JP2002316874A - 炭化珪素質高温構造材料およびその製造方法 - Google Patents

炭化珪素質高温構造材料およびその製造方法

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JP2002316874A
JP2002316874A JP2001118061A JP2001118061A JP2002316874A JP 2002316874 A JP2002316874 A JP 2002316874A JP 2001118061 A JP2001118061 A JP 2001118061A JP 2001118061 A JP2001118061 A JP 2001118061A JP 2002316874 A JP2002316874 A JP 2002316874A
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silicon carbide
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doctor blade
firing
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Shigeru Kudo
工藤  茂
Hiroaki Kitahama
裕章 北浜
Takashi Ono
貴志 小野
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Tokai Konetsu Kogyo Co Ltd
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Tokai Konetsu Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面平滑性が良好で、反りがなく、耐熱衝撃
性にも優れた炭化珪素焼結体からなり、厚さ0.5〜3
mm、面積100cm2 以上で、電子部品その他の製品
の焼成用治具として好適に使用できる薄板状の炭化珪素
質高温構造材料を提供する。 【解決手段】 厚さが0.5〜3mmで100cm2
上の面積を有する相対密度90%以上の板状炭化珪素質
焼結体からなり、ドクターブレード法により成形したグ
リーンシートを積層、焼成して形成され、焼成後未加工
の状態で表面粗さ(Ra)が1.0μm以下、反り
(C)が0.1%以下である。ドクターブレード法によ
り成形した厚さ500μm以下のグリーンシートを5枚
以上積層、焼成して形成するのが好ましく、α型炭化珪
素粉末からなるスラリーからドクターブレード法により
成形したグリーンシートと、β型炭化珪素粉末からなる
スラリーからドクターブレード法により成形したグリー
ンシートとを交互に積層し、焼成するのがさらに好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、とくに積層コンデ
ンサ、圧電素子など、セラミック電子部品の焼成用治具
として好適に使用することができる強度とくに破壊靱性
および耐熱衝撃性に優れた炭化珪素質高温構造材料に関
する。
【0002】
【従来の技術】炭化珪素質焼結体は、優れた耐熱性、耐
酸化性をそなえているため、セラミック電子部品や陶磁
器などの焼成用治具として広く活用されている。とくに
セッター、サヤの蓋など板状部材として使用されること
が多く、これら板状部材については、炉詰め効率の向
上、焼成コスト低減の観点からますます薄肉化が要求さ
れている。
【0003】従来、板状の炭化珪素焼結体は、振動成形
などのプレス成形により製造されているが、この方法で
は、例えば、厚さが3mm以下で、サイズが100mm
2 以上の板状部材を成形することは困難であった。セラ
ミックの成形方法として知られている鋳込み成形を採用
することにより、ある程度の薄肉化は可能となるが、厚
さが3mm以下の薄板状部材を成形する場合には、石膏
型からの離型性に問題が生じ易く、また成形体中に巣
(空孔)が発生し易いなど、実用上多くの問題点があ
る。
【0004】発明者の一人は、先に、厚さが0.3〜3
mmで、相対密度90%以上の薄板状炭化珪素質焼結体
を安定して製造する方法として、ドクターブレード法に
より成形したグリーンシートを積層、焼成する手法を提
案した(特開平10−297971号公報)。この手法
により、高強度、高熱伝導性をそなえた薄板状炭化珪素
質焼結体を得ることが可能となるが、この薄板状炭化珪
素質焼結体を前記焼成用治具として適用した場合、例え
