JP7303755B2 - 非水系電解液及び非水系二次電池 - Google Patents
非水系電解液及び非水系二次電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7303755B2 JP7303755B2 JP2020004445A JP2020004445A JP7303755B2 JP 7303755 B2 JP7303755 B2 JP 7303755B2 JP 2020004445 A JP2020004445 A JP 2020004445A JP 2020004445 A JP2020004445 A JP 2020004445A JP 7303755 B2 JP7303755 B2 JP 7303755B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aqueous
- positive electrode
- active material
- negative electrode
- electrode active
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Landscapes
- Secondary Cells (AREA)
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Description
これまでに提案されている改善策のうち主なものには、以下の2つがある。
例えば、リチウムイオン二次電池の黎明期には、特許文献1のように、アセトニトリルをプロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートで希釈しただけの溶媒を含む非水系電解液が報告されている。しかしながら、特許文献1では、高温耐久性能について高温保存後の内部抵抗及び電池厚みのみの評価により判定しているため、高温環境下に置かれた場合に実際に電池として作動するか否かという情報は開示されていない。単純にエチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートで希釈するだけの措置によってアセトニトリルをベースとする溶媒を含む非水系電解液の還元分解を抑制することは、実際には至難の業である。
例えば、特許文献2には、濃度が4.2mol/Lとなるようにリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SO2CF3)2)をアセトニトリルに溶解させた非水系電解液を用いると、黒鉛電極への可逆的なリチウム挿入脱離が可能であることが記載されている。また、特許文献3には、濃度が4.5mol/Lとなるようにリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SO2F)2)をアセトニトリルに溶解させた非水系電解液を用いたセルに対して充放電測定を行った結果、黒鉛へのLi+挿入脱離反応が観察され、更に、ハイレートで放電可能であることが報告されている。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
アセトニトリルを20体積%~90体積%含有する非水系溶媒と;
リチウム塩と;
下記一般式(1):
又は下記一般式(2):
R7は炭素数1~4の2価の炭化水素基を示す。}
で表されるジカルボン酸エステルの少なくとも一方と;
を含有する、非水系電解液。
[2]
前記ジカルボン酸エステルが、メチルマロン酸ジエチル、2-エチル-2-メチルマロン酸ジエチル、コハク酸ジメチルのうち少なくとも一つである、[1]に記載の非水系電解液。
[3]
前記ジカルボン酸エステルの含有量が、非水系電解液100質量部に対して0.01~2質量部である、[1]または[2]に記載の非水系電解液。
[4]
前記非水系溶媒が更にα位に置換基を有するラクトン類を含有することを特徴とする、[1]~[3]のいずれか1項に記載の非水系電解液。
[5]
前記非水系溶媒が更に鎖状フッ素化カルボン酸エステルを含有することを特徴とする、[1]~[4]のいずれか1項に記載の非水系電解液。
[6]
集電体の片面又は両面に、Ni、Mn、及びCoから成る群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素又はFe原子を含有する正極活物質層を有する正極と、集電体の片面又は両面に黒鉛を含有する負極活物質層を有する負極と、[1]~[5]のいずれか1項に記載の非水系電解液とを含む積層体を具備する、非水系二次電池。
[7]
前記正極活物質層を構成する正極活物質が、LizMO2(MはNiを含み、且つ、Mn、Co、Al、及びMgから成る群より選ばれる1種以上の金属元素を含み、更に、Niの元素含有モル比は30%より多く、そして、zは0.9超1.2未満の数を示す。)で表されるリチウム含有複合金属酸化物である、[6]に記載の非水系二次電池。
アセトニトリルを20体積%~90体積%含有する非水系溶媒と;
リチウム塩と;
下記一般式(1):
又は下記一般式(2):
で表されるジカルボン酸エステルの少なくとも一方と;
