JP2003077536A - 非水系二次電池用電解液及びそれを用いた非水電解液二次電池 - Google Patents
非水系二次電池用電解液及びそれを用いた非水電解液二次電池Info
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Abstract
池用電解液、及びそれを用いた安全性が向上した非水系
二次電池を提供する。 【解決手段】 非水系溶媒として、一般式(1)で表さ
れる環状カーバメート及び炭素−炭素不飽和結合を有す
る環状カーボネートを含有する溶媒を使用する。 (1) (式中、R1は水素原子又は置換されていてもよい炭素数
1〜10のアルキル基を表し、R2、R3、R4及びR5は、
それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は置換さ
れていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
Description
液及びそれを用いた非水電解液二次電池に関する。詳し
くは、過充電状態になっても安全な非水電解液二次電池
及びこのような二次電池を与える非水電解液に関する。
ーボネート、エーテル、ラクトンなど誘電率が高く、か
つ、酸化電位が高い非水系溶媒に、リチウム塩等の電解
質を溶解させた電解液が使用されている。しかしなが
ら、過充電状態になると、リチウムイオンが過剰に引き
抜かれて不安定化した正極の金属酸化物と電解液とが反
応したり、負極上にリチウム金属が析出し、これがデン
ドライト状(樹枝状)に発達して正極と短絡を起こした
りして、ガス発生、発熱の原因となり、電池の急激な内
圧上昇による変形、熱暴走、破裂等を起こすことがあ
る。
せるため、電解液中に過充電防止剤として電池の上限電
圧値を超える酸化電位を有するビフェニル等の芳香族化
合物を添加しておき、過充電状態になったときに、この
芳香族化合物が酸化重合して活物質表面にリチウムイオ
ンの出入りを阻害する高抵抗性の皮膜を形成することに
より、過充電の進行を止める方法(レドックスシャト
ル)が知られている(特開平7−302614号公報、
特開平9−50822号公報、特開平9−106835
号公報、特許第2939469号公報、特許第2983
205号公報等)。
し、電池の内圧を上昇させることで、電池の電流遮断弁
を作動させる鎖状カーバメートを、過充電防止剤として
添加する機械的電流遮断方法も知られている(特開20
00−348759号公報、特開2000−34876
0号公報、特開2001−52739号公報、特開20
01−52740号公報)。
化合物を単独で過充電防止剤として使用する方法は、芳
香族化合物の酸化反応で発生するガスにより電池が破裂
したり、正極で生成する電子導電性の皮膜が負極と短絡
して発熱し、電池が爆発したりするので、安全性に問題
がある。また、過充電防止効果を発現させるに十分な量
の芳香族化合物を添加すると、高温保存時に電池特性が
劣化するという問題点を有している。
は、電池に付加的な構造を持たせなければならないた
め、設計上、種々の制約がある。本発明は、優れた過充
電防止効果を有し、安全性が高く、さらに高温保存時に
おいても優れた電池特性を有する非水系二次電池用電解
液、及びそれを用いた非水電解液二次電池を提供するこ
とを目的とする。
止剤として、環状カーバメートと炭素−炭素不飽和結合
を有する環状カーボネートとを併用することにより、よ
り優れた過充電防止効果が発揮されることを見いだし、
本発明を完成させた。すなわち、本発明の要旨は、一般
式(1)で表される環状カーバメート及び炭素‐炭素不
飽和結合を有する環状カーボネートを含有する非水系溶
媒と電解質とからなることを特徴とする非水系二次電池
用電解液、及びそれを用いた非水電解液二次電池に存す
る。
もよい炭素数1〜10のアルキル基を表し、R2、R3、R4
及びR5は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原
子又は置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル
基を表す。) 一般式(1)で表される環状カーバメートは単独でも過
充電防止効果を示すが、炭素−炭素不飽和結合を有する
環状カーボネートと併用することにより、さらに高い過
充電防止効果が得られる。環状カーバメートが過充電防
止効果を示すのは、環状カーバメートは電池の通常の使
用電圧範囲では反応しないが、過充電で正極の酸化電位
が通常より貴になった際に、正極上で酸化重合して活物
質表面に被膜を形成し、正極からリチウムイオンが過剰
に抜けて不安定化するのを防止することによると考えら
れる。
カーボネートは、負極に均一な被膜を生成して、過充電
時に負極の上にリチウム金属がデンドライト状に生成す
るのを抑え、前記環状カーバメートの過充電防止効果を
高める働きをすると考えられる。なお、特開2000−
348759号公報、特開2000−348760号公
報、特開2001−52739号公報及び特開2001
−52740号公報には、鎖状カーバメートを含有する
非水溶媒と電解質とからなる過充電防止特性を有する非
水電解液が記載されている。これらの発明は、過充電時
にガス化した鎖状カーバメートが、電池の内圧を上昇さ
せることにより、電池の電流遮断弁を作動させて過充電