ばセッターのように処理物を積載してトンネル炉に装入
する場合や、吸引搬送するような場合に使い易さを向上
させるためには、治具の表面特性が重要となることが見
出された。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の知見
に基づいて、このような場合に満足すべき焼成用治具を
得るために、ドクターブレード法により成形したグリー
ンシートを積層、焼成してなる薄板状炭化珪素質焼結体
の性状について検討を加えた結果としてなされたもので
あり、その目的は、厚さが0.5〜3mmで100cm
2 以上の面積を有するとともに、優れた破壊靱性、耐熱
衝撃性を有し、セラミック電子部品などの焼成用治具と
して好適であり、とくにセッターなどに適した性状をそ
なえた薄板状の炭化珪素質高温構造材料およびその製造
方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の請求項1による炭化珪素質高温構造材料
は、厚さが0.5〜3mmで100cm2 以上の面積を
有する相対密度90%以上の板状炭化珪素質焼結体から
なり、ドクターブレード法により成形したグリーンシー
トを積層、焼成して形成され、焼成後未加工の状態で表
面粗さ(Ra)が1.0μm以下、反り(C)が0.1
%以下であることを特徴とする。但し、反り(C)と
は、板状炭化珪素質焼結体を平面台に載置したときの炭
化珪素焼結体と平面台とのギャップ(T)と炭化珪素焼
結体の長さ(L)の関係(C=(L/T)×100
(%))から求めた値をいう。
【0007】請求項2による炭化珪素質高温構造材料
は、請求項1または2において、ドクターブレード法に
より成形した厚さ500μm以下のグリーンシートを5
枚以上積層、焼成して形成されることを特徴とする。
【0008】請求項3による炭化珪素質高温構造材料
は、請求項1または2において、前記焼成後未加工状態
で表面粗さ(Ra)が1.0μm以下の表面のうち所定
部分が表面粗さ5μm以上の粗面に形成され、該粗面に
ジルコニアを含有する層が被覆されていることを特徴と
する。
【0009】本発明の請求項4による炭化珪素質高温構
造材料の製造方法は、請求項1〜3記載の炭化珪素質高
温構造材料を製造する方法であって、α型炭化珪素粉末
からなるスラリーからドクターブレード法により成形し
たグリーンシートと、β型炭化珪素粉末からなるスラリ
ーからドクターブレード法により成形したグリーンシー
トとを交互に積層し、焼成することを特徴とする。
【0010】請求項5による炭化珪素質高温構造材料の
製造方法は、請求項1〜3記載の炭化珪素質高温構造材
料を製造する方法であって、アスペクト比3.0以上の
炭化珪素粉末を20重量%以上含むスラリーからドクタ
ーブレード法により成形したグリーンシートを積層、焼
成することを特徴とする。
【0011】また、請求項6による炭化珪素質高温構造
材料の製造方法は、請求項3記載の炭化珪素質高温構造
材料を製造する方法であって、炭化珪素粉末からなるス
ラリーからドクターブレード法により形成したグリーン
シートを積層し、積層されたグリーンシートの表面のう
ち所定部分を表面粗さ(Ra)5μm以上に粗面化した
のち焼成し、ついで粗面化された表面部分に溶射により
ジルコニアを含有する被覆層を形成することを特徴とす
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の炭化珪素質焼結体は、ド
クターブレード法により成形したグリーンシートを積
層、焼成して形成された、厚さが0.5〜3mmで10
0cm2 以上の面積を有する相対密度90%以上の板状
炭化珪素質焼結体からなり、焼成後未加工の状態で表面
粗さ(Ra)が1.0μm以下、反り(C)が0.1%
以下であることを特徴とする。炭化珪素焼結体の強度は
300MPa以上が好ましい。この場合の反り(C)と
は、図1に示すように、板状炭化珪素質焼結体を平面台
2に載置したときの炭化珪素焼結体1と平面台2とのギ
ャップ(T)と炭化珪素焼結体の長さ(L)の関係(C
=(L/T)×100(%))から求めた値をいう。
【0013】焼成後未加工の状態での表面粗さ(Ra)
を1.0μm以下、反り(C)を0.1%以下とするこ
とにより、焼成用セッターのように、処理物を積載して
トンネル炉に装入する場合や、吸引搬送するような場合
に使い易さを向上させることができる。上記のように表
面粗さが小さく、反りを無くした平滑な板状炭化珪素質
焼結体を焼成後未加工の状態で得ることによって、加工