を含有する。
本実施形態の非水系電解液は、例えば、非水系二次電池に用いることができる。本実施形態の非水系二次電池としては、例えば、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な正極材料を含有する正極と、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な負極材料、並びに金属リチウムから成る群より選ばれる1種以上の負極材料を含有する負極と、を備えるリチウムイオン二次電池が挙げられる。
本実施形態の非水系二次電池としては、具体的には、図1及び2に図示される非水系二次電池であってもよい。ここで、図1は非水系二次電池を概略的に表す平面図であり、図2は図1のA-A線断面図である。
電池外装110を構成しているアルミニウムラミネートフィルムは、アルミニウム箔の両面をポリオレフィン系の樹脂でコートしたものであることが好ましい。
正極150は、電池100内で正極リード体130と接続している。図示していないが、負極160も、電池100内で負極リード体140と接続している。そして、正極リード体130及び負極リード体140は、それぞれ、外部の機器等と接続可能なように、片端側が電池外装110の外側に引き出されており、それらのアイオノマー部分が、電池外装110の1辺と共に熱融着されている。
正極150は、正極合剤から作製した正極活物質層と、正極集電体とから構成される。負極160は、負極合剤から作製した負極活物質層と、負極集電体とから構成される。正極150及び負極160は、セパレータ170を介して正極活物質層と負極活物質層とが対向するように配置される。
これらの各部材としては、本実施形態における各要件を満たしていれば、従来のリチウムイオン二次電池に備えられる材料を用いることができ、例えば後述の材料であってもよい。以下、非水系二次電池の各部材について詳細に説明する。
本実施形態における非水系電解液は、アセトニトリルを20体積%~90体積%含有する非水系溶媒(以下、単に「溶媒」ともいう。)と、リチウム塩と、上記一般式(1)又は(2)で表されるジカルボン酸エステルの少なくとも1つと、を少なくとも含む。リチウム塩の中でも、フッ素含有無機リチウム塩は、イオン伝導度に優れ、電池性能向上に大きく寄与することが知られている。しかし、フッ素含有無機リチウム塩は溶媒中の微量水分により加水分解し易く、過剰な遊離酸成分を発生する性質を有する。生成した酸成分が、電極、集電体等の材料を腐食し、又は溶媒を分解する等の、電池に致命的な悪影響を及ぼす場合がある。
本実施形態における非水系電解液は、フッ素含有無機リチウム塩の微量水分による加水分解を防ぐため、水分を含まないことが好ましいが、本発明の課題解決を阻害しない範囲であれば、ごく微量の水分を含有してもよい。そのような水分の含有量は、非水系電解液の全体量に対して、好ましくは0~100ppmである。
アセトニトリルはイオン伝導性が高く、電池内におけるリチウムイオンの拡散性を高めることができる。そのため、非水系電解液がアセトニトリルを含有する場合には、特に正極活物質層を厚くして正極活物質の充填量を高めた正極においても、高負荷での放電時にはリチウムイオンが到達し難い集電体近傍の領域にまで、リチウムイオンが良好に拡散できるようになる。それにより、高負荷放電時にも十分な容量を引き出すことが可能となり、負荷特性に優れた非水系二次電池とすることができる。
また、非水系電解液の非水系溶媒にアセトニトリルを用いることにより、前述のとおり、非水系電解液のイオン伝導性が向上することから、非水系二次電池の急速充電特性を高めることもできる。非水系二次電池の定電流(CC)-定電圧(CV)充電では、CV充電期間における単位時間当たりの充電容量よりも、CC充電期間における単位時間当たりの容量の方が大きい。非水系電解液の非水系溶媒にアセトニトリルを使用した場合には、CC充電できる領域を大きく(CC充電の時間を長く)でき、また、充電電流を高め得るため、非水系二次電池の充電開始から満充電状態にするまでの時間を大幅に短縮できる。
なお、本実施形態でいう「非水系溶媒」とは、非水系電解液中からリチウム塩、ジカルボン酸エステル、及びその他の任意的添加剤を除いた要素をいう。すなわち、非水系電解液中に、溶媒、リチウム塩、ジカルボン酸エステル、及びその他の任意的添加剤と共に後述する電極保護用添加剤を含んでいる場合には、溶媒と電極保護用添加剤とを併せて「非水系溶媒」という。後述するリチウム塩、ジカルボン酸エステル、及びその他の任意的添加剤は、非水系溶媒に含まない。
α位に置換基を有するラクトン類は、カーボネート系の溶媒と比較して誘電率と融点のバランスに優れている。即ち、α位に置換基を有するラクトン類は、誘電率が高く、さらに融点が低く固化し難い。そのため、非水系溶媒としてこれらのα位に置換基を有するラクトン類を用いることにより、非水系二次電池のサイクル性能、低温環境下における高出力性能及びその他の電池特性の全てを一層良好なものとすることができる傾向にある。また、α位に置換基を有するラクトン類は、濡れ性にも優れ、非水系溶媒に用いることで非水系電解液のセパレータへの含浸性が向上する。それによって電池の内部抵抗の上昇を抑制し、サイクル特性などの電池特性を一層良好なものとすることができる傾向にある。
