JP6168518B2 - 金属蒸着用るつぼ - Google Patents

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Description

本発明は、金属融液に対する撥液性に優れる、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を有する金属蒸着用るつぼに関する。詳しくは、金属融液に対する撥液性に優れ、蒸着源材料である金属が、るつぼと反応も溶着も起こさないため、耐久寿命が長く、蒸着源金属を容易に回収することが可能な金属蒸着用るつぼに関する。
蒸着は、真空中でるつぼに入った蒸着源材料(金属)を、抵抗加熱、誘導加熱、電子ビーム加熱等の方法で加熱・気化し、目的とする基板の表面に薄膜を形成する製膜方法の一種であり、電極形成に広く用いられている。しかしながら、この方法には、蒸着源材料である金属とるつぼが反応もしくは溶着して、るつぼが割れるという問題があった。るつぼが割れると、蒸着が不能になるのみならず、るつぼを繰り返し使用することが不可能になり、経済的な損失が大きい。また、蒸着に用いられる金属には希少金属が多く、蒸着後に蒸着源金属を回収する必要が生じるが、金属とるつぼが溶着した場合、金属をるつぼに残さずに回収することが困難であった。
そこで、金属とるつぼの反応を防ぐために、様々な処理を施したるつぼが使用されている。例えば、特許文献1には、黒鉛るつぼの内表層部に炭化チタンを存在させたり、更にその上にアルミニウム化合物を被覆及び含浸させたりすることにより、金属と黒鉛るつぼが反応することを極力抑え、耐久寿命(耐用回数)を従来の2倍以上とする技術が開示されている。
しかしながら、発明者らの検討によると、例えるつぼの表面を金属と反応しにくい材料で被覆し、金属融液とるつぼの反応を低減させることができたとしても、金属を溶融・凝固させた際に発生する金属とるつぼの溶着を防ぐことはできず、るつぼを繰り返し使用した場合には、溶着が原因となって、るつぼに割れが発生することが分かった。また、使用回数が少なく、割れが発生するには至らなかったとしても、るつぼに溶着した金属を回収することは困難であり、溶着した金属を回収するためには、るつぼに物理的な衝撃を与えて金属をはがしたり、るつぼを削ったりする作業が必要であった。これらの作業は手間がかかる上、るつぼにダメージが生じたり、回収した金属にるつぼの成分が混入したりする問題があった。
特開平7−109564号公報
そこで、本発明は、蒸着源材料である金属が、るつぼと反応を起こさないのみならず、るつぼと溶着をも起こさず、繰り返し使用することが可能であって、より耐久寿命が改善された金属蒸着用るつぼを提供することを目的とする。また、蒸着終了後に蒸着源金属を容易に回収することができる金属蒸着用るつぼを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らは、種々検討した結果、るつぼ基材の少なくとも内表面に、特定構造を有する窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を形成することにより、るつぼの金属融液に対する撥液性が大幅に増大し、蒸着源材料である金属とるつぼが反応や溶着を起こさなくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、るつぼ基材の少なくともその内表面に窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層が形成されており、該多孔質焼結体層の表面に、30〜80%の孔占有面積割合で、平均円相当径1〜25μmの大きさの孔が分散して存在する金属蒸着用るつぼであって、該金属がAl、Ag、Auのいずれかであることを特徴とする金属蒸着用るつぼである。
また、本発明により得られる金属蒸着用るつぼを用いた金属蒸着方法も提供される。
また、本発明の金属蒸着用るつぼは、るつぼ基材の表面にアルミニウム系化合物の焼結体層を介して、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層が形成されていることが好ましい。
本発明の金属蒸着用るつぼは、るつぼ基材の少なくとも内表面に特定構造を有する窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層が形成されており、るつぼの金属融液に対する撥液性が高く、るつぼが金属融液をはじくため、るつぼと金属の反応が起こらないのみならず、更にはるつぼと金属の溶着が起こらない。よって、るつぼが割れることなく、金属の蒸着に繰り返し使用することが可能であって、より耐久寿命が改善され、より金属蒸着における製造コストを低減することができる。また、本発明の金属蒸着用るつぼは、るつぼと金属が溶着しないため、蒸着工程終了後に容易に蒸着源金属を回収することができ、金属回収作業に係る手間やコストを大幅に削減することができる。さらに、蒸着工程終了後にるつぼ側に金属が残らないため、同じるつぼを異種の金属蒸着に用いることも可能であり、その場合も前回使用した金属成分の混入が発生しない。加えて、撥液性の効果により、回収される金属側にもるつぼの成分が混入しないため、回収した蒸着金属源の再利用も容易である。
