JP5092135B2 - 多孔質体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明は、原料粉末であるセラミックス粒子の粒径(サイズ)や形状に依存せずに、加圧・通電加熱焼結法を用いて、焼結助剤を用いないバインダレス化焼結、好ましくは、焼結助剤を全く用いない完全なバインダレス化焼結により、多孔質体からの原料粉末粒子や不純物などの離脱、および通気孔の不均一さによる気体や液体の流れに及ぼす影響をなくした、例えば、完全になくした多孔質体とその製造方法に関するものである。
これらの問題を解決する方法としては、例えば特許文献4に開示されているように、加圧・通電加熱焼結法を用いて、線材の焼結により多孔質体を作製する方法があるが、セラミックスで当該多孔質体を作製することは、原材料であるセラミックス製線材の入手ならびにそれを用いた製造面において困難性がある。
また、本発明の第2の課題は、上記従来技術の問題点を解消し、セラミックス原料粉末の種類や粒径やサイズに依存せずに、焼結助剤を用いないバインダレス化、特に、焼結助剤を一切用いない完全なバインダレス化が図られた多孔質体を提供し、さらに、このようなバインダレス化を図ると共に、加圧・通電加熱焼結法を用いる際の冶具類に対して、上下スペーサの設置やダイスのクリアランスなどに関して大幅な改良を施すことにより、加工時や使用時において粒子の離脱のない連続気孔を有した多孔質体を歩留り良く多数枚製造できる簡便な多孔質体の製造方法を提供することにある。
また、前記加圧通電加熱焼結法、又は前記加圧焼結法は、真空中又は不活性ガス雰囲気中において、加圧される場合の加圧力を10MPaから60MPaとされ、1200℃以上の所定の焼結温度まで、昇温速度30℃/minから45℃/minで昇温され、前記焼結型における前記多孔質体の変位が停止してからの保持時間を2時間以内として行われることが好ましい。
また、前記加圧通電加熱焼結法が、真空中において、加圧力を60MPaとされ、室温から所定の焼結温度である1430℃まで、40℃/minの速度で昇温され、前記所定の焼結温度で1時間保持され、その後除荷されて500℃まで自然冷却されることで行われることが好ましい。
また、前記多孔質体の目的とする相対密度が50%未満の場合には無加圧で、50%以上の場合には加圧され、製造されることが好ましい。
また、任意に設定した相対密度に対して、5%以内の密度範囲内であることが好ましい。
また、本発明第3の態様によれば、原料粉末の粒子間における結合力が極めて強固であるため、完全なバインターレス化を行なった多孔質体であるにも係わらず、原料粉末粒子の離脱がない多孔質体が実現できる。
また、本発明の第4の態様において、焼結型の中に焼結体同士を分離して良好な離型性を有することを目的とするセパレータを設置することにより、2枚以上の多孔質体を歩留り良く製造することを可能としている。
まず、本発明の第1の態様の多孔質体および第2の態様の多孔質体の製造方法について説明する。
本発明において用いることのできる加圧・通電加熱焼結は、基本的に、パルス的に印加される電圧により焼結粒子間にミクロ的なプラズマ現象を発生させ、自己発熱効果により焼結を効率的に促進させる手法であり、ダイスとパンチャを装置の所定位置にセットし、上下スペーサを介して加圧後に加熱または通電を開始し、焼結の進行に伴って焼結体が収縮することにより変位が進行し、最高温度に到達してそこで保持されるまで、あるいは冷却時においても常に一定の加圧力を負荷する。このため、従来の加圧・通電加熱焼結では、必要以上の過度の変位が焼結体に対して発生するために、粒子間のネックが過剰に成長して、多孔質体における通気孔の埋没や変形、不完全な連続通気孔が誘発されることが指摘されていた。
