JP6067394B2 - 焼成治具 - Google Patents

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本発明は、表面に特徴を有する焼成治具に関する。
電子部品や半導体素子等のデバイスは、焼成プロセス(熱処理プロセス)を経て製造されている。これらのデバイスは、一般に、原料を調合・成形した後、セッターなどの焼成治具の表面上(載置面上)に載置し、加熱炉で高温にて焼成(熱処理)することにより、セラミックス焼成体とし、次いで、これに電極を形成する等の加工をした後、最終的に組み立てることにより製造される。
電子部品等のデバイスは、例えば、セラミックスコンデンサ、セラミックス圧電材料、マイクロ波誘電体、高周波用フィルタ、半導体コンデンサ、サーミスタ、セラミックスバリスタ、セラミックスセンサ等をあげることができ、その原料として、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、希土類酸化物、あるいはこれらの複合物等のセラミックス材料をあげることができる。
これらのデバイスは、セラミックス材料に樹脂系等のバインダを含んだ原料を焼成して製造される。このバインダは、焼成時に高温により蒸散することで焼成体(製造されるデバイス)に含まれなくなる。
バインダの蒸散が不十分となると、デバイス中にバインダが残留することとなる。デバイスに残留したバインダは、部分的に抵抗値の特性を変化させる。つまり、デバイスが所望の特性を発揮できなくなる。すなわち、焼成されて製造されるデバイスは不良品となる。このため、焼成時にデバイス(被処理物)が搭載される焼成治具には、特許文献1に記載のように、バインダの蒸散を妨げないことが求められている。
焼成時にバインダの蒸散を妨げないように、焼成治具の表面にブラスト処理を施して、表面(被処理物の載置面)に凹凸を形成し、微細な隙間を形成することで、蒸散時のバインダを被処理物から拡散することが行われている。
さらに、焼成治具には、被処理物と反応を生じることが抑えられていることが求められている。焼成治具と被処理物とが反応を生じると、反応生成物が焼成後の被処理物の特性の低下を招く。さらに、焼成治具と被処理物とが反応を生じると、焼成治具の原料に用いられている粒子が被処理物と反応(焼結)して被処理物に付着するという問題も発生していた。
そして、焼成治具には、十分な強度を有していることが求められている。この要求に応えるために、従来は、緻密に形成されたセラミックスよりなる焼成治具が用いられていたが、緻密な焼成治具は、熱衝撃に弱いという問題があった。すなわち、焼成治具を繰り返し使用すると、熱衝撃により焼成治具が破損するという問題があった。
このような問題に対して、焼成治具を粗大粒を用いて形成することが考えられる。粗大粒を用いてセッターを形成すると、焼成治具が多孔質体となり、耐熱衝撃性が向上すると考えられる。
しかしながら、粗大粒から焼成治具を形成すると、粗大な粒子に起因する粒子が剥離して被処理物を汚染するという問題があった。場合によっては、剥離した粗大な粒子が被処理物に付着する(反応を生じて反応生成物が付着する)という不具合が発生しやすくなるという問題があった。
特開2006−225186号公報
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、使用時に相手部材に対して適切な接触を得ることができる焼成治具を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本発明者等は、焼成治具について検討を重ねた結果、本発明をなすに至った。
そして、相手部材に対して適切な接触を得ることができる焼成治具について検討を重ねた結果、
表面が研磨された多孔質体により形成されてなり、
(a)JIS B 0671−2に規定のレベル差(Rk)の値が1〜5.2μmであること
(b)JIS B 0671−2に規定の負荷長さ率(Mr1)が10%以下の表面を有すること
(c)JIS B 0671−2に規定の負荷長さ率(Mr2)が70%以上の表面を有すること
(d)表面粗さ(Ra)が10.00以下となるように凹状のくぼみが形成された表面を有すること