本発明は金属融液に対する撥液性に優れる金属蒸着用るつぼに関し、本発明の金属蒸着用るつぼは、少なくともるつぼ基材の内表面に窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層が形成されていることを特徴とする。
(窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層)
窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層は、金属融液に対する撥液性を発揮するために、窒化ケイ素を主成分とすることが必要である。窒化ケイ素の割合は、55質量%以上、特に、70質量%以上であることが好ましい。
前記窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層には、窒化ケイ素以外の成分を含むこともできる。窒化ケイ素以外の成分は、焼結体を構成し得るものであれば特に制限されないが、焼結時の収縮を抑制して形成される孔の形状を維持する機能を有する成分が好ましく、具体的には二酸化ケイ素が好適である。かかる二酸化ケイ素は収縮抑制効果を発揮するために、2質量%以上、特に10質量%以上の割合であることが好ましい。あまり多く存在すると、前記窒化ケイ素の金属融液に対する撥液性を低下させるため、50質量%未満の割合であることが好ましく、特に45質量%以下、更には、30質量%以下の割合であることが好ましい。
該窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層の厚みは100〜1000μmが好適である。厚みが100μm以上であれば、充分な撥液性を得ることができる。また、厚みをあまり厚くしても効果は頭打ちとなり、経済的でないため、その厚みは1000μm以下とすることが好ましい。
本発明の金属蒸着用るつぼの窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層は、その表面に30〜80%の孔占有面積割合で、平均円相当径1〜25μmの大きさの孔が分散して存在する。
なお、上記多孔質焼結体層の表面において、孔の開口部が存在する面積割合(以下、孔占有面積割合)は、走査型電子顕微鏡で撮影した画像の電子データを用い、旭化成エンジニアリング社製ソフト「A像くん」で算出した。得られた画像から任意の解析対象範囲を選択して、二値化処理により孔の開口部分とそうでない部分に分類し、それぞれの部分の画素数を積算した。そして、孔の開口部が存在する面積を、総面積(孔の開口部が存在する面積+孔の開口部が存在しない面積)で除することで孔の開口部が存在する面積割合を算出した。また、孔の開口部の平均円相当径も、上記画像より平均値を算出した。
本発明の金属蒸着用るつぼの窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層は、前記窒化ケイ素を主成分とする材質と、上記孔の存在とによって、金属に対する撥液性が生じ、金属蒸着用るつぼの繰り返しての使用が可能となる。さらに、従来のるつぼでは、金属融液とるつぼが濡れやすく、金属融液がるつぼ内壁面を這い上がり、金属融液がるつぼからこぼれるという問題が生じたが、本発明の金属蒸着用るつぼは、金属融液に対する撥液性を有するため、金属融液がるつぼ内壁面を這い上がらず、金属融液がるつぼからこぼれる恐れを低減することができる。
前記多孔質焼結体層の表面に存在する孔は、多孔質焼結体層の表面を真上から見た場合の孔の開口部の平均円相当径が平均1〜25μm、好ましくは2〜15μmである。即ち、上記平均円相当径が1μm未満では、毛細管現象により金属融液が多孔質焼結体内部にしみこみやすくなり、るつぼの金属融液に対する撥液性が減少する。また、25μmを超えると、金属融液の自重で孔内部に金属融液が入りやすくなる。
前記多孔質焼結体層の表面に存在する孔の開口部の「孔占有面積割合」は、30%未満の場合、多孔質焼結体層の表面と金属融液との接触面積が増大して十分な撥液性を発揮することが困難となる。また、80%を超える場合、金属融液と接触して支える面積が低減し、孔内に金属融液が進入しやすくなる。さらに、多孔質焼結体層の強度が著しく低下する傾向がある。
多孔質焼結体層の各孔は、後述する方法で金属蒸着用るつぼを製造すると、円形状で独立して存在しているが、一部孔が複数連結し、連通孔を形成しているものも存在する。連通孔は、通常、深さ方向に形成されるが、この連通孔は多孔質焼結体層の表面からるつぼ基材の層まで達しないことが好ましい。連通孔がるつぼ基材まで達しなければ、るつぼ基材との溶着の恐れ、及びるつぼ基材から不純物が拡散する恐れが少なくなる。
孔の深さ(焼結体層の表面に対し垂直方向の長さであり、連通孔を形成している場合は連通孔としての深さ)は、多孔質焼結体層表面における金属融液の撥液性を効果的に発揮させるために、5μm以上、特に20μm以上とすることが好ましい。即ち、かかる連通孔の深さが5μm以上であれば、金属融液に対する撥液性が十分となる。
多孔質焼結体層の厚みは、この連結孔の深さを勘案して設計すればよく、100μm以上が好適である。また、厚みをあまり厚くしても効果は頭打ちとなり、経済的でないため、その厚みは1000μm以下とすることが好ましい。
