JP2002356617A - 硬化性組成物 - Google Patents
硬化性組成物Info
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Abstract
硬化物が、耐熱性、耐溶剤性、耐アルカリ性、耐候性、
光学特性、電気特性などの諸物性に優れた硬化性組成物
を提供すること。 【解決手段】 必須の構成成分として、Si−OR1、
Si−CH=CH2、Si−R2−CH=CH2、Si−
H、Si−R2−NH2、Si−R2−OCOC(R3)=
CH2、Si−R2−CNおよびSi−R2−OH基[式
中、R1は炭素数1〜5のアルキル基、R2は炭素数1〜
9のアルキレン基(フェニレン基を含む)、R3は水素
またはメチル基である]からなる群から選ばれる反応基
Aを一種または二種以上有し、Si−OH基は有さず、
Si−O−Si結合による橋かけ構造を一箇所以上有
し、分子量500〜100万のケイ素含有重合体を含有
することを特徴とする硬化性組成物。
Description
する。詳しくは、安定性、透明性、硬化性能に優れ、更
に、その硬化物が耐熱性、耐溶剤性、耐アルカリ性、耐
候性、光学特性、電気特性などの諸物性に優れた硬化性
組成物に関する。
複合材料は、さまざまな研究がなされており、工業的に
も有機高分子に無機充填剤を複合したり、金属表面を有
機高分子で修飾するコーティングの手法等が利用されて
いる。これらの複合材料では、それを構成している素材
がミクロンメートルオーダー以上の大きさを持っている
ため、一部の物性を向上することはできるものの、多く
の性能は単純に両者の加成則から予想される値を示すに
過ぎない。
ナノメートルオーダー、更には、分子レベルで組み合わ
された有機・無機複合材料が盛んに研究されている。こ
のような材料では、各素材としての特性を併せ持つのみ
ならず、加成則では予想ができない両者の長所を兼ね備
えた、それぞれの素材とは全く異なる新しい機能性材料
となることが期待される。
合を介して一方の素材と他方の素材が分子レベルで混合
された化学結合型と、一方の素材をマトリックスとし
て、他方の素材をその中に微細に分散、複合化された混
合型がある。この単なる分散・複合化された混合型は、
両素材間の強い結合がないために、分離が生じたり、例
えば硬化材料として使用した場合、耐熱性、耐溶剤性等
の諸物性の向上が不十分な場合がある。
ル・ゲル法がよく利用される。ゾル・ゲル法とは、前駆
体分子の加水分解とそれに続く重縮合反応により、架橋
した無機酸化物が低温で得られる反応である。このゾル
・ゲル法で得られる無機性素材は、短期間でゲル化する
など、保存安定性が悪いという問題がある。日本化学会
誌、1998(No.9)、571(1998)には、
トリアルコキシアルキルシランのアルキル基の鎖長によ
る縮合速度の相違に着目し、メチルトリメトキシシラン
の重縮合後に縮合速度の遅いトリアルコキシ長鎖アルキ
ルシランを添加してポリシロキサン中のシラノール基を
封止すること、更には、アルミニウム触媒を用いてメチ
ルトリメトキシシランの縮合反応を行い所定の分子量に
到達した時点でアセチルアセトンを添加して、反応系中
で配位子交換を行い保存安定性の改良を試みている。し
かしこれらの方法では保存安定性の改善は不充分であっ
た。
性、透明性、硬化性能に優れ、更にその硬化物が、耐熱
性、耐溶剤性、耐アルカリ性、耐候性、光学特性、電気
特性などの諸物性に優れた、ケイ素含有重合体を含有す
ることを特徴とする硬化性組成物を提供することにあ
る。
有重合体について、その保存安定性等を中心に鋭意検討
した結果、必須の構成成分として、特定の反応基を有
し、シラノール基を有さず、Si−O−Si結合による
橋かけ構造を一箇所以上有し、分子量500〜100万
のケイ素含有重合体に着目した。
て、Si−OR1、Si−CH=CH2、Si−R2−C
H=CH2、Si−H、Si−R2−NH2、Si−R2−
OCOC(R3)=CH2、Si−R2−CNおよびSi
−R2−OH基[式中、R1は炭素数1〜5のアルキル
基、R2は炭素数1〜9のアルキレン基(フェニレン基
を含む)、R3は水素またはメチル基である]からなる
群から選ばれる反応基Aを一種または二種以上有し、S
i−OH基は有さず、Si−O−Si結合による橋かけ
構造を一箇所以上有し、分子量500〜100万のケイ
素含有重合体を含有することを特徴とする硬化性組成物