リチウム塩としては、非水系二次電池の非水系電解液に通常用いられており、かつ他の成分と組み合わせて所定のイオン伝導度が得られるものである限りにおいて、特に制限はなく、いずれのものであってもよい。リチウム塩は、本実施形態に係る非水系電解液中に、非水系溶媒の全体量に対して0.1~3mol/Lの濃度で含有されることが好ましく、0.5~2mol/Lの濃度で含有されることがより好ましい。リチウム塩の濃度が上記範囲内にある場合、上記範囲外のものに比べて、非水系電解液の導電率がより高い状態に保たれると同時に、非水系二次電池の充放電効率もより高い状態に保たれる傾向にある。なお、上記に示したリチウム塩の好ましい濃度は、非水系電解液に含まれるリチウム塩の合計濃度の好ましい範囲であり、本実施形態では、上記に示したリチウム塩の好ましい合計濃度範囲よりも、下記に示すそれぞれのリチウム塩の濃度の好ましい範囲が優先される。
LiC(SO2R9)(SO2R10)(SO2R11) (4a)
LiN(SO2OR12)(SO2OR13) (4b)
LiN(SO2R14)(SO2OR15) (4c)
で表される有機リチウム塩を用いることもできる。式(4a)、(4b)及び(4c)中、R9、R10、R11、R12、R13、R14、及びR15は、炭素数1~8のパーフルオロアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。
本実施形態における非水系電解液には、ジカルボン酸エステル以外に、電極を保護する添加剤が含まれていてもよい。電極保護用添加剤としては、本発明による課題解決を阻害しないものであれば特に制限はない。リチウム塩を溶解する溶媒としての役割を担う物質(すなわち上述の非水系溶媒)と実質的に重複してもよい。電極保護用添加剤は、本実施形態における非水系電解液及び非水系二次電池の性能向上に寄与する物質であることが好ましいが、電気化学的な反応には直接関与しない物質をも包含する。
本実施形態における非水系電解液は、下記一般式(1)又は(2):
で表されるジカルボン酸エステルの少なくとも一方を含有する。
本実施形態においては、非水系二次電池の充放電サイクル特性の改善、高温貯蔵性、安全性の向上(例えば過充電防止等)等の目的で、非水系電解液に、例えば、無水酸、スルホン酸エステル、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、tert-ブチルベンゼン、リン酸エステル{エチルジエチルホスホノアセテート(EDPA):(C2H5O)2(P=O)-CH2(C=O)OC2H5、リン酸トリス(トリフルオロエチル)(TFEP):(CF3CH2O)3P=O、リン酸トリフェニル(TPP):(C6H5O)3P=O等}等、及びこれらの化合物の誘導体等から選択される任意的添加剤を、適宜含有させることもできる。特に前記のリン酸エステルは、貯蔵時の副反応を抑制する作用があり、効果的である。
正極150は、正極合剤から作製した正極活物質層と、正極集電体とから構成される。正極150は、非水系二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、既知のものであってもよい。
LixMO2 (5a)
LiyM2O4 (5b)
{式中、Mは少なくとも1種の遷移金属元素を含む1種以上の金属元素を示し、xは0~1.1の数を示し、かつyは0~2の数を示す。}
のそれぞれで表されるリチウム含有化合物、及びその他のリチウム含有化合物が挙げられる。
LiCoO2に代表されるリチウムコバルト酸化物;
LiMnO2、LiMn2O4、及びLi2Mn2O4に代表されるリチウムマンガン酸化物;
LiNiO2に代表されるリチウムニッケル酸化物;
LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2、LiNi0.8Co0.2O2に代表されるLizMO2{式中、Mは、Ni、Mn、及びCoから成る群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含み、且つ、Ni、Mn、Co、Al、及びMgから成る群より選ばれる2種以上の金属元素を示し、そしてzは0.9超1.2未満の数を示す}で表されるリチウム含有複合金属酸化物等;
が挙げられる。これらのなかでも、Niの元素含有モル比が30%より大きいことが好ましく、45%より大きいことがより好ましく、75%より大きいことがさらに好ましい。
LivMID2 (6a)
LiwMIIPO4 (6b)
{式中、Dは酸素又はカルコゲン元素を示し、MI及びMIIは、それぞれ1種以上の遷移金属元素を示し、v及びwの値は、電池の充放電状態によっており、vは0.05~1.10の数を示し、そしてwは0.05~1.10の数を示す。}
のそれぞれで表される化合物が挙げられる。
負極160は、負極合剤から作製した負極活物質層と、負極集電体とから構成される。負極160は、非水系二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、既知のものであってもよい。