工程が少なくなり、製造コストの低減が達成できる。
【0014】以下、このような性状をそなえた炭化珪素
質高温構造材料の好ましい製造方法について説明する。
本発明に係る炭化珪素質高温構造材料の製造は、炭化珪
素原料と焼結助剤、分散剤、有機バインダー、可塑剤お
よび有機溶剤を混合したスラリーから、ドクターブレー
ド法によってグリーンシートを作製し、作製されたグリ
ーンシートを複数枚積層して所望の形状および寸法に切
断加工し、脱バインダー後、焼成することにより行われ
る。
【0015】とくに、α型炭化珪素粉末からなるスラリ
ーからドクターブレード法により成形したグリーンシー
トと、β型炭化珪素粉末からなるスラリーからドクター
ブレード法により成形したグリーンシートとを交互に積
層し、焼成するのが好ましい。炭化珪素粒子は焼結され
ると粒成長により粗大化するが、β型炭化珪素粉末を用
いた場合には、3C型結晶の特性により柱状粒子に成長
するから、β型炭化珪素粉末からなる焼結体は強度はや
や低下するが破壊靱性が向上する。さらに、α型炭化珪
素粉末からスラリーから作製したグリーンシートと、β
型炭化珪素粉末からスラリーから作製したグリーンシー
トとを交互に積層することにより、各層ごとに亀裂の伝
播を回折することが可能となるため、破壊靱性を効果的
に向上させることができ、信頼性の高い高温構造材料が
得られる。
【0016】本発明で使用される炭化珪素原料は、焼結
後、相対密度90%以上に十分に緻密化させるために、
平均粒子径10μm以下のものを使用するのが好まし
く、平均粒子径1μm以下の粉末を20重量%以上含有
するものを出発原料とするのがさらに好ましい。
【0017】本発明で使用する有機バインダーとして
は、ポリビニルブチラール(PVB)等のブチラール樹
脂、アクリル樹脂、及びこれらの共重合体を用いること
ができる。可塑剤としては、ジオクチルフタレート(D
OP)またはジブチルフタレート(DBF)などを用い
ることができる。
【0018】焼結助剤としては、B、B4 C、Al、A
2 3 、及びY2 3 などのうち1種以上とカーボン
ブラックなどの炭素源を用いることができ、有機溶剤と
しては、バインダー、可塑剤、及び分散剤を溶解できる
ものであればよく、トルエン、キシレン等の芳香族系溶
剤、メチルエチルケトン等のケトン類、エタノール、ブ
タノール等のアルコールを使用することができる。
【0019】本発明では、予め炭化珪素粉末に焼結助
剤、分散剤、及び有機溶剤を混合して炭化珪素粉末と焼
結助剤を十分に分散させた後、有機バインダーと可塑剤
を加え混合しスラリー化するのが好ましく、また、ドク
ターブレード法によって流延されたスラリーの乾燥手段
としては、ヒータによる加熱乾燥、温風を流すことによ
る乾燥、吸引排気、またはマイクロ波加熱等による方法
を用いることができる。
【0020】ドクターブレード法により作製されたグリ
ーンシートの積層において、厚さが0.5〜3mmで1
00cm2 以上の面積を有し、焼成後未加工の状態で表
面粗さ(Ra)が1.0μm以下、反り(C)が0.1
%以下で、相対密度90%以上の特性をそなえた板状炭
化珪素質焼結体を得るためには、厚さ500μm以下の
グリーンシートを5枚以上、好ましくは厚さ350μm
以下のグリーンシートを10枚以上積層する。さらに好
ましくは、厚さ60〜350μmのグリーンシートを1
0〜30枚積層する。積層枚数を5枚以上、好ましくは
10〜30枚とすることにより反りを低減し且つ破壊靱
性を向上させることができ、焼成時の収縮率の違いによ
る層間剥離を防止することができる。
【0021】また、積層されたグリーンシートの最上面
と最下面のグリーンシートは同一材質で構成するのが好
ましい。最上面と最下面のグリーンシートの材質を同一
とすることにより、得られる焼結体の表裏の表面性状が
同一となり、焼成後の反りを低減させることができる。
【0022】本発明においては、アスペクト比3.0以
上の炭化珪素粉末を20重量%以上配合したスラリー、
さらに好ましくは、アスペクト比3.0〜6.0の炭化
珪素粉末を20〜50重量%配合したスラリーからドク
ターブレード法により成形したグリーンシートを積層、
焼成することにより、さらに破壊靱性の改善された炭化
珪素質高温構造材料を得ることができる。アスペクト比
が3.0未満の場合には破壊靱性の改善効果が小さく、
6.0%を越えると焼結が阻害され常圧焼結による高密
度化が達成できないことがある。
【0023】一般に市販の炭化珪素ウイスカーは、アス
ペクト比が5〜10を越えるものがほとんどであるか