(金属蒸着用るつぼ基材)
本発明の金属蒸着用るつぼを製造するのに用いる、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を形成する前の、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を有さないるつぼを「るつぼ基材」と称する。
本発明において、るつぼ基材の材質は蒸着源材料の加熱に耐えうる耐熱性を有する材質であれば特に制限されないが、石英、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、及び酸化マグネシウム等のセラミックスや黒鉛等の炭素材料が好適に使用される。
るつぼ基材の表面状態は特に限定されないが、その上に形成する焼結体層との密着性や焼結体層の表面の平滑性を勘案すれば、表面粗さは、Ra値で1〜10μm程度であることが好ましい。
上記るつぼ基材の形状は、蒸着源金属を設置でき、加熱が可能であれば特に制限されず、いわゆるるつぼ、ボート、ハースライナー等任意の形状とすることができるが、少なくとも金属融液が接するるつぼ基材の内表面に窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層が形成されている必要がある。金属融液が接するるつぼ基材内表面に窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層が形成されていない場合、るつぼ基材と金属の反応が起きたり、るつぼ基材と金属の溶着が起きたりして、るつぼが割れたり、蒸着源金属を回収することが困難となったりする。
(アルミニウム系化合物の焼結体層)
上記金属蒸着用るつぼは、るつぼ基材の少なくとも内表面に、アルミニウム系化合物の焼結体層を介して、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を形成することもできる。るつぼ基材の表面に、アルミニウム系化合物の焼結体層を介して、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を形成した場合、窒化ケイ素を含む焼結体層とるつぼ基材の密着力をより高くすることができる。
この場合、該アルミニウム系化合物の焼結体層は、アルミニウム系化合物を主成分とする。アルミニウム系化合物としては、アルミニウムを含有し、焼結性を有する化合物であれば特に制限はなく、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al)、サイアロン(SiAlON)、酸窒化アルミニウム(AlON)、ムライト(Al13Si)等を挙げることができるが、中でも窒化アルミニウム、酸化アルミニウムが好適である。
アルミニウム系化合物の焼結体層中のアルミニウム系化合物の割合は、窒化ケイ素を含む焼結体層と基材の密着力を高めるために、90質量%以上、特に、95質量%以上であることが好ましい。
前記アルミニウム系化合物の焼結体層には、アルミニウム系化合物以外に、該アルミニウム系化合物の焼結を促進する目的で添加される焼結助剤成分も含むことができる。焼結助剤成分は、一般に該アルミニウム系化合物の焼結助剤として用いられる成分であれば特に制限なく使用できる。このような焼結助剤の具体例としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等のアルカリ土類系化合物や、酸化イットリウム、酸化ホルミウム等の希土類系化合物等を例示することができる。また、特に、アルミニウム系化合物に窒化アルミニウムを用いる場合は酸化イットリウムが、アルミニウム系化合物に酸化アルミニウムを用いる場合は酸化マグネシウムが好適である。
アルミニウム系化合物の焼結体層に焼結助剤成分を含む場合、該焼結助剤成分の割合は、0.1質量%〜10質量%、特に5質量%以下が好ましい。助剤成分を0.1質量%以上添加することで、アルミニウム系化合物の焼結を促進することができる。また、10質量%以下、特に5質量%以下とすれば、アルミニウム系化合物の焼結体層の強度の低下が少ない。
該アルミニウム系化合物の焼結体層の厚みは1〜300μmが好適である。厚みを上記範囲内とすることにより、るつぼ基材に対しより高い密着性を得ることができる。
なお、るつぼ基材の材質が窒化アルミニウム、酸化アルミニウム等のアルミニウム系化合物である場合においては、アルミニウム系化合物の焼結体層を介して窒化ケイ素を含む焼結体層を形成しても良いが、アルミニウム系化合物の焼結体層を介することなく窒化ケイ素を含む焼結体層を形成しても同様の高い密着力を得ることができるため、わざわざアルミニウム系化合物の焼結体層を設ける必要性は低い。
(金属蒸着用るつぼの製造方法)
本発明の金属蒸着用るつぼは、るつぼ基材の少なくとも内表面に窒化ケイ素粉末及び有機溶媒等の分散媒を含有するペーストを塗布、乾燥することにより窒化ケイ素を含む成形体層を形成し、その後焼成して窒化ケイ素を含む焼結体層を形成することにより製造することができる。
まず、るつぼ基材の少なくとも内表面上に窒化ケイ素を含む成形体層を形成する。窒化ケイ素を含む成形体層を形成するためには、該窒化ケイ素粉末を主成分とする焼結性粉末を分散媒に分散させたペーストを使用することが好ましい。
