JP2007018816A - 燃料電池の排出ガス処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 燃料電池のアノードから排出された水素を希釈用ガスで希釈して外部に排出する希釈器40A(燃料電池の排出ガス処理装置)であって、アノードから排出された水素が流れる排出水素流路を分岐すると共に、各下流側がカソードオフガス流路に接続した希釈流路W1、W2と、希釈流路W1、W2にそれぞれ設けられ、流量を設定する圧損体42A、42A(流量設定手段)と、を備え、圧損体42A、42Aの下流側の流量は等しくなるように設定されており、各圧損体42Aとカソードオフガス流路との間の希釈流路W1、W2の流路容積は異なる。
【選択図】 図2
Description
そこで、本発明は、燃料電池から排出された水素の濃度を低くして、外部に排出する燃料電池の排出ガス処理装置を提供することを課題とする。
このように水素導入手段によって、アノードから排出された水素を複数に分けて、希釈用ガスが流通する希釈用ガスに導入されるため、アノードから排出された水素を分けずにそのまま希釈用ガスに導入した場合よりも、水素を効率的に希釈して、水素濃度を低下させることができる。
また、分けた水素を希釈用ガス流路に導入するタイミングは、水素を良好に希釈するために、できるだけ時間差を設定することが好ましい。
(1)このような各流量設定手段の下流側の流量が等しいことと、(2)各流量設定手段と希釈用ガス流路との間の各希釈流路の流路容積は異なること、とによって、複数に分けられた水素が、希釈用ガス流路に到達する時間に差が発生する。したがって、分けられた水素が順次に希釈用ガス流路に導入されることになり、希釈用ガスによって希釈され、その水素濃度は低くなる。
(1)このような各流量設定手段の下流側の流量が異なることと、(2)各流量設定手段と希釈用ガス流路との間の各希釈流路の流路容積は等しいこと、とによって、複数に分けられた水素が、希釈用ガス流路との接続点に到達する時間に差が発生する。したがって、分けられた水素が順次に希釈用ガス流路に導入されることになり、希釈用ガスによって希釈されて、その水素濃度は低くなる。
以下、本発明の第1実施形態について、図1から図3を参照して説明する。参照する図面において、図1は、第1実施形態に係る燃料電池システムの構成を示す図である。図2は、第1実施形態に係る希釈器の構成図である。図3は、第1実施形態に係る希釈器の作用・効果を示すグラフである。
図1に示すように、本実施形態に係る燃料電池システムSは、燃料電池自動車に搭載されたシステムであり、燃料電池自動車は燃料電池10の発電電力によって走行用の電動モータ(走行モータ)を回転させて走行するようになっている。
燃料電池システムSは、燃料電池10と、燃料電池10のアノード12に水素(燃料ガス、反応ガス)を供給・排出するアノード系20と、燃料電池10のカソード13に空気(酸化剤ガス、反応ガス)を供給・排出するカソード系30と、アノード系20およびカソード系30の下流位置でアノード系20から排出される水素を希釈する希釈器40A(燃料電池の排出ガス処理装置)と、これらを制御するECU50(Electronic Control Unit、制御装置)と、を主に備えている。
燃料電池10(燃料電池スタック)は、主として、一価の陽イオン交換型の電解質膜11の両面を触媒(Ptなど)が担持されたアノード12(燃料極)およびカソード13(空気極)で挟持してなる膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly、膜電極複合体)と、MEAを挟持するセパレータとからなる単セルが、複数積層されることで構成された固体高分子電解質型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell、PEFC)である。そして、アノード12に水素が、カソード13に加湿空気がそれぞれ供給されると、前記MEAにおいて電位差が発生し、燃料電池10の出力端子に接続した走行モータなど外部負荷からの電力要求に応じて、燃料電池10が発電するようになっている。また、各単セルには、その出力電圧(以下、セル電圧)を検知するセル電圧検知モニタ(図示しない)が接続されている。セル電圧検知モニタは、ECU50と電気的に接続しており、ECU50は各単セルのセル電圧を検知するようになっている。
