JP2018156803A - 非水系二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
第1実施形態の非水系電解液は、集電体の片面又は両面に、Feを含有する正極活物質層を有する正極と、集電体の片面又は両面に、負極活物質層を有する負極と、LiPF6と、アセトニトリルと、飽和環状カーボネートと、を含有する非水系電解液と、を具備することを特徴とする。
上記の第1実施形態では、飽和環状カーボネートの含有量を特に限定するものではないが、第2実施形態における非水系電解液は、飽和環状カーボネートの含有量を規定する。
第1実施形態及び第2実施形態の非水系電解液では、飽和環状カーボネートの成分について、特に限定していないが、飽和環状カーボネートは、エチレンカーボネートを含むことが好ましい。また、エチレンカーボネートと共に、プロピレンカーボネート及びフルオロエチレンカーボネート等の飽和環状カーボネートから少なくとも1種が選択された混合成分であってもよい。
第1実施形態から第3実施形態では、負極に関して、集電体の片面又は両面に負極活物質層を有するとの条件のみで、特に材料を限定するものではない。これに対して、第4実施形態では、負極の集電体がCu箔を有して構成される。第4実施形態では、非水系電解液に溶出するCu量を、20ppm以下とすることができる。
第5実施形態では、負極は、負極活物質として、リチウムイオンを、0.4V vs.Li/Li+よりも卑な電位で吸蔵する材料を含有することが好ましい。このように、負極活物質として0.4Vより卑な金属を用いることで、他の正極活物質より電位の低いLiFePO4を用いた場合であっても電池電圧を高めることができる。また、負極集電箔のCuは負極電位の上昇によって溶出するため、成分の溶出による劣化を抑制することができる。
第1実施形態から第5実施形態では、正極の正極活物質層に対して、Feを含有することを条件としているが、第6実施形態では、更に具体的に、正極活物質層は、LiFePO4を含有して構成されることとした。
本実施形態の水系二次電池は、特に限定されるものでないが、容量以上に出力や長期耐久性能を重視する電動工具等のパワーツールや、乗用車以外のモビリティ(移動体)の充電池に効果的に適用することができる。すなわち、本実施形態では、充放電を繰り返しても高い容量維持率を維持することができ、上記したパワーツール用途やモビリティ用途にて所定の電池出力を持続でき、安定した動作を得ることが可能である。「乗用車以外」としたのは、乗用車は、単位体積当たりの容量を重視するため、作動電圧の低いLiFePO4(LFP)正極では不利となり、LiNiCoMnO2(NCM)正極に代表される層状岩塩型正極が好適である。既に記載したように、LiNiCoMnO2(NCM)正極セルでは、飽和環状カーボネートの有無による劣化の差異は見られなかったため、本実施形態の適用の必要がなく、したがって、「乗用車以外」とした。
以下、本実施形態の非水系二次電池の全体構成について説明する。ただし、セパレータ、及び電池外装に対し、特に制限を与えるものではない。
非水系電解液は上記した特徴的部分を具備していれば、従来のリチウムイオン二次電池の非水系電解液に用いられる材料を適用することができる。
本実施形態でいう「非水系溶媒」とは、電解液中から後述するリチウム塩及びその他の任意的添加剤を除いた要素をいう。
本実施形態の非水系電解液は、少なくとも、リチウム塩としてLiPF6を含む。また、LiPF6以外のフッ素含有無機リチウム塩を含んでもよく、LiBF4、LiAsF6、Li2SiF6、LiSbF6、Li2B12FbH12−b〔bは0〜3の整数〕、LiN(SO2F)2等が挙げられる。「フッ素含有無機リチウム塩」とは、炭素原子をアニオンに含まず、フッ素原子をアニオンに含むリチウム塩をいう。フッ素含有無機リチウム塩は、正極集電体である金属箔の表面に不働態皮膜を形成し、正極集電体の腐食を抑制する点で優れている。これらのフッ素含有無機リチウム塩は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
LiC(SO2R6)(SO2R7)(SO2R8) (1a)
LiN(SO2OR9)(SO2OR10) (1b)
LiN(SO2R11)(SO2OR12) (1c)
{式中、R6、R7、R8、R9、R10、R11、及びR12は、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。}のそれぞれで表される有機リチウム塩等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を、LiPF6と共に使用することができる。
本実施形態においては、非水系電解液に、例えば、無水酸、環状酸無水物〔無水マレイン酸:無水コハク酸:無水フタル酸等〕、スルホン酸エステル、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、tert−ブチルベンゼン、リン酸エステル〔エチルジエチルホスホノアセテート(EDPA):(C2H5O)2(P=O)−CH2(C=O)OC2H5、リン酸トリス(トリフルオロエチル)(TFEP):(CF3CH2O)3P=O、リン酸トリフェニル(TPP):(C6H5O)3P=O:(CH2=CHCH2O)3P=O、リン酸トリアリル等〕等、及びこれらの化合物の誘導体等から選択される任意的添加剤を、適宜含有させることもできる。特に前記のリン酸エステルは、貯蔵時の副反応を抑制する作用があり、効果的である。
