JP7233323B2 - 非水系電解液、及び非水系二次電池 - Google Patents
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Description
常温作動型のリチウムイオン二次電池の電解液としては、非水系電解液を使用することが実用の見地より望ましい。例えば環状炭酸エステル等の高誘電性溶媒と、低級鎖状炭酸エステル等の低粘性溶媒と、の組み合わせが、一般的な溶媒として例示される。しかしながら、通常の高誘電率溶媒は、融点が高いことの他、非水系電解液に用いる電解質塩の種類によっては非水系電解液の負荷特性(出力特性)、及び低温特性を劣化させる要因にもなり得る。
これまでに提案されている改善策のうち主なものは、以下の3つに分類される。
例えば、特許文献1、及び2には、溶媒であるアセトニトリルを特定の電解質塩、及び添加剤と組み合わせることによって、アセトニトリルの還元分解の影響を低減した電解液が報告されている。なお、リチウムイオン二次電池の黎明期には、特許文献3のように、アセトニトリルをプロピレンカーボネート、及びエチレンカーボネートで希釈しただけの溶媒を含む電解液も報告されている。しかしながら、特許文献3では、高温耐久性能について高温保存後の内部抵抗、及び電池厚みのみの評価により判定しているため、高温環境下に置かれた場合に実際に電池として作動するか否かという情報は開示されていない。単純にエチレンカーボネート、及びプロピレンカーボネートで希釈するだけの措置によってアセトニトリルをベースとする溶媒を含む電解液の還元分解を抑制することは、実際には至難の業である。溶媒の還元分解の抑制方法としては、特許文献1、m及び2のように、複数の電解質塩、及び添加剤を組み合わせる方法が現実的である。
例えば、特許文献4には、負極に特定の金属化合物を用いることにより、アセトニトリルの還元分解を回避した電池を得ることができると報告されている。ただし、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を重視する用途においては、アセトニトリルの還元電位よりも卑な電位でリチウムイオンを吸蔵する負極活物質を用いる方が電位差の観点から圧倒的に有利となる。そのため、そのような用途において特許文献4の改善策を適用すると、使用可能な電圧の範囲が狭くなるため、不利である。
例えば、特許文献5には、濃度が4.2mol/Lとなるようにリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SO2CF3)2)をアセトニトリルに溶解させた電解液を用いると、黒鉛電極への可逆的なリチウム挿入脱離が可能であることが記載されている。また、特許文献6には、濃度が4.5mol/Lとなるようにリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SO2F)2)をアセトニトリルに溶解させた電解液を用いたセルに対して充放電測定を行った結果、黒鉛へのLi+挿入脱離反応が観察され、更に、ハイレートで放電可能であることが報告されている。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]
アセトニトリルを20体積%~95体積%含有する非水系溶媒と;
リチウム塩と;
下記1~5:
1.複素環化合物であり、
2.前記複素環化合物はラクタム環を有しており、
3.前記複素環化合物の前記ラクタム環内に窒素原子を2つ以上含有し、
4.前記複素環化合物の前記ラクタム環内にsp2炭素を2つ以上含有し、
5.前記複素環内の前記窒素原子に水素原子が結合していないこと
を満たす構造を有する1種類以上の化合物と;
を含有する非水系電解液。
[2]
前記ラクタム環がγ-ラクタム環である、[1]に記載の非水系電解液。
[3]
前記複素環化合物が、下記式(1)、及び(2):
で表されるピラゾロン誘導体、及びこれらの異性体から成る群より選択される少なくとも1つである、[1]又は[2]に記載の非水系電解液。
[4]
前記R1はアリール基又はヘテロアリール基である、[3]に記載の非水系電解液。
[5]
前記複素環化合物の含有量が、非水系電解液100質量部に対して0.01以上10質量部以下である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の非水系電解液。
[6]
環状酸無水物を含有する、[1]~[5]のいずれか1項に記載の非水系電解液。
[7]
前記環状酸無水物が、マロン酸無水物、無水コハク酸、グルタル酸無水物、無水マレイン酸、無水フタル酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物、及びナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物から成る群より選択される少なくとも1種を含む、[6]に記載の非水系電解液。
[8]
前記環状酸無水物の含有量が、非水系電解液100質量部に対して0.01~10質量部である、[6]又は[7]に記載の非水系電解液。
[9]
集電体の片面又は両面に、Ni、Mn、及びCoから選択される少なくとも1種の遷移金属元素又はFe原子を含有する正極活物質層を備える正極と、
集電体の片面又は両面に、黒鉛を含有する負極活物質層を備える負極と、
[1]~[8]のいずれか1項に記載の非水系電解液とを具備する非水系二次電池。
[10]
前記正極活物質が、下記式(3):
LipNiqCorMnsMtOu・・・・・(3)
{式中、MはAl、Sn、In、Fe、V、Cu、Mg、Ti、Zn、Mo、Zr、Sr、Baから成る群より選択される少なくとも1種の金属であり、且つ、0<p<1.3、0<q<1.2、0<r<1.2、0≦s<0.5、0≦t<0.3、0.7≦q+r+s+t≦1.2、1.8<u<2.2の範囲であり、そしてpは、電池の充放電状態により決まる値である。}
