JP5257516B2 - 燃料電池システム、及びその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システム、及びその制御方法に関する。更に詳細には、本発明は、余分な燃料を消費することなく、外部負荷に応じて、必要な電力を発電することが可能な燃料電池システム、及びその制御方法に関する。
従来、選択された効率で、かつ、動作温度範囲内で負荷に電力を供給するための燃料電池組立体であって、(a)複数の燃料電池サブスタックと、(b)未反応燃料導管とを含み、各燃料電池サブスタック内の各燃料電池は、酸化物供給源及び燃料供給源に連結され、未反応燃料導管は各サブスタック内の各燃料電池及び各バーナーに連結され、1個のサブスタックの燃料電池から排出される未反応燃料が未反応燃料導管を通じて流れることができ、サブスタックを加熱するために、1個または2個以上のサブスタック内のバーナーに導かれる状態を有する燃料電池組立体が提案されている(特許文献1参照。)。
特表2007−509470号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の燃料電池組立体にあっては、排出燃料をバーナーで燃焼させて、カソード領域を暖めており、排出燃料を発電に利用するものでは無いため、効率が悪化するという問題があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、余分な燃料を消費することなく、外部負荷に応じて、必要な電力を発電することが可能な燃料電池システム、及びその制御方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた。
その結果、複数の燃料電池の燃料極等を直列に接続する燃料ガス供給路を有する構成とすること等により、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の燃料電池システムは、(a)接続端子を介して電気的に直列及び/又は並列に接続可能な複数の燃料電池と、該複数の燃料電池の全部又は一部の燃料極を直列に接続する燃料ガス供給路及び該複数の燃料電池の全部又は一部の空気極を直列に接続する酸化剤ガス供給路を有する発電手段と、(b)上記接続端子と外部負荷の接続手段との電気的な接続状態を切り替える切替手段と、(c)上記燃料ガス供給路に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段及び上記酸化剤ガス供給路に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、(d)上記外部負荷の負荷を検知する負荷検知手段と、(e)予め取得してある燃料電池接続数に対応する発電手段全体での発電出力曲線と燃料電池からの放熱量の熱バランスを維持し得る運転領域との関係から、上記負荷検知手段からの入力に応じて、運転点が上記運転領域の中となる電圧値ならびに燃料電池接続数を選択して上記切替手段、上記燃料ガス供給手段及び上記酸化剤ガス供給手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、余分な燃料を消費することなく、外部負荷に応じて、必要な電力を発電することが可能な燃料電池システムを提供するができる。
本実施形態に係る燃料電池システムの一例(第1の実施形態)を概略的に示す説明図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの一例における燃料電池の電流(I)−電圧(V)特性及び電流(I)−発電出力(P)特性を示すグラフである。 本実施形態に係る燃料電池システムの一例における燃料電池接続数、燃料電池電圧(端子間電圧)、及びグロス発電出力の関係マップを示す図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの一例における燃料電池接続数、燃料電池電圧、及びグロス発電効率の関係マップを示す平面図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの一例における燃料電池接続数、燃料電池電圧、及びグロス発電効率の関係マップを示す立体図(である 本実施形態に係る燃料電池システムの一例における燃料電池接続数、燃料電池電圧、及び全燃料電池からの放熱量の関係マップを示す図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの一例における燃料電池接続数、燃料電池電圧、及びグロス発電出力の関係マップである。 本実施形態に係る燃料電池システムの一例における燃料電池接続数、燃料電池電圧、及びグロス発電効率の関係マップである。 