原料となる窒化ケイ素粉末の純度、粒径、粒度分布等は、特に限定されないが、金属蒸着用るつぼとして用いることを勘案して、純度は97%以上、特に98%以上であることが好ましい。平均粒径は、0.1〜5.0μmが好ましく、かかる性状を有する市販品をそのまま使用できる。
焼結性粉末中の窒化ケイ素粉末の割合は、主成分である限り、即ち、50質量%を超えれば効果を発揮するが、金属融液に対してより優れた擁液性を発揮する焼結体層を形成するためには、55質量%以上、特に、70質量%以上であることが好ましい。
一方、焼結性粉末には窒化ケイ素粉末以外の成分を含むこともできる。窒化ケイ素粉末以外の成分は、焼結性を有する粉末であれば特に制限されないが、焼結を促進して焼結時の収縮を抑制する作用を有する成分、具体的には、二酸化ケイ素の粉末が挙げられる。即ち、二酸化ケイ素粉末を含有するペーストを用いた場合、後述する熱分解性樹脂粒子が除去された後の焼結において、収縮が抑制され、安定して孔を形成することができる。
従って、かかる二酸化ケイ素粉末は、焼結時の収縮抑制効果を発揮するために、2質量%以上、特に、10質量%以上の割合で使用することが好ましい。しかし、あまり多く存在すると、前記窒化ケイ素による金属融液に対する撥液性を低下させるため、50質量%未満の割合であることが好ましく、特に、45質量%以下、更には、30質量%以下の割合であることが好ましい。
上記二酸化ケイ素粉末の純度は、99.99%以上であることが好ましい。平均粒径は0.05〜5.0μm、好ましくは0.2〜2.0μmが良く、かかる性状を有する市販品をそのまま使用できる。
上記焼結性粉末を有機溶媒に分散させたペーストには、熱分解性樹脂粒子を配合することが好ましい。
熱分解性樹脂粒子は、後述する熱分解や焼結工程を経て前記所定の孔を生成する働きをなす成分である。即ち、熱分解性樹脂粒子の粒子径が、焼結後の多孔質焼結体層における孔の径に、また、配合量が前記孔占有面積割合に反映される。そのため、熱分解性樹脂粒子として、平均粒径が1〜25μm、好ましくは3〜20μmの樹脂粒子を使用し、焼結性粉末100容量部に対して、前記表面基準面積当たりの孔の総面積の比率が所定の値となるように、40〜400容量部配合することが好ましい。
前記粒子を構成する熱分解性樹脂としては、所定の温度で熱分解する樹脂であれば特に制限はないが、熱分解および焼結後に多孔質焼結体層に残存して、その後、蒸着膜に混入して汚染することは好ましくない。また、熱分解性樹脂粒子は、比重が、焼結性粉末の比重と同等かそれより小さいことが、前記ペーストを塗布した際にその表面に確実に存在せしめることができ、好ましい。
従って、熱分解性樹脂としては、ポリオレフィンやポリスチレン等の炭化水素系樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド縮合物、アクリレート系樹脂が好ましい。特に、焼結後に樹脂由来のカーボンの残存が少ないアクリレート系樹脂やポリスチレン系樹脂が好ましい。
このようなアクリレート系樹脂としては、架橋ポリメタクリル酸メチルの真球状粒子(積水化成製品工業社製「MBXシリーズ」)、架橋ポリメタクリル酸ブチルの真球状粒子(積水化成製品工業社製「BMXシリーズ」)、メタクリル系樹脂の粒子(積水化成製品工業社製「テクポリマーIBM−2」)、架橋ポリアクリル酸エステルの真球状粒子(積水化成製品工業社製「ARXシリーズ」)、架橋ポリメタクリル酸メチルの真球状粒子(積水化成製品工業社製「SSX(単分散)シリーズ」)等、また、ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン系架橋ポリスチレンの真球状粒子(積水化成製品工業社製「SBXシリーズ」)等様々な粒径や粒度分布のものが市販されているので、本発明の目的に応じて使用すればよい。
該窒化ケイ素粉末を主成分とする焼結性粉末を分散させる分散媒には、有機溶媒及び水が含まれる。使用する有機溶媒は特に限定されないが、不純物の混入を防止するため、炭素、水素、必要に応じて酸素原子から構成される、易蒸発性の有機溶媒が好ましい。具体的には、トルエンなどの炭化水素系溶媒や、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、テルピネオールなどのアルコール系溶媒が好適な溶媒とし例示される。上記有機溶媒の使用量は特に限定されず、後出の塗布方法に適した粘度となるように適宜決定される。
該ペーストには、窒化ケイ素を含む成形体層を形成する粉体の結合力をより向上する目的で、樹脂を配合してもよい。使用する樹脂は特に限定されないが、焼成により燃焼し、消失しやすい樹脂が好ましい。具体的には、ポリビニルアルコール、水系セルロースなどの水系・アルコール系樹脂、エチルセルロース、アクリルなどの有機溶剤系樹脂が好適な樹脂として例示される。上記樹脂の使用量は特に限定されず、後出の塗布方法に適した粘度となるように適宜決定される。
該ペーストには、窒化ケイ素を含む成形体層を形成する粉体の分散性をより均一にする目的で分散剤を適宣配合してもよい。分散剤は、セラミックス粒子を分散するものであれば特に制限なく使用することができ、このような分散剤の具体例としては、リン酸エステル型やスルホン酸型などの界面活性剤型分散剤や、ポリエチレングリコールなどの高分子型分散剤等を例示することができる。上記分散剤の使用量は特に限定されないが、分散剤やペーストの流動性を良好に保つために、ペースト全量に対し、3質量%以下であることが好ましい。