アノード系20の水素供給側は、下流側(燃料電池10側)に向かって、水素が貯蔵された水素タンク21と、遮断弁22と、エゼクタ23とを主に備えている。水素タンク21は配管21aを介して遮断弁22に接続している。遮断弁22は、後記するECU50と電気的に接続しており、ECU50は遮断弁22を適宜に開/閉するようになっている。また、遮断弁22は配管22aを介してエゼクタ23に接続しており、エゼクタ23は配管23aを介して燃料電池10のアノード12に接続している。さらに、配管22aには減圧弁(図示しない)が設けられている。したがって、ECU50が遮断弁22を開くと、水素タンク21から、減圧弁によって水素が所定圧力に減圧された後、燃料電池10のアノード12に供給されるようになっている。
アノード系20の水素排出側は、水素パージ弁24を主に備えている。水素パージ弁24は、配管24aを介して、燃料電池10のアノード12の下流側に接続しており、燃料電池10のアノード12から排出された未反応の水素を含むアノードオフガスが、配管24aを水素パージ弁24に向かって流れるようになっている。配管24aの途中位置は、配管24bを介して、エゼクタ23に接続している。水素パージ弁24は、配管24cを介して、希釈器40Aに接続している。
なお、第1実施形態では、配管24a、24c内が、特許請求の範囲における「アノードから排出された水素が流れる排出水素流路」となっている。
さらに説明すると、燃料電池10を構成するいずれかの単セルのセル電圧が低いことにより、アノードオフガス中の水分量(つまり、アノード12内の水分量)が高いと推定される場合(水素パージ時)、ECU50は水素パージ弁24を開き、この水分量の高いアノードオフガスが配管24cを介して希釈器40Aに送られるようになっている。なお、水素パージ時に、希釈器40Aに送られるアノードオフガスには、水素、水分の他、窒素なども含まれている。
一方、各単セルのセル電圧が良好な値であることにより、アノードオフガス中の水分量が低いと推定される場合(水素循環時)、ECU50は水素パージ弁24を閉じ、未反応の水素を含むアノードオフガスがエゼクタ23に戻され、水素が循環し、水素が効率的に利用されるようになっている。
ただし、水素パージの方式は、このようにセル電圧に基づく方式に限定されず、その他に例えば、所定時間で間欠的に水素パージ弁24を開く方式であってもよい。
カソード系30の空気供給側は、コンプレッサ31(ポンプ、スーパーチャージャ)と、加湿器32とを主に備えている。
コンプレッサ31は、外気を取り込んで圧縮し、酸化剤ガスとして、カソード13に向けて送る機器であり、配管31aを介して加湿器32に接続している。また、コンプレッサ31は、ECU50と電気的に接続している。さらに、コンプレッサ31は、燃料電池10と、燃料電池10とは別に搭載された蓄電器(キャパシタ、二次電池など)と接続しており、燃料電池10が発電していない場合や、燃料電池10の発電量が少ない場合は、蓄電器から電力が供給されて作動するようになっている。
カソード系30の空気排出側について説明すると、燃料電池10のカソード13は、配管32cを介して加湿器32に接続しており、カソード13から排出された水分量の高いカソードオフガスが加湿器32に送られるようになっている。そして、加湿器32は配管32dを介して希釈器40Aを経由し、配管32dの下流端は外気中に開放している。これにより、加湿器32における水分交換により、その水分量が若干低下したカソードオフガスが、配管32dを介して希釈器40Aを経由して、外気中に排出されるようになっている。
また、配管32cには、背圧弁(図示しない)が設けられており、その背圧を調整することで、燃料電池10におけるアノード12側の水素の圧力と、カソード13側の空気の圧力とをバランスさせるようになっている。
希釈器40Aは、アノードオフガスの量(体積)を二つに分けて、カソードオフガスが流通する配管32d内のカソードオフガス流路に、時間差を設けて導入する機器である。希釈器40Aは、図2に示すように、希釈配管41A(水素導入手段)と、圧損体42A、42A(流量設定手段、圧力設定手段、水素導入手段)と、逆止弁43、43(逆流防止手段)と、カソードオフガス(希釈用ガス)が流通するカソードオフガス(希釈用ガス)流路を有する配管32d(希釈用ガス流通配管)の一部を主に備えている。