本実施形態に係る燃料電池システムの一例における燃料電池接続数、燃料電池電圧、及び全燃料電池からの放熱量の関係マップ示す説明図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの一例における燃料電池接続数、燃料電池電圧、及びグロス発電出力の関係マップである。尚、図6Aとは別の観点から本実施形態の燃料電池システムを考察しているものである。 本実施形態に係る燃料電池システムの一例における燃料電池接続数、燃料電池電圧、及びグロス発電効率の関係マップである。尚、図6Bとは別の観点から本実施形態の燃料電池システムを考察しているものである。 本実施形態に係る燃料電池システムの一例における燃料電池接続数、燃料電池電圧、及び全燃料電池からの放熱量の関係マップ示す説明図である。尚、図6Cとは別の観点から本実施形態の燃料電池システムを考察しているものである。 本実施形態に係る燃料電池システムの動作を示すフローチャートである。 本実施形態に係る燃料電池システムの他の例(第2の実施形態)を概略的に示す説明図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの他の例における燃料電池接続数、燃料電池電圧(端子間電圧)、及びグロス発電出力の関係マップを示す図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの他の例における燃料電池接続数、燃料電池電圧、及びグロス発電効率の関係マップを示す図である。 本実施形態に係る燃料電池システムの他の例における燃料電池接続数、燃料電池電圧、及び全燃料電池からの放熱量の関係マップを示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムについて詳細に説明する。
本実施形態の燃料電池システムは、発電手段と、切替手段と、燃料ガス供給手段と、酸化剤ガス供給手段と、負荷検知手段と、制御手段とを備えたものである。
そして、前記発電手段は、複数の燃料電池と、複数の燃料電池の全部又は一部の燃料極を直列に接続する燃料ガス供給路及び複数の燃料電池の全部又は一部の空気極を直列に接続する酸化剤ガス供給路を有する。また、これら複数の燃料電池は、接続端子を介して電気的に直列及び並列のいずれか一方又は双方に接続可能なものである。
また、前記切替手段は、接続端子と外部負荷の接続手段との電気的な接続状態を切り替えるものである。
更に、前記燃料ガス供給手段は、燃料ガス供給路に燃料ガスを供給するものであり、更に前記酸化剤ガス供給手段は、酸化剤ガス供給路に酸化剤ガスを供給するものである。
また、前記負荷検知手段は、外部負荷の負荷を検知するものである。
更に又、前記制御手段は、予め取得してある燃料電池接続数に対応する全体発電出力曲線と運転温度領域との関係から、負荷検知手段からの入力に応じて、切替手段、燃料ガス供給手段、酸化剤ガス供給手段を制御するものである。
このような燃料電池システムは、余分な燃料を消費することなく高効率な待機が可能になるため、外部負荷に応じて、必要な電力を発電することが可能になる。
つまり、複数の燃料電池の少なくとも一部の燃料極を直列に接続する燃料ガス供給路及び複数の燃料電池の少なくとも一部の空気極を直列に接続する酸化剤ガス供給路を有する構成とすることにより、上流側の燃料電池から下流側の燃料電池に高温ガスが流れることとなる。
例えば、下流側の燃料電池の接続端子と外部負荷の接続手段との電気的な接続状態を、切替手段によって切断し、下流側の燃料電池の発電を停止させる場合を考える。
このとき、下流側の燃料電池の温度は、上流側の燃料電池の出口温度に漸近する。
実際には、放熱による温度低下が生じるため、同じ温度にはならないが、燃料電池や燃料ガス供給路、酸化剤ガス供給路などの配設状態を適宜設定することによって、温度低下を抑制することができ、切替手段により再接続したときに発電に問題のないレベルとなる。
そして、このように下流側の燃料電池が発電を停止した状態で、燃料ガス供給路に燃料ガスを存在させ、且つ酸化剤ガス供給路に酸化剤ガスを存在させると、この燃料電池を待機状態、すなわち開回路(OCV)状態に保持することができる。
これにより、高温状態である燃料電池において、燃料極が酸化されることや空気極が還元されることを回避できる。なお、このような下流側の燃料電池は発電していないため、下流側の燃料電池内において、燃料ガスや酸化剤ガスが減少することはない。
なお、燃料電池とは、単独で発電可能な単位燃料電池セルを1つ以上組み合わせたものであり、燃料電池単セルのみならず、燃料電池スタックをも含む意味に解釈されなければならない。