本発明の前提となる本出願人の一人に係る特許文献1の発明は、この点を鑑み改良なされたものであり、焼結温度の保持時において変位を生じさせないように、焼結の進行により生じる変位の発生直後に昇温を止めると共に、加圧力を一定にして、変位がそれ以上に進まないようにする。これにより無機質多孔質体で、構成粒子の接点のみの接合が初めて可能となるとしている。さらに、変位が開始された直後10分以内に原料の変位を停止することが好ましく、特に、変位が開始された直後に変位を停止させることが好ましいとしているが、焼結に伴う開始点の判断が困難であり、気孔率と気孔径を同時に制御しようとした場合保持時間が多孔質体組織に大きく影響するため工業的見地から安定した製品を作り出すことに困難さを有していた。
また、セラミックス粒子の平均粒径を10μm〜50μmに限定する理由は、原料平均粒子径が10μm未満の場合、加圧通電加熱焼結法によらず、一般的な加圧焼結法でも焼結可能となるが、焼結性が優れるが故に組織制御が困難であり、気孔径および気孔率共にバラツキが大きくなり、固液分離用フィルタや除塵用もしくは液中の微粒子除去用等の濾過、フィルタリング用途として不適となるからである。また、原料粒子径が3μm以下となれば、無加圧の常圧焼結でも、多孔質体製造は可能となるが、生成気孔径が小さく、また、焼結性に富むが故に、気孔率の制御が困難となり、上記同様の用途としては不適となる。
一方、原料平均粒子径が50μm超の場合、粒子充填性の均一性が劣り、気孔径/率の制御が困難であり焼結性が劣るため通電加熱焼結に於いても多孔質体として充分な強度発現が困難であるからである。
ここで、セラミックス粒子の形状を、球状を含み、アスペクト比が1以上1.2以下とするのが好ましい理由は、構成粒子の充填均一性の向上のためであり、アスペクト比が1.2超の場合、生成気孔径の制御が困難となるからである(扁平粒子増による生成気孔径の不均一化)からである。
ここで、セラミックス粒子の粒子間の通気孔の平均気孔径を、2μm〜25μmの範囲とするのが好ましい理由は、フィルタリングにおいて好適な気孔径範囲内でありであり、通気孔の平均気孔径が2μm未満の場合、通気性に乏しくフィルタリング用途に於いて好ましくないからであり、通気孔の平均気孔径が25μm超の場合、気孔率と併せた制御が著しく困難となるからである。
また、セラミックス粒子の粒子間の通気孔の気孔率を、10%〜50%の範囲とするのが好ましい理由は、フィルタリング等の通気を重視したからであり、通気孔の気孔率が10%未満の場合、通気性が著しく低下しフィルタリング用途として不適となるからであり、通気孔の気孔率が50%超の場合、多孔質体の強度的に低下し好ましくないからである。
本発明の第2の態様の多孔質体の製造方法は、上述した本発明の第1の態様の多孔質体を、加圧・通電加熱焼結、もしくは加圧焼結で焼結するものである。
なお、本発明の第2の態様の多孔質体の製造方法も含め、多孔質体の製造方法については、本発明の第4の態様の多孔質体の製造方法と共に後述する。
本発明の第1の態様に係る多孔質体および本発明の第2の態様に係る多孔質体の製造方法によれば、原料粉末セラミックス粒子および多孔質体には、実質的に焼結助剤成分を含まないため、強酸、強アルカリ環境下での固液分離用フィルターや除塵用もしくは液中の微粒子除去用等の濾過、フィルタリング用途並びに触媒単体としても好適なセラミックス系多孔質体を製造することが可能である。
まず、本発明の第4の態様の多孔質体の製造方法について説明する。
図1は、本発明に係る多孔質体の製造方法に用いられる加圧・通電加熱処理用焼結型の一実施形態の概略を示す模式的断面図である。
以下では、図1に示す加圧・通電加熱処理用焼結型を用いて、1枚の多孔質体を製造する場合について説明する。
