JP2002358991A - 燃料電池発電システムの運転方法及び燃料電池発電システム - Google Patents

燃料電池発電システムの運転方法及び燃料電池発電システム

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の燃料電池本体(セルスタック等)を有
する場合において、低発電量運転時にも高いガス利用効
率を維持することができる燃料電池発電システムの運転
方法及び燃料電池発電システムを提供する。 【解決手段】 燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統
における複数の燃料電池スタック11,12の接続状態
を、切換弁19A,19B,20A,20Bにより、高
発電量運転時には並列に、低発電量運転時には直列に切
り換えて運転するように構成する。或いは、燃料ガス供
給系統及び酸化ガス供給系統における複数の燃料電池ス
タックの接続状態を、切換弁により、高発電量運転時に
は並列に、低発電量運転時には発電量の低下に応じて、
並列と直列の組み合わせ、直列に順次切り換えて運転す
るように構成する。或いは、燃料電池スタックの運転本
数を発電量の低下(燃料ガス及び酸化ガスの流量低下)
に応じて順次低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は燃料電池発電システ
ムの運転方法及び燃料電池発電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池発電システムでは、燃料電池本
体(セルスタック等)の燃料極側と酸素極側とに燃料ガ
スと酸化ガスとをそれぞれ供給して電気化学反応を生じ
させることより発電する。そして、このときの燃料電池
発電システム全体の発電量を増やそうとする場合には、
複数の燃料電池本体が設けられる。
【0003】図6は複数の燃料電池スタックを有する従
来の燃料電池発電システムの構成図である。図6には燃
料電池本体として2体の燃料電池スタック(セルスタッ
ク)1,2を有する場合を例示しており、これらの燃料
電池スタック1,2は燃料ガス配管3によって並列に接
続されており、燃料ガス供給装置5から送給される燃料
ガスを、図6中に実線の矢印で示すように燃料ガス配管
3により分岐して燃料電池スタック1と燃料電池スタッ
ク2とに同量づつ並列に供給するようになっている。酸
化ガス供給系統側についても燃料ガス供給系統側と同様
であり、燃料電池スタック1,2が酸化ガス配管4によ
って並列に接続されており、酸化ガス供給装置6から送
給される酸化ガスを、図6中に点線の矢印で示すように
酸化ガス配管4により分岐して燃料電池スタック1と燃
料電池スタック2とに同量づつ並列に供給するようにな
っている。
【0004】燃料電池スタック1,2で発電に利用され
ずに余った燃料ガス及び酸化ガスは、燃料電池スタック
1,2の出口側(図中右側)から、燃料ガス配管3及び
酸化ガス配管4を介して排出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】図7には燃料電池発電
システムにおける発電量(発電の電流密度)と燃料ガス
の供給量との関係を示すが、燃料電池発電システムの運
転においては、発電量が小さくなった場合、図7に実線
で示すように燃料電池スタック1,2に供給する燃料ガ
スの量も、発電量の低下に比例して減少させるように運
転することが理想である。図示は省略するが、酸化ガス
ついても、同様に、発電量の低下に比例して燃料電池ス
タック1,2への酸化ガスの供給量を減少させるように
運転することが理想である。
【0006】しかし、同時に燃料ガス及び酸化ガスは発
電性能を劣化させる燃料電池スタック1,2内の余剰水
分を排水する役割も担っているため、燃料ガスや酸化ガ
スの減少はその排水能力の低下を招き、ひいては発電性
能を低下させる要因となる。つまり、燃料電池スタック
1,2の酸素極側には燃料ガスと酸化ガスとの反応によ
る生成水や、酸化ガスとともに供給される水蒸気の凝縮
水が存在し、燃料極側には燃料ガスととともに供給され
る水蒸気の凝縮水が存在するが、これらの余剰水分を排
水することができないと、これらが抵抗となって燃料ガ
スや酸化ガスの流れを妨げることなどから、発電性能の
低下を招いてしまう。更に、燃料ガス流量や酸化ガス流
量の減少は、燃料電池スタック1,2における圧力損失
の低下により、燃料電池スタック1,2の入口圧力が低
下して、燃料電池スタック1,2内の作動圧力(燃料電
池スタック1,2内のガスの平均圧力)の低下を招くた
め、ネルンストの式からも明らかなように電圧が低下す
る。即ち、このことも発電性能を低下させる要因とな
る。
【0007】このため、低発電量運転時には、所望の発
電量を得るために図7に点線で示すように発電量に比例
する量(図7に実線で示す理想量)よりも過剰に燃料ガ
スや酸化ガスを供給することが必要となり、これらのガ
ス利用効率が低下するという欠点を有していた。この傾
向は図7に示すように発電量(ガス流量)が低くなるほ
ど顕著である。高発電量運転時には例えば80%の高い
ガス利用効率であったものが、低発電量運転時には例え
ば50%以下となってしまう。
【0008】従って、本発明は上記の事情に鑑み、複数
の燃料電池本体(セルスタック等)を有する場合におい
て、低発電量運転時にも高いガス利用効率を維持するこ
とができる燃料電池発電システムの運転方法及び燃料電
池発電システムを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する第1
発明の燃料電池発電システムの運転方法は、燃料ガス及
び酸化ガスの供給によって発電する燃料電池本体を複数
有する燃料電池発電システムの運転方法であって、燃料
ガス供給系統及び酸化ガス供給系統の何れか一方又は両
方における前記複数の燃料電池本体の接続状態を、接続
切換手段により、高発電量運転時には並列に、低発電量
運転時には直列に切り換えて運転することを特徴とす
る。
【0010】また、第2発明の燃料電池発電システムの
運転方法は、燃料ガス及び酸化ガスの供給によって発電
する燃料電池本体を複数有する燃料電池発電システムの
運転方法であって、燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給
系統の何れか一方又は両方における前記複数の燃料電池
本体の接続状態を、接続切換手段により、高発電量運転
時には並列に、低発電量運転時には発電量の低下に応じ
て、並列と直列の組み合わせ、直列に順次切り換えて運
転することを特徴とする。
【0011】また、第3発明の燃料電池発電システムの
運転方法は、燃料ガス及び酸化ガスの供給によって発電
する燃料電池本体を複数有する燃料電池発電システムの
運転方法であって、燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給
系統において並列に接続された前記複数の燃料電池本体
に対し、高発電量運転状態から低発電量運転状態への発
電量の低下に応じて燃料ガス及び酸化ガスの何れか一方
又は両方の供給流量が低下するのに応じて、接続遮断手
段により燃料ガス及び酸化ガスの何れか一方又は両方の
供給を順次遮断することによって、前記燃料電池本体の
運転本数を順次低減することを特徴とする。
【0012】また、第4発明の燃料電池発電システムの
運転方法は、第3発明の燃料電池発電システムの運転方
法において、低発電量運転時に遮断する燃料電池スタッ
クを所定の運転時間ごとに切り換えることにより、前記
複数の燃料電池スタックの運転時間を合わせるようにす
ることを特徴とする。
【0013】また、第5発明の燃料電池発電システム
は、燃料ガス及び酸化ガスの供給によって発電する燃料
電池本体を複数有する燃料電池発電システムであって、
燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統の何れか一方又
は両方における前記複数の燃料電池本体の接続状態を、
接続切換手段により、高発電量運転時には並列に、低発
電量運転時には直列に切り換えて運転するように構成し
たことを特徴とする。
【0014】また、第6発明の燃料電池発電システム
は、燃料ガス及び酸化ガスの供給によって発電する燃料
電池本体を複数有する燃料電池発電システムであって、
燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統の何れか一方又
は両方における前記複数の燃料電池本体の接続状態を、
接続切換手段により、高発電量運転時には並列に、低発
電量運転時には発電量の低下に応じて、並列と直列の組
み合わせ、直列に順次切り換えて運転するように構成し
たことを特徴とする。
【0015】また、第7発明の燃料電池発電システム
は、燃料ガス及び酸化ガスの供給によって発電する燃料
電池本体を複数有する燃料電池発電システムであって、
燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統において並列に
接続された前記複数の燃料電池本体に対し、高発電量運
転状態から低発電量運転状態への発電量の低下に応じて
燃料ガス及び酸化ガスの何れか一方又は両方の供給流量
が低下するのに応じて、接続遮断手段により燃料ガス及
び酸化ガスの何れか一方又は両方の供給を順次遮断する
ことによって、前記燃料電池本体の運転本数を順次低減
するように構成したことを特徴とする。
【0016】また、第8発明の燃料電池発電システム
は、第7発明の燃料電池発電システムにおいて、低発電
量運転時に遮断する燃料電池スタックを所定の運転時間
ごとに切り換えることにより、前記複数の燃料電池スタ
ックの運転時間を合わせるように構成したことを特徴と
する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づき詳細に説明する。
【0018】<実施の形態1>図1は本発明の実施の形
態1に係る燃料電池発電システムの構成図である。同図
に示すように、本実施の形態1の燃料電池発電システム
では2体の燃料電池スタック(セルスタック)11,1
2を有しており、これらの燃料電池スタック11,12
が燃料ガス配管13及び酸化ガス配管14によって接続
されている。燃料電池スタック11,12としては、例
えばイオン交換樹脂膜を電解質膜として用い、この電解
質膜を燃料極と酸素極とで挟んだ構造の単セルを、多数
積層してなる固体高分子型のものを用いる。
【0019】燃料ガス供給系統側において、燃料電池ス
タック11,12の入口側(図中左側)では、1本の燃
料ガス配管13が分岐部13aで2本の燃料ガス配管1
3に分岐して燃料電池スタック11,12にそれぞれ接
続されており、燃料電池スタック11,12の出口側
(図中右側)では、各々の燃料電池スタック11,12
に接続された2本の燃料ガス配管13が合流部13bで
1本の燃料ガス配管13に合流している。そして、燃料
電池スタック11の出口と燃料ガス配管合流部13bと
の間、及び、燃料電池スタック12の入口と燃料ガス配
管分岐部13aとの間には、接続切換手段としての切換
弁(三方弁)19A,19Bがそれぞれ設けられてお
り、これらの切換弁19A,19Bは直列接続用の燃料
ガス配管17によって接続されている。
【0020】酸化ガス供給系統側についても燃料ガス供
給系統側と同様であり、燃料電池スタック11,12の
入口側では、1本の酸化ガス配管14が分岐部14aで
2本の燃料ガス配管14に分岐して燃料電池スタック1
1,12にそれぞれ接続されており、燃料電池スタック
11,12の出口側では、各々の燃料電池スタック1
1,12に接続された2本の酸化ガス配管14が合流部
14bで1本の酸化ガス配管14に合流している。そし
て、燃料電池スタック11の出口と酸化ガス配管合流部
14bとの間、及び、燃料電池スタック12の入口と酸
化ガス配管分岐部13aとの間には、接続切換手段とし
ての切換弁(三方弁)20A,20Bがそれぞれ設けら
れており、これらの切換弁20A,20Bは直列接続用
の酸化ガス配管18によって接続されている。
【0021】切換弁19A,19B,20A,20Bの
ON・OFF制御、即ち、燃料電池スタック11,12
の接続切換制御は、接続切換制御装置21によって行
う。即ち、接続切換制御装置21では、運転状態検出器
22の検出信号に基づいて切換弁19A,19B,20
A,20BのON・OFF制御を行うことにより、高発
電量運転時には燃料電池スタック11,12を並列接続
にし、低発電量運転時には燃料電池スタック11,12
を直列接続にする(詳細後述)。
【0022】運転状態検出器22では燃料電池スタック
11,12によって発電される発電量を検出し、この発
電量検出値が、所定の発電量よりも大きい場合には高発
電量運転状態であると判断し、所定の発電量よりも小さ
い場合には低発電量運転状態であると判断する。なお、
運転状態検出器22としては発電量を直接検出するもの
に限らず、燃料電池スタック11,12の運転状態を検
出することができるものであればよい。例えば、燃料ガ
ス供給装置15から供給される燃料ガスの流量や酸化ガ
ス供給装置16から供給される酸化ガスの流量を流量検
出器によって検出し、この流量検出値が所定流量以上で
あるか以下であるかによって高発電量運転状態か低発電
量運転状態かを判断するようにしてもよい。なお、接続
切り換えの具体的な設定値については、並列運転を継続
した場合の過剰ガス量の増加状況などから適宜設定すれ
ばよい。
【0023】ここで、燃料電池スタック11,12の運
転状態と、切換弁19A,19B,20A,20Bの作
動状態と、燃料電池スタック11,12の接続状態(ス
タック間のガス流れ状態)との関係について、図1に示
した矢印に基づき具体的に説明する。図1には、各切換
弁19A,19B,20A,20Bの動作がONの場合
とOFFの場合の各切換弁19A,19B,20A,2
0Bにおけるガス流れ方向を、それぞれ実線の矢印と点
線の矢印とで示している。なお、図1中に一点鎖線で示
す矢印はガス導入口及びガス排出口における全体のガス
流れ方向と各燃料電池スタックにおけるガス流れ方向で
ある。
【0024】高発電量運転状態では、切換弁19A,1
9BをOFFにすることにより図1に点線の矢印で示す
方向に燃料ガスが流れるようにして、燃料電池スタック
11,12を並列接続とする。その結果、燃料改質器な
どからなる燃料ガス供給装置15から送給される燃料ガ
ス(水素、又は、メタノールなどの燃料を改質して得ら
れる水素リッチガス等)は、燃料ガス配管13により分
岐されて燃料電池スタック11と燃料電池スタック12
とに同量づつ並列に供給される。酸化ガス供給系統側に
ついても燃料ガス供給系統側と同様であり、高発電量運
転状態では、切換弁19A,19BをOFFにすること
により図1に点線の矢印で示す方向に酸化ガスが流れる
ようにして、燃料電池スタック11,12を並列接続と
する。その結果、コンプレッサなどからなる酸化ガス供
給装置16から送給される酸化ガス(酸素又は空気等)
は、酸化ガス配管14により分岐されて燃料電池スタッ
ク11と燃料電池スタック12とに同量づつ並列に供給
される。
【0025】燃料電池スタック11,12において発電
に利用されずに余った燃料ガス及び酸化ガスは、燃料電
池スタック11,12の出口側から、燃料ガス配管13
及び酸化ガス配管14を介して排出される。
【0026】一方、低発電量運転状態では、切換弁19
A,19BをONにすることにより図1に実線の矢印で
示す方向に燃料ガスが流れるようにして、燃料電池スタ
ック11,12を直列接続とする。その結果、燃料ガス
供給装置15から送給される燃料ガスは、まず、全量と
も、燃料ガス配管13により上流側の燃料電池スタック
11に供給され、ここで発電に利用される。その後、燃
料電池スタック11で発電に利用されずに残った燃料ガ
スは、燃料電池スタック11の出口側から出た後、切換
弁19A、直列接続用の燃料ガス配管17、切換弁19
Bを流れて下流側の燃料電池スタック12へ供給され、
ここで発電に利用される。燃料電池スタック12で発電
に利用されずに余った燃料ガスは、燃料電池スタック1
2の出口側から燃料ガス配管13を介して排出される。
【0027】酸化ガス供給系統側についても燃料ガス供
給系統側と同様であり、低発電量運転状態では、切換弁
20A,20BをONにすることにより図1に実線の矢
印で示す方向に酸化ガスが流れるようにして、燃料電池
スタック11,12を直列接続とする。その結果、酸化
ガス供給装置16から送給される酸化ガスは、まず、全
量とも、酸化ガス配管14により上流側の燃料電池スタ
ック11に供給され、ここで発電に利用される。その
後、燃料電池スタック11で発電に利用されずに残った
酸化ガスは、燃料電池スタック11の出口側から出た
後、切換弁20A、直列接続用の酸化ガス配管18、切
換弁20Bを流れて下流側の燃料電池スタック12へ供
給され、ここで発電に利用される。燃料電池スタック1
2で発電に利用されずに余った酸化ガスは、燃料電池ス
タック12の出口側から酸化ガス配管14を介して排出
される。
【0028】以上のように、本実施の形態1によれば、
燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統における2体の
燃料電池スタック11,12の接続状態を、切換弁19
A,19B,20A,20Bにより、高発電量運転時に
は並列に、低発電量運転時には直列に切り換えて運転す
るようにしたため、次のような効果が得られる。
【0029】即ち、低発電量運転時には、燃料ガス及び
酸化ガスが、直列に流れて燃料電池スタック11,12
に順次供給されるため、並列に供給する場合に比べて、
全体のガス供給量は同じでも、各燃料電池スタック1
1,12へのガス供給量を多くすることができる。この
ため、従来のように燃料ガス及び酸化ガスを過剰に流す
ことなく、燃料ガスや酸化ガスによる排水能力の劣化
