JP4426245B2 - 金属酸化物焼結体の製造方法、及び金属酸化物焼結体 - Google Patents

金属酸化物焼結体の製造方法、及び金属酸化物焼結体 Download PDF

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Description

本発明は、緻密性に優れ、且つ均質な組織を有する所望の形状の、金属酸化物系タイル等の金属酸化物焼結体、及びそれらが簡易に得られる金属酸化物焼結体の製造方法に関する。
クロミア(Cr23)は高温下でスラグ融液に対して濡れにくく、反応溶解しにくいことから、ガラス溶解炉や一般及び産業廃棄物溶融炉の内張り炉材原料として広く利用されている。このクロミアは、大気中で焼成すると、蒸発−凝縮機構により過度な粒成長し、均一に且つ緻密に焼結することが困難であるという特性を有する。このため、クロミア系耐火物の製造では、焼結助剤を添加して大気中で高温焼成したり(例えば、特許文献1参照)、クロミア系成形体を炭素還元雰囲気中で焼成することで、低融点組織物を生成させる方策(例えば、特許文献2参照)等が採られて、焼結の促進が図られている。
しかしながら、クロミアは、焼結時の収縮が少ないため、焼成する前の成形体作成時における原料の充填状態により、得られる焼結体の密度が左右されてしまう、という問題がある。また、市販の高純度クロミアは、通常、粒径が数ミクロンと非常に細かいため、成形時に成形体に空気層が含まれてしまうことが問題となっている。かかる問題に対して、出願人らは、クロミア焼結体に関して、緻密な組織を有し、且つ耐食性の高い焼結体の製造方法を提案している(例えば、特許文献3参照)。この製造方法は、クロミアだけでなく、その他の金属酸化物系焼結体の製造にも適用が可能である。
しかしながら、本発明者らの更なる検討の結果、上記した特許文献3に記載の方法は、該方法で金属酸化物焼結体を製造した場合に、焼成型を構成しているグラファイト等と、原料である金属酸化物粉末(特に反応性の高いクロミア、シリカ、酸化鉄等)とが、1,000〜1,700℃で反応して、反応層を形成し、これによって、得られる焼結体の性能低下が起こる場合があることがわかった。また、この場合には焼成型の劣化を生じ、焼成型の繰り返し使用が妨げられ、経済性が損なわれる。更に、原料である金属酸化物系粉末が非常に微細であると、粉末の流動性が悪い場合があり、グラファイト等の材料からなる導電性焼成型への充填に手間取り、生産効率が損なわれるという別の問題もあった。
また、従来より、加圧焼結により焼結体を製造する際には、焼成型に対してかかる荷重負荷の安定性から、従来は、円盤状の焼結体の製造が選択されていた。これに対して、焼結体を広範囲に使用する際にタイルを複数敷き詰める手法を用いる場合には、円盤形状の焼結体であると、加工を施さなければ施工面一面にタイルを敷き詰めることができないという問題もある。このため、焼成後に加工を施すことなく、角形形状のタイル等の焼結体を加圧焼結によって簡易に製造できる技術の開発が望まれている。
更に、タイルを炉材等のように壁面に施工する場合には、衝撃による剥れ等を防止する方策をしなければならないが、この対応策として冶具等を用いて固定する方法を選択する場合がある。そして、この際に用いられる、複雑な形状を有する冶具自体に対してもタイルと同様の品質特性が必要となることも少なくない。前記した特許文献3に記載されている従来の製造方法によっても、緻密で複雑な形状の焼結体を得ることは可能であるが、加工に要する時間や手間が大きく、焼結体の形状を複雑にする必要がある場合には、簡便な方法であるとは言い難かった。従って、この場合に、真空中や不活性雰囲気中で焼成した後に切断等の加工を必要とせず、得られる焼結体自体の形状を制御することができれば理想的である。
また、所望するタイル等の焼結体において、焼結体の特定の部分にのみに高い特性が要求される場合もあり、この場合に、焼結体内部の組成を場所によって変えることができれば、原料コストを抑えることも可能となる。更に、先に挙げた特許文献3に記載されている金属酸化物焼結体の製造方法は、ホットプレス法に比較し短時間で焼結できるという利点があるが、一度の焼成で製造できるタイル等の焼結体は1枚であり、大量生産に対応できる方策については、充分に対処できていない。
特開平6−321628号公報 特公昭63−387号公報 特開2001−240463公報
従って、本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、パルス通電加熱等の加圧焼結方式によって、焼成後に加工を施すことなく、角形形状等の焼結体や、複雑な形状を有する各種の冶具等の所望の形状を有する、緻密で且つ均質な焼結体が簡易に製造でき、また、場合によっては特定の部分にのみに高い特性を付与した焼結体を得ることもでき、更には、一度の焼成で複数の焼結体を製造することもできる、大量生産にも対応可能な、金属酸化物焼結体の製造方法を提供することにある。更に、本発明の別の目的は、金属酸化物系原料を、流動性よく、グラファイト等の材料からなる導電性の焼成型へ迅速に充填でき、場合によっては自動化することも可能な、高い生産効率を達成し得る金属酸化物焼結体の製造方法を提供することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、[1]焼成型内の金属酸化物原料を真空中若しくは不活性雰囲気中で加圧しながら加熱して焼成する金属酸化物焼結体の製造方法において、少なくとも、ダイと上下のパンチとを別部材として含む焼成型を用い、該ダイの内壁と上下のパンチとで囲まれた空間に金属酸化物原料を充填し、充填された金属酸化物原料に上下のパンチによって圧力をかけながら加圧焼成する際に、上記金属酸化物原料に、平均粒径が0.5〜10μmの金属酸化物粉末、或いは該金属酸化物粉末を顆粒状にした平均粒径30〜200μmの金属酸化物顆粒の少なくともいずれかを用い、該金属酸化物原料が上記空間に充填された状態において、ダイの内壁の少なくとも該原料が充填される部分にグラファイトペーパーを接着剤または粘着剤で固着した状態で配置し、上下のパンチの該原料との接触面となる部分に、ゾル状グラファイト、スプレー状グラファイト、スプレー状窒化硼素及びペースト状アルミナのいずれかの液状或いはペースト状の離型剤を塗布することで配置し、この状態で焼成を行うことを特徴とする金属酸化物焼結体の製造方法である。
本発明の好ましい形態は、下記の[2]〜[]が挙げられる。[2]上記焼成型に、ダイと上下のパンチとで囲まれた空間が、角部分にRが施された角丸の多角形状となる部材を有するものを用い、多角形状の金属酸化物焼結体を製造する上記[1]に記載の金属酸化物焼結体の製造方法。
]前記焼成型に、上下のパンチの金属酸化物原料と接する側とは反対側に配置されたスペーサーを更に部材として有する試料型を用い、該試料型の空間に組成の異なる複数の金属酸化物原料を積層し、各原料毎に多層状態となるように充填し、上記スペーサーの形状を、該スペーサー側にある層を構成している金属酸化物原料の熱特性に応じて変化させて、該金属酸化物原料に均一に熱がかかる構成として焼成を行って積層構造を有する焼結体を製造する上記[1]又は2]に記載の金属酸化物焼結体の製造方法。
]前記上下のパンチの少なくとも一方が、金属酸化物原料との接触面が凹凸形状を有するものを用いることで、表面に凹凸を有する金属酸化物焼結体を得る上記[1]〜[]のいずれかに記載の金属酸化物焼結体の製造方法。
]前記金属酸化物原料を、離型剤或いはグラファイトペーパーが設けられた厚みが1〜15mmの範囲にあるグラファイト製の仕切り板で分離して多層となるように充填し、一回の焼成で、同一形状或いは互いに形状の異なる金属酸化物焼結体を複数得る上記[1]〜[]のいずれかに記載の金属酸化物焼結体の製造方法。
]前記加熱を、パルス通電加熱によって行う上記[1]〜[]のいずれかに記載の金属酸化物焼結体の製造方法。[]前記焼成型が、導電性の焼成型であり、且つ、前記金属酸化物原料が、クロミア、シリカ、ジルコニア、チタニア、酸化鉄、及び酸化亜鉛のいずれかを少なくとも1種含む上記[1]〜[]のいずれかに記載の金属酸化物焼結体の製造方法。