本実施形態における非水系二次電池100は、正極150及び負極160の短絡防止、シャットダウン等の安全性付与の観点から、正極150と負極160との間にセパレータ170を備えることが好ましい。セパレータ170としては、既知の非水系二次電池に備えられるものと同様のものを用いてもよく、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。セパレータ170としては、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜等が挙げられ、これらの中でも、合成樹脂製微多孔膜が好ましい。
本実施形態における非水系二次電池100の電池外装110の構成は特に限定されないが、例えば、電池缶及びラミネートフィルム外装体のいずれかの電池外装を用いることができる。電池缶としては、例えば、スチール又はアルミニウムから成る金属缶を用いることができる。ラミネートフィルム外装体としては、例えば、熱溶融樹脂/金属フィルム/樹脂の3層構成から成るラミネートフィルムを用いることができる。
本実施形態における非水系二次電池100は、上述の非水系電解液、集電体の片面又は両面に正極活物質層を有する正極150、集電体の片面又は両面に負極活物質層を有する負極160、及び電池外装110、並びに必要に応じてセパレータ170を用いて、既知の方法により作製される。
不活性雰囲気下、各種非水系溶媒を、それぞれが所定の濃度になるよう混合し、更に、各種リチウム塩をそれぞれ所定の濃度になるよう添加することにより、非水系電解液(S11)~(S12)を調製した。これらの非水系電解液組成を表1に示す。
(非水系溶媒)
AN:アセトニトリル
DFA:2,2-ジフルオロエチルアセテート
GBL:γ-ブチロラクトン
MBL:α-メチル-γ-ブチロラクトン
ES:エチレンサルファイト
VC:ビニレンカーボネート
(リチウム塩)
LiPF6:ヘキサフルオロリン酸リチウム
LiFSI:リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SO2F)2)
上述のようにして得られた各種非水系電解液について、非水系電解液5μLを測り取り、ポリプロピレン系セパレータに滴下し、60秒後にセパレータを目視観察する試験を行った。得られた評価結果を表3に示す。なお表3中、○は、非水系電解液を滴下した部分のセパレータの色が白から灰色に変色した様子が観察された非水系電解液、×は、非水系電解液を滴下した部分のセパレータの色が白色のままである様子が観察された非水系電解液をそれぞれ表している。
セパレータ:リチウム電池用単層ポリプロピレンセパレータ Celgard #2500
(3-1)正極(P1)の作製
(A)正極活物質として、数平均粒子径11μmのリチウム、ニッケル、マンガン及びコバルトの複合酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2、密度4.70g/cm3)と、(B)導電助剤として、数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末(密度2.26g/cm3)及び数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末(密度1.95g/cm3)と、(C)バインダーとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF;密度1.75g/cm3)とを、92:4:4の質量比で混合し、正極合剤を得た。
(a)負極活物質として、数平均粒子径12.7μmの人造黒鉛粉末(密度2.23g/cm3)と、(b)導電助剤として、数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末(密度1.95g/cm3)と、(c)バインダーとして、カルボキシメチルセルロース(密度1.60g/cm3)溶液(固形分濃度1.83質量%)及びジエン系ゴム(ガラス転移温度:-5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、密度1.00g/cm3、分散媒:水、固形分濃度40質量%)とを、95.7:0.5:3.8の固形分質量比で混合し、負極合剤を得た。
CR2032タイプの電池ケース(SUS304/Alクラッド)にポリプロピレン製ガスケットをセットし、その中央に、上述のようにして得られた正極(P1)を直径15.958mmの円盤状に打ち抜いたものを、正極活物質層を上向きにしてセットした。その上から、ガラス繊維濾紙(アドバンテック社製、GA-100)を直径16.156mmの円盤状に打ち抜いたものをセットして、非水系電解液を150μL注入した後、上述のようにして得られた負極(N1)を直径16.156mmの円盤状に打ち抜いたものを、負極活物質層を下向きにしてセットした。さらに、電池ケース内にスペーサーとスプリングをセットした後に電池キャップをはめ込み、カシメ機でかしめた。溢れた非水系電解液はウエスできれいに拭き取った。P1とガラス繊維濾紙とN1の積層体、及び非水系電解液を含むアセンブリを25℃で12時間保持し、積層体に非水系電解液を十分馴染ませてコイン型非水系二次電池を得た。
