JP7431642B2 - セラミックトレイ、これを用いる熱処理方法および熱処理装置 - Google Patents

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Description

本開示は、厚さ方向に沿って大径部と小径部とを有する複数の貫通孔を備えたセラミックトレイ、これを用いる熱処理方法および熱処理装置に関する。
従来、センサ部品、モールド部品、各種基板等の電子部品やリードスイッチ等に用いられる小径のワイヤー、スパークプラグ等(以下、これらを被処理体ということがある。)を効率的に熱処理するために複数の貫通孔を備えたトレイが用いられている。すなわち、トレイに設けた複数の貫通孔に被処理体を挿入・保持させた後、トレイを加熱炉内に搬送し熱処理を行う。
このようなトレイとして、特許文献1には、常温における熱伝導率が30W/(m・K)以上であるセラミックス製トレイが提案され、厚み方向に沿って、大径部と、大径部に接続する小径部とを有する貫通孔を備えたセラミックトレイが記載されている。
また、特許文献2には、内面が焼成肌からなる最小直径が1mm以下の孔を複数個設けたセラミックトレイが提案され、特に熱処理用の治具として適したものであることが記載されている。
被処理体は、セラミックトレイの孔に装着して、加熱炉へ出し入れしたり、トレイごと搬送したりするため、セラミックトレイの孔内で振動したり、移動したりすることがある。
このとき、被処理体がセラミックトレイの内周面に接触すると、この接触によってセラミックトレイの内周面から脱粒が生じるおそれがある。脱粒した粒子は、熱処理時に被処理体の表面に固着する等の弊害が生じやすい。
特に、昨今は、電子部品等は小型化が進められているため、被処理体がセラミックトレイの内周面に接触することによって惹き起こされる脱粒の影響が相対的に大きくなる。
特開2005-132691号公報 特開2003-261384号公報
本開示の課題は、被処理体に対する内周面の影響を抑制することができるセラミックトレイおよびこれを用いる熱処理方法を提供することである。
上記課題を解決するための本開示のセラミックトレイは、厚さ方向に沿って大径部と小径部とを有する複数の貫通孔を備え、大径部の内周面は、該内周面の粗さ曲線における25%の負荷長さ率での切断レベルと、上記粗さ曲線における75%の負荷長さ率での切断レベルとの差を表す、上記粗さ曲線における切断レベル差(Rδc)が4.5μm以下である。
上記セラミックトレイを用いる本開示の熱処理方法は、セラミックトレイの貫通孔内に被処理体を挿入し、大径部と小径部との間の段差面上に被処理体を載置する工程と、被処理体を装填したセラミックトレイを熱処理炉に収容して、被処理体を熱処理する工程と、を含む。
上記セラミックトレイを用いる本開示の熱処理装置は、セラミックトレイと、該セラミックトレイを収容する熱処理炉とを備える。
本開示のセラミックトレイは、大径部の内周面の切断レベル差(Rδc)が4.5μm以下であるので、大径部の内周面の凹凸が小さく、比較的平坦である。そのため、大径部の内周面から脱粒が発生しにくくなり、脱粒によって生じる被処理体への固着等の悪影響を抑制することができる。
本開示の一実施形態に係るセラミックトレイを示す平面図である。 図1のA部分の拡大図である。 図2のX-X線断面図である。
以下、本開示の一実施形態に係るセラミックトレイを説明する。図1および図2に示すように、本実施形態に係るセラミックトレイ1はセラミックの板体で構成されており、その板体に複数の貫通孔2が形成されている。複数の貫通孔2は縦方向および横方向に配列されている。セラミックトレイ1の厚さは特に限定されないが、5mm以上25mm以下、好ましくは8mm以上20mm以下であるのがよい。
