JP2002363522A - 透明性粘着剤組成物とその粘着シート - Google Patents

透明性粘着剤組成物とその粘着シート

Info

Publication number
JP2002363522A
JP2002363522A JP2001171600A JP2001171600A JP2002363522A JP 2002363522 A JP2002363522 A JP 2002363522A JP 2001171600 A JP2001171600 A JP 2001171600A JP 2001171600 A JP2001171600 A JP 2001171600A JP 2002363522 A JP2002363522 A JP 2002363522A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sensitive adhesive
pressure
clay mineral
weight
adhesive composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001171600A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshitsugu Hosokawa
敏嗣 細川
Yoshihiro Hieda
嘉弘 稗田
Kazuhiko Miyauchi
和彦 宮内
Yuichi Morimoto
雄一 森本
Yukiko Azumi
由起子 安積
Motoshige Tatsumi
元茂 辰己
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2001171600A priority Critical patent/JP2002363522A/ja
Publication of JP2002363522A publication Critical patent/JP2002363522A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性と高温での接着特性を両立しうるアク
リル系の透明性粘着剤組成物を提供する。 【解決手段】 アクリル系単量体に、この単量体100
重量部あたり、有機化層状粘土鉱物3〜60重量部を混
合して、重合反応させるにあたり、上記混合後に外的作
用を付加して、有機化層状粘土鉱物の層間に上記単量体
の一部を挿入し、この挿入状態で重合反応させて、上記
単量体の重合体とこれに分散された上記粘土鉱物とを含
有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記重合体の一部が挿
入されて層間分離を起こしてなる透明性粘着剤組成物を
製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル系重合体
とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有する透
明性粘着剤組成物とその粘着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、粘着剤の使用範囲が広がり、それ
に伴って要求される特性も高度化する傾向にある。とく
に、使用温度範囲が上がり、今まで以上に高温での接着
特性が重要となっている。また、ディスプレイのプラス
チック保護板やガラス板の貼り合わせ、偏光ディスプレ
イの偏光膜の貼り合わせに使用される透明性粘着シート
においても、上記高温での接着特性への要求が高まりつ
つある。
【0003】粘着剤はゴム系のものとアクリル系のもの
とに大別され、このうち、ゴム系のものは常温付近での
接着特性にすぐれるが、その反面、耐候性や透明性に劣
るため、光学用の粘着剤にはアクリル系のものが主に用
いられている。
【0004】アクリル系粘着剤において、高温での接着
特性を向上させるため、シリカなどの各種フィラーを添
加する試みがある。しかし、フィラーの添加は接着面の
平滑性を損ない、接着力の低下や透明性の低下を引き起
こしやすい。特開平7−90229号公報や特開平8−
245927号公報には、紫外線重合法における粘度調
整の目的で、有機化した層状粘土鉱物を添加する試みが
ある。粘土鉱物は無機層状物質の1種として比較的安価
なフィラーとして知られるが、これの添加でも高温での
接着特性と高いレベルでの透明性は両立させにくい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、アクリル
系粘着剤は、透明性などにすぐれて、光学用の粘着剤と
して適したものであるが、これの高温での接着特性をフ
ィラーの添加などによりはかろうとしても、十分な効果
が得られなかったり、透明性の低下が起こり、透明性と
高温での接着特性を両立させることが難しかった。本発
明は、このような事情に照らし、アクリル系粘着剤また
はその粘着シートとして、透明性と高温での接着特性を
両立しうるものを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するために、鋭意検討した結果、アクリル系単
量体に有機化層状粘土鉱物を混合し、これを光重合など
の重合反応に供して、アクリル系重合体と上記粘土鉱物
とを含有するアクリル系粘着剤を製造するにあたり、上
記混合後に適宜の外的作用を付加して、上記粘土鉱物の
層間に上記単量体を挿入(インターカレーション)し、
この挿入状態で重合反応を行わせると、上記粘土鉱物の
層間に生成した重合体により粘土鉱物の層間分離が起こ
り、上記粘土鉱物が生成重合体中に薄片状(nmサイ
ズ)に分散結着され、上記粘土鉱物の混合による所期の
効果(高温時の接着特性)に加えて、非常に高いレベル
での透明性が維持され、これにより透明性と高温時の接
着特性をともに満足する透明性粘着剤組成物が得られる
ことを知り、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、アルキル基の炭素数
が2〜14個である(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル70〜100重量%とこれと共重合可能なモノエチレ
ン性不飽和単量体30〜0重量%とからなる単量体(つ
まり、アクリル系単量体)の重合体と、これに分散され
た有機化層状粘土鉱物とを含有し、上記粘土鉱物は、上
記重合体100重量部あたり、3〜60重量部の割合を
占めるとともに、その層間に上記重合体の一部が挿入さ
れて層間分離を起こしていることを特徴とする透明性粘
着剤組成物に係るものである。
【0008】とくに、本発明は、上記の有機化層状粘土
鉱物が、層状粘土鉱物の交換性無機イオンを有機オニウ
ムイオンでイオン交換したものである上記構成の透明性
粘着剤組成物、上記の有機オニウムイオンが有機アンモ
ニウムイオンである上記構成の透明性粘着剤組成物、無
機成分の含有量が1〜30重量%である上記構成の透明
性粘着剤組成物、フィルム化物のヘイズ値が5%以下、
全光線透過率が85%以上である上記構成の透明性粘着
剤組成物に係るものである。
【0009】また、本発明は、剥離性支持体または非剥
離性支持体上に上記構成の透明性粘着剤組成物からなる
粘着剤層を設けたことを特徴とする粘着シートに係るも
のである。なお、本明細書において、上記の粘着シート
には、通常幅広の粘着シートのほか、通常幅狭の粘着テ
ープも含まれるものであり、さらに、粘着ラベルなどの
各種の粘着製品も含まれるものである。
【0010】さらに、本発明は、アルキル基の炭素数が