したがって、燃料電池においては、単位燃料電池セルが直列に組み合わさった場合、燃料電池の各単位燃料電池セルに流れる電流は一定になる。また、燃料電池においては、単位燃料電池セルが並列に組み合わさった場合、燃料電池の各単位燃料電池セルの端子間電圧は一定になる。
また、本実施形態の燃料電池システムにおいては、燃料ガス供給路及び酸化剤ガス供給路のいずれもが循環路を有することが望ましい。
このような燃料電池システムは、余分な燃料を消費することなく高効率な待機が可能になるため、外部負荷に応じて、必要な電力を発電することが可能になるだけでなく、最上流の燃料電池を常に発電状態にする必要がなくなる。したがって、いずれかの燃料電池を発電状態にしておけば、循環路でつながれた他の燃料電池を待機状態にすることができ、例えば、燃料電池の劣化などの状況に応じて、燃料電池を選択することができる。更に、ガス加熱のための燃焼器や熱交換器などを取り去り小型化することが可能になるという利点もある。
更に、本実施形態の燃料電池システムにおいては、複数の燃料電池と燃料ガス供給路及び酸化剤ガス供給路とが断熱手段の内部に配設されているが望ましい。
このような燃料電池システムは、余分な燃料を消費することなく高効率な待機が可能になるため、外部負荷に応じて、必要な電力を発電することが可能になるだけでなく、発電状態や待機状態にある各燃料電池の温度を一定に保つことができる。特に、全燃料電池が一括に断熱手段の内部に配設されることによって、各燃料電池の性能や劣化のばらつきをより抑制することができる。
また、本実施形態の燃料電池システムにおいては、制御手段が、外部からの発電出力要求入力又は熱要求入力に応じて、切替手段に更に出力するものであることが望ましい。
このような燃料電池システムは、余分な燃料を消費することなく高効率な待機が可能になるため、外部負荷に応じて、必要な電力を発電することが可能になるだけでなく、外部からの発電出力要求入力や熱要求入力に応じて、最適なシステムの運転状態を選択することができる。
更に、本実施形態の燃料電池システムにおいては、制御手段が、外部からの発電出力要求入力又は熱要求入力に応じて、切替手段に出力するに当たり、燃料電池の接続数毎の運転マップに基づいて燃料電池の接続数を制御するものであることが望ましい。
このような燃料電池システムは、余分な燃料を消費することなく高効率な待機が可能になるため、外部負荷に応じて、必要な電力を発電することが可能になる。更に、システムの運転状態の変更時における過渡変動に影響されない制御目標を持つことが可能になり、システムの運転状態の変更を円滑に行うことができる。
また、本実施形態の燃料電池システムにおいては、例えば、制御手段が、外部からの低発電出力要求入力に応じて、切替手段に出力するに当たり、燃料電池の接続数毎の運転マップに基づいて燃料電池の接続数を削減するものであることが望ましい。
ここで、「低発電出力要求」とは、かかる発電出力要求に応じて各燃料電池が発電しつづけたときに、燃料電池システムの熱バランスが発電可能な温度を維持できないような発電出力の要求をいう。
このような燃料電池システムは、余分な燃料を消費することなく高効率な待機が可能になるため、外部負荷に応じて、必要な電力を発電することが可能になる。更に、システムの運転状態の変更時における過渡変動に影響されない制御目標を持つことが可能になり、システムの運転状態の変更を円滑に行うことができる。更にまた、発電に直接寄与しない燃料燃焼を抑制して、発電量と放熱量とを合わせた全体としての効率を向上させることができる。
つまり、低出力時は、基本的には発電効率が向上する。そして、燃料電池の数が多くなるほど、発電効率は向上する。これに伴い、燃料電池からの放熱量は低下する。したがって、発電出力要求がある一定値以下となった場合、燃料電池からの放熱量が、システムの熱バランスを維持するための熱量を下回る可能性が生じる。このような場合でも、燃料電池の接続数を削減し、燃料電池からの放熱量を増加させることによって、燃料を燃焼器などで燃焼させることなどを回避することができる。
更に、本実施形態の燃料電池システムにおいては、例えば、制御手段が、外部からの高熱要求入力に応じて、切替手段に出力するに当たり、燃料電池の接続数毎の運転マップに基づいて燃料電池の接続数を削減するものであることが望ましい。
ここで、「高熱要求」とは、発電手段の燃料電池や燃料ガス供給手段、酸化剤ガス供給手段などから、自然に放熱される放熱量を超える放熱量の要求をいう。
このような燃料電池システムは、余分な燃料を消費することなく高効率な待機が可能になるため、外部負荷に応じて、必要な電力を発電することが可能になる。更に、システムの運転状態の変更時における過渡変動に影響されない制御目標を持つことが可能になり、システムの運転状態の変更を円滑に行うことができる。更にまた、外部からの熱要求が多い状況下において、発電量と放熱量とを合わせた全体としての効率を向上させることが可能となる。