セラミックトレイ1の材質としては、高い耐熱性を有し、かつ熱サイクルの繰り返しで容易に変形や破壊を起こさない強度を有するものであるのが好ましく、例えば窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素等を主成分とするセラミック焼結体が挙げられる。
図3に示すように、貫通孔2は、熱処理される被処理体3を挿入・保持するためのものであり、セラミックトレイ1の厚さ方向に沿って大径部2aと小径部2cとを有し、それらの間に段差部2bが介在する。大径部2aは径が10mm以上25mm以下、好ましくは13mm以上20mm以下であるのがよい。隣接する大径部2a、2aの軸心間の距離(ピッチ)はできるだけ小さいのが好ましく、具体的には35mm以下であるのがよい。
小径部2cの径は、大径部2aとの間に段差部2bを確保するうえで、大径部2aの径に対して約50%以上80%以下、好ましくは60%以上70%以下であるのがよい。
大径部2aの内周面は、該内周面の粗さ曲線における25%の負荷長さ率での切断レベルと、前記粗さ曲線における75%の負荷長さ率での切断レベルとの差を表す、上記粗さ曲線における切断レベル差(Rδc)が4.5μm以下、好ましくは4.3μm以下である。また、大径部2aの内周面の切断レベル差(Rδc)は0.5μm以上であるのがよい。
切断レベル差(Rδc)が4.5μm以下であることにより、大径部2aを形成する内周面は凹凸が小さく、比較的平坦である。そのため、貫通孔2内に挿入された被処理体3がトレイ1の搬送時に移動して、大径部2aの内周面に接触し擦れて、大径部2aの内周面からの脱粒が発生するのを抑制することができる。その結果、脱粒によって生じる被処理体3への固着等の悪影響を抑制することができる。
一方、切断レベル差(Rδc)が0.5μm以上であると、大径部2aを形成する内周面の純水に対する接触角が小さくなり、親水性が高くなるので、水溶性の溶液を用いて洗浄する場合、洗浄効率が向上する。
また、切断レベル差(Rδc)の変動係数は0.5以下、好ましくは0.48以下であるのが好ましい。変動係数は標準偏差を平均値で割った値であり、平均値に対するデータとばらつきの関係を相対的に評価する際に用いられる。変動係数が0.5以下であることにより、切断レベル差(Rδc)のばらつきが少なくなり、脱粒によって生じる被処理体3への固着等の影響をさらに抑制することができる。
大径部2aの内周面は、上記粗さ曲線における算術平均粗さ(Ra)が2.3μm以下、好ましくは2.2μm以下であるのが好ましい。算術平均粗さ(Ra)が2.3μm以下であることは、大径部2aを形成する内周面の凹凸が小さく、比較的平坦であることを意味している。算術平均粗さ(Ra)の変動係数は0.5以下、好ましくは0.48以下であるのがよい。また、大径部2aの内周面の算術平均粗さ(Ra)は0.3μm以上であるのが好ましい。算術平均粗さ(Ra)が0.3μm以上であると、大径部2aを形成する内周面の純水に対する接触角が小さくなり、親水性がさらに高くなるので、水溶性の溶液を用いて洗浄する場合、洗浄効率がより向上する。
上記粗さ曲線の切断レベル差(Rδc)および算術平均粗さ(Ra)は、JIS B 0601:2001に準拠し、超深度カラー3D形状測定顕微鏡(例えば、(株)キーエンス社製のVK-9500等)によって測定することができる。測定条件は、測定モードをカラー超深度、ゲイン:953、ND(減光)フィルタ:2、高さ方向の測定分解能(ピッチ):0.05μm、倍率:200倍、カットオフ値λs:2.5μm、カットオフ値λc:0.08mmである。
ここで、1箇所当りの測定範囲は、1420μm~1520μm×520μm~620μmとすればよい。
また、大径部2aの内周面は、上記粗さ曲線におけるスキューネス(Rsk)(歪度)の絶対値が0.6以下、上記粗さ曲線におけるクルトシス(Rku)(尖度)が2.5以下であるのが好ましい。