2〜14個である(メタ)アクリル酸アルキルエステル
70〜100重量%とこれと共重合可能なモノエチレン
性不飽和単量体30〜0重量%とからなる単量体に、こ
の単量体100重量部あたり、有機化層状粘土鉱物3〜
60重量部を混合し、重合開始剤0.005〜5重量部
を用いて、重合反応させるにあたり、上記混合後に外的
作用を付加して、有機化層状粘土鉱物の層間に上記単量
体の一部を挿入し、この挿入状態で重合反応させること
により、上記構成の透明性粘着剤組成物を製造すること
を特徴とする透明性粘着剤組成物の製造方法に係るもの
であり、とくに、上記混合後の外的作用が、せん断的外
的作用または振動的外的作用である上記構成の透明性粘
着剤組成物の製造方法に係るものである。
【0011】また、本発明は、上記の方法による重合反
応を、剥離性支持体または非剥離性支持体上で行うこと
により、上記構成の粘着シートを製造することを特徴と
する粘着シートの製造方法に係るものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる(メタ)アク
リル酸アルキルエステルは、アクリル系単量体の主成分
となるものであり、好ましくは非ターシャリーアルキル
アルコールの単官能不飽和(メタ)アクリレートが用い
られ、アルキル基の炭素数が2〜14個のものから選ば
れる。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステル
としては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、
n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリ
レート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メ
タ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなど
があり、これらのうちの1種または2種以上が用いられ
る。
【0013】この(メタ)アクリル酸アルキルエステル
と共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体は、上記の
(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合させるこ
とにより、官能基や極性基の導入による耐熱性や接着性
の改善,改質のために用いられる。具体的には、アクリ
ル酸、イタコン酸、スルホプロピルアクリレート、ヒド
ロキシアルキルアクリレート、シアノアルキルアクリレ
ート、アクリルアミド、置換アクリルアミド、N−ビニ
ルカプロラクタム、アクリロニトリル、2−メトキシエ
チルアクリレート、アクリル酸グリシジル、酢酸ビニ
ル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アク
リロイルモルホリン、N−ビニルピロリドンなどが挙げ
られ、目的に応じて1種または2種以上が用いられる。
【0014】上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルとこれと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体の
使用割合は、主成分となる(メタ)アクリル酸アルキル
エステルが70〜100重量%、好ましくは85〜10
0重量%で、これと共重合可能なモノエチレン性不飽和
単量体が30〜0重量%、好ましくは15〜0重量%と
なるようにする。このような範囲で用いることにより、
接着性やクリープ特性(凝集力)などのバランスをうま
くとることができる。
【0015】本発明に用いられる有機化層状粘土鉱物
は、層状粘土鉱物を有機化処理して、アクリル系単量体
ひいてはその重合体との親和性を良くするようにしたも
のであり、通常は層状粘土鉱物の交換性無機イオンが有
機オニウムイオンによってイオン交換されたものが用い
られる。層状粘土鉱物には、モンモリロナイト、サポナ
イト、ヘクトライトなどのスメクタイト系粘土鉱物や、
バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカなどが
ある。層状粘土鉱物の陽イオン交換量は、層間に単量体
を挿入したのちの溶媒などとの親和性の観点より、50
〜200meq/100gの範囲に設定されているのが
望ましい。
【0016】イオン交換に使用する有機オニウムイオン
には、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、スル
ホニウムイオン、ホスホニウムイオンなどがあり、とく
に、有機アンモニウムイオンが好ましい。この有機アン
モニウムイオンとしては、ドデシルアミン、テトラデシ
ルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミンな
どの有機アミンを塩酸などによりカチオン化したアルキ
ルアミン塩酸塩や、テトラアルキルアンモニウム塩など
の4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0017】上記の有機アンモニウムイオンの中でも、
層間に単量体のインターカレートを生じさせやすく、ま
た重合反応により得られるアクリル系粘着剤中で良好に
分散しうるという点から、つぎの式(1); (式中、R1 〜R3 はメチル基またはエチル基のいずれ
かである。)で表される、分子内にポリオキシプロピレ
ン基を有する第4級アンモニウム塩が最も好ましく用い
られる。その他、分子内に長鎖アルキル基を有する第4
級アンモニウム塩なども、好ましく用いられる。
【0018】有機化層状粘土鉱物の生成は、層状粘土鉱
物中のナトリウムやマグネシウムなどの交換性無機イオ
ンを有機オニウムイオンでイオン交換することによって
行われるが、その際、層状粘土鉱物の陽イオン交換量と
当量の有機オニウムイオンを使用するのが望ましい。イ
オン交換時の溶媒には、層状粘土鉱物の分散性の点よ
り、水、アルコールなどのプロトン性溶媒が、好ましく
用いられる。
【0019】このようにして得られる有機化層状粘土鉱
物は、層状粘土鉱物の主成分であるシリケート層の層間
に、有機オニウムイオンが挿入され、イオン的な相互作
用でシリケート表面に吸着した、いわゆる、挿入(イン
ターカレーション)構造をとっている。この構造によ
り、単量体をその層間に呼び込みやすくなる。この挿入
構造は、広角または小角のX線散乱分析による層間間隔
の拡大の定量化、熱重量分析による有機含有量の定量化
により、追跡することができる。
【0020】このような挿入構造をとる有機化層状粘土
鉱物において、有機オニウムイオンの含有量は、通常、
20〜70重量%であるのが好ましい。有機オニウムイ
オンの含有量が20重量%未満となると、層間の極性が
高すぎ、単量体を呼び込みにくくなり、また70重量%
を超えると、粘着剤組成物中に有機オニウムイオンが多
量に存在することになり、耐熱性が低下する。
【0021】本発明においては、上記の(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルまたはこれと共重合可能なモノエ
チレン性不飽和単量体とからなる単量体に対して、上記
の有機化層状粘土鉱物を、上記単量体100重量部あた
り、有機化層状粘土鉱物が3〜60重量部、好ましくは
3〜40重量部となるように、混合する。有機化層状粘
土鉱物が3重量部未満となると、高温での接着特性の向
上効果が乏しくなり、また60重量部を超えると、透明
性が低下する。