該ペーストには、上記成分に加えて、例えば、酸化マグネシウム、酸化イットリウム等の焼結助剤を適宜配合してもよい。
焼結性粉末、必要に応じて配合される熱分解性樹脂粒子、添加剤や有機溶媒の混合順序やその方法は特に限定されない。
焼結性粉末を有機溶媒に分散させたペーストを、るつぼ基材の上に、焼結後に窒化ケイ素を含む焼結体層が所望の厚みとなるように、所定の厚みに塗布する。
該ペーストをるつぼ基材表面に所定の厚みに塗布、乾燥して窒化ケイ素を含む成形体層を形成する。塗布方法は特に制限されず、刷毛を用いて塗布する方法、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法、ダイコート法、フローコート法、スプレー法等の方法が採用される。なお、スピンコート法のように、一度の塗布で十分な厚みが得られない場合、前記ペーストを塗布後、有機溶媒を乾燥させてから再度塗布を行う方法を繰り返すことによって、所望の厚みを有する層を形成することができる。
るつぼ基材上に所定の厚みの焼結体用ペーストを塗布した後、有機溶媒を乾燥により除去し、窒化ケイ素を含む成形体層を作製する。乾燥の条件は、有機溶媒の沸点以上の温度で加熱することが好ましい。
また、有機溶媒を乾燥により除去した後に、熱分解性樹脂粒子を熱分解して消失せしめる操作を行う。該操作は、焼結のための焼成の過程に行ってもよい。焼結を行う前に、熱分解性粒子の熱分解温度より50〜300℃高い温度で焼成して、熱分解性樹脂粒子を熱分解して消失せしめることが好ましい。熱分解時における雰囲気は、熱分解性樹脂粒子が分解可能な雰囲気が特に制限なく実施される。一般には、分解によって生成したカーボンを効果的に除去するため、酸素の存在下、通常は、空気中で実施することが好ましい。
前記溶媒の乾燥による除去、及び熱分解性樹脂粒子を熱分解して消失せしめる操作の後に、同一の装置内で、雰囲気ガスや温度を変えて連続的に焼成を行ってもよいし、別々の装置において焼成を行ってもよい。
窒化ケイ素を含む成形体層は、1100〜1700℃、好ましくは1100〜1550℃、特に好ましくは、1400〜1530℃で加熱して焼結せしめることにより、目的とする窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層となる。当該焼成温度を採用することにより、得られる多孔質焼結体層における変形や割れの発生を減少することができる。焼結時の雰囲気は、不活性雰囲気下、例えば、窒素ガス等の雰囲気下で行うことが好ましい。焼結時間は、1時間以上、好ましくは、2時間以上行う。あまり長時間行うと、表面に形成された孔が小さくなったり潰れたりする恐れがあるため、30時間以下とすることが好ましい。
上記したように、本発明の金属蒸着用るつぼは、るつぼ基材の表面に、アルミニウム系化合物の焼結体層を介して、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を形成することもできる。
以下に、アルミニウム系化合物の焼結体層を介して、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を形成する場合の代表的な製造方法を以下に示せば、(1)るつぼ基材の上に、アルミニウム系化合物粉末及び有機溶剤を含有するペーストを塗布、乾燥することによりアルミニウム系化合物の成形体層を形成し、更にその上に窒化ケイ素粉末及び有機溶剤を含有するペーストを塗布、乾燥することにより窒化ケイ素を含む成形体層を形成し、その後アルミニウム系化合物の成形体層及び窒化ケイ素を含む成形体層を同時に焼成する方法、(2)るつぼ基材の上に、アルミニウム系化合物粉末及び有機溶剤を含有するペーストを塗布、乾燥することによりアルミニウム系化合物の成形体層を形成、焼成して、アルミニウム系化合物の焼結体層とし、更にその上に窒化ケイ素粉末及び有機溶剤を含有するペーストを塗布、乾燥することにより窒化ケイ素を含む成形体層を形成し、その後焼成して窒化ケイ素を含む焼結体層を形成する方法、を挙げることができる。
アルミニウム系化合物の焼結体層の原料となるアルミニウム系化合物の粉末には、窒化アルミニウム及び酸化アルミニウムが好適に用いられる。アルミニウム系化合物の粉末の純度、粒径、粒度分布等は、特に限定されないが、金属蒸着用るつぼに用いることを勘案して、純度は99%以上であることが好ましい。平均粒径は、0.5〜3.0μmが好ましく、かかる性状を有する市販品をそのまま使用できる。
まず、るつぼ基材上にアルミニウム系化合物の成形体層を形成するが、アルミニウム系化合物の成形体層を形成するためには、該アルミニウム系化合物の粉末を分散媒に分散させたペーストを使用することが好ましい。該アルミニウム系化合物の粉末を分散させる分散媒には、有機溶媒及び水が含まれる。使用する有機溶媒は特に限定されず、上記に列挙した、窒化ケイ素を含む成形体層を作製する場合に用いるペーストと同様の溶媒を用いることができる。上記有機溶媒の使用量は特に限定されず、後出の塗布方法に適した粘度となるように適宜決定される。