なお、この焼結型10をその内部に設置して、加圧・通電加熱処理方法による多孔質体の製造を行う加圧・通電加熱焼結装置12は、この焼結型10に充填された原料粉末14を上部パンチャ18および下部パンチャ20を介して加圧力を印加する加圧装置(図示せず)と、この焼結型10に充填された原料粉末14に上部パンチャ18および下部パンチャ20を介して通電して、原料粉末14を加熱する通電加熱装置(図示せず)とを備える。
まず、図1に示す焼結型10を構成するために、ダイス16、上部パンチャ18および下部パンチャ20、上部スペーサ22および下部スペーサ24、ならびに離型用シート26、28および28を用意する。
このダイス16、上下部パンチャ18および20、ならびに上下部スペーサ22および24は、グラファィト製であるが、原料粉末14に対する電流密度を向上させるために、高温に耐えうる窒化珪素やアルミナなどの絶縁性の材料を単独で使用しても良いし、グラファイトと併用しても良い。また、離型用シート26、28および28は、カーボン製が好ましいが、離型用シートの代わりに、カーボンや窒化ホウ素などの離型性スプレーを塗付して、離型層26、28および28を形成しても良い。
なお、このクリアランスは、離型用シート26としてカーボンシートを設置した場合においても、原料粉末14がそのクリアランス部分から漏れることによる通電ムラおよび焼結ムラを防止する観点においては、0.1μmから0.5μmであるのが好ましい。このクリアランスを0.1μm〜0.5μmに制限する理由は、上下部パンチャ18および20と、ダイス16との間のクリアランスが広すぎる場合には、原料粉末14が粉漏れを起こすことにより通電ムラを生じ、逆に、クリアランスが狭すぎる場合には、離型用シート26が破けて離型が困難となる可能性が高いからである。
また、上下部スペーサ22および24における直径方向のサイズは、上下部パンチャ18、20の突き出し部における異常放電を防止すると共に、焼結時における電流値の増大を抑制する観点においては、上下部パンチャ18および20の外径側に接することなく、一体物の場合には、直径が上下部パンチャ18および20の外形プラス0.5mmからダイス16の外径サイズであることが好ましい。さらに、設置を容易にするために、上下部スペーサ22および24をそれぞれ2分割にすることも好ましい。
より好ましくは、上下部スペーサ22および24の設置による加圧面積が大きくなることに伴う通電量増加を軽減させるために、加圧時における上下部スペーサ22および24の損傷を防止できる範囲内で、上下部スペーサ22および24の直径方向に対する幅を狭くすることが望まれる。
次に、原料粉末14の上に上部パンチャ18のパンチャ径と同一サイズの離型用シート28を設置した後、上部パンチャ18を設置する。
を設置した後に予備加圧を行なうことも好ましい。
次に、目的とする密度に相当する多孔質体の厚さを確保するために、上下パンチャ18および20の突き出し部に対して、グラファイト製スペーサ22および24を設置する。このグラファイト製スペーサ22および24は、一体物でも2分割のものでもどちらでも構わないが、その内径は上下部パンチャ18および20の外周部と接触することなく、それから0.5mm以上大きく、その外径はダイス16の外径と同一であることが好ましい。
次に、得られた多孔質体は、焼結に伴う反応により、その表面に離型用シート26、28および28が付着しているが、平面研削加工、あるいは大気炉を用いて500から600℃で0.5から1h加熱処理することにより除去することができる。また、酸化物系セラミックスを焼結した際には、真空雰囲気による脱酸素、あるいは、焼結中のカーボンの拡散により黒く着色することがあるが、大気炉を用いて1000℃で1hの加熱処理を行なうことにより、黒い着色を完全になくすことができる。
図2に、1枚のセパレータを用いて、2枚の多孔質体を製造するのに用いられる加圧・通電加熱処理用焼結型を示す。