希釈配管41Aは、アノードオフガスが流通する配管24cの下流端と、カソードオフガスが流通する配管32dの途中の接続点J1とを接続している。さらに説明すると、希釈配管41Aは、下流側に向かって、分岐点T1で二股に分岐した後、合流点C1で合流し、接続点J1で配管32dに接続している。そして、希釈配管41A内が、それぞれ希釈流路W1、W2となっている。すなわち、希釈配管41Aは二股に分岐しているため、希釈器40Aは2本の希釈流路W1、W2を有していることになる。
そして、分岐点T1と合流点C1との間における希釈流路W1、W2の流路長は等しくなるように設定されている。
ここで、分かり易くするため、図2に示す左側の希釈流路W1を通るルートを左ルート、右側の希釈流路W2を通るルートを右ルートとする。
分岐点T1と圧損体42A、42Aとの間における希釈配管41Aは同一形状となっている。すなわち、分岐点T1と圧損体42A、42Aの間における希釈流路W1、W2は同一であり、分岐点T1と圧損体42A、42Aの間における希釈流路W1、W2の流路容積は同一に設定されている。なお、分岐点T1と圧損体42A、42Aの間における希釈流路W1、W2の流路容積は、水素パージ弁24が開かれた際に、その内部に流れ込むアノードオフガスの量に対応して設定される。
一方、各圧損体42Aと合流点C1との間における希釈配管41Aの形状は異なっており、左ルートの希釈配管41Aに対して、右ルートの希釈配管41Aが部分的に太くなっている。すなわち、圧損体42A、42Aと合流点C1との間において、左ルートに係る希釈流路W1の流路容積V1に対して、右ルートに係る希釈流路W2の流路容積V2は大きくなるように設定されている(V1<V2)。そして、合流点C1と接続点J1との間の希釈配管41Aは、左ルートおよび右ルートで共有されているため、圧損体42A、42Aと接続点J1との間、すなわち、圧損体42A、42Aと配管32d内のカソードオフガス流路との間において、右ルートに係る流路容積は左ルートに係る流路容積よりも大きくなっている。つまり、圧損体42A、42Aと接続点J1(カソードオフガス流路)との間において、右ルートに係る流路容積と左ルートに係る流路容積とは異なっている。
圧損体42A、42Aは、分岐点T1と合流点C1との間の希釈流路W1、W2内に、希釈配管41Aの内面から同一の突出量で突出するようにして、それぞれ設けられており、希釈流路W1、W2を流通するアノードオフガスに、同一の圧力損失を与えることにより、各圧損体42Aの下流側のアノードオフガスの圧力を同一に設定し、これにより、各圧損体42A下流側の希釈流路W1、W2を流れるアノードオフガスの流量を等しくなるように設定するものである。
なお、圧損体42A、42Aの大きさは、流量Q1、Q1が異なる流路容積V1と流路容積V2の影響を受けないために、希釈流路W1、W1の流路断面積が部分的に小さくなるように設定する。
左ルート、右ルートに設けられた逆止弁43、43は、同一仕様のものであり、分岐点T1と2つの圧損体42Aとの間における希釈流路W1、W2にそれぞれ設けられた逆流防止手段である。これにより、希釈流路W1、W2に流れ込んだアノードオフガスの逆流が防止されるようになっている。このような逆止弁43としては、公知のものから適宜に選択して使用することができる。
ECU50は、CPU、ROM、RAM、各種インタフェイス、電子回路などから構成されている。ECU50は、遮断弁22、水素パージ弁24およびコンプレッサ31と電気的に接続しており、これらを適宜に制御するようになっている。また、ECU50は、イグニッションスイッチ(図示しない)と電気的に接続しており、これに連動するようになっている。
次に、燃料電池システムSの動作について、図1を参照して簡単に説明する。
燃料電池自動車の運転者によって、イグニッションスイッチがONされるとECU50が起動する。起動したECU50は、遮断弁22を開いてアノード12に水素を送り、コンプレッサ31を作動させてカソード13に酸素を含む加湿空気を送ると共に、水素パージ弁24を閉じて水素を循環させて、燃料電池10が発電可能な状態とする。このような状態で、燃料電池10がその出力端子に接続した外部負荷からの電力要求を受けると、燃料電池10は通常に発電する。なお、このようにコンプレッサ31が作動する間、カソードオフガスが配管32c、配管32d内を順に流れている。