上述のようにして得られたコイン型非水系二次電池について、まず、下記(4-1)の手順に従って初回充電処理及び初回充放電容量測定を行った。次に下記(4-2)及び(4-3)の手順に従って、それぞれのコイン型非水系二次電池を評価した。なお、充放電はアスカ電子(株)製の充放電装置ACD-M01A(商品名)及びヤマト科学(株)製のプログラム恒温槽IN804(商品名)を用いて行った。
ここで、1Cとは、満充電状態の電池を定電流で放電して1時間で放電終了となることが期待される電流値を意味する。下記(4-1)~(4-3)の評価では、1Cは、具体的には、4.2Vの満充電状態から定電流で3.0Vまで放電して1時間で放電終了となることが期待される電流値を意味する。
コイン型非水系二次電池の周囲温度を25℃に設定し、0.025Cに相当する0.15mAの定電流で充電して3.1Vに到達した後、3.1Vの定電圧で1.5時間充電を行った。続いて3時間休止後、0.05Cに相当する0.3mAの定電流で電池を充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で1.5時間充電を行った。その後、0.15Cに相当する0.9mAの定電流で3.0Vまで電池を放電した。このときの放電容量を充電容量で割ることによって、初回効率を算出した。また、このときの放電容量を初期容量とした。
上記(4-1)に記載の方法で初回充放電処理を行ったコイン型非水系二次電池について、周囲温度を25℃に設定し、1Cに相当する6mAの定電流で充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で1.5時間充電を行った。次に、このコイン型非水系二次電池を85℃の恒温槽に4時間保存した。その後、周囲温度を25℃に戻し、0.3Cに相当する1.8mAの電流値で3.0Vまで電池を放電した。このときの残存放電容量をAとした。85℃満充電保存試験の測定値として、以下の式に基づき、残存容量維持率を算出した。
0.3C残存容量維持率=(85℃満充電保存後の0.3C残存放電容量A/85℃満充電保存試験前の初期容量)×100[%]
上記(4-2)に記載の方法で85℃満充電保存試験を行ったコイン型非水系二次電池について、周囲温度を25℃に設定し、1Cに相当する6mAの定電流で充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で1.5時間充電を行った。その後、0.3Cに相当する1.8mAの電流値で3.0Vまで電池を放電した。このときの回復放電容量をBとした。次に、1Cに相当する6mAの定電流で電池を充電して、電池電圧が4.2Vに到達するまで充電を行った後、4.2Vの定電圧で1.5時間充電を行った。その後、1.5Cに相当する9mAの定電流で電池電圧3.0Vまで放電した。このときの放電容量をCとした。出力試験測定値として、以下の式に基づき、充放電効率及び回復容量維持率を算出した。
0.3C回復容量維持率=(85℃満充電保存試験後の0.3C回復放電容量B/85℃満充電保存試験前の初期容量)×100[%]
1.5C回復容量維持率=(85℃満充電保存試験後の1.5C回復放電容量C/85℃満充電保存試験前の初期容量)×100[%]
初期充放電初回効率は、初回充電容量に対する初回放電容量の割合を示すが、一般的に2回目以降の充放電効率より低下する傾向にある。これは、初回充電時のSEI形成時にLiイオンが利用されることで、放電できるLiイオンが少なくなるためである。これにより、不可逆容量が生じ、充電容量に対する放電容量が小さくなる。従って、初期充放電初回効率は80%以上であれば特に問題はない。
0.3C残存容量維持率は、85℃満充電保存試験における自己放電の大きさの指標とすることができる。この値が大きいほど、高温下における自己放電が小さく、電池からより多くの電流を目的とする用途に使用可能であると考えられる。従って、0.3C残存容量維持率は、実用の見地から85%以上であることが望ましく、90%以上であるのがより望ましい。
0.3C回復容量維持率は、通電電流が小さい用途における出力指標となる。この場合、電池内部の抵抗の影響を受け難いため、0.3C回復容量維持率は90%以上であることが望ましく、95%以上であることがより望ましい。
1.5C回復容量維持率は、通電電流が大きい用途における出力指標となる。この場合、電池内部の抵抗の影響を受け易く、回復容量維持率は0.3Cの場合よりも低下する。従って、1.5C回復容量維持率は、85%以上であることが望ましく、90%以上であることがより望ましい。
110 電池外装
120 電池外装の空間
130 正極リード体
140 負極リード体
150 正極
160 負極
170 セパレータ
Claims (7)
- 前記ジカルボン酸エステルが、メチルマロン酸ジエチル、2-エチル-2-メチルマロン酸ジエチル、及びコハク酸ジメチルのうち少なくとも一つである、請求項1に記載の非水系電解液。
- 前記ジカルボン酸エステルの含有量が、前記非水系電解液100質量部に対して0.01質量部~2質量部である、請求項1又は2に記載の非水系電解液。