この2枚以上の多孔質体を製造する製造方法では、2つの原料粉末14(焼結体)の間に、0.5mmから5mm厚のセパレータ32を設置することにより、2枚以上の多孔質体(焼結体)における相対密度のバラツキを5%以内に抑えることが可能である。ここで、セパレータ32の厚さが、0.5mm未満では、加圧時において割れが発生し、圧力ムラに伴う焼結ムラや焼結体の形状ムラを引き起こし、5mm超では、セパレータへの通電量が増加することにより、原料粉末以外への電力消費が過多となり、効率的な焼結ができなくなる。本発明において、よりよく焼結するためには、セパレータ32は、3mmから5mm厚のものがより好ましい。
続いて、原料粉末14の上に離型用シート34を設置した後、セパレータ32を設置し、さらに、セパレータ32上に離型用シート34を設置し、原料粉末14を充填する。
次に、原料粉末14の上に離型用シート28を設置した後、上部パンチャ18を設置する。
構成された焼結型11を加圧・通電加熱焼結装置12に設置し、続いて、同様にして、焼結装置12により焼結を行なう。
こうして、セパレータ32によって分割された2つの原料粉末14、14を同時に焼結して、2枚の多孔質体を製造することができる。
なお、本発明の第3の態様および第4の態様において、原料粉末14として用途に応じたセラミックス原料粉末粒子を選定することにより、その粒径が10μm〜50μmであれば、その種類や形状などに依存しないで、焼結助剤を一切含まない完全なバインダレス化をなし得たバインダレス焼結体であり、気孔径が、2μm〜25μmであり、その分布が均一であり、かつ連続気孔を有する多孔質体を製造することができる。
ここで、原料粉末14であるセラミックス粒子としては、本発明の第1の態様において説明したものと同様なものを用いることができ、アルミナ、ジルコニアなどの酸化物セラミックスの他、炭化珪素、窒化珪素などもあげることができるが、エンジニアセラミックスの中では熱分解の少ない窒化珪素以外のものが好ましい。
この原料粉末粒子の平均粒径を10〜50μmに限定する理由は、平均粒径が10μm未満の場合、生成される気孔径が小さく、通気性に乏しいからであり、第1の態様と同様な理由があるからである。
その理由は、機械加工により形状を任意に変更できるからである。
また、本態様の多孔質体においては、任意に設定した相対密度に対して、5%以内の密度範囲内であるのが好ましい。
その理由は、通気性を均一にでき、ムラをなくすことができるからである。
本発明の多孔質体およびその製造方法は、基本的に以上のように構成される。
(実施例1〜7)
まず、本発明の第2の態様の多孔質体の製造方法に従って本発明の第1の態様の多孔質体を製造した。
本発明の実施例1〜7のアルミナ原料粒子は、いずれも市販の丸み状、球状原料粉末(昭和電工社製丸み状アルミナASシリーズにPVAを添加し、スプレードライヤ後、大気中、脱脂工程を経た1300℃の仮焼粉を用い、乾式篩により所定粒度に調整した分級品を用いた。
その後、100kgf/cm2程度の仮押し後、加圧・通電加熱焼結装置内にセットし、加圧通電加熱焼結法により、1200〜1500℃で、いずれも10〜60MPaの範囲内の圧力で加圧した。
気孔率測定:アルキメデス法により気孔率を算出した。
気孔径測定:水銀圧入法により細孔分布測定を行い平均気孔径を求めた
(micrometrics社製ポアサイザ9310型)
アスペクト比:粒子をメタノールに添加後、超音波分散(42kHz)させ、試料板に滴下し、乾燥後、走査型電子顕微鏡により、アルミナ粒子を100ヶ観察し、長径/短径比を求めた。
実施結果を表1に示す。
これらの比較例に対して、本発明の実施例である本発明例1〜7は、いずれも生成気孔径は、2〜25μm、気孔率は、10〜50%の範囲であり、フィルタリング等に好適な特性を示した。