]前記金属酸化物原料が、平均粒径が0.5〜10μmの金属酸化物粉末にバインダー溶液を混合してスプレー顆粒生成法によって顆粒状にした平均粒径30〜200μmの金属酸化物顆粒であって、且つ、該金属酸化物顆粒を真空中若しくは不活性雰囲気中で加圧しながら加熱して焼成する際に、100℃から500℃において昇温速度を調整して金属酸化物顆粒中のバインダーを消失させ、その後、急速に加熱して短時間で金属酸化物原料を焼成する上記[1]〜[]のいずれかに記載の金属酸化物焼結体の製造方法。
また、本発明の別の実施形態は、上記[1]〜[]のいずれかに記載の金属酸化物焼結体の製造方法によって得られたことを特徴とする金属酸化物焼結体である。
上記構成を有する本発明にかかる金属酸化物焼結体の製造方法によれば、グラファイトペーパー及びペースト状等の離型剤を用いることで、金属酸化物焼結体と焼成型の反応を防ぐことが可能となった。その際、グラファイトペーパーは、スプレーのり等で固着すると原料粉末がグラファイトペーパーと焼成型の間に進入することを防止でき、合わせてグラファイトペーパーの厚みを一定に保つことが可能となる。
また、タイルの成分を層状に分配することにより、必要とする機能に応じてタイルの特性を部分的に変えることも可能となり、原料コストの抑制や、施工した場合の焼結体の剥れ防止の効果が得られる。
更に、広範囲にタイルを施工する場合には短期に多量のタイルを製造することが必要となる場合があるが、本発明にかかる金属酸化物焼結体の製造方法によれば、一度に複数の焼結体を得ることも可能となる。これによって、製造にかかる時間を例えば半減することが可能であり、また、製造コストも大きく抑制できることになる。また、本発明にかかる金属酸化物焼結体の製造方法によれば、角形形状や凹凸等を有した複雑形状のタイルの製造を行なうことが可能になり、広い壁面に施工する場合において有用な、噛み合わせ構造等を施した焼結体が容易に得られる。これにより、焼結体の用途が広がるという効果も得られる。更に、異なる原料を積層して積層構造を有する焼結体を製造することも、簡便にできるため、この場合にも製造コストを大きく抑制できる。
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明者らは、従来技術の課題を解決すべく、先に挙げた特開2001−240463公報(特許文献3)に記載の方法について更なる改良を重ねた結果、本発明を達成するに至った。パルス通電加熱法やホットプレス法により金属酸化物焼結体を得る場合に、焼成型の部材であるダイと上下のパンチとで囲まれた空間内に充填させた金属酸化物原料を加圧しながら焼成すると、1,000〜1,700℃で、金属酸化物原料と、焼成型の形成材料であるグラファイトとが反応して金属炭化物を形成してしまうことが生じる場合がある。このような場合に得られる焼結体は、焼成型の構成部材であるダイやパンチと接着を起こし、割れや欠けを生じる場合があり、焼結体としての性能が低下したものとなる。また、ダイやパンチ等の焼成型の部材も、焼結体との接触面が反応してしまうことで、繰り返しの使用ができない状況になることがあり、経済性に欠け、この点でも問題があった。
本発明者らは、上記した課題を解決するための方策について鋭意検討した結果、先ず、焼成型の各部材と金属酸化物原料とが接触する部分に、グラファイトペーパーまたは離型剤を介在させることが有効であり、これによって金属酸化物焼結体と、焼成型の部材との反応を防ぐことが可能となり、焼成型の繰り返し利用ができるようになることを見出した。先ず、この方策について説明する。
図を参照しながら説明する。本発明の方法では、焼成型を用いるが、本発明で使用する焼成型11は、図1に示したように、少なくとも、ダイ1と、上のパンチ2及び下のパンチ2’の各部材からなる。更に、該焼成型11の構造は、ダイ1と、上下のパンチ2及び2’とで囲まれた状態の空間が形成されており、該空間には金属酸化物原料3が充填され、更に、上下のパンチ2及び2’で、該空間に充填されている金属酸化物原料3に加圧できるようになっている。
本発明にかかる方法では、金属酸化物原料として、平均粒径が0.5〜10μmの金属酸化物粉末、或いは該金属酸化物粉末を顆粒状にした平均粒径30〜200μmの金属酸化物顆粒のいずれかを用いることを特徴とするが、これとともに、これらの金属酸化物原料を、焼成型の部材であるダイと上下のパンチとで囲まれた空間内(以下、焼成型の空間内)に充填した際に、少なくとも上記原料が焼成型と接触する部分(接触部位)に、グラファイトペーパー及び離型剤の少なくともいずれかを配置した状態で焼成を行うことを特徴とする。
上記の接触部位としては、焼成型の空間内に金属酸化物原料3を充填した場合に該原料が接触する、ダイ1の内壁部分4、或いは、パンチ2及び2’の接触部位5が挙げられる。例えば、図1(b)に示した例では、ダイの内壁の略全面に、グラファイトペーパーが配置され、上下のパンチの接触部位5には、ペースト状の離型剤が塗布されている。本発明では、焼成型にこのような処理を行った後に、焼成型の空間内に金属酸化物原料を充填し、その後、上下のパンチで金属酸化物原料を加圧しながら加熱し焼成する。
この結果、焼結体を得るための金属酸化物原料が、1,000〜1,700℃で、グラファイト等の焼成型の形成材料と高い反応性を示す、例えば、クロミア、シリカ、ジルコニア、チタニア、酸化鉄、及び酸化亜鉛である場合であっても、金属酸化物原料と、焼成型の形成材料とが反応を生じることが防止され、焼結体の性能を損なわずに焼成することができる。この結果、割れや欠けのない良好な焼結体が得られる。また、グラファイトペーパーや離型剤を使用しているにもかかわらず、これらの成分によって焼結体の性能が損なわれることもない。更に、焼成型の各部材と焼結体との接触面が反応することがないため、焼成型の損傷も防止でき、繰り返し使用が可能となる。
上記において、グラファイトペーパーを用いる場合には、スプレーのり等の接着剤または粘着剤で、グラファイトペーパーを焼成型に固着させることが好ましい。このようにすれば、例えば、ダイの内壁部分4とグラファイトペーパーとの間に金属酸化物原料が進入することを防ぐことができ、より高い効果が得られる。また、のりを使用しない場合と比べて、より確実にグラファイトペーパーを、ダイの内壁等の所望の位置に固着できることから、加圧する際に、例えば、上パンチをダイ内に挿入して加圧した際等に生じる恐れのあるグラファイトペーパーの重なりを防ぐことも可能になり、より均一な焼結体を得ることができる。
この際に使用するスプレーのりとしては、グラファイト等の形成材料からなる部材表面に、グラファイトペーパーを一時的に接着して固着できるものであればいずれのものも使用できる。市販されているものとしては、例えば、S/N55C(商品名、住友スリーエム製)等を使用することができる。本発明者らの検討によれば、グラファイトペーパーを配置する場合に、このようなのりを用いてダイの内壁等にグラファイトペーパーを固着することで、原料を焼成型の空間内に充填した場合に、ダイとグラファイトペーパーとの間に原料粉末が入り込むことが有効に防止され、グラファイトペーパーを配置したことによる高い効果が得られる。一方、焼成後の焼結体製品には、上記したようなのりを使用したことによる影響は全く見られないことを確認した。
本発明にかかる金属酸化物焼結体の製造方法の、上記以外の各構成について詳細に説明する。本発明にかかる金属酸化物焼結体の製造方法では、金属酸化物原料として、平均粒径が0.5μm〜10μmの金属酸化物粉末、或いは該金属酸化物粉末を顆粒状にした平均粒径30μm〜200μmの金属酸化物顆粒のいずれかを用いる。緻密な組織を有する焼結体を得るためには、平均粒径が0.5μm〜10μmの金属酸化物微粉末を用いることが好ましい。本発明者らの検討によれば、このような非常に微細な粉体を焼成型の空間内に充填させた場合には、下記のような問題が生じる場合があり、形成する焼結体の原料や形状等によっては、微粉体原料の使用は好ましくない場合があった。
