JP4040911B2 - 樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニル系樹脂とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有する樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機高分子材料の機械的物性の改良のため、従来より、層状粘土鉱物の添加、混合が検討されている。たとえば、ナイロン、ポリエステル、ビニル系樹脂などに層状粘土鉱物を分散させる方法が知られている。
【0003】
たとえば、特開昭63−215775号公報には、分子末端にビニル基を含むオニウムイオンによりイオン交換された有機層状粘土鉱物とビニル系単量体を混合したのち、重合させることにより、樹脂中に粘土鉱物が分散した樹脂組成物を得る方法が提案されている。しかし、この方法では、樹脂中に粘土鉱物が均一かつ微細に分散した樹脂組成物を得ることはできなかった。
【0004】
また、特開平6−41346号公報には、ビニル系樹脂と有機化層状粘土鉱物とを有機溶媒を使用して混合したのち、有機溶媒を取り除くことにより、上記樹脂中に粘土鉱物が分散した樹脂組成物を得る方法が提案されている。
しかし、この方法でも、上記樹脂中に層状粘土鉱物を均一かつ微細に分散させることは容易ではなく、多くの場合、有機溶媒除去の過程で樹脂部分と粘土鉱物部分との分離現象を生じたり、両者の混合中に液粘度が著しく上昇して、ボイドの混入や作業性が低下するなどの問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来技術では、ビニル系樹脂中に層状粘土鉱物を均一に分散させた樹脂組成物を得ることは非常に難しかった。
本発明は、このような事情に照らし、ビニル系樹脂中に層状粘土鉱物を均一かつ微細に分散させることにより、機械的物性、耐溶剤性および透明性にすぐれた樹脂組成物を得ることを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するため、鋭意検討した結果、まず、ビニル系単量体に有機化層状粘土鉱物を混合し、これを光重合などの重合反応に供してビニル系樹脂と上記粘土鉱物を含有する樹脂組成物を製造するにあたり、上記単量体に上記粘土鉱物および重合開始剤を有機溶媒とともに混合し、この混合物に適宜の外的作用を付加して、上記粘土鉱物の層間に上記単量体、重合開始剤および有機溶媒の一部を挿入(インターカレーション)し、その後、脱溶媒して、重合反応を行わせると、上記粘土鉱物の層間に生成したビニル系樹脂により粘土鉱物の層間分離が起こり、層間の距離が100Å以上となり、これにより上記粘土鉱物がビニル系樹脂中に微細に完全分散した複合体(コンポジッド)が得られ、非常に高いレベルでの透明性を維持できることがわかった。
【0007】
また、本発明者らは、このような方法において、ビニル系単量体とともにイソシアネート基含有単量体を少量併用して、上記同様に外的作用を付加して、有機化層状粘土鉱物の層間への単量体、重合開始剤および有機溶媒の一部挿入および脱溶媒後の重合反応を行わせると、上記同様にビニル系単量体とイソシアネート基含有単量体との共重合体からなるビニル系樹脂中に有機化層状粘土鉱物が微細に完全分散した複合体(コンポジッド)が得られ、この場合、非常に高いレベルでの透明性を維持できるうえに、イソシアネート基含有単量体に由来するイソシアネート基と有機化層状粘土鉱物との相互作用で上記複合体が補強され、これにより機械的物性や耐溶剤性に格段にすぐれたものとなることがわかった。
【0008】
本発明は、以上の知見をもとにして、(メタ)アクリル酸エステルからなるビニル系単量体とイソシアネート基含有単量体との共重合体と、これに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有し、上記の粘土鉱物は、上記の共重合体100重量部あたり、10〜100重量部の割合を占めるとともに、その層間に上記の共重合体の一部が挿入されて層間分離を起こし、層間の距離が100Å以上であることを特徴とする樹脂組成物を提供するものである。
とくに、本発明は、上記の有機化層状粘土鉱物が、層状粘土鉱物の交換性無機イオンを有機オニウムイオンによってイオン交換したものである上記構成の樹脂組成物、上記の有機オニウムイオンが有機アンモニウムイオンである上記構成の樹脂組成物、上記の有機アンモニウムイオンが分子末端に水酸基を有する上記構成の樹脂組成物を提供するものである。
【0009】