で表される1種以上のLi含有金属酸化物を含有する、[9]に記載の非水系二次電池。
[11]
前記式(3)で表されるLi含有金属酸化物のNi含有比qが、0.5<q<1.2である、[10]に記載の非水系二次電池。
[12]
前記正極活物質の表面が、Zr、Ti、Al、及びNbから成る群より選択される少なくとも1種の金属元素を含有する化合物で被覆された、[9]~[11]のいずれか1項に記載の非水系二次電池。
[13]
前記正極活物質の表面が、Zr、Ti、Al、及びNbから成る群より選択される少なくとも1種の金属元素を含有する酸化物で被覆された、[9]~[12]のいずれか1項に記載の非水系二次電池。
[14]
前記正極活物質の表面が、ZrO2、TiO2、Al2O3、NbO3、及びLiNbO2から成る群より選択される少なくとも1種の酸化物で被覆された、[9]~[13]のいずれか1項に記載の非水系二次電池。
アセトニトリルを20体積%~95体積%含有する非水系溶媒と;
リチウム塩と;
下記1~5:
1.複素環化合物であり、
2.複素環化合物はラクタム環を有しており、
3.複素環化合物のラクタム環内に窒素原子を2つ以上含有し、
4.複素環化合物のラクタム環内にsp2炭素を2つ以上含有し、
5.複素環内の窒素原子に水素原子が結合していないこと
を満たす構造を有する1種類以上の化合物と;
を含有する。
本実施形態の電解液は、例えば、非水系二次電池に用いることができる。本実施形態の非水系二次電池としては、例えば、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵、及び放出することが可能な正極材料を含有する正極と、負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵、及び放出することが可能な負極材料、並びに金属リチウムから成る群より選択される1種以上の負極材料を含有する負極と、を備えるリチウムイオン二次電池が挙げられる。
より具体的には、集電体の片面又は両面に、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、及びコバルト(Co)から選択される少なくとも1種の遷移金属元素又は鉄(Fe)原子を含有する正極活物質層を備える正極、集電体の片面又は両面に黒鉛を含有する負極活物質層を備える負極、並びに、非水系電解液を具備する非水系二次電池が挙げられる。
本実施形態の非水系二次電池としては、具体的には、図1、及び2に図示される非水系二次電池であってもよい。ここで、図1は非水系二次電池を概略的に表す平面図であり、図2は図1のA-A線断面図である。
電池外装110を構成しているアルミニウムラミネートフィルムは、アルミニウム箔の両面をポリオレフィン系の樹脂でコートしたものであることが好ましい。
正極150は、電池100内で正極リード体130と接続している。図示していないが、負極160も、電池100内で負極リード体140と接続している。そして、正極リード体130、及び負極リード体140は、それぞれ、外部の機器等と接続可能なように、片端側が電池外装110の外側に引き出されており、それらのアイオノマー部分が、電池外装110の1辺と共に熱融着されている。
正極150は、正極合剤から作製した正極活物質層と、正極集電体とから構成される。負極160は、負極合剤から作製した負極活物質層と、負極集電体とから構成される。正極150、及び負極160は、セパレータ170を介して正極活物質層と負極活物質層とが対向するように配置される。
以下、正極、及び負極の総称として「電極」、正極活物質層、及び負極活物質層の総称として「電極活物質層」、正極合剤、及び負極合剤の総称として「電極合剤」とも略記する。
これらの各部材としては、本実施形態における各要件を満たしていれば、従来のリチウムイオン二次電池に備えられる材料を用いることができ、例えば後述の材料であってもよい。 以下、非水系二次電池の各部材について詳細に説明する。
本実施形態における電解液は、非水系溶媒(以下、単に「溶媒」ともいう。)と、リチウム塩と、上記1~5を満たす構造を有する含窒素複素環化合物の少なくとも1つと、を少なくとも含む。リチウム塩の中でも、フッ素含有無機リチウム塩は、イオン伝導度に優れるものの、熱安定性が十分でないうえ、溶媒中の微量水分により加水分解し易く、フッ化リチウム、及びフッ化水素を発生し易い性質を有する。フッ素含有無機リチウム塩が分解すると、該フッ素含有無機リチウム塩を含有する電解液のイオン伝導度が低下すると共に、生成したフッ化リチウム、及びフッ化水素が、電極、集電体等の材料を腐食し又は溶媒を分解する等の、電池に致命的な悪影響を及ぼす場合がある。
本実施形態における電解液は、水分を含まないことが好ましいが、本発明の課題解決を阻害しない範囲であれば、ごく微量の水分を含有してもよい。そのような水分の含有量は、電解液の全量に対して、好ましくは0~100ppmである。
なお、電解液の各化合物の含有量は、特に断りが無い限り、<2-1.非水系溶媒>に記載の各成分、及び<2-3.電極保護用添加剤>に記載の電極保護用添加剤については非水系溶媒を構成する各成分の合計量に対する体積%で混合比を規定し、<2-2.リチウム塩>に記載のリチウム塩については、電解液全体の体積に対するモル濃度で混合比を規定し、<2-4.酸無水物>、<2-5.含窒素複素環化合物>、及び<2-6.その他の任意的添加剤>については電解液全体の質量に対する質量%で混合比を規定する。
また、本実施の形態において、2-1から2-6の各項目で具体的に示した化合物以外の化合物を電解液に含む場合は、該化合物が常温(25℃)で液体の場合は非水系溶媒に準じて取り扱い、非水系溶媒を構成する各成分(該化合物を含む)の合計量に対する体積%で混合比を表す。一方、該化合物が常温(25℃)で固体の場合は電解液全体の質量に対する質量%で混合比を表す。
