JP6564336B2 - 非水系電解液及び非水系二次電池 - Google Patents
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Description
[1]非水系溶媒と、
シュウ酸基を有する有機リチウム塩と、
下記一般式(1):
シュウ酸リチウムの含有量が0〜500ppmであることを特徴とする、非水系電解液。
[2]前記シュウ酸基を有する有機リチウム塩が、LiB(C2O4)2及びLiBF2(C2O4)で表されるリチウム塩から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩である、前記[1]に記載の非水系電解液。
[3]前記一般式(1)で表される化合物のR1が炭素数1〜4のアルキル基であり、kが0である、前記[1]又は[2]に記載の非水系電解液。
[4]前記非水系溶媒が環状カーボネートを含むものである、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の非水系電解液。
[5]前記非水系溶媒がアセトニトリルを実質的に含まないものである、前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の非水系電解液。
[6]前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、非水系電解液100質量部に対して0.01〜10質量部である、前記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の非水系電解液。
[7]前記シュウ酸リチウムを、デカンテーション及び濾過から選ばれる少なくとも1種の方法により除去することを特徴とする、前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の非水系電解液の製造方法。
[8]集電体の片面又は両面に、Ni、Mn、及びCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含有する正極活物質層を有する正極、
集電体の片面又は両面に負極活物質層を有する負極、並びに、
前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の非水系電解液を具備することを特徴とする、非水系二次電池。
本実施形態の電解液は、例えば、非水系二次電池に用いることができる。本実施形態の非水系二次電池としては、例えば、
正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な正極材料を含有する正極と、
負極活物質として、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な負極材料、並びに金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の負極材料を含有する負極と、
を備えるリチウムイオン二次電池が挙げられる。
本実施形態の非水系電解液(以下、単に「電解液」ともいう。)は、
非水系溶媒と、
シュウ酸基を有する有機リチウム塩と、
下記一般式(1):
シュウ酸リチウムの含有量が0〜500ppmである。
本実施形態でいう「非水系溶媒」とは、電解液中からリチウム塩及び窒素含有環状化合物を除いた要素をいう。後述するリチウム塩及び窒素含有環状化合物は、非水系溶媒に含まない。
本実施形態において、リチウム塩は、シュウ酸基を有する有機リチウム塩を含むことを特徴としている。シュウ酸基を有する有機リチウム塩を添加することは、非水系二次電池の負荷特性改善及び充放電サイクル特性改善に効果がある。
LiC(SO2R6)(SO2R7)(SO2R8) (2a)
LiN(SO2OR9)(SO2OR10) (2b)
LiN(SO2R11)(SO2OR12) (2c)
{式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。}のそれぞれで表される有機リチウム塩等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を、シュウ酸基を有する有機リチウム塩と共に使用することができる。
本実施形態における電解液は、添加剤として下記一般式(1):
本実施形態においては、非水系二次電池の充放電サイクル特性の改善、高温貯蔵性、安全性の向上(例えば過充電防止等)等の目的で、非水系電解液に、例えば、無水酸、スルホン酸エステル、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、tert−ブチルベンゼン、リン酸エステル〔エチルジエチルホスホノアセテート(EDPA):(C2H5O)2(P=O)−CH2(C=O)OC2H5、リン酸トリス(トリフルオロエチル)(TFEP):(CF3CH2O)3P=O、リン酸トリフェニル(TPP):(C6H5O)3P=O等〕等、及びこれらの化合物の誘導体等から選択される任意的添加剤を、適宜含有させることもできる。特に前記のリン酸エステルは、貯蔵時の副反応を抑制する作用があり、効果的である。