【0022】本発明においては、上記混合後、これに外
的作用を付加して、有機化層状粘土鉱物の層間に単量体
の一部を挿入(インターカレーション)する。外的作用
は、せん断的外的作用または振動的外的作用が好まし
い。このうち、せん断的外的作用には、単量体に有機化
層状粘土鉱物を混合した分散液に対し、高いせん断力を
付与する方法、たとえばコロイドミル、ホモジナイザ、
ディスパなどの分散機を用いて分散処理する方法があ
る。振動的外的作用には、上記分散液を非常に強力な超
音波ホモジナイザにより振動処理する方法がある。
【0023】また、これら以外の外的作用として、熱的
外的作用や圧力的外的作用を付加するようにしてもよ
い。熱的外的作用には、上記分散液を単量体の沸点を超
えない程度の熱をかけることにより処理する方法があ
る。圧力的外的作用には、上記分散液をオートクレープ
中に入れて1〜5Kg/cm2 程度の圧力をかける方法や、
超臨界二酸化炭素を媒体として高圧下で処理する方法な
どがある。
【0024】このように有機化層状粘土鉱物の層間に単
量体を挿入すると、この挿入により有機化層状粘土鉱物
の層間距離が拡大する。この層間距離の拡大は、広角ま
たは小角のX線散乱分析により定量的に分析することが
できる。また、分散液の透明性の向上(つまり、挿入前
の白濁状態から透明状態への変化)により、また分散液
の粘度の増大現象により、間接的、定性的に確認でき
る。
【0025】本発明においては、このように有機化層状
粘土鉱物の層間に単量体の一部を挿入したのち、この挿
入状態で、重合開始剤として光重合開始剤や熱重合開始
剤を用いた重合反応に供する。重合開始剤は、上記挿入
後に加えてもよいし、挿入前に加えてもよい。後者の場
合は、上記挿入時に単量体と一緒に重合開始剤も有機化
層状粘土鉱物の層間に挿入されることになる。
【0026】光重合開始剤は、光によりラジカルを発生
する開始剤であり、具体的には、ベンゾインメチルエー
テル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイ
ンエーテル類、アニゾインメチルエーテルなどの置換ベ
ンゾインエーテル類、2,2−ジエトキシアセトフェノ
ン、2,2−ジメトキシ−2−フェノンアセトフェノン
などの置換アセトフェノン類、2−メチル−2−ヒドロ
キシプロピオフェノンなどの置換−α−ケトール類、2
−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニ
ルクロリド類、1−フェノンー1,1−プロパンジオン
ー2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活
性オキシム類がある。
【0027】熱重合開始剤は、熱によりラジカルを発生
する開始剤であり、具体的には、アゾビスイソブチロニ
トリルのようなアゾ系化合物や、有機過酸化物が挙げら
れ、とくに有機過酸化物を使用すると、接着力と凝集力
との改善に好結果がもたらされる。このような有機過酸
化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイ
ドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどが
ある。
【0028】これらの重合開始剤の使用量は、単量体1
00重量部あたり、0.005〜5重量部の範囲内にお
いて、その種類に応じて適宜選択される。光重合開始剤
は、通常0.005〜1重量部、とくに0.05〜0.
5重量部とするのがよい。過少では光重合後に未反応単
量体が多く残存して、接着界面において気泡の発生など
を生じやすく、過多となると光重合物中にこの光重合開
始剤が残存して、黄変などの原因となりやすい。熱重合
開始剤は、上記同様の理由により、通常0.01〜5重
量部、とくに0.05〜3重量部とするのがよい。
【0029】重合反応に供するにあたり、上記の重合開
始剤とともに、粘着剤の凝集力などを高めてせん断強さ
を増加させるための交叉結合剤として、分子内に(メ
タ)アクリロイル基を2個またはそれ以上有する多官能
(メタ)アクリレートを、必要により添加してもよい。
このような多官能(メタ)アクリレートとしては、トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタ
エリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,2−
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−
ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げら
れる。
【0030】このような多官能(メタ)アクリレートの
使用量は、単量体100重量部あたり、通常0.02〜
5重量部、好ましくは0.1〜3重量部の範囲内で、2
官能の場合は多めに、3官能やそれ以上の多官能の場合
は少なめにするのよい。過少では光重合後の架橋度が低
くなり、接着界面で気泡が発生しやすくなり、過多とな
ると接着力の低下をきたし、膨れなどが発生しやすい。
【0031】重合反応は、重合開始剤の種類に応じて、
紫外線などの光重合法によるか、熱重合法により、行わ
れる。粘着シートヘの加工性や接着物性の観点からする
と、光重合法によるのがとくに好ましい。この光重合法
としては、窒素ガスなどの不活性ガスで置換した酸素の
ない雰囲気中で行うか、または紫外線透過性フィルムに
よる被覆で空気を遮断した状態で行うのが望ましい。
【0032】光重合法において、紫外線は、波長範囲が
約180〜460nm(ナノメートル)の電磁放射性で
あるが、これより長波長または短波長の電磁放射性であ
ってもよい。紫外線源には、水銀アーク、炭素アーク、
低圧水銀ランプ、中・高圧水銀ランプ、メタルハライド
ランプなどの照射装置が用いられる。紫外線の強度とし
ては、被照射体までの距離や電圧の調節により、適宜設
定することができる。照射時間(生産性)との兼ね合い
で、通常は、0.1〜7mw(ミリワット)/cm2 の弱
い光を用いるのが望ましい。
【0033】このように重合反応させると、単量体の重
合の進行とともに、有機化層状粘土鉱物の層間に挿入さ
れた単量体の重合も同時に進行し、これに伴い層状粘土
鉱物の層間がさらに拡大し、層の剥離が促進される。そ
の結果、単量体の重合体と、これに分散された有機化層
状粘土鉱物とを含有し、上記粘土鉱物が、上記重合体1
00重量部あたり、3〜60重量部の割合を占めるとと
もに、その層間に上記重合体の一部が挿入されて層間分
離を起こし、これにより上記粘土鉱物がnmサイズの微
小薄片として良好に分散された粘着剤組成物が得られ
る。
【0034】本発明の粘着剤組成物は、上記のように、
特定単量体の重合体を主剤として、これに有機化層状粘
土鉱物が微小薄片として良好に分散したものであるため
に、上記粘土鉱物の補強作用により所期の目的とする高
温での接着特性の改良効果が大きくなり、しかも高いレ
ベルの透明性を維持し、とくに上記粘土鉱物がモンモリ
ロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのサイズのも
ともと小さなものでは格段にすぐれた透明性を維持し、
透明性粘着剤組成物として機能する。
【0035】このような透明性粘着剤組成物には、上記
の重合体および有機化層状粘土鉱物のほかに、上記特性
を損なわない限り、必要により、粘着付与剤、老化防止
剤、着色剤など、従来公知の各種の添加剤を配合するこ
とができる。
【0036】この透明性粘着剤組成物において、無機成