次に、このようにしてアノードオフガスが送り込まれた希釈器40Aの作用・効果について、図2および図3を参照して説明する。
図2に示すように、希釈器40Aに送り込まれた水素を含むアノードオフガスは、配管24c内から希釈配管41A内、つまり希釈流路W1、W2に進み、分岐点T1でアノードオフガスの量(体積)が二つに分けられる。そして、二つに分けられたアノードオフガスは、左ルートおよび右ルートに係る希釈流路W1、W2をそれぞれ進み、逆止弁43をそれぞれ開き、圧損体42Aにそれぞれ到達した後、通り抜ける。
ここで、右ルートの流路容積V2は左ルートの流路容積V1よりも大きいため(V2>V1)、左ルートを辿るアノードオフガスの流速f1は、右ルートを辿るアノードオフガスの流速f2よりも高くなる(f1>f2)。したがって、左ルートを辿るアノードオフガスが合流点C1に到達した後、右ルートを辿るアノードオフガスが合流点C1に到達する。
すなわち、合流点C1の下流側の接続点J1では、(1)左ルートからのアノードオフガスが到達し、カソードオフガスによって希釈された後、(2)右ルートからのアノードオフガスが到達し、カソードオフガスによって希釈される。
次に、本発明の第2実施形態について、図4を参照して説明する。図4は、第2実施形態に係る希釈器の構成図である。
次に、本発明の第3実施形態について、図5および図6を参照して説明する。図5は、第3実施形態に係る希釈器の構成図である。図6は、第3実施形態に係る希釈器の作用・効果を示すグラフである。
このような水素の希釈の均一化を図るため、チャンバ44内に圧力センサを設けると共に、チャンバ44内の圧力と開閉弁45が開かれたときに配管32dに導入されるアノードオフガスの量とが関連付けられたマップデータをECU50に記憶させておき、ECU50がチャンバ44内の圧力と前記マップデータとに基づいて、開閉弁45を開く構成としてもよい。
第3実施形態に係る希釈器40Cについても同様であり、チャンバ44および開閉弁45を並列で備える構成であってもよい。
11 電解質膜
12 アノード
24 水素パージ弁
40A 希釈器(燃料電池の排出ガス処理装置)
41A 希釈配管(水素導入手段)
42A 圧損体(流量設定手段、水素導入手段)
J1 接続点
S 燃料電池システム
V1、V2 流路容積
W1、W2 希釈流路
Claims (4)
- 燃料電池のアノードから排出された水素を希釈用ガスで希釈して外部に排出する燃料電池の排出ガス処理装置であって、
前記アノードから排出された水素を複数に分けて前記希釈用ガスが流通する希釈用ガス流路に導入する水素導入手段を備えたことを特徴とする燃料電池の排出ガス処理装置。 - 前記水素導入手段は、
前記アノードから排出された水素が流れる排出水素流路を分岐すると共に、各下流側が前記希釈用ガス流路に接続した複数の希釈流路と、
前記複数の希釈流路にそれぞれ設けられ、流量を設定する流量設定手段と、
を備え、
前記各流量設定手段の下流側の流量は等しくなるように設定されており、
前記各流量設定手段と前記希釈用ガス流路との間の前記各希釈流路の流路容積は異なることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の排出ガス処理装置。 - 前記水素導入手段は、
前記アノードから排出された水素が流れる排出水素流路を分岐すると共に、各下流側が前記希釈用ガス流路に接続した複数の希釈流路と、
前記複数の希釈流路にそれぞれ設けられ、流量を設定する流量設定手段と、
を備え、
前記各流量設定手段の下流側の流量は異なるように設定されており、
前記各流量設定手段と前記希釈用ガス流路との間の前記各希釈流路の流路容積は等しいことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の排出ガス処理装置。 - 前記水素導入手段は、
前記アノードから排出された水素を貯溜すると共に、その下流側が前記希釈用ガス流路に接続したチャンバと、
前記チャンバと前記希釈用ガス流路との間に設けられた開閉弁と、
前記開閉弁の開/閉を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池の排出ガス処理装置。
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