や、燃料電池スタック11,12内の作動圧力の低下を
防止することが可能となり、全ての発電量運転状態にお
いてほぼ一定の高いガス利用効率で発電することができ
る。また、ガス利用効率の向上は消費資源の無駄を無く
すことにもなる。
【0030】具体例を挙げて説明すると、例えば燃料ガ
ス供給系統の各部のガス流量は図1中に数値で示したよ
うになる(但し、これらの数値は実際の流量を表すもの
ではなく、説明のための便宜的な数値である)。並列運
転の場合には、括弧内に記載した数値のように、全体の
燃料ガス供給量が10であったとすると、燃料電池スタ
ック11と燃料電池スタック12とにそれぞれ5づつの
量の燃料ガスが供給されて、そのうちの例えば4(燃料
電池スタックに要求される発電量に応じた値)づつが発
電に利用され、余りの1つづ(合計2)が排出されるこ
とになる。一方、直列運転の場合には、括弧外に記載し
た数値のように、全体の燃料ガス供給量が10であった
とすると、上流側の燃料電池スタック11にはそのまま
10の燃料ガス量が供給され、ここで10のうちの4が
発電に利用された後、残りの6が下流側の燃料電池スタ
ック12に供給される。下流側の燃料電池スタック12
では燃料ガス供給量6のうちの4が発電に利用されて、
余りの2が排出されることになる(利用効率80%)。
【0031】このように、全体のガス供給量は同じで
も、直列にすれば並列の場合よりも、各燃料電池スタッ
ク11,12に供給する燃料ガス量を多くすることがで
きる。そして、実際には、低発電量運転時に並列運転を
行った場合、燃料電池スタック11,12における排水
能力や作動圧力の低下による発電性能の劣化を補うた
め、全体の燃料ガス供給量を10ではなく、例えば12
にして(過剰に供給して)、各燃料電池スタック11,
12に6づつ供給することが必要となる。この場合、発
電量が同じであれば、燃料ガスの消費量は8であるか
ら、余りは4になるため、燃料ガスの利用効率は66%
に低下することになる。酸化ガス供給系統についても同
様である。
【0032】図2には2体の燃料電池スタックを備えた
燃料電池発電システムにおいて、低発電量運転時に並列
運転から直列運転に切り換えた場合と切り換えない場合
の燃料ガス供給量の比較を示す。同図に示すように、発
電量がW以下の低発電量運転時において並列運転から直
列運転に切り換えた場合(図中の一点鎖線)には、並列
運転を継続した場合(図中の点線)に比べて、過剰ガス
量が低下し、理想の燃料ガス供給量(図中の実線)に近
づき、燃料ガスの利用効率が向上した。図示は省略する
が、酸化ガス供給系統についても同様である。
【0033】なお、全ての発電量運転状態において燃料
電池スタック11,12を直列にすることも考えられる
が、燃料電池スタック11,12を直列にした場合、高
発電量運転状態では並列の場合に比べて全体の圧力損失
が極端に大きくなり過ぎてしまう。つまり、直列の場合
には並列の場合に比べて全体の圧力損失が増加するが、
特に、ガス流量の多い高発電量運転時には、この圧力損
失の増加が極端に大きくなってしまう。従って、高発電
量運転時にも直列とするには、コンプレッサなどの燃料
ガス供給装置15や酸化ガス供給装置16における各機
器の動力を大きくする必要があり、システムの大型化や
コストアップを招いてしまう。このため、高発電量運転
時には並列とし、低発電量運転時に直列に切り換えるよ
うにしている。低発電量運転時であれば全体のガス供給
量も少なくなり、圧力損失の増加も小さいため、ガスの
供給圧力(燃料電池スタック11の入口圧力)を多少高
めにする程度で対応することができる。
【0034】<実施の形態2>図3は本発明の実施の形
態2に係る燃料電池発電システムの構成図である。本実
施の形態2は3本の燃料電池スタックの接続状態を発電
量に応じて並列から直列に切り換える場合の例である。
【0035】詳述すると、図3に示すように、本実施の
形態2の燃料電池発電システムでは3体の燃料電池スタ
ック(セルスタック)31,32,33を有しており、
これらの燃料電池スタック31,32,33が燃料ガス
配管34及び酸化ガス配管35によって接続されてい
る。燃料電池スタック31,32,33としては、例え
ばイオン交換樹脂膜を電解質膜として用い、この電解質
膜を燃料極と酸素極とで挟んだ構造の単セルを、多数積
層してなる固体高分子型のものを用いる。
【0036】燃料ガス供給系統側において、燃料電池ス
タック31,32,33の入口側(図中左側)では、1
本の燃料ガス配管34が分岐部34aで3本の燃料ガス
配管34に分岐して燃料電池スタック31,32,33
にそれぞれ接続されており、燃料電池スタック31,3
2,33の出口側(図中右側)では、各々の燃料電池ス
タック31,32,33に接続された3本の燃料ガス配
管34が合流部34bで1本の燃料ガス配管34に合流
している。そして、燃料電池スタック31の出口と燃料
ガス配管合流部34bとの間、燃料電池スタック32の
入口と燃料ガス配管分岐部34aとの間、燃料電池スタ
ック32の出口と燃料ガス配管合流部34bとの間、及
び、燃料電池スタック33の入口と燃料ガス配管分岐部
34aとの間には、接続切換手段としての切換弁(三方
弁)36A,36B,36C,36Dがそれぞれ設けら
れており、切換弁36A,36Bは直列接続用の燃料ガ
ス配管38によって接続され、切換弁36C,36Dは
直列接続用の燃料ガス配管39によって接続されてい
る。
【0037】酸化ガス供給系統側についても燃料ガス供
給系統側と同様であり、燃料電池スタック31,32,
33の入口側では、1本の酸化ガス配管35が分岐部3
5aで3本の燃料ガス配管35に分岐して燃料電池スタ
ック31,32,33に接続されており、燃料電池スタ
ック31,32,33の出口側では、各々の燃料電池ス
タック31,32,33に接続された3本の酸化ガス配
管35が合流部35bで1本の酸化ガス配管35に合流
している。そして、燃料電池スタック31の出口と酸化
ガス配管合流部335との間、燃料電池スタック32の
入口と酸化ガス配管分岐部35aとの間、燃料電池スタ
ック32の出口と酸化ガス配管合流部35bとの間、及
び、燃料電池スタック33の入口と酸化ガス配管分岐部
35aとの間には、接続切換手段としての切換弁(三方
弁)37A,37B,37C,37Dがそれぞれ設けら
れており、切換弁37A,37Bは直列接続用の燃料ガ
ス配管40によって接続され、切換弁37C,37Dは
直列接続用の燃料ガス配管41によって接続されてい
る。
【0038】切換弁36A〜36D,37A〜37Dの
ON・OFF制御、即ち、燃料電池スタック31,3
2,33の接続切換制御は、接続切換制御装置42によ
って行う。即ち、接続切換制御装置42では、運転状態
検出器43の検出信号に基づいて切換弁36A〜36
D,37A〜37DのON・OFF制御を行うことによ
り、高発電量運転時には燃料電池スタック31,32,
33を並列に接続し、低発電量運転時には燃料電池スタ
ック31,32,33を直列接続にする(詳細後述)。
【0039】運転状態検出器43では燃料電池スタック
31,32,33によって発電される発電量を検出し、
この発電量検出値が、所定の発電量よりも大きい場合に
は高発電量運転状態であると判断し、所定の発電量より
も小さい場合には低発電量運転状態であると判断する。
なお、運転状態検出器43としては発電量を直接検出す
るものに限らず、燃料電池スタック31,32,33の
運転状態を検出することができるものであればよい。例
えば、燃料ガス供給装置44から供給される燃料ガスの
流量や酸化ガス供給装置45から供給される酸化ガスの
流量を流量検出器によって検出し、この流量検出値が所
定流量以上であるか以下であるかによって高発電量運転
状態か低発電量運転状態かを判断するようにしてもよ
い。なお、接続切り換えの具体的な設定値については、
並列運転を継続した場合の過剰ガス量の増加状況などか
ら適宜設定すればよい。
【0040】ここで、燃料電池スタック31,32,3
3の運転状態と、切換弁36A〜36D,37A〜37
Dの作動状態と、燃料電池スタック31,32,33の
接続状態(スタック間のガス流れ状態)との関係につい
て、図3に示した矢印に基づき具体的に説明する。図3
には各切換弁36A〜36D,37A〜37Dの動作が
ONの場合とOFFの場合の各切換弁36A〜36D,
37A〜37Dにおけるガス流れ方向を、それぞれ実線
の矢印と点線の矢印とで示している。なお、図3中に一
点鎖線で示す矢印はガス導入口及びガス排出口における
全体のガス流れ方向と各燃料電池スタックにおけるガス
流れ方向である。
【0041】高発電量運転状態では、切換弁36A〜3
6DをOFFにすることにより図3に点線の矢印で示す
方向に燃料ガスが流れるようにして、燃料電池スタック
31,32,33を並列接続とする。その結果、燃料改
質器などからなる燃料ガス供給装置44から送給される
燃料ガス(水素、又は、メタノールなどの燃料を改質し
