JP2011213499A - 焼成用敷板 - Google Patents
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Abstract
【課題】被焼成物であるセラミックス製品に変色を生じさせない、焼成用敷板を提供すること。
【解決手段】ムライトを主たる結晶相とし、Al2O3の含有量が60〜85質量%、SiO2の含有量が15〜40質量%であるとともに、好ましくは、Fe2O3の含有量が0.5質量%以下であり、TiO2の含有量が0.6質量%以下であり、ZrO2の含有量が0.3質量%以下であり、Na2OとK2Oの合計含有量が0.5質量%以下である焼成用敷板の提供による。
【選択図】なし
【解決手段】ムライトを主たる結晶相とし、Al2O3の含有量が60〜85質量%、SiO2の含有量が15〜40質量%であるとともに、好ましくは、Fe2O3の含有量が0.5質量%以下であり、TiO2の含有量が0.6質量%以下であり、ZrO2の含有量が0.3質量%以下であり、Na2OとK2Oの合計含有量が0.5質量%以下である焼成用敷板の提供による。
【選択図】なし
Description
本発明は、セラミック製品を得るための焼成過程で使用される、焼成用敷板に関する。
陶磁器、タイル、セラミック製電子部品、フィルタ用基材、触媒担体等のセラミックス製品を得る過程における焼成工程において、耐火物である焼成用敷板が使用される。この焼成用敷板や、それに関連する技術を開示した先行文献としては、例えば、以下に示す特許文献1〜4を挙げることが出来る。
特許文献1では、セラミックハニカム成形体用素地、50重量部以上、95重量部以下、他の素地、5重量部以上、50重量部以下から成る敷板用成形体を、セラミックハニカム成形体の焼成温度以上の温度にて焼成して成る焼成用敷板が開示されている。セラミックハニカム成形体用素地の材料としては、コージェライト、アルミナ、ムライト等が示されている。
特許文献2では、セラミック成形体中の含有量が20重量%以上の化学組成物を主要化学組成物とし、各々の主要化学組成物が70重量%以上、且つ残部が、5〜25重量%の高融点原料と、5〜25重量%の低熱膨脹原料から成る敷板用成形体を、セラミック成形体の焼成温度と同等又はそれ以上の温度にて焼成して成る焼成用敷板が開示されている。主要化学組成物の材料としては、コージェライト、ムライト等が示されている。
特許文献3では、シリマナイト結晶粒子とムライト結晶粒子とを含み、シリマナイト結晶粒子とムライト結晶粒子とが混在して焼結されて板状に形成され、開気孔率が5〜50%、曲げ強さ5〜150MPaである焼成用敷板が開示されている。
特許文献4では、セラミック焼成物を、そのセラミック焼成物に含まれる鉄分がAwt%であるときに、含まれる鉄分がBwt%であり、A−0.4≦B≦A(0.05≦B≦3)である焼成用敷板が開示されている。
焼成用敷板は、高温でなされる焼成で使用されるため、繰り返しの使用によって、反り変形や、クラックの発生、表面荒れ等が発生し易く、それに伴って、焼成して得られるセラミックス製品には、変形、破損、反応不良が発生することがある。使い捨てにすれば、このような問題は回避出来るが、そうすると、コスト増を招来する。又、1回の使用であっても、急な昇温による熱衝撃で破損したり、焼成中に炉の材料と反応して反り変形を生じることがある。特許文献1〜3に開示された技術によれば、これらのような問題は、概ね解消されているといえる。
一方、焼成用敷板の材料として不純物を多く含む原料を使用した場合には、高温で使用中にガラス相(液相)が存在し、そこに遷移金属元素が溶け込んでいて、これが被焼成物であるセラミックス成形体(セラミックス製品の前駆体)に移動し、着色の原因となる結晶を形成し、セラミックス製品が着色されてしまうおそれがある。天然原料を用いたセラミックス製品には不純物を含んでいるため、セラミックス製品中にも焼成時に液相が存在する。焼成用敷板及びセラミックス製品の両者に液相が存在し、且つ、両者間の遷移金属濃度の差が大きいと、着色の原因となる遷移金属元素の相互移動が多くなり、着色が生じ易くなる。このような問題は、特許文献1〜3に開示された技術では、解消されていない。又、焼成用敷板にコランダムが多くあると、被焼成物のセラミックス成形体中の原料物質との接触部分で反応し、成形体と敷板の固着部分が増加する。