正極150は、正極合剤から作製した正極活物質層と、正極集電体とから構成される。正極150は、非水系二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。
LixMO2 (3a)
LiyM2O4 (3b)
{式中、Mは少なくとも1種の遷移金属元素を含む1種以上の金属元素を示し、xは0〜1.1の数、yは0〜2の数を示す。}のそれぞれで表されるリチウム含有化合物、及びその他のリチウム含有化合物が挙げられる。
リチウムと、
コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、及びチタン(Ti)からなる群より選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素と、
を含む複合酸化物、及びリン酸金属化合物が好ましい。
LivMID2 (4a)
LiwMIIPO4 (4b)
{式中、Dは酸素又はカルコゲン元素を示し、MI及びMIIはそれぞれ1種以上の遷移金属元素を示し、v及びwの値は、電池の充放電状態によってり、vは0.05〜1.10、wは0.05〜1.10の数を示す。}のそれぞれで表される化合物が挙げられる。
負極160は、負極合剤から作製した負極活物質層と、負極集電体とから構成される。負極160は、非水系二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。
本実施形態における非水系二次電池100は、正極150及び負極160の短絡防止、シャットダウン等の安全性付与の観点から、正極150と負極160との間にセパレータ170を備えることが好ましい。セパレータ170としては、公知の非水系二次電池に備えられるものと同様のものを用いてもよく、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。セパレータ170としては、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜等が挙げられ、これらの中でも、合成樹脂製微多孔膜が好ましい。
本実施形態における非水系二次電池100の電池外装110の構成は特に限定されないが、例えば、電池缶及びラミネートフィルム外装体のいずれかの電池外装を用いることができる。電池缶としては、例えば、スチール又はアルミニウムからなる金属缶を用いることができる。ラミネートフィルム外装体としては、例えば、熱溶融樹脂/金属フィルム/樹脂の3層構成からなるラミネートフィルムを用いることができる。
本実施形態の非水電解液は、非水系溶媒と、シュウ酸基を有する有機リチウム塩と、上述の一般式(1)で表される化合物と、必要に応じフッ素含有無機リチウム塩や一般に非水系二次電池用に用いられているリチウム塩とを任意の手段で混合し、かつシュウ酸リチウムの含有量が0〜500ppmになるように調整することにより、製造することができる。
本実施形態における非水系二次電池100は、上述の非水系電解液、集電体の片面又は両面に正極活物質層を有する正極150、集電体の片面又は両面に負極活物質層を有する負極160、及び電池外装110、並びに必要に応じてセパレータ170を用いて、公知の方法により作製される。
正極150及び負極160を一定の面積と形状とを有する複数枚のシートに切断して得た正極シートと負極シートとを、セパレータシートを介して交互に積層した積層構造の積層体を形成する態様;
長尺のセパレータをつづら折りにして、該つづら折りになったセパレータ同士の間に交互に正極体シートと負極体シートとを挿入した積層構造の積層体を形成する態様;
等が可能である。
(1)電池作製
(1−1)正極(P1)の作製
正極活物質として数平均粒子径11μmのリチウム、ニッケル、マンガン及びコバルトの複合酸化物(LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2、密度4.70g/cm3)と、導電助剤として数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末(密度2.26g/cm3)及び数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末(密度1.95g/cm3)と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF;密度1.75g/cm3)とを、100:4.2:1.8:4.6の質量比で混合し、正極合剤を得た。得られた正極合剤に溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを固形分68質量%となるように投入して更に混合して、正極合剤含有スラリーを調製した。正極集電体となる厚さ20μm、幅200mmのアルミニウム箔の片面に、この正極合剤含有スラリーを、目付量が23.8mg/cm2になるように調節しながらドクターブレード法で塗布し、溶剤を乾燥除去した。その後、ロールプレスで正極活物質層の密度が2.86g/cm3になるように圧延することにより、正極活物質層と正極集電体とからなる正極(P1)を得た。