すなわち、本発明は、(メタ)アクリル酸エステルからなるビニル系単量体とイソシアネート基含有単量体とからなる単量体に、この単量体100重量部あたり、有機化層状粘土鉱物10〜100重量部および重合開始剤0.005〜5重量部を有機溶媒とともに混合し、この混合物に外的作用を付加して、有機化層状粘土鉱物の層間に上記単量体、重合開始剤および有機溶媒の一部を挿入し、その後、脱溶媒して、重合反応させることにより、上記構成の樹脂組成物を得ることを特徴とする樹脂組成物の製造方法に係るものであり、とくに、上記混合後の外的作用が、せん断的外的作用または振動的外的作用である上記構成の樹脂組成物の製造方法に係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるビニル系単量体としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、1−ブテン、イソブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、4−メチルペンテン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどが挙げられる。このうち、有機化層状粘土鉱物の分散性の点から、(メタ)アクリル酸エステル、つまりアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルが好ましい。
【0011】
アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、スルホプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、シアノアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、置換(メタ)アクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。
【0012】
本発明に用いられるイソシアネート基含有単量体は、上記のビニル系単量体と共重合させることで、ビニル系樹脂中に組み込まれて、そのイソシアネート基が層状粘土鉱物のオニウムイオン中の水酸基などの官能基と反応または相互作用することにより、また層状粘土鉱物端面のシラノール性水酸基と反応または相互作用することにより、顕著な補強作用を発現するものである。
【0013】
このようなイソシアネート基含有単量体としては、メタクリルイソシアネート、ビニルイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタンジエン−1,4−ジイソシアネート、2−ブチニレン−1、4−ジイソシアネート、p−ビニルフェニルイソシアネート、2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、上記のビニル系単量体との共重合性の点から、2−イソシアナトエチルアクリレート、2−イソシアナトエチルメタクリレートを使用するのが好ましい。
【0014】
本発明において、上記のビニル系単量体とイソシネート基含有単量体との使用割合は、イソシネート基含有単量体が、両者の合計量中、0.5〜20モル%、好ましくは1〜15モル%となるようにするのがよい。イソシネート基含有単量体が0.5モル%未満となると、層状粘土鉱物とビニル系樹脂界面での相互作用が十分でなく、機械的物性や耐溶剤性の向上効果が乏しくなる。また、イソシネート基含有単量体が15モル%を超えると、ビニル系樹脂本来の物性を変質させてしまったり、重合中にゲル化が生じるおそれがある。
【0015】
本発明に用いられる有機化層状粘土鉱物は、層状粘土鉱物を有機化処理して、ビニル系単量体を含む単量体ひいてはその共重合体であるビニル系樹脂との親和性を良くするようにしたものであり、通常は層状粘土鉱物の交換性無機イオンが有機オニウムイオンによってイオン交換されたものが用いられる。
層状粘土鉱物としては、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト系粘土鉱物や、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカなどが用いられる。これら層状粘土鉱物の陽イオン交換量としては、層間に挿入される単量体や有機溶媒などとの親和性の観点より、50〜200meq/100gの範囲に設定されているのが望ましい。
【0016】
イオン交換に使用する有機オニウムイオンには、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオンなどがあり、とくに、有機アンモニウムイオンが好ましい。この有機アンモニウムイオンとしては、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミンなどの有機アミンを塩酸などによりカチオン化したアルキルアミン塩酸塩や、テトラアルキルアンモニウム塩などの4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの中でも、分子末端に水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、1級または2級のアミノ基など、イソシアネート基含有単量体のイソシアネート基と反応しうる官能基、とくに水酸基を有する有機アンモニウム塩が好ましい。
【0017】
上記の有機アンモニウム塩の中でも、層間にビニル系単量体や有機溶媒などのインターカレートを生じさせやすく、また重合反応により得られるビニル系樹脂中で良好に分散しうるという点から、つぎの式(1);
Figure 0004040911
(式中、R1 〜R3 はメチル基またはエチル基のいずれかである。)