分の含有量は1〜30重量%、好ましくは2〜20重量
%であるのがよい。ここで、無機成分とは、有機化層状
粘土鉱物の無機成分(通常、層状粘土鉱物の80〜30
重量%)を指すが、層状粘土鉱物以外の無機成分を添加
する場合は、この無機成分も含まれる。この無機成分の
含有量が1重量%未満となると、高温での接着特性の改
良効果に乏しくなり、また30重量%を超えると、透明
性が低下する。なお、上記の無機成分の含有量は、熱重
量分析により、求めることができる。
【0037】本発明の透明性粘着剤組成物は、上述のよ
うに、透明性と高温での接着特性を両立しうるものであ
り、透明性については、フィルム化物のJIS−K67
14に準拠したヘイズ値が5%以下、とくに2%以下、
全光線透過率が85%以上、とくに90%以上となるも
のである。このため、本発明の透明性粘着剤組成物は、
ディスプレイのプラスチック保護板やガラス板の貼り合
わせなど、上記性能が求められる各種用途に対し、好適
に使用することができる。
【0038】このような用途目的で使用するにあたり、
剥離性支持体または非剥離性支持体上に上記の透明性粘
着剤組成物からなる粘着剤層を設けることにより、シー
ト状やテープ状などの粘着シートとすることができる。
ここで、剥離性支持体は、粘着シートの使用時に最終的
に剥離されるため、透明性であることはとくに要求され
ないが、非剥離性支持体は、粘着シートの使用時も剥離
されることなくそのまま使用に供されるため、透明性で
あることが要求される。
【0039】剥離性支持体には、たとえば、ポリエステ
ルフィルムなどの厚さが通常25〜125μmのプラス
チックフィルムの表面にシリコーン処理などの離型処理
を施したものなどが用いられる。また、非剥離性支持体
には、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポ
リテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエーテルエー
テルケトンフィルム、ポリエーテルサルフォンフィルム
などの厚さが通常25〜125μmの透明性プラスチッ
クフィルムが用いられる。
【0040】これらの剥離性支持体または非剥離性支持
体は、表面平滑性が良好であることが望まれる。表面平
滑性が悪いと、この上に設けられる透明性粘着剤組成物
からなる粘着剤層の表面状態が悪くなり、そのヘイズ値
が上昇して、光の散乱により透明性が低下してくるため
である。表面平滑性の程度は、中心線平均粗さRaが
0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下で、最大高
さRmaxが0.6μm以下、好ましくは0.4μm以
下となる程度であるのがよい。
【0041】このような粘着シートは、前記方法による
重合反応を、剥離性支持体または非剥離性支持体上で行
うことにより、容易に製造できる。すなわち、単量体に
有機化層状粘土鉱物を混合し、これに外的作用を付加し
て有機化層状粘土鉱物の層間に単量体の一部を挿入し、
これを剥離性支持体または非剥離性支持体の片面または
両面に塗布したのち、重合反応させることにより、粘着
シートを製造できる。また、剥離性支持体上で上記重合
反応を行い、透明性粘着剤組成物からなる粘着剤層を形
成したのち、これを非剥離性支持体の片面または両面に
貼り合わせることにより、粘着シートとすることもでき
る。
【0042】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を記載して、より具
体的に説明する。なお、以下において、部とあるのは重
量部を意味するものとする。
【0043】実施例1 <有機化層状粘土鉱物の調製>サポナイト系層状粘土鉱
物(カチオン交換容量90meq/100g)20gを
400gの蒸留水中に撹拌分散した。式(1)で表され
るポリオキシプロピレン基を有する4級アンモニウム塩
(式中、R1 〜R3 はメチル基、nは25である)4
7.3g、水100g、エタノール100gを均一に混
合し、これを、上記層状粘土鉱物の分散液に加えて、3
0℃で1時間撹拌した。析出した固体をろ別し、凍結乾
燥により水分の乾燥を行い、ワックス状の有機化層状粘
土鉱物を得た。この有機化層状粘土鉱物の層間距離は、
X線散乱分析により、42Åであった。また、有機化層
状粘土鉱物中の有機アンモニウムイオンの含有量は、熱
重量分析の結果、60重量%であった。
【0044】<粘着シートの作製>上記の有機化層状粘
土鉱物10g、アクリル酸2−エチルヘキシル90g
を、スリーワンモータで2時間混合し、白濁した分散液
とした。この分散液に、超音波分散機(日本精機製)に
より、500wの照射強度で約3分間の処理を施し、外
的作用を付加した。これにより分散液は白濁から透明に
なった。X線散乱分析の結果、有機化層状粘土鉱物の4
2Åのピークは消失しており、100Åを超える低角側
にブロードな広がりをみせるピークを観察した。これよ
り、有機化層状粘土鉱物の層間に単量体が挿入されてい
ることを確認した。
【0045】このように外的作用を付加した分散液に、
その固形分100部あたり、光重合開始剤として1−ヒ
ドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー
コーポレーション製の「イルガキュア184」)0.1
部、交叉結合剤としてトリメチロールプロパントリアク
リレート0.2部を加え、均一に溶解した。この分散液
を、剥離性支持体として離型処理を施した厚さが50μ
mのポリエチレンテレフタレートフィルム(中心線平均
粗さRaが0.06μm、最大高さRmaxが0.3μ
m)上に塗布したのち、窒素ガス雰囲気下、光強度5m
w/cm2 の高圧水銀ランプにて、900mj/cm2 の紫
外線を照射して光重合させた。
【0046】このようにして、剥離性支持体上に、アク
リル系重合体とこれに分散された有機化層状粘土鉱物と
を含有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記重合体の一部
が挿入されて層間分離を起こした透明性粘着剤組成物か
らなる、厚さが800μmの粘着剤層を有する粘着シー
トを作製した。粘着剤層のX線散乱分析により、光重合
前の分散液で観察した低角側のブロードなピークはさら
に減少し、有機化層状粘土鉱物の層間分離がさらに進行
していることを確認した。
【0047】比較例1 <粘着シートの作製>実施例1で得た有機化層状粘土鉱
物10g、アクリル酸2−エチルヘキシル90gを、ス
リーワンモータで2時間混合し、白濁した分散液とし
た。X線散乱分析の結果、有機化層状粘土鉱物の42Å
のピークが残存していた。この分散液に、その固形分1
00部あたり、実施例1と同じ光重合開始剤0.1部、
実施例1と同じ交叉結合剤0.2部を加え、均一に溶解
した。この分散液を、実施例1と同様の剥離性支持体上
に塗布したのち、実施例1と同様にして光重合させた。
【0048】このようにして、剥離性支持体上に、アク
リル系重合体とこれに分散された有機化層状粘土鉱物と
を含有する粘着剤組成物からなる、厚さが800μmの
粘着剤層を有する粘着シートを作製した。この粘着シー
トの粘着剤層はやや白色がかっていた。また、粘着剤層
のX線散乱分析の結果、有機化層状粘土鉱物の42Åの
ピークがなお残存していることがわかった。
【0049】比較例2 <粘着シートの作製>アクリル酸2−エチルヘキシル9
0部に、実施例1と同じ光重合開始剤0.1部、実施例
1と同じ交叉結合剤0.2部を加え、均一に溶解した。
この溶液を、実施例1と同様の剥離性支持体上に塗布し