スキューネス(Rsk)は、表面性状を表す指標の一種であり、表面に形成された凹凸形状の偏り度合いを示す。スキューネス(Rsk)が大きくなるほど、粗さ曲線における急峻な凸部および緩やかな凹部が多くなる。一方、スキューネス(Rsk)が小さくなるほど、粗さ曲線における急峻な凹部および緩やかな凸部が多くなる。
クルトシス(Rku)は、表面性状を表す指標の一種であり、表面に形成された凹凸形状の尖り度合いを示す。クルトシス(Rku)が大きくなるほど、粗さ曲線における凹凸形状はいずれも急峻になる。一方、クルトシス(Rku)が小さくなるほど、凹凸形状はいずれも緩やかになる。
スキューネス(Rsk)の絶対値は0.52以下、クルトシス(Rku)は2.2以下であるのがより好ましい。スキューネス(Rsk)およびクルトシス(Rku)は、切断レベル差(Rδc)および算術平均粗さ(Ra)の測定に使用する測定装置および測定条件にて測定することができる。
閉気孔を有し、隣り合う閉気孔の重心間距離から閉気孔の円相当径の平均値を差し引いた値(以下、この値を閉気孔間の間隔という。)が8μm以上18μm以下であるのが好ましい 。
閉気孔間の間隔が8μm以上の場合、閉気孔が比較的分散された状態で存在するため、機械的強度が高くなる。一方、閉気孔間の間隔が18μm以下の場合、400℃程度までの昇温および昇温後の室温までの降温に繰り返し晒され、閉気孔の輪郭を起点とするマイクロクラックが発生したとしても、周囲の閉気孔により、その伸展が遮られる確率が高くなる。このことから、閉気孔間の間隔が8μm以上18μm以下であると、セラミックトレイを長期間に亘って用いることができる。
閉気孔間の間隔を求めるには、まず、セラミックトレイの大径部が位置する側の主面から深さ方向に肉厚の10%~50%の範囲まで、平均粒径D50が3μmのダイヤモンド砥粒を用いて銅盤にて研磨する。その後、平均粒径D50が0.5μmのダイヤモンド砥粒を用いて錫盤にて研磨することにより、粗さ曲線における算術平均粗さ(Ra)が0.2μm以下である研磨面を得る。
研磨面の算術平均粗さRaは、上述した測定方法と同じである。
研磨面を200倍の倍率で観察し、平均的な範囲を選択して、例えば、面積が7.2×10μm(横方向の長さが310μm、縦方向の長さが233μm)となる範囲をCCDカメラで撮影して、観察像を得る。
この観察像を対象として、画像解析ソフト「A像くん(ver2.52)」(登録商標、旭化成エンジニアリング(株)製)を用いて分散度計測の重心間距離法という手法で閉気孔の重心間距離を求めればよい。以下、画像解析ソフト「A像くん」と記載した場合、旭化成エンジニアリング(株)製の画像解析ソフトを示す。
この手法の設定条件としては、例えば、画像の明暗を示す指標であるしきい値を165、明度を暗、小図形除去面積を1μm、雑音除去フィルタを無とすればよい。なお、観察像の明るさに応じて、しきい値は調整すればよく、明度を暗、2値化の方法を手動とし、小図形除去面積を1μmおよび雑音除去フィルタを有とした上で、観察像に現れるマーカーが気孔の形状と一致するように、しきい値を調整すればよい。
閉気孔の円相当径は、以下の方法で求めることができる。
上記観察像を対象として、粒子解析という手法で閉気孔の円相当径を求めればよい。
この手法の設定条件も分散度計測の重心間距離法で用いた設定条件と同じにすればよい。
酸化アルミニウムを主成分とし、珪素を含むセラミック焼結体からなり、大径部2aと小径部2cとの間の段差面を含む断面において、段差面上における珪素の濃度は、段差面と平行な仮想面上における珪素の濃度よりも高いのが好ましい。段差面とは、段差部2bの表面である。
純水に対する珪素の接触角は小さいため、段差面上における珪素の濃度が仮想面上における珪素の濃度よりも高くなると、水溶性の洗剤を用いて洗浄した場合、熱処理により汚れが付着しやすい段差面の汚れの除去効率を高くすることができる。
