JP4259789B2 - 非水系二次電池用電解液及びそれを用いた非水電解液二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系電池用電解液及びそれを用いた非水電解液二次電池に関する。詳しくは、過充電状態になっても安全な非水電解液二次電池及びこのような二次電池を与える非水電解液に関する。
【0002】
【従来の技術】
非水系二次電池用電解液には、通常、カーボネート、エーテル、ラクトンなど誘電率が高く、かつ、酸化電位が高い非水系溶媒に、リチウム塩等の電解質を溶解させた電解液が使用されている。
しかしながら、過充電状態になると、リチウムイオンが過剰に引き抜かれて不安定化した正極の金属酸化物と電解液とが反応したり、負極上にリチウム金属が析出し、これがデンドライト状(樹枝状)に発達して正極と短絡を起こしたりして、ガス発生、発熱の原因となり、電池の急激な内圧上昇による変形、熱暴走、破裂等を起こすことがある。
【0003】
過充電状態になったときの安全性を向上させるため、電解液中に過充電防止剤として電池の上限電圧値を超える酸化電位を有するビフェニル等の芳香族化合物を添加しておき、過充電状態になったときに、この芳香族化合物が酸化重合して活物質表面にリチウムイオンの出入りを阻害する高抵抗性の皮膜を形成することにより、過充電の進行を止める方法(レドックスシャトル)が知られている(特開平7−302614号公報、特開平9−50822号公報、特開平9−106835号公報、特許第2939469号公報、特許第2983205号公報等)。
【0004】
また、過充電状態になったときにガス化し、電池の内圧を上昇させることで、電池の電流遮断弁を作動させる鎖状カーバメートを、過充電防止剤として添加する機械的電流遮断方法も知られている(特開2000−348759号公報、特開2000−348760号公報、特開2001−52739号公報、特開2001−52740号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、芳香族化合物を単独で過充電防止剤として使用する方法は、芳香族化合物の酸化反応で発生するガスにより電池が破裂したり、正極で生成する電子導電性の皮膜が負極と短絡して発熱し、電池が爆発したりするので、安全性に問題がある。また、過充電防止効果を発現させるに十分な量の芳香族化合物を添加すると、高温保存時に電池特性が劣化するという問題点を有している。
【0006】
電池の電流遮断弁で過充電を防止する方法は、電池に付加的な構造を持たせなければならないため、設計上、種々の制約がある。
本発明は、優れた過充電防止効果を有し、安全性が高く、さらに高温保存時においても優れた電池特性を有する非水系二次電池用電解液、及びそれを用いた非水電解液二次電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、過充電防止剤として、環状カーバメートと炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートとを併用することにより、より優れた過充電防止効果が発揮されることを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は、一般式(1)で表される環状カーバメート及び炭素‐炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含有する非水系溶媒と電解質とからなることを特徴とする非水系二次電池用電解液、及びそれを用いた非水電解液二次電池に存する。
【0008】
【化5】
【0009】
(式中、R1は水素原子又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
一般式(1)で表される環状カーバメートは単独でも過充電防止効果を示すが、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートと併用することにより、さらに高い過充電防止効果が得られる。環状カーバメートが過充電防止効果を示すのは、環状カーバメートは電池の通常の使用電圧範囲では反応しないが、過充電で正極の酸化電位が通常より貴になった際に、正極上で酸化重合して活物質表面に被膜を形成し、正極からリチウムイオンが過剰に抜けて不安定化するのを防止することによると考えられる。
【0010】
一方、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートは、負極に均一な被膜を生成して、過充電時に負極の上にリチウム金属がデンドライト状に生成するのを抑え、前記環状カーバメートの過充電防止効果を高める働きをすると考えられる。
なお、特開2000−348759号公報、特開2000−348760号公報、特開2001−52739号公報及び特開2001−52740号公報には、鎖状カーバメートを含有する非水溶媒と電解質とからなる過充電防止特性を有する非水電解液が記載されている。これらの発明は、過充電時にガス化した鎖状カーバメートが、電池の内圧を上昇させることにより、電池の電流遮断弁を作動させて過充電を防止する機械的電流遮断機構に基づくものであり、本発明とは本質的に異なる。
【0011】
また、特開2000−285962号公報、特開2001−57233号公報には、環状カーバメートである3−メチル−2−オキサゾリドンを含有する非水電解液を用いた非水電解液二次電池が記載されている。これらの発明は、環状カーバメートである3−メチル−2−オキサゾリドンを電解液中に添加することにより、初期放電容量、サイクル特性、低温特性、負荷特性及び高温保持特性を向上させるものであり、本発明が目的とする過充電の防止とは無関係のものである。
【0012】
