JP7339921B2 - 非水系電解液及び非水系二次電池 - Google Patents
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Description
[態様1]
非水系溶媒、及びリチウム塩を含有する非水系電解液であって、
アセトニトリルと、
下記一般式(1):
で表されるフッ素化鎖状カルボン酸エステルと、
下記一般式(2):
で表されるフッ素化鎖状カーボネートと
を含有し、
前記アセトニトリルの含有量が、前記非水系溶媒の全量に対して、5体積%以上85体積%以下であり、
前記フッ素化鎖状カルボン酸エステルの含有量が、前記非水系溶媒の全量に対して、10体積%以上85体積%以下であり、かつ、
前記フッ素化鎖状カルボン酸エステルに対する前記フッ素化鎖状カーボネートの体積比が0.1以上1.8以下である、非水系電解液。
[態様2]
正極集電体の片面又は両面に正極活物質層を有する正極、負極集電体の片面又は両面に負極活物質層を有する負極、セパレータ、及び非水系電解液を具備する非水系二次電池であって、
前記正極活物質層が、正極活物質を含み、
前記負極活物質層が、負極活物質を含み、かつ
前記非水系電解液が、態様1に記載の非水系電解液である非水系二次電池。
本実施形態における「非水系電解液」とは、非水系電解液の全量に対し、水が1質量%以下の電解液を指す。本実施形態における非水系電解液は、水分を極力含まないことが好ましいが、本発明の課題解決を阻害しない範囲であれば、ごく微量の水分を含有してもよい。そのような水分の含有量は、非水系電解液の全量に対して300質量ppm以下であり、好ましくは200質量ppm以下である。非水系電解液については、本発明の所定の構成を具備していれば、その他の要件については、リチウムイオン電池に用いられる公知の非水系電解液における構成材料を、適宜選択して適用することができる。
非水系溶媒、及びリチウム塩を含有し、さらに
アセトニトリルと、フッ素化鎖状カルボン酸エステルと、フッ素化鎖状カーボネートとを含有し、かつ、
アセトニトリルの含有量が、非水系溶媒の全量に対して、5体積%以上85体積%以下であり、かつ、
フッ素化鎖状カルボン酸エステルの含有量が、非水系溶媒の全量に対して、10体積%以上85体積%以下であり、かつ、
フッ素化鎖状カルボン酸エステルに対するフッ素化鎖状カーボネートの体積比が0.1以上1.8以下である。
本実施形態でいう「非水系溶媒」とは、電解液中からリチウム塩及び各種添加剤を除いた要素をいう。本実施形態における非水系溶媒は、アセトニトリルを含む。
環状カーボネートとして、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、トランス-2,3-ブチレンカーボネート、シス-2,3-ブチレンカーボネート、1,2-ペンチレンカーボネート、トランス-2,3-ペンチレンカーボネート、シス-2,3-ペンチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、4,5-ジメチルビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート等を;
鎖状エーテルとして、例えば、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3-ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム等を;
フッ素化エーテルとして、例えば、Rf20-OR21(Rf20はフッ素原子を含有するアルキル基、R21はフッ素原子を含有してもよい有機基)等を;
アセトニトリル以外のモノニトリルとして、例えば、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、アクリロニトリル等を;
ジニトリルとして、例えば、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,4-ジシアノヘプタン、1,5-ジシアノペンタン、1,6-ジシアノヘキサン、1,7-ジシアノヘプタン、2,6-ジシアノヘプタン、1,8-ジシアノオクタン、2,7-ジシアノオクタン、1,9-ジシアノノナン、2,8-ジシアノノナン、1,10-ジシアノデカン、1,6-ジシアノデカン、2,4-ジメチルグルタロニトリル等を;
鎖状エステルとして、例えば、プロピオン酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸プロピル、ジフルオロ酢酸エチル等を;
ケトンとして、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等を、それぞれ挙げることができ、ハロゲン化物としては、例えば、上記に例示された化合物のフッ素化物等を、挙げることができる。