(第1の実施形態)
ここで、本実施形態に係る燃料電池システムの一例について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の燃料電池システムの一例を概略的に示す説明図である。同図に示すように、この燃料電池システムは、発電手段10と、切替手段20と、燃料ガス供給手段31及び酸化剤ガス供給手段32と、負荷検知手段40と、制御手段50とを備えたものである。
そして、前記発電手段10は、5つの固体酸化物形燃料電池11A〜11Eと、5つの固体酸化物形燃料電池の全部の燃料極12A〜12Eを直列に接続する燃料ガス供給路13及び5つの固体酸化物形燃料電池11A〜11Eの全部の空気極14A〜14Eを直列に接続する酸化剤ガス供給路15とを有している。
なお、本例において、燃料ガス供給路13及び酸化剤ガス供給路15は、それぞれ循環路16、17を有している。
また、本例において、固体酸化物形燃料電池11A〜11E、燃料ガス供給路13及び酸化剤ガス供給路15、更に循環路16、17は、断熱材からなる断熱手段60の内部に配設されている。
更に、本例において、これら5つの固体酸化物形燃料電池11A〜11Eは、図示しない単位燃料電池セルを直列に接続した、いわゆる燃料電池スタックを適用している。
図1より知れる様に、これら固体酸化物形燃料電池11A〜11Eは、接続端子18A〜18E、19A〜19Eを介して電気的に並列に接続可能なものとなっている。
また、前記切替手段20は、接続端子18A〜18E、19A〜19Eと例えば外部負荷(モーター)100の接続手段110との電気的な接続状態を切り替えるものであり、本例においては、いわゆるスイッチを適用している。なお、接続手段110は、図示しないインバータを備えた回路を適用している。
更に、前記燃料ガス供給手段31は、燃料ガス供給路13に燃料ガスを供給するものであり、本例においては、燃料ポンプ31A、31B及び流量調整器31Cにより構成されている。また、前記酸化剤ガス供給手段32は、酸化剤ガス供給路15に酸化剤ガスを供給するものであり、本例においては、空気ブロワ32A及び流量調整器32Bにより構成されている。
また、前記負荷検知手段40は、外部負荷(モーター)100の負荷を検知するものであり、本例においては、アクセル開度センサを適用している。
更に、前記制御手段50は、負荷検知手段40からの入力に応じて、切替手段20、燃料ガス供給手段31、酸化剤ガス供給手段32に出力するものである。なお、該制御手段50は、後述する燃料電池接続数、端子間電圧(又は電流密度)に対する発電出力、発電効率及び放熱量の関係マップのデータやこれらから予め設定される値を格納し、入力に応じて出力する制御装置を適用することができる。
また、本例の燃料電池システムにおいては、燃料ガス供給路13の上流に燃料改質器70を備えている。該燃料改質器70は、空気ブロワ71により供給される空気と、燃料ポンプ31A、31B及び流量調整器31Cにより供給される燃料や水とから改質燃料を生成することができる。
本例において、各燃料電池は、図2に示すような電流(I)−電圧(V)特性及び電流(I)−発電出力(P)特性を示す。
同図に示すように、各燃料電池は、電流値が高くなると、電圧値が低くなる。また、各燃料電池は、電流値がある値であるときに、最大発電出力値を示す。
ここで、本例の燃料電池接続数、燃料電池電圧(端子間電圧)及びグロス発電出力(補器類などの消費電力を加味しない出力)の関係マップを図3に示す。
同図に示すように、燃料電池の接続数が少ないほどグロス発電出力が低くなり、燃料電池の接続数が多いほどグロス発電出力が高くなる。また、同じ接続数で見た場合、グロス発電出力は、燃料電池の電圧(本例では並列接続であるため燃料電池システムの電圧に相当)に対してピークを持っている。ピークより電圧が高いほど、グロス発電出力が低くなり、ピークより電圧を低くすると、グロス発電出力も低くなる。
また、図4A, 図4Bは、本例の燃料電池接続数、燃料電池電圧、及びグロス発電効率(補器類などの消費電力を加味しない効率)の関係マップを示す平面図及び立体図である。
同図に示すように、燃料電池の接続数にかかわらず、電圧が高いほど、グロス発電効率が高くなる。
更に、本例の燃料電池接続数、燃料電池電圧(端子間電圧)及び全燃料電池からの放熱量の関係マップを図5に示す。
同図に示すように、燃料電池の接続数が少ないほど放熱量が低くなり、燃料電池の接続数が多いほど放熱量が高くなる。また、燃料電池の電圧(並列接続であるため燃料電池システムの電圧に相当)が高いほど、放熱量が低くなり、燃料電池の電圧が低くなるにつれて、放熱量が高くなる。