ここで、非水系溶媒について説明する。本実施形態でいう「非水系溶媒」とは、電解液中からリチウム塩、及び各種添加剤を除いた要素をいう。電解液に電極保護用添加剤が含まれている場合、「非水系溶媒」とは、電解液中からリチウム塩、及び電極保護用添加剤以外の添加剤を除いた要素をいう。
非プロトン性溶媒の具体例としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、トランス-2,3-ブチレンカーボネート、シス-2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、トランス-2,3-ペンチレンカーボネート、シス-2,3-ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、4,5-ジメチルビニレンカーボネート、及びビニルエチレンカーボネートに代表される環状カーボネート;4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,4-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、シス-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、トランス-4,5-ジフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,4,5-トリフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4,4,5,5-テトラフルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、及び4,4,5-トリフルオロ-5-メチル-1,3-ジオキソラン-2-オンに代表されるフルオロエチレンカーボネート;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-カプロラクトン、及びε-カプロラクトンに代表されるラクトン;エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、ブチレンサルファイト、ペンテンサルファイト、スルホラン、3-スルホレン、3-メチルスルホラン、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1-プロペン1,3-スルトン、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、及びエチレングリコールサルファイトに代表される硫黄化合物;テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、及び1,3-ジオキサンに代表される環状エーテル;エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、及びメチルトリフルオロエチルカーボネートに代表される鎖状カーボネート;トリフルオロジメチルカーボネート、トリフルオロジエチルカーボネート、及びトリフルオロエチルメチルカーボネートに代表される鎖状フッ素化カーボネート;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、及びアクリロニトリルに代表されるモノニトリル;メトキシアセトニトリル、及び3-メトキシプロピオニトリルに代表されるアルコキシ基置換ニトリル;マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,4-ジシアノヘプタン、1,5-ジシアノペンタン、1,6-ジシアノヘキサン、1,7-ジシアノヘプタン、2,6-ジシアノヘプタン、1,8-ジシアノオクタン、2,7-ジシアノオクタン、1,9-ジシアノノナン、2,8-ジシアノノナン、1,10-ジシアノデカン、1,6-ジシアノデカン、及び2,4-ジメチルグルタロニトリルに代表されるジニトリル;ベンゾニトリルに代表される環状ニトリル;プロピオン酸メチルに代表される鎖状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3-ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、及びテトラグライムに代表される鎖状エーテル;Rf20-ORf21(Rf20はフッ素原子を含有するアルキル基、Rf21はフッ素原子を含有してもよい有機基)に代表されるフッ素化エーテル;アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンに代表されるケトン類等の他、これらのフッ素化物に代表されるハロゲン化物が挙げられる。
本実施形態の非水系電解液は、リチウム塩について上記で限定していない限り、特に限定するものではない。例えば、本実施形態では、リチウム塩として、LiPF6又はイミド塩を含む。
し高出力特性を発現できる傾向にある。また、非水系溶媒1Lに対して2.8mol未満であることが好ましく、1.5mol未満であることがより好ましく、1mol未満であることが更に好ましい。フッ素含有無機リチウム塩の含有量が上述の範囲内にある場合、イオン伝導度が増大し高出力特性を発現できると共に、低温での粘度上昇に伴うイオン伝導度の低下を抑制できる傾向にあり、非水系電解液の優れた性能を維持しながら、高温サイクル特性、及びその他の電池特性を一層良好なものとすることができる傾向にある。