(e)表面粗さ(Rz)が75.00以下となるように凹状のくぼみが形成されたこと表面を有すること
(f)気孔率が10〜50%であること
の、(a)〜(c)を満たす焼成治具が、上記課題を解決できることを見出した。
そして、本発明の焼成治具は、表面が研磨された多孔質体により形成されてなり、JIS B 0671−2に規定のレベル差(Rk)の値が1〜5.2μmあり、負荷長さ率(Mr1)が10%以下となるとともに、負荷長さ率(Mr2)が70%以上の表面を有し、該表面に被処理物を載置した状態で熱処理を行うことを特徴とする。
本発明の焼成治具は、所定の表面を有することで相手部材に対して適切な接触をすることができ、相手部材の汚染,相手部材の変形を抑えることができる。
実施例のセッターを示した図である。 試料1のセッターの表面状態を示した図である。 試料2のセッターの表面状態を示した図である。 試料3のセッターの表面状態を示した図である。 試料4のセッターの表面状態を示した図である。 試料5のセッターの表面状態を示した図である。 試料6のセッターの表面状態を示した図である。 試料7(平板)のセッターの表面状態を示した図である。 試料8(ブラスト)のセッターの表面状態を示した図である。 実施例のセッターを繰り返し使用するときの工程を示すフローチャートである。 変形形態のセッターを示した図である。 変形形態のセッターの使用形態を示した図である。
本発明の焼成治具は、JIS B 0671−2に規定のレベル差(Rk)の値が1〜5.2μmである。すなわち、本発明の焼成治具は、上記の(a)を満たす焼成治具である。
レベル差(Rk)の値が5.2μmを超えると、相手部材との接触面積が少なくなりすぎ、相手部材と焼成治具との接触面積が少なくなりすぎることによる不具合(たとえば、相手部材を十分に支持できずに相手部材に変形を生じさせる)が発生しやすくなる。レベル差(Rk)の値が1μm未満となると、焼成治具の表面に空隙(相手部材と当接しない部分)が少なくなりすぎて、バインダの蒸散が不十分になり、脱バインダ性を維持できなくなる。
本発明の焼成治具において、好ましいレベル差(Rk)の値は、1〜4μmであり、更に好ましくは1〜3μmである。
本発明の焼成治具は、JIS B 0671−2に規定の負荷長さ率(Mr1)が10%以下の表面を有する。すなわち、本発明の焼成治具は、上記の(b)を満たす焼成治具である。
負荷長さ率(Mr1)は、微細な凹凸(凹状の開口)を有する焼成治具の表面において、凹凸の凸部が占める割合を示す。すなわち、焼成治具が、表面で相手部材に接しているときに、相手部材に対して点接触している部分の割合を示している。そして、本発明の焼成治具は、Mr1が10%以下となることで、より多くの面積で相手部材に接触することができる。ここで、Mr1が10%を超えると、相手部材との接触面積が多くなり、相手部材との接触面積の増加による不具合(たとえば、相手部材に歪みが生じたり、相手部材との間で反応を生じて相手部材を汚染する)が発生しやすくなる。
本発明の焼成治具において、好ましい負荷長さ率(Mr1)は、8%以下であり、更に好ましくは7%以下である。
本発明の焼成治具は、JIS B 0671−2に規定の負荷長さ率(Mr2)が70%以上の表面を有する。すなわち、本発明の焼成治具は、上記の(c)を満たす焼成治具である。
負荷長さ率(Mr2)は、微細な凹凸(凹状の開口)を有する焼成治具の表面において、焼成治具の凹部が占める割合を示す。すなわち、焼成治具が、表面で相手部材に接しているときに、相手部材と接触していない部分の割合を示している。そして、本発明の焼成治具は、Mr2が70%以上となることで、適切な面積で相手部材に接触することができる。ここで、Mr2が70%未満では、表面が相手部材と接触している状態で、相手部材に歪みを生じさせやすくなる。
本発明の焼成治具において、好ましい負荷長さ率(Mr2)は、75%以上である。
本発明の焼成治具は、表面粗さ(Ra)が10.00以下となるように凹状のくぼみが形成された表面を有することが好ましい。すなわち、本発明の焼成治具は、上記の(d)を満たす焼成治具であることが好ましい。