で表される、分子内にポリオキシプロピレン基を有する第4級アンモニウム塩がとくに好ましく用いられる。
【0018】
有機化層状粘土鉱物の生成は、層状粘土鉱物のナトリウムやマグネシウムなどの交換性無機イオンを有機オニウムイオンでイオン交換することにより行われるが、その際、層状粘土鉱物の陽イオン交換量と当量の有機オニウムイオンを使用するのが望ましい。イオン交換時の溶媒には、層状粘土鉱物の分散性の点より、水、アルコールなどのプロトン性溶媒が、好ましく用いられる。
【0019】
このようにして得られる有機化層状粘土鉱物は、層状粘土鉱物の主成分であるシリケート層の層間に、有機オニウムイオンが挿入され、イオン的な相互作用でシリケート表面に吸着した、いわゆる、挿入(インターカレーション)構造をとっている。この構造により、単量体や有機溶媒などをその層間に呼び込みやすくなる。この挿入構造は、広角または小角のX線散乱分析による層間間隔の拡大の定量化、熱重量分析による有機含有量の定量化により、追跡できる。
【0020】
このような挿入構造をとる有機化層状粘土鉱物において、有機オニウムイオンの含有量は、通常、20〜70重量%であるのが好ましい。有機オニウムイオンの含有量が20重量%未満となると、層間の極性が高すぎ、単量体や有機溶媒などを呼び込みにくくなり、また70重量%を超えると、樹脂組成物中に有機オニウムイオンが多量に存在することになり、機械的強度などが低下する。
【0021】
本発明においては、上記のビニル系単量体とイソシアネート基含有単量体とからなる単量体に対して、上記の有機化層状粘土鉱物を、上記単量体100重量部あたり、有機化層状粘土鉱物が10〜100重量部、好ましくは15〜90重量部となるように、混合する。有機化層状粘土鉱物が10重量部未満となると、無機成分による補強効果が十分でなく、機械的物性や耐溶剤性の向上効果が乏しくなり、また100重量部を超えると、透明性が低下したり、オニウム塩による悪影響(着色、耐熱性や機械的強度の低下など)がみられる。
【0022】
本発明に用いられる重合開始剤には、光重合開始剤や熱重合開始剤がある。
光重合開始剤は、光によりラジカルを発生する開始剤であり、具体的には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル類、アニゾインメチルエーテルなどの置換ベンゾインエーテル類、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェノンアセトフェノンなどの置換アセトフェノン類、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換−α−ケトール類、2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド類、1−フェノンー1,1−プロパンジオンー2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム類がある。
【0023】
熱重合開始剤は、熱によりラジカルを発生する開始剤であり、具体的には、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系化合物や、有機過酸化物が挙げられ、とくに有機過酸化物を使用すると、機械的物性と凝集力との改善に好結果がもたらされる。このような有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどがある。
【0024】
これらの重合開始剤の使用量は、単量体100重量部あたり、0.005〜5重量部の範囲内において、その種類に応じて適宜選択される。光重合開始剤は、通常0.005〜1重量部とするのがよい。過少では光重合後に未反応単量体が多く残存し、樹脂層界面で気泡が発生しやすく、過多となると光重合物中にこの光重合開始剤が残存して、黄変などの原因となりやすい。熱重合開始剤は、上記同様の理由により、通常0.01〜5重量部とするのがよい。
【0025】
本発明に用いられる有機溶媒は、単量体および重合開始剤を溶解して、これらを有機化層状粘土鉱物の層間に挿入しやすくし、この挿入後は重合反応に供する前に減圧や加熱などにより取り除かれるものであり、上記挿入促進作用により、重合反応で生成するビニル系樹脂中に上記粘土鉱物が良好に分散し、透明性と機械的物性や耐溶剤性とを両立する樹脂組成物の製造を可能とする。
【0026】
このような有機溶媒としては、有機化層状粘土鉱物を湿潤膨潤させる能力と、単量体を溶解する能力とを有し、減圧や加熱などにより容易に除去可能なものであればよく、その種類はとくに限定されない。代表的なものとして、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。これらの中でも、トルエンやジメチルアセトアミドなどが好ましい。有機溶媒の使用量は、有機化層状粘土鉱物の使用量などに応じて、適宜、決められるが、通常は、有機化層状粘土鉱物100重量部あたり、50〜1,000重量部となる割合で用いられる。
【0027】