- 前記非水系溶媒が、更にα位に置換基を有するラクトン類を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記非水系溶媒が、更に鎖状フッ素化カルボン酸エステルを含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 集電体の片面又は両面に、Ni、Mn、及びCoから成る群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素又はFe原子を含有する正極活物質層を有する正極と、集電体の片面又は両面に黒鉛を含有する負極活物質層を有する負極と、請求項1~5のいずれか1項に記載の非水系電解液とを含む積層体を具備する、非水系二次電池。
- 前記正極活物質層を構成する正極活物質が、LizMO2{式中、Mは、Niを含み、且つ、Mn、Co、Al、及びMgから成る群より選ばれる1種以上の金属元素を含み、更に、Niの元素含有モル比は30%より多く、そして、zは0.9超1.2未満の数を示す。}で表されるリチウム含有複合金属酸化物である、請求項6に記載の非水系二次電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020004445A JP7303755B2 (ja) | 2020-01-15 | 2020-01-15 | 非水系電解液及び非水系二次電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020004445A JP7303755B2 (ja) | 2020-01-15 | 2020-01-15 | 非水系電解液及び非水系二次電池 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021111586A JP2021111586A (ja) | 2021-08-02 |
JP7303755B2 true JP7303755B2 (ja) | 2023-07-05 |
Family
ID=77060201
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020004445A Active JP7303755B2 (ja) | 2020-01-15 | 2020-01-15 | 非水系電解液及び非水系二次電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7303755B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023190746A1 (ja) * | 2022-03-29 | 2023-10-05 | 旭化成株式会社 | 非水系二次電池 |
WO2023189682A1 (ja) * | 2022-03-30 | 2023-10-05 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 非水電解質二次電池 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002367673A (ja) | 2001-06-06 | 2002-12-20 | Mitsubishi Chemicals Corp | 電解液及び二次電池 |
JP2003059532A (ja) | 2001-08-10 | 2003-02-28 | Yuasa Corp | 非水電解質電池 |
JP2003272956A (ja) | 2002-03-20 | 2003-09-26 | Sanyo Chem Ind Ltd | 電気化学キャパシタ用電解液 |
JP2010062132A (ja) | 2008-08-05 | 2010-03-18 | Sanyo Electric Co Ltd | 二次電池用非水電解液及び非水電解液二次電池 |
WO2013062056A1 (ja) | 2011-10-28 | 2013-05-02 | 旭化成株式会社 | 非水系二次電池 |
JP2016071977A (ja) | 2014-09-29 | 2016-05-09 | 日立マクセル株式会社 | 非水二次電池 |
JP2017511588A (ja) | 2014-04-17 | 2017-04-20 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se | ジカルボン酸エステル含有の電解質組成物 |
WO2018179882A1 (ja) | 2017-03-29 | 2018-10-04 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 非水電解質及び非水電解質二次電池 |
-
2020
- 2020-01-15 JP JP2020004445A patent/JP7303755B2/ja active Active