表面粗さ(Ra)が10.00以下となることで、表面が微細なくぼみ(開口幅の狭いくぼみ)を備えることとなる。表面のくぼみが微細であることで、焼成治具と相手部材とが当接したときに、相手部材に歪みを生じることがなくなる。表面の粗さが粗くなると、表面に開口したくぼみの間に相手部材自体が入り込むように変形(歪み)を生じやすくなり、相手部材の寸法精度の低下が生じやすくなる。
本発明の焼成治具において、好ましい表面粗さ(Ra)は8.00以下であり、より好ましくは7.00以下である。なお、本発明において、表面粗さ(Ra)は、JIS B 0601に規定の方法で求めることができる。
本発明の焼成治具は、表面粗さ(Rz)が75.00以下となるように凹状のくぼみが形成された表面を有することが好ましい。すなわち、本発明の焼成治具は、上記の(e)を満たす焼成治具であることが好ましい。
表面粗さ(Rz)が75.00以下となることで、焼成治具に当接する相手部材に焼成治具が付着・汚染することが抑えられる。表面粗さ(Rz)が75.00を超えると、表面の凹状のくぼみが深くなりすぎてくぼみを区画する側壁面が強度を保てなくなり、剥離が生じやすくなる。側壁面に剥離が生じると、剥離した脱落片が相手部材に付着するようになる。
本発明の焼成治具において、好ましい表面粗さ(Rz)は25.00以下であり、より好ましくは10.00以下である。なお、本発明において、表面粗さ(Ra)は、JIS B 0601に規定の方法で求めることができる。
本発明の焼成治具は、気孔率が10〜50%であることが好ましい。すなわち、本発明の焼成治具は、上記の(f)を満たす焼成治具であることが好ましい。更に好ましい気孔率は、10〜45%である。
本発明の焼成治具は、気孔率が10〜50%となることで、焼成治具の耐熱衝撃性及び強度に優れたものとなる。また、表面粗さを所定の範囲とすることを簡単にできる効果も発揮できる。気孔率が10%未満では、焼成治具が緻密質なものとなり、耐熱衝撃性が低下する。また、気孔率が50%を超えると、気孔量が多くなり、強度が低下し、焼成治具から剥離が生じやすくなる。剥離が生じると、相手部材と当接して使用したときに、剥離した剥離片が相手部材を汚染する。さらに、気孔率が高くなりすぎると、焼成治具を構成する粒子(多孔質体を形成するための粒子)と相手部材との反応・付着が生じやすくなる。
本発明の焼成治具は、上記の(a)〜(f)の少なくとも一つを満たす(詳しくは、少なくとも(a)〜(c)を満たす)ことで、被処理物となる相手部材との当接が適切なものとなり、剥離による相手部材の汚染を抑えることができるだけでなく、相手部材に歪みを生じさせることを抑えることができる。
さらに、本発明の焼成治具は、表面に凹状のくぼみを有することとなり、相手部材から蒸散したバインダ成分を、相手部材側から除去することが簡単にできる。
本発明の焼成治具は、表面が研磨された多孔質体により形成されることが好ましい。相手部材と当接する表面が、研磨された多孔質体により形成されることで、上記の(a)〜(f)の条件を満たす表面を簡単に得ることができる。また、熱処理前に多孔質体の表面を研磨することで、焼成治具(セッター)の表面に歪みが存在していたとしても、この歪みを矯正することができ、結果として、熱処理時に相手部材(被処理物)に歪みが生じることが抑えられる。本発明の焼成治具において、多孔質体の表面に施される研磨とは、焼成治具の表面を平滑にするときに用いられる表面処理方法と同様の方法であれば限定されるものではなく、たとえば、表面の凹凸を切削して平滑化する方法や、砥石を用いてその表面を研磨する方法をあげることができる。
本発明の焼成治具において、表面が、多孔質体の表面が研磨されて形成されることで、相手部材(被処理物)との接触面(表面(くぼんでいない部分))の平面度を高くすることができる。さらに、多孔質体を研磨して表面を形成することから、多孔質体の内部の細孔が研磨により露出し、露出した細孔により微細な凹状のくぼみを形成することができる。
本発明の焼成治具は、相手部材(被処理物)と当接して熱処理する前に、多孔質体の表面を研磨して載置面を形成することが好ましい。熱処理前に多孔質体の表面を研磨することで、相手部材との当接面となる表面(あるいは焼成治具)に歪みが存在していたとしても、この歪みを矯正することができ、結果として、熱処理時に相手部材に歪みが生じることが抑えられる。