本発明においては、上記のビニル系単量体とイソシアネート基含有単量体とからなる単量体に対し、上記割合の有機化層状粘土鉱物および重合開始剤を、所定量の有機溶媒とともに混合し、この混合物に外的作用を付加することにより、有機化層状粘土鉱物の層間に上記単量体、重合開始剤および有機溶媒の一部を挿入(インターカレーション)する。
【0028】
外的作用は、せん断的外的作用または振動的外的作用が好ましい。せん断的外的作用には、単量体に有機化層状粘土鉱物などを混合した分散液に対し、高いせん断力を付与する方法、たとえばコロイドミル、ホモジナイザー、ディスパーなどの分散機を用いて分散処理する方法がある。振動的外的作用には、上記分散液を非常に強力な超音波ホモジナイザにより振動処理する方法がある。
【0029】
これら以外の外的作用として、熱的外的作用や圧力的外的作用を付加するようにしてもよい。熱的外的作用には、上記分散液を単量体や有機溶媒の沸点を超えない程度の熱をかけることにより処理する方法がある。圧力的外的作用には、上記分散液をオートクレープ中に入れて1〜5Kg/cm2 程度の圧力をかける方法や、超臨界二酸化炭素を媒体として高圧下で処理する方法がある。
【0030】
このように有機化層状粘土鉱物の層間に単量体、重合開始剤および有機溶媒の一部を挿入すると、上記粘土鉱物の層間の距離が拡大し、この層間の距離が、通常100Å以上となる。このような層間の距離の拡大は、広角または小角のX線散乱分析により、定量的に分析することができる。また、分散液の透明性の向上(つまり、挿入前の白濁状態から透明状態への変化)により、さらには分散液の粘度の増大現象などにより、間接的、定性的に確認できる。
【0031】
本発明においては、このように有機化層状粘土鉱物の層間に単量体、重合開始剤および有機溶媒の一部を挿入したのち、脱溶媒して、重合反応に供する。上記の脱溶媒は、加熱乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥などの手段を用いて、行えばよい。また、上記の重合反応は、重合開始剤の種類に応じて、紫外線などの光重合法によるか、熱重合法により、行わせることができる。
【0032】
このように重合反応させると、単量体の重合の進行とともに、有機化層状粘土鉱物の層間に挿入された単量体の重合も同時に進行し、これに伴い層状粘土鉱物の層間がさらに拡大し、層の剥離が促進される。
その結果、生成するビニル系単量体とイソシアネート基含有単量体との共重合体からなるビニル系樹脂とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有し、上記粘土鉱物が、上記共重合体100重量部あたり、10〜100重量部の割合を占めるとともに、その層間に上記共重合体の一部が挿入されて層間分離を起こし、層間の距離が100Å以上である樹脂組成物が得られる。
【0033】
本発明の樹脂組成物は、上記のように、ビニル系樹脂としてビニル系単量体とイソシアート基含有単量体との共重合体を主剤とし、これに有機化層状粘土鉱物がnmサイズの微小薄片として良好に分散したものであるため、高いレベルの透明性を維持し、とくに上記粘土鉱物がモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのサイズのもともと小さなものでは格段にすぐれた透明性を維持する。しかも、上記粘土鉱物の存在により、またビニル系樹脂を構成するイソシアート基含有単量体に由来するイソシアート基と上記粘土鉱物との相互作用に基づく良好な補強作用により、機械的強度や耐溶剤性にすぐれたものとなる。
【0034】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。
【0035】
実施例1
<有機化層状粘土鉱物の調製>
サポナイト系層状粘土鉱物(カチオン交換容量90meq/100g)20gを400gの蒸留水中に撹拌分散した。式(1)で表されるポリオキシプロピレン基を有する4級アンモニウム塩(式中、R1 〜R3 はメチル基、nは25である)47.3g、水100g、エタノール100gを均一に混合し、これを、上記層状粘土鉱物の分散液に加えて、30℃で1時間撹拌した。その後、分散液の温度を80℃に昇温させ、析出した固体をろ別した。凍結乾燥により水分の乾燥を行い、ワックス状の有機化層状粘土鉱物を得た。
このようにして得た有機化層状粘土鉱物の層間距離は、X線散乱分析により、42Åであった。また、有機化層状粘土鉱物中の有機アンモニウムイオンの含有量は、熱重量分析の結果、60重量%であった。
【0036】
<樹脂組成物の調製>
上記の有機化層状粘土鉱物50g、アクリル酸2−エチルヘキシル95.8g、2−イソシアナトエチルメタクリレート4.2g、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギーコーポレーション製の「イルガキュア184」)0.2gおよび有機溶媒としてトルエン80gを、スリーワンモータで2時間混合して、分散液とした。この分散液に、超音波分散機(日本精機製)により、500wの照射強度で約3分間の処理を施し、外的作用を付加した。X線散乱分析の結果、有機化層状粘土鉱物の42Åのピークは消失しており、100Åを超える低角側にブロードな広がりをみせるピークを観察した。これより、有機化層状粘土鉱物の層間に単量体、光重合開始剤および有機溶媒の一部が挿入されていることを確認した。