て得られる水素リッチガス等)は、燃料ガス配管34に
より分岐されて燃料電池スタック31,32,33にそ
れぞれ同量づつ並列に供給される。酸化ガス供給系統側
についても燃料ガス供給系統側と同様であり、高発電量
運転状態では、切換弁37A〜37DをOFFにするこ
とにより図3に点線の矢印で示す方向に酸化ガスが流れ
るようにして、燃料電池スタック31,32,33を並
列接続とする。その結果、コンプレッサなどからなる酸
化ガス供給装置45から送給される酸化ガス(酸素又は
空気等)は、酸化ガス配管35により分岐されて燃料電
池スタック31,32,33にそれぞれ同量づつ並列に
供給される。
【0042】燃料電池スタック31,32,33におい
て発電に利用されずに余った燃料ガス及び酸化ガスは、
燃料電池スタック31,32,33の出口側から、燃料
ガス配管34及び酸化ガス配管35を介して排出され
る。
【0043】一方、低発電量運転状態では、切換弁36
A〜36DをONにすることにより図3に実線の矢印で
示す方向に燃料ガスが流れるようにして、燃料電池スタ
ック31,32,33を直列接続とする。その結果、燃
料ガス供給装置44から送給される燃料ガスは、まず、
全量とも、燃料ガス配管34により最上流の燃料電池ス
タック31に供給され、ここで発電に利用される。その
後、燃料電池スタック31で発電に利用されずに残った
燃料ガスは、燃料電池スタック31の出口側から出た
後、切換弁36A、直列接続用の燃料ガス配管38、切
換弁36Bを流れて下流の燃料電池スタック32へ供給
され、ここで発電に利用される。次に、燃料電池スタッ
ク32で発電に利用されずに残った燃料ガスは、燃料電
池スタック32の出口側から出た後、切換弁36C、直
列接続用の燃料ガス配管39、切換弁36Dを流れて最
下流の燃料電池スタック33へ供給され、ここで発電に
利用される。燃料電池スタック33で発電に利用されず
に余った燃料ガスは、燃料電池スタック33の出口側か
ら燃料ガス配管34を介して排出される。
【0044】酸化ガス供給系統側についても燃料ガス供
給系統側と同様であり、低発電量運転状態では、切換弁
37A〜37DをONにすることにより図3に実線の矢
印で示す方向に酸化ガスが流れるようにして、燃料電池
スタック31,32,33を直列接続とする。その結
果、酸化ガス供給装置44から送給される酸化ガスは、
まず、全量とも、酸化ガス配管35により最上流の燃料
電池スタック31に供給され、ここで発電に利用され
る。その後、燃料電池スタック31で発電に利用されず
に残った酸化ガスは、燃料電池スタック31の出口側か
ら出た後、切換弁37A、直列接続用の酸化ガス配管4
0、切換弁37Bを流れて下流の燃料電池スタック32
へ供給され、ここで発電に利用される。次に、燃料電池
スタック32で発電に利用されずに残った酸化ガスは、
燃料電池スタック32の出口側から出た後、切換弁37
C、直列接続用の酸化ガス配管41、切換弁37Dを流
れて最下流の燃料電池スタック33へ供給され、ここで
発電に利用される。燃料電池スタック33で発電に利用
されずに余った酸化ガスは、燃料電池スタック33の出
口側から酸化ガス配管35を介して排出される。
【0045】以上のように、本実施の形態2によれば、
燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統における3体の
燃料電池スタック31,32,33の接続状態を、切換
弁36A〜36D,37A〜37Dにより、高発電量運
転時には並列に、低発電量運転時には直列に切り換えて
運転するようにしたため、上記実施の形態1の場合と同
様に、次のような効果が得られる。
【0046】即ち、低発電量運転時には、燃料ガス及び
酸化ガスが、直列に流れて燃料電池スタック31,3
2,33に順次供給されるため、並列に供給する場合に
比べて、全体のガス供給量は同じでも、各燃料電池スタ
ック31,32,33へのガス供給量を多くすることが
できる。このため、従来のように燃料ガス及び酸化ガス
を過剰に流すことなく、燃料ガスや酸化ガスによる排水
能力の劣化や、燃料電池スタック31,32,33内の
作動圧力の低下を防止することが可能となり、全ての発
電量運転状態においてほぼ一定の高いガス利用効率で発
電することができる。また、ガス利用効率の向上は消費
資源の無駄を無くすことにもなる。
【0047】<実施の形態3>図4は本発明の実施の形
態3に係る燃料電池発電システムの構成図である。本実
施の形態3は4本の燃料電池スタックの接続状態を発電
量に応じて並列、並列と直列の組み合わせ、直列に順次
切り換える場合の例である。
【0048】詳述すると、図1に示すように、本実施の
形態3の燃料電池発電システムでは4体の燃料電池スタ
ック(セルスタック)51,52,53,54を有して
おり、これらの燃料電池スタック51〜54が燃料ガス
配管55及び酸化ガス配管56によって接続されてい
る。燃料電池スタック51〜54としては、例えばイオ
ン交換樹脂膜を電解質膜として用い、この電解質膜を燃
料極と酸素極とで挟んだ構造の単セルを、多数積層して
なる固体高分子型のものを用いる。
【0049】燃料ガス供給系統側において、燃料電池ス
タック51〜54の入口側(図中左側)では、1本の燃
料ガス配管55が分岐部55aで4本の燃料ガス配管5
5に分岐して燃料電池スタック51〜54にそれぞれ接
続されており、燃料電池スタック51〜54の出口側
(図中右側)では、各々の燃料電池スタック51〜54
に接続された4本の燃料ガス配管55が合流部55bで
1本の燃料ガス配管55に合流している。そして、燃料
電池スタック51の出口と燃料ガス配管合流部55bと
の間、燃料電池スタック52の入口と燃料ガス配管分岐
部55aとの間、燃料電池スタック52の出口と燃料ガ
ス配管合流部55bとの間、燃料電池スタック53の入
口と燃料ガス配管分岐部55aとの間、燃料電池スタッ
ク53の出口と燃料ガス配管合流部55bとの間、及
び、燃料電池スタック54の入口と燃料ガス配管分岐部
55aとの間には、接続切換手段としての切換弁(三方
弁)57A,57B,57C,57D,57E,57F
がそれぞれ設けられており、切換弁57A,57Bは直
列接続用の燃料ガス配管59によって接続され、切換弁
57C,57Dは直列接続用の燃料ガス配管60によっ
て接続され、切換弁57E,57Fは直列接続用の燃料
ガス配管61によって接続されている。
【0050】酸化ガス供給系統側についても燃料ガス供
給系統側と同様であり、燃料電池スタック51〜54の
入口側では、1本の酸化ガス配管56が分岐部56aで
4本の酸化ガス配管56に分岐して燃料電池スタック5
1〜54にそれぞれ接続されており、燃料電池スタック
51〜54の出口側(図中右側)では、各々の燃料電池
スタック51〜54に接続された4本の酸化ガス配管5
6が合流部56bで1本の酸化ガス配管56に合流して
いる。そして、燃料電池スタック51の出口と酸化ガス
配管合流部56bとの間、燃料電池スタック52の入口
と酸化ガス配管分岐部56aとの間、燃料電池スタック
52の出口と酸化ガス配管合流部56bとの間、燃料電
池スタック53の入口と酸化ガス配管分岐部56aとの
間、燃料電池スタック53の出口と酸化ガス配管合流部
56bとの間、及び、燃料電池スタック54の入口と酸
化ガス配管分岐部56aとの間には、接続切換手段とし
ての切換弁(三方弁)58A,58B,58C,58
D,58E,58Fがそれぞれ設けられており、切換弁
58A,58Bは直列接続用の酸化ガス配管62によっ
て接続され、切換弁58C,58Dは直列接続用の酸化
ガス配管63によって接続され、切換弁58E,58F
は直列接続用の酸化ガス配管64によって接続されてい
る。
【0051】切換弁57A〜57F,58A〜58Fの
ON・OFF制御、即ち、燃料電池スタック51〜54
の接続切換制御は、接続切換制御装置65によって行
う。即ち、接続切換制御装置65では、運転状態検出器
66の検出信号に基づいて切換弁57A〜57F,58
A〜58FのON・OFF制御を行うことにより、運転
状態が高発電量運転状態から低発電量運転状態へと移行
するにしたがって、燃料電池スタック51〜54の接続
状態を、並列、並列と直列の組み合わせ、直列に順次切
り換える(詳細後述)。
【0052】運転状態検出器66では燃料電池スタック
51〜54によって発電される発電量を検出し、この発
電量検出値が、第1の所定発電量よりも大きい場合には
高発電量運転状態であると判断し、第1の所定発電量よ
りも小さい場合には第1の低発電量運転状態(中発電量
運転状態)であると判断し、更に、第1の所定発電量よ
り小さい第2の所定発電量よりも小さい場合には第2の
低発電量運転状態であると判断する。なお、運転状態検
出器66としては発電量を直接検出するものに限らず、
燃料電池スタック51〜54の運転状態を検出すること
ができるものであればよい。例えば、燃料ガス供給装置
67から供給される燃料ガスの流量や酸化ガス供給装置
68から供給される酸化ガスの流量を流量検出器によっ