一方、仮想面上における珪素の濃度が段差面上における珪素の濃度よりも低くなると、酸化アルミニウムと線膨張率の異なるムライトの発生が内部で抑制されるので、内部と段差面を含む表層部との間で生じるひずみを低減することができる。
珪素の濃度は、段差面を含む研磨した断面を対象に、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いた珪素のカラーマッピング像(横方向の長さが120μm、縦方向の長さが:90μm)を観察すればよい。
なお、セラミック焼結体における主成分とは、セラミック焼結体を構成する成分の合計100質量%のうちの80質量%以上を占める成分をいう。
セラミック焼結体を構成する成分の含有量については、蛍光X線分析装置またはICP発光分光分析装置を用いて金属元素の含有量を求め、例えば、アルミニウム(Al)は、Alに換算すればよい。構成する成分は、X線回折装置を用いて同定すればよい。
次に、本開示のセラミックトレイの製造方法の一例について説明する。
セラミックトレイを構成するセラミック焼結体の主成分が酸化アルミニウムである場合について説明する。
主成分である酸化アルミニウム粉末(純度が99.9質量%以上)と、水酸化マグネシウム、酸化珪素および炭酸カルシウムの各粉末とを粉砕用ミルに溶媒(イオン交換水)とともに投入して、粉末の平均粒径(D50)が1.5μm以下になるまで粉砕した後、有機結合剤と、酸化アルミニウム粉末を分散させる分散剤とを添加、混合してスラリーを得る。
ここで、上記粉末の合計100質量%における水酸化マグネシウム粉末の含有量は0.3~0.42質量%、酸化珪素粉末の含有量は0.5~0.8質量%、炭酸カルシウム粉末の含有量は0.06~0.1質量%であり、残部が酸化アルミニウム粉末および不可避不純物である。
有機結合剤は、アクリルエマルジョン、ポリビニールアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド等である。
次に、スラリーを噴霧造粒して顆粒を得た後、1軸プレス成形装置あるいは冷間静水圧プレス成形装置を用いて、成形圧を78MPa以上98MPa以下として加圧することにより基板状の成形体を得る。
成形体には、切削加工により厚さ方向に、焼成後にそれぞれ大径部となる第1下穴および小径部となる第2下穴を形成する。ここで、第1下穴の第2下穴側の端面が形成され、この端面は焼成、研削加工後に段差面となる。
次に、焼成温度を1580℃以上1780℃以下、保持時間を2時間以上4時間以下として焼成してセラミック焼結体を得る。
開気孔の間隔が8μm以上18μmであるセラミックトレイを得るには、焼成温度を1600℃以上1760℃以下、保持時間を2時間以上4時間以下として焼成すればよい。
段差面上における珪素の濃度が、段差面と平行な段差面上における珪素の濃度よりも高いセラミックトレイを得るには、酸化珪素を含み、その含有量が、例えば、0.1質量%以上0.5質量%以下である焼成用敷粉の上に成形体を載置して焼成すればよい。
第1下穴および第2下穴のそれぞれの内周面と、第1下穴の第2下穴側の端面とをそれぞれ研削加工することによって、大径部2a、段差部2bおよび小径部2cを有するセラミックトレイを得ることができる。
ここで、大径部2aの内周面の切断レベル差(Rδc)が4.5μm以下であるセラミックトレイを得るには、ASTM E11-61に記載されている粒度番号が230以上400以下のダイヤモンドの砥粒が外周面に装着された円柱状のツールを用い、ツールの回転数を6000rpm以上10000rpm以下として、第1下穴の内周面を研削加工すればよい。