有機リチウム塩としては、シュウ酸基を有する有機リチウム塩を挙げることができる。シュウ酸基を有する有機リチウム塩の具体例としては、例えば、LiB(C2O4)2、LiBF2(C2O4)、LiPF4(C2O4)、及びLiPF2(C2O4)2のそれぞれで表される有機リチウム塩等が挙げられ、中でもLiB(C2O4)2、及びLiBF2(C2O4)で表されるリチウム塩から選択される少なくとも1種のリチウム塩が好ましい。また、これらのうちの1種又は2種以上を、フッ素含有無機リチウム塩と共に使用することがより好ましい。このシュウ酸基を有する有機リチウム塩は、非水系電解液に添加する他、負極(負極活物質層)に含有させてもよい。
シュウ酸基を有する有機リチウム塩は、極性の低い有機溶媒、特に鎖状カーボネートに対して難溶性であることが知られている。シュウ酸基を有する有機リチウム塩は、微量のシュウ酸リチウムを含有している場合があり、更に、非水系電解液として混合するときにも、他の原料に含まれる微量の水分と反応して、シュウ酸リチウムの白色沈殿を新たに発生させる場合がある。したがって、本実施形態の非水系電解液におけるシュウ酸リチウムの含有量は、特に限定するものでないが、0~500ppmであることが好ましい。
LiC(SO2R22)(SO2R23)(SO2R24) (15a)
LiN(SO2OR25)(SO2OR26) (15b)
LiN(SO2R27)(SO2OR28) (15c)
{式中、R22、R23、R24、R25、R26、R27、及びR28は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1~8のパーフルオロアルキル基を示す。}
のそれぞれで表される有機リチウム塩等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を、フッ素含有無機リチウム塩と共に使用することができる。
本実施形態における電解液には、電極を保護する添加剤が含まれていてもよい。電極保護用添加剤としては、本発明による課題解決を阻害しないものであれば特に制限はない。リチウム塩を溶解する溶媒としての役割を担う物質(すなわち上述の非水系溶媒)に実質的に含まれてもよい。電極保護用添加剤は、本実施形態における電解液、及び非水系二次電池の性能向上に寄与する物質であることが好ましいが、電気化学的な反応には直接関与しない物質をも包含する。
本実施形態においては、電極保護用添加剤の含有量が多いほど電解液の劣化が抑えられる。しかし、電極保護用添加剤の含有量が少ないほど非水系二次電池の低温環境下における高出力特性が向上することになる。従って、電極保護用添加剤の含有量を上述の範囲内に調整することによって、非水系二次電池としての基本的な機能を損なうことなく、電解液の高イオン伝導度に基づく優れた性能を最大限に発揮することができる傾向にある。このような組成で電解液を調製することにより、非水系二次電池のサイクル性能、低温環境下における高出力性能、及びその他の電池特性の全てを一層良好なものとすることができる傾向にある。
不飽和結合含有環状カーボネートとしてはビニレンカーボネートが好ましく、ビニレンカーボネートは、非水系電解液中、0.1体積%以上4体積%以下、好ましくは、0.2体積%以上3体積%未満、更に好ましくは、0.5体積%以上2.5体積%未満含むことが好ましい。これにより、低温耐久性をより効果的に向上させることができ、低温性能に優れた二次電池を提供することが可能になる。
電極保護用添加剤としてのビニレンカーボネートは負極表面でのアセトニトリルの還元分解反応を抑制するため、必須である場合が多く、不足すると電池性能が急激に低下する可能性がある。一方で、過剰な被膜形成は低温性能の低下を招く。そこで、ビニレンカーボネートの添加量を上記の範囲内に調整することで、界面(被膜)抵抗を低く抑えることができ、低温時のサイクル劣化を抑制することができる。
本実施形態における非水系電解液を用いた非水系二次電池は、初回充電のときに非水系電解液の一部が分解し、負極表面にSEI(Solid Electrolyte Interface)を形成することにより安定化する。このSEIをより効果的に強化するには、酸無水物を添加することが有効である。特に、非水系溶媒としてアセトニトリルを含む本実施形態では、温度上昇に伴いSEIの強度が低下する傾向にあるが、酸無水物の添加によってSEIの強化が促進される。これにより、効果的に熱履歴による経時的な内部抵抗の増加を抑制することができる。
無水コハク酸、無水マレイン酸、及び無水フタル酸のうち少なくとも1種を含む非水系電解液によれば、負極に強固なSEIを形成でき、より効果的に、高温加熱時の抵抗増加を抑制する。特に、少なくとも、無水コハク酸を含むことが好ましい。これにより、副反応を抑制しつつ、より効果的に、負極に強固なSEIを形成できる。
このとき、酸無水物はもともと電解液中での含有量が少ないうえ、負極表面のSEIに取り込まれる等して、初回充電後は、成分検出が困難な場合がある。このため、酸無水物を用いた非水系二次電池においては、初回充電が施された状態において、下記に記載したような特性を有していれば、本実施形態の非水系電解液の構成成分を有するものと推測することが可能である。
本実施形態における電解液は、上記1~5を満たす構造を有する化合物(複素環化合物)を1種類以上含有する。好ましくは複素環化合物のラクタム環はγ-ラクタム環であり、より好ましくは下記一般式(1)、(2):
で表されるピラゾロン誘導体、及びこれらの異性体から成る群より選択される少なくとも1つを有する。