なお、原料粒子として、アドマテックス社製アドマファイン、もしくは平均粒径1μmのアルミナ原料粉末(純度99.5%)によりASシリーズと同様な分級品を用いて焼結体を作製したが、表1内に示した実施例1〜7の特性はASシリーズと同一であった。
(実施例8)
図1に示す加圧・通電加熱用焼結型10を用いて、φ50mm×6mm厚の多孔質体を作製した。
ここで、本実施例における原料粉末14は、市販の異形状α系アルミナ粉末で、その平均粒径は、約20μmであった。焼結に用いたダイス16ならびに上下部パンチャ18、20は、市販のグラファィトである。剥離用カーボンシート26をグラファイト製ダイス16中のダイス内壁に設置し、下部パンチャ20を入れた後、同径の剥離用カーボンシート28を設置し、バインダを一切含まない原料粉末14を37.5g充填した。その後、原料粉末14の充填度を平均化するためにバイブレータによりタッピング処理を行ない、上部パンチャ18と同径の剥離用カーボンシート28を設置し、上部パンチャ18を入れた。その後、ハンドプレスを用いて予備加圧を負荷した。
上下部パンチャ18および20の突き出し部に対して、4.5mm厚のグラファィト製スペーサ22、24をそれぞれ設置し、加圧・通電加熱焼結装置12の所定の位置にセットした。
作製した多孔質体の評価に関しては、焼結体のサイズの計測、密度算出、JIS R1601に準拠した3点曲げ試験、目視による粒子離脱の有無の確認を行なった。その結果、多孔質体のサイズは、φ50mm×6mm厚で、相対密度77%で、直径方向に対するバラツキが5%以内、3点曲げ強度が190MPaで、加工ならびに気体通過時における粒子の離脱がなかった。
図1に示す加圧・通電加熱用焼結型10を用いて、φ50mm×6mm厚の多孔質体を作製した。
ここで、本実施例における原料粉末14は、市販の球状α系アルミナ粉末であること以外は、全て実施例8と同一であった。
作製した多孔質体を評価すると、そのサイズはφ50mm×6mm厚で、相対密度77%で、直径方向に対するバラツキが5%以内、3点曲げ強度が190MPaで、加工ならびに気体通過時における粒子の離脱がなかった。
図1に示す加圧・通電加熱用焼結型10を用いて、φ50mm×6mm厚の多孔質体を作製した。
ここで、本実施例における原料粉末14は、市販の球状α系アルミナ粉末で、平均粒径は、約200μmであること以外は、全て実施例8と同一であった。
作製した多孔質体を評価すると、そのサイズはφ50mm×6mm厚で、相対密度77%で、直径方向に対するバラツキが5%以内、3点曲げ強度が190MPaで、加工ならびに気体通過時における粒子の離脱がなかった。
図2に示す加圧・通電加熱用焼結型11を用いて、φ50mm×6mm厚の多孔質体を2枚作製した。
ここで、本実施例における原料粉末14とダイス16、パンチャ18、20、剥離用カーボンシート26、28、28は、実施例8と同一であった。
剥離用カーボンシート26をグラファイト製ダイス16中のダイス内壁に設置し、下部パンチャ20を入れた後、同径のカーボンシート28を設置し、バインダを一切含まない原料粉末14を37.5g充填した。その後、原料粉末14の充填度を平均化するためにバイブレーターによりタッピング処理を行ない、下部パンチャ18と同径のカーボンシート34を設置し、3mm厚のグラファィト製セパレータ32を乗せ、その上に、上部パンチャ18と同径のカーボンシート34を設置し、さらに、原料粉末14を37.5g充填した。その後、上部パンチャ18と同径のカーボンシート28を設置し、上部パンチャ18を入れ、ハンドプレスを用いて、予備加圧を負荷した。
上下部パンチャ18、20の突き出し部に対して、7.8mm厚のグラファィト製スペーサ22、24をそれぞれ設置し、加圧・通電加熱焼結装置12の所定の位置にセットした。
作製した多孔質体を評価すると、上下2枚の多孔質体のサイズは、いずれもφ50mm×6mm厚で、相対密度77%で、直径方向に対するバラツキが5%以内、3点曲げ強度が190MPaで、加工ならびに気体通過時における粒子の離脱がなく、バラツキが極めて少ない多孔質体であることがわかった。