て検出し、この流量検出値と、第1の所定流量及びこの
第1の所定流量よりも小さい第2の所定流量とを比較し
て、流量検出値が、第1の所定流量よりも大きい場合に
は高発電量運転状態、第1の所定流量よりも小さい場合
には第1の低発電量運転状態、第2の所定流量よりも小
さい場合には第2の低発電量運転状態であると判断する
ようにしてもよい。なお、接続切り換えの具体的な設定
値については、並列運転を継続した場合の過剰ガス量の
増加状況などから適宜設定すればよい。
【0053】ここで、燃料電池スタック51〜54の運
転状態と、切換弁57A〜57F,58A〜58Fの作
動状態と、燃料電池スタック51〜54の接続状態(ス
タック間のガス流れ状態)との関係について、図4に示
した矢印に基づき具体的に説明する。図4には各切換弁
57A〜57F,58A〜58Fの動作がONの場合と
OFFの場合の各切換弁57A〜57F,58A〜58
Fにおけるガス流れ方向を、それぞれ実線の矢印と点線
の矢印とで示している。なお、図4中に一点鎖線で示す
矢印はガス導入口及びガス排出口における全体のガス流
れ方向と各燃料電池スタックにおけるガス流れ方向であ
る。
【0054】高発電量運転状態では、切換弁57A〜5
7FをOFFにすることにより図4に点線の矢印で示す
方向に燃料ガスが流れるようにして、燃料電池スタック
51〜54を並列接続とする。その結果、燃料改質器な
どからなる燃料ガス供給装置67から送給される燃料ガ
ス(水素、又は、メタノールなどの燃料を改質して得ら
れる水素リッチガス等)は、燃料ガス配管55により分
岐されて燃料電池スタック51〜54にそれぞれ同量づ
つ並列に供給される。酸化ガス供給系統側についても燃
料ガス供給系統側と同様であり、高発電量運転状態で
は、切換弁58A〜58FをOFFにすることにより図
4に点線の矢印で示す方向に酸化ガスが流れるようにし
て、燃料電池スタック51〜54を並列接続とする。そ
の結果、コンプレッサなどからなる酸化ガス供給装置6
8から送給される酸化ガス(酸素又は空気等)は、酸化
ガス配管56により分岐されて燃料電池スタック51〜
54にそれぞれ同量づつ並列に供給される。
【0055】燃料電池スタック51〜54において発電
に利用されずに余った燃料ガス及び酸化ガスは、燃料電
池スタック51〜54の出口側から、燃料ガス配管55
及び酸化ガス配管56を介して排出される。
【0056】一方、第1の低発電量運転状態では、切換
弁57A,57Bと切換弁57E,57FはONにして
図4に実線の矢印で示す方向に燃料ガスが流れるように
し、且つ、切換弁57C,57DはOFFにして図4に
点線の矢印で示す方向に燃料ガスが流れるようにするこ
とにより、燃料電池スタック51,52は直列接続、燃
料電池スタック53,54も直列接続、燃料電池スタッ
ク51,52と燃料電池スタック53,54は並列接続
とする。即ち、並列と直列の組み合わせとする。
【0057】その結果、燃料ガス供給装置67から送給
される燃料ガスは、まず、燃料ガス配管55により2分
されて燃料電池スタック51と燃料電池スタック53と
にそれぞれ同量づつ並列に供給され、ここでそれぞれ発
電に利用される。その後、燃料電池スタック51で発電
に利用されずに残った燃料ガスは、燃料電池スタック5
1の出口側から出た後、切換弁57A、直列接続用の燃
料ガス配管59、切換弁57Bを流れて下流の燃料電池
スタック52へ供給され、ここで発電に利用される。一
方、燃料電池スタック53で発電に利用されずに残った
燃料ガスは、燃料電池スタック53の出口側から出た
後、切換弁57E、直列接続用の燃料ガス配管61、切
換弁57Fを流れて下流の燃料電池スタック54へ供給
され、ここで発電に利用される。燃料電池スタック5
2,54において発電に利用されずに余った燃料ガス
は、燃料電池スタック52,54の出口側から、燃料ガ
ス配管55を介して(合流部55bで合流して)排出さ
れる。
【0058】酸化ガス供給系統側についても燃料ガス供
給系統側と同様であり、第1の低発電量運転状態では、
切換弁58A,58Bと切換弁58E,58FはONに
して図4に実線の矢印で示す方向に酸化ガスが流れるよ
うにし、且つ、切換弁58C,58DはOFFにして図
4に点線の矢印で示す方向に酸化ガスが流れるようにす
ることにより、燃料電池スタック51,52は直列接
続、燃料電池スタック53,54も直列接続、燃料電池
スタック51,52と燃料電池スタック53,54は並
列接続とする。即ち、並列と直列の組み合わせとする。
【0059】その結果、酸化ガス供給装置68から送給
される燃料ガスは、まず、酸化ガス配管56により2分
されて燃料電池スタック51と燃料電池スタック53と
にそれぞれ同量づつ並列に供給され、ここでそれぞれ発
電に利用される。その後、燃料電池スタック51で発電
に利用されずに残った酸化ガスは、燃料電池スタック5
1の出口側から出た後、切換弁58A、直列接続用の酸
化ガス配管62、切換弁58Bを流れて下流の燃料電池
スタック52へ供給され、ここで発電に利用される。一
方、燃料電池スタック53で発電に利用されずに残った
酸化ガスは、燃料電池スタック53の出口側から出た
後、切換弁58E、直列接続用の酸化ガス配管64、切
換弁58Fを流れて下流の燃料電池スタック54へ供給
され、ここで発電に利用される。燃料電池スタック5
2,54において発電に利用されずに余った酸化ガス
は、燃料電池スタック52,54の出口側から、酸化ガ
ス配管56を介して(合流部56bで合流して)排出さ
れる。
【0060】次に、第2の低発電量運転状態では、切換
弁57A〜57FをONにすることにより図4に実線の
矢印で示す方向に燃料ガスが流れるようにして、燃料電
池スタック51〜54を直列接続とする。その結果、燃
料ガス供給装置67から送給される燃料ガスは、まず、
全量とも、燃料ガス配管55により最上流の燃料電池ス
タック51に供給され、ここで発電に利用される。その
後、燃料電池スタック51で発電に利用されずに残った
燃料ガスは、燃料電池スタック51の出口側から出た
後、切換弁57A、直列接続用の燃料ガス配管59、切
換弁57Bを流れて下流の燃料電池スタック52へ供給
され、ここで発電に利用される。続いて、燃料電池スタ
ック52で発電に利用されずに残った燃料ガスは、燃料
電池スタック52の出口側から出た後、切換弁57C、
直列接続用の燃料ガス配管60、切換弁57Dを流れて
更に下流の燃料電池スタック53へ供給され、ここで発
電に利用される。次に、燃料電池スタック53で発電に
利用されずに残った燃料ガスは、燃料電池スタック53
の出口側から出た後、切換弁57E、直列接続用の燃料
ガス配管61、切換弁57Fを流れて最下流の燃料電池
スタック54へ供給され、ここで発電に利用される。最
後に、燃料電池スタック54で発電に利用されずに余っ
た燃料ガスは、燃料電池スタック54の出口側から燃料
ガス配管55を介して排出される。
【0061】酸化ガス供給系統側についても燃料ガス供
給系統側と同様であり、第2の低発電量運転状態では、
切換弁58A〜58FをONにすることにより図4に実
線の矢印で示す方向に酸化ガスが流れるようにして、燃
料電池スタック51〜54を直列接続とする。その結
果、酸化ガス供給装置68から送給される燃料ガスは、
まず、全量とも、酸化ガス配管56により最上流の燃料
電池スタック51に供給され、ここで発電に利用され
る。その後、燃料電池スタック51で発電に利用されず
に残った酸化ガスは、燃料電池スタック51の出口側か
ら出た後、切換弁58A、直列接続用の酸化ガス配管6
2、切換弁58Bを流れて下流の燃料電池スタック52
へ供給され、ここで発電に利用される。続いて、燃料電
池スタック52で発電に利用されずに残った酸化ガス
は、燃料電池スタック52の出口側から出た後、切換弁
58C、直列接続用の酸化ガス配管63、切換弁58D
を流れて更に下流の燃料電池スタック53へ供給され、
ここで発電に利用される。次に、燃料電池スタック53
で発電に利用されずに残った酸化ガスは、燃料電池スタ
ック53の出口側から出た後、切換弁58E、直列接続
用の酸化ガス配管64、切換弁58Fを流れて最下流の
燃料電池スタック54へ供給され、ここで発電に利用さ
れる。最後に、燃料電池スタック54で発電に利用され
ずに余った酸化ガスは、燃料電池スタック54の出口側
から酸化ガス配管56を介して排出される。
【0062】以上のように、本実施の形態3によれば、
燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統における4体の
燃料電池スタック51〜54の接続状態を、切換弁57
A〜57F,58A〜58Fにより、高発電量運転時に
は並列に、低発電量運転時(第1の低発電量運転時、第
2の低発電量運転時)には発電量の低下に応じて、並列
と直列の組み合わせ、直列に順次切り換えて運転するよ
うにしたため、次のような効果が得られる。
【0063】即ち、第1の低発電量運転時には、燃料ガ