本実施形態においては、非水系二次電池の充放電サイクル特性の改善、高温貯蔵性、安全性の向上(例えば過充電防止等)等の目的で、非水系電解液に、例えば、スルホン酸エステル、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、tert-ブチルベンゼン、リン酸エステル〔エチルジエチルホスホノアセテート(EDPA):(C2H5O)2(P=O)-CH2(C=O)OC2H5、リン酸トリス(トリフルオロエチル)(TFEP):(CF3CH2O)3P=O、リン酸トリフェニル(TPP):(C6H5O)3P=O:(CH2=CHCH2O)3P=O、リン酸トリアリル等〕、非共有電子対周辺に立体障害のない窒素含有環状化合物〔ピリジン、1-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、1-メチルピラゾール等〕等、及びこれらの化合物の誘導体等から選択される任意的添加剤を、適宜含有させることもできる。特にリン酸エステルは、貯蔵時の副反応を抑制する作用があり、効果的である。
正極150は、正極合剤から作製した正極活物質層と、正極集電体とから構成される。正極150は、非水系二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。
正極活物質としては、例えば、Ni、Mn、及びCoから成る群より選択される少なくとも1種の遷移金属元素を含有する正極活物質が挙げられ、下記式(13)で表されるLi含有金属酸化物から選択される少なくとも1種のLi含有金属酸化物が好適である。
LipNiqCorMnsMtOu・・・・・(13)
{式中、Mはアルミニウム(Al)、スズ(Sn)、インジウム(In)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、ジルコニウム(Zr)、ストロンチウム(Sr)、及びバリウム(Ba)から成る群から選択される少なくとも1種の金属であり、且つ、0<p<1.3、0<q<1.2、0<r<1.2、0≦s<0.5、0≦t<0.3、0.7≦q+r+s+t≦1.2、1.8<u<2.2の範囲であり、そしてpは、電池の充放電状態により決まる値である。}
特に、式(13)で表されるLi含有金属酸化物のNi含有比qが、0.5<q<1.2である場合には、レアメタルであるCoの使用量削減と、高エネルギー密度化の両方が達成されるため好ましい。そのような正極活物質としては、例えば、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2、LiNi0.75Co0.15Mn0.15O2、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2、LiNi0.85Co0.075Mn0.075O2、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2、LiNi0.81Co0.1Al0.09O2、LiNi0.85Co0.1Al0.05O2、等に代表されるリチウム含有複合金属酸化物が挙げられる。
同様の理由により、正極活物質の表面が、Zr、Ti、Al、及びニオブ(Nb)から成る群より選択される少なくとも1種の金属元素を含有する化合物で被覆されていることが好ましい。また、正極活物質の表面が、Zr、Ti、Al、及びNbから成る群より選択される少なくとも1種の金属元素を含有する酸化物で被覆されていることがより好ましい。更に、正極活物質の表面が、ZrO2、TiO2、Al2O3、NbO3、及びLiNbO2から成る群より選択される少なくとも1種の酸化物で被覆されていることが、リチウムイオンの透過を阻害しないため特に好ましい。
なお、正極活物質の表面とは、セパレータを介して負極対抗する側の正極活物質層の表面に限定されず、多孔質な正極活物質層内の空隙の内壁も含まれる。また、正極活物質の表面がこれらの好ましい化合物で被覆されていることは、例えばX線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)による分析で、上述した好ましい金属元素、及び/又は好ましい金属元素の酸化物に相当するピークの有無を観測することによって把握できる。XPSで得られる情報は、特性上、測定対象の表面下1nm~5nm程度の範囲であるため、XPSによって観測される範囲を正極活物質の表面として差し支えない。
LivMID2 (14a)
LiwMIIPO4 (14b)
LitMIII uSiO4 (14c)
{式中、Dはカルコゲン元素を示し、MI、MII、及びMIIIはそれぞれ少なくとも1種の遷移金属元素を含む1種以上の遷移金属元素を示す。v、w、及びtの値は、電池の充放電状態により決まり、それぞれ0.05~1.10の数を示す。uは0~2の数を示す。}
のそれぞれで表される化合物が挙げられる。
このようなその他の正極活物質としては、例えば、トンネル構造、及び層状構造を有する金属酸化物又は金属カルコゲン化物;イオウ;導電性高分子等が挙げられる。トンネル構造、及び層状構造を有する金属酸化物又は金属カルコゲン化物としては、例えば、MnO2、FeO2、FeS2、V2O5、V6O13、TiO2、TiS2、MoS2、及びNbSe2に代表されるリチウム以外の金属の酸化物、硫化物、セレン化物等が挙げられる。導電性高分子としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、及びポリピロールに代表される導電性高分子が挙げられる。
上述のその他の正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられ、特に制限はない。しかしながら、リチウムイオンを可逆安定的に吸蔵、及び放出することが可能であり、且つ、高エネルギー密度を達成できることから、正極活物質層がNi、Mn、及びCoから選択される少なくとも1種の遷移金属元素を含有することが好ましい。
負極160は、負極合剤から作製した負極活物質層と、負極集電体とから構成される。負極160は、非水系二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。