さらに、特開平8−321312号公報には、環状カーバメートである3−メチル−2−オキサゾリドンを電解液中に含有した非水電解液電池が記載されている。この発明は、自己放電を抑制することにより保存特性を改善させたものであり、本発明が目的とする過充電の防止とは無関係のものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において使用する電解液の非水系溶媒は、常用のカーボネート、エーテル及びラクトンから、適宜、選択することができる。
カーボネートとしては、プロピレンカーボネート(PC)及びエチレンカーボネート(EC)等の環状カーボネート並びにジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)及びエチルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネートが挙げられる。
【0014】
エーテルとしては、ジメトキシエタン(DME)及びジエトキシエタン(DEE)が挙げられる。
ラクトンとしては、γ-ブチロラクトン(GBL)が挙げられる。
非水系溶媒は、カーボネートを含有しているのが好ましい。特に好ましいのは、高誘電率溶媒であるPC、EC、GBLなどと、低粘度溶媒であるDMC、DEC、EMCなどとの混合溶媒である。
【0015】
本発明で非水系溶媒中に含有させる一般式(1)の環状カーバメートにおいて、R1がアルキル基を表す場合には、そのアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよく、またフッ素原子や塩素原子等のハロゲン原子;ビニル基等のアルケニル基;フェニル基やビフェニル基等のアリール基;メトキシ基やエトキシ基等のアルコキシ基;アミノ基;メチルチオ基等のアルキルチオ基;アセチル基等のアシル基で置換されていてもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロプロピル基、ヘプタフルオロブチル基、ノナフルオロペンチル基、テトラフルオロプロピル基、ヘキサフルオロブチル基、オクタフルオロペンチル基、ペンタフルオロブチル基、ヘプタフルオロペンチル基、アリル基、ベンジル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、アミノエチル基、メチルアミノエチル基、ジメチルアミノエチル基、メチルチオエチル基、アセトニル基などが挙げられる。このうち炭素数1−6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基が特に好ましい。
【0016】
R2、R3、R4及びR5のいずれかが、ハロゲン原子を表す場合には、そのハロゲン原子は塩素又はフッ素原子である。また、R2、R3、R4及びR5のいずれかがアルキル基を表す場合には、そのアルキル基としては上記のR1で述べたと同様のアルキル基及び置換アルキル基が挙げられる。R2〜R5としては、水素原子が好ましい。
【0017】
なお、環状カーバメートは非水溶媒中に溶解していることが必要なので、環状カーバメートの選択に際しては、その溶解性を考慮して行うべきである。
本発明において、非水系溶媒中に含有させる環状カーバメートの好ましいものの一つは、3―メチル−2−オキサゾリドンである。
本発明において、非水系溶媒中に含有させる炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートとしては、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートなどのオレフィン性二重結合を有するものや、フェニルエチレンカーボネート、カテコールカーボネートなどのベンゼン環を有するものが挙げられる。中でも、ビニレンカーボネート又はビニルエチレンカーボネートが好ましい。
【0018】
電解液中の環状カーバメートの含有量は、0.05〜5質量%、好ましくは0.3〜3質量%であり、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートの含有量は、0.05〜5質量%、好ましくは0.3〜3質量%である。つまり、環状カーバメート及び炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートが、合計で電解液中に、0.1質量%〜10質量%となるように含有されていることが好ましい。上記の含有率で環状カーバメートと炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートとを併用することにより、それぞれ単独で用いた場合に比べ、格段に優れた過充電防止効果を発現させることができる。
【0019】
この含有量が多すぎると電解液の伝導度低下や耐酸化性の低下など、電池特性に悪影響を及ぼし、逆に含有量が少なすぎると過充電防止効果が十分に発現しない。
本発明に係る電解液中には、さらに他の過充電防止剤、例えば、過充電電位領域で酸化される芳香族化合物を含有させてもよい。芳香族化合物としては、分子量500以下のものを用いるのが好ましい。分子量が大きすぎると、電解液への溶解性が悪く効果を発揮できないばかりか、電池のサイクル特性や出力特性を悪化させる。
【0020】
芳香族化合物としては、通常は酸化電位が、4.3〜4.9V、好ましくは4.4〜4.7Vのものを用いる。酸化電位が高すぎると過充電防止効果が小さくなり、逆に酸化電位が低すぎると通常条件での電池使用時に電池特性を劣化させることがある。
芳香族化合物としては、例えば、一般式(2)、一般式(3)及び一般式(4)のいずれかで表されるものが挙げられる。
【0021】
【化6】
【0022】
(式中、R6、R7、R8、R9、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の環状若しくは鎖状アルキル基又はフェニル基を表す。)