ス及び酸化ガスが、燃料電池スタック51〜54の全部
に並列に流れるのではなく、一部(燃料電池スタック5
1,52の間と燃料電池スタック53,54の間)で直
列に流れるため、並列に流れる場合に比べて、全体のガ
ス供給量は同じでも、各燃料電池スタック51〜54へ
のガス供給量を多くすることができる。このため、従来
のように燃料ガス及び酸化ガスを過剰に流すことなく、
燃料ガスや酸化ガスによる排水能力の劣化や、燃料電池
スタック51〜54内の作動圧力の低下を防止すること
が可能となる。
【0064】また、第2の低発電量運転時には、燃料ガ
ス及び酸化ガスが、直列に流れて燃料電池スタック51
〜54に順次供給されるため、並列に供給する場合や並
列と直列を組み合わせて供給する場合に比べて、全体の
ガス供給量は同じでも、各燃料電池スタック51〜54
へのガス供給量を多くすることができる。このため、燃
料ガス及び酸化ガスを過剰に流すことなく、燃料ガスや
酸化ガスによる排水能力の劣化や、燃料電池スタック5
1〜54内の作動圧力の低下を防止することが可能とな
る。
【0065】従って、全ての発電量運転状態においてほ
ぼ一定の高いガス利用効率で発電することができる。ま
た、ガス利用効率の向上は消費資源の無駄を無くすこと
にもなる。しかも、本実施の形態3では、燃料電池スタ
ック51〜54の接続状態を、並列から直ぐに直列に切
り換えるのではなく、並列、並列と直列の組み合わせ、
直列の順に段階的に切り換えていくため、ガス流量の低
下に応じて切り換わることになり、接続切り換え時の圧
力損失の変動(増加)を低減できてコンプレッサなどの
燃料ガス供給装置67や酸化ガス供給装置68における
各機器への負担を低減することができるなど、より円滑
で高性能な運転を行うことができる。
【0066】なお、上記実施の形態1〜3では、2〜4
体の燃料電池スタックを有する燃料電池発電システムに
ついて説明したが、勿論、これに限定するものではな
く、本発明は5体以上の燃料電池スタックを有する燃料
電池発電システムにも適用することができる。特に、燃
料電池スタックの数が多い場合には、並列と直列の組み
合わせも、段階的に切り換えていくようにしてもよい。
例えば6体の燃料電池スタックを有する場合には、発電
量の低下に応じて、はじめは2体づつ直列にし、その
後、3体づつ直列にすることもできる。
【0067】また、上記実施の形態1〜3では、燃料ガ
ス供給系統側と酸化ガス供給系統側の両方とも、運転状
態に応じて燃料電池スタックの接続を切り換えている
が、必ずしもこれに限定するものではなく、例えば燃料
ガス供給系統側のみ、運転状態に応じて燃料電池スタッ
クの接続を切り換えるようにしてもよい。
【0068】<実施の形態4>図5は本発明の実施の形
態4に係る燃料電池発電システムの構成図である。本実
施の形態4は燃料電池スタックの運転本数を発電量の低
下(燃料ガス及び酸化ガスの供給流量の低下)に応じて
3本、2本、1本と順次低減する場合の例である。
【0069】詳述すると、図5に示すように、本実施の
形態4の燃料電池発電システムでは3体の燃料電池スタ
ック(セルスタック)71,72,73を有しており、
これらの燃料電池スタック71,72,73が、燃料ガ
ス供給系統及び酸化ガス供給系統において燃料ガス配管
74及び酸化ガス配管75により並列に接続されてい
る。燃料電池スタック71,72,73としては、例え
ばイオン交換樹脂膜を電解質膜として用い、この電解質
膜を燃料極と酸素極とで挟んだ構造の単セルを、多数積
層してなる固体高分子型のものを用いる。
【0070】燃料ガス供給系統側において、燃料電池ス
タック71,72,73の入口側(図中左側)では、1
本の燃料ガス配管74が分岐部74aで3本の燃料ガス
配管74に分岐して燃料電池スタック71,72,73
にそれぞれ接続されており、燃料電池スタック71,7
2,73の出口側(図中右側)では、各々の燃料電池ス
タック71,72,73に接続された3本の燃料ガス配
管74が合流部74bで1本の燃料ガス配管74に合流
している。そして、燃料電池スタック71,72,73
のそれぞれの入口と燃料ガス配管分岐部74aとの間、
及び、燃料電池スタック71,72,73のそれぞれの
出口と燃料ガス配管合流部74bとの間には、接続遮断
手段としての遮断弁76A,76B,76C,76D,
76E,76Fがそれぞれ設けられている。
【0071】酸化ガス供給系統側についても燃料ガス供
給系統側と同様であり、燃料電池スタック71,72,
73の入口側では、1本の酸化ガス配管75が分岐部7
5aで3本の燃料ガス配管75に分岐して燃料電池スタ
ック71,72,73に接続されており、燃料電池スタ
ック71,72,73の出口側では、各々の燃料電池ス
タック71,72,73に接続された3本の酸化ガス配
管75が合流部75bで1本の酸化ガス配管75に合流
している。そして、燃料電池スタック71,72,73
のそれぞれの入口と燃料ガス配管分岐部75aとの間、
及び、燃料電池スタック71,72,73のそれぞれの
出口と燃料ガス配管合流部75bとの間には、接続遮断
手段としての遮断弁77A,77B,77C,77D,
77E,77Fがそれぞれ設けられている。
【0072】遮断弁76A〜76F,77A〜77Fの
開閉制御、即ち、燃料電池スタック71,72,73の
接続遮断制御は、接続遮断制御装置82によって行う。
接続遮断制御装置82では、運転状態検出器83の検出
信号に基づいて遮断弁76A〜76F,77A〜77F
の開閉制御を行うことにより、高発電量運転状態から低
発電量運転状態へと発電量が低下するのに応じて、即
ち、発電量の低下に応じた燃料ガスや酸化ガスの供給流
量の低下に応じて、燃料電池スタック71,72,73
の運転本数を順次低減する(詳細後述)。
【0073】運転状態検出器83では燃料電池スタック
71,72,73によって発電される発電量を検出し、
この発電量検出値が、第1の所定発電量よりも大きい場
合には高発電量運転状態であると判断し、第1の所定発
電量よりも小さい場合には第1の低発電量運転状態(中
発電量運転状態)であると判断し、更に、第1の所定発
電量より小さい第2の所定発電量よりも小さい場合には
第2の低発電量運転状態であると判断する。なお、運転
状態検出器83としては発電量を直接検出するものに限
らず、燃料電池スタック71,72,73の運転状態を
検出することができるものであればよい。例えば、燃料
ガス供給装置84から供給される燃料ガスの流量や酸化
ガス供給装置85から供給される酸化ガスの流量を流量
検出器によって検出し、この流量検出値と、第1の所定
流量及びこの第1の所定流量よりも小さい第2の所定流
量とを比較して、第1の所定流量よりも小さい場合には
第1の低発電量運転状態、第2の所定流量よりも小さい
場合には第2の低発電量運転状態であると判断するよう
にしてもよい。なお、接続遮断制御の具体的な設定値に
ついては、燃料電池スタック71,72,73の並列運
転を継続した場合の過剰ガス量の増加状況などから適宜
設定すればよい。
【0074】ここで、遮断弁76A〜76F,77A〜
77Fの開閉状態と、燃料電池スタック71,72,7
3の運転状態(接続遮断状態)との関係について、図5
に示した矢印に基づき具体的に説明する。図5には各運
転状態での燃料電池スタック71,72,73に対する
ガスの流れを、それぞれ実線の矢印と点線の矢印と二点
鎖線の矢印とで示している。なお、図5中に一点鎖線で
示す矢印は入口側及び出口側の共通部における全体のガ
ス流れ方向を示している。
【0075】高発電量運転状態では、3本の燃料電池ス
タック71,72,73の出入口の遮断弁76A〜76
F,77A〜77Fを全て開けることにより、3本の燃
料電池スタック71,72,73とも運転(発電)させ
る。この場合、燃料改質器などからなる燃料ガス供給装
置84から供給される燃料ガス(水素、又は、メタノー
ルなどの燃料を改質して得られる水素リッチガス等)及
びコンプレッサなどからなる酸化ガス供給装置85から
供給される酸化ガス(酸素又は空気等)は、図5に実線
の矢印で示すように燃料ガス配管74及び酸化ガス配管
75により分岐されて3本の燃料電池スタック71,7
2,73に同量づつ分配される。燃料電池スタック7
1,72,73において発電に利用されずに余った燃料
ガス及び酸化ガスは、燃料電池スタック71,72,7
3の出口側から、燃料ガス配管74及び酸化ガス配管7
5を介して排出される。
【0076】一方、第1の低発電量運転状態では、燃料
電池スタック71の出入口の遮断弁76A,76B,7
7A,77Bを閉めて燃料電池スタック71への燃料ガ
ス及び酸化ガスの供給は遮断し、燃料電池スタック7
2,73の出入口の遮断弁76C〜76F,77C〜7
7Fは開けたままにして燃料電池スタック72,73へ
の燃料ガス及び酸化ガスの供給は継続する。即ち、燃料
電池スタック71の運転(発電)を停止し、燃料電池ス
タック72,73だけを運転(発電)させて、燃料電池
スタックの運転本数を2本に低減する。この場合、燃料