多孔質体の表面の研磨を行うタイミングは限定されるものではなく、焼成治具を繰り返し使用するときに、予め決められた回数(1回以上の回数)の熱処理毎に行っても、熱処理前に表面状態を観察して所定以上の変形(歪み)・表面状態の変化が検知されたら行っても、いずれでもよい。
本発明の焼成治具において、載置面は、その材質が限定されるものではない。すなわち、従来公知の焼成治具に用いられている材質を用いることができる。たとえば、焼成治具の材質である、ジルコニア、アルミナ、ムライト、スピネル、窒化ケイ素、炭化ケイ素、又はそれらの複合材料をあげることができる。これらのうち、ジルコニアよりなることがより好ましい。表面は、これらの材質よりなる粉末(相手部材との関係で適宜決定される粒度分布等の条件を満たす)を焼成して形成されることが好ましい。
表面は、平均粒径が0.3〜2μmのジルコニア粉末を焼成してなることが好ましい。ここで、本発明において平均粒径とは、メジアン径(D50)を示す。平均粒径が0.3〜2.0μmと微細なジルコニア粉末を焼成することで、多孔質の表面を形成することができる。また、微細な粒子のジルコニア粉末から形成されたことで、比較的緻密な(細孔が少ない)表面を形成できる。緻密な表面は、強度に優れたものとなる。
さらに、表面が微細なジルコニア粉末から形成されることで、ジルコニア粉末同士が強固に焼結するため、焼成治具として相手部材の熱処理に使用したときに、微細なジルコニア粉末が被処理物と反応・付着を生じることが抑えられる。
ジルコニア粉末の平均粒径が0.3μm未満となると、粒子径が小さくなりすぎて、流動性が悪くなり、成形時の密度のバラツキが大きくなる。平均粒径が2.0μmを超えると、粒子径が大きくなりすぎて、ジルコニア粒子が相手部材に付着しやすくなる。より好ましい平均粒径は0.4〜1.5μmである。
ジルコニア粉末は、粒度分布を測定したときに、シャープなひとつのピークを示すことが好ましい。すなわち、ジルコニア粉末は、粒径が比較的そろっている粉末であることが好ましい。粒度分布がブロードなピークを示す粉末は、ジルコニア粒子の粒径にバラツキが生じることで粗大粒の割合が多くなり、焼成治具の載置面の強度が低下する。
本発明において、ジルコニア粉末は、酸化ジルコニウム(ZrO)よりなる粉末のみを示すものではなく、イットリウム、セリウム、カルシウム、マグネシウム、希土類元素などの元素が酸化ジルコニウムに添加されている部分安定化ジルコニアよりなる粉末を含む。この部分安定化ジルコニアにおける添加元素の割合は、特に限定されるものではなく、従来公知の割合(たとえば、3.0〜8.0mol%)とすることができる。そして、酸化ジルコニウムは、分離困難な酸化ハフニウム(HfO)を含有していてもよい。
平均粒径が1〜20μmのマイクロビーズとともに焼成してなることが好ましい。マイクロビーズは、焼成したときに消失して、焼結体を多孔質体とする造孔剤として機能する微粒子(よりなる粉末)である。すなわち、マイクロビーズとともに焼成することで、焼成時にマイクロビーズが消失し、焼成後の焼成体が多孔質体となる。多孔質体は、露出した細孔が、上記した凹状のくぼみとなる。
マイクロビーズの平均粒径が1〜20μmとなることで、上記の表面粗さを得られる多孔質体となる。平均粒径が1μm未満となると、粒子径が微細になりすぎて、細孔の形成の効果が十分に得られなくなる。また、平均粒径が20μmを超えると、粒子径が大きくなりすぎて、細孔径が大きくなり焼結体の強度が低下する。さらに、所望の載置面が形成しにくくなる。
マイクロビーズは、アクリル樹脂,フェノール樹脂の少なくとも一方よりなることが好ましい。マイクロビーズがこれらの樹脂より選ばれる樹脂よりなることで、焼成体の細孔を所望の細孔径(細孔特性)とすることができる。アクリル樹脂,フェノール樹脂の少なくとも一方よりなるマイクロビーズは、焼成時に消失させるときに発生する熱量が、マイクロビーズがカーボンのみからなる場合よりも小さい。
さらに、マイクロビーズは、中実体であっても、内部が空洞となっている中空体であっても、いずれでもよい。
本発明において、焼成治具として用いたときにその特性に影響を及ぼさない添加材とともに焼成することができる。
本発明の焼成治具は、その形状が限定されるものではなく、従来公知の焼成治具の形状と同様の形状とすることができる。