ら、本発明では、これら市販のウイスカー原料を粉砕し
て適用することができ、ウイスカーを面方向に配向する
ことにより厚さ方向での破壊靱性を向上させることがで
きる。ウイスカーの効果的な配向を得るためには、厚さ
が350μm以下のグリーンシートを10枚以上積層す
ることが好ましい。
【0024】グリーンシートを積層後、所望の形状、寸
法に切断加工し、脱バインダー処理を行う。脱バインダ
ー処理は、還元性雰囲気中500℃以上で行われ、この
際、シートの上下を黒鉛シートで挟むことにより、シー
トの反り等を防止することができる。脱バインダー処理
後は、不活性ガス雰囲気または真空中1800〜225
0℃の温度で加熱することにより、薄板状の炭化珪素質
焼結体を得ることができる。
【0025】セラミックコンデンサ、サーミスタのよう
な電子部品を焼成する場合、焼成用治具とこれら電子部
品とが反応しないよう、電子部品との反応が最も少ない
ジルコニアを電子部品との接触個所に被覆することが行
われる。本発明の炭化珪素質高温構造材料においても、
表面の所定部分にジルコニア(ZrO2 )を含有する被
覆層を設けることができる。被覆層の形成は、プラズマ
溶射などの手法によりジルコニア粉末を溶射することに
より行うのが好ましく、溶射層を1層以上形成する。溶
射層の剥離を防止するため、ジルコニア粉末に酸化カル
シウム、酸化マグネシウムなどの安定化剤を加えること
もできる。
【0026】この場合、表面粗さ(Ra)が1.0μm
以下の平滑面では、例えばプラズマ溶射によりジルコニ
ア含有被覆層を形成した場合、被覆層が剥離し易いとい
う問題があり、密着性の良好な被覆層を確実に形成する
ためには、炭化珪素粉末からなるスラリーからドクター
ブレード法により形成したグリーンシートを積層し、積
層されたグリーンシートの表面のうち電子部品との接触
個所に相当する所定の表面部分に、サンドペーパーある
いは粗面化した金属板を押し当てるなどの手法により、
所定の表面部分を表面粗さ(Ra)5μm以上、好まし
くは5μm以上20μm以下に粗面化したのち焼成し、
ついで粗面化された表面部分に溶射によりジルコニアを
含有する被覆層を形成するのが好ましい。
【0027】上記の方法により、焼成後未加工状態で表
面粗さ(Ra)が1.0μm以下の表面のうち所定部分
が表面粗さ5μm以上の粗面に形成され、該粗面にジル
コニアを含有する層が被覆された炭化珪素質高温構造材
料が得られる。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。これらの実施例は本発明の一実施態様を示すも
のであり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】実施例1 平均粒子径0.7μmのα型炭化珪素粉末100重量部
に対し、焼結助剤として0.3重量部の硼素粉末と2重
量部のカーボンブラック、分散剤としてマレイン酸を2
重量部、有機溶剤としてエタノール85重量部を加え、
ナイロンボールミルで10時間混合し、スラリーを得
た。
【0030】ついで、減圧攪拌脱泡を行ってスラリー中
の気泡を除去した後、ドクターブレード装置に成形用ス
ラリーを投入し、キャリアーフィルム上にスラリーを流
延しフィルムの下方向からヒータ加熱により乾燥し、厚
さ200μmのグリーンシートを得た。このグリーンシ
ートを300×300mmの寸法に切り抜き、11枚積
層して、60℃の温度に保持したホットプレス装置で熱
プレスし圧着させた。
【0031】こうして作製した積層圧着シートを295
mm径に切断した後、黒鉛シートと交互に積み重ね、窒
素中700℃で脱バインダー処理を行い、ついで、交互
に積み重なったままの状態で黒鉛ヒータ炉内に移動し、
Ar中2150℃まで加熱して、厚さ1.5mm、直径
250mm(片面の表面積:約490mm2 )の薄板状
の炭化珪素焼結体を得た。得られた炭化珪素焼結体(試
験材No.1)について、以下の方法に従って、強度、
表面粗さ、反り、耐熱衝撃性を評価した。評価結果を表
1に示す。
【0032】強度:厚さ方向は加工することなく、幅3
mm、長さ36mmの試験片を切り出し、JIS R1
601に従って、室温で3点曲げ強度を測定した。 表面粗さ:表面粗さ計を用いて表面粗さを測定し、粗さ
曲線をら、その平均線の方位に測定長さだけ抜き取り、
この抜き取り部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶
対値を合計し、算術平均した値(Ra)(中心線平均粗