即ち、焼成型の空間内に金属酸化物原料を充填させる際に、金属酸化物原料が、平均粒径が0.5〜10μmと非常に微細であると、粉末の流動性が十分でなく、特に、粉体を構成する粒子形状が球形でなく、角がある場合は、特に流動性に劣り、焼成型の空間内へ流し込んだ粉末がダイの内壁面に付着してしまうという現象を生じ、この付着した粉末をそのままにして焼成を実施すると、焼成型を構成するグラファイトと付着物の反応が生じる場合がある。特に、金属酸化物原料が、1,000〜1,700℃の温度域でダイを構成しているグラファイト成分と反応を生じ易い、先に説明したクロミア、シリカ、ジルコニア、チタニア、酸化鉄、及び酸化亜鉛といった原料である場合に、この傾向が見られる。
更に、この微粉末の付着位置が、ダイを構成する部品同士が接触する箇所である場合は、反応部分を介して部品同士が溶着してしまい、再度同じダイを使用して焼成ができなくなるという問題が生じる。これに対しては、ダイの内壁面に付着した粉末をハケや布等で拭い取ることによって反応量を多少減らすことは可能であるが、このような方法で微細な付着粒子を完全な迄に減少させるには非常に手間がかかり、効率的であるとはいえない。
また、より均質な焼結体を得るには、ダイに充填した金属酸化物原料が、焼成型の空間内に均等に充填されることが必要となるが、上記したように、金属酸化物微粉末の流動性が不良である場合には、均一に充填されるように原料粉末をならす作業が必要となる。従来は、この作業を手作業で行っており、作業効率を低下させる原因となっていた。本発明者らは、これらの問題を解決するために鋭意検討した結果、上記したような粒径の金属酸化物原料の微粉末に粒径を大きくする処理を施し、平均粒径30〜200μmの特定の大きさを有する顆粒状とし、かかる顆粒状の金属酸化物原料を用いれば、該原料の流動性を向上させることができることを見出した。本発明者らの検討によれば、上記のような構成とすることで、焼成型の空間内に容易に平均粒径が0.5μm〜10μmの微粉末を均一に充填することができることとなり、顆粒を原料に用いているにもかかわらず、緻密な組織を有する焼結体を容易に得ることが可能となる。
本発明に好適な顆粒状の原料を作製する、金属酸化物微粉末原料の粒径を大きくするための処理の方法としては、例えば、スプレードライによる顆粒生成法を用いることが好ましい。スプレードライ顆粒生成法とは、先ず、微粉末をポリビニルアルコール(PVA)等のバインダー水溶液に分散混合してスラリー化し、そのスラリーを乾燥室内で噴霧して顆粒状にする方式である。かかる方式によれば、霧状になって噴霧された粒子には元の微細な原料粉末が多量に含まれ、これらが凝集乾燥する際に球形となって顆粒を形成しているため、流動性に優れ、しかも緻密な組織を有する焼結体の形成が可能な顆粒が得られる。
本発明にかかる製造方法では、上記したようにして形成された顆粒のうち、その平均粒径が30〜200μmである顆粒状の金属酸化物原料を用いる。即ち、この範囲よりも微細であると、流動性がよいためにダイとパンチの隙間に粒子が入り込み、使用した原料の種類によっては、焼成時に、入り込んだ粒子と、ダイやパンチ等の焼成型の構成部材とが反応してしまう恐れがあり、微粉末原料を顆粒化させた効果が十分に得られない。一方、顆粒状の金属酸化物原料の粒径が、上記した範囲よりも大きくなると、粉末の単位重量あたりの容積が大きくなり、加圧焼結を行う場合等には粉末の初期充填時の嵩が大きくなり、ダイやパンチのストロークを長くする必要が生じるため、好ましくない。また、緻密な焼結体が得られにくくなる。
また、上記のように、金属酸化物原料として顆粒状のものを用いた場合には、下記のような効果も得られる。ダイの繰り返しの使用によって、ダイの内壁に焼結体の作成に支障がない程度の微細なキズが生じる場合がある。この場合に、金属酸化物原料が平均粒径0.5〜10μmの微粉末であると、キズに粉体が目詰まりする現象が見られ、原料によっては焼成時に、ダイやパンチ等の焼成型の構成部材と反応を起こすことがある。これに対して、先に述べたような方法で微粉末を顆粒化処理すると、粒径を大きくできると同時に、立方体や直方体等の角のある形状の微粉末が球状となる。この結果、顆粒化処理された金属酸化物原料は、ダイの内壁面を滑り易くなって流動性の向上したものとなると同時に、焼成型を構成する部材の微細なキズへの目詰まりが抑制され、焼成型の形成材料であるグラファイト等と金属酸化物原料との反応が有効に抑制される。
一方、金属酸化物原料である微粉末に顆粒化処理を施した顆粒状の原料を用いた場合には、下記に述べる特有の問題が生じる。即ち、前記で説明したスプレードライ顆粒生成法等で顆粒化処理を施した顆粒状の原料を使用した場合には、昇温課程で、ポリビニルアルコール等の顆粒に含まれるバインダー成分が揮発する。そして、焼成過程において、揮発によりガスが多量に発生する温度域は、顆粒作成時に使用したバインダー成分によって決まる。真空中若しくは不活性雰囲気中で加圧焼結法にて焼結を行う場合は、この揮発したガスの発生によってダイ内部に粉末の吹き上がり現象が生じ、顆粒状の原料を用いたとしても、やはりダイとパンチ等の焼成型の形成部材同士の隙間に目詰まりを生じる恐れがある。従って、常温から焼結体の形成に好適な焼成条件で焼成するためには、顆粒に含まれるバインダー成分が揮発することを考慮して、下記のような条件で焼成することが好ましい。
顆粒状の原料を用いた場合に生じる、原料の吹き上がり現象を抑制するためには、焼結前の、ガスが多量に発生し易い温度域、例えば、100〜500℃の領域において、温度調整を行なって昇温速度を適宜なものにして、バインダー成分等を十分に揮発させ、その後に急速な加熱をして設定温度まで上げて、その後、短時間で焼結することが有効である。即ち、金属酸化物原料として、バインダー成分を用いるスプレードライ顆粒生成法等によって顆粒状にしたものを用いた場合には、原料中に含まれるバインダー成分等に起因するガスの発生温度域において、短時間に大量なガスの発生が起こらないように、この温度域では緩やかに昇温させることが有効である。これによって、焼成型の空間内に生じる原料の吹き上がり現象を抑制することができ、ダイとパンチ等の焼成型の形成部材の隙間に生じる目詰まりを有効に抑えることができる。
上記したように、本発明者らの検討によれば、金属酸化物微粉末を顆粒化して平均粒径が30〜200μmと大きい顆粒状の金属酸化物原料を用いることで原料の流動性を向上でき、前記した焼成型の構成材料と原料との反応を有効に抑制することが可能となる。金属酸化物顆粒が確実に30μm以上となるようにするためには、原料調製の際に、ふるい分け等の処理が必要となる。しかし、ふるい分け工程を実施しても、何らかの要因によって顆粒が圧壊して微細化することが生じ、金属酸化物原料中に含まれる30μm以下の微細な粒子を皆無にすることは非常に困難である。このことは、金属酸化物微粉末を顆粒状にした場合においても、ダイの内壁面への金属酸化物原料の付着を完全になくすことは難しいことを意味している。
これに対し、本発明にかかる製造方法では、先に述べたように、金属酸化物原料を、焼成型の空間内に充填した際に、少なくとも金属酸化物原料が焼成型と接触する部分である接触部位に、グラファイトペーパー及び離型剤の少なくともいずれかを配置した状態で焼成を行なうため、ダイやパンチ等の部材と金属酸化物原料が反応することはなく、これらの部材や焼結体に損傷を生じることが有効に防止できる。
特に、金属酸化物原料に平均粒径30μm〜200μmの金属酸化物顆粒を用いる場合には、金属酸化物原料との接触部位に離型剤を配置させることが好ましい。更に、この場合に離型剤として、ゾル状グラファイト、スプレー状グラファイト、スプレー状窒化硼素及びペースト状アルミナから選ばれるものを用いれば、離型剤の配置作業が容易になるという別の効果が得られる。即ち、これらの離型剤は、液状或いはペースト状であるので、焼成型の所望の部位に適宜に塗布することが容易であり、グラファイトペーパーを用いた場合と異なり、この塗布作業は自動化することも可能であり、より効率的に焼結体を製造することが可能となる。更に、離型剤を配置することで、焼成後に得られる焼結体がダイ等に密着する現象を有効に抑制することができる結果、焼結体の取り出しが容易になり、この点でも製造の効率化が図れる。