【0037】
このように外的作用を付加した透明分散液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、単に、離型処理PETフィルムという)上に塗布し、乾燥機中で有機溶媒を蒸発させる脱溶媒処理を施した。その後、上記塗布面を上記同様の離型処理PETフィルムでコートし、光強度5mw/cm2 の高圧水銀ランプにて、900mj/cm2 の紫外線を照射して光重合させた。このようにして、離型処理PETフィルム上にビニル系樹脂(アクリル酸2−エチルヘキシルと2−イソシアナトエチルメタクリレートとの共重合体)とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記樹脂の一部が挿入されて層間分離を起こした、厚さ500μmの光重合物からなる、シート状の透明な樹脂組成物を調製した。
X線散乱分析により、光重合前の分散液で観察した低角側のブロードなピークは一段と減少し、有機化層状粘土鉱物の層間分離がさらに進行しており、層間の距離が100Åを大きく超えていることを確認した。
【0038】
比較例1
<樹脂組成物の調製>
実施例1で得た有機化層状粘土鉱物50g、アクリル酸2−エチルヘキシル100g、実施例1と同じ光重合開始剤0.2gおよび有機溶媒としてトルエン150gを、スリーワンモータで2時間混合して、分散液とした。この分散液に、超音波分散機(日本精機製)により、500wの照射強度で約3分間の処理を施し、外的作用を付加した。X線散乱分析の結果、有機化層状粘土鉱物の42Åのピークは消失しており、100Åを超える低角側にブロードな広がりをみせるピークを観察した。これより、有機化層状粘土鉱物の層間に単量体、光重合開始剤および有機溶媒の一部が挿入されていることを確認した。
【0039】
このように外的作用を付加した透明分散液を、離型処理PETフィルム上に塗布し、乾燥機中で有機溶媒を蒸発させる脱溶媒処理を施した。その後、上記塗布面を別の離型処理PETフィルムでコートし、光強度5mw/cm2 の高圧水銀ランプにて、900mj/cm2 の紫外線を照射して光重合させた。このようにして、離型処理PETフィルム上にビニル系樹脂(アクリル酸2−エチルヘキシルの重合体)とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記樹脂の一部が挿入されて層間分離を起こした、厚さが500μmの光重合物からなる、シート状の透明な樹脂組成物を調製した。
X線散乱分析により、光重合前の分散液で観察した低角側のブロードなピークは一段と減少し、有機化層状粘土鉱物の層間分離がさらに進行しており、層間の距離が100Åを大きく超えていることを確認した。
【0040】
比較例2
<樹脂組成物の調製>
アクリル酸2−エチルヘキシル95.8g、2−イソシアナトエチルメタクリレート4.2gおよび実施例1と同じ光重合開始剤0.05gを混合し、フラスコ内でスポット紫外線照射装置により紫外線を照射して上記単量体の10重量%を重合させ、増粘した。その後、これに上記同様の光重合開始剤を0.15g加え、均一に溶解したのち、離型処理PETフィルム上に塗布し、この塗布面を別の離型処理PETフィルムでコートして、実施例1と同様に光重合させた。このようにして、離型処理PETフィルム上にビニル系樹脂(アクリル酸2−エチルヘキシルと2−イソシアナトエチルメタクリレートとの共重合体)を含む厚さが500μmの光重合物からなる、シート状の透明な樹脂組成物を調製した。
【0041】
実施例2
<樹脂組成物の調製>
実施例1で得た有機化層状粘土鉱物50g、アクリル酸2−エチルヘキシル98.7g、2−イソシアナトエチルメタクリレート1.3g、実施例1と同じ光重合開始剤0.2gおよび有機溶媒としてトルエン120gを、スリーワンモータで2時間混合して、分散液とした。この分散液に、超音波分散機(日本精機製)により、500wの照射強度で約3分間の処理を施し、外的作用を付加した。X線散乱分析の結果、有機化層状粘土鉱物の42Åのピークは消失しており、100Åを超える低角側にブロードな広がりをみせるピークを観察した。これより、有機化層状粘土鉱物の層間に単量体、光重合開始剤および有機溶媒の一部が挿入されていることを確認した。
【0042】
このように外的作用を付加した透明分散液を、離型処理PETフィルム上に塗布し、乾燥機中で有機溶媒を蒸発させる脱溶媒処理を施した。その後、上記塗布面を別の離型処理PETフィルムでコートし、光強度5mw/cm2 の高圧水銀ランプにて、900mj/cm2 の紫外線を照射して光重合させた。このようにして、離型処理PETフィルム上にビニル系樹脂(アクリル酸2−エチルヘキシルと2−イソシアナトエチルメタクリレートとの共重合体)とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記樹脂の一部が挿入されて層間分離を起こした、厚さが500μmの光重合物からなる、シート状の透明な樹脂組成物を調製した。