樹脂や分散剤についても、窒化ケイ素を含む成形体層を作製する場合に用いる樹脂や分散剤と同様のものを用いることができる。
該ペーストには、アルミニウム系化合物の焼結を促進する目的で焼結助剤を適宣配合してもよい。焼結助剤は、一般に該アルミニウム系化合物の焼結助剤として用いられる成分であれば特に制限なく使用することができ、このような焼結助剤の具体例としては、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等のアルカリ土類系化合物や、酸化イットリウム、酸化ホルミウム等の希土類系化合物等を例示することができる。また、特に、アルミニウム系化合物に窒化アルミニウムを用いる場合は酸化イットリウムが、アルミニウム化合物に酸化アルミニウムを用いる場合は酸化マグネシウムが好適である。
上記助剤を使用する場合の使用量は特に限定されないが、アルミニウム系化合物と焼結助剤との合計量の0.1質量%〜10質量%、特に5質量%以下の範囲であることが好ましい。助剤成分を0.1質量%以上添加することで、アルミニウム系化合物の焼結を促進することができる。また、10質量%以下、特に5質量%以下とすれば、アルミニウム系化合物の焼結体層の強度の低下が少ない。
アルミニウム系化合物の粉末、必要に応じて配合される添加剤や有機溶媒の混合順序やその方法は特に限定されない。
焼結性粉末を有機溶媒に分散させたペーストを、るつぼ基材の上に焼結後にアルミニウム系化合物の焼結体層が所望の厚みとなるように、所定の厚みに塗布する。塗布方法は特に制限されず、上記に列挙した窒化ケイ素を含む成形体層の作製と同様の方法を用いることができる。
アルミニウム系化合物の成形体層の膜厚は、1〜300μmが好適である。厚みを上記範囲内とすると、るつぼ基材に対し十分な密着性を得ることができる。
るつぼ基材上に所定の厚みの焼結体用ペーストを塗布した後、分散媒を乾燥により除去する。乾燥の条件は、分散媒の沸点以上の温度で加熱することが好ましく、具体的には、80〜500℃で10分以上の加熱が好ましい。加熱時の雰囲気も特に制限されないが、アルミニウム系化合物の酸化を防止する目的で、窒素もしくはアルゴンの気流や滞留中の雰囲気中で加熱することが好ましい。
前記溶媒の乾燥による除去の後に、同一の装置内で、雰囲気ガスや温度を変えて連続的に焼成を行ってもよいし、別々の装置において焼成を行ってもよい。また、この段階では焼成を行わず、乾燥のみとし、上記した窒化ケイ素を含む成形体層を作製する工程を経た後に、窒化ケイ素を含む成形体層を焼成する工程で同時に焼成してもよい。
焼成条件は特に制限されないが、アルミニウム化合物層を後述の窒化ケイ素を含む成形体層と別に焼成する場合は、1000℃〜1800℃の温度範囲で1時間以上焼成することが好ましい。加熱時の雰囲気も特に制限されないが、アルミニウム系化合物の酸化を防止する目的で、窒素もしくはアルゴンの気流や滞留中の雰囲気中で加熱することが好ましい。
上記した方法でアルミニウム系化合物を含む成形体層、または焼結体層が形成されたるつぼ基材の上に窒化ケイ素を含む多孔質焼結体を作製する。窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層の製造方法は、アルミニウム系化合物を介さない場合と同様の方法を用いることができる。
本発明のるつぼは、金属蒸着用のるつぼに有用である。かかる用途においては、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層が少なくとも内表面となるように容器を構成する。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
(評価方法)
(1)撥液性の評価
実施例および比較例の板状試験片の表面に2.0gの金属片を載せ、これを1800℃まで昇温可能な加熱システムを備えた接触角測定装置に取り付けた。金属は、アルミニウム、銀、金の3種類を用いた。
次に、アルミニウムの場合は690℃、金の場合は1300℃、銀の場合は1250℃に昇温して金属を溶融した。金属溶融時の板状試験片と金属融液の接触角を接触角測定装置で測定し、接触角が90°以上であれば撥液の傾向を持つと判断した。
接触角の測定後、室温まで空冷して金属を凝固させた。冷却後、金属が板状試験片に溶着しなかったものについては、同様の昇温・冷却の操作を50回繰り返し、50回目の昇温時に、1回目と同様の方法で金属溶融時の板状試験片と金属融液の接触角を測定した。冷却後、金属が板状試験片に溶着したものについては、その時点で評価を中止した。
(2)るつぼの耐久寿命及び金属回収性評価
実施例および比較例のるつぼに2.0gの金属を秤量し、抵抗式加熱炉で金属を溶融した。金属は、アルミニウム、銀、金の3種類を用い、アルミニウムの場合は690℃、金の場合は1300℃、銀の場合は1250℃に昇温して金属を溶融した。
溶融後、抵抗式加熱炉内を自然冷却し、金属を凝固させた。冷却後、金属のるつぼへの溶着も、るつぼの損傷も目視で確認されなかった場合、使用後も再利用可能であると判断し、○と評価した。一方、金属のるつぼへの溶着、または、るつぼの損傷が目視で確認された場合、使用後は再利用不可能であると判断し、×と評価した。るつぼの再利用の可否の評価は、上記の昇温・冷却の操作を50回まで繰り返して行った。