を提供するものである。また本発明は、さらに、反応基
Aと反応する、反応基Bを有する線状化合物、および/
または硬化触媒を含有することを特徴とする前記の硬化
性組成物を提供するものである。また本発明は、反応基
A中のケイ素原子に結合している他の少なくとも2つの
置換基が、酸素原子であることを特徴とする、前記の硬
化性組成物を提供するものである。また本発明は、ケイ
素含有重合体が、加水分解性エステル化合物で処理され
ることにより得られることを特徴とする前記の硬化性組
成物を提供するものである。また本発明は、加水分解性
エステル化合物が、オルト蟻酸エステル、オルト酢酸エ
ステル、テトラアルコキシメタンおよび炭酸エステルか
らなる群から選ばれる一種または二種以上であることを
特徴とする前記の硬化性組成物を提供するものである。
−CH=CH2、Si−R2−CH=CH2、Si−H、
Si−R2−NH2、Si−R2−OCOC(R3)=CH
2、Si−R2−CNおよびSi−R2−OH基[式中、
R1は炭素数1〜5のアルキル基、R2は炭素数1〜9の
アルキレン基(フェニレン基を含む)、R3は水素また
はメチル基である]からなる群から選ばれる反応基Aを
一種または二種以上有し、Si−OH基は有さず、Si
−O−Si結合による橋かけ構造を一箇所以上有し、分
子量500〜100万のケイ素含有重合体が用いられ
る。この反応基Aはケイ素原子に直接または他の置換基
を経由して結合しており、その反応基A同士あるいは他
の化合物の反応基(例えば後述する反応基B)と、化学
結合を形成する反応をすることができる。ケイ素含有重
合体中の、Si−O−Si結合による橋かけは、本発明
で用いられるケイ素含有重合体中、一箇所以上あればよ
く、これら橋かけを有する構造としては、具体的には、
Si−O−Si結合によって形成される、はしご状(ラ
ダー状)、かご状、環状等の構造を有していることが挙
げられ、それらはしご状、かご状、環状等の構造の全て
がSi−O−Si結合で構成されていてもよく、一部を
Si−O−Si結合で形成していてもよい。もちろんS
i−O−Si結合は複数個繰り返してもよい。
Si−OR1基[式中、R1は炭素数1〜5のアルキル基
である]を有する場合は、Si−OR1基[式中、R1は
炭素数1〜5のアルキル基である]を有するアルコキシ
シラン、またはクロロシランの加水分解・縮合反応によ
り得られ、それらアルコキシシランまたはクロロシラン
と、Si−OR1基以外の反応基Aを有するアルコキシ
シランやクロロシランとの混合物を適宜選択し、加水分
解・縮合反応することによっても得られる。さらに必要
に応じて、アルコール溶媒中で反応させたり、加水分解
性エステル化合物で処理してもよい。その他ケイ酸ナト
リウムからナトリウムをイオン交換等で除去後二酸化ケ
イ素の縮合物を利用することによっても得ることができ
る。
i−CH=CH2、Si−R2−CH=CH2、Si−
H、Si−R2−NH2、Si−R2−OCOC(R3)=
CH2、Si−R2−CN、Si−R2−OH基を有する
本発明のケイ素含有重合体の場合は、Si−OR1基以
外の反応基Aを有するアルコキシシランやクロロシラ
ン、またはSi−OR1基以外の反応基Aを有するアル
コキシシランやクロロシランとSi−OR1基以外の反
応基Aを有さないアルコキシシランやクロロシランの混
合物を適宜選択し、加水分解・縮合反応することにより
得られる。
るアルコキシシランやクロロシランを用いる反応におい
ては、生成するケイ素含有重合体の無機性を考慮して、
Si−OR1基以外の反応基Aを有するアルコキシシラ
ンと、Si−OR1基以外の反応基Aを有さないアルコ
キシシランやクロロシランを混合して加水分解・縮合反
応を行うのが好ましい。
反応基Aを有するアルコキシシランやクロロシランの例
を挙げると、分子中にSi−OR1基以外の反応基Aを
持っていればよく、例えば、(3−アクリロキシプロピ
ル)メチルジメトキシシラン、(3−アクリロキシプロ
ピル)トリメトキシシラン、アリルジメトキシシラン、
アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラ
ン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、ブテニルトリエトキシシラン、2−シア
ノエチルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリメ
トキシシラン、3−シアノプロピルメチルジメトキシシ
ラン、3―アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3
−シアノプロピルトリエトキシシラン、ヒドロキシメチ
ルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエト
キシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラ
ン、メタクリロキプロピルトリエトキシシラン、メタク
リロキプロピルトリメトキシシラン、メチルジエトキシ
シラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジエトキシ
シラン、トリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシ
シラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、およびこれ
らの各アルコキシの代わりにクロル化物、更には、これ
らアルコキシシランやクロロシランの水素原子の全部ま
たは一部が重水素となっている重水素化物あるいはフッ
素原子となっているフッ素化物、等が挙げられ、これら
の1種または2種以上を用いることができる。また、S
i−OR1基以外の反応基Aを有するケイ素含有重合体
の場合は、反応基A中のケイ素原子に結合している他の
少なくとも2つの置換基が、酸素原子であるものを含む
ことが好ましい。
基以外の反応基Aを有さないアルコキシシランやクロロ
シランの例としては、アセトキシメチルトリメトキシシ
ラン、ベンジルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキ
シシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エタ
ン、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、3−ブロモ
プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラ
ン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロフェニル
トリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシ
シラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメチルジエトキ
シシラン、ジメチルジメトキシラン、ドデシルトリメト
キシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリメ
トキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、メトキシプ
ロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシ
シラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルメ
チルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、
フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、
テトラメトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、ジ
フェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラ
ン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシ
ラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルエトキ
シシラン、およびこれらの各アルコキシの代わりにクロ
ル化物、更には、これらアルコキシシランやクロロシラ
ンの水素原子の全部または一部が重水素となっている重
水素化物あるいはフッ素原子となっているフッ素化物、
等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いるこ
とができる。また、反応基AがSi−OR1基のケイ素