を防止する機械的電流遮断機構に基づくものであり、本
発明とは本質的に異なる。
報、特開2001−57233号公報には、環状カーバ
メートである3−メチル−2−オキサゾリドンを含有す
る非水電解液を用いた非水電解液二次電池が記載されて
いる。これらの発明は、環状カーバメートである3−メ
チル−2−オキサゾリドンを電解液中に添加することに
より、初期放電容量、サイクル特性、低温特性、負荷特
性及び高温保持特性を向上させるものであり、本発明が
目的とする過充電の防止とは無関係のものである。
は、環状カーバメートである3−メチル−2−オキサゾ
リドンを電解液中に含有した非水電解液電池が記載され
ている。この発明は、自己放電を抑制することにより保
存特性を改善させたものであり、本発明が目的とする過
充電の防止とは無関係のものである。
本発明において使用する電解液の非水系溶媒は、常用の
カーボネート、エーテル及びラクトンから、適宜、選択
することができる。カーボネートとしては、プロピレン
カーボネート(PC)及びエチレンカーボネート(E
C)等の環状カーボネート並びにジメチルカーボネート
(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)及びエチ
ルメチルカーボネート(EMC)等の鎖状カーボネート
が挙げられる。
ME)及びジエトキシエタン(DEE)が挙げられる。
ラクトンとしては、γ-ブチロラクトン(GBL)が挙
げられる。非水系溶媒は、カーボネートを含有している
のが好ましい。特に好ましいのは、高誘電率溶媒である
PC、EC、GBLなどと、低粘度溶媒であるDMC、
DEC、EMCなどとの混合溶媒である。
(1)の環状カーバメートにおいて、R1がアルキル基
を表す場合には、そのアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状
又は環状のいずれでもよく、またフッ素原子や塩素原子
等のハロゲン原子;ビニル基等のアルケニル基;フェニ
ル基やビフェニル基等のアリール基;メトキシ基やエト
キシ基等のアルコキシ基;アミノ基;メチルチオ基等の
アルキルチオ基;アセチル基等のアシル基で置換されて
いてもよい。具体例としては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、
イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチ
ル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピ
ル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキ
シル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリ
フルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフル
オロプロピル基、ヘプタフルオロブチル基、ノナフルオ
ロペンチル基、テトラフルオロプロピル基、ヘキサフル
オロブチル基、オクタフルオロペンチル基、ペンタフル
オロブチル基、ヘプタフルオロペンチル基、アリル基、
ベンジル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ア
ミノエチル基、メチルアミノエチル基、ジメチルアミノ
エチル基、メチルチオエチル基、アセトニル基などが挙
げられる。このうち炭素数1−6のアルキル基が好まし
く、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−
ブチル基が特に好ましい。
ン原子を表す場合には、そのハロゲン原子は塩素又はフ
ッ素原子である。また、R2、R3、R4及びR5のいずれか
がアルキル基を表す場合には、そのアルキル基としては
上記のR1で述べたと同様のアルキル基及び置換アルキル
基が挙げられる。R2〜R5としては、水素原子が好まし
い。
解していることが必要なので、環状カーバメートの選択
に際しては、その溶解性を考慮して行うべきである。本
発明において、非水系溶媒中に含有させる環状カーバメ
ートの好ましいものの一つは、3―メチル−2−オキサ
ゾリドンである。(この文面は削除したく考えていま
す) 本発明において、非水系溶媒中に含有させる炭素−炭素
不飽和結合を有する環状カーボネートとしては、ビニレ
ンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートなどのオ
レフィン性二重結合を有するものや、フェニルエチレン
カーボネート、カテコールカーボネートなどのベンゼン
環を有するものが挙げられる。中でも、ビニレンカーボ
ネート又はビニルエチレンカーボネートが好ましい。
0.05〜5重量%、好ましくは0.3〜3重量%であ
り、炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネートの
含有量は、0.05〜5重量%、好ましくは0.3〜3
重量%である。つまり、環状カーバメート及び炭素−炭
素不飽和結合を有する環状カーボネートが、合計で電解
液中に、0.1重量%〜10重量%となるように含有さ
れていることが好ましい。上記の含有率で環状カーバメ