【0023】
【化7】
【0024】
(式中、R12は炭素数1〜10の環状若しくは鎖状アルキル基又はフェニル基を表し、R13、R14、R15、R16及びR17は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の環状若しくは鎖状アルキル基又はフェニル基を表す。)
【0025】
【化8】
【0026】
(式中、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24及びR25は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の環状若しくは鎖状アルキル基又はフェニル基を表す。)
本発明において用いられる芳香族化合物としては、ビフェニル化合物、シクロヘキシルベンゼン化合物、ジベンゾフラン化合物、ターフェニル化合物、ジフェニルエーテル化合物等が好ましく、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン、ジベンゾフラン、ターフェニル、ジフェニルエーテルが特に好ましい。
【0027】
なお、酸化電位は、下記のサイクリックボルタンメトリー法によって測定することができる。
(酸化電位の測定法)
底面部分のみ露出した1.6mmφの白金を作用極、リチウム金属を対極及び参照極とした、ガラスフィルターで作用極側と対極側が区切られたH型セルを用いて、ECとDECとの体積比率7:3の混合溶媒にLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解した電解液に、試料となる芳香族化合物を0.15mmol/g添加したものをこのセルに入れる。次いで、作用極の電位を酸化側(貴側に)に20mV/秒の掃引速度で掃引する。このとき0.5mA/cm2の電流が流れ出す電位を酸化電位と規定する。測定は室温(25℃付近)で行う。
【0028】
本発明で非水溶媒中に含有させる電解質としては、リチウム二次電池に使用されるものであれば任意のものを使用することができ、例えば、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiCl、LiBr、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiC(SO2CF3)3、LiN(SO3CF3)2等のリチウム塩が挙げられ、このうち、LiBF4又はLiPF6が好ましい。リチウム塩は単独でも、2種以上を混合して用いることもできる。
【0029】
電解液中のリチウム塩の濃度は、通常0.5〜1.5M、好ましくは0.75〜1.25Mである。リチウム塩の濃度は高すぎても、また、低すぎても電導度の低下が起き、電池特性に悪影響を及ぼすことがある。
電解液には、必要に応じて、さらに各種の添加剤や界面活性剤等の成分を含有させることができる。
【0030】
本発明に係る電池は、上述した電解液を用いる以外は、通常の非水電解液二次電池と同じである。
正極活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。リチウム遷移金属複合酸化物としては、LiCoO2等のリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO2等のリチウムニッケル酸化物、LiMn2O4等のリチウムマンガン酸化物等を挙げることができる。特に、リチウムとコバルト及び/又はニッケルとを必須とする金属複合酸化物が好ましい。これらリチウム遷移金属複合酸化物は、主体となる遷移金属元素の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr等の他の金属種で置き換えることにより安定化させることができる。また、複数種の正極活物質を併用することもできる。
【0031】
負極活物質としては、リチウムを吸蔵及び放出し得る物質であればいずれのものも使用することができるが、炭素物質が好ましい。
炭素物質としては、様々な熱分解条件での有機物の熱分解物、人造黒鉛、天然黒鉛等が挙げられる。易黒鉛性ピッチの高温熱処理によって製造された人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズ小球体、黒鉛化メソフェーズピッチ系炭素繊維等の人造黒鉛及び精製天然黒鉛並びに前記黒鉛にピッチを含む種々の表面処理を施したものなどが好ましい。
【0032】
これらの炭素物質は、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、0.335〜0.34nmであるものが好ましく、0.335〜0.337nmであるものがより好ましい。
なお、これらの炭素物質に、リチウムを吸蔵・放出可能な他の活物質を混合したものを用いることもできる。このような活物質としては、酸化錫、酸化珪素等の金属酸化物材料、リチウム金属及び種々のリチウム合金が挙げられる。これらの負極材料は2種類以上混合して用いてもよい。
【0033】
電極の製造方法としては、公知の方法を使用することができる。例えば、活物質に結着剤、増粘剤、導電材、溶媒を加えてスラリー状とし、集電体の基板に塗布し、乾燥することにより製造する方法、該活物質をそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成形によりペレット電極とする方法などが挙げられる。結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブダジエンゴム等が挙げられる。
【0034】
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等が挙げられる。