さ−JIS B0601)により評価した。 反り:図1に示すように、板状炭化珪素質焼結体を平面
台2に載置したときの炭化珪素焼結体1と平面台2との
ギャップ(T)を隙間ゲージで測定し、下記の式で算出
したCを反りとする。 C=(L/T)×100(%)(Lは炭化珪素焼結体の
長さ)
【0033】耐熱衝撃性:予め1300℃の温度に加熱
保持した高温炉に炭化珪素焼結体を装入して5分後に引
出し、割れ発生の有無で評価した。さらに温度条件が過
酷な試験として、粒子径100μm以下のジルコニア
(ZrO2 )粉末を炭化珪素焼結体の表面積の80%に
なるように1kg積載し、500〜700℃の温度範囲
に保持した高温炉に装入して5分後に引出し、割れ発生
の有無を調べて評価した。いずれも炭化珪素焼結体5枚
中の割れ発生枚数で評価した。
【0034】実施例2 平均粒子径0.75μmのβ型炭化珪素粉末100重量
部に対し、実施例1と同様、焼結助剤として0.3重量
部の硼素粉末と2重量部のカーボンブラック、分散剤と
してマレイン酸を2重量部、有機溶剤としてエタノール
85重量部を加え、ナイロンボールミルで10時間混合
し、スラリーを得た。
【0035】このスラリーを用い、実施例1と同様にし
て厚さ200μmのグリーンシートを得た。得られたグ
リーンシート5枚と実施例1で作製されたグリーンシー
ト6枚を交互に積層(計11枚)して、60℃の温度に
保持したホットプレス装置で熱プレスし圧着させた後、
実施例1と同様な方法で脱脂、焼成し、実施例1と同一
寸法の薄板状の炭化珪素焼結体を得た。得られた炭化珪
素焼結体(試験材No.2)について、実施例1と同じ
方法で、強度、表面粗さ、反り、耐熱衝撃性を評価し
た。評価結果を表1に示す。
【0036】実施例3 アスペクト比5、平均粒子径10μmの炭化珪素ウイス
カー(市販の炭化珪素ウイスカーをボールミルで粉砕し
たもの)を30重量部と、β型炭化珪素粉末70重量部
の混合粉末に、実施例1と同様、焼結助剤として0.3
重量部の硼素粉末と2重量部のカーボンブラック、分散
剤としてマレイン酸を2重量部、有機溶剤としてエタノ
ール85重量部を加え、ナイロンボールミルで10時間
混合し、スラリーを得た。
【0037】このスラリーを用い、実施例1と同様にし
て厚さ200μmのグリーンシートを得た。得られたグ
リーンシートを10枚積層して、60℃の温度に保持し
たホットプレス装置で熱プレスし圧着させた後、実施例
1と同様な方法で脱脂、焼成し、実施例1と同一寸法の
薄板状の炭化珪素焼結体を得た。得られた炭化珪素焼結
体(試験材No.3)について、実施例1と同じ方法
で、強度、表面粗さ、反り、耐熱衝撃性を評価した。評
価結果を表1に示す。
【0038】比較例1 平均粒子径0.7μmのα型炭化珪素粉末100重量部
に対し、焼結助剤として0.3重量部の硼素粉末と2重
量部のカーボンブラック、イオン交換水を25重量部、
pH調整剤として水酸化ナトリウムを適量添加し、バイ
ンダーとしてアクリルエマルションを4重量部加えて、
ナイロンボールミルで40時間混合し、鋳込み成形用炭
化珪素粉末スラリーとした。
【0039】このスラリーを真空攪拌装置を用いて脱泡
処理し、直径300mm、厚さ5mmの石膏型に流し込
み、放置して着肉させた後、脱型、乾燥させて板状成形
体を得た。得られた成形体を実施例1と同様の方法で脱
脂、焼成し、厚さ4.2mmの板状炭化珪素焼結体を作
製した。作製された炭化珪素焼結体(試験材No.4)
について、実施例1と同じ方法で、強度、表面粗さ、反
り、耐熱衝撃性を評価した。評価結果を表1に示す。
【0040】
【表1】 《表注》耐熱衝撃性 x/5のxは5枚中の割れ発生枚数を示す
【0041】表1に示すように、本発明に従う試験材N
o.1〜3は、未加工の状態での表面粗さは1.0μm
以下で平滑性に優れ、反り(C)も0.1%以下であ
り、また、耐熱衝撃性についても割れの発生はほとんど
無く、電子部品焼成用のセッターや蛍光塗料焼成用のサ
ヤの蓋などとしての使用に十分耐え得る特性をそなえて
いる。これに対して、比較例1の鋳込み成形により作製
された試験材No.4は、表面粗さ、反りが大きく、耐
熱衝撃性についても割れ枚数が多く、電子部品などの焼
成用治具として適用するには信頼性に欠けるものであっ
た。
【0042】実施例4 実施例1で作製されたグリーンシートを積層、圧着して
得た積層圧着シートの表面のうちの所定部分に、#10
0サンドペーパーを押し当ててプレスすることにより粗
面化(表面粗さ(Ra)8μm)し、粗面化部分に、安