負極活物質層は、負極活物質を含有し、必要に応じて導電助剤、及びバインダーを含有することが好ましい。
負極活物質層は、電池電圧を高められるという観点から、負極活物質としてリチウムイオンを0.4V vs.Li/Li+よりも卑な電位で吸蔵することが可能な材料を含有することが好ましい。
負極集電体は、例えば、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等の金属箔により構成される。また、負極集電体は、表面にカーボンコートが施されていてもよいし、メッシュ状に加工されていてもよい。負極集電体の厚みは、5~40μmであることが好ましく、6~35μmであることがより好ましく、7~30μmであることが更に好ましい。
で表される化合物から成る群より選択される少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。
これらの化合物は負極表面のSEI強化に大きく貢献する。特に、非水系溶媒としてアセトニトリルを含有する本実施形態では絶大な効果を発揮する。そのため、正極側で酸無水物が不必要に消費されないようにすることも、極めて重要である。
本実施形態における非水系二次電池100は、正極150、及び負極160の短絡防止、シャットダウン等の安全性付与の観点から、正極150と負極160との間にセパレータ170を備えることが好ましい。セパレータ170としては、限定されるものではないが、公知の非水系二次電池に備えられるものと同様のものを用いてもよく、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。セパレータ170としては、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜等が挙げられ、これらの中でも、合成樹脂製微多孔膜が好ましい。
セパレータ170は、1種の微多孔膜を単層又は複数積層した構成であってもよく、2種以上の微多孔膜を積層したものであってもよい。セパレータ170は、2種以上の樹脂材料を溶融混錬した混合樹脂材料を用いて単層又は複数層に積層した構成であってもよい。
本実施形態における非水系二次電池100の電池外装110の構成は特に限定されないが、例えば、電池缶、及びラミネートフィルム外装体のいずれかの電池外装を用いることができる。電池缶としては、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウム又はクラッド材等から成る角型、角筒型、円筒型、楕円型、扁平型、コイン型又はボタン型等の金属缶を用いることができる。ラミネートフィルム外装体としては、例えば、熱溶融樹脂/金属フィルム/樹脂の3層構成から成るラミネートフィルムを用いることができる。
本実施形態における非水系二次電池100は、上述の非水系電解液、集電体の片面又は両面に正極活物質層を備える正極150、集電体の片面又は両面に負極活物質層を備える負極160、及び電池外装110、並びに必要に応じてセパレータ170を用いて、公知の方法により作製される。
一方、負極活物質層よりも正極活物質層の面積が大きいか、又は両者が同じである場合には、充電時に負極活物質層のエッジ部分で電流の集中が起こり易く、リチウムデンドライトが生成し易くなる。
(1)非水系電解液の調製
不活性雰囲気下、各種非水系溶媒、各種酸無水物、及び各種添加剤を、それぞれが所定の濃度になるよう混合し、更に、各種リチウム塩をそれぞれ所定の濃度になるよう添加することにより、非水系電解液(S1)~(S17)を調製した。これらの非水系電解液組成を表1に示す。
(非水系溶媒)
AN:アセトニトリル
DEC:ジエチルカーボネート
EC:エチレンカーボネート
VC:ビニレンカーボネート
(リチウム塩)
LiPF6:ヘキサフルオロリン酸リチウム
LiFSI:リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SO2F)2)
LiTFSI:リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(SO2CF3)2)
(添加剤:酸無水物)
SAH:無水コハク酸
(添加剤:その他)
BT-LX:1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]ベンゾトリアゾール
TT-LX:1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール
MBTA:1-メチル-1H-ベンゾトリアゾール
上述のようにして得られた各種電解液(実施例1~3、及び比較例1~14)について、電解液を調製してから1週間後の電解液の着色の有無を目視観察する試験を行った。得られた評価結果を表2に示す。なお表2中、○は淡黄色又は茶褐色の着色が観察された非水系電解液、×は着色が観察されなかった非水系電解液を表している。
(3-1)正極(P1)の作製
(A)正極活物質として、数平均粒子径11μmのリチウム、ニッケル、マンガン及びコバルトの複合酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2、密度4.70g/cm3)と、(B)導電助剤として、数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末(密度2.26g/cm3)及び数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末(密度1.95g/cm3)と、(c)バインダーとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF;密度1.75g/cm3)と、を92:4:4の質量比で混合し、正極合剤を得た。