負極活物質として数平均粒子径12.7μmのグラファイト炭素粉末(密度2.23g/cm3)及び数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末(密度2.27g/cm3)と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース(密度1.60g/cm3)溶液(固形分濃度1.83質量%)及びスチレンブタジエンラテックス(ガラス転移温度:−5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、密度1.00g/cm3、分散媒:水、固形分濃度40質量%)とを、87.2:9.7:1.4:1.7の固形分質量比で混合し、負極合剤を得た。得られた負極合剤に溶剤として水を固形分45質量%となるように投入して更に混合して、負極合剤含有スラリーを調製した。負極集電体となる厚さ10μm、幅200mmの銅箔の片面に、この負極合剤含有スラリーを、目付量が10.6mg/cm2になるよう調節しながらドクターブレード法で塗布し、溶剤を乾燥除去した。その後、ロールプレスで負極活物質層の密度が1.52g/cm3になるように圧延して、負極活物質層と負極集電体とからなる負極(N1)を得た。
CR2032タイプの電池ケース(SUS304/Alクラッド)の中央に、上述のようにして得られた正極を直径15.958mmの円盤状に打ち抜いたものを、正極活物質層を上向きにしてセットした。この正極において、正極活物質層の面積は2.00cm2であった。その上から直径19mmの円盤状に打ち抜いたガラス濾紙(ADVANTEC GA−100)及びポリプロピレン製ガスケットをセットして、電解液を150μL注入した。この後、上述のようにして得られた負極を直径16.156mmの円盤状に打ち抜いたものを、負極活物質層を下向きにしてセットした。この負極において、負極活物質層の面積は2.05cm2であった。更にスペーサー1枚及びスプリングをセットした後に電池キャップをはめ込み、カシメ機でかしめた。電池ケースからあふれた電解液はウエスできれいにふきとった。積層体及び非水系電解液が収容された電池ケースを、25℃環境下で24時間保持し、積層体に電解液を十分含浸させることにより、コイン型非水系二次電池を得た。
上述のようにして得られた評価用電池(以下、単に「電池」ともいう。)について、先ず、以下の(2−1)の手順に従って、初回充電処理及び初回充放電容量測定を行った。次に、以下の(2−2)の手順に従って、それぞれの電池を評価した。充放電は、アスカ電子(株)製の充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製の恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。
電池の周囲温度を25℃に設定し、0.1Cに相当する0.6mAの定電流で充電して電池電圧が4.2Vに到達するまで充電を行った後、4.2Vの定電圧で合計15時間充電を行った。その後、0.3Cに相当する1.8mAの定電流で3.0Vまで放電した。このときの放電容量を充電容量で割ることによって、初回効率を算出した。また、このときの放電容量を初期容量とした。
上述の(2−1)に記載の方法で初回充放電処理を行った電池について、85℃において満充電状態で保存した場合の耐久性能を評価した。先ず、電池の周囲温度を25℃に設定し、1Cに相当する6mAの定電流で充電して電池電圧が4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で合計3時間充電を行った。次に、この電池を85℃の恒温槽に24時間保存した。その後、電池の周囲温度を25℃に戻し、0.3Cに相当する1.8mAの定電流で3.0Vまで放電した。このときの放電容量を初期容量で割ることによって、維持率を算出した。