導電材としては、銅、ニッケル等の金属材料、グラファイト、カーボンブラック等の炭素物質が挙げられる。
【0035】
電極に使用する集電体としては、負極集電体として、銅、ニッケル、ステンレス等の金属又は合金が挙げられ、銅が好ましい。また、正極集電体としては、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属又は合金が挙げられ、アルミニウム及びその合金が好ましい。
正極と負極とを隔離するセパレータは、電解液に対して安定で、保液性の優れたものであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート及び不織布等が挙げられる。
【0036】
本発明に係る電池は、常用されている任意の形状とすることができ、例えば、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(正極の作製) 正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)90質量%、導電剤としてアセチレンブラック5質量%及び結着剤としてポリフッ化ビニリデン5質量%を、N−メチルピロリドン中で混合し、スラリー化した。これを厚さ20μmのアルミ箔の片面に塗布、乾燥した。これをプレス機で圧延し、直径12mmの打ち抜きポンチで打ち抜いて、正極を作製した。
(負極の作製) 負極活物質として黒鉛(面間隔0.336nm)95質量%及び結着剤としてポリフッ化ビニリデン5質量%を、N−メチルピロリドン中で混合し、スラリー化した。これを20μm厚さの銅箔の片面に塗布し乾燥した。これをプレス機で圧延し、直径12.5φmmの円盤状に打ち抜いて、負極を作製した。
(電池の作製) アルゴン雰囲気のドライボックス内で、CR2032型コインセルを使用して、以下の方法により、リチウム二次電池を作製した。
【0038】
まず、正極缶の上に正極を置き、その上にセパレータとして厚さ25μmの多孔性ポリエチレンフィルムを2枚置いた。これをポリプロピレン製ガスケットで押さえてから、負極を置き、厚み調整用のスペーサーを置いた。次いで、電解液を加え、電池内に十分しみこませてから、負極缶を載せ、電池を封口した。セパレータを2枚としたのは過充電後に元素分析を行う際、負極のリチウムが正極に混入しないようにするためである。
【0039】
電池の容量は、充電上限4.2V、放電下限3.0Vの範囲で約4.3mAhになるように、正極活物質の量を調整した。したがって、電池の放電を約1時間で行える基準電流量(1C)を4.3mAとした。
また、電池の通常使用上限電圧で正極から放出されるリチウムイオンが、対向する負極上でリチウム金属の析出を起こさない範囲である負極と正極との容量比Rqが1.1≦Rq≦1.2となるように、正極活物質質量W(c)と負極活物質質量W(a)の比率を決定した。なお、容量比Rqは、以下の式により求めた。
【0040】
Rq={Q(a)×W(a)}/{Q(c)×W(c)} (式中、Q(a)はリチウム金属が析出せずにリチウムを最大限に吸蔵しうる負極活物質の質量当たりの電気容量( mAh/g)を表し、Q(c)は電池の初期充電条件に対応する条件下における正極活物質の質量当たりの電気容量(mAh/g)を表す。)
正極又は負極を作用極に、リチウム金属を対極に用い、電池作製に使用した電解液中でセパレータを介して試験セルを組み、Q(c)及びQ(a)を測定した。すなわち、目的とする電池系の初期充電条件に対応する正極の上限電位又は負極の下限電位まで、可能な限り低い電流密度で、正極が充電(正極からのリチウムイオンの放出)できる容量、負極が放電(負極へのリチウムイオンの吸蔵)できる容量としてQ(c)及びQ(a)を求めたところ、以下に示す実施例及び比較例に用いた電極では、負極のQ(a)が約380mAh/g、正極のQ(c)が約155mAh/gであった。
(電池評価)
(1)初期充放電(容量確認)、次いで(2)満充電操作、さらに(3)過充電試験の順に、電池を評価した。
【0041】
初期充放電(容量確認)では、1C(4.3mA)、4.2V上限の定電流定電圧法により、充電した。電流値が0.05mAに到達した時点で、充電を終了した。放電は、0.2Cで3.0Vまで定電流で行った。
満充電操作は、4.2V上限の定電流定電圧法(0.05mA終了)により充電した。
【0042】
過充電試験は、1Cで4.99V又は3時間のいずれか先に到達した方で終了した。
以下の方法により、過充電防止効果を判断した。
すなわち、過充電後コインセルを解体し、正極中に残存しているリチウムを元素分析で定量し、この値を過充電深度とした。過充電試験後の正極組成をLixCoO2で表したとき、x(正極リチウム残存量)が大きいほど、過充電防止効果が高いことを意味する。
【0043】
ここでx(正極リチウム残存量)は、元素分析(ICP発光分析)により求めた正極中のコバルトと正味のリチウムのモル数比より求めた。なお、正味のリチウムのモル数は同様の分析で正極中のリン(P)の定量も行い、これをLiPF6によるものとし、正極中の全リチウムモル数からLiPF6に相当するリチウムモル数を差し引いて求めた。
【0044】
なお、正極リチウム残存量xが小さい場合でも、電池が短絡している場合は安全上問題がある。そこで、短絡の度合いを見積もるため、過充電時の電圧曲線の観察と、過充電試験の終了後に休止を1時間設けて、その休止終了時の電圧を測定し、短絡の有無を判断した。
(実施例1) エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)との体積比3:7の混合溶媒に、1M/Lとなるように六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解し、これに3−メチル−2−オキサゾリドン2質量%及びビニレンカーボネート2質量%を添加したものを電解液とし、リチウム二次電池を作製した。