本実施形態の非水系電解液は、リチウム塩を含む。
イミド塩としては、具体的には、LiN(SO2F)2、及びLiN(SO2CF3)2のうち少なくとも1種を含むことが好ましい。
本実施形態におけるリチウム塩は、フッ素含有無機リチウム塩を含んでもよい。ここで、「フッ素含有無機リチウム塩」とは、炭素原子をアニオンに含まず、フッ素原子をアニオンに含み、アセトニトリルに可溶なリチウム塩をいう。フッ素含有無機リチウム塩は、正極集電体の表面に不働態被膜を形成し、正極集電体の腐食を抑制する点で優れている。
本実施形態におけるリチウム塩は、有機リチウム塩を含んでもよい。「有機リチウム塩」とは、炭素原子をアニオンに含み、アセトニトリルに可溶な、イミド塩以外のリチウム塩をいう。有機リチウム塩としては、シュウ酸基を有する有機リチウム塩を挙げることができる。シュウ酸基を有する有機リチウム塩の具体例としては、例えば、LiB(C2O4)2、LiBF2(C2O4)、LiPF4(C2O4)、及びLiPF2(C2O4)2のそれぞれで表される有機リチウム塩等が挙げられ、中でもLiB(C2O4)2及びLiBF2(C2O4)で表されるリチウム塩から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩が好ましい。また、これらのうちの1種又は2種以上を、フッ素含有無機リチウム塩と共に使用することがより好ましい。
本実施形態におけるリチウム塩は、イミド塩、フッ素含有無機リチウム塩、及び有機リチウム塩以外の、その他のリチウム塩を含んでもよい。
LiClO4、LiAlO4、LiAlCl4、LiB10Cl10、クロロボランLi等のフッ素原子をアニオンに含まない無機リチウム塩;
LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li2C2F4(SO3)2、LiC(CF3SO2)3、LiCnF(2n+1)SO3〔式中、n≧2〕、低級脂肪族カルボン酸Li、四フェニルホウ酸Li、LiB(C3O4H2)2等の有機リチウム塩;LiPF5(CF3)等のLiPFn(CpF2p+1)6-n〔式中、nは1~5の整数、pは1~8の整数である〕で表される有機リチウム塩;
LiBF3(CF3)等のLiBFq(CsF2s+1)4-q〔式中、qは1~3の整数、sは1~8の整数である〕で表される有機リチウム塩;
多価アニオンと結合されたリチウム塩;
下記式(4a)、(4b)、及び(4c);
LiC(SO2R22)(SO2R23)(SO2R24) (4a)
LiN(SO2OR25)(SO2OR26) (4b)
LiN(SO2R27)(SO2OR28) (4c)
{式中、R22、R23、R24、R25、R26、R27、及びR28は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1~8のパーフルオロアルキル基を示す。}
のそれぞれで表される有機リチウム塩等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の非水系電解液は、
下記一般式(1):
で表されるフッ素化鎖状カルボン酸エステルを含む。
本発明の非水系電解液は、
下記一般式(2):
で表されるフッ素化鎖状カーボネートを含む。
本実施形態においては、非水系二次電池の充放電サイクル特性の改善、高温貯蔵性、安全性の向上(例えば過充電防止等)等の目的で、非水系電解液に、例えば、無水酸、スルホン酸エステル、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、tert-ブチルベンゼン、リン酸エステル{エチルジエチルホスホノアセテート(EDPA):(C2H5O)2(P=O)-CH2(C=O)OC2H5、リン酸トリス(トリフルオロエチル)(TFEP):(CF3CH2O)3P=O、リン酸トリフェニル(TPP):(C6H5O)3P=O等}等、及びこれらの化合物の誘導体等から選択される任意的添加剤を、適宜含有させることもできる。特に前記のリン酸エステルは、貯蔵時の副反応を抑制する作用があり、効果的である。
非水系二次電池において、後述の好ましい態様のセパレータを、イオン伝導度の低い非水系電解液と組み合わせた場合、リチウムイオンの移動速度が、非水系電解液のイオン伝導度に律速されることととなり、所望の入出力特性が得られない場合がある。そのため、本実施形態の非水電解液のイオン伝導度は、10mS/cm以上が好ましく、15mS/cm以上がより好ましく、20mS/cm以上が更に好ましい。
本発明の別の態様によると、