ガス供給装置84及び酸化ガス供給装置85から供給さ
れる燃料ガス及び酸化ガスは、図5に点線の矢印で示す
ように燃料ガス配管74及び酸化ガス配管75により分
岐されて2本の燃料電池スタック72,73に同量づつ
分配される。燃料電池スタック72,73において発電
に利用されずに余った燃料ガス及び酸化ガスは、燃料電
池スタック72,73の出口側から、燃料ガス配管74
及び酸化ガス配管75を介して排出される。
【0077】次に、第2の低発電量運転状態では、燃料
電池スタック71,72の出入口の遮断弁76A〜76
D,77A〜77Dを閉めて燃料電池スタック71,7
2への燃料ガス及び酸化ガスの供給を遮断し、燃料電池
スタック73の出入口の遮断弁76C〜76F,77C
〜77Fは開けたままにして燃料電池スタック73への
燃料ガス及び酸化ガスの供給は継続する。即ち、燃料電
池スタック71,72の運転(発電)を停止し、燃料電
池スタック73だけを運転(発電)させて、燃料電池ス
タックの運転本数を1本に低減する。この場合、燃料ガ
ス供給装置84及び酸化ガス供給装置85からの燃料ガ
ス及び酸化ガスは、図5に2点鎖線の矢印で示すように
燃料ガス配管74及び酸化ガス配管75を介して1本の
燃料電池スタック73にのみ供給される。燃料電池スタ
ック73において発電に利用されずに余った燃料ガス及
び酸化ガスは、燃料電池スタック73の出口側から、燃
料ガス配管74及び酸化ガス配管75を介して排出され
る。
【0078】つまり、例えば各燃料電池スタック71,
72,73における燃料ガス及び酸化ガスの適正流量が
1とすると、発電量の低下(燃料ガス及び酸化ガスの全
体の供給流量の低下)に応じて次のように燃料電池スタ
ックの運転本数を順次低減する。
【0079】(1)高発電量運転時(燃料ガス及び酸化
ガスの全体流量が2〜3の時)には、燃料電池スタック
71,72,73の3本で運転(発電)する。 (2)第1の低発電量運転時(燃料ガス及び酸化ガスの
全体流量が1〜2の時)には、燃料電池スタック71の
1本を遮断し、燃料電池スタック72,73の2本で運
転(発電)する。 (3)第2の低発電量運転時(燃料ガス及び酸化ガスの
全体流量が0〜1の時)には、燃料電池スタック71,
72の2本を遮断し、燃料電池スタック73の1本で運
転(発電)する。
【0080】また、接続遮断制御装置82では、上記の
ような運転によって特定の燃料電池スタックに負担が集
中しないようにするため、第1の低発電量運転状態及び
第2の低発電量運転状態において遮断する燃料電池スタ
ックを所定の運転時間ごとに切り換えることにより、3
本の燃料電池スタック71,72,73の運転時間を合
わせる。
【0081】以上のように、本実施の形態4によれば、
燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統において並列に
接続された3本の燃料電池スタック71,72,73に
対し、高発電量運転状態から低発電量運転状態への発電
量の低下に応じて燃料ガス及び酸化ガスの供給流量が低
下するのに応じて、遮断弁76A〜76F,77A〜7
7Fにより燃料ガス及び酸化ガスの供給を順次遮断する
ことによって、燃料電池スタック71,72,73の運
転本数を順次低減するようにしたため、次のような効果
が得られる。
【0082】即ち、第1及び第2の低発電量運転時にお
いて燃料電池スタックに供給される燃料ガス及び酸化ガ
スの流量低下を抑えることができるため、従来のような
燃料ガスや酸化ガスの供給流量低下に起因する排水能力
の低下や、燃料電池スタック内の作動圧力の低下を防止
することが可能となり、全ての発電量運転状態において
高いガス利用効率で発電することができる。また、ガス
利用効率の向上は消費資源の無駄を無くすことにもな
る。
【0083】また、第1及び第2の低発電量運転時に遮
断する燃料電池スタックを所定の運転時間ごとに切り換
えることにより、3本の燃料電池スタック71,72,
73の運転時間を合わせるようにしたことによって、特
定の燃料電池スタックに負担が集中しないようにするこ
とができるため、特定の燃料電池スタックだけが先に劣
化してしまうことなどを防止することができる。
【0084】なお、上記実施の形態4では、3本の燃料
電池スタック71,72,73を並列接続した燃料電池
発電システムについて説明したが、勿論、これに限定す
るものではなく、本発明は2本又は4本以上の燃料電池
スタックを並列接続した燃料電池発電システムにも適用
することができる。
【0085】また、上記実施の形態4では、発電量の低
下に応じて燃料ガス及び酸化ガスの両方の供給を順次遮
断しているが、必ずしもこれに限定するものではなく、
燃料ガス及び酸化ガスの何れか一方の供給だけを、発電
量の低下(ガス供給流量の低下)に応じて順次遮断する
ようにしてもよい。例えば、燃料ガス供給装置84では
発電量の低下に応じて全体の燃料ガス供給量を低下させ
る一方、酸化ガス供給装置85では発電量の増減にかか
わらず全体の酸化ガス供給流量を一定にするようにした
場合には、燃料電池スタック71,72,73に対し、
発電量の低下(燃料ガスの全体の供給流量の低下)に応
じて、燃料ガスだけを順次遮断し、酸化ガスについては
運転を停止した燃料電池スタックにも流すようにしても
よい。
【0086】また、上記実施の形態1〜4では燃料電池
本体として固体高分子型のセルスタックを備えた場合に
ついて説明したが、必ずしもこれに限定するものではな
く、本発明は他の形式の燃料電池本体を備えた燃料電池
発電システムにも広く適用することができる。
【0087】
【発明の効果】以上、発明の実施の形態とともに具体的
に説明したように、第1発明の燃料電池発電システムの
運転方法又は第5発明の燃料電池発電システムによれ
ば、燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統の何れか一
方又は両方における前記複数の燃料電池本体の接続状態
を、接続切換手段により、高発電量運転時には並列に、
低発電量運転時には直列に切り換えて運転するため、低
発電量運転時には、燃料ガス又は酸化ガスが、直列に流
れて燃料電池本体に順次供給されるため、並列に供給す
る場合に比べて、全体のガス供給量は同じでも、各燃料
電池本体へのガス供給量を多くすることができる。この
ため、従来のように燃料ガス又は酸化ガスを過剰に流す
ことなく、燃料ガス又は酸化ガスによる排水能力の劣化
や、燃料電池本体内の作動圧力の低下を防止することが
可能となり、全ての発電量運転状態においてほぼ一定の
高いガス利用効率で発電することができる。また、ガス
利用効率の向上は消費資源の無駄を無くすことにもな
る。
【0088】また、第2発明の燃料電池発電システムの
運転方法又は第6発明の燃料電池発電システムによれ
ば、燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統の何れか一
方又は両方における前記複数の燃料電池本体の接続状態
を、接続切換手段により、高発電量運転時には並列に、
低発電量運転時には発電量の低下に応じて、並列と直列
の組み合わせ、直列に順次切り換えて運転するため、低
発電量運転時において次のような効果が得られる。
【0089】並列と直列の組み合わせにしたときには、
燃料電池本体の全部に並列に流れるのではなく、一部の
燃料電池本体で直列に流れるため、並列に流れる場合に
比べて、全体のガス供給量は同じでも、各燃料電池本体
へのガス供給量を多くすることができる。このため、従
来のように燃料ガス又は酸化ガスを過剰に流すことな
く、燃料ガス又は酸化ガスによる排水能力の劣化や、燃
料電池本体内の作動圧力の低下を防止することが可能と
なる。直列にしたときには、燃料ガス又は酸化ガスが、
直列に流れて複数の燃料電池本体に順次供給されるた
め、並列に供給する場合や並列と直列を組み合わせて供
給する場合に比べて、全体のガス供給量は同じでも、各
燃料電池本体へのガス供給量を多くすることができる。
このため、燃料ガス又は酸化ガスを過剰に流すことな
く、燃料ガス又は酸化ガスによる排水能力の劣化や、燃
料電池本体内の作動圧力の低下を防止することが可能と
なる。
【0090】従って、全ての発電量運転状態においてほ
ぼ一定の高いガス利用効率で発電することができる。ま
た、ガス利用効率の向上は消費資源の無駄を無くすこと
にもなる。しかも、燃料電池本体の接続状態を、並列か
ら直ぐに直列に切り換えるのではなく、並列、並列と直
列の組み合わせ、直列の順に段階的に切り換えていくた
め、ガス流量の低下に応じて切り換わることになり、接
続切り換え時の圧力損失の変動(増加)を低減できてコ
ンプレッサなどの燃料ガス供給装置や酸化ガス供給装置
における各機器への負担を低減することができるなど、
より円滑で高性能な運転を行うことができる。
【0091】また、第3発明の燃料電池発電システムの
運転方法又は第7発明の燃料電池発電システムによれ