X線散乱分析により、光重合前の分散液で観察した低角側のブロードなピークは一段と減少し、有機化層状粘土鉱物の層間分離がさらに進行しており、層間の距離が100Åを大きく超えていることを確認した。
【0043】
実施例3
<樹脂組成物の調製>
実施例1で得た有機化層状粘土鉱物10g、アクリル酸2−エチルヘキシル99.1g、2−イソシアナトエチルメタクリレート0.9g、実施例1と同じ光重合開始剤0.2gおよび有機溶媒としてトルエン20gを、スリーワンモータで2時間混合して、分散液とした。この分散液に、超音波分散機(日本精機製)により、500wの照射強度で約3分間の処理を施し、外的作用を付加した。X線散乱分析の結果、有機化層状粘土鉱物の42Åのピークは消失しており、100Åを超える低角側にブロードな広がりをみせるピークを観察した。これより、有機化層状粘土鉱物の層間に単量体、光重合開始剤および有機溶媒の一部が挿入されていることを確認した。
【0044】
このように外的作用を付加した透明分散液を、離型処理PETフィルム上に塗布し、乾燥機中で有機溶媒を蒸発させる脱溶媒処理を施した。その後、上記塗布面を別の離型処理PETフィルムでコートし、光強度5mw/cm2 の高圧水銀ランプにて、900mj/cm2 の紫外線を照射して光重合させた。このようにして、離型処理PETフィルム上にビニル系樹脂(アクリル酸2−エチルヘキシルと2−イソシアナトエチルメタクリレートとの共重合体)とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記樹脂の一部が挿入されて層間分離を起こした、厚さが500μmの光重合物からなる、シート状の透明な樹脂組成物を調製した。
X線散乱分析により、光重合前の分散液で観察した低角側のブロードなピークは一段と減少し、有機化層状粘土鉱物の層間分離がさらに進行しており、層間の距離が100Åを大きく超えていることを確認した。
【0045】
実施例4
<樹脂組成物の調製>
実施例1で得た有機化層状粘土鉱物100g、アクリル酸2−エチルヘキシル87g、2−イソシアナトエチルメタクリレート13g、実施例1と同じ光重合開始剤0.2gおよび有機溶媒としてトルエン250gを、スリーワンモータで2時間混合して、分散液とした。この分散液に、超音波分散機(日本精機製)により、500wの照射強度で約3分間の処理を施し、外的作用を付加した。X線散乱分析の結果、有機化層状粘土鉱物の42Åのピークは消失しており、100Åを超える低角側にブロードな広がりをみせるピークを観察した。これより、有機化層状粘土鉱物の層間に単量体、光重合開始剤および有機溶媒の一部が挿入されていることを確認した。
【0046】
このように外的作用を付加した透明分散液を、離型処理PETフィルム上に塗布し、乾燥機中で有機溶媒を蒸発させる脱溶媒処理を施した。その後、上記塗布面を別の離型処理PETフィルムでコートし、光強度5mw/cm2 の高圧水銀ランプにて、900mj/cm2 の紫外線を照射して光重合させた。このようにして、離型処理PETフィルム上にビニル系樹脂(アクリル酸2−エチルヘキシルと2−イソシアナトエチルメタクリレートとの共重合体)とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記樹脂の一部が挿入されて層間分離を起こした、厚さが500μmの光重合物からなる、シート状の透明な樹脂組成物を調製した。
X線散乱分析により、光重合前の分散液で観察した低角側のブロードなピークは一段と減少し、有機化層状粘土鉱物の層間分離がさらに進行しており、層間の距離が100Åを大きく超えていることを確認した。
【0047】
比較例3
<樹脂組成物の調製>
実施例1で得た有機化層状粘土鉱物7g、アクリル酸2−エチルヘキシル95.8g、2−イソシアナトエチルメタクリレート4.2g、実施例1と同じ光重合開始剤0.2gおよび有機溶媒としてトルエン20gを、スリーワンモータで2時間混合して、分散液とした。この分散液に、超音波分散機(日本精機製)により、500wの照射強度で約3分間の処理を施し、外的作用を付加した。X線散乱分析の結果、有機化層状粘土鉱物の42Åのピークは消失しており、100Åを超える低角側にブロードな広がりをみせるピークを観察した。これより、有機化層状粘土鉱物の層間に単量体、光重合開始剤および有機溶媒の一部が挿入されていることを確認した。
【0048】
このように外的作用を付加した透明分散液を、離型処理PETフィルム上に塗布し、乾燥機中で有機溶媒を蒸発させる脱溶媒処理を施した。その後、上記塗布面を別の離型処理PETフィルムでコートし、光強度5mw/cm2 の高圧水銀ランプにて、900mj/cm2 の紫外線を照射して光重合させた。このようにして、離型処理PETフィルム上にビニル系樹脂(アクリル酸2−エチルヘキシルと2−イソシアナトエチルメタクリレートとの共重合体)とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記樹脂の一部が挿入されて層間分離を起こした、厚さが500μmの光重合物からなる、シート状の透明な樹脂組成物を調製した。
X線散乱分析により、光重合前の分散液で観察した低角側のブロードなピークは一段と減少し、有機化層状粘土鉱物の層間分離がさらに進行しており、層間の距離が100Åを大きく超えていることを確認した。