正極集電体の片面又は両面に正極活物質層を有する正極、負極集電体の片面又は両面に負極活物質層を有する負極、セパレータ、及び非水系電解液を具備する非水系二次電池であって、
正極活物質層が、正極活物質を含み、
負極活物質層が、負極活物質を含み、かつ
非水系電解液が、本実施形態の非水系電解液である、
非水系二次電池が提供される。
本実施形態の非水系二次電池における正極は、正極集電体の片面又は両面に正極活物質層を有する。
正極集電体は、例えば、アルミニウム箔、ニッケル箔、ステンレス箔等の金属箔により構成される。正極集電体は、表面にカーボンコートが施されていてもよく、メッシュ状に加工されていてもよい。正極集電体の厚みは、5~40μmであることが好ましく、7~35μmであることがより好ましく、9~30μmであることが更に好ましい。
正極活物質層は、正極活物質を含有し、必要に応じて導電助剤及びバインダーを更に含有していてもよい。
正極活物質は、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料を含有することが好ましい。このような材料を用いる場合、高電圧及び高エネルギー密度を得ることができる傾向にあるので好ましい。正極活物質としては、例えば、
LiCoO2に代表されるリチウムコバルト酸化物;
LiMnO2、LiMn2O4、及びLi2Mn2O4に代表されるリチウムマンガン酸化物;
LiNiO2に代表されるリチウムニッケル酸化物;
LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2、LiNi0.8Co0.2O2に代表されるLizMO2{MはNi、Mn、及びCoから成る群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含み、且つ、Ni、Mn、Co、Al、及びMgから成る群より選ばれる2種以上の金属元素を示し、zは0.9超1.2未満の数を示す}で表されるリチウム含有複合金属酸化物;
MnO2、FeO2、FeS2、V2O5、V6O13、TiO2、TiS2、MoS2、及びNbSe2に代表される、トンネル構造及び層状構造を有する金属酸化物又は金属カルコゲン化物;
イオウ;
ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、及びポリピロールに代表される導電性高分子等;
が挙げられる。
導電助剤としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック、及びケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。導電助剤の含有割合は、正極活物質100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは1~5質量部である。
バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム、及びフッ素ゴムが挙げられる。バインダーの含有割合は、正極活物質100質量部に対して、6質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは0.5~4質量部である。
正極活物質層は、正極活物質と、必要に応じて導電助剤及びバインダーとを混合した正極合剤を溶剤に分散した正極合剤含有スラリーを、正極集電体に塗布及び乾燥(溶媒除去)し、必要に応じてプレスすることにより形成される。このような溶剤としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。正極活物質層の形成用溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水等が挙げられる。
本実施形態の非水系二次電池における負極は、負極集電体の片面又は両面に負極活物質層を有する。
負極集電体は、例えば、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等の金属箔により構成される。また、負極集電体は、表面にカーボンコートが施されていてもよいし、メッシュ状に加工されていてもよい。負極集電体の厚みは、5~40μmであることが好ましく、6~35μmであることがより好ましく、7~30μmであることが更に好ましい。
負極活物質層は、負極活物質を含有し、必要に応じて導電助剤及びバインダーを更に含有していてもよい。
負極活物質は、例えば、アモルファスカーボン(ハードカーボン)、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、炭素コロイド、及びカーボンブラックに代表される炭素材料の他、金属リチウム、金属酸化物、金属窒化物、リチウム合金、スズ合金、Si材料、金属間化合物、有機化合物、無機化合物、金属錯体、有機高分子化合物等が挙げられる。負極活物質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。上記のSi材料としては、例えば、Si(シリコン)、Si合金、Si酸化物等が挙げられる。