図1に示す加圧・通電加熱用焼結型10を用いて、φ100mm×6mm厚の多孔質体を作製した。
ここで、本実施例における原料粉末14と、ダイス16、パンチャ18、20、剥離用カーボンシート26、28、28は、実施例8と同一であった。
剥離用カーボンシート26をグラファイト製ダイス16中のダイス内壁に設置し、下部パンチャ20を入れた後、下部パンチャ20と同径のカーボンシート28を設置し、バインダを一切含まない原料粉末14を150g充填した。その後、原料粉末14の充填度を平均化するためにバイブレータによりタッピング処理を行ない、上部パンチャ20と同径のカーボンシート28を設置した後、上部パンチャ20を入れ、ハンドプレスを用いて予備加圧を負荷した。
上下のパンチャー突き出し部に対して、3.2mm厚のグラファィト製スペーサーをそれぞれ設置し、加圧・通電加熱焼結装置12の所定の位置にセットした。
作製した多孔質体を評価すると、そのサイズはφ100mm×6mm厚で、相対密度77%で、直径方向に対するバラツキが5%以内、3点曲げ強度が190MPaで、加工ならびに気体通過時における粒子の離脱がなかった。
図1に示す加圧・通電加熱用焼結型10を用いて、φ100mm×8mm厚の多孔質体を作製した。
実施例12に対して、原料粉末の充填量が196.7g、グラファイト製上下部スペーサ22、24を4.2mm厚に変更して、多孔質体の作製を行なった。
作製した多孔質体を評価すると、そのサイズは、φ100mm×8mm厚で、相対密度77%、直径方向に対するバラツキが5%以内、3点曲げ強度が190MPaで、加工ならびに気体通過時における粒子の離脱がなかった。
図1に示す加圧・通電加熱用焼結型10を用いて、φ100mm×10mm厚の多孔質体を作製した。
実施例12に対して、原料粉末の充填量が246g、グラファイト製上下部スペーサ22、24を5.2mm厚に変更して、多孔質体の作製を行なった。
作製した多孔質体を評価すると、そのサイズは、φ100mm×10mm厚で、相対密度77%で、直径方向に対するバラツキが5%以内、3点曲げ強度が190MPaで、加工ならびに気体通過時における粒子の離脱がなかった。
実施例8と同一のバインダーを全く含まない原料粉末14、ならびに、ダイス16や上下部スペーサ22、24を含む全ての冶具類からなる図1に示す焼結型10を用い、焼結法としてホットプレス装置により、1430℃で1h、60MPaの条件で焼結を行なったところ、得られた多孔質体は、ハンドリングができないほど脆弱であり、実施例8と同等の多孔質体を得るには至らなかった。
グラファイト製の上下部スペーサ22、24を用いないこと以外は実施例11と同様の焼結型11を用い、同一の条件で焼結を行なったところ、得られた多孔質体は、いずれも加工ならびに気体通過時における粒子の離脱はなかったが、上下2枚の焼結多孔質体のサイズは、それぞれφ50mm×5mm厚、φ50mm×6mm厚で、相対密度は90、77%で、直径方向に対するバラツキが5%以上、3点曲げ強度が 210、185MPaとなり、実施例11と同等のバラツキの少ない多孔質体を得るには至らなかった。
実施例8と同一の原料粉末に対して焼結助剤であるY2O3を5%添加したセラミックス原料粉末粒子を用い、実施例8と同一のダイス16や上下部スペーサ22、24を含む全ての冶具類からなる図1に示す焼結型10を用い、かつ同一の焼結法を用いて、焼結を行なったところ、作製られた焼結多孔質体は、加工ならびに気体通過時における粒子の離脱がない状態となったが、焼結多孔質体のサイズは、φ50mm×6mm厚で、相対密度87%で、直径方向に対するバラツキが10%以内、3点曲げ強度が175MPaで、実施例8と同等の通気性に優れた多孔質体を得るには至らなかった。