ートと炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネート
とを併用することにより、それぞれ単独で用いた場合に
比べ、格段に優れた過充電防止効果を発現させることが
できる。
下や耐酸化性の低下など、電池特性に悪影響を及ぼし、
逆に含有量が少なすぎると過充電防止効果が十分に発現
しない。本発明に係る電解液中には、さらに他の過充電
防止剤、例えば、過充電電位領域で酸化される芳香族化
合物を含有させてもよい。芳香族化合物としては、分子
量500以下のものを用いるのが好ましい。分子量が大
きすぎると、電解液への溶解性が悪く効果を発揮できな
いばかりか、電池のサイクル特性や出力特性を悪化させ
る。
が、4.3〜4.9V、好ましくは4.4〜4.7Vの
ものを用いる。酸化電位が高すぎると過充電防止効果が
小さくなり、逆に酸化電位が低すぎると通常条件での電
池使用時に電池特性を劣化させることがある。芳香族化
合物としては、例えば、一般式(2)、一般式(3)及
び一般式(4)のいずれかで表されるものが挙げられ
る。
は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素
数1〜10の環状若しくは鎖状アルキル基又はフェニル
基を表す。)
くは鎖状アルキル基又はフェニル基を表し、R13、R14、
R15、R16及びR17は、それぞれ独立して、水素原子、ハ
ロゲン原子、炭素数1〜10の環状若しくは鎖状アルキ
ル基又はフェニル基を表す。)
R23、R24及びR25は、それぞれ独立して、水素原子、
ハロゲン原子、炭素数1〜10の環状若しくは鎖状アル
キル基又はフェニル基を表す。) 本発明において用いられる芳香族化合物としては、ビフ
ェニル化合物、シクロヘキシルベンゼン化合物、ジベン
ゾフラン化合物、ターフェニル化合物、ジフェニルエー
テル化合物等が好ましく、ビフェニル、シクロヘキシル
ベンゼン、ジベンゾフラン、ターフェニル、ジフェニル
エーテルが特に好ましい。
ルタンメトリー法によって測定することができる。 (酸化電位の測定法)底面部分のみ露出した1.6mm
φの白金を作用極、リチウム金属を対極及び参照極とし
た、ガラスフィルターで作用極側と対極側が区切られた
H型セルを用いて、ECとDECとの体積比率7:3の
混合溶媒にLiPF6を1mol/Lの濃度で溶解した
電解液に、試料となる芳香族化合物を0.15mmol
/g添加したものをこのセルに入れる。次いで、作用極
の電位を酸化側(貴側に)に20mV/秒の掃引速度で
掃引する。このとき0.5mA/cm2の電流が流れ出
す電位を酸化電位と規定する。測定は室温(25℃付
近)で行う。
しては、リチウム二次電池に使用されるものであれば任
意のものを使用することができ、例えば、LiClO
4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiB(C6
H5)4、LiCl、LiBr、LiCH3SO3、LiC
F3SO3、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2
F5)2、LiC(SO2CF3)3、LiN(SO3CF
3)2等のリチウム塩が挙げられ、このうち、LiBF4
又はLiPF6が好ましい。リチウム塩は単独でも、2
種以上を混合して用いることもできる。
5〜1.5M、好ましくは0.75〜1.25Mであ
る。リチウム塩の濃度は高すぎても、また、低すぎても
電導度の低下が起き、電池特性に悪影響を及ぼすことが
ある。電解液には、必要に応じて、さらに各種の添加剤
や界面活性剤等の成分を含有させることができる。
いる以外は、通常の非水電解液二次電池と同じである。
正極活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物が好
ましい。リチウム遷移金属複合酸化物としては、LiC
oO2等のリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO2等
のリチウムニッケル酸化物、LiMn2O4等のリチウム
マンガン酸化物等を挙げることができる。特に、リチウ
ムとコバルト及び/又はニッケルとを必須とする金属複
合酸化物が好ましい。これらリチウム遷移金属複合酸化
物は、主体となる遷移金属元素の一部をAl、Ti、
V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Z
n、Mg、Ga、Zr等の他の金属種で置き換えること
により安定化させることができる。また、複数種の正極
活物質を併用することもできる。
放出し得る物質であればいずれのものも使用することが
できるが、炭素物質が好ましい。炭素物質としては、様
々な熱分解条件での有機物の熱分解物、人造黒鉛、天然
黒鉛等が挙げられる。易黒鉛性ピッチの高温熱処理によ
って製造された人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズ小球体、
黒鉛化メソフェーズピッチ系炭素繊維等の人造黒鉛及び
精製天然黒鉛並びに前記黒鉛にピッチを含む種々の表面
処理を施したものなどが好ましい。
折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)が、
0.335〜0.34nmであるものが好ましく、0.