また、50回使用後のるつぼの再利用の可否評価が○であった場合、金属をるつぼから取り出し、その重量を測定した。
<実施例1>
(板状試験片)
純度98%、平均粒径1.0μmの窒化ケイ素粉末を13質量%、純度99.99%、平均粒径1.0μmの非晶質二酸化ケイ素粉末を4質量%、平均粒子径5μmの熱分解性樹脂粒子(積水化成工業株式会社製、テクポリマー「SSX−105」;架橋ポリメタクリル酸メチル)を17質量%、純水に溶かして2質量%の濃度に調整したポリビニルアルコール溶液を66質量%となるように秤量し、ボールミルを用いて24時間混合し、ペーストとした。
次に、板状試験片の基材となる□40mm×厚さ1mmの酸化アルミニウム基板(表面粗さ:Ra5μm)の表面に、市販のエアガンを用いて、作製したペーストを塗布した。エアガンには4kg/cmに加圧した窒素を流し、この圧力を利用して混合液を吐出した。
この板状試験片を300℃に保持した電気炉で10分間乾燥した。さらに、これを高温電気炉に入れ、0.1L/分の窒素気流中で、昇温速度200℃/時で1500℃まで加熱し、1500℃で1時間加熱保持した後、降温速度150℃/時で室温まで冷却した。冷却後に板状試験片を電気炉から取り出し、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層が形成された板状試験片を得た。板状試験片上に形成された窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層の厚みをノギスで測定したところ、その厚みは500μmであった。また、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層は、その表面に、60%の孔占有面積割合で、平均円相当径5μmの大きさの孔が存在することが確認された。走査型電子顕微鏡で、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層の断面を観察したところ、孔の深さは50μmであった。
この板状試験片の撥液性を評価した。結果を表1に示す。いずれの金属も100°を超える接触角を示し、良好な撥液性を維持していた。
(るつぼ)
板状試験片の場合と同様の方法でペーストを作製し、これを、外径40mm(内径Φ30mm)×高さ30mm(深さ25mm)の酸化アルミニウム製るつぼの内面全体に、エアガンを用いて塗布した。このるつぼを板状試験片と同様の条件で乾燥、焼成し、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層が形成されたるつぼを得た。るつぼ内面に形成された窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層の厚みをノギスで測定したところ、その厚みは500μmであった。また、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層は、その表面に、60%の孔占有面積割合で、平均円相当径5μmの大きさの孔が存在することが確認された。走査型電子顕微鏡で、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層の断面を観察したところ、孔の深さは50μmであった。このるつぼの耐久寿命及び金属回収性の評価を行った。結果を表1に示す。るつぼは50回の昇温・冷却後も再利用可能であり、溶融した金属は容易に回収することができた。評価に用いた金属の回収量はAl:1.9g、Ag:2.0g、Au:2.0gであり、回収率はそれぞれ95%、100%、100%であった。また、目視でるつぼへの金属の残留は認められなかった。
<実施例2>
板状試験片およびるつぼ基材を、酸化アルミニウムから窒化アルミニウムに変更する以外は、実施例1と同様に板状試験片およびるつぼを作製し、撥液性、耐久寿命、金属回収性を評価した。結果を表1に示す。
いずれの金属も100°を超える接触角を示し、るつぼは50回の昇温・冷却後も再利用可能であった。金属は容易に回収することができ、回収率はAl:95%、Ag:100%、Au:100%で、目視でるつぼへの金属の残留は認められなかった。
<実施例3>
(板状試験片)
純度99%、平均粒径1.0μmの窒化アルミニウムを53質量%、酸化イットリウムを1質量%、エチルセルロースを20質量%、テルピネオールを25質量%、界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、商品名「プライサーフ」)を1質量%となるように秤量し、撹拌脱法装置(クラボウ製、商品名「マゼルスター」)によって10分間混合し、ペーストとした。
次に、板状試験片の基材となる□40mm×厚さ1mmの黒鉛基板の表面に、作製したペーストを、その厚さが50〜100μmになるように刷毛を用いて塗布した。
この板状試験片を300℃に保持した電気炉で10分間乾燥した。さらに、これを高温電気炉に入れ、0.1L/分の窒素気流中で、昇温速度200℃/時で1700℃まで加熱し、1700℃で1時間加熱保持した後、降温速度150℃/時で室温まで冷却した。