また、切断レベル差(Rδc)の変動係数が0.5以下であるセラミックトレイを得るには、粒度番号が上記範囲のダイヤモンドの砥粒が装着されたツールを用い、ツールの回転数を6000rpm以上9500rpm以下として、第1下穴の内周面を研削加工すればよい。
粗さ曲線における算術平均粗さ(Ra)が2.3μm以下であるセラミックトレイを得るには、粒度番号が上記範囲のダイヤモンドの砥粒が装着されたツールを用い、ツールの回転数を6000rpm以上9000rpm以下として、第1下穴の内周面を研削加工すればよい。
算術平均粗さ(Ra)の変動係数が0.5以下であるセラミックトレイを得るには、粒度番号が上記範囲のダイヤモンドの砥粒が装着されたツールを用い、ツールの回転数を6000rpm以上8500rpm以下として、第1下穴の内周面を研削加工すればよい。
粗さ曲線におけるスキューネス(Rsk)の絶対値が0.6以下であるセラミックトレイを得るには、ASTM E11-61に記載されている粒度番号が270以上400以下のダイヤモンドの砥粒が外周面に装着された円柱状のツールを用い、ツールの回転数を6000rpm以上8500rpm以下として、第1下穴の内周面を研削加工すればよい。
粗さ曲線におけるクルトシス(Rku)が2.5以下であるセラミックトレイを得るには、ASTM E11-61に記載されている粒度番号が325以上400以下のダイヤモンドの砥粒が270以上400以下のダイヤモンドの砥粒が外周面に装着された円柱状のツールを用い、ツールの回転数を6000rpm以上8500rpm以下として、第1下穴の内周面を研削加工すればよい。
上記のようにして得られた本実施形態のセラミックトレイ1を用いて被処理体3の熱処理を行うには、まず、セラミックトレイ1の貫通孔2内に被処理体3を挿入し、大径部2aと小径部2cとの間の段差部2bの段差面上に被処理体3を載置する。ついで、被処理体3を装填したセラミックトレイ1を図示しない熱処理炉に収容して、被処理体3を熱処理する。熱処理温度は、対象となる被処理体3の種類等によって異なるが、例えば400~1000℃程度である。熱処理は、例えば、圧力により撓むダイヤフラムと、ダイヤフラムの歪みに応じたセンサ信号を出力するセンサ素子とを接合用ガラスを溶かすことによって得られる圧力センサの製造で適用されるものである。
本開示のセラミックトレイは、大径部2aの内周面の凹凸が小さく、比較的平坦であるので、この内周面からの脱粒が発生しにくくなり、脱粒した粒子が被処理体3へ固着する等の悪影響を抑制することができる。
以下、実施例を挙げて本開示のセラミックトレイを詳細に説明する。なお、本開示のセラミックトレイは以下の実施例に限定されるものではない。
まず、主成分である酸化アルミニウム粉末(純度が99.9質量%)と、水酸化マグネシウム、酸化珪素および炭酸カルシウムの各粉末とを粉砕用ミルに溶媒(イオン交換水)とともに投入して、粉末の平均粒径(D50)が1.5μm以下になるまで粉砕した後、有機結合剤と、酸化アルミニウム粉末を分散させる分散剤とを添加、混合してスラリーを得た。
ここで、上記粉末の合計100質量%における水酸化マグネシウム粉末の含有量は0.36質量%、酸化珪素粉末の含有量は0.65質量%、炭酸カルシウム粉末の含有量は0.08質量%であり、残部が酸化アルミニウム粉末および不可避不純物である。
有機結合剤は、アクリルエマルジョン、ポリビニールアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリエチレンオキサイドである。
次に、スラリーを噴霧造粒して顆粒を得た後、冷間静水圧プレス成形装置を用いて、成形圧を88MPaとして加圧することにより基板状の成形体を得た。
成形体には、切削加工により厚さ方向に、焼成後にそれぞれ大径部となる第1下穴および小径部となる第2下穴を形成した。次に、焼成温度を1700℃、保持時間を3時間として焼成してセラミック焼結体を得た。