シュウ酸基を有する有機リチウム塩を加水分解するとシュウ酸イオンが生成することを利用し、電解液中の総シュウ酸基量をJIS K 8519に記載の方法に準拠して定量した。次に、シュウ酸リチウム以外のシュウ酸基を有する有機リチウム塩の成分を定量するため、アルゴングローブボックス内で電解液を3mmφのNMR用試料管に注入した。テフロン(登録商標)キャップとパラフィルムを用いて試料管を封止し、電解液を大気非暴露状態で密封した。電解液を密封した3mmφNMR用試料管を、重溶媒及び外部標準が注入された5mmφNMR用試料管に挿入し、二重管法でNMR測定を行うことにより、シュウ酸基を有する有機リチウム塩を定量した。NMR測定は、JEOL RESONANCE社製ECS−400を用いてsingle pulse法で行い、パルス幅を45°とした。総シュウ酸基量からシュウ酸基を有する有機リチウム塩に相当するシュウ酸基量を差し引き、シュウ酸リチウム含有量を算出した。
不活性雰囲気下、非水系溶媒として300mLのエチレンカーボネート及び700mLのエチルメチルカーボネートからなる混合溶媒を調製し、該混合溶媒に対して1.0molのLiPF6を溶解させ、電解液(S11)を得た。次に、上記電解液(S11)100質量部に対して、0.25質量部のLiB(C2O4)2と0.1質量部の1−メチル−1H−ベンゾトリアゾールを加えて混合することにより、電解液(S12)を得た。なお、用いたLiB(C2O4)2中のアセトニトリル不溶成分は1.6質量%であり、FT−IR測定によって、このアセトニトリル不溶成分はシュウ酸リチウムであることを確認した。次いで、デカンテーションを経て電解液(S12)からシュウ酸リチウムの沈殿物を除去することにより、シュウ酸リチウム含有量を0ppmに調整した。なお、11B−NMR測定における二重管の重溶媒としてD2O、外部標準としてB(OH)3を用い、積算回数は1024回とした。上述のようにして作製した正極(P1)及び負極(N1)、並びにデカンテーションを経た電解液(S12)を組み合わせ、上述の(1−3)に記載の方法に従ってコイン型非水系二次電池を作製した。このコイン型非水系二次電池について上述の(2−1)に記載の方法により初回充放電処理を行い、上述の(2−2)に記載の方法により保存試験を行った。
電解液として上記実施例1で調製した(S11)を使用した以外は、実施例1と同様にしてコイン型非水系二次電池を作製した。このコイン型非水系二次電池について上述の(2−1)に記載の方法により初回充放電処理を行い、上述の(2−2)に記載の方法により保存試験を行った。
不活性雰囲気下、上記電解液(S11)100質量部に対して、0.25質量部のLiB(C2O4)2を加えて混合することにより、電解液(S13)を得た。
不活性雰囲気下、上記電解液(S11)100質量部に対して、0.1質量部の1−メチル−1H−ベンゾトリアゾールを加えて混合することにより、電解液(S14)を得た。
実施例1及び比較例1〜比較例3における電解液組成及び評価結果を以下の表1に示す。
EC:エチレンカーボネート
EMC:エチルメチルカーボネート
LiBOB:LiB(C2O4)2
MBTA:1−メチル−1H−ベンゾトリアゾール
110 電池外装
120 電池外装110の空間
130 正極リード体
140 負極リード体
150 正極
160 負極
170 セパレータ
Claims (8)
- 非水系溶媒と、
シュウ酸基を有する有機リチウム塩と、
下記一般式(1):
シュウ酸リチウムの含有量が0〜500ppmであることを特徴とする、非水系電解液。 - 前記シュウ酸基を有する有機リチウム塩が、LiB(C2O4)2及びLiBF2(C2O4)で表されるリチウム塩から選ばれる少なくとも1種のリチウム塩である、請求項1に記載の非水系電解液。
- 前記一般式(1)で表される化合物のR1が炭素数1〜4のアルキル基であり、kが0である、請求項1又は2に記載の非水系電解液。
- 前記非水系溶媒が環状カーボネートを含むものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記非水系溶媒がアセトニトリルを実質的に含まないものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記一般式(1)で表される化合物の含有量が、非水系電解液100質量部に対して0.01〜10質量部である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水系電解液。
- 前記シュウ酸リチウムを、デカンテーション及び濾過から選ばれる少なくとも1種の方法により除去することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水系電解液の製造方法。
- 集電体の片面又は両面に、Ni、Mn、及びCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含有する正極活物質層を有する正極、
集電体の片面又は両面に負極活物質層を有する負極、並びに、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水系電解液を具備することを特徴とする、非水系二次電池。
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