上記着色の原因物質として、ガラス成分であるナトリウム、カリウム、あるいは遷移金属である鉄、チタン、ジルコニアが重要なものであることが、これまでの検討の結果、見出されている。チタンは、酸化化合物結晶として存在する。特にルチル(Rutile)には、鉄が固溶し、赤色の着色を示す。又、Fe3O4−TiO2系の疑板チタン石(Pseudobrookite)は、黒色を呈し、微量の存在で、灰黒色の着色を示す。従って、これら結晶を形成する、鉄、チタンの含有量が、着色に大きく影響する。又、ジルコニアは、酸化チタンと反応し、チタン酸ジルコニウム(ZrTiO4)を徐々に形成し、酸化チタンを固定する。このため、着色の原因となる酸化鉄−酸化チタン化合物中の酸化チタンが、ジルコニアと化合物を形成し、相対的に、液相中の酸化鉄含有量が増加し、着色を示す。ナトリウム、カリウムのアルカリ金属は、液相形成温度を下げ、又、その量の増加によって着色に影響するため、アルカリ金属の量は少ないほどよい。これに対し、特許文献4に開示された技術では、鉄分を規定しているが、アルカリ金属、チタン、ジルコニアの量については、規定されていない。焼成用敷板の材料が不純物を含有するものであることについては、特許文献1〜3の技術と変わりはない。従って、特許文献4に開示された技術によっても、例えば、セラミックス製品の材料としてコージェライト化原料を使用したときに、焼成時(コージェライト化時)に、焼成用敷板の表面の液相と接するセラミックス成形体(セラミックス製品)の接触面において、ガラスを主成分とした液相に溶け込んだ遷移金属による変色を、抑えるには至らない。
本発明は、このような背景の下でなされたものであり、その課題とするところは、少なくとも焼成して得られるセラミックス製品に変色を生じさせない、またセラミックス製品との固着を生じさせない、焼成用敷板を提供することである。研究が重ねられた結果、焼成用敷板の表面における液相の生成を抑制すべく、製品との反応固着を抑制すべく、生焼結温度の高い、高純度な、ムライトを採用することによって、この課題が解決されることが見出され、本発明の完成に至った。
即ち、先ず、本発明によれば、ムライトを主たる結晶相とし、Al2O3の含有量が60〜85質量%、SiO2の含有量が15〜40質量%であり、且つ、Fe2O3の含有量が0.5質量%以下、TiO2の含有量が0.6質量%以下、ZrO2の含有量が0.3質量%以下、Na2OとK2Oの合計含有量が0.5質量%以下である焼成用敷板が提供される。
ムライトを主たる結晶相とし、とは、主結晶相中においてムライトが最大含有量となることを意味する。主結晶相中の各成分の含有量は、X線回折装置(XRD)で定量することが出来る。Fe2O3、TiO2、ZrO2、及びNa2OとK2Oの合計、のそれぞれにおける含有量の下限は、検出下限値である。
本発明に係る焼成用敷板においては、Al2O3の含有量が70〜85質量%、SiO2の含有量が15〜30質量%であることが好ましい。
本発明に係る焼成用敷板においては、Al2O3の含有量が70〜80質量%、SiO2の含有量が20〜30質量%であることが、特に好ましい。
本発明に係る焼成用敷板においては、Fe2O3の含有量が0.2質量%以下であり、TiO2の含有量が0.3質量%以下であり、ZrO2の含有量が0.2質量%以下であり、Na2OとK2Oの合計含有量が0.2質量%以下であることが、好ましい。
本発明に係る焼成用敷板は、ムライト、ムライトとコランダム、及びムライトとシリカのうち、何れかを主原料として作製されることが好ましい。
本発明に係る焼成用敷板は、ムライトとコランダムからなる粒状の主原料として作製され、コランダムの平均粒径が2mm以下であることが好ましい。これは、固着を防止すべく、セラミック成形体と焼成用敷板の接触部分を少なくするためである。より好ましいコランダムの平均粒径は1mm以下である。
本発明に係る焼成用敷板は、1550℃以上の温度で焼成されて作製されることが好ましい。より好ましい焼成温度は、1600℃以上1700度以下である。
本発明に係る焼成用敷板は、(セラミックス製品である)コージェライト(製)のハニカム構造体を作製するための焼成過程で使用されることが好ましい。