定化剤として酸化カルシウムを10重量%配合したジル
コニア粉末を、水プラズマ溶射装置により0.3mmの
厚さに溶射して、ジルコニア含有被覆層を形成した。得
られたジルコニア含有被覆層形成炭化珪素焼結体5枚
を、実施例1と同様、1300℃の温度に保持された高
温炉に装入し、5分後に引き出す耐熱衝撃性試験を行っ
たところ、5枚とも割れ発生は認められず、またジルコ
ニア含有被覆層の剥離も無く、優れた耐熱衝撃性をそな
えていることが確認された。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、表面平滑性が良好で、
反りがなく、耐熱衝撃性に優れた、厚さ0.5〜3m
m、面積100cm2 以上の薄板状の炭化珪素質高温構
造材料が提供される。当該炭化珪素質高温構造材料は、
電子部品その他の製品の焼成用治具として好適に使用で
き、例えばセッターのように処理物を積載してトンネル
炉に装入する場合や、吸引搬送するような場合にも改善
された使い易さをそなえている。
【図面の簡単な説明】
【図1】反りの測定方法を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 貴志 東京都新宿区西新宿6丁目14番1号 東海 高熱工業株式会社内 Fターム(参考) 4G001 BA07 BA14 BA22 BA60 BA68 BA86 BB07 BB14 BB22 BB60 BB68 BC14 BC17 BC24 BC31 BC35 BC54 BC62 BC72 BD04 BD16 BD23 BE02 BE03 BE23 BE32 BE35

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚さが0.5〜3mmで100cm2
    上の面積を有する相対密度90%以上の板状炭化珪素質
    焼結体からなり、ドクターブレード法により成形したグ
    リーンシートを積層、焼成して形成され、焼成後未加工
    の状態で表面粗さ(Ra)が1.0μm以下、反り
    (C)が0.1%以下であることを特徴とする炭化珪素
    質高温構造材料。但し、反り(C)とは、板状炭化珪素
    質焼結体を平面台に載置したときの炭化珪素焼結体と平
    面台とのギャップ(T)と炭化珪素焼結体の長さ(L)
    の関係(C=(L/T)×100(%))から求めた値
    をいう。
  2. 【請求項2】 ドクターブレード法により成形した厚さ
    500μm以下のグリーンシートを5枚以上積層、焼成
    して形成されることを特徴とする請求項1記載の炭化珪
    素質高温構造材料。
  3. 【請求項3】 前記焼成後未加工状態で表面粗さ(R
    a)が1.0μm以下の表面のうち所定部分が表面粗さ
    5μm以上の粗面に形成され、該粗面にジルコニアを含
    有する層が被覆されていることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の炭化珪素質高温構造材料。
  4. 【請求項4】 α型炭化珪素粉末からなるスラリーから
    ドクターブレード法により成形したグリーンシートと、
    β型炭化珪素粉末からなるスラリーからドクターブレー
    ド法により成形したグリーンシートとを交互に積層し、
    焼成することを特徴とする請求項1〜3にいずれかに記
    載の炭化珪素質高温構造材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 アスペクト比3.0以上の炭化珪素粉末
    を20重量%以上含むスラリーからドクターブレード法
    により成形したグリーンシートを積層、焼成することを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭化珪素質
    高温構造材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 炭化珪素粉末からなるスラリーからドク
    ターブレード法により形成したグリーンシートを積層
    し、積層されたグリーンシートの表面のうち所定部分を
    表面粗さ(Ra)5μm以上に粗面化したのち焼成し、
    ついで粗面化された表面部分に溶射によりジルコニアを
    含有する被覆層を形成することを特徴とする請求項3記
    載の炭化珪素質高温構造材料の製造方法。
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