含有重合体の場合は、Si−OR1基以外の反応基Aを
有さないアルコキシシランはアルコキシ基の結合してい
るケイ素原子に結合している他の少なくとも2つの置換
基が、酸素原子であるものを含むことが好ましい。
ルコキシシランとSi−OR1基以外の反応基Aを有さ
ないアルコキシシランの配合比は、モル比で0:100
〜100:0が好ましい。より好ましくは、5:95〜
95:5である。
A中のケイ素原子に結合している他の少なくとも2つの
置換基が、酸素原子であるのが好ましい。
するアルコキシシラン、Si−OR1基以外の反応基A
を有さないアルコキシシランは、所望により他の金属の
アルコラートや錯体で処理したり、あるいはそれらと併
用して加水分解・縮合反応を行い、ケイ素含有重合体に
ケイ素以外の金属、例えばホウ素、マグネシウム、アル
ミニウム、リン、チタン、鉄、亜鉛、ジルコニウム、ニ
オブ、スズ、テルル、タンタルなどを組み入れることも
可能である。
ロシランの加水分解・縮合反応は、いわゆるゾル・ゲル
反応を行えばよく、そのようなゾル・ゲル反応として、
無溶媒もしくは溶媒中で、酸または塩基等の触媒で加水
分解・縮合反応を行う方法が挙げられる。この時用いら
れる溶媒は、特に限定されず、具体的には、水、メタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノー
ル、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン等が挙げられ、これらの1種を用いるこ
とも、2種以上を混合して用いることもできる。
水分解・縮合反応は、アルコキシシランやクロロシラン
が、水による加水分解により、シラノール基(SiOH
基)を生成し、この生成したシラノール基同士が、また
はシラノール基とアルコキシ基が縮合することにより進
む。この反応を進ませるためには、適量の水を加えるこ
とが好ましく、水は溶媒中に加えてもよく、触媒を水に
溶解して加えてもよい。また、空気中の水分あるいは、
溶媒中に含まれる微量の水分によっても加水分解反応は
進む。
塩基等の触媒は、加水分解・縮合反応を促進するもので
あれば、特に限定されず、具体的には、塩酸、リン酸、
硫酸等の無機酸類;酢酸、p−トルエンスルホン酸、リ
ン酸モノイソプロピル等の有機酸類;水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等の
無機塩基類;トリメチルアミン、トリエチルアミン、モ
ノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミン化
合物類;テトライソプロピルチタネート、テトラブチル
チタネート等のチタンエステル類;ジブチル錫ラウレー
ト、オクチル錫酸等の錫カルボン酸塩類;トリフルオロ
ボロン等のホウ素化合物類;鉄、コバルト、マンガン、
亜鉛等の金属の塩化物やナフテン酸塩あるいはオクチル
酸塩等の金属カルボン酸塩類;アルミニウムトリスアセ
チルアセテート等のアルミニウム化合物等が挙げられ、
これらの1種を用いることも、2種以上を併用すること
もできる。酸触媒を加えて、酸性下(pH7以下)で反
応を進ませた後、塩基触媒を加えて中和ないし塩基性下
で反応を行う方法が好ましい例として挙げられる。
ず、Si−OR1基以外の反応基Aを有するケイ素含有
重合体の場合は、Si−OR1基以外の反応基Aを有す
るアルコキシシランとSi−OR1基以外の反応基Aを
有さないアルコキシシランを両者混合して、加水分解・
縮合反応を行ってもよく、またSi−OR1基以外の反
応基Aを有さないアルコキシシラン単独で、ある程度加
水分解・縮合反応を行った後、Si−OR1基以外の反
応基Aを有するアルコキシシランを加えてさらに加水分
解・縮合反応を行ってもよく、その逆にSi−OR1基
以外の反応基Aを有するアルコキシシラン単独で、ある
程度加水分解・縮合反応を行った後、Si−OR1基以
外の反応基Aを有さないアルコキシシランを加えて加水
分解・縮合反応を行ってもよい。もちろんSi−OR1
基以外の反応基Aを有するアルコキシシランやクロロシ
ランの一種または二種以上の混合物を加水分解・縮合反
応してもよい。またSi−OR1基以外の反応基Aを有
さないケイ素含有重合体を得る場合は、Si−OR1基
以外の反応基Aを有さないアルコキシシランやクロロシ
ランの一種または二種以上の混合物を加水分解・縮合反
応を行えばよい。