次に、本発明によれば、ムライト、ムライトとコランダム、及びムライトとシリカのうち、何れかからなる主原料として用い、それら主原料を、Al2O3の含有量が60〜85質量%、SiO2の含有量が15〜40質量%になり、且つ、Fe2O3の含有量が0.5質量%以下、TiO2の含有量が0.6質量%以下、ZrO2の含有量が0.3質量%以下、Na2OとK2Oの合計含有量が0.5質量%以下になるように調製して、配合物を得て、その配合物を坏土にして敷板の形状に成形し成形体を得た後に、1550℃以上の温度で焼成して焼成用敷板を得る焼成用敷板の製造方法が提供される。
次に、本発明によれば、上記した何れかの焼成用敷板を用い、コージェライト化原料からなるハニカム成形体を焼成してハニカム構造体(セラミックス製品の一例)を得る焼成用敷板の使用方法が提供される。これは、本発明に係る焼成用敷板を用いたハニカム構造体の製造方法ということが出来る。ハニカム成形体は、コージェライト化原料を用い、これを坏土にしてハニカム構造の形状に成形した成形体であり、焼成前のハニカム構造体(ハニカム構造体の前駆体)である。コージェライト化原料は、焼成によってコージェライトになる材料であり、タルク、カオリン、アルミナ、水酸化カルシウム、及びシリカのうちから複数を組み合わせて、その化学組成が、SiO2(シリカ)42〜56質量%、Al2O3(アルミナ)30〜45質量%、及びMgO(マグネシア)12〜16質量%となるように調合された材料である。
本発明に係る焼成用敷板は、ムライトを主たる結晶相とし、Al2O3の含有量が60〜85質量%、SiO2の含有量が15〜40質量%である。即ち、高純度のムライトで作製されたものであるので、焼成用敷板の表面において液相の生成がなく、セラミックス製品に変色を生じさせ難い。又、焼成用敷板自体も変色しないから、焼成用敷板の寿命が長くなる。
本発明に係る焼成用敷板は、Fe2O3の含有量が0.5質量%以下であり、TiO2の含有量が0.6質量%以下であり、ZrO2の含有量が0.3質量%以下であり、Na2OとK2Oの合計含有量が0.5質量%以下である。即ち、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム)の含有量が少なく、加えて、遷移金属の含有量も少ない。そのため、焼成用敷板の表面において液相の生成がなく、セラミックス製品に変色を生じさせ難い。又、焼成用敷板自体にも変色せず、焼成用敷板の寿命が長くなる。焼成用敷板のアルカリ金属の含有量が多く(Na2OとK2Oの合計含有量が0.5質量%超であり)、遷移金属の含有量が多いと(Fe2O3の含有量が0.5質量%超であるか、TiO2の含有量が0.6質量%超であるか、又はZrO2の含有量が0.3質量%超であると)、焼成時に、アルカリ金属の影響で焼成用敷板に低融点ガラスが形成され、そのガラスによる液相に溶け込んだ遷移金属が、焼成されるセラミックス成形体に転写されて、その遷移金属に基づくセラミックス製品の変色が生じ得る。本発明によれば、このような問題を回避出来る。
本発明に係る焼成用敷板は、その好ましい態様において、ムライトとコランダムからなる粒状の主原料として作製され、そのうちコランダムの平均粒径が2mm以下であるので、セラミックス製品と焼成敷板との接触点の数が少ないため、セラミックス成形体に接触し難く、焼成して得られるセラミックス製品と焼成敷板との固着を生じさせ難い。
本発明に係る焼成用敷板は、その好ましい態様において、1550℃以上の温度で焼成され(完全に焼結したものとして)作製されるので、強度に優れる上に、例えば、通常、1300℃前後で焼成されるコージェライトのハニカム構造体を作製するための焼成過程で使用される場合には、その温度より高い温度で焼成されていることになり、反応は終結していて活性は失われているので、ハニカム構造体に変色を生じさせ難い。焼成温度が、1550℃未満であると、焼結不足となり、強度が低下することがある。
以下、本発明の実施の形態について、適宜、図面を参酌しながら説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は以下に記述される手段である。
先ず、本発明に係る焼成用敷板について、説明する。本発明に係る焼成用敷板は、ムライトを主たる結晶相としてなるものである。ムライトを主原料として作製することが出来るものであり、ムライトの他にコランダム又はシリカを原料として用いることが出来る。原料として、ムライトとコランダムを使用した場合、ムライト−コランダムと表現し、ムライトとシリカを使用した場合、ムライト−シリカと表現することがある。本発明に係る焼成用敷板は、その成分組成(酸化物組成)が、Al2O3の含有量が60〜85質量%、SiO2の含有量が15〜40質量%であり、特に好ましくは、Al2O3の含有量が70〜80質量%、SiO2の含有量が20〜30質量%である。