正極150は、正極合剤から作製した正極活物質層と、正極集電体とから構成される。正極活物質層は、正極活物質を含有し、場合により導電助剤及びバインダーを更に含有する。
LixMO2 (3a)
LiyM2O4 (3b)
{式中、Mは少なくとも1種の遷移金属元素を含む1種以上の金属元素を示し、xは0〜1.1の数、yは0〜2の数を示す。}のそれぞれで表されるリチウム含有化合物、及びその他のリチウム含有化合物が挙げられる。
LivMID2 (4a)
LiwMIIPO4 (4b)
{式中、Dは酸素又はカルコゲン元素を示し、MI及びMIIはそれぞれ1種以上の遷移金属元素を示し、v及びwの値は、電池の充放電状態によって決まり、vは0.05〜1.10、wは0.05〜1.10の数を示す。}のそれぞれで表される化合物が挙げられる。
負極160は、負極合剤から作製した負極活物質層と、負極集電体とから構成される。負極160は、非水系二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。
本実施形態における非水系二次電池100は、正極150及び負極160の短絡防止、シャットダウン等の安全性付与の観点から、正極150と負極160との間にセパレータ170を備えることが好ましい。セパレータ170としては、限定されるものではないが、公知の非水系二次電池に備えられるものと同様のものを用いてもよく、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。セパレータ170としては、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜等が挙げられ、これらの中でも、合成樹脂製微多孔膜が好ましい。
本実施形態における非水系二次電池100の電池外装110の構成は特に限定されないが、例えば、電池缶及びラミネートフィルム外装体のいずれかの電池外装を用いることができる。電池缶としては、例えば、スチール又はアルミニウムからなる金属缶を用いることができる。ラミネートフィルム外装体としては、例えば、熱溶融樹脂/金属フィルム/樹脂の3層構成からなるラミネートフィルムを用いることができる。
本実施形態における非水系二次電池は、集電体の片面または両面に正極活物質層を有する正極と、集電体の片面または両面に負極活物質層を有する負極と、非水系電解液と、を有して構成される。
本実施形態の非水系電解液は、LiPF6と、アセトニトリルと、飽和環状カーボネートとを、任意の手段で混合して製造することができる(第1実施形態の非水系電解液の製造方法)。
本実施形態における非水系二次電池100は、上述の非水系電解液、集電体の片面又は両面に正極活物質層を有する正極150、集電体の片面又は両面に負極活物質層を有する負極160、及び電池外装110、並びに必要に応じてセパレータ170を用いて、公知の方法により作製される。
(1−1) 正極(P1)の作製
正極は、宝泉株式会社製の正極シートで、活物質がリン酸鉄リチウムのもの(HS−LIB−P−LFP−001)を使用した。単位面積あたりの容量は1.5mAh/cm2である。この正極を、正極合剤層の面積が14mm×20mmで、且つアルミニウム箔の露出部を含むように切断し、アルミニウム箔の露出部に電流を取り出すためのアルミニウム製のリード片を溶接することにより、リード付き正極(P1)を得た。
負極活物質として数平均粒子径25μmのグラファイト炭素粉末(商品名「MCMB25−28」、大阪ガスケミカル(株)製)と、導電助剤として数平均粒子径48nmのアセチレンブラックと、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、93.0:2.0:5.0の質量比で混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドンを更に混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ18μm、幅200mmの銅箔に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延し、更に150℃で10時間真空乾燥を行い、15mm×21mmに打ち抜いて負極(N1)を得た。なお、得られた電極における真空乾燥後の合材について、片面あたりの目付量が5.9mg/cm2±3%、片面での厚さが41μm±3%、密度が1.42g/cm3±3%、塗工幅が銅箔の幅200mmに対して150mmになるように溶剤量を調整しながら、上記スラリー状の溶液を調製した。
アルミニウム層と樹脂層とを積層したラミネートフィルム(絞り加工なし、厚さ120μm、31mm×37mm)2枚を、アルミニウム層側を外側にして重ねて、三辺をシールしてラミネートセル外装を作製した。続いて、セパレータとしてポリエチレン製微多孔膜(膜厚20μm、16mm×22mm)を用意し、上述のようにして作製した正極(P1)と負極(N1)とをセパレータの両側に重ね合わせた積層体を、ラミネートセル外装内に配置した。次いで、そのセル外装内に電解液を注入し、積層体を電解液に浸漬した。なお、電解液の注入は、大気圧と100mmHgの減圧とを気泡発生がなくなるまで繰り返しながら行った。100mmHgに減圧した環境下でラミネートセル外装の残りの一辺をシールして非水系二次電池(単層ラミネート型電池)を作製した。これを25℃で24時間保持し、積層体に電解液を十分馴染ませることにより、単層ラミネート型電池(SL1)を得た。