335〜0.337nmであるものがより好ましい。な
お、これらの炭素物質に、リチウムを吸蔵・放出可能な
他の活物質を混合したものを用いることもできる。この
ような活物質としては、酸化錫、酸化珪素等の金属酸化
物材料、リチウム金属及び種々のリチウム合金が挙げら
れる。これらの負極材料は2種類以上混合して用いても
よい。
用することができる。例えば、活物質に結着剤、増粘
剤、導電材、溶媒を加えてスラリー状とし、集電体の基
板に塗布し、乾燥することにより製造する方法、該活物
質をそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮
成形によりペレット電極とする方法などが挙げられる。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフ
ルオロエチレン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレ
ンゴム、ブダジエンゴム等が挙げられる。
ース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロー
ス、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化ス
ターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等が挙げられる。
導電材としては、銅、ニッケル等の金属材料、グラファ
イト、カーボンブラック等の炭素物質が挙げられる。
体として、銅、ニッケル、ステンレス等の金属又は合金
が挙げられ、銅が好ましい。また、正極集電体として
は、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属又は合金
が挙げられ、アルミニウム及びその合金が好ましい。正
極と負極とを隔離するセパレータは、電解液に対して安
定で、保液性の優れたものであればよく、例えば、ポリ
エチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料と
する多孔性シート及び不織布等が挙げられる。
の形状とすることができ、例えば、シート電極及びセパ
レータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレッ
ト電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト
構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータ
を積層したコインタイプ等が挙げられる。
に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下
の実施例に限定されるものではない。 (正極の作製)正極活物質としてコバルト酸リチウム
(LiCoO2)90重量%、導電剤としてアセチレン
ブラック5重量%及び結着剤としてポリフッ化ビニリデ
ン5重量%を、N−メチルピロリドン中で混合し、スラ
リー化した。これを厚さ20μmのアルミ箔の片面に塗
布、乾燥した。これをプレス機で圧延し、直径12mm
の打ち抜きポンチで打ち抜いて、正極を作製した。 (負極の作製)負極活物質として黒鉛(面間隔0.33
6nm)95重量%及び結着剤としてポリフッ化ビニリ
デン5重量%を、N−メチルピロリドン中で混合し、ス
ラリー化した。これを20μm厚さの銅箔の片面に塗布
し乾燥した。これをプレス機で圧延し、直径12.5φ
mmの円盤状に打ち抜いて、負極を作製した。 (電池の作製)アルゴン雰囲気のドライボックス内で、
CR2032型コインセルを使用して、以下の方法によ
り、リチウム二次電池を作製した。
セパレータとして厚さ25μmの多孔性ポリエチレンフ
ィルムを2枚置いた。これをポリプロピレン製ガスケッ
トで押さえてから、負極を置き、厚み調整用のスペーサ
ーを置いた。次いで、電解液を加え、電池内に十分しみ
こませてから、負極缶を載せ、電池を封口した。セパレ
ータを2枚としたのは過充電後に元素分析を行う際、負
極のリチウムが正極に混入しないようにするためであ
る。
限3.0Vの範囲で約4.3mAhになるように、正極
活物質の量を調整した。したがって、電池の放電を約1
時間で行える基準電流量(1C)を4.3mAとした。
また、電池の通常使用上限電圧で正極から放出されるリ
チウムイオンが、対向する負極上でリチウム金属の析出
を起こさない範囲である負極と正極との容量比Rqが