たのち、実施例1と同様にして光重合させた。このよう
にして、剥離性支持体上にアクリル系重合体を含有する
粘着剤組成物からなる厚さが800μmの粘着剤層を有
する粘着シートを作製した。
【0050】実施例2,3 <粘着シートの作製>有機化層状粘土鉱物の使用量を
2.7g(実施例2)、54g(実施例3)に変更した
以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを作製し
た。
【0051】比較例3,4 <粘着シートの作製>有機化層状粘土鉱物の使用量を2
g(比較例3)、63g(比較例4)に変更した以外
は、実施例1と同様にして、粘着シートを作製した。
【0052】実施例4 <粘着シートの作製>実施例1で得た有機化層状粘土鉱
物10g、アクリル酸ブチル90gを、スリーワンモー
タで2時間混合し、白濁した分散液とした。この分散液
に、実施例1と同じ超音波分散機により、500wの照
射強度で約3分間の処理を施し、外的作用を付加した。
これにより分散液は白濁から透明になった。X線散乱分
析の結果、有機化層状粘土鉱物の42Åのピークは消失
しており、100Åを超える低角側にブロードな広がり
をみせるピークを観察した。これより、有機化粘土鉱物
の層間に単量体が挿入されていることを確認した。
【0053】このように外的作用を付加した分散液に、
その固形分100部あたり、実施例1と同じ光重合開始
剤0.1部、実施例1と同じ交叉結合剤0.2部を加
え、均一に溶解した。この分散液を、実施例1と同じ剥
離性支持体上に塗布したのち、実施例1と同様に光重合
させた。このようにして、剥離性支持体上に、アクリル
系重合体とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含
有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記重合体の一部が挿
入されて層間分離を起こした透明性粘着剤組成物からな
る、厚さが800μmの粘着剤層を有する粘着シートを
作製した。粘着剤層のX線散乱分析により、光重合前の
分散液で観察した低角側のブロードなピークはさらに減
少し、有機化層状粘土鉱物の層間分離がさらに進行して
いることを確認した。
【0054】実施例5 <有機化層状粘土鉱物の調製>層状粘土鉱物としてモン
モリロナイト〔クニミネ工業(株)製の「クニピア
F」、カチオン交換容量119meq/100g〕20
gを400gの蒸留水中に撹拌分散した。実施例1と同
じ4級アンモニウム塩44.6g、水100g、エタノ
ール100gを均一に混合し、これを上記層状粘土鉱物
の分散液に加え、30℃で1時間撹拌した。析出した固
体をろ別し、凍結乾燥により水分の乾燥を行い、綿状の
有機化層状粘土鉱物を得た。この有機化層状粘土鉱物の
層間距離は、X線散乱分析により、46Åであった。ま
た、有機化層状粘土鉱物中の有機アンモニウムイオンの
含有量は、熱重量分析の結果、60重量%であった。
【0055】<粘着シートの作製>上記の有機化層状粘
土鉱物10g、アクリル酸2−エチルヘキシル90g
を、スリーワンモータで2時間混合し、白濁した分散液
とした。この分散液に、超音波分散機(日本精機製)に
より、500wの照射強度で約3分間の処理を施し、外
的作用を付加した。これにより分散液は白濁から透明に
なった。X線散乱分析の結果、有機化層状粘土鉱物の4
6Åのピークは消失しており、100Åを超える低角側
にブロードな広がりをみせるピークを観察した。これよ
り、有機化層状粘土鉱物の層間に単量体が挿入されてい
ることを確認した。
【0056】このように外的作用を付加した分散液に、
その固形分100部あたり、実施例1と同じ光重合開始
剤0.1部、実施例1と同じ交叉結合剤0.2部を加
え、均一に溶解した。この分散液を、実施例1と同じ剥
離性支持体上に塗布したのち、実施例1と同様に光重合
させた。このようにして、剥離性支持体上に、アクリル
系重合体とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含
有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記重合体の一部が挿
入されて層間分離を起こした透明性粘着剤組成物からな
る、厚さが800μmの粘着剤層を有する粘着シートを
作製した。粘着剤層のX線散乱分析により、光重合前の
分散液で観察した低角側のブロードなピークはさらに減
少し、有機化層状粘土鉱物の層間分離がさらに進行して
いることを確認した。
【0057】実施例6 <粘着シートの作製>実施例1で得た有機化層状粘土鉱
物10g、アクリル酸2−エチルヘキシル90gを、ス
リーワンモータで2時間混合し、白濁した分散液とし
た。この分散液に、高せん断型分散装置(Mテクニック
社製の「クリアミックス」)を用いて、20,000r
pmで30分間の処理を施し、外的作用を付加した。こ
れにより分散液は白濁から透明になった。X線散乱分析
の結果、有機化層状粘土鉱物の42Åのピークは消失し
ており、100Åを超える低角側にブロードな広がりを
みせるピークを観察した。これより、有機化層状粘土鉱
物の層間に単量体が挿入されていることを確認した。
【0058】このように外的作用を付加した分散液に、
その固形分100部あたり、実施例1と同じ光重合開始
剤0.1部、実施例1と同じ交叉結合剤0.2部を加
え、均一に溶解した。この分散液を、実施例1と同じ剥
離性支持体上に塗布したのち、実施例1と同様に光重合
させた。このようにして、剥離性支持体上に、アクリル
系重合体とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含
有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記重合体の一部が挿
入されて層間分離を起こした透明性粘着剤組成物からな
る、厚さが800μmの粘着剤層を有する粘着シートを
作製した。粘着剤層のX線散乱分析により、光重合前の
分散液で観察した低角側のブロードなピークはさらに減
少し、有機化層状粘土鉱物の層間分離がさらに進行して
いることを確認した。
【0059】実施例7 <粘着シートの作製>実施例1で得た有機化層状粘土鉱
物10g、アクリル酸2−エチルヘキシル85.5g、
アクリロイルモルホリン4.5gを、スリーワンモータ
で2時間混合し、薄白色の分散液とした。この分散液
に、超音波分散機(日本精機製)により、500wの照
射強度で約3分間の処理を施し、外的作用を付加した。
これにより分散液は薄白色から透明になった。X線散乱
分析の結果、有機化層状粘土鉱物の42Åのピークは消
失しており、100Åを超える低角側にブロードな広が
りをみせるピークを観察した。これより、有機化層状粘
土鉱物の層間に単量体が挿入されていることを確認し
た。
【0060】このように外的作用を付加した分散液に、
その固形分100部あたり、実施例1と同じ光重合開始
剤0.1部、実施例1と同じ交叉結合剤0.2部を加
え、均一に溶解した。この分散液を、実施例1と同じ剥
離性支持体上に塗布したのち、実施例1と同様に光重合
させた。このようにして、剥離性支持体上に、アクリル
系重合体とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含
有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記重合体の一部が挿
入されて層間分離を起こした透明性粘着剤組成物からな
る、厚さが800μmの粘着剤層を有する粘着シートを