ここで、本例の燃料電池システムにおいて、外部からあるグロス発電出力要求入力(例えば、図6Aの太線上の値)があった場合、燃料電池の接続数及び燃料電池の電圧を制御することにより、図6Bの太線上のグロス発電効率及び図6Cの太線上の放熱量を達成することができる。
但し、低発電出力要求入力のときは、基本的にグロス発電効率が向上する。特に、燃料電池の接続数が多くなるほど、グロス発電効率が向上する。これに伴い、燃料電池からの放熱量が低下する。
図6A, 図6B及び図6Cにおける斜線部は、燃料電池からの放熱量が、燃料電池システムの熱バランスを維持する熱量を下回る領域を示している。この領域においては、従来の燃料電池システムにおいては、追加燃料を燃焼器で燃焼させることを要し、全体としての効率が悪化していた。
一方、本例の燃料電池システムにおいては、例えば燃料電池の接続数を削減して太線上のA点ではなく、B点で運転することにより、グロス発電出力要求を満足したまま、放熱量を向上させることができる。
このように、本例の燃料電池システムにおいては、余分な燃料を消費することなく高効率な待機が可能になるため、外部負荷に応じて、必要な電力を発電することが可能になる。また、システムの運転状態の変更時における過渡変動に影響されない制御目標を持つことが可能になり、システムの運転状態の変更を円滑に行うことができる。更に、発電に直接寄与しない燃料燃焼を抑制して、発電量と放熱量とを合わせた全体としての効率を向上させることができる。
また、本例の燃料電池システムにおいて、外部からあるグロス発電出力要求入力(例えば、図7Aの太線上の値)があった場合、燃料電池の接続数及び燃料電池の電圧を制御することにより、図7Bの太線上のグロス発電効率及び図7Cの太線上の放熱量を達成することができる。
低熱要求入力のときは、燃料電池の接続数を増やして、システムを運転することにより、グロス発電効率を高くすることができる(例えば、A点で運転する場合。)。
一方、高熱要求入力のときは、例えば燃料電池の接続数を削減して太線上のA点ではなく、B点で運転することにより、グロス発電出力要求を満足したまま、放熱量を向上させることができる。
このように、本例の燃料電池システムにおいては、余分な燃料を消費することなく高効率な待機が可能になるため、外部負荷に応じて、必要な電力を発電することが可能になる。また、システムの運転状態の変更時における過渡変動に影響されない制御目標を持つことが可能になり、システムの運転状態の変更を円滑に行うことができる。更に、発電に直接寄与しない燃料燃焼を抑制して、発電量と放熱量とを合わせた全体としての効率を向上させることができる。
本例の燃料電池システムの動作について図8を参照して説明する。図8は、燃料電池システムの動作を示すフローチャートである。
ステップ1(図中、「S1」と略記する。以下同様。)は、外部から制御手段に発電出力要求入力又は熱要求入力により出力変更指令が入力されると、ステップ2に進む。
ステップ2は、燃料電池の運転マップ図3〜図5を参照し、運転点、すなわち燃料電池接続数を計算し、選定する。このとき、図6A, 図6B, 図6Cにおける斜線部での運転点を避けて運転点を設定することができ、ステップ3に進む。以上の制御は、図6A, 図6B, 図6Cや図7A, 図7B, 図7Cの点Aや点Bなどの運転点を選ぶことに相当する。
ステップ3は、設定された運転点を実現するように、スイッチを切り替えて燃料電池接続数を制御し、又、燃料ガス供給手段及び酸化剤ガス供給手段を制御して燃料ガス流量及び空気流量を制御する。このように運転制御をして、定常運転に移行する。
なお、燃料電池の接続数は図3〜図5の運転マップの横軸の値を用いることができる。また、燃料ガス流量及び空気流量は、図3の燃料電池接続数、燃料電池電圧、及びグロス発電出力の関係マップ、及び図4A, 図4Bの燃料電池接続数、燃料電池電圧、及びグロス発電効率の関係マップに応じて、予め設定された値を用いることができる。
(第2の実施形態)
次に、本実施形態に係る燃料電池システムの他の例について図面を参照しながら詳細に説明する。
図9は、本実施形態の燃料電池システムの他の例を概略的に示す説明図である。同図に示すように、この燃料電池システムは、発電手段10と、切替手段20と、燃料ガス供給手段31と、酸化剤ガス供給手段32と、負荷検知手段40と、制御手段50とを備えたものである。
そして、この発電手段10は、5つの固体酸化物形燃料電池11A〜11Eと、5つの固体酸化物形燃料電池の全部の燃料極12A〜12Eを直列に接続する燃料ガス供給路13及び5つの固体酸化物形燃料電池11A〜11Eの全部の空気極14A〜14Eを直列に接続する酸化剤ガス供給路15とを有している。