含有重合体を得るためには、反応溶媒、水、触媒を除去
すればよく、例えば、ブタノール等の溶媒を加えて溶媒
抽出後、抽出溶媒を窒素気流下で減圧留去すればよい。
また、加水分解・縮合反応後の溶液を、そのままあるい
は脱触媒処理を行ってから、加水分解性エステルによる
処理さらに硬化性組成物を得るための処理を行ってもよ
い。
子量は、ポリスチレン換算で、重量平均分子量が500
から100万であり、好ましくは1000から10万で
ある。500より小さいと望ましい物性が得られず、1
00万より大きいと、ナノメートルレベル、分子レベル
での複合化ができず、生成物が不均一になったり不透明
になったり、充分な物性が得られない。
反応基Aの数は、得られるケイ素含有重合体の分子量に
もより、特に限定されるものではないが、ケイ素含有重
合体1分子当たり1個以上、最高ケイ素原子1個当たり
1個必要である。これより少ないと反応性官能基Bを有
する線状化合物との化学結合が行われず、これより多い
とケイ素含有重合体中の反応基により、いわゆる無機性
(無機的物性)が少なくなる。
ケイ素含有重合体は、Si−OH基(シラノール基)を
有しないものであるが、特に加水分解性エステル化合物
で処理することで、シラノール基を封止でき、保存安定
性を著しく改善することができる。加水分解性エステル
化合物としては、オルト蟻酸エステル、オルト酢酸エス
テル、テトラアルコキシメタン、炭酸エステル等を用い
ることができ、とりわけオルト蟻酸トリアルキルエステ
ル、テトラアルコキシメタン等が好ましい。また加水分
解・縮合反応の触媒、温度、反応時間、仕込み量等反応
条件を調節することで、Si−OH基を有しないケイ素
含有重合体を得ることも可能である。
成分であるケイ素含有重合体に、またはケイ素含有重合
体と溶媒を混合させた状態で、またはケイ素含有重合体
と反応性官能基Bを有する線状化合物と混合させた状態
で、またはケイ素含有重合体と反応性官能基Bを有する
線状化合物と硬化触媒を混合させた状態で、過剰量の加
水分解性エステルを加えればよく、その時攪拌、加熱を
することが好ましい。処理後、窒素気流下、加熱減圧し
て、未反応の加水分解性エステルを除去すればよい。こ
の処理によって、シラノール基がなくなり、保存安定性
がよくなる。もちろんケイ素含有重合体中の反応基の量
は、処理することによって影響を受けないようにするこ
とが重要である。
化合物は制限はないが、ケイ素含有重合体の反応基Aと
反応する官能基を有する必要があり、反応基を分子中に
1ケ以上有する低分子化合物、高分子化合物が利用でき
る。また高分子化合物に適宜、反応基を化学結合させて
もよい。反応基Bの例をあげると、H−Si−基、HO
−Si−基、R1O−Si−基、CH2=C(R3)−
基、CH2=C(R3)−R2−基、CH2=C(R3)−C
OO−(R2)−基、水酸基、エポキシ基、脂環式エポキ
シ基等が挙げられる[式中、R1は炭素数1〜5のアル
キル基、R2は炭素数1〜9のアルキレン基(フェニレ
ン基を含む)、R3は水素またはメチル基である]。高
分子化合物としては、ジメチルポリシロキサン、ジフェ
ニルポリシロキサン、ジメチルシロキサン・ジフェニル
シロキサンコポリマー、ポリイミド樹脂、ポリエチレン
グリコールやポリプロピレングリコールなどのポリアル
キレングリコール、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、
フェノール樹脂、ポリエステル、メラミン樹脂、ポリア
ミド樹脂、などがその例として挙げられる。
種類や硬化方法により限定されない。例えば、Si−O
R縮合反応用触媒としては、ビス(2−エチルヘキサノ
エート)スズ、ビス(ネオデカノエート)スズ、ジ−n
−ブチルブトキシクロロスズ、ジ−n−ブチルジアセト
キシスズ、ジ−n−ブチルジラウリル酸スズ、ジオクチ
ルジラウリル酸スズなどが挙げられる。また、例えばS
i−H付加反応用触媒としては、白金-カルボニルビニ
ルメチル錯体、白金-ジビニルテトラメチルジシロキサ
ン錯体、白金-シクロビニルメチルシロキサン錯体、白
金-オクチルアルデヒド錯体などが挙げられる。これら
硬化触媒は2種以上を併用することもできる。
イ素含有重合体と、必要に応じて反応基Bを有する線状
化合物および/または硬化触媒を混合し、用いた硬化触
媒等により加熱等の処理を行う。混合の方法には特に制
限はなく、例えばケイ素含有重合体と反応基Bを有する