1.1≦Rq≦1.2となるように、正極活物質重量W
(c)と負極活物質重量W(a)の比率を決定した。な
お、容量比Rqは、以下の式により求めた。
(c)} (式中、Q(a)はリチウム金属が析出せずにリチウム
を最大限に吸蔵しうる負極活物質の重量当たりの電気容
量( mAh/g)を表し、Q(c)は電池の初期充電
条件に対応する条件下における正極活物質の重量当たり
の電気容量(mAh/g)を表す。) 正極又は負極を作用極に、リチウム金属を対極に用い、
電池作製に使用した電解液中でセパレータを介して試験
セルを組み、Q(c)及びQ(a)を測定した。すなわ
ち、目的とする電池系の初期充電条件に対応する正極の
上限電位又は負極の下限電位まで、可能な限り低い電流
密度で、正極が充電(正極からのリチウムイオンの放
出)できる容量、負極が放電(負極へのリチウムイオン
の吸蔵)できる容量としてQ(c)及びQ(a)を求め
たところ、以下に示す実施例及び比較例に用いた電極で
は、負極のQ(a)が約380mAh/g、正極のQ
(c)が約155mAh/gであった。 (電池評価) (1)初期充放電(容量確認)、次いで(2)満充電操
作、さらに(3)過充電試験の順に、電池を評価した。
3mA)、4.2V上限の定電流定電圧法により、充電
した。電流値が0.05mAに到達した時点で、充電を
終了した。放電は、0.2Cで3.0Vまで定電流で行
った。満充電操作は、4.2V上限の定電流定電圧法
(0.05mA終了)により充電した。
間のいずれか先に到達した方で終了した。以下の方法に
より、過充電防止効果を判断した。すなわち、過充電後
コインセルを解体し、正極中に残存しているリチウムを
元素分析で定量し、この値を過充電深度とした。過充電
試験後の正極組成をLixCoO2で表したとき、x(正
極リチウム残存量)が大きいほど、過充電防止効果が高
いことを意味する。
分析(ICP発光分析)により求めた正極中のコバルト
と正味のリチウムのモル数比より求めた。なお、正味の
リチウムのモル数は同様の分析で正極中のリン(P)の
定量も行い、これをLiPF6によるものとし、正極中
の全リチウムモル数からLiPF6に相当するリチウム
モル数を差し引いて求めた。
でも、電池が短絡している場合は安全上問題がある。そ
こで、短絡の度合いを見積もるため、過充電時の電圧曲
線の観察と、過充電試験の終了後に休止を1時間設け
て、その休止終了時の電圧を測定し、短絡の有無を判断
した。 (実施例1)エチレンカーボネート(EC)とジエチル
カーボネート(DEC)との体積比3:7の混合溶媒
に、1M/Lとなるように六フッ化リン酸リチウム(L
iPF6)を溶解し、これに3−メチル−2−オキサゾ
リドン2重量%及びビニレンカーボネート2重量%を添
加したものを電解液とし、リチウム二次電池を作製し
た。 (実施例2)3−メチル−2−オキサゾリドンの代わり
に3−エチル−2−オキサゾリドンを添加した以外は、
実施例1と同様にしてリチウム二次電池を製造した。 (実施例3)3−メチル−2−オキサゾリドンの代わり
に3−イソプロピル−2−オキサゾリドンを添加した以
外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を製造し
た。 (実施例4)3−メチル−2−オキサゾリドンの代わり
に3−(tert−ブチル)−2−オキサゾリドンを添
加した以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池
を製造した。 (比較例1)3−メチル−2−オキサゾリドン及びビニ
レンカーボネートを添加しなかった以外は、実施例1と
同様にしてリチウム二次電池を製造した。 (比較例2)3−メチル−2−オキサゾリドンを添加し
なかった以外は、実施例1と同様にして、リチウム二次
電池を作製した。 (比較例3)3−メチル−2−オキサゾリドン及びビニ
レンカーボネートに代えてビフェニル2重量%を添加し
たこと以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池
を作製した。
価、過充電後の電極中リチウム分析及び短絡の有無の判
断を行った。結果を表−1に示す。
メート及び炭素−炭素不飽和結合を有する環状カーボネ
ートを添加すると、過充電状態になったときに正極から
のリチウムの抜けを抑えることにより、安全性を向上さ
せることができる。比較例3では、正極からのリチウム
の抜けを抑えることができるものの、過充電後の休止電
圧が他よりも100〜200mV近く小さくなってお
り、過充電状態で短絡がおきており、安全上好ましくな