作製した。粘着剤層のX線散乱分析により、光重合前の
分散液で観察した低角側のブロードなピークはさらに減
少し、有機化層状粘土鉱物の層間分離がさらに進行して
いることを確認した。
【0061】比較例5 <粘着シートの作製>アクリル酸2−エチルヘキシル9
0部に、実施例1と同じ光重合開始剤0.1部、実施例
1と同じ交叉結合剤0.2部、大きさ3〜10μmの球
状シリカフイラー10部を加え、デイスパーにより、均
一に分散した。この分散液を、実施例1と同じ剥離性支
持体上に塗布したのち、実施例1と同様に光重合させ
た。このようにして、剥離性支持体上に、アクリル系重
合体とこれに分散された球状シリカフイラーとを含有す
る粘着剤組成物からなる、厚さが800μmの粘着剤層
を有する粘着シートを作製した。
【0062】実施例8 <有機化層状粘土鉱物の調製>サポナイト系層状粘土鉱
物(カチオン交換容量90meq/100g)20gを
400gの蒸留水中に撹拌分散した。ドデシルアミン
3.5g、濃塩酸2.4ml、水100gを均一に混合
し、これを、上記層状粘土鉱物の分散液に加え、80℃
で1時間撹拌した。析出した固体をろ別し、凍結乾燥に
より水分の乾燥を行い、ワックス状の有機化層状粘土鉱
物を得た。この粘土鉱物の層間距離は、X線散乱分析に
より、31Åであった。また、この粘土鉱物中の有機ア
ンモニウムイオンの含有量は、熱重量分析の結果、20
重量%であった。
【0063】<粘着シートの作製>上記の有機化層状粘
土鉱物54g、アクリル酸2−エチルヘキシル81g、
アクリル酸2−ヒドロキシエチル9gを、スリーワンモ
ータで2時間混合し、白濁した分散液とした。この分散
液に、超音波分散機(日本精機製)により、500wの
照射強度で約3分間の処理を施し、外的作用を付加し
た。これにより分散液は白濁から透明になった。X線散
乱分析の結果、有機化層状粘土鉱物の31Åのピークは
消失しており、100Åを超える低角側にブロードな広
がりをみせるピークを観察した。これより、有機化層状
粘土鉱物の層間に単量体が挿入されていることを確認し
た。
【0064】このように外的作用を付加した分散液に、
その固形分100部あたり、実施例1と同じ光重合開始
剤0.1部、実施例1と同じ交叉結合剤0.2部を加
え、均一に溶解した。この分散液を、実施例1と同じ剥
離性支持体上に塗布したのち、実施例1と同様に光重合
させた。このようにして、剥離性支持体上に、アクリル
系重合体とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含
有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記重合体の一部が挿
入されて層間分離を起こした透明性粘着剤組成物からな
る、厚さが800μmの粘着剤層を有する粘着シートを
作製した。粘着剤層のX線散乱分析により、光重合前の
分散液で観察した低角側のブロードなピークはさらに減
少し、有機化層状粘土鉱物の層間分離がさらに進行して
いることを確認した。
【0065】比較例6 <粘着シートの作製>有機化層状粘土鉱物の使用量を6
3gに変更した以外は、実施例8と同様にして、粘着シ
ートを作製した。
【0066】上記の実施例1〜8および比較例1〜6の
各粘着シートについて、以下の方法により、粘着剤層の
無機成分の含有量、ヘイズ値および全光線透過率を調べ
た。また、上記の各粘着シートについて、以下の方法に
より、耐熱性試験を行った。これらの結果は、表1に示
されるとおりであった。
【0067】<無機成分の含有量>粘着剤層を所定量
(10mg)秤量し、熱重量分析計(セイコー電子社製の
「TGA」)により、室温〜600℃の範囲で重量変化
を求めた。400℃以上では重量変化が実質的になくな
り、このときの残留重量を無機成分重量として、初期重
量に対する割合(重量%)を求めた。
【0068】<ヘイズ値および全光線透過率>粘着シー
トをスライドガラスに貼り合わせ、剥離性支持体を引き
剥がしたのち、ヘイズ値および全光線透過率を、濁度計
により測定した。
【0069】<耐熱性試験>粘着シートの粘着剤層につ
いて、動的粘弾性測定装置(レオメトリック社製の「A
RES」)により、昇温モード(昇温速度5℃/分、周
波数10Hz)で、25℃および100℃の貯蔵弾性率
を測定した。また、これとは別に、保持力試験として、
ベークライト板に粘着シートを10mm×20mmの接着面
積となるように貼り付け、これを80℃雰囲気中に投入
し、500gの荷重をかけ、120分後の落下の有無を
調べた。落下ありを×、落下なしを○、と評価した。
【0070】
【0071】上記の表1の結果から明らかなように、実
施例1〜8の各粘着シートは、透明性(ヘイズ値、全光
線透過率)と高温での接着特性(100℃での貯蔵弾性
率、80℃での保持力)をともに満足できるのに対し、
本発明の構成とは異なる比較例1〜6の各粘着シート
は、上記透明性または高温での接着特性のいずれか一方
または両方の特性を満足できないものであることがわか
る。
【0072】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、アク
リル系単量体に有機化層状粘土鉱物を混合し、これを光
重合などの重合反応に供して、アクリル系重合体と上記
粘土鉱物とを含有するアクリル系粘着剤を得るにあた
り、上記混合後に適宜の外的作用を付加して上記粘土鉱
物の層間に上記単量体を挿入し、この挿入状態で重合反
応を行わせることにより、上記粘土鉱物の層間に重合体
の一部を挿入して層間分離を起こさせるようにしたこと
により、透明性と高温での接着特性を両立できる透明性
粘着剤組成物とその粘着シートを提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09C 3/10 C09C 3/10 C09J 7/02 C09J 7/02 Z (72)発明者 宮内 和彦 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 森本 雄一 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 安積 由起子 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 辰己 元茂 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4J004 AA10 AB01 AB07 CA05 CA06 CC02 CD02 CD06 DA04 DB01 EA06 FA05 GA01 4J011 CA01 CA02 CA08 CB00 CC01 CC04 PA13 PB02 PB08 PB39 PC02 PC08 4J037 AA17 AA27 CB16 CC16 DD24 EE12 EE43 EE48 FF02 FF15 4J040 DF031 HA296 HA356 HC01 JB07 JB09 KA01 KA06 KA42 KA43 LA06 LA07 LA08 LA10 MA05 MA10 MB03 NA17 PA23 PA32 QA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキル基の炭素数が2〜14個である
    (メタ)アクリル酸アルキルエステル70〜100重量
    %とこれと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体3
    0〜0重量%とからなる単量体の重合体と、これに分散
    された有機化層状粘土鉱物とを含有し、上記粘土鉱物