本発明に係る焼成用敷板は、不純物の含有量が少なく、特に遷移金属とアルカリ金属の含有量は、極僅かである。遷移金属については、Fe2O3の含有量が0.5質量%以下であり、TiO2の含有量が0.6質量%以下であり、ZrO2の含有量が0.3質量%以下である。アルカリ金属については、Na2OとK2Oの合計含有量が0.5質量%以下である。Na2OとK2Oを合わせて、(Na+K)2Oと表現することがある。
次に、本発明に係る焼成用敷板の製造方法について説明する。ムライト、ムライトとコランダム、ムライトとシリカのうち、何れかからなる主原料として用意する。これらは粒状物として入手可能である。ムライトは、化学式3Al2O3・2SiO2で表現される物質であり、Al2O3とSiO2のモル比が3:2であり、特に耐火性に優れるものである。原料にコランダムが含まれる場合には、平均粒径が2mm以下のもの(より好ましくは1mm以下のもの)を使用することが好ましい。
上記の原料を、Al2O3の含有量が60〜85質量%、SiO2の含有量が15〜40質量%になるように調製して、配合物を得て、その配合物に水を添加して、解砕、混合し(所謂トロンメルと呼ばれる手段により、)スラリーを調製する。そして、このスラリーを篩に通し、次いで、例えばフィルタープレスによって脱水し、乾燥させた物を解砕後、水分を調整して、坏土を得る。その後、その坏土を、例えばプレス成形法や鋳造法等の手段によって成形し、1550℃以上、望ましくは1600℃以上1700度以下で焼成すれば、本発明に係る焼成用敷板が得られる。
本発明に係る焼成用敷板の大きさは、多種のセラミック成形体に対処し得るような大きさであればよい。焼成用敷板の形状は、概ね板状であればよく、セラミック成形体と接触する面は平坦であればよいが、特に好ましい形状として、図1に示されるような、辺縁部から中央部にかけて隆起する曲面を有するものを挙げることが出来る。こうすると、ハニカム成形体2の下端面2aと焼成用敷板1の被焼成体積載面1aとは、点接触となり、両者の間に隙間が確保され、ハニカム成形体2の焼成中の収縮、膨張等に起因する、ハニカム成形体2の外縁部の被焼成体積載面1aに対する引掛かりが防止されるとともに、隙間からハニカム成形体2の各セル内へ良好に熱が侵入する。この態様の場合、その曲面の最頂部と辺縁部との段差hは、1.5mm以下(より好ましくは、0〜1.0mm、更に好ましくは、0〜0.5mm)であることが好ましい。このような曲面を有することによって、焼成用敷板1とハニカム成形体2(セラミック成形体)との接触面積を小さくすることが出来、焼成用敷板1とハニカム成形体2とに組成差があった場合でも付着が生じ難くなる。一方、段差hが1.5mmを超過した場合、焼成用敷板1上に載置されたハニカム成形体2の安定性が悪くなり、焼成中に倒壊するおそれが生じたり、ハニカム成形体2の接触面中央部に歪みが生じたりするため、好ましくない。
次に、本発明に係る焼成用敷板の使用方法について説明する。本発明に係る焼成用敷板は、コージェライト化原料からなるハニカム成形体を焼成してハニカム構造体を得るために,好適に使用される。ハニカム構造体とは、外形が円柱状又は四角柱状を呈し、一の端面から他の端面まで延びる複数のセルを有するものであり、そのセルは、隔壁によって区画され、流体の流路となるものである。ハニカム構造体は、フィルタ用基材、触媒担体等として好適に用いられる。
コージェライトのハニカム構造体を得るためには、先ず、骨材粒子としてコージェライト化原料を所定の割合で用意し、これに、水、有機バインダ(ヒドロキシプロポキシルメチルセルロース、メチルセルロース等)、造孔材(グラファイト、澱粉、合成樹脂等)、界面活性剤(エチレングリコール、脂肪酸石鹸等)等を混合し、次いで、ニーダ、真空土練機等を用いて混練することによって坏土を得て、その後、その坏土を、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を備えた押出成形機を用いて押出成形して、所望の形状に成形し、更に、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機等を用いて乾燥することによって、ハニカム成形体を得る。