ば、燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統において並
列に接続された前記複数の燃料電池本体に対し、高発電
量運転状態から低発電量運転状態への発電量の低下に応
じて燃料ガス及び酸化ガスの何れか一方又は両方の供給
流量が低下するのに応じて、接続遮断手段により燃料ガ
ス及び酸化ガスの何れか一方又は両方の供給を順次遮断
することによって、前記燃料電池本体の運転本数を順次
低減するようにしたため、低発電量運転時において燃料
電池本体に供給される燃料ガス及び酸化ガスの何れか一
方又は両方の流量低下を抑えることができるため、従来
のような燃料ガスや酸化ガスの供給流量低下に起因する
排水能力の低下や、燃料電池スタック内の作動圧力の低
下を防止することが可能となり、全ての発電量運転状態
において高いガス利用効率で発電することができる。ま
た、ガス利用効率の向上は消費資源の無駄を無くすこと
にもなる。
【0092】また、第4発明の燃料電池発電システムの
運転方法又は第8発明の燃料電池発電システムによれ
ば、低発電量運転時に遮断する燃料電池スタックを所定
の運転時間ごとに切り換えることにより、前記複数の燃
料電池スタックの運転時間を合わせるようにしたことに
より、特定の燃料電池スタックに負担が集中しないよう
にすることができるため、特定の燃料電池スタックだけ
が先に劣化してしまうことなどを防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る燃料電池発電シス
テムの構成図である。
【図2】低発電量運転時に並列運転から直列運転に切り
換えた場合と切り換えない場合の燃料ガス供給量の比較
を示すグラフである。
【図3】本発明の実施の形態2に係る燃料電池発電シス
テムの構成図である。
【図4】本発明の実施の形態3に係る燃料電池発電シス
テムの構成図である。
【図5】本発明の実施の形態4に係る燃料電池発電シス
テムの構成図である。
【図6】複数の燃料電池スタックを有する従来の燃料電
池発電システムの構成図である。
【図7】燃料電池発電システムにおける発電量(発電の
電流密度)と燃料ガスの供給量との関係を示すである。
【符号の説明】
11,12 燃料電池スタック 13 燃料ガス配管 13a 分岐部 13b 合流部 14 酸化ガス配管 14a 分岐部 14b 合流部 15 燃料ガス供給装置 16 酸化ガス供給装置 17 直列接続用の燃料ガス配管 18 直列接続用の酸化ガス配管 19A,19B,20A,20B 切換弁 21 接続切換制御装置 22 運転状態検出器 31,32,33 燃料電池スタック 34 燃料ガス配管 34a 分岐部 34b 合流部 35 酸化ガス配管 35a 分岐部 35b 合流部 36A〜36D,37A〜37D 切換弁 38,39 直列接続用の燃料ガス配管 40,41 直列接続用の酸化ガス配管 42 接続切換制御装置 43 運転状態検出器 44 燃料ガス供給装置 45 酸化ガス供給装置 51〜54 燃料電池スタック 55 燃料ガス配管 55a 分岐部 55b 合流部 56 酸化ガス配管 56a 分岐部 56b 合流部 57A〜57F,58A〜58F 切換弁 59,60,61 直列接続用の燃料ガス配管 62,63,64 直列接続用の酸化ガス配管 65 接続切換制御装置 66 運転状態検出器 67 燃料ガス供給装置 68 酸化ガス供給装置 71,72,73 燃料電池スタック 74 燃料ガス配管 74a 分岐部 74b 合流部 75 酸化ガス配管 75a 分岐部 75b 合流部 76A〜76F,77A〜77F 遮断弁 82 接続遮断制御装置 83 運転状態検出器 84 燃料ガス供給装置 85 酸化ガス供給装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸田 正樹 神奈川県相模原市田名3000番地 三菱重工 業株式会社汎用機・特車事業本部内 Fターム(参考) 5H026 AA06 CX05 5H027 AA00 KK52 MM01 MM26

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料ガス及び酸化ガスの供給によって発
    電する燃料電池本体を複数有する燃料電池発電システム
    の運転方法であって、 燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統の何れか一方又
    は両方における前記複数の燃料電池本体の接続状態を、
    接続切換手段により、高発電量運転時には並列に、低発
    電量運転時には直列に切り換えて運転することを特徴と
    する燃料電池発電システムの運転方法。
  2. 【請求項2】 燃料ガス及び酸化ガスの供給によって発
    電する燃料電池本体を複数有する燃料電池発電システム
    の運転方法であって、 燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統の何れか一方又
    は両方における前記複数の燃料電池本体の接続状態を、
    接続切換手段により、高発電量運転時には並列に、低発
    電量運転時には発電量の低下に応じて、並列と直列の組
    み合わせ、直列に順次切り換えて運転することを特徴と
    する燃料電池発電システムの運転方法。
  3. 【請求項3】 燃料ガス及び酸化ガスの供給によって発
    電する燃料電池本体を複数有する燃料電池発電システム
    の運転方法であって、 燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統において並列に
    接続された前記複数の燃料電池本体に対し、高発電量運
    転状態から低発電量運転状態への発電量の低下に応じて
    燃料ガス及び酸化ガスの何れか一方又は両方の供給流量
    が低下するのに応じて、接続遮断手段により燃料ガス及
    び酸化ガスの何れか一方又は両方の供給を順次遮断する
    ことによって、前記燃料電池本体の運転本数を順次低減
    することを特徴とする燃料電池発電システムの運転方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載する燃料電池発電システ
    ムの運転方法において、 低発電量運転時に遮断する燃料電池スタックを所定の運
    転時間ごとに切り換えることにより、前記複数の燃料電
    池スタックの運転時間を合わせるようにすることを特徴
    とする燃料電池発電システムの運転方法。
  5. 【請求項5】 燃料ガス及び酸化ガスの供給によって発
    電する燃料電池本体を複数有する燃料電池発電システム
    であって、 燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統の何れか一方又
    は両方における前記複数の燃料電池本体の接続状態を、
    接続切換手段により、高発電量運転時には並列に、低発
    電量運転時には直列に切り換えて運転するように構成し
    たことを特徴とする燃料電池発電システム。
  6. 【請求項6】 燃料ガス及び酸化ガスの供給によって発
    電する燃料電池本体を複数有する燃料電池発電システム
    であって、 燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統の何れか一方又
    は両方における前記複数の燃料電池本体の接続状態を、
    接続切換手段により、高発電量運転時には並列に、低発
    電量運転時には発電量の低下に応じて、並列と直列の組
    み合わせ、直列に順次切り換えて運転するように構成し
    たことを特徴とする燃料電池発電システム。
  7. 【請求項7】 燃料ガス及び酸化ガスの供給によって発
    電する燃料電池本体を複数有する燃料電池発電システム
    であって、 燃料ガス供給系統及び酸化ガス供給系統において並列に
    接続された前記複数の燃料電池本体に対し、高発電量運
    転状態から低発電量運転状態への発電量の低下に応じて
    燃料ガス及び酸化ガスの何れか一方又は両方の供給流量
    が低下するのに応じて、接続遮断手段により燃料ガス及
    び酸化ガスの何れか一方又は両方の供給を順次遮断する
    ことによって、前記燃料電池本体の運転本数を順次低減
    するように構成したことを特徴とする燃料電池発電シス
    テム。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載する燃料電池発電システ
    ムにおいて、 低発電量運転時に遮断する燃料電池スタックを所定の運
    転時間ごとに切り換えることにより、前記複数の燃料電
    池スタックの運転時間を合わせるように構成したことを
    特徴とする燃料電池発電システム。
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