    は、上記重合体100重量部あたり、3〜60重量部の
    割合を占めるとともに、その層間に上記重合体の一部が
    挿入されて層間分離を起こしていることを特徴とする透
    明性粘着剤組成物。
  2. 【請求項2】 有機化層状粘土鉱物は、層状粘土鉱物の
    交換性無機イオンが有機オニウムイオンによってイオン
    交換されたものである請求項1に記載の透明性粘着剤組
    成物。
  3. 【請求項3】 有機オニウムイオンが有機アンモニウム
    イオンである請求項2に記載の透明性粘着剤組成物。
  4. 【請求項4】 無機成分の含有量が1〜30重量%であ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の透明性粘着剤組成
    物。
  5. 【請求項5】 フィルム化物のヘイズ値が5%以下、全
    光線透過率が85%以上である請求項1〜4のいずれか
    に記載の透明性粘着剤組成物。
  6. 【請求項6】 剥離性支持体または非剥離性支持体上に
    請求項1〜5のいずれかに記載の透明性粘着剤組成物か
    らなる粘着剤層を設けたことを特徴とする粘着シート。
  7. 【請求項7】 アルキル基の炭素数が2〜14個である
    (メタ)アクリル酸アルキルエステル70〜100重量
    %とこれと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体3
    0〜0重量%とからなる単量体に、この単量体100重
    量部あたり、有機化層状粘土鉱物3〜60重量部を混合
    し、重合開始剤0.005〜5重量部を用いて、重合反
    応させるにあたり、上記混合後に外的作用を付加して、
    有機化層状粘土鉱物の層間に上記単量体の一部を挿入
    し、この挿入状態で重合反応させることにより、請求項
    1〜5のいずれかに記載の透明性粘着剤組成物を製造す
    ることを特徴とする透明性粘着剤組成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 混合後の外的作用は、せん断的外的作用
    または振動的外的作用である請求項7に記載の透明性粘
    着剤組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7または8の方法による重合反応
    を、剥離性支持体または非剥離性支持体上で行うことに
    より、請求項6に記載の粘着シートを製造することを特
    徴とする粘着シートの製造方法。
JP2001171600A 2001-06-06 2001-06-06 透明性粘着剤組成物とその粘着シート Pending JP2002363522A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001171600A JP2002363522A (ja) 2001-06-06 2001-06-06 透明性粘着剤組成物とその粘着シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001171600A JP2002363522A (ja) 2001-06-06 2001-06-06 透明性粘着剤組成物とその粘着シート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002363522A true JP2002363522A (ja) 2002-12-18

Family

ID=19013348

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001171600A Pending JP2002363522A (ja) 2001-06-06 2001-06-06 透明性粘着剤組成物とその粘着シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002363522A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003129020A (ja) * 2001-10-26 2003-05-08 Nitto Denko Corp 透明性粘着剤組成物とその粘着シート
JP2003183457A (ja) * 2001-12-18 2003-07-03 Nitto Denko Corp 外部衝撃緩和性にすぐれた透明粘着剤組成物
WO2004070605A1 (ja) * 2003-02-05 2004-08-19 Nitto Denko Corporation 透明積層体、ペン入力画像表示装置および画像表示方法
JP2005189437A (ja) * 2003-12-25 2005-07-14 Nitto Denko Corp 感圧性接着シート付き偏光板
JP2006316085A (ja) * 2005-05-10 2006-11-24 Nitto Denko Corp 水分散型アクリル系粘着剤組成物と粘着シート
WO2009051130A1 (ja) * 2007-10-18 2009-04-23 National Institute For Materials Science アクリル系粘着剤組成物およびそれを用いた感圧性粘着シート
JP2010072212A (ja) * 2008-09-17 2010-04-02 Kyoritsu Kagaku Sangyo Kk 液晶表示装置用シール剤組成物
JP2012207111A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Denki Kagaku Kogyo Kk 分子遮断性を有する接着剤組成物
JP2012207116A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Denki Kagaku Kogyo Kk 分子遮断性を有するシート状接着剤
JP2016525160A (ja) * 2013-06-28 2016-08-22 エルジー・ハウシス・リミテッドLg Hausys,Ltd. 光学用粘着フィルム、光学用粘着フィルムの製造方法およびこれを含むタッチスクリーンパネル

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0790229A (ja) * 1993-09-22 1995-04-04 Sekisui Chem Co Ltd 光重合性組成物、それを用いた接着性テープおよび粘着性テープ
JPH08245927A (ja) * 1995-03-13 1996-09-24 Sony Chem Corp 紫外線重合型粘着剤組成物及び両面粘着テープ
JPH09175816A (ja) * 1995-12-22 1997-07-08 Amcol Internatl Corp 官能基を有するモノマー有機化合物を用いて形成したインターカレーション物及び剥離物
JPH11106670A (ja) * 1997-10-03 1999-04-20 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 樹脂複合材
JPH11293143A (ja) * 1998-04-09 1999-10-26 Toyobo Co Ltd 層状無機化合物分散体
JP2002167557A (ja) * 2000-12-01 2002-06-11 Sekisui Chem Co Ltd 粘着剤用組成物、粘着剤及び粘着シート