実施例10と同一のバインダを全く含まない平均粒径200μm球状の原料粉末、および、ダイス16や上下部スペーサ22、24を含む全ての冶具類からなる図1に示す焼結型10を用い、焼結法としてホットプレス装置により、1430℃で1h、60MPaの条件で焼結を行なったところ、得られた多孔質体は、ハンドリングができないほど脆弱であり、実施例10と同等の多孔質体を得るには至らなかった。
以上の結果から、本発明の効果は明らかである。
さらに、本発明は、セラミックス原料粉末の種類や粒径サイズに依存せずに、焼結助剤を用いないバインダーレス化、特に、焼結助剤を一切用いない完全なバインダーレス化を図るとともに、加圧・通電加熱焼結方法を用いる際の冶具類からなる焼結型に対して上下部スペーサの設置やダイスのクリアランスなどに関して大幅な改良を施すことにより、加工時や使用時において粒子の離脱のない連続気孔を有した多孔質体を歩留り良く製造することができ、また、1枚でも、同時に多数枚でも製造することができる。
従って、本発明は、高温、もしくは強酸、強アルカリ環境下でも、腐食劣化の懸念が少ない用途の多孔質体として極めて有用であり、また、その品質および機能が全体で均一であることが要求される焼結多孔質体などの製造において極めて有用であり、本発明の産業上の利用可能性は、極めて高い。
12 加圧・通電加熱焼結装置
14 原料粉末
16 ダイス
18,20 上部、下部パンチャ
22,24 上部、下部スペーサ
26,28,34 離型用シート
32 セパレータ
Claims (7)
- 焼結型に、平均粒径が10μm〜50μmであり、かつ平均粒径の0.5倍粒径以下の粒子と平均粒径の2.5倍粒径以上の粒子を除いた残りの粒子が95重量%以上であり、アスペクト比が1以上1.2以下である、純度99.5%以上のアルミナ粒子が設置され、加圧通電加熱焼結法、又は加圧焼結法により製造されることを特徴とする、結合材として焼結助剤成分を含まない、前記アルミナ粒子の結合体である多孔質体。
- 前記加圧通電加熱焼結法、又は前記加圧焼結法は、
真空中又は不活性ガス雰囲気中において、
加圧される場合の加圧力を10MPaから60MPaとされ、
1200℃以上の所定の焼結温度まで、昇温速度30℃/minから45℃/minで昇温され、
前記焼結型における前記多孔質体の変位が停止してからの保持時間を2時間以内として行われることを特徴とする請求項1に記載の多孔質体。 - 前記加圧通電加熱焼結法が、真空中において、加圧力を60MPaとされ、室温から所定の焼結温度である1430℃まで、40℃/minの速度で昇温され、前記所定の焼結温度で1時間保持され、その後除荷されて500℃まで自然冷却されることで行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質体。
- 前記多孔質体の目的とする相対密度が50%未満の場合には無加圧で、50%以上の場合には加圧され、製造されることを特徴とする請求項1又は2に記載の多孔質体。
- 前記アルミナ粒子間の空隙として生成される通気孔の平均気孔径が、2μm〜25μm、気孔率が、10%〜50%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質体。
- 相対密度に依存せずに、50μm以上の砥粒を用いた砥石での平面研削時ならびに使用中において、前記アルミナ粒子の離脱がないことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質体。
- 設定された相対密度に対して、5%以内の密度範囲内であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質体。
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