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002367673A (ja) | 2001-06-06 | 2002-12-20 | Mitsubishi Chemicals Corp | 電解液及び二次電池 |
JP2003059532A (ja) | 2001-08-10 | 2003-02-28 | Yuasa Corp | 非水電解質電池 |
JP2003272956A (ja) | 2002-03-20 | 2003-09-26 | Sanyo Chem Ind Ltd | 電気化学キャパシタ用電解液 |
JP2010062132A (ja) | 2008-08-05 | 2010-03-18 | Sanyo Electric Co Ltd | 二次電池用非水電解液及び非水電解液二次電池 |
WO2013062056A1 (ja) | 2011-10-28 | 2013-05-02 | 旭化成株式会社 | 非水系二次電池 |
JP2017511588A (ja) | 2014-04-17 | 2017-04-20 | ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se | ジカルボン酸エステル含有の電解質組成物 |
JP2016071977A (ja) | 2014-09-29 | 2016-05-09 | 日立マクセル株式会社 | 非水二次電池 |
WO2018179882A1 (ja) | 2017-03-29 | 2018-10-04 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 非水電解質及び非水電解質二次電池 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021111586A (ja) | 2021-08-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN107431247B (zh) | 非水系电解液和非水系二次电池 | |
KR101965092B1 (ko) | 비수계 전해액 및 비수계 이차 전지 | |
JP6865555B2 (ja) | 非水系二次電池 | |
JP6917528B2 (ja) | 非水系電解液、及び非水系二次電池 | |
JP6868969B2 (ja) | 非水系二次電池とそれに用いられる非水系電解液 | |
US20130122349A1 (en) | Electrode, nonaqueous electrolyte battery, and battery pack | |
JP6767151B2 (ja) | 非水系電解液及び非水系二次電池 | |
JP7303755B2 (ja) | 非水系電解液及び非水系二次電池 | |
JP2022150959A (ja) | 非水系電解液及び非水系二次電池 | |
JP2018055934A (ja) | 非水系二次電池 | |
JP2019197634A (ja) | 非水系電解液 | |
JP7260983B2 (ja) | 非水系電解液及び非水系二次電池 | |
JP7339921B2 (ja) | 非水系電解液及び非水系二次電池 | |
JP2019197632A (ja) | 非水系電解液及び非水系二次電池 | |
JP2019197633A (ja) | 非水系電解液及び非水系二次電池 | |
JP2023146966A (ja) | 非水系二次電池及びその製造方法 | |
KR102630408B1 (ko) | 비수계 전해액, 셀 팩 및 셀 팩의 제조 방법 | |
JP7233323B2 (ja) | 非水系電解液、及び非水系二次電池 | |
JP2023019021A (ja) | 非水電解液、電気化学デバイス前駆体、及び電気化学デバイスの製造方法 | |
JP7366845B2 (ja) | 非水系電解液及び非水系二次電池 | |
WO2024090439A1 (ja) | 非水系電解液及び非水系二次電池 | |
JP2023146938A (ja) | 非水系電解液及び非水系二次電池 | |
JP2022150999A (ja) | 非水系二次電池の初回コンディショニング方法 | |
JP2022047197A (ja) | 非水系電解液及び非水系二次電池 | |
JP2023111366A (ja) | 非水系電解液及び非水系二次電池 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220926 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230522 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230620 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230623 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7303755 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |