(a)/{Q
(c)×W(c)}、で求めた。ここで、電池の初期充
電条件に対応する条件下での、正極活物質の重量当たり
の電気容量をQ(c)mAh/g、リチウム金属が析出
することなしにリチウムを最大限に吸蔵しうる負極活物
質の重量当たりの電気容量をQ(a)mAh/gとし
た。Q(c)及びQ(a)は、正極あるいは負極を作用
極に、対極にリチウム金属を用い、上記電池を組み立て
る際と同じ電解液中でセパレータを介して試験セルを組
んで測定した。すなわち目的とする電池系の初期充電条
件に対応する正極の上限電位あるいは負極の下限電位ま
で、可能な限り低い電流密度で、正極が充電(正極から
のリチウムイオンの放出)できる容量、負極が放電(負
極へのリチウムイオンの吸蔵)できる容量として求め
た。 [電池の評価]電池の評価は、(1)初期充放電(容量
確認)、次いで(2)満充電操作、さらに(3)過充電
試験、の順に行った。
(4.0mA)、4.2V上限の定電流定電圧法により
充電した。充電のカットは、電流値が0.05mAに到
達した時点とした。放電は0.2Cで3.0Vまで定電
流で行った。満充電操作は、4.2V上限の定電流定電
圧法(0.05mAカット)により充電した。
は3hrカット(どちらか先に到達した方でカット)と
した。過充電防止効果の優劣を見る指標としては、過充
電後のコインセルを解体し、正極中に残存しているLi
を元素分析で定量した値を、過充電深度として用いた。
過充電試験後の正極組成をLixCoO2と表す時、x
(正極Li残存量)が大きいほど過充電が進んでおら
ず、過充電防止効果が高いことになる。
(ICP発光分析)により求めた正極中のCoと正味の
Liのモル数比より求めた。なお、正味のLiのモル数
は、同様の分析で正極中のリン(P)の定量も行い、こ
れをLiPF6によるものとし、正極中の全Liモル数
からLiPF6に相当するLiモル数を差し引いて求め
た。 実施例1 電解液として、エチレンカーボネート(EC)及びジエ
チルカーボネート(DEC)の体積比3:7の混合溶媒
に、1モル/リットルの濃度でヘキサフルオロリン酸リ
チウム(LiPF6)を溶解させた電解液に添加剤とし
て2重量%の濃度でマロン酸ジメチルを添加したものを
用いた。
の評価、および過充電後の電池を解体しての電極中のL
i分析を行った。結果を表−1に示す。 実施例2 実施例1において添加したマロン酸ジメチルの代わりに
マロン酸ジエチルを添加したこと以外は同様にして、リ
チウム二次電池の評価、および過充電後の電池を解体し
ての電極中のLi分析を行った。結果を表−1に示す。 実施例3 実施例1において添加したマロン酸ジメチルの代わりに
フマル酸ジエチルを添加したこと以外は同様にして、リ
チウム二次電池の評価、および過充電後の電池を解体し
ての電極中のLi分析を行った。結果を表−1に示す。 比較例1 実施例1において添加剤を加えなかったこと以外は同様
にして、リチウム二次電池の評価、および過充電後の電
池を解体しての電極中のLi分析を行った。結果を表−
1に示す。 比較例2 実施例1において添加したマロン酸ジメチルの代わりに
ジベンゾフランを添加したこと以外は同様にして、リチ
ウム二次電池の評価、および過充電後の電池を解体して
の電極中のLi分析を行った。結果を表−1に示す。な
お、過充電時に短絡によると思われる電圧振動が観測さ
れ、見かけの過充電電流量は大きくなった。 比較例3 実施例1において添加したマロン酸ジメチルの代わりに
コハク酸ジエチルを添加したこと以外は同様にして、リ
チウム二次電池の評価、および過充電後の電池を解体し
ての電極中のLi分析を行った。結果を表−1に示す。
加することによって、過充電時の正極からのLiの抜けが
押さえられ(LixCoO2で表したときのxの値が大き
い)、過充電時の安全性が向上することが分かる。な
お、実施例で作成したリチウム二次電池と比較例で作成
したリチウム二次電池とでは、初期放電容量、5サイク
ル後の容量維持率等の電池特性には大きな差は見られな
かった。
特性、容量等各種の電池特性を向上させることが可能な
電解液を提供することができる。特に、新規な過充電防
止剤によって、過充電時の安全性を向上させることがで
きる電解液を提供することができる。
ート特性、容量等各種の電池特性を向上した電池を提供
することができる。特に、新規な過充電防止剤によっ
て、過充電時の安全性を向上させた電池を提供すること
ができる。
Claims (9)
- 【請求項1】 炭酸エステル、エーテル及びラクトンか
らなる群から選ばれる少なくとも1種の非水系溶媒を主
体とする溶媒にリチウム塩を溶解してなる電解液におい
て、ジカルボン酸ジエステル(但しシュウ酸ジエステル
及びコハク酸ジエステルを除く)又はその誘導体を上記
溶媒に対して0.1〜5重量%の割合で含有することを
特徴とする電解液。 - 【請求項2】 ジカルボン酸ジエステルが、一般式
(1)又は(2)で表される、請求項1に記載の電解
液。 【化1】 (式中、R1及びR2は炭素数1〜10のアルキル基または
ハロゲン置換アルキル基を表し、nは1及び3〜10の
整数である。) 【化2】 (式中、R3及びR4は炭素数1〜10のアルキル基または
ハロゲン置換アルキル基を表し、p及びqはそれぞれ0〜
5の整数であって、0≦p+q≦10である。) - 【請求項3】 ジカルボン酸ジエステルが、マロン酸ジ
エステル、マレイン酸ジエステル及びフマル酸ジエステ
ルからなる群から選択されるものである、請求項2に記
載の電解液。 - 【請求項4】 マロン酸ジエステルが、マロン酸ジメチ
ル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸
ジブチル、マロン酸ビス(フルオロメチル)、マロン酸
ビス(ジフルオロメチル)及びマロン酸ビス(トリフル
オロメチル)からなる群から選択されるものである、請
求項3に記載の電解液。 - 【請求項5】 マレイン酸ジエステルが、マレイン酸ジ
メチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、
マレイン酸ジブチル、マレイン酸ビス(フルオロメチ
ル)、マレイン酸ビス(ジフルオロメチル)及びマレイ
ン酸ビス(トリフルオロメチル)からなる群から選択さ
れるものである、請求項3に記載の電解液。 - 【請求項6】 フマル酸ジエステルが、フマル酸ジメチ
ル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸
ジブチル、フマル酸ビス(フルオロメチル)、フマル酸
ビス(ジフルオロメチル)、フマル酸ビス(トリフルオ
ロメチル)からなる群から選択されるものである、請求
項3に記載の電解液。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1つに記載の電
解液と、正極と、負極とを有することを特徴とする二次
電池。 - 【請求項8】 正極が、リチウム遷移金属複合酸化物を
含有する、請求項7に記載の二次電池。 - 【請求項9】 負極が炭素質物を含有する、請求項7又
は8に記載の二次電池。
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