【0049】
比較例4
<樹脂組成物の調製>
実施例1で得た有機化層状粘土鉱物120g、アクリル酸2−エチルヘキシル87g、2−イソシアナトエチルメタクリレート13g、実施例1と同じ光重合開始剤0.2gおよび有機溶媒としてトルエン250gを、スリーワンモータで2時間混合して、分散液とした。この分散液に、超音波分散機(日本精機製)により、500wの照射強度で約3分間の処理を施した。X線散乱分析の結果、有機化層状粘土鉱物の42Åのピークがやや残存していた。
【0050】
この分散液を離型処理PETフィルム上に塗布し、乾燥機中で有機溶媒を蒸発させる脱溶媒処理を施した。その後、上記塗布面を別の離型処理PETフィルムでコートし、光強度5mw/cm2 の高圧水銀ランプにて、900mj/cm2 の紫外線を照射して光重合させた。このようにして、離型処理PETフィルム上にビニル系樹脂(アクリル酸2−エチルヘキシルと2−イソシアナトエチルメタクリレートとの共重合体)とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有する、厚さが500μmの光重合物からなる、シート状の白濁した樹脂組成物を調製した。X線散乱分析により、有機化層状粘土鉱物の42Åのピークがやや残存していることを確認した。
【0051】
実施例5
<有機化層状粘土鉱物の調製>
クニピアF(モンモリロナイト、カチオン交換容量119meq/100g、クニミネ工業社製)20gを400gの蒸留水中に撹拌分散した。式(1)で表されるポリオキシプロピレン基を有する4級アンモニウム塩(式中、R1 〜R3 はメチル基、nは25である)44.6g、水100g、エタノール100gを均一に混合し、これを、上記層状粘土鉱物の分散液に加えて、30℃で1時間撹拌した。その後、析出した固体をろ別した。凍結乾燥により水分の乾燥を行い、綿状の有機化層状粘土鉱物を得た。
このようにして得た有機化層状粘土鉱物の層間距離は、X線散乱分析により、46Åであった。また、有機化層状粘土鉱物中の有機アンモニウムイオンの含有量は、熱重量分析の結果、60重量%であった。
【0052】
<樹脂組成物の調製>
上記で得た有機化層状粘土鉱物10g、アクリル酸2−エチルヘキシル88.7g、2−イソシアナトエチルメタクリレート1.3g、実施例1と同じ光重合開始剤0.2gおよび有機溶媒としてトルエン20gを、スリーワンモータで2時間混合して、分散液とした。この分散液に、超音波分散機(日本精機製)により、500wの照射強度で約3分間の処理を施し、外的作用を付加した。X線散乱分析の結果、有機化層状粘土鉱物の46Åのピークは消失しており、100Åを超える低角側にブロードな広がりをみせるピークを観察した。これより、有機化層状粘土鉱物の層間に単量体、光重合開始剤および有機溶媒の一部が挿入されていることを確認した。
【0053】
このように外的作用を付加した透明分散液を、離型処理PETフィルム上に塗布し、乾燥機中で有機溶媒を蒸発させる脱溶媒処理を施した。その後、上記塗布面を別の離型処理PETフィルムでコートし、光強度5mw/cm2 の高圧水銀ランプにて、900mj/cm2 の紫外線を照射して光重合させた。このようにして、離型処理PETフィルム上にビニル系樹脂(アクリル酸2−エチルヘキシルと2−イソシアナトエチルメタクリレートとの共重合体)とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記樹脂の一部が挿入されて層間分離を起こした、厚さが500μmの光重合物からなる、シート状の透明な樹脂組成物を調製した。
X線散乱分析により、光重合前の分散液で観察した低角側のブロードなピークは一段と減少し、有機化層状粘土鉱物の層間分離がさらに進行しており、層間の距離が100Åを大きく超えていることを確認した。
【0054】
実施例6
<樹脂組成物の調製>
実施例1で得た有機化層状粘土鉱物50g、メトキシトリエチレングリコールアクリレート47.5g、アクリル酸2−エチルヘキシル47.5g、2−イソシアナトエチルメタクリレート4.2g、実施例1と同じ光重合開始剤0.2gおよび有機溶媒としてトルエン80gを、スリーワンモータで2時間混合して、分散液とした。この分散液に、超音波分散機(日本精機製)により、500wの照射強度で約3分間の処理を施し、外的作用を付加した。X線散乱分析の結果、有機化層状粘土鉱物の42Åのピークは消失しており、100Åを超える低角側にブロードな広がりをみせるピークを観察した。これより、有機化層状粘土鉱物の層間に単量体、光重合開始剤および有機溶媒の一部が挿入されていることを確認した。
【0055】
このように外的作用を付加した透明分散液を、離型処理PETフィルム上に塗布し、乾燥機中で有機溶媒を蒸発させる脱溶媒処理を施した。その後、上記塗布面を別の離型処理PETフィルムでコートし、光強度5mw/cm2 の高圧水銀ランプにて、900mj/cm2 の紫外線を照射して光重合させた。このようにして、離型処理PETフィルム上にビニル系樹脂(メトキシトリエチレングリコールアクリレートとアクリル酸2−エチルヘキシルと2−イソシアナトエチルメタクリレートとの共重合体)とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記樹脂の一部が挿入されて層間分離を起こした、厚さが500μmの光重合物からなる、シート状の透明な樹脂組成物を調製した。