以上述べたように、本発明にかかる製造方法において、加圧焼結する金属酸化物原料として顆粒状の原料を用いる形態とした場合には、微粉体原料を用いた場合と比較して、原料の粒子径が大きく且つ球形になるので、焼成型の空間内に原料を充填させる場合の流動性が向上し、原料の充填工程の簡素化を図ることができる。更に、接触部位に、グラファイトペーパー及び離型剤の少なくともいずれかを配置することで、ダイの内壁面への金属酸化物原料の付着の発生や、これによって生じる恐れのある焼結体とダイとの反応を抑制することができる。
特に、この場合に、金属酸化物原料が充填時に接触する部分に、例えば、ペースト状アルミナ等から選択される離型剤を用いれば、焼成型の接触部位への離型剤の塗布、焼成型の空間内中への金属酸化物原料の充填作業、上パンチのセットまでを自動化することが可能になる。先に述べたように、自動化する場合には、金属酸化物原料として顆粒状の原料を用いることが好ましい。その場合、顆粒状の原料中のバインダー成分は、焼成時に、焼成温度を適宜に制御することで支障なく型の外部へ放出することが可能であり、これによって、原料を顆粒化したことによる焼結体の製造への影響をなくすことができる。
本発明にかかる金属酸化物焼結体の製造方法では、上記したような金属酸化物原料を用い、ダイの内壁と上下のパンチとで囲まれた焼成型内の空間に該原料を充填し、充填された金属酸化物原料に上下のパンチによって圧力をかけながら加圧焼成するが、原料の充填や焼成型の形状等によって種々の焼結体を得ることができる。以下、これらの実施形態について説明する。
一例としては、先ず、図2(a)及び(b)に示したように、焼成型11に、ダイ1と上下のパンチ2及び2’とで囲まれた空間が、角部分にRが施された角丸の多角形状となる部材を有するものを用い、これにより多角形状の金属酸化物焼結体を製造することが挙げられる。以下、これについて説明する。
先に述べたように、従来の製造方法では、焼成型に対してかかる荷重負荷の安定性から、円盤形状の焼結体が製造されている。しかしながら、金属酸化物焼結体からなるタイル(金属酸化物タイルという)を広範囲に施工する場合には、円盤形状の焼結体であると、加工を施さなければ一面にタイルを敷き詰めることができない。これに対し、金属酸化物タイルは非常に硬質であり、加工コストが大きいことから、量産を踏まえると、この円盤形状の金属酸化物タイルを採用することは、上記した使用形態に利用するものとしては現実的ではない。
真空中若しくは不活性雰囲気中で加圧焼成する金属酸化物焼結体の製造において、これまで、金属酸化物タイルを製造する場合に円盤形状のものを選択していた理由は、真空中や不活性雰囲気中での加圧焼結に使用される部材はグラファイト質であるため、一般的なセラミックス粉末の一軸成形で利用される金型に比較して強度が劣り、焼結体の形状を角形とした場合は、そのダイの内側の角部分から亀裂が入り易いためである。即ち、加圧焼結中にダイの内壁へかかる圧力が、そのダイを形成しているグラファイト等の材質が耐えられる圧力以上となった場合にはダイの破壊が生じるため、角形のダイの利用は控えられてきた。
そこで、本発明者らは、真空中若しくは不活性雰囲気中で加圧焼成する金属酸化物焼結体の製造において、直接、角形形状の焼結体を得ることを可能とするための種々の検討を行なった。例えば、構成する部材に工夫を加えることを試み、グラファイト製のリング状のダイ1に、かまぼこ状のスペーサー(以下ダイスペーサーという)7を4つ用意し、図7(a)に示したように、ダイスペーサーの弧側をリング内壁に合わせるようにして組み合わせ、これによって正方形のタイル型焼結体を得ることを行った。しかし、このような部材からなる焼成型を用い、パルス通電加熱によって焼成を行なうパルス通電加圧焼結法を試験したところ、リング状のダイ1と4つのダイスペーサー7間、及びこれらのダイスペーサー7と上下のパンチ間の電流の流れ方が均一でないことが常に問題となり、安定した焼成はできない場合があった。そこで、ダイとダイスペーサーとを一体化し、しかもダイの角部分から亀裂が入り難い、量産が行える焼成型を得ることについて種々の検討を行なった。
先ず、図2(a)及び(b)に示したような、角筒状のグラファイト製のダイ1と、これに合う多角形状の上下のパンチ2及び2’からなる焼成型11を作成した。この場合に、ダイの内側の角部分は、加圧焼結時に側圧がかかると非常に亀裂が入り易いため、図2(b)に示したように、内側の角部分にRを施して角丸とし、圧力を分散させ亀裂が入りにくい構造とした。
更に検討を加えたところ、先に述べたように、焼成型の構成部材と原料との間にグラファイトペーパーを使用すると、このR部分でパンチに引っかかり、これが原因となって焼結体に亀裂が生じる場合があった。かかる問題を解決する方法について鋭意検討した結果、R部分について、焼成型を構成しているダイとパンチとのR部分を同一とせずに、ダイとパンチのR部分にクリアランスを設け、このクリアランスを適宜に調整することが好ましいことがわかった。特に、ダイとパンチのR部分におけるクリアランスを僅かに増やすためには、パンチのRをダイのRに比較してやや大きくすることが好ましい。具体的には、パンチのRを、ダイのRに対して0.3〜0.6mm程度大きくすることが好ましく、例えば、80mm角の焼結体の焼成時に使用する焼成型の部材として、ダイの内側のR部を5mmとし、上下のパンチのR部を5.5mmとすれば、角部分に亀裂を生じることなく、安定した焼成が可能となることができる。
次に、本発明にかかる金属酸化物焼結体の製造方法の別の実施形態の、複数の金属酸化物原料を積層してなる積層構造を有する焼結体を製造する場合について説明する。かかる形態では、焼成型を構成している上下のパンチの、金属酸化物原料と接する側とは反対側に配置させるスペーサーを更なる部材として有する焼成型(以下、試料型という)を用いる。そして、該試料型の空間に組成の異なる複数の金属酸化物原料を積層し、各原料毎に多層状態となるように充填し、上記スペーサーの形状を、該スペーサー側にある層を構成している金属酸化物原料の熱特性に応じて変化させることで、該金属酸化物原料に均一に熱がかかる構成とする(図3及び4参照)。上記構成を有する金属酸化物焼結体の製造方法によれば、下記に述べるように、熱特性の異なる複数の成分からなる積層構造を有する焼結体を、一度の焼成工程で製造することができる。
高い浸食抵抗性を有するクロミアタイルは、産業廃棄物溶融炉等の耐火物として期待されているが、原料として高純度クロミアを使用するため、耐火物材料としては原料コストが他の耐火物に比較して高価となっている。これに対してクロミア焼結体は、浸食抵抗性が非常に優れているため、厚さを薄くした製品でも産業廃棄物溶融炉等の耐火物として有効であり、厚さを薄くすることで原料コストを抑えることは可能である。しかしながら、薄型のタイルは、衝撃により割れ易く取り扱いにくいことが欠点となる。そこで、本発明者らは、このような課題に対する解決策として、タイル中の成分を必要とする機能に応じて層状に分配し、これによって、原料コストを抑え、しかも、耐衝撃性や取り扱い性に優れる積層構造を有する一枚のタイルとして製造する方法について検討した。
しかしながら、下記に述べるように、熱特性の異なる複数の成分からなる積層構造を有する焼結体を一度の焼成工程で製造することは困難である。例えば、パルス通電加熱加圧焼結法では、グラファイト等からなる導電性の焼成型の空間内に金属酸化物原料を充填し、上下のパンチによって一軸加圧しながらパルス電流を原料及び導電性ダイに流すことによって焼成を行うが、該焼成は、原料自体の発熱作用と、ダイ及び上下のパンチから伝わるジュール熱とで行われるため、焼結体の材質が部分的に異なると、粉体自身の発熱作用が変わり、均質な原料を用いた場合のように、均一に焼成することが困難になる。