上述のようにして得られた評価用電池について、まず、下記(2−1)の手順に従って初回充電処理を行った。次に(2−2)の手順に従ってそれぞれの電池を評価した。なお、充放電はアスカ電子(株)製の充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製の恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。
電池の周囲温度を25℃に設定し、0.2Cに相当する1mAの定電流で充電して3.8Vに到達した後、0.2C相当の定電流で2.0Vまで放電した。このときの放電容量を充電容量で割ることによって、初回効率を算出した。
上記(2−1)に記載の方法で初回充放電処理を行った電池について、電池の周囲温度を25℃に設定し、0.2Cに相当する1mAの定電流で充電して3.8Vに到達した後、電池の周囲温度を85℃に設定し、4時間保存した。その後、周囲温度を25℃に設定し、2.0Vまで放電した後、0.2Cの定電流で3.8Vまで充電し、2.0Vまで放電するサイクル試験を行った。
非水系溶媒として、アセトニトリル47vol%、ビニレンカーボネート4vol%、ジエチルカーボネート28vol%、エチレンカーボネート21vol%の混合溶媒を用い、この溶媒1Lあたり1.3molのLiPF6を、また、無水コハク酸(SAH)を0.14PHR溶解させて電解液を調製した。この電解液を用いて上記(1−3)に記載の方法でラミネート型非水系二次電池を作製し、上記(2−1)〜(2−2)に記載の手順で初回充放電した後、85℃4時間保存し、25℃で充放電サイクル試験を行った。85℃4時間保存前の容量に対する保存後の容量の割合で示される残存容量は91.4%であった。また、保存後、25℃における3サイクル目の回復容量維持率は91.7%であった。
非水系溶媒として、アセトニトリル47vol%、ビニレンカーボネート4vol%、ジエチルカーボネート49vol%の混合溶媒を用い、この溶媒1Lあたり1.3molのLiPF6を、また、無水コハク酸(SAH)を0.14PHR溶解させて電解液を作成した。この電解液を用いて上記(1−3)に記載の方法でラミネート型非水系二次電池を作製し、上記(2−1)〜(2−2)に記載の手順で初回充放電した後、85℃4時間保存したところ、保存中に電圧が0.5Vにまで低下し、電池に膨れが生じた。
非水系溶媒として、アセトニトリル47vol%、ビニレンカーボネート4vo%、ジエチルカーボネート49vol%の混合溶媒を用い、この溶媒1Lあたり0.3molのLiPF6及び、1.0molのLiN(SO2F)2(LiFSI)を、また、無水コハク酸(SAH)を0.14PHR溶解させて電解液を作製した。この電解液を用いて上記(1−3)に記載の方法でラミネート型非水系二次電池を作製し、上記(2−1)〜(2−2)に記載の手順で初回充放電した後、85℃4時間保存したところ、保存中に電圧が0.5Vにまで低下し、電池に膨れが生じた。
アルゴンBox内で各ラミネート型非水系二次電池の電解液を採取し、Fe、Al及びCuの溶出量を、ICP−MS(ICP質量分析)にて測定した。その実験結果を以下の表1に示す。
アルゴンBox内で実施例1及び比較例1のラミネート型非水系二次電池の電解液を採取し、1,2−ジメトキシエタン(以下、DME)でそれぞれ希釈してNMRチューブ内管(3mmφ)に入れた。アルゴンBox外でC6H2F4を添加したCDCl3溶液の入った外管に挿し込み、二重管法によるNMR測定を行った。
110 電池外装
120 電池外装の空間
130 正極リード体
140 負極リード体
150 正極
160 負極
170 セパレータ
Claims (6)
- 集電体の片面又は両面に、Feを含有する正極活物質層を有する正極と、
集電体の片面又は両面に、負極活物質層を有する負極と、
LiPF6と、アセトニトリルと、飽和環状カーボネートと、を含有する非水系電解液と、
を具備することを特徴とする非水系二次電池。 - 前記非水系電解液が、鎖状カーボネートを含有し、
混合体積比が、アセトニトリル/鎖状カーボネート≧1、かつ、飽和環状カーボネート/鎖状カーボネート≧0.5であることを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池。 - 前記飽和環状カーボネートは、エチレンカーボネートを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非水系二次電池。
- 前記負極の集電体がCu箔を有して構成されており、前記非水系電解液に溶出するCu量が、20ppm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の非水系二次電池。
- 前記負極は、前記負極活物質として、リチウムイオンを、0.4V vs.Li/Li+よりも卑な電位で吸蔵する材料を含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の非水系二次電池。
- 前記正極の正極活物質層は、LiFePO4を含有して構成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の非水系二次電池。
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