そして、得られたハニカム成形体を起立状態にして、本発明に係る焼成用敷板の上に載置し(図1を参照)、焼成炉内に搬入し、例えば1300℃程度で焼成し、取り出して冷却すれば、焼成による不良が発生していない、良好なハニカム構造体が得られる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜9、比較例3〜5)ムライトが概ね50〜99質量%、コランダムが概ね0〜50質量%、シリカが概ね0〜15質量%となるように秤量し、これらの配合物が100質量%に対して、水を50質量%添加して混合し、スラリーを調製した。コランダムを用いる場合には、その平均粒径を2mm以下とした。そして、そのスラリーを200μmの篩に通し、次いで、そのスラリーを脱水して乾燥させ、その後、解砕し、5質量%に水分調整して、坏土を得た。そして、その坏土を、油圧プレス成形機を用いて、縦100mm×横100mm×厚さ8mmの平板にプレス成形し、1550℃で焼成して、焼成用敷板を得た。
次に、得られた焼成用敷板を用いて、コージェライト化原料を用いたハニカム成形体を焼成し、焼成用敷板とハニカム成形体(被焼成物)との固着、ハニカム成形体(被焼成物)の変色を評価した。評価した結果を、コランダムの平均粒径、焼成用敷板の形状、焼成用敷板の鉱物組成、酸化物組成(主成分組成)、微量成分組成とともに、表1に示す。
(実施例10)所望の金型を備えた油圧プレス成形機を用いて、坏土を、直径がφ100mmの円形であり、図1に示されるような、辺縁部から中央部にかけて隆起する曲面を有する、円形−曲面凸板に成形した。段差hは、1mmである(図1を参照)。これら以外は、実施例1〜9、比較例3〜5と同様にして、焼成用敷板を得て、それを用いて、コージェライト化原料を用いたハニカム成形体を焼成し、焼成用敷板とハニカム成形体(被焼成物)との固着、ハニカム成形体(被焼成物)の変色を評価した。評価した結果を、コランダムの平均粒径、焼成用敷板の形状、焼成用敷板の鉱物組成、酸化物組成(主成分組成)、微量成分組成とともに、表1に示す。
(比較例1,2)ムライトが50質量%未満、コランダムが50質量%超となるように秤量し(シリカは0質量%)、これらの配合物が100質量%に対して、水を50質量%添加して混合し、スラリーを調製した。それ以外は、実施例1〜9、比較例3〜5と同様にして、坏土を得て、その坏土をプレス成形して、焼成用敷板を得て、それを用いて、コージェライト化原料を用いたハニカム成形体を焼成し、焼成用敷板とハニカム成形体(被焼成物)との固着、ハニカム成形体(被焼成物)の変色を評価した。評価した結果を、コランダムの平均粒径、焼成用敷板の形状、焼成用敷板の鉱物組成、酸化物組成(主成分組成)、微量成分組成とともに、表1に示す。
(比較例6)コランダムを用い、その平均粒径を2mm超とした。それ以外は、実施例1〜9、比較例3〜5と同様にして、坏土を得て、その坏土をプレス成形して、焼成用敷板を得て、それを用いて、コージェライト化原料を用いたハニカム成形体を焼成し、焼成用敷板とハニカム成形体(被焼成物)との固着、ハニカム成形体(被焼成物)の変色を評価した。評価した結果を、コランダムの平均粒径、焼成用敷板の形状、焼成用敷板の鉱物組成、酸化物組成(主成分組成)、微量成分組成とともに、表1に示す。
各試料の鉱物組成は、X線回折の積分強度比から求めた。X線回折は、X線回折装置(RINT−1100 株式会社リガク製)を用いて、Cu−Kαを線源とする粉末X線回折を行い、得られたX線回折パターンの2θ(回折角)のピーク位置(16.5、21.9°、43.4°)における積分強度比を求めた。16.5°はムライトに相当し、43.4はコランダムに相当し、21.9°はシリカ(クリストバライト)に相当する。
主成分組成(酸化物組成)及び微量成分組成は、蛍光X線分析装置(PHILIPS社製PW2606)を用い、試料表面にX線を照射して対象元素の強度測定を行い求めた。
ハニカム成形体は、コージェライト化原料として、タルク、カオリン、アルミナを用い、これらコージェライト化原料100質量部に、造孔材を13質量部、水(分散媒)を35質量部、有機バインダを6質量部、分散剤を0.5質量部、それぞれ添加し、混合、混練して坏土を調製し、得られた坏土を押出成形して得た。このハニカム成形体は、円柱状であり、その軸長は152mm、軸に垂直な断面の直径は144mm、その断面に現れるセルの形状は四角形であり、セル密度は400cpsi(セル/平方インチ)、隔壁の厚さは6ミル(1ミルは約0.0254mm)である。