いことが判る。
と比較例で作製したリチウム二次電池との間に、初期特
性や出力特性など通常の電池特性に大きな差は見られな
かった。
たす芳香族化合物を使用せず、又はその使用量を減らす
ことにより、過充電を防止することができる非水系二次
電池用電解液、及びそれを用いた安全性が向上した非水
系二次電池を提供できる。
Claims (13)
- 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (1) (式中、R1は水素原子又は置換されていてもよい炭素数
1〜10のアルキル基を表し、R2、R3、R4及びR5は、
それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は置換さ
れていてもよい炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
で表される環状カーバメート及び炭素−炭素不飽和結合
を有する環状カーボネートを含有する非水系溶媒と電解
質とからなることを特徴とする非水系二次電池用電解
液。 - 【請求項2】 環状カーバメート及び炭素−炭素不飽和
結合を有する環状カーボネートが、合計で電解液中に、
0.1重量%〜10重量%となるように含有されている
ことを特徴とする請求項1記載の非水系二次電池用電解
液。 - 【請求項3】 環状カーバメートが、3−メチル−2−
オキサゾリドンであることを特徴とする請求項1又は2
記載の非水系二次電池用電解液。 - 【請求項4】 環状カーバメートが、3−エチル−2−
オキサゾリドンであることを特徴とする請求項1又は2
記載の非水系二次電池用電解液。 - 【請求項5】 環状カーバメートが、3−イソプロピル
−2−オキサゾリドンであることを特徴とする請求項1
又は2記載の非水系二次電池用電解液。 - 【請求項6】 環状カーバメートが、3−(tert−
ブチル)−2−オキサゾリドンであることを特徴とする
請求項1又は2記載の非水系二次電池用電解液。 - 【請求項7】 炭素−炭素不飽和結合を有する環状カー
ボネートが、ビニレンカーボネート又はビニルエチレン
カーボネートであることを特徴とする請求項1乃至6の
いずれかに記載の非水系二次電池用電解液。 - 【請求項8】 酸化電位が4.3〜4.9Vである分子
量500以下の芳香族化合物が、電解液中に0.1重量
%〜10重量%となるように含有されていることを特徴
とする請求項1乃至7のいずれかに記載の非水系二次電
池用電解液。 - 【請求項9】 芳香族化合物が一般式(2)乃至(4)
のいずれかで表されるものであることを特徴とする請求
項8に記載の非水系二次電池用電解液。 【化2】 (2) (式中、R6、R7、R8、R9、R10及びR11は、それぞれ独
立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10の環
状若しくは鎖状アルキル基又はフェニル基を表す。) 【化3】 (3) (式中、R12は炭素数1〜10の環状若しくは鎖状アル
キル基又はフェニル基を表し、R13、R14、R15、R16及び
R17は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、
炭素数1〜10の環状若しくは鎖状アルキル基又はフェ
ニル基を表す。) 【化4】 (式中、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24及
びR25は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原
子、炭素数1〜10の環状若しくは鎖状アルキル基又は
フェニル基を表す。) - 【請求項10】 電解質が、リチウム塩であることを特
徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の非水系二次
電池用電解液。 - 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれかに記載の
非水系二次電池用電解液及び正極、負極を有する非水電
解液二次電池。 - 【請求項12】 正極が、リチウム遷移金属複合酸化物
を含有することを特徴とする請求項11記載の非水電解
液二次電池。 - 【請求項13】 負極が、炭素物質を含有することを特
徴とする請求項11又は12に記載の非水電解液二次電
池。
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