導電助剤としては、例えば、グラファイト、アセチレンブラック、及びケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。導電助剤の含有割合は、負極活物質100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは0.1~10質量部である。
バインダーとしては、例えば、カルボキシメチルセルロース、PVDF、PTFE、ポリアクリル酸、及びフッ素ゴムが挙げられる。また、ジエン系ゴム、例えばスチレンブタジエンゴム等も挙げられる。バインダーの含有割合は、負極活物質100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましく、より好ましくは0.5~6質量部である。
負極活物質層は、負極活物質と必要に応じて導電助剤及びバインダーとを混合した負極合剤を溶剤に分散した負極合剤含有スラリーを、負極集電体に塗布及び乾燥(溶媒除去)し、必要に応じてプレスすることにより形成される。このような溶剤としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。負極活物質層の形成用溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、水等が挙げられる。
本実施形態における非水系二次電池は、正極及び負極の短絡防止、シャットダウン等の安全性付与等の観点から、正極と負極との間にセパレータを備えることが好ましい。セパレータとしては、限定されるものではないが、既知の非水系二次電池に備えられるものと同様のものを用いてもよく、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。セパレータを構成する素材としては、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜等が挙げられ、これらの中でも、合成樹脂製微多孔膜が好ましく、特に、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分として含有する微多孔膜、又はこれらのポリオレフィンの双方を含有する微多孔膜等のポリオレフィン系微多孔膜が好適に用いられる。
本実施形態における非水系二次電池の電池外装の構成は、特に限定されず、例えば、電池缶(図示せず)、又はラミネートフィルム外装体を用いてよい。電池缶としては、例えば、スチール又はアルミニウムから成る金属缶を用いることができる。
本実施形態の非水系二次電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形、ラミネート形等に適用できる。
本実施形態の非水系二次電池は、所定の非水系電解液、正極、負極、セパレータ、及び電池外装を用いて、既知の方法により作製することができる。
このとき、例えば、
長尺の正極と負極とを、これらの間隙に長尺のセパレータを介在させた積層状態で巻回して巻回構造の積層体を形成する態様;
正極及び負極を、それぞれ一定の面積及び形状を有する複数枚のシートに切断して得た正極シートと負極シートとを、セパレータシートを介して交互に積層した積層構造の積層体を形成する態様;
長尺のセパレータをつづら折りにして、つづら折りになったセパレータの間隙に、正極体シートと負極体シートとを交互に挿入した積層構造の積層体を形成する態様;
等が可能である。
(1)非水系溶媒及び非水系電解液の調製
不活性雰囲気下、各種非水系溶媒を、それぞれが所定の濃度になるよう混合することにより、非水系溶媒(W11)~(W19)を調製した。これらの非水系溶媒組成を表1に示す。
(非水系溶媒)
AN:アセトニトリル
EC:エチレンカーボネート
VC:ビニレンカーボネート
DFEA:2,2-ジフルオロエチルアセテート
TFEMC:2,2,2-トリフルオロエチルメチルカーボネート
DFEMC:2,2-ジフルオロエチルメチルカーボネート
TFEEC:4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-1,3-ジオキソラン-2-オン
FEC:4-フルオロ1,3-ジオキソラン-2-オン
TDFEC:トランス-ジフルオロエチレンカーボネート
(リチウム塩)
LiPF6:ヘキサフルオロリン酸リチウム
LiFSI:リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SO2F)2)