本発明の焼成治具は、たとえば、表面が相手部材(被処理物)が載置される載置面となる板状、間隔を隔てた状態で複数を積層できるように板を足(突起部)で支える形状、槽状等の形状をあげることができる。
上記のように、本発明の焼成治具は、相手部材(被処理物)に熱処理を施したときに、焼成治具が剥離を生じたり、焼成治具と相手部材(被処理物)とが反応して、付着・汚染が発生することが抑えられているとともに、被処理物の歪みの発生が抑えられている。このため、電子部品や半導体デバイス等のデバイスの熱処理(焼成)に用いることが好ましい。
本発明の焼成治具は、表面が研磨された多孔質体により形成されてなるものであること以外は、その製造方法が限定されるものではないが、たとえば、以下の製造方法で製造されることが好ましい。
(第一の製造方法例)
まず、焼成治具を形成する材質(ジルコニア等の無機酸化物)よりなる微細な粒子の粉末(たとえば、ジルコニア粉末),微細な粒子の造孔剤の粉末(たとえば、マイクロビーズ)が均一に混合した混合粉末を調製する。このとき、混合粉末は、添加材を有していても良い。
混合粉末を、焼成治具の形状に成形して成形体を製造する。
成形体を乾燥・脱脂・焼成(焼結)して、焼成体を製造する。
焼成体の載置面を研磨する。
以上により、本発明の焼成治具を製造することができる。
(第二の製造方法例)
まず、焼成治具を形成する材質(ジルコニア等の無機酸化物)よりなる微細な粒子の粉末(たとえば、ジルコニア粉末),微細な粒子の造孔剤の粉末(たとえば、マイクロビーズ)が均一に混合した混合粉末を調製する。このとき、混合粉末は、添加材を有していても良い。
混合粉末を、焼成治具の形状に成形して成形体を製造する。
成形体を乾燥・脱脂・焼成(焼結)して、焼成体を製造する。
焼成体の載置面に研磨処理を施して、表面に凹凸を形成する。
以上により、本発明の焼成治具を製造することができる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
本発明の焼成治具の実施形態例として、平板状のセッターを製造した。
(実施形態例)
(試料1〜6)
まず、ジルコニア粉末とマイクロビーズを、表1に記載の割合で秤量・準備した。
本実施形態例において用いたジルコニア粉末は、平均粒径(D50)が0.5〜2μmであり、8mol%でイットリア(Y)が酸化ジルコニウム(ZrO)に添加している部分安定化ジルコニアが用いられた。また、マイクロビーズは、平均粒径(D50)が5μmの、中実のアクリル樹脂粒子,フェノール樹脂粒子の少なくとも一方よりなる粉末が用いられた。
Figure 0006067394
秤量・準備した各粉末を、均一な混合状態となるまで十分に混合して混合粉末を調製した。
混合粉末を、成形型を用いて正方形の板状にプレス成形で成形した。この成形は、1000kgf/cmの圧力で加圧して行われた。
次に、成形体を自然乾燥させ、その後、大気雰囲気400℃で24時間保持して脱脂した。
脱脂後、大気雰囲気1500℃で2時間保持して焼成した(部分安定化ジルコニアを焼結させるとともに、マイクロビーズを消失させた)。焼成後、放冷で冷却して板状の焼成体(焼結体)が得られた。
得られた板状の焼成体の表面(両面)を研磨した。表面の研磨は、表面研磨機によって行われた。
以上により、多孔質体の表面が研磨されてなる試料1〜6のセッターが製造された。
製造された試料1〜6のセッター1は、図1に示したように、150×150×3mmの板状を有していた。また、各試料のセッター1は、板の両面(10a,10b)が被処理物を載せる載置面となっている。
(試料7〜8)
試料1〜6の時と同様に、板状の焼成体(焼結体)を製造した。なお、原料の配合は、表1に合わせて示した。表1に示したように、試料7〜8のセッターは、造孔剤であるマイクロビーズを用いていないため、緻密質なものとなっている。
製造された板状の焼成体を試料7(平板)のセッターとした。
また、製造された板状の焼成体の表面にブラスト処理を施して試料8(ブラスト)のセッターを製造した。
製造された各試料のセッターの載置面(10a)の負荷長さ率(Mr1,Mr2),レベル差(Rk),表面粗さ(Ra),(Rz)及び気孔率を測定し、測定結果を表2に示した。
(負荷長さ率,レベル差)