得られた正極合剤に溶剤としてN-メチル-2-ピロリドンを固形分68質量%となるように投入して更に混合して、正極合剤含有スラリーを調製した。正極集電体となる厚さ15μm、幅280mmのアルミニウム箔の片面に、この正極合剤含有スラリーの目付量を調節しながら、塗工幅240~250mm、塗工長125mm、無塗工長20mmの塗布パターンになるよう3本ロール式転写コーターを用いて塗布し、熱風乾燥炉で溶剤を乾燥除去した。得られた電極ロールは、両サイドをトリミングカットし、130℃8時間の減圧乾燥を実施した。その後、ロールプレスで正極活物質層の密度が2.9g/cm3になるよう圧延して、正極活物質層と正極集電体から成る正極(P1)を得た。目付量は23.9mg/cm2、正極集電体を除く正極活物質の質量は22.0mg/cm2であった。
(a)負極活物質として、数平均粒子径12.7μmの人造黒鉛粉末(密度2.23g/cm3)と、(b)数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末(密度1.95g/cm3)と、(c)バインダーとして、カルボキシメチルセルロース(密度1.60g/cm3)溶液(固形分濃度1.83質量%)及びジエン系ゴム(ガラス転移温度:-5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、密度1.00g/cm3、分散媒:水、固形分濃度40質量%)とを95.7:0.5:3.8の固形分質量比で混合し、負極合剤を得た。得られた負極合剤に溶剤として水を固形分45質量%となるように投入して更に混合して、負極合剤含有スラリーを調製した。負極集電体となる厚さ8μm、幅280mmの銅箔の片面に、この負極合剤含有スラリーの目付量を調節しながら、塗工幅240~250mm、塗工長125mm、無塗工長20mmの塗布パターンになるよう3本ロール式転写コーターを用いて塗布し、熱風乾燥炉で溶剤を乾燥除去した。得られた電極ロールは、両サイドをトリミングカットし、130℃8時間の減圧乾燥を実施した。その後、ロールプレスで負極活物質層の密度が1.5g/cm3になるよう圧延して、負極活物質層と負極集電体から成る負極(N1)を得た。目付量は11.5mg/cm2、負極集電体を除く負極活物質の質量は11.0mg/cm2であった。
CR2032タイプの電池ケース(SUS304/Alクラッド)にポリプロピレン製ガスケットをセットし、その中央に上述のようにして得られた正極(P1)を直径15.958mmの円盤状に打ち抜いたものを、正極活物質層を上向きにしてセットした。その上からガラス繊維濾紙(アドバンテック社製、GA-100)を直径16.156mmの円盤状に打ち抜いたものをセットして、非水系電解液を150μL注入した後、上述のようにして得られた負極を直径16.156mmの円盤状に打ち抜いたものを、負極活物質層を下向きにしてセットした。更にスペーサーとスプリングをセットした後に電池キャップをはめ込み、カシメ機でかしめた。あふれた電解液はウエスできれいにふきとった。25℃で12時間保持し、積層体に非水系電解液を十分馴染ませてコイン型非水系二次電池を得た。
上述のようにして得られたコイン型非水系二次電池(実施例4~6、及び比較例15~23)について、まず、下記(4-1)の手順に従って初回充電処理、及び初回充放電容量測定を行った。次に(4-2)、及び(4-3)の手順に従ってそれぞれのコイン型非水系二次電池を評価した。なお、充放電はアスカ電子(株)製の充放電装置ACD-M01A(商品名)、及びヤマト科学(株)製のプログラム恒温槽IN804(商品名)を用いて行った。
ここで、1Cとは満充電状態の電池を定電流で放電して1時間で放電終了となることが期待される電流値を意味する。4.2Vの満充電状態から定電流で3.0Vまで放電して1時間で放電終了となることが期待される電流値を意味する。
コイン型非水系二次電池の周囲温度を25℃に設定し、0.1Cに相当する0.6mAの定電流で充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で1.5時間充電を行った。その後、0.3Cに相当する1.8mAの定電流で3.0Vまで放電した。このときの放電容量を充電容量で割ることによって、初回効率を算出した。また、このときの放電容量を初期容量とした。
上記(4-1)に記載の方法で初回充放電処理を行ったコイン型非水系二次電池について、周囲温度を25℃に設定し、1Cに相当する6mAの定電流で充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で1.5時間充電を行った。次に、このコイン型非水系二次電池を85℃の恒温槽に4時間保存した。その後、周囲温度を25℃に戻し、0.3Cに相当する1.8mAの電流値で3.0Vまで放電した。このときの残存放電容量をAとした。85℃満充電保存試験の測定値として、以下の式に基づき、残存容量維持率を算出した。
0.3C残存容量維持率=(85℃満充電保存後の0.3C残存放電容量A/85℃満充電保存試験前の初期容量)×100[%]
上記(4-2)に記載の方法で85℃満充電保存試験を行ったコイン型非水系二次電池について、周囲温度を25℃に設定し、1Cに相当する6mAの定電流で充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で1.5時間充電を行った。この時の回復充電容量をBとした。その後、0.3Cに相当する1.8mAの電流値で3.0Vまで放電した。このときの回復放電容量をCとした。次に、1Cに相当する6mAの定電流で充電して電池電圧が4.2Vに到達するまで充電を行った後、4.2Vの定電圧で1.5時間充電を行った。その後、1.5Cに相当する9mAの定電流で電池電圧3.0Vまで放電した。このときの放電容量をDとした。出力試験測定値として、以下の式に基づき、充放電効率、及び回復容量維持率を算出した。