例えば、焼成型の空間内に、クロミア粉末(平均粒径0.5μm)とアルミナ粉末(粒度45μm以下)を層状に充填し、通常のクロミア焼成条件で、パルス通電加熱加圧焼結法によって焼成を実施したところ、焼結体に亀裂が発生した。上記の例においては、焼成後の各層の厚さが、クロミア層10mm、アルミナ層1mmとなるように充填した。上記において亀裂が発生した原因は、クロミアの焼成条件で焼成を行なったため、アルミナ粉末に対しては通常のアルミナの焼成温度よりも高い温度域の焼成条件での焼成が行なわれ、この結果、アルミナ層が緻密化し、亀裂が発生したものと考えられる。そこで、焼成条件を変化させて、アルミナ層側の焼成温度を下げる方策について検討を行なった。
その結果、焼成型を構成する部材として、上下パンチにそれぞれ接触するスペーサーを用い、ダイ、上下パンチ及びスペーサーからなる試料型の形状を、下記に述べるように構成すれば、熱特性の異なる複数の成分からなる積層構造を有する焼結体を一度の焼成工程で製造することが可能となることを見出した。即ち、試料型の構成部材であるスペーサーの形状を、パンチと接触する面積が変わるように変化させたり、スペーサーの構成部材がパンチのみならずダイにも接触するように試料型の構成部材を変化させると、金属酸化物原料の焼成温度を変化させることが可能となることがわかった。
以下、例を挙げて説明する。図3は、上下のパンチ2及び2’に接触した状態で用いられるスペーサー6及び6’が、それぞれ全く同一の構造を有する、上下に対称のスペーサーが配置された試料型10を使用した例である。これに対して図4は、上下に対称の構造のスペーサーを有する試料型10を使用した例であるが、下側のスペーサー6’の、下のパンチ2’に接触する構成部材である6bが、下のパンチ2’と接触すると同時に、ダイ1とも接触するように構成されている。
上記構造を有する図3及び4に示したそれぞれの試料型10を用い、金属酸化物原料を充填する際に、上のパンチ2側にクロミア原料を配置し、下のパンチ2’側にアルミナ原料を配置して2層に積層し、この状態で焼成試験を行って2層構造を有するタイルを得たところ、図3に示した例と比較して、図4に示した試料型10を用いた例では、得られたタイルの亀裂は大幅に減少した。これは、図4の例では、スペーサー6bをダイ1とも接触させるようにしたため、スペーサー6a側と比較して、スペーサー6b側の焼成温度を下げることができたものと考えられる。即ち、スペーサー6bからダイ1へも直接電流が流れるようになり、電流が流れやすくなることで、抵抗が低くなるので、スペーサー6b側の発熱量が減少するからである。
図3及び図4に示した構造の各試料型10を使用して得られた各タイルについて、アルミナ層の微構造観察を行った。この結果、図3に示した構造の試料型を用いたタイルのアルミナ層の粒子径の方が、図4に示した構造の試料型を用いた例の場合のタイルの粒子径よりも大きかった。この理由は、図3に示した、上下対称のスペーサーで焼成した試料では、焼成時にクロミア原料側及びアルミナ側でタイルの温度分布は均一となるが、図4に示した、ダイ1のアルミナ側を、スペーサーの部材6bに接触させた状態の試料型10では、焼成時にタイルのクロミア原料側とアルミナ原料側で温度の差がつき、アルミナ原料側はクロミア原料側よりも温度が下がったためと考えられる。以上の結果から、パンチ、或いはパンチとダイに接触するスペーサーの接触面積を種々に変えることによって、積層された各金属酸化物原料に対する焼成温度を変化させることができ、この結果、焼結体の亀裂の発生を有効に抑制できることがわかった。
更に、本願発明にかかる金属酸化物焼結体の製造方法の別の形態について、以下に説明する。上記のようにして得られる焼結体を、ガラス溶融炉や産業廃棄物溶融炉等の内張り用炉材等として利用する場合は、不定形耐火物にてタイルを固定保持することが多いため、タイルの裏面を、不定形耐火物が入り込むように多孔質にすることが好ましい。アルミナ原料からなるタイルの裏層側には、粗い粉末原料を使用して焼結体内部に気孔を形成することが望ましいと考え、粒度45μm以下のアルミナ粉末に加えて、粒度300μm以下のアルミナ粉末を併用し、クロミア原料と、アルミナ原料とを2層に積層した原料を用いて2層構造を有する、上記した特性を有するタイルを得る場合の条件について検討した。
上記した原料を用い、前記した図4に示した試料型10を用いて同様の条件で焼成試験を行ったところ、この場合にはアルミナ原料側が焼結しなかった。そこで、粒度300μm以下のアルミナの焼結温度を確認するため、粒度300μm以下のアルミナ粉末単独で焼成試験を実施した。この結果、1,600℃で焼結することがわかった。
これに対して、本発明者らの検討によれば、同じ焼成条件でも試料型のうち、一方のパンチに接するスペーサーの構成部材の接触面積を小さくすることで、抵抗が大きくなり、該パンチ側の焼成温度を高くすることができる。そこで、図5に示したように、下側のパンチ2’に接するスペーサーの構成部材6bの直径を小さくした構成の試料型を用いて試験を行った。その際、図5に示した試料型の上のパンチ2側にクロミア粉末(平均粒径0.5μm)を充填し、下のパンチ2’側に粒度45μm以下と粒度300μm以下のアルミナ粉末を混合した原料を充填した。その他の焼成条件は前述の方法と同様とした。この結果、クロミアが良好に焼結されると同時に、アルミナ側には粒度300μm以下の焼結温度の高いアルミナ粉末が混合されているにもかかわらず、下のパンチ2’側のアルミナも良好に焼結されて、多孔質アルミナを裏層に備えたクロミア焼結体を得ることができた。
更に、本発明にかかる金属酸化物焼結体の製造方法の別の実施形態によれば、下記に述べるように、一度の焼成で、複数個の同一形状(厚さ違いも可能)の金属酸化物焼結体を製造することができる。かかる実施形態では、金属酸化物原料を、離型剤或いはグラファイトペーパーが設けられた厚みが1〜15mmの範囲にあるグラファイト製の仕切り板で分離して多層となるように充填し、一回の焼成で、同一形状或いは互いに形状の異なる金属酸化物焼結体を複数得ることが可能となる。従来の焼成方法では、一度の焼成に1つの焼結体しか得られなかったため、短期に多数の生産を行なうことは難しかったのに対して、一度の焼成で、複数個の焼結体を得ることができれば、短期に多数の焼結体が得られ、生産コストの低減や生産効率向上に非常に有効である。形状の異なる焼結体を複数得る方法としては、例えば、パンチや仕切り板に加工を施すことで可能となる。
一度の焼成で複数個の同一形状の焼結体を得る方策の1つとして、複数個の焼成型を利用して同時に加圧焼成することが考えられる。しかしながら、本発明にかかる金属酸化物焼結体の製造方法に好適なパルス通電加熱加圧焼結法では、その加圧する面積により従って、装置の大型化や電力の大容量化に繋がる。このため、加圧方向に対し重ねた状態で複数個の焼結体を焼成するように設計することが望ましい。
一度の焼成で複数個を焼成する場合に問題となるのは、各焼結体を分離するために使用するグラファイト製仕切り板の厚さと、金属酸化物原料の充填厚さである。電極の耐熱温度以上となる条件で試験することは危険であり、更に、スペーサー量の減少や焼成型の高さ方向を大きくすることには限界がある。又、ダイとパンチの関係は、電流の流れるダイ、パンチ間の接触面積やダイに対するパンチの挿入角度の問題から、金属酸化物原料を充填した焼成前の状態で、ダイにパンチが2/3以上入っているようにすることが望ましい。このため、グラファイト製仕切り板の厚さは、仕切り板自体の取扱強度の点から1mm以上の厚さを有することが望ましい。
上記した条件を満たすようにダイとパンチを設定し、ダイ内部の金属酸化物原料の仕切り板に厚さ5mmのグラファイト製の板を用い、各金属酸化物原料の厚さを10mmとして、2個同時焼成する試験を行った。しかし、焼成後の焼結体を取り出した時に、焼結体がダイの下端に来た時点でダイに亀裂が入ってしまった。加圧焼結の焼成型等に利用されるようなグラファイトは弾性率が大きいため、焼結体の取り出し時にダイが歪まなかったと推測された。これに対して、本発明にかかる方法では、金属酸化物原料に接するダイの周りに離型剤或いはグラファイトペーパーを配置して焼成を行なうため、このような場合に生じる恐れのあるダイの割れを防止することができた。今回の焼成条件では、グラファイトペーパーを2枚重ねて巻くことで、ダイに亀裂が入ることを完全に解消できた。