負荷長さ率(Mr1,Mr2)及びレベル差(Rk)の測定は、JIS B 0601−2に規定の方法を用いて行われた。
(表面粗さ)
表面粗さ(Ra),(Rz)の測定は、JIS B 0601に規定の方法を用いて行われた。
(気孔率)
気孔率の測定は、JIS R 2205によって、セッターの載置面を測定した。
Figure 0006067394
表2に示したように、試料1は気孔率が26%の比較的緻密なセッターであり、表面粗さ(Ra)が3、(Rz)が15となっている。試料2〜5は、気孔率が18〜48%、表面粗さ(Ra)が2〜4.5、表面粗さ(Rz)が10〜23の範囲内にあるセッターとなっている。試料6は気孔率が56%の多孔質なセッターであり、表面粗さ(Ra)が5、(Rz)が25となっている。試料7〜8は、表面が平滑又は凹凸形状となっているセッターである。
さらに、各試料の表面(載置面)の状態を評価した。
まず、各試料のセッターの表面(載置面)を確認した。製造時に表面の研磨を行った試料1〜6のセッター、及び試料7のセッターは、平滑な表面の板であった。表面の研磨を行わなかった試料8のセッターは、表面が凹凸を有していた。
次に、試料1〜6,7〜8の表面(載置面)の凹凸形状(表面の荒れ方)を測定し、図2〜9に示した。図2には試料1の、図3には試料2の、図4には試料3の、図5には試料4の、図6には試料5の、図7には試料6の、図8には試料7の、図9には試料8の、表面の凹凸の状態を、それぞれ示した。なお、図2〜9は、表面粗さ計(株式会社東京精密製、商品名:サーフコム1400)を用いて測定された。
図2〜7に示したように、試料1〜6のセッターは、載置面の表面に断面略V字状の凹状のくぼみを有していること、すなわち、表面に凸状となっている部分を有していないことが確認できる。さらに、試料1〜6のセッターは、凹状のくぼみが形成されていない表面が、略平面をなしていることが確認できる。この表面は、多孔質体を焼成した後に、表面を研磨したことにより形成されたことがわかる。
そして、図2〜7からわかるように、気孔率が高くなるほど、表面粗さ(Ra及びRz)が大きくなっていることが確認できる。すなわち、載置面の表面が研磨されて細孔が露出して、表面の凹状のくぼみが形成されたことがわかる。
また、図8に示したように試料7(平板)のセッターは、載置面の載置面の表面がマイクロビーズを用いない焼結により形成された表面でありほぼ平滑となっており凹凸がないことが確認できる。図9に示したように、試料8(ブラスト)のセッターは、載置面の表面が凹凸形状を有していることが確認できる。これらの表面は、焼成された状態の(表面の研磨が施されていない)多孔質体の表面状態、あるいはブラスト処理を施したことにより形成されたことがわかる。
試料1〜6のセッターは、凹状のくぼみが形成された表面を有しており、焼成治具として使用したときに、表面に載置された被処理物との適切な接触を得られることがわかる。対して、試料7(平板)のセッターは、ほぼ平滑な表面であり、焼成治具として使用したときに、表面に載置された被処理物からのバインダの蒸散が不十分となる。試料8(ブラスト)のセッターは、凹凸形状を有する表面であり、特に凸となった部分の先端と被処理物との焼結が生じやすくなるとともに、微細な被処理物の形状の変化(寸法精度の低下)が生じやすくなる。
(評価)
各試料のセッターの評価として、成形性及び耐熱衝撃温度を調べ、それぞれ表2に合わせて示した。
(成形性)
□200×200×4mmに成形して、ワレ、カケを目視で判断した。表2には、ワレ、カケが確認出来なかった試料は○、微細なワレ、カケが確認出来た試料は△とし、セッターとして使用できないワレ、カケが確認出来た試料は×とした。
試料1〜8のセッターでも、×と評価される、使用が不能になるほどのワレ、カケは確認できなかった。試料6のセッターでは、カケが確認されたが、セッターとしての使用に影響を及ぼさない程度の微細なカケであり、実使用での問題は生じない。
(耐熱衝撃温度)
耐熱衝撃温度の測定は、まず、各試料のセッターを150×150×3mmに加工し、加熱炉内に配置した状態で、180〜300℃の所定の加熱温度に昇温(加熱)する。炉内温度が加熱温度で安定したら、各試料のセッターが十分に加熱されたと判断し、加熱炉から各試料のセッターを取り出し、室温(25℃)下で放冷(急冷)する。各試料の温度が室温と同じ温度になったら、再び加熱炉に投入して、加熱温度に昇温(加熱)する。