線状化合物を、使用直前に混合する方法、あらかじめ混
合しておき硬化反応を行いたい時に硬化触媒を加えて加
熱等の処理により硬化させる方法、あらかじめ全部混合
しておき硬化反応を行いたいときに加熱等により硬化さ
せる方法などが挙げられる。
性や分子量増加がなく、保存安定性に優れている。特に
加水分解性エステル化合物で処理したケイ素含有重合体
の保存安定性は特に優れている。
とする硬化物の物性に応じて適宜調節すればよいが、ケ
イ素含有重合体と反応性基Bを有する線状化合物の両方
の特性を併せ持った優れた複合材料とするためには、重
量比で、ケイ素含有重合体:線状化合物=100:0〜
1:99が好ましい。
により、無機性素材であるケイ素含有重合体と有機性素
材である線状化合物が、共有結合で結合することによ
り、ナノメートルオーダー更には分子レベルで混合した
化学結合型複合材料となる。得られた硬化物は、有機性
素材と無機性素材の両方の性質を併せ持ち、特に耐熱
性、耐溶剤性、耐アルカリ性に優れている。さらに本発
明の化学結合型硬化性組成物は、均一で透明なため紫外
線等光の透過性がよく、光硬化も可能である。更にま
た、耐候性、硬度、耐汚染性、難燃性、耐湿性、ガスバ
リヤ性、可撓性、伸びや強度、電気絶縁性、低誘電率性
等の力学特性、光学特性、電気特性等に優れた複合材料
を得ることができる。
成分の他に、任意成分として、本発明の目的とする性能
を損なわない範囲で、その他の公知の添加剤、充填剤、
各種樹脂等も配合することができる。反応基を有するケ
イ素含有重合体に、各種の有機官能基を結合させ機能付
与をすることができる。また、本発明の硬化性組成物ま
たはその硬化物をマトリックスとし、他の有用な化合物
を分散させた高機能複合材料を作成することができる。
が、本発明はこれら実施例によって限定されるものでは
ない。尚、実施例中の「部」や「%」は重量によるもの
である。 合成例1:ケイ素含有重合体A メチルトリエトキシシラン72部に溶媒として1−ブタ
ノール72部を混合し、70℃まで加温後、0.12%
リン酸水溶液22部を滴下した。滴下後、80℃にて1
時間反応した。次いで水酸化ナトリウム水溶液を添加し
て反応液を中和後、80℃にて1時間反応した。得られ
た反応液のうち165部に1−ブタノール660部を加
えた。これにイオン交換水800部を加えて3回水洗を
行った後、窒素気流下、40℃、1330Pa(10m
mHg)にて溶媒を留去し、ケイ素含有重合体aを得
た。得られたケイ素含有重合体a 40部に、オルトギ酸
トリエチル200部を加え、130℃で1時間処理後、窒
素気流下、70〜90℃、1330Pa(10mmH
g)にて、未反応オルトギ酸トリエチル等の揮発性成分
を留去し、ケイ素含有重合体Aを得た。GPCによる分
析の結果、重量平均分子量3700であり、DMSO−
d6を溶媒とする1H−NMRによる分析の結果、シラノ
ール基(SiOH基)は検出されなかった。ケイ素重合
体Aは40℃保存で30日後の重量平均分子量は3700であ
り、変化がなかった。
シシラン(11部)、および0.032%リン酸水溶液(9.7部)を
混合し、10℃にて3時間反応した。更に、エタノール(24
部)を加え、水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応液
を中和後、30℃にて15分間反応した。次いで、オルトギ
酸トリエチル(130部)を加え、130℃にて1時間攪拌し
た。その後、吸着剤(協和化学工業製キョワード600S、
以下同様)を(0.5部)を加え、100℃にて処理してから吸
着剤を濾過して除去後、150℃、10mmHgにて揮発成分を
留去し、ケイ素含有重合体Bを得た。GPCによる分析の
結果、重量平均分子量は3300であった。アセトン−d6
を溶媒とする1H−NMRによる分析の結果、シラノー
ル基(SiOH基)は検出されなかった。
液(18部)を混合し、10℃にて30分間反応後、ビニルトリ
メトキシシラン(3部)を加えてから10℃にて30分間反応
した。更に、水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応を
中和後、30℃にて15分間反応した。次いで、オルトギ酸
トリエチル(245部)を加え、130℃にて1時間攪拌した。
その後、吸着剤(0.2部)を加え、100℃にて処理してから
吸着剤を濾過して除去後、80℃、10mmHgにて揮発成分を