(フッ素化溶媒)
フッ素化鎖状カルボン酸エステル:DFEA
フッ素化鎖状カーボネート:TFEMC、DFEMC
フッ素化環状カーボネート:TFEEC、FEC、TDFEC
上述のようにして得られた非水系溶媒(W11)~(W19)について、非水系溶媒5μLを測り取り、ポリエチレン系セパレータに滴下し、60秒後にセパレータを目視観察する試験を行った。得られた評価結果を表3に示す。なお表3中、○は、非水系溶媒を滴下した部分のセパレータの色が白から灰色に変色した様子が観察された非水系溶媒、×は、非水系溶媒を滴下した部分のセパレータの色が白色のままである様子が観察された非水系溶媒をそれぞれ表している。
セパレータ:リチウムイオン電池用単層ポリエチレンセパレータ ND420(旭化成株式会社製)
(3-1)正極(P1)の作製
(A)正極活物質として、数平均粒子径11μmのリチウム、ニッケル、マンガン及びコバルトの複合酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2、密度4.70g/cm3)と、(B)導電助剤として、数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末(密度2.26g/cm3)及び数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末(密度1.95g/cm3)と、(C)バインダーとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF;密度1.75g/cm3)とを、92:4:4の質量比で混合し、正極合剤を得た。
(a)負極活物質として、数平均粒子径12.7μmの人造黒鉛粉末(密度2.23g/cm3)と、(b)導電助剤として、数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末(密度1.95g/cm3)と、(c)バインダーとして、カルボキシメチルセルロース(密度1.60g/cm3)溶液(固形分濃度1.83質量%)及びジエン系ゴム(ガラス転移温度:-5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、密度1.00g/cm3、分散媒:水、固形分濃度40質量%)とを、95.7:0.5:3.8の固形分質量比で混合し、負極合剤を得た。
CR2032タイプの電池ケース(SUS304/Alクラッド)にポリプロピレン製ガスケットをセットし、その中央に、上述のようにして得られた正極(P1)を直径15.958mmの円盤状に打ち抜いたものを、正極活物質層を上向きにしてセットした。その上から、ガラス繊維濾紙(アドバンテック社製、GA-100)を直径16.156mmの円盤状に打ち抜いたものをセットして、非水系電解液を150μL注入した後、上述のようにして得られた負極(N1)を直径16.156mmの円盤状に打ち抜いたものを、負極活物質層を下向きにしてセットした。さらに、電池ケース内にスペーサーとスプリングをセットした後に電池キャップをはめ込み、カシメ機でかしめた。溢れた非水系電解液はウエスできれいに拭き取った。P1とガラス繊維濾紙とN1の積層体、及び非水系電解液を含むアセンブリを25℃で12時間保持し、積層体に非水系電解液を十分馴染ませてコイン型非水系二次電池を得た。
上述のようにして得られたコイン型非水系二次電池について、まず、下記(4-1)の手順に従って初回充電処理及び初回充放電容量測定を行った。次に下記(4-2)及び(4-3)の手順に従って、それぞれのコイン型非水系二次電池を評価した。なお、充放電はアスカ電子(株)製の充放電装置ACD-M01A(商品名)及びヤマト科学(株)製のプログラム恒温槽IN804(商品名)を用いて行った。ここで、1Cとは、満充電状態の電池を定電流で放電して1時間で放電終了となることが期待される電流値を意味する。下記(4-1)~(4-3)の評価では、1Cは、具体的には、4.2Vの満充電状態から定電流で3.0Vまで放電して1時間で放電終了となることが期待される電流値を意味する。
コイン型非水系二次電池の周囲温度を25℃に設定し、0.025Cに相当する0.15mAの定電流で充電して3.1Vに到達した後、3.1Vの定電圧で1.5時間充電を行った。続いて3時間休止後、0.05Cに相当する0.3mAの定電流で電池を充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で1.5時間充電を行った。その後、0.15Cに相当する0.9mAの定電流で3.0Vまで電池を放電した。このときの放電容量(初回放電容量、以後(X)と表記する場合がある)を初回充電容量で割ることによって、初期充放電初回効率を算出した。