次に、本発明にかかる金属酸化物焼結体の製造方法の別の実施形態として、表面に凹凸を有する金属酸化物焼結体を製造することができる形態について説明する。この場合には、先に説明した焼成型の構成部材である上下のパンチの少なくとも一方の、金属酸化物原料との接触面が凹凸形状を有するものを用いる。このようにすれば、表面に凹凸を有する金属酸化物焼結体が製造される。即ち、上下のパンチに、その少なくとも一方の原料接触面が凹凸形状のものを用いることで、タイル表面に凹凸を施すことが可能となる。この結果、得られる焼結体の上下面のいずれか、或いは両方の面を複雑化することができ、使用目的に応じた適宜な形状の焼結体を容易に得ることができる。上記した実施形態によれば、本発明にかかる方法によって得られる焼結体の汎用性を高めることができる。金属酸化物焼結体は非常に硬質であり、焼成後の加工は非常に時間がかかる。このことを考慮すると、用途に応じた形状の焼結体、若しくは単純な加工のみで済む焼結体を得ることができる上記した実施形態は、実用上、有効であると考えられる。更に、先に述べた方法に、この技術を併用すれば、多層焼結による裏面を多孔質としたタイルの上下のパンチに接する面に、容易に凹凸を施すことができ、更に焼結体を内張り用炉材として使用する場合の不定形耐火物からの剥れ防止の効果も得られる。
本発明者らは、種々のパンチの形状について試験したところ、凹凸を施したパンチには、原料粉末或いは原料顆粒が噛み込み易く、これを原因としてパンチが破損してしまう場合があることがわかった。従って、凹凸の角の部分は、Rをつけた角丸形状とすることが好ましい。本発明において、凹凸を形成した部分にグラファイトペーパーを緩衝材として挟むことも有効である。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
<実施例1>
本実施例では、金属酸化物原料として、平均粒径1μmの市販のクロミア粉末(商品名:G5、日本化学工業)を用いた。本実施例で使用した焼成型を構成するダイ及び上下のパンチは、いずれもグラファイト材質からなり、これらは、図2(a)に示したような構造を有し、原料であるクロミア粉末の充填部3は、上下のパンチとダイとによって囲まれた状態で形成されている。上下のパンチには、原料粉末との接触面の形状が、縦80mm×横80mmのもの、または縦70mm×横70mmのものの、2種類の角柱状のものを使用した。
これらは、図2(a)に示したように、角の部分にRがあり、角丸になっている。また、これらのパンチと組み合わせるダイには、図2に示したような角筒状であって、下記の2種類の形状のものを用いた。各角筒状のダイの形状は、外寸が縦120mm×横120mm×高さ70mmであって、中空部分の内寸が、縦80mm×横80mm×高さ70mmの形状のものと、外寸が縦140mm×横140mm×高さ70mmであって、中空部分の内寸が縦70mm×横70mm×高さ70mmの形状のものの2種類である。ダイの中空部分も、図2(b)に示したように、角の部分にRがあり、角丸になっている。本実施例では、ダイとパンチとのR部分を同一とせずに、ダイとパンチのR部分にクリアランスを設けた。具体的には、80mm角の焼結体を得るための焼成型において、ダイの中空部分のR部を5mmとし、上下のパンチのR部を5.5mmとした。70mm角の焼結体を得るための焼成型についてもR部分に同程度のクリアランスを設けた。
本実施例では、上記したような形状のダイ及び上下のパンチと、充填部内に収納した金属酸化物粉末とが焼成時に反応した場合に生じる損傷を防ぐため、ダイの中空部分の内壁の略全面に0.2mmの厚みのグラファイトペーパー(住友石炭鉱業(株))を配置した。本実施例では、角筒状のダイの内壁の略全面にグラファイトペーパーを配置したが、これに限定されず、少なくともダイの中空部分の内壁の金属酸化物粉末と接触する部分にグラファイトペーパーが配置されるようにすればよい。この際、グラファイトペーパーをスプレーのりであるS/N55C(住友スリーエム(株))を用いて内壁に固着した。更に、上下のパンチには、金属酸化物粉末との接触面となる部分に、ペースト状のアルミナを塗布した。そして、先ず、下パンチをダイに差し込み、原料であるクロミア粉末をダイに充填した後、上パンチを差し込んで、図2(a)に示した状態とした。
上記のようにしてクロミア粉末が焼成型の内部に充填された状態の焼成型を、放電プラズマ焼結機SPS−7.40(住友石炭鉱業(株))のチャンバー内にセットし、焼成を行った。焼成条件は、チャンバー内を5Pa以下の真空状態とした後、20MPaの加圧力をクロミア粉末にかけながら、19分間で1,320℃まで昇温した。そして、1,320℃で5分間保持した後、加圧を完全に開放するとともに自然冷却し、400℃に達した時点で大気中に開放して、大きさの異なる、それぞれの厚みが約10mmの角丸の正方形の板状の焼結体である2種類のタイルを得た。
[評価]
焼成終了後、上記で得られた2種類の焼結体について下記の評価を行った。
(離型性)
焼成型から焼結体を取り出す際の取り出し易さは円滑であり、良好であった。また、得られた焼結体の表面及び、ダイと上下のパンチの原料と接触している部分の表面について目視にて観察したところ、両者間に反応が生じ焼成型を繰り返し使用するのに支障をきたしたり、焼結体の性能が低下すると認められる部分はなかった。また、亀裂のない良好な製品であることが確認できた。
(相対密度)
JISR2205に準拠して、焼結体試料のかさ密度の測定を行った。そして、得られたかさ密度の、クロミアの理論密度に対する割合を算出し、その数値を相対密度(%)として表1中に示した。表1に示した通り、相対密度は大きく、いずれの焼結体も緻密な良好なものであることが確認できた。この結果、離型剤を使用しても、焼結体の性能を低下させることなく焼結させることが可能であり、良好な製品が得られることが確認された。
(浸食試験)
上記で得られた焼結体を10×10×40mmの形状に加工し、スラグによる浸食試験を行った。試験は、試薬から合成したスラグを、大気中、1,500℃で溶融し、そのスラグ中に50時間、加工した焼結体を浸漬させた。そして、試験後の焼結体から測定用試料を切り出して、該試料について、電子顕微鏡(SEM)で浸食が認められた深さ(浸食量)を測定して耐食性を評価した。表1中に、浸食が認められた最大深さ(浸食量(μm))を示した。浸食量は離型剤を使わない場合と同程度であり、離型剤を使用することによる耐食性への影響は見られないことがわかった。
<実施例2>
本実施例では、金属酸化物原料として、実施例1で使用したと同様のクロミア粉末と、平均粒径300μm以下と45μm以下の2種類の平均粒径の異なる電融アルミナ(昭和電工 RW−92)を用いた。該電融アルミナは、上記2種類の電融アルミナを、予め、重量による配合比率が、平均粒径300μm以下:45μm以下=8:2となるように混合して、アルミナ混合粉として用いた。
本実施例では、下記の形状のダイ及び上下のパンチで構成されたグラファイト材質の試料型を使用した。上下のパンチは、原料粉末との接触面の形状がφ60mmの円形となる大きさの円柱状である。また、これらのパンチと組み合わせるダイには、外径φ100mm、内径φ60.8mm及び高さ70mmの、円筒状のものを用いた。本実施例では、円筒状のダイの内壁の略全面に、実施例1で使用したと同様の0.2mmの厚さのグラファイトペーパーを、実施例1と同様の方法で固着して配置した。更に、上下のパンチの、金属酸化物粉末との接触面となる部分に、ペースト状のアルミナを塗布した(図1(b)参照)。
本実施例では、先ず、ダイに上パンチを差し込み、クロミア粉末を充填し、次に、前記した電融アルミナの混合粉を、焼結後の厚みがクロミアとアルミナの合計で10mmとなるように充填し、その後、下パンチを差し込んで図1(a)に示した状態とした。この際、クロミアとアルミナの焼結後の厚みの比率が、それぞれ3:7、5:5、7:3となるように充填し、3種類のものについて実施した。本実施例では、上下のパンチと電極との間に、図8に示したように、上下のパンチに接してサイズの異なるスペーサーをそれぞれ配置した。パンチに接するスペーサーには、アルミナ側(下パンチ側)にφ60mm×40mmのものを用い、クロミア側(上パンチ側)にφ80mm×40mmのものを用いた。本実施例で使用した試料型は、上記したように、上下のパンチに接するスペーサーの形状が異なっているため、クロミア粉末側と電融アルミナ混合試料側とで焼成温度に温度差をつけることができる(アルミナ混合試料側の温度を高くできる)。