留去し、ケイ素含有重合体Cを得た。GPCによる分析の
結果、重量平均分子量は8400であった。DMSO−d6
を溶媒とする1H−NMRによる分析の結果、シラノー
ル基(SiOH基)は検出されなかった。
シシラン(29部)、および0.032%リン酸水溶液(35部)を
混合し、10℃にて90分間反応後、ビニルトリメトキシシ
ラン(5.9部)を加えてから10℃にて30分間反応した。更
に、エタノール(58部)を加え攪拌後、水酸化ナトリウム
水溶液を添加して反応液を中和後、10℃にて60分間反応
した。次いで、オルトギ酸トリエチル(490部)を加え、1
30℃にて1時間攪拌した。その後、吸着剤(0.4部)を加
え、100℃にて1時間処理してから吸着剤を濾過して除去
後、80℃、10mmHgにて揮発成分を留去し、ケイ素含有重
合体Dを得た。GPCによる分析の結果、重量平均分子量
は4200であった。アセトン−d6およびCDCl3を溶媒
とする1H−NMRによる分析の結果、シラノール基
(SiOH基)は検出されなかった。
液(8.8部)を混合し、10℃にて1時間反応後、トリエトキ
シシラン(1.6部)を加えてから10℃にて2時間反応した。
更に、水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応液を中和
後、60℃にて15分間反応した。次いで、オルトギ酸トリ
エチル(123部)を加え、130℃にて1時間攪拌した。その
後、吸着剤(0.1部)を加え、100℃にて処理してから吸着
剤を濾過して除去後、150℃、10mmHgにて揮発成分を留
去し、ケイ素含有重合体Eを得た。GPCによる分析の結
果、重量平均分子量は3300であった。DMSO−d6を
溶媒とする1H−NMRによる分析の結果、シラノール
基(SiOH基)は検出されなかった。
キシシラン(4部)、および0.032%リン酸水溶液(8.8部)
を混合し、10℃にて1時間反応後、トリエトキシシラン
(1.6部)を加えてから10℃にて2時間反応した。更に、水
酸化ナトリウム水溶液を添加して反応液を中和後、30℃
にて1時間反応した。次いで、オルトギ酸トリエチル(12
3部)を加え、130℃にて1時間攪拌した。その後、吸着剤
(0.1部)を加え、100℃にて処理してから吸着剤を濾過し
て除去後、150℃、10mmHgにて揮発成分を留去し、ケイ
素含有重合体Fを得た。GPCによる分析の結果、重量平
均分子量は4900であった。アセトン−d6を溶媒とする1
H−NMRによる分析の結果、シラノール基(SiOH
基)は検出されなかった。
およびエタノール(7.9部)を混合し、78℃にて1時間反応
後、メチルトリエトキシシラン(16部)を加えてから78℃
で4時間反応した。次いで、メチルイソブチルケトン(13
5部)を加えて蒸留する。反応液の温度が100℃に達して
から更に2時間攪拌後、減圧して溶媒を留去した。次い
で、クロロホルム(150部)、ピリジン(9.5部)を加え、ト
リメチルクロロシラン(5.4部)を滴下して、50℃にて4時
間反応した。溶媒を減圧留去後、トルエン(43部)を加
え、析出した固形分を濾別し、吸着剤(0.1部)を加え、1
00℃にて処理してから吸着剤を濾過して除去後、150
℃、10mmHgにて揮発成分を留去し、ケイ素含有重合体B
を得た。GPCによる分析の結果、重量平均分子量は3700
であった。
シシラン(10部)、および0.032%リン酸水溶液(18部)を
混合し、10℃にて2時間反応後、水酸化ナトリウム水溶
液を添加して中和後後、40℃にて40分間反応した。次い
で、クロロホルム(100部)を加え、芒硝にて脱水後、ピ
リジン(24部)を加え、ジメチルビニルクロロシラン(24
部)を滴下し1時間反応した。40℃にて溶媒を減圧留去
後、トルエン(100ml)を加え析出した固形分を濾別後、
揮発成分を50℃にて減圧留去し、ケイ素重合体Hを得
た。GPCによる分析の結果、重量平均分子量は92000であ
った。アセトン−d6およびCDCl3を溶媒とする1H
−NMRによる分析の結果、シラノール基(SiOH
基)は検出されなかった。
クロロシラン(19部)、最後の減圧留去の温度が100℃で
ある以外は合成例9と同様に処理して、ケイ素重合体I
を得た。GPCによる分析の結果、重量平均分子量は79000
であった。アセトン−d6を溶媒とする1H−NMRによ
る分析の結果、シラノール基(SiOH基)は検出され
なかった。