上記(4-1)に記載の方法で初回充放電処理を行ったコイン型非水系二次電池について、周囲温度を25℃に設定し、1Cに相当する6mAの定電流で充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で1.5時間充電を行った。次に、このコイン型非水系二次電池を85℃の恒温槽に4時間保存した。その後、周囲温度を25℃に戻し、0.3Cに相当する1.8mAの電流値で3.0Vまで電池を放電した。その後、1Cに相当する6mAの定電流で充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で1.5時間充電を行った。その後、0.3Cに相当する1.8mAの電流値で3.0Vまで電池を放電した。次に、1Cに相当する6mAの定電流で電池を充電して、電池電圧が4.2Vに到達するまで充電を行った後、4.2Vの定電圧で1.5時間充電を行った。その後、1.5Cに相当する9mAの定電流で電池電圧3.0Vまで放電した。
上記(4-2)に記載の方法での85℃満充電保存試験を行ったコイン型非水系二次電池について、周囲温度を25℃に設定し、1Cに相当する6mAの定電流で充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で1.5時間充電を行った。その後、0.3Cに相当する1.8mAの電流値で3.0Vまで電池を放電した。次に、1.5Cに相当する9mAの定電流で電池を充電して、電池電圧が4.2Vに到達するまで充電を行った後、4.2Vの定電圧で1.5時間充電を行った。その後、1.5Cに相当する9mAの定電流で電池電圧3.0Vまで放電した。充電と放電とを各々1回ずつ行うこの工程を1サイクルとし、98サイクルの充放電を行った。その後、1Cに相当する6mAの定電流で充電して4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で1.5時間充電を行った。その後、0.3Cに相当する1.8mAの電流値で3.0Vまで電池を放電した。このときの放電容量を100サイクル目放電容量(以後、(T)と表記する場合がある)とした。以下の式に基づき、100サイクル後容量維持率を算出した。
100サイクル後容量維持率=(サイクル試験での100サイクル目放電容量(T)/コイン型非水系二次電池の初回充放電処理における初回放電容量(X))×100[%]
初期充放電初回効率は、初回充電容量に対する初回放電容量の割合を示すが、一般的に2回目以降の充放電効率より低下する傾向にある。これは、初回充電時に不可逆容量が発生し、放電できるLiイオンが少なくなるためである。そのため、充電容量に対する放電容量が小さくなる。従って、初期充放電初回効率は80%以上であれば特に問題はない。
85℃満充電保存試験後の100サイクル容量維持率は、繰り返し使用による電池劣化の指標となる。この値が大きいほど、繰り返し使用による容量低下が少なく、長期使用を目的とする用途に使用可能であると考えられる。
それに加えて、85℃満充電保存試験後の100サイクル容量維持率は、高温での自己放電の大きさの指標とすることができる。この値が大きいほど、高温下における自己放電が小さく、電池からより多くの電流を目的とする用途に使用可能であると考えられる。
従って、100サイクル容量維持率は70%以上であることが望ましく、80%以上であることがより望ましい。
110 電池外装
120 電池外装110の空間
130 正極リード体
140 負極リード体
150 正極
160 負極
170 セパレータ
Claims (2)
- 非水系溶媒、及びリチウム塩を含有する非水系電解液であって、
アセトニトリルと、
下記一般式(1):
で表されるフッ素化鎖状カルボン酸エステルと、
下記一般式(2):
で表されるフッ素化鎖状カーボネートと
を含有し、
前記アセトニトリルの含有量が、前記非水系溶媒の全量に対して、5体積%以上85体積%以下であり、
前記フッ素化鎖状カルボン酸エステルの含有量が、前記非水系溶媒の全量に対して、10体積%以上85体積%以下であり、かつ、
前記フッ素化鎖状カルボン酸エステルに対する前記フッ素化鎖状カーボネートの体積比が0.1以上1.8以下である、非水系電解液。 - 正極集電体の片面又は両面に正極活物質層を有する正極、負極集電体の片面又は両面に負極活物質層を有する負極、セパレータ、及び非水系電解液を具備する非水系二次電池であって、
前記正極活物質層が、正極活物質を含み、
前記負極活物質層が、負極活物質を含み、かつ
前記非水系電解液が、請求項1に記載の非水系電解液である非水系二次電池。
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