上記した試料型を、実施例1で使用したと同様の放電プラズマ焼結機のチャンバー内にセットし、焼成を行った。焼成条件は、チャンバー内を5Pa以下の真空状態とした後、35MPaの加圧力を粉体にかけながら18〜19分間で1,450℃まで昇温した。この温度で5分間保持した後、加圧を完全に開放するとともに自然冷却し、400℃に達した時点で大気開放して、3種類の円盤状のタイルを得た。これらの円盤状のタイルは、クロミア層とアルミナ層の合計の厚みが10mmであり、そのうちアルミナ層の厚みがそれぞれ、3mm、5mm、7mmである2層構造を有する。
[評価]
焼成終了後の焼結体は、ダイ及び上下のパンチと容易に剥離し、試料型内から円滑に取り出すことができた。また、得られた焼結体を切断加工し、アルミナとクロミアの焼結状態と接着状態を確認するため、SEMによる微構造組織の観察を実施した。図6は、その際に得られたアルミナとクロミアが隣接する状態を示すSEMの結果を示す図である。図示した通り、2層構造の焼結体は、クロミア層Aとアルミナ層Bの境界部がしっかり接着しており、それぞれの層についてもクロミア側は緻密化し、焼成温度の高い平均粒径300μm以下の粒径の大きなアルミナが混合されているアルミナ側も良好に焼結していた。
<実施例3>
本実施例では、金属酸化物原料に、実施例1で使用したと同様の平均粒径1μmの市販のクロミア粉末を使用し、焼成型には、φ60mm×40mmの円柱状のパンチと、外径φ100mm、内径φ60.8mm、高さ70mmの円筒状のダイとからなるものを用いた。そして、ダイ及びパンチと粉末原料の反応を防ぐために、実施例1で使用したと同様の厚さ0.2mmのグラファイトペーパーをダイの内壁に配置し、上下のパンチには、金属酸化物粉末との接触面となる部分に、ペースト状のアルミナを塗布した。本実施例では、実施例1及び2の場合と異なり、グラファイトペーパーを焼成型の部材に接着剤によって固着せずに配置した。
上記した原料を、焼成後の厚みが10mmとなるように、上記した部材からなる焼成型内部に充填し、実施例1で使用したと同様の放電プラズマ焼結機のチャンバー内にセットし、焼成を行った。焼成条件は、チャンバー内を5Pa以下の真空状態とした後、30MPaの加圧力を粉体にかけながら19分間で1,350℃まで昇温し、1,350℃で5分間保持した後、加圧を完全に開放するとともに自然冷却し、400℃に達した時点で大気開放して、円盤状のタイルを得た。
[評価]
その結果、グラファイトペーパー及び離型剤を配置しない状態で焼成を行った場合と比較し、焼結体の取り出し易さが改善されたものの、実施例1及び2と比較すると焼結体の取り出しは困難な場合があり、ダイの使用を繰り返した場合に、クロミアによりダイ等が損傷されて、ダイやパンチの繰り返しの使用ができない状況が見られた。これは、本実施例では、実施例1及び2の場合のようにグラファイトペーパーをダイの内壁に固着させなかったため、離型剤のペースト状アルミナや焼結用粉体であるクロミアが、焼成型を構成している部材との間に入り込んでしまったためと考えられる。
<実施例4>
本実施例では、原料に実施例1で使用したと同様のクロミア粉末を用いた。焼成型には、グラファイト材質の、下記の形状を有する上下のパンチとダイからなるものを用いた。上下のパンチには、原料粉末との接触面の形状が、縦70mm×横70mmである角柱状のものを使用した。また、焼成したタイルに深さ変位幅2mmの凹凸ができるように、下のパンチには、表面に凹凸を有するものを用いた。本実施例で用いたダイの外寸は、縦140mm、横140mmであり、内側に円筒状の空洞を有しているものを使用した。このため、図7(a)に示したように、別部材であるかまぼこ状のダイスペーサーを、ダイの内壁側の4箇所に配置し、焼成して得られるタイルの形状が、縦70mm横70mmの正方形となるようにした。そして、焼成後にタイルを取り出し易くするために、図7(c)に示したように、ダイとダイスペーサーには2°の傾きを配したものを用いた。
更に、かまぼこ状のダイスペーサーの内壁に、実施例1と同様の0.2mmの厚みのグラファイトペーパーを、実施例1と同様の方法で、同様の位置に固着させた。また、上下のパンチの、粉体原料との接触面には、ペースト状のアルミナを塗布した。
上記した状態とした後、下パンチをダイに差し込み、4箇所にダイスペーサーを配置した後、金属酸化物粉末をダイの空間部に充填後、上パンチを差し込んだ。このようにして粉末を充填した焼成型を、実施例1で使用したと同様の放電プラズマ焼結機のチャンバー内にセットし、焼成を行った。焼成条件は、チャンバー内を5Pa以下の真空状態とした後、35MPaの加圧力を粉体にかけながら19分間で1,350℃まで昇温した。1,350℃で20分間保持した後、加圧を完全に開放するとともに自然冷却し、400℃に達した時点で大気開放して、厚みが10mmの正方形の板状のタイルを得た。
[評価]
焼成終了後、焼結体は、ダイスペーサーとともにダイから円滑に取り出すことができた。更に、焼結体とダイスペーサーとは容易に分離することができた。また、得られた焼結体は、緻密であることが確認できた。この結果、離型剤の使用やタイル形状を部分的に変えても、焼結体の性能を低下させることなく焼結させることが可能であると確認された。
<実施例5>
本実施例では、原料に、実施例1で用いたと同様のクロミア粉末を用いた。上下のパンチには、原料粉末との接触面の形状がφ60mmである円柱状のものを用いた。また、これと組み合わせるダイの形状は、外径φ100mm×内径φ60.4mm×高さ90mmの円筒状のものを用いた。パンチ及びダイの材質は、グラファイト質であるが、本実施例では、汎用品と比べて1.7倍の曲げ強さがあるG540(東海カーボン製)を用いた。ダイの内壁の略全面に、実施例1で使用したと同様のグラファイトペーパーを、実施例1と同様の方法で接着剤を用いて2枚固着させた。更に、上下のパンチの原料粉との接触面には、ペースト状のアルミナを塗布した。
そして、先ず、下パンチをダイに差し込み、次に、クロミア粉末を焼成後のタイル厚さが10mmとなるように充填して粉体表面を整えた後、外径59.6mmで厚さ5mmのグラファイト製の仕切り板をダイに充填した。該仕切り板の表面には、離型剤(ペースト状アルミナ)が塗布されている。次に、仕切り板の上に、更に焼成後のタイル厚さが10mmとなるようにクロミア粉末を充填し、粉体表面を整えた後、上パンチを差し込んだ。
上記のようにして得た粉末原料が、仕切り板を介して2層となるように充填されている焼成型を、実施例1で使用したと同様の放電プラズマ焼結機のチャンバー内にセットし、焼成を行った。焼成条件は、チャンバー内を5Pa以下の真空状態とした後、35MPaの加圧力を粉体にかけながら19分間で1,350℃まで昇温し、1,350℃で5分間保持した。その後、加圧を完全に開放するとともに自然冷却し、400℃に達した時点で大気開放し、一度の焼成で10mm厚みの円盤状のタイルを2枚得た。
[評価]
焼成終了後、2枚の焼結体は、ダイ及び上下のパンチと容易に剥離し、焼成型内から円滑に取り出すことができた。得られた2枚の焼結体について、実施例1の場合と同様にして相対密度の測定を行った。その結果を表1に示したが、2枚の焼結体は、いずれも緻密であることが確認できた。また、実施例2と同様にSEMによる微構造組織の観察を実施した。その結果、2枚の焼結体は、双方ともに粒子径が1〜2μm程度と均一な粒子の大きさになっており、一度の焼成で1枚の焼結体を得た場合と遜色のないものが得られることが確認できた。この結果、本実施例の方法によって、温度分布が少なく均一な状態で焼成が行えることが確認された。
<実施例6>