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0790229A (ja) * 1993-09-22 1995-04-04 Sekisui Chem Co Ltd 光重合性組成物、それを用いた接着性テープおよび粘着性テープ
JPH08245927A (ja) * 1995-03-13 1996-09-24 Sony Chem Corp 紫外線重合型粘着剤組成物及び両面粘着テープ
JPH09175816A (ja) * 1995-12-22 1997-07-08 Amcol Internatl Corp 官能基を有するモノマー有機化合物を用いて形成したインターカレーション物及び剥離物
JPH11106670A (ja) * 1997-10-03 1999-04-20 Toyota Central Res & Dev Lab Inc 樹脂複合材
JPH11293143A (ja) * 1998-04-09 1999-10-26 Toyobo Co Ltd 層状無機化合物分散体
JP2002167557A (ja) * 2000-12-01 2002-06-11 Sekisui Chem Co Ltd 粘着剤用組成物、粘着剤及び粘着シート

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003129020A (ja) * 2001-10-26 2003-05-08 Nitto Denko Corp 透明性粘着剤組成物とその粘着シート
JP2003183457A (ja) * 2001-12-18 2003-07-03 Nitto Denko Corp 外部衝撃緩和性にすぐれた透明粘着剤組成物
KR100718400B1 (ko) 2003-02-05 2007-05-14 닛토덴코 가부시키가이샤 투명 적층체, 펜 입력 화상 표시 장치 및 화상 표시 방법
WO2004070605A1 (ja) * 2003-02-05 2004-08-19 Nitto Denko Corporation 透明積層体、ペン入力画像表示装置および画像表示方法
JP2005189437A (ja) * 2003-12-25 2005-07-14 Nitto Denko Corp 感圧性接着シート付き偏光板
JP4732792B2 (ja) * 2005-05-10 2011-07-27 日東電工株式会社 水分散型アクリル系粘着剤組成物と粘着シート
JP2006316085A (ja) * 2005-05-10 2006-11-24 Nitto Denko Corp 水分散型アクリル系粘着剤組成物と粘着シート
WO2009051130A1 (ja) * 2007-10-18 2009-04-23 National Institute For Materials Science アクリル系粘着剤組成物およびそれを用いた感圧性粘着シート
JP2009096930A (ja) * 2007-10-18 2009-05-07 Nitto Denko Corp アクリル系粘着剤組成物およびそれを用いた感圧性粘着シート
US8895653B2 (en) 2007-10-18 2014-11-25 National Institute For Materials Science Acrylic adhesive composition, and pressure-sensitive adhesive sheet employing the same
JP2010072212A (ja) * 2008-09-17 2010-04-02 Kyoritsu Kagaku Sangyo Kk 液晶表示装置用シール剤組成物
JP2012207111A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Denki Kagaku Kogyo Kk 分子遮断性を有する接着剤組成物
JP2012207116A (ja) * 2011-03-29 2012-10-25 Denki Kagaku Kogyo Kk 分子遮断性を有するシート状接着剤
JP2016525160A (ja) * 2013-06-28 2016-08-22 エルジー・ハウシス・リミテッドLg Hausys,Ltd. 光学用粘着フィルム、光学用粘着フィルムの製造方法およびこれを含むタッチスクリーンパネル

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1306416B1 (en) Transparent pressure-sensitive adhesive composition and pressure-sensitive adhesive sheet thereof
EP1615970B1 (en) Acrylic-based thermally conductive composition and thermally conductive sheet
KR101076134B1 (ko) 할로겐 무함유 난연성 아크릴계 감압성 접착 시트 또는 테이프
JP4855403B2 (ja) 中空部を含む粘着シートおよびこれらの製造方法
JP5068919B2 (ja) 発泡シート形成性組成物、熱伝導性発泡シート及びその製造方法
JP4995403B2 (ja) アクリル系熱伝導性組成物形成用組成物、熱伝導性シート並びにその製造方法
WO2011145620A1 (ja) 下塗り剤組成物および粘着シート
KR20110005290A (ko) (메트)아크릴 감압 접착 폼 및 그 제조 방법
JP2003140559A (ja) ガラス割れ防止用フィルム状フィルタとプラズマ表示装置
WO2008021923A1 (en) Method for detaching pressure-sensitive adhesive film
KR20130018561A (ko) 무기 산화물 입자 함유 실리콘 수지 시트
JP2002363522A (ja) 透明性粘着剤組成物とその粘着シート
JP2002294192A (ja) 熱伝導性難燃性感圧接着剤及びシート
JP2002167557A (ja) 粘着剤用組成物、粘着剤及び粘着シート
JPH0790028A (ja) 光重合性組成物、それを用いた接着性テープおよび粘着性テープ
WO2012053349A1 (ja) プライマー組成物および粘着シート
JP2005154581A (ja) 感圧性接着シート
JP2010235953A (ja) 熱伝導性シート並びにその製造方法
JP4248019B2 (ja) 感圧性接着シート付き偏光板
KR101262183B1 (ko) 실리케이트 나노복합체를 포함하는 점착제 조성물 및 그의 제조방법
JP4146685B2 (ja) 透明性粘着剤組成物とその粘着シート
JP4040911B2 (ja) 樹脂組成物の製造方法
JP2003183457A (ja) 外部衝撃緩和性にすぐれた透明粘着剤組成物
CN114008158A (zh) 具有高填料含量的压敏胶粘剂
JP2012086490A (ja) シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071113

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101021

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101102

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110412