ハニカム成形体(被焼成物)との固着は、焼成後、ハニカム成形体を焼成用敷板から取り上げたときの状況と接触面の目視観察によって評価した。殆どなしとは、ハニカム成形体は抵抗なく焼成用敷板から離れたが、接触面には固着の痕跡が確認された場合である。
ハニカム成形体(被焼成物)の変色は、焼成後、ハニカム成形体を目視観察して評価した。殆どなしとは、変色が見られたが、その面積がハニカム成形体の下端面の面積の1/10未満の場合である。
本発明に係る焼成用敷板は、陶磁器、タイル、セラミック製電子部品、フィルタ用基材、触媒担体等のセラミックス製品を得るための焼成過程において利用される。特に、コージェライトのハニカム構造体(フィルタ用基材、触媒担体)を得るための焼成過程において、好適に利用される。
1:焼成用敷板、1a:(焼成用敷板の)被焼成物積載面、2:ハニカム成形体(被焼成物)、2a:(ハニカム成形体の)下端面。
Claims (9)
- ムライトを主たる結晶相とし、Al2O3の含有量が60〜85質量%、SiO2の含有量が15〜40質量%であり、且つ、
Fe2O3の含有量が0.5質量%以下、TiO2の含有量が0.6質量%以下、ZrO2の含有量が0.3質量%以下、Na2OとK2Oの合計含有量が0.5質量%以下である焼成用敷板。 - 前記Al2O3の含有量が70〜80質量%、前記SiO2の含有量が20〜30質量%である請求項1に記載の焼成用敷板。
- Fe2O3の含有量が0.2質量%以下であり、TiO2の含有量が0.3質量%以下であり、ZrO2の含有量が0.2質量%以下であり、Na2OとK2Oの合計含有量が0.2質量%以下である請求項1又は2に記載の焼成用敷板。
- ムライト、ムライトとコランダム、及びムライトとシリカのうち、何れかを主原料として作製される請求項1〜3の何れか一項に記載の焼成用敷板。
- ムライトとコランダムからなる粒状の主原料として作製され、そのうちコランダムの平均粒径が2mm以下である請求項1〜3の何れか一項に記載の焼成用敷板。
- 1550℃以上の温度で焼成されて作製される請求項4又は5に記載の焼成用敷板。
- コージェライトのハニカム構造体を作製するための焼成過程で使用される請求項1〜6の何れか一項に記載の焼成用敷板。
- ムライト、ムライトとコランダム、及びムライトとシリカのうち、何れかを主原料として用い、それら主原料を、Al2O3の含有量が60〜85質量%、SiO2の含有量が15〜40質量%になり、且つ、Fe2O3の含有量が0.5質量%以下、TiO2の含有量が0.6質量%以下、ZrO2の含有量が0.3質量%以下、Na2OとK2Oの合計含有量が0.5質量%以下になるように調製して、配合物を得て、その配合物を坏土にして敷板の形状に成形し成形体を得た後に、1550℃以上の温度で焼成して焼成用敷板を得る焼成用敷板の製造方法。
- 請求項1〜6の何れか一項に記載の焼成用敷板を用い、コージェライト化原料からなるハニカム成形体を焼成してハニカム構造体を得る焼成用敷板の使用方法。
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---|---|---|---|---|
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WO2017163497A1 (ja) * | 2016-03-24 | 2017-09-28 | 日本碍子株式会社 | 焼成用トチ、及び焼成用トチを用いたハニカム構造体の製造方法 |
JP7431642B2 (ja) | 2019-04-05 | 2024-02-15 | 京セラ株式会社 | セラミックトレイ、これを用いる熱処理方法および熱処理装置 |
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2010
- 2010-03-31 JP JP2010080801A patent/JP2011213499A/ja not_active Withdrawn
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