第1下穴および第2下穴のそれぞれの内周面と、第1下穴の第2下穴側の端面とをそれぞれ研削加工することによって、大径部2a、段差部2bおよび小径部2cを有するセラミックトレイ1を得た。
ここで、第1下穴の内周面の研削加工は、ASTM E11-61に記載されている粒度番号が400のダイヤモンドの砥粒が外周面に装着された円柱状のツールを用い、ツールの回転数を6000rpmとした。
(表面性状測定)
得られたセラミックトレイ1について、超深度カラー3D形状測定顕微鏡(前出のVK-9500)を用いて、以下の測定条件で、大径部の内周面の粗さ曲線における25%の負荷長さ率での切断レベルと、前記粗さ曲線における75%の負荷長さ率での切断レベルとの差を表す、粗さ曲線の切断レベル差(Rδc)を測定した。また、この粗さ曲線における算術平均粗さ(Ra)、スキューネス(Rsk)およびクルトシス(Rku)も測定した。その結果を表1に示す。
測定位置は、セラミックトレイ1の縦方向(図1に示す矢印Y方向)に5つの貫通孔3について各2箇所ずつ、合計10箇所を測定した。
測定は超深度カラー3D形状測定顕微鏡((株)キーエンス社製のVK-9500)を用いた。測定条件は以下の通りである。
ゲイン:953
ND(減光)フィルタ:2
倍率:200倍
カットオフ値λs:2.5μm
カットオフ値λc:0.08mm
高さ方向の測定分解能(ピッチ):0.05μm
また、1箇所当りの測定範囲は、1420μm~1520μm×520μm~620μ
mとした。
1 セラミックトレイ
2 貫通孔
2a 大径部
2b 段差部
2c 小径部
3 被処理体

Claims (9)

  1. 厚さ方向に沿って大径部と小径部とを有する複数の貫通孔を備え、前記大径部の内周面は、該内周面の粗さ曲線における25%の負荷長さ率での切断レベルと、前記粗さ曲線における75%の負荷長さ率での切断レベルとの差を表す、前記粗さ曲線における切断レベル差(Rδc)が4.5μm以下であり、前記切断レベル差(Rδc)の変動係数が0.5以下である、セラミックトレイ。
  2. 前記粗さ曲線における算術平均粗さ(Ra)が2.3μm以下である、請求項1に記載のセラミックトレイ。
  3. 前記算術平均粗さ(Ra)の変動係数が0.5以下である、請求項に記載のセラミックトレイ。
  4. 前記粗さ曲線におけるスキューネス(Rsk)の絶対値が0.6以下である、請求項1乃至請求項のいずれかに記載のセラミックトレイ。
  5. 前記粗さ曲線におけるクルトシス(Rku)が2.5以下である、請求項1乃至請求項のいずれかに記載のセラミックトレイ。
  6. 閉気孔を有し、隣り合う前記閉気孔の重心間距離から前記閉気孔の円相当径の平均値を差し引いた値が8μm以上18μm以下である、請求項1乃至請求項のいずれかに記載のセラミックトレイ。
  7. 酸化アルミニウムを主成分とし、珪素を含むセラミック焼結体からなり、前記大径部と小径部との間の段差面を含む断面において、前記段差面上における珪素の濃度は、前記段差面と平行な仮想面上における珪素の濃度よりも高い、請求項1乃至請求項のいずれかに記載のセラミックトレイ。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のセラミックトレイの前記貫通孔内に被処理体を挿入し、前記大径部と小径部との間の段差面上に被処理体を載置する工程と、
    前記被処理体を装填した前記セラミックトレイを熱処理炉に収容して、前記被処理体を熱処理する工程と、を含む、熱処理方法。
  9. 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のセラミックトレイと、該セラミックトレイを収容する熱処理炉とを備えた熱処理装置。
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