充放電効率=(85℃満充電保存試験後の0.3C回復放電容量C/85℃満充電保存試験後の1C回復充電容量B)×100[%]
0.3C回復容量維持率=(85℃満充電保存試験後の0.3C回復放電容量C/85℃満充電保存試験前の初期容量)×100[%]
1.5C回復容量維持率=(85℃満充電保存試験後の1.5C回復放電容量D/85℃満充電保存試験前の初期容量)×100[%]
初期充放電初回効率は、初回充電容量に対する初回放電容量の割合を示すが、一般的に2回目以降の充放電効率より低下する傾向にある。これは、初回充電時のSEI形成時にLiイオンが利用されることで、放電できるLiイオンが少なくなるためである。これにより、不可逆容量が生じ、充電容量に対する放電容量が小さくなる。従って、初期充放電初回効率は84%以上であれば特に問題はない。
0.3C残存容量維持率からは、85℃満充電保存試験における自己放電の大きさの指標とすることができる。この値が大きいほど、高温下における自己放電が小さく、電池からより多くの電流を目的とする用途に使用可能であると考えられる。従って、実用の見地から85%以上であることが望ましく、90%以上であるのがより望ましい。
充放電効率は、一般的なリチウムイオン二次電池の充放電効率と比較して同等以上となるように、95%以上であることが望ましい。
0.3C回復容量維持率は、通電電流が小さい用途における出力指標となる。この場合、電池内部の抵抗の影響を受け難いため、容量維持率は90%以上であることが望ましく、95%以上であることがより望ましい。
1.5C回復容量維持率は、通電電流が大きい用途における出力指標となる。この場合、電池内部の抵抗の影響を受け易く、回復容量維持率は0.3Cの場合よりも低下する。従って、80%以上であることが望ましい。
110 電池外装
120 電池外装の空間
130 正極リード体
140 負極リード体
150 正極
160 負極
170 セパレータ
Claims (14)
- アセトニトリルを20体積%~95体積%含有する非水系溶媒と;
リチウム塩と;
下記1~5:
1.複素環化合物であり、
2.前記複素環化合物はラクタム環を有しており、
3.前記複素環化合物の前記ラクタム環内に窒素原子を2つ以上含有し、
4.前記複素環化合物の前記ラクタム環内にsp2炭素を2つ以上含有し、
5.前記複素環内の前記窒素原子に水素原子が結合していないこと
を満たす構造を有する1種類以上の化合物と;
を含有する非水系電解液。
- 前記ラクタム環がγ-ラクタム環である、請求項1に記載の非水系電解液。
- 前記複素環化合物が、下記式(1)、及び(2):
で表されるピラゾロン誘導体、及びこれらの異性体から成る群より選択される少なくとも1つである、請求項1又は2に記載の非水系電解液。
- 前記R1はアリール基又はヘテロアリール基である、請求項3に記載の非水系電解液。
- 前記複素環化合物の含有量が、非水系電解液100質量部に対して0.01以上10質量部以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 環状酸無水物を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記環状酸無水物が、マロン酸無水物、無水コハク酸、グルタル酸無水物、無水マレイン酸、無水フタル酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、2,3-ナフタレンジカルボン酸無水物、及びナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物から成る群より選択される少なくとも1種を含む、請求項6に記載の非水系電解液。
- 前記環状酸無水物の含有量が、非水系電解液100質量部に対して0.01~10質量部である、請求項6又は7に記載の非水系電解液。
- 集電体の片面又は両面に、Ni、Mn、及びCoから選択される少なくとも1種の遷移金属元素又はFe原子を含有する正極活物質層を備える正極と、
集電体の片面又は両面に、黒鉛を含有する負極活物質層を備える負極と、
請求項1~8のいずれか1項に記載の非水系電解液とを具備する非水系二次電池。
- 前記正極活物質が、下記式(3):
LipNiqCorMnsMtOu・・・・・(3)
{式中、MはAl、Sn、In、Fe、V、Cu、Mg、Ti、Zn、Mo、Zr、Sr、Baから成る群より選択される少なくとも1種の金属であり、且つ、0<p<1.3、0<q<1.2、0<r<1.2、0≦s<0.5、0≦t<0.3、0.7≦q+r+s+t≦1.2、1.8<u<2.2の範囲であり、そしてpは、電池の充放電状態により決まる値である。}
で表される1種以上のLi含有金属酸化物を含有する、請求項9に記載の非水系二次電池。
- 前記式(3)で表されるLi含有金属酸化物のNi含有比qが、0.5<q<1.2である、請求項10に記載の非水系二次電池。
- 前記正極活物質の表面が、Zr、Ti、Al、及びNbから成る群より選択される少なくとも1種の金属元素を含有する化合物で被覆された、請求項9~11のいずれか1項に記載の非水系二次電池。
- 前記正極活物質の表面が、Zr、Ti、Al、及びNbから成る群より選択される少なくとも1種の金属元素を含有する酸化物で被覆された、請求項9~12のいずれか1項に記載の非水系二次電池。
- 前記正極活物質の表面が、ZrO2、TiO2、Al2O3、NbO3、及びLiNbO2から成る群より選択される少なくとも1種の酸化物で被覆された、請求項9~13のいずれか1項に記載の非水系二次電池。
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