シクロヘキサン-ジメチルシロキサンコポリマー(3部)、
および硬化触媒としてジブチルジアセトキシスズ(0.01
部)を混合して、透明な硬化性組成物を得た。この硬化
性組成物をガラス板上に滴下後、“室温→(10℃/分)→
150℃×10分→(10℃/分)→200℃×10分→(10℃/分)→
250℃×4時間”にて硬化し、透明なフィルムを得た。フ
ィルムは濁り等なく均一で透明性に優れていた。
シロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー(3部)、およ
び硬化触媒としてジブチルジアセトキシスズ (0.01部)
を混合して、透明な硬化性組成物を得た。この硬化性組
成物をガラス板上に滴下後、“室温→(10℃/分)→150
℃×10分→(10℃/分)→200℃×10分→(10℃/分)→250
℃×4時間”にて硬化し、透明なフィルムを得た。フィ
ルムは濁り等なく均一で透明性に優れていた。
ン(5部)、および白金カルボニルビニルメチルシロキサ
ン溶液(0.01部)を混合して、透明な硬化性組成物を得
た。この硬化性組成物をガラス板上に滴下後、150℃に
て2時間加熱し、透明なフィルムを得た。フィルムは濁
り等なく均一で透明性に優れていた。
および白金カルボニルビニルメチルシロキサン溶液(0.0
1部)を混合して、透明な硬化性組成物を得た。この硬化
性組成物をガラス板上に滴下後、150℃にて2時間加熱
し、透明なフィルムを得た。フィルムは濁り等なく均一
で透明性に優れていた。
および白金カルボニルビニルメチルシロキサン溶液(0.0
1部)を混合して、透明な硬化性組成物を得た。この硬化
性組成物をガラス板上に滴下後、150℃にて2時間加熱
し、青色透明なフィルムを得た。得られたフィルムは、
濁り等なく均一で透明性に優れていた。
100[旭電化工業(株)製、エポキシ当量190]
に、ケイ素含有重合体Gを、活性水素当量がエポキシ当
量の95%になるように添加し、冷却しながら混合し
た。約1分間攪拌を行い、ガラス板上に塗り付け、その
上にアルミニウム箔をはりつけて60℃で1時間、その
後120℃で4時間、硬化処理を行った。硬化物は、均
一であり、さらに耐熱性良好であった。
および白金カルボニルビニルメチルシロキサン溶液(0.0
1部)を混合して、透明な硬化性組成物を得た。この硬化
性組成物をガラス板上に滴下後、150℃にて2時間加熱
し、透明なフィルムを得た。得られたフィルムは可撓性
がやや不足していたが、濁り等なく均一で透明性に優れ
ていた。
性能に優れ、更にその硬化物が、耐熱性、耐溶剤性、耐
アルカリ性、耐候性、光学特性、電気特性などの諸物性
に優れた硬化性組成物を提供することができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 必須の構成成分として、Si−OR1、
Si−CH=CH2、Si−R2−CH=CH2、Si−
H、Si−R2−NH2、Si−R2−OCOC(R3)=
CH2、Si−R2−CNおよびSi−R2−OH基[式
中、R1は炭素数1〜5のアルキル基、R2は炭素数1〜
9のアルキレン基(フェニレン基を含む)、R3は水素
またはメチル基である]からなる群から選ばれる反応基
Aを一種または二種以上有し、Si−OH基は有さず、
Si−O−Si結合による橋かけ構造を一箇所以上有
し、分子量500〜100万のケイ素含有重合体を含有
することを特徴とする硬化性組成物。 - 【請求項2】 さらに、反応基Aと反応する、反応基B
を有する線状化合物、および/または硬化触媒を含有す
ることを特徴とする請求項1記載の硬化性組成物。 - 【請求項3】 反応基A中のケイ素原子に結合している
他の少なくとも2つの置換基が、酸素原子であることを
特徴とする、請求項1または2記載の硬化性組成物。 - 【請求項4】 ケイ素含有重合体が、加水分解性エステ
ル化合物で処理されることにより得られることを特徴と
する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の硬化性組
成物。 - 【請求項5】 加水分解性エステル化合物が、オルト蟻
酸エステル、オルト酢酸エステル、テトラアルコキシメ
タンおよび炭酸エステルからなる群から選ばれる一種ま
たは二種以上であることを特徴とする請求項4記載の硬
化性組成物。
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