(実施例2) 3−メチル−2−オキサゾリドンの代わりに3−エチル−2−オキサゾリドンを添加した以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を製造した。
(実施例3) 3−メチル−2−オキサゾリドンの代わりに3−イソプロピル−2−オキサゾリドンを添加した以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を製造した。
(実施例4) 3−メチル−2−オキサゾリドンの代わりに3−(tert−ブチル)−2−オキサゾリドンを添加した以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を製造した。
(比較例1) 3−メチル−2−オキサゾリドン及びビニレンカーボネートを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を製造した。
(比較例2) 3−メチル−2−オキサゾリドンを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、リチウム二次電池を作製した。
(比較例3) 3−メチル−2−オキサゾリドン及びビニレンカーボネートに代えてビフェニル2質量%を添加したこと以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
【0045】
作製したリチウム二次電池について、評価、過充電後の電極中リチウム分析及び短絡の有無の判断を行った。結果を表−1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
表−1に示されているとおり、環状カーバメート及び炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを添加すると、過充電状態になったときに正極からのリチウムの抜けを抑えることにより、安全性を向上させることができる。比較例3では、正極からのリチウムの抜けを抑えることができるものの、過充電後の休止電圧が他よりも100〜200mV近く小さくなっており、過充電状態で短絡がおきており、安全上好ましくないことが判る。
【0048】
なお、実施例で作製したリチウム二次電池と比較例で作製したリチウム二次電池との間に、初期特性や出力特性など通常の電池特性に大きな差は見られなかった。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、高温保存時の劣化をきたす芳香族化合物を使用せず、又はその使用量を減らすことにより、過充電を防止することができる非水系二次電池用電解液、及びそれを用いた安全性が向上した非水系二次電池を提供できる。
Claims (8)
- 負極と、リチウム遷移金属複合化合物を含有する正極を有する非水系二次電池用の電解液であって、3−エチル−2−オキサゾリドン、3−イソプロピル−2−オキサゾリドン又は3−(tert−ブチル)−2−オキサゾリドンである環状カーバメート及び炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートを含有する非水系溶媒と電解質からなることを特徴とする非水系二次電池用電解液。
- 環状カーバメート及び炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートが、合計で電解液中に、0.1質量%〜10質量%となるように含有されていることを特徴とする請求項1記載の非水系二次電池用電解液。
- 炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートが、ビニレンカーボネート又はビニルエチレンカーボネートであることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水系二次電池用電解液。
- 酸化電位が4.3〜4.9Vである分子量500以下の芳香族化合物が、電解液中に0.1質量%〜10質量%となるように含有されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の非水系二次電池用電解液。
- 芳香族化合物が一般式(2)乃至(4)のいずれかで表されるものであることを特徴とする請求項4に記載の非水系二次電池用電解液。
(式中、R6、R7、R8、R9、R10及びR11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の環状若しくは鎖状アルキル基又はフェニル基を表す。)
(式中、R12は炭素数1〜10の環状若しくは鎖状アルキル基又はフェニル基を表し、R13、R14、R15、R16及びR17は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の環状若しくは鎖状アルキル基又はフェニル基を表す。)
(式中、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24及びR25は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の環状若しくは鎖状アルキル基又はフェニル基を表す。) - 電解質が、リチウム塩であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の非水系二次電池用電解液。
- 負極が、炭素物質を含有することを特徴とする請求項7記載の非水電解液二次電池。
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