なお、本例において、燃料ガス供給路13及び酸化剤ガス供給路15は、それぞれ循環路16、17を有している。
また、本例において、固体酸化物形燃料電池11A〜11E、燃料ガス供給路13、酸化剤ガス通路15、更に循環路16、17は、断熱材からなる断熱手段60の内部に配設されている。
更に、本例において、これら5つの固体酸化物形燃料電池11A〜11Eは、図示しない単位燃料電池セルを直列に接続した、いわゆる燃料電池スタックを適用している。
図9より知れる様に、これら固体酸化物形燃料電池11A〜11Eは、接続端子18A〜18E、19A〜19Eを介して電気的に直列に接続可能なものとなっている。
また、前記切替手段20は、接続端子18A〜18E、19A〜19Eと例えば外部負荷(モーター)100の接続手段110との電気的な接続状態を切り替えるものであり、本例においては、いわゆるスイッチを適用している。なお、接続手段110は、図示しないインバータを備えた回路を適用している。
更に、前記燃料ガス供給手段31は、燃料ガス供給路13に燃料ガスを供給するものであり、本例においては、燃料ポンプ31A、31B及び流量調整器31Cにより構成されている。また、前記酸化剤ガス供給手段32は、酸化剤ガス供給路15に酸化剤ガスを供給するものであり、本例においては、空気ブロワ32A及び流量調整器32Bにより構成されている。
また、前記負荷検知手段40は、外部負荷(モーター)100の負荷を検知するものであり、本例においては、アクセル開度センサを適用している。
更に、前記制御手段50は、負荷検知手段40からの入力に応じて、切替手段20、燃料ガス供給手段31、酸化剤ガス供給手段32に出力するものである。なお、該制御手段50は、後述する燃料電池接続数、燃料電池電圧(端子間電圧)に対するグロス発電出力、グロス発電効率及び放熱量の関係マップのデータやこれらから予め設定される値を格納し、入力に応じて出力する制御装置を適用することができる。
また、本例の燃料電池システムにおいては、燃料ガス供給路13の上流に燃料改質器70を備えている。該燃料改質器70は、空気ブロワ71により供給される空気と、燃料ポンプ31A、31B及び流量調整器31Cにより供給される燃料や水とから改質燃料を生成することができる。
ここで、本例の燃料電池接続数、燃料電池電圧及びグロス発電出力(補器類などの消費電力を加味しない出力)の関係を示すマップを図10に示す。
同図に示すように、燃料電池の接続数が少ないほどグロス発電出力が低くなり、燃料電池の接続数が多いほどグロス発電出力が高くなる。また、同じ接続数で見た場合、グロス発電出力は、燃料電池電圧に対してピークを持っている。ピークより燃料電池電圧が高いほど、グロス発電出力が低くなり、ピークより燃料電池電圧を低くすると、グロス発電出力も低くなる。
また、本例の燃料電池接続数、燃料電池電圧及びグロス発電効率(補器類などの消費電力を加味しない効率)の関係を示すマップを図11に示す。
同図に示すように、燃料電池の接続数が多いほどグロス発電効率が高くなり、燃料電池電圧が高いほどグロス発電効率が高くなる。
更に、本例の燃料電池接続数、燃料電池電圧及び全燃料電池からの放熱量の関係を示すマップを図12に示す。
同図に示すように、燃料電池の接続数が少ないほど放熱量が高くなり、燃料電池の接続数が多いほど放熱量が低くなる。また、燃料電池電圧が低いほど放熱量が高くなり、燃料電池電圧が高くなるにつれて、放熱量が低くなる。
本例の燃料電池システムの動作についても、上述した第1の実施形態と同様の運転制御をすることができる。
すなわち、ステップ1は、外部から制御手段に発電出力要求入力又は熱要求入力により出力変更指令が入力されると、ステップ2に進む。
ステップ2は、燃料電池の運転マップ図10〜図12を参照し、運転点、すなわち燃料電池接続数を計算し、選定して、ステップ3に進む。以上の選定は、図6A,図6B,図6Cや図7A,図7B,図7Cの点Aや点Bなどの運転点を選ぶことに相当する。
ステップ3は、設定された運転点を実現するように、スイッチを切り替えて燃料電池接続数を制御し、又、燃料ガス供給手段及び酸化剤ガス供給手段を制御して燃料ガス流量及び空気流量を制御する。このように運転制御をして、定常運転に移行する。
なお、燃料電池の接続数は図10〜図12の運転マップの横軸の値を用いることができる。また、燃料ガス流量及び空気流量は、図10の燃料電池接続数、燃料電池電圧及びグロス発電出力の関係マップ、及び図11の燃料電池接続数、燃料電池電圧及びグロス発電効率の関係マップに応じて、予め設定された値を用いることができる。