本実施例では、金属酸化物原料として、実施例1で使用した平均粒径1μmのクロミア粉末を、下記のようにして顆粒化したクロミア顆粒を用いた。すなわち、原料の顆粒化処理においては、先ず、クロミア粉末に、水と、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)を混合し、スラリーを作成した。その際の混合比は、原料粉末と水との比が1:1となるようにし、粉末とバインダーとの比が100:1となる重量比で混合した。上記のようにして調製したスラリーを噴霧乾燥装置にて造粒させ、平均粒径が63μmのクロミア顆粒を得た。
本実施例では、外径φ100mm、内径φ60.4mm、高さ70mmの円筒状のダイと、径φ60mmの円柱状の上下のパンチからなる焼成型を用いた。そして、ダイ及び上下のパンチの原料との接触面に、離型剤として、ペースト状アルミナを施してから、下パンチをダイに差し込み、クロミア顆粒を、焼成後の厚みが10mmとなるようにダイに充填後、上パンチを差し込んだ。
上記のようにして得た顆粒原料が充填された焼成型を、実施例1で使用したと同様の放電プラズマ焼結機のチャンバー内にセットし、焼成を行った。焼成条件は、チャンバー内を5Pa以下の真空状態とした後、30MPaの加圧力を顆粒原料にかけながら200℃までを3分間、200〜500℃までを24分間(12.5℃/分)で昇温して、バインダー成分の揮散を十分に行った。その後、500〜1,350℃までを13分間で昇温した。そして、1,350℃で5分間保持した後、加圧を完全に開放するとともに自然冷却し、400℃に達した時点で大気開放して、厚みが10mmの円盤状のタイルを得た。
[評価]
焼成終了後、焼結体を焼成内から円滑に取り出すことができた。また、得られた焼結体について、実施例1と同様にして相対密度を測定し、その結果を表1に示した。表1に示した通り、本実施例で得られた焼結体は、粉体原料を用いた場合と同様に、緻密であることが確認できた。また、SEMによる微構造組織の観察を行ったところ、顆粒原料を使用した場合についても、顆粒にする際に添加したバインダー成分の残渣はなく、またその他成分の影響を受けることなく、焼成できることが確認された。
<比較例1>
本比較例では、実施例6と同様の方法で、実施例1で使用した平均粒径1μmのクロミア粉末を顆粒化して得られた平均粒径21μmのクロミア顆粒を用い、且つ焼成条件を下記のようにした以外は、実施例6と同じ条件で試験を実施した。焼成条件は、チャンバー内を5Pa以下の真空状態とした後、30MPaの加圧力を顆粒原料にかけながら19分間で1,350℃まで昇温し、1,350℃で5分間保持した。その後、加圧を完全に開放するとともに自然冷却し、400℃に達した時点で大気開放し、10mmの厚みの円盤状のタイルを2枚得た。
[評価]
焼成終了後、ダイおよび上下のパンチがクロミアとの反応により溶着し、焼結体の取り出しが困難であった。顆粒を焼成型に充填するときと、500℃までの昇温時に顆粒の吹き上がり現象を確認したことから、顆粒に含まれるPVA成分の揮発が短時間で多量であったことと、原料として使用した顆粒の平均粒径が30μm未満であり、ダイとパンチの隙間に顆粒が入り込み目詰まりが生じたことが原因と考えられた。
Figure 0004426245
以上述べたように、本発明によれば、角形形状のタイル等の焼結体や、各種の冶具等の複雑な形状等の所望の形状を有する、緻密で且つ均質な焼結体を加圧焼結により簡易に製造でき、また、場合によっては特定の部分のみに高い特性を付与した焼結体を得ることができ、更には、一度の焼成で複数の焼結体を製造でき、大量生産にも対応可能な金属酸化物焼結体の製造方法が提供される。更に、本発明によれば、金属酸化物原料を、グラファイト等の材料からなる導電性焼成型へ迅速に充填でき、高い生産効率を達成した金属酸化物焼結体の製造方法が提供される。
本発明で使用する焼成型の説明図である。 本発明で使用する焼成型の説明図である。 本発明で使用する試料型の説明図である。 本発明で使用する試料型の説明図である。 本発明で使用する試料型の説明図である。 実施例2で得られた2層焼結体の積層部のSEM写真の図である。 本発明で使用する焼成型の説明図である。 実施例2で用いた試料型の説明図である。
符号の説明
1:ダイ
2:上パンチ
2’:下パンチ
3:原料(焼成型の空間)
4:内壁部分
5:接触部位
6:上スペーサー
6’:下スペーサー
7:ダイスペーサー
10:試料型
11:焼成型

Claims (9)

  1. 焼成型内の金属酸化物原料を真空中若しくは不活性雰囲気中で加圧しながら加熱して焼成する金属酸化物焼結体の製造方法において、
    少なくとも、ダイと上下のパンチとを別部材として含む焼成型を用い、該ダイの内壁と上下のパンチとで囲まれた空間に金属酸化物原料を充填し、充填された金属酸化物原料に上下のパンチによって圧力をかけながら加圧焼成する際に、
    上記金属酸化物原料に、平均粒径が0.5〜10μmの金属酸化物粉末、或いは該金属酸化物粉末を顆粒状にした平均粒径30〜200μmの金属酸化物顆粒の少なくともいずれかを用い、
    該金属酸化物原料が上記空間に充填された状態において、ダイの内壁の少なくとも該原料が充填される部分にグラファイトペーパーを接着剤または粘着剤で固着した状態で配置し、上下のパンチの該原料との接触面となる部分に、ゾル状グラファイト、スプレー状グラファイト、スプレー状窒化硼素及びペースト状アルミナのいずれかの液状或いはペースト状の離型剤を塗布することで配置し、この状態で焼成を行うことを特徴とする金属酸化物焼結体の製造方法。
  2. 前記焼成型に、ダイと上下のパンチとで囲まれた空間が、角部分にRが施された角丸の多角形状となる部材を有するものを用い、多角形状の金属酸化物焼結体を製造する請求項1に記載の金属酸化物焼結体の製造方法。
  3. 前記焼成型に、上下のパンチの金属酸化物原料と接する側とは反対側に配置されたスペーサーを更に部材として有する試料型を用い、該試料型の空間に組成の異なる複数の金属酸化物原料を積層し、各原料毎に多層状態となるように充填し、上記スペーサーの形状を、該スペーサー側にある層を構成している金属酸化物原料の熱特性に応じて変化させて、該金属酸化物原料に均一に熱がかかる構成として焼成を行って積層構造を有する焼結体を製造する請求項1又は2に記載の金属酸化物焼結体の製造方法。
  4. 前記上下のパンチの少なくとも一方が、金属酸化物原料との接触面が凹凸形状を有するものを用いることで、表面に凹凸を有する金属酸化物焼結体を得る請求項1〜のいずれか1項に記載の金属酸化物焼結体の製造方法。
  5. 前記金属酸化物原料を、離型剤或いはグラファイトペーパーが設けられた厚みが1〜15mmの範囲にあるグラファイト製の仕切り板で分離して多層となるように充填し、一回の焼成で、同一形状或いは互いに形状の異なる金属酸化物焼結体を複数得る請求項1〜のいずれか1項に記載の金属酸化物焼結体の製造方法。
  6. 前記加熱を、パルス通電加熱によって行う請求項1〜のいずれか1項に記載の金属酸化物焼結体の製造方法。
  7. 前記焼成型が、導電性の焼成型であり、且つ、前記金属酸化物原料が、クロミア、シリカ、ジルコニア、チタニア、酸化鉄、及び酸化亜鉛のいずれかを少なくとも1種含む請求項1〜のいずれか1項に記載の金属酸化物焼結体の製造方法。
  8. 前記金属酸化物原料が、平均粒径が0.5〜10μmの金属酸化物粉末にバインダー溶液を混合してスプレー顆粒生成法によって顆粒状にした平均粒径30〜200μmの金属酸化物顆粒であって、且つ、該金属酸化物顆粒を真空中若しくは不活性雰囲気中で加圧しながら加熱して焼成する際に、100℃から500℃において昇温速度を調整して金属酸化物顆粒中のバインダーを消失させ、その後、急速に加熱して短時間で金属酸化物原料を焼成する請求項1〜のいずれか1項に記載の金属酸化物焼結体の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の金属酸化物焼結体の製造方法によって得られたことを特徴とする金属酸化物焼結体。
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