X線散乱分析により、光重合前の分散液で観察した低角側のブロードなピークは一段と減少し、有機化層状粘土鉱物の層間分離がさらに進行しており、層間の距離が100Åを大きく超えていることを確認した。
【0056】
比較例5
<樹脂組成物の調製>
実施例1で得た有機化層状粘土鉱物10g、比較例2で得た光重合物(アクリル酸2−エチルヘキシルと2−イソシアナトエチルメタクリレートとの共重合体からなるビニル系樹脂)20g、有機溶媒としてトルエン270gを、デイスパーで均一に溶解させた。分散液は、白濁しており、粘度も著しく高かった。この分散液を、離型処理PETフィルム上に塗布し、乾燥機中で有機溶媒を蒸発させる脱溶媒処理を施した。このようにして、離型処理PETフィルム上にビニル系樹脂とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有する、厚さが500μmのシート状の樹脂組成物を調製した。
この樹脂組成物は、白濁しており、X線散乱分析により、42Å付近にブロードなピークが確認され、有機化層状粘土鉱物の剥離(層間分離)が進行していないことがわかった。
【0057】
上記の実施例1〜6および比較例1〜5の各樹脂組成物について、以下の方法により、機械的物性、耐溶剤性および透明性を評価した。これらの結果は、表1に示されるとおりであった。
【0058】
<機械的物性>
シート状の樹脂組成物について、引張試験機により、破断強度および破断伸びを測定した。測定条件として、引張速度を50m/分とした。
【0059】
<耐溶剤性>
シート状の樹脂組成物をトルエン中に浸漬し、室温にて1週間、振とう撹拌したのちの重量変化により、残存率を求めた。
【0060】
<透明性>
シート状の樹脂組成物をスライドガラス間に挟み込み、全光線透過率およびヘイズ値を、濁度計により測定した。
【0061】
表1
Figure 0004040911
【0062】
上記の表1の結果から明らかなように、実施例1〜6の各樹脂組成物は、透明性(全光線透過率、ヘイズ値)と機械的物性や耐溶剤性をともに満足できるのに対し、本発明の構成とは異なる比較例1〜5の各樹脂組成物は、上記透明性か、または機械的物性や耐溶剤性かのいずれか一方または両方の特性を満足できないものであることがわかる。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、ビニル系単量体とイソシアネート基含有単量体とからなる単量体に特定量の有機化層状粘土鉱物および重合開始剤とともに有機溶媒を混合し、これに外的作用を付加して上記粘土鉱物の層間に上記単量体、重合開始剤および有機溶媒の一部を挿入(インターカレーション)し、しかるのち、脱溶媒して重合反応を行わせることにより、上記粘土鉱物の層間に、生成したビニル系単量体とイソシアネート基含有単量体との共重合体からなるビニル系樹脂の一部を挿入して層間分離を起こさせ、層間の距離が100Å以上となるようにしたことにより、透明性を維持した状態で、機械的物性および耐溶剤性にすぐれる樹脂組成物を提供することができる。

Claims (5)

  1. (メタ)アクリル酸エステルからなるビニル系単量体とイソシアネート基含有単量体とからなる単量体に、この単量体100重量部あたり、有機化層状粘土鉱物10〜100重量部および重合開始剤0.005〜5重量部を有機溶媒とともに混合し、この混合物に外的作用を付加して、有機化層状粘土鉱物の層間に上記単量体、重合開始剤および有機溶媒の一部を挿入し、その後、脱溶媒して、重合反応させることにより、上記ビニル系単量体とイソシアネート基含有単量体との共重合体と、これに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有し、上記の粘土鉱物は、上記の共重合体100重量部あたり、10〜100重量部の割合を占めるとともに、その層間に上記の共重合体の一部が挿入されて層間分離を起こし、層間の距離が100Å以上である樹脂組成物を得ることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
  2. 有機化層状粘土鉱物は、層状粘土鉱物の交換性無機イオンが有機オニウムイオンによってイオン交換されたものである請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法
  3. 有機オニウムイオンが有機アンモニウムイオンである請求項2に記載の樹脂組成物の製造方法
  4. 有機アンモニウムイオンが分子末端に水酸基を有する請求項3に記載の樹脂組成物の製造方法
  5. 外的作用は、せん断的外的作用または振動的外的作用である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物の製造方法。
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