以上、本発明を二つの実施形態により説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
上述の実施形態においては、燃料電池が並列で接続可能な場合(第1の実施形態)及び燃料電池が直列で接続可能な場合(第2の実施形態)のみを説明したが、燃料電池が並列及び直列の組み合わせで接続可能な場合についても、本発明を適用できることは言うまでもない。
例えば、第1の実施形態の各燃料電池をそれぞれ第2の実施形態の5つ燃料電池に置き換えることも可能であり、また、第2の実施形態の各燃料電池をそれぞれ第1の実施形態の5つの燃料電池に置き換えることも可能である。
10 発電手段
11A、11B、11C、11D、11E 固体酸化物形燃料電池
12A、12B、12C、12D、12E 燃料極
13 燃料ガス供給路
14A、14B、14C、14D、14E 空気極
15 酸化剤ガス供給路
16、17 循環路
18A、18B、18C、18D、18E、19A、19B、19C、19D、19E 接続端子
20 切替手段
31 燃料ガス供給手段
31A、31B 燃料ポンプ
31C、32B 流量調整器
32 酸化剤ガス供給手段
32A、71 空気ブロワ
40 負荷検知手段(アクセル開度センサ)
50 制御手段
60 断熱手段(断熱材)
70 燃料改質器
100 外部負荷(モーター)
110 接続手段

Claims (5)

  1. 接続端子を介して電気的に直列及び/又は並列に接続可能な複数の燃料電池と、該複数の燃料電池の全部又は一部の燃料極を直列に接続する燃料ガス供給路及び該複数の燃料電池の全部又は一部の空気極を直列に接続する酸化剤ガス供給路を有する発電手段と、
    上記接続端子と外部負荷の接続手段との電気的な接続状態を切り替える切替手段と、
    上記燃料ガス供給路に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段及び上記酸化剤ガス供給路に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、
    上記外部負荷の負荷を検知する負荷検知手段と、
    予め取得してある燃料電池接続数に対応する発電手段全体での発電出力曲線と燃料電池からの放熱量の熱バランスを維持し得る運転領域との関係から、上記負荷検知手段からの入力に応じて、運転点が上記運転領域の中となる電圧値ならびに燃料電池接続数を選択して上記切替手段、上記燃料ガス供給手段及び上記酸化剤ガス供給手段を制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 上記燃料ガス供給路及び上記酸化剤ガス供給路の少なくとも一方が、循環路を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 上記複数の燃料電池と上記燃料ガス供給路及び上記酸化剤ガス供給路とが、断熱手段の内部に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。
  4. 上記制御手段が、外部からの発電出力要求入力又は熱要求入力に応じて、上記切替手段を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の燃料電池システム。
  5. 接続端子を介して電気的に直列及び/又は並列に接続可能な複数の燃料電池と、該複数の燃料電池の全部又は一部の燃料極を直列に接続する燃料ガス供給路及び該複数の燃料電池の全部又は一部の空気極を直列に接続する酸化剤ガス供給路を有する発電手段と、
    上記接続端子と外部負荷の接続手段との電気的な接続状態を切り替える切替手段と、
    上記燃料ガス供給路に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段及び上記酸化剤ガス供給路に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、
    上記外部負荷の負荷を検知する負荷検知手段と、
    を備えてなる燃料電池システムにおいて、
    予め取得してある燃料電池接続数に対応する発電手段全体での発電出力曲線と燃料電池からの放熱量の熱バランスを維持し得る運転領域との関係から、上記負荷検知手段からの入力に応じて、運転点が上記運転領域の中となる電圧値ならびに燃料電池接続数を選択して上記切替手段、上記燃料ガス供給手段及び上記酸化剤ガス供給手段を制御する、ことを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
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