この加熱温度への昇温(加熱)と、室温への放冷(急冷)を5回繰り返して、セッターに割れが生じない温度を耐熱衝撃温度とした。
表2に示したように、耐熱衝撃温度は、気孔率の増加に伴って高くなっていることが確認できる。試料1〜6のセッターは、いずれも250℃以上の耐熱衝撃温度を有するものとなっている。また、試料7〜8のセッターは、造孔剤を用いないことで緻密質となり、耐熱衝撃温度が180℃と低くなっている。
以上のように、試料1〜6のセッターは、Rkの値が所定の範囲内にあることで、いずれも被処理物との適切な接触を得られるとともに、250℃以上の耐熱衝撃温度を有するものとなっている。また、試料7〜8のセッターは、いずれも被処理物との適切な接触が得られないだけでなく、耐熱衝撃温度が試料1〜6のセッターよりも大幅に低くなっている。
(セッターの使用形態例)
上記したように、実施例において製造された本発明のセッター(焼成治具)は、耐熱衝撃性に優れたものとなっている。そのため、セッターとして被処理物の熱処理に繰り返し使用することができる。繰り返しの使用は、たとえば、以下のように行うことができる。繰り返しの使用のフローチャートを図10に示した。
被処理物を載せて熱処理を行い、その後、セッターの載置面の状態を観察する。
観察結果が、セッターとして使用可能な状態であるときには、再び、被処理物の熱処理に使用する。
観察結果が、セッターとしての使用に不適な状態(たとえば、表面粗さ(Ra,Rz)が大きすぎたり、反りや歪みが生じている状態)となっているときには、載置面に研磨処理を施す。ここで、研磨処理は、セッターの製造時に焼成体を研磨する時に行った処理と同じ処理とすることができる。
研磨処理後、被処理物の熱処理に使用する。
上記のように、本発明のセッターは、研磨処理を行うことで、新たな被処理物を載置する載置面を形成することができる。つまり、セッターとして繰り返し使用することができる。
(変形形態)
本発明のセッター(焼成治具)は、上記の板状のセッター以外に、種々の形状とすることができる。
たとえば、図11に示したように、上面(11a)が載置面となる板状の載置部(11)の周縁部に、脚部(12)が立設した略テーブル状のセッター1をあげることができる。このセッター1は、図12に示したように、複数を積層した状態で使用することができる。この場合、それぞれのセッター(1,1,・・・)に被処理物(2,2,・・・)を載せることで複数の被処理物2を一度に熱処理することができる。
本形態のセッターは、板状の載置部(11)と、脚部(12)とが同じ材質で形成しても、異なる材質で形成しても、いずれでもよい。また、板状の載置部(11)と、脚部(12)とが一体に形成されていても、別体で形成されていてもいずれでもよい。
1:セッター
11:載置部 12:脚部
2:被処理物

Claims (8)

  1. 表面が研磨された多孔質体により形成されてなり、
    JIS B 0671−2に規定のレベル差(Rk)の値が1〜5.2μmあり、負荷長さ率(Mr1)が10%以下となるとともに、負荷長さ率(Mr2)が70%以上の表面を有し、
    該表面に被処理物を載置した状態で熱処理を行うことを特徴とする焼成治具。
  2. 表面粗さ(Ra)が10.00以下となるように凹状のくぼみが形成された表面を有する請求項1記載の焼成治具。
  3. 表面粗さ(Rz)が75.00以下となるように凹状のくぼみが形成された表面を有する請求項1〜2のいずれかに記載の焼成治具。
  4. 気孔率が10〜50%である請求項1〜3のいずれかに記載の焼成治具。
  5. 前記表面が研磨された多孔質体により形成される請求項1〜4のいずれかに記載の焼成治具。
  6. 前記表面は、平均粒径が0.3〜2.0μmのジルコニア粉末を焼成してなる請求項1〜5のいずれかに記載の焼成治具。
  7. 平均粒径が1〜20μmのマイクロビーズとともに焼成してなる請求項6記載の焼成治具。
  8. 前記マイクロビーズは、アクリル樹脂,フェノール樹脂の少なくとも一方よりなる請求項7記載の焼成治具。
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