得られた板状試験片の上に実施例1と同様の方法で窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を形成することで、窒化アルミニウム焼結体層を介して窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層が形成された板状試験片を得た。
この板状試験片の撥液性を評価した。結果を表1に示す。いずれの金属も100°を超える接触角を示し、良好な撥液性を維持していた。
(るつぼ)
板状試験片の場合と同様の方法で窒化アルミニウム焼結体層作製用のペーストを作製し、これを、外径40mm(内径Φ30mm)×高さ30mm(深さ25mm)の黒鉛製るつぼの内面全体に、刷毛を用いて塗布した。このるつぼを板状試験片と同様の条件で乾燥、焼成した後、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を形成することで、窒化アルミニウム焼結体層を介して窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層が形成されたるつぼを得た。このるつぼの耐久寿命及び金属回収性の評価を行った。結果を表1に示す。るつぼは50回の昇温・冷却後も再利用可能であり、金属は容易に回収することができた。金属の回収率はAl:100%、Ag:100%、Au:100%で、目視でるつぼへの金属の残留は認められなかった。
<実施例4>
(板状試験片)
純度99%、平均粒径1.0μmの酸化アルミニウムを54質量%、エチルセルロースを20質量%、テルピネオールを25質量%、界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、商品名「プライサーフ」)を1質量%となるように秤量し、撹拌脱法装置(クラボウ製、商品名「マゼルスター」)によって10分間混合し、ペーストとした。
次に、板状試験片の基材となる□40mm×厚さ1mmの黒鉛基板の表面に、作製したペーストを、その厚さが50〜100μmになるように刷毛を用いて塗布した。
この板状試験片を300℃に保持した電気炉で10分間乾燥した。さらに、これを高温電気炉に入れ、0.1L/分の窒素気流中で、昇温速度200℃/時で1500℃まで加熱し、1500℃で1時間加熱保持した後、降温速度150℃/時で室温まで冷却した。
得られた板状試験片の上に実施例1と同様の方法で窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を形成することで、酸化アルミニウム焼結体層を介して窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層が形成された板状試験片を得た。
この板状試験片の撥液性を評価した。結果を表1に示す。いずれの金属も100°を超える接触角を示し、良好な撥液性を維持していた。
(るつぼ)
板状試験片の場合と同様の方法で酸化アルミニウム焼結体層作製用のペーストを作製し、これを、外径40mm(内径Φ30mm)×高さ30mm(深さ25mm)の黒鉛製るつぼの内面全体に、刷毛を用いて塗布した。このるつぼを板状試験片と同様の条件で乾燥、焼成した後、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を形成することで、酸化アルミニウム焼結体層を介して窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層が形成されたるつぼを得た。このるつぼの耐久寿命及び金属回収性の評価を行った。結果を表1に示す。るつぼは50回の昇温・冷却後も再利用可能であり、溶融した金属は容易に回収することができた。金属の回収率はAl:100%、Ag:100%、Au:100%で、目視でるつぼへの金属の残留は認められなかった。
<実施例5>
板状試験片およびるつぼ基材を、黒鉛から石英に変更する以外は、実施例3と同様に板状試験片およびるつぼを作製し、撥液性、耐久寿命、金属回収性を評価した。結果を表1に示す。
いずれの金属も100°を超える接触角を示し、るつぼは50回の昇温・冷却後も再利用可能であった。溶融した金属は容易に回収することができた。金属の回収率はAl:100%、Ag:100%、Au:100%で、目視でるつぼへの金属の残留は認められなかった。
<実施例6>
板状試験片およびるつぼ基材を、黒鉛から石英に変更する以外は、実施例4と同様に板状試験片およびるつぼを作製し、撥液性、耐久寿命、金属回収性を評価した。結果を表1に示す。
いずれの金属も100°を超える接触角を示し、るつぼは50回の昇温・冷却後も再利用可能であった。溶融した金属は容易に回収することができた。金属の回収率はAl:100%、Ag:100%、Au:100%で、目視でるつぼへの金属の残留は認められなかった。
<比較例1>
実施例1と同じ□40mm×厚さ1mmの酸化アルミニウム基板、および外径40mm(内径Φ30mm)×高さ30mm(深さ25mm)の酸化アルミニウム製るつぼを用いて、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を形成せずに、そのままの状態で、撥液性、耐久寿命、金属回収性を評価した。結果を表1に示す。
いずれの金属も、接触角は撥液の目安である90°を超えることがなく、凝固後は板状試験片およびるつぼに溶着した。溶着した金属を、るつぼに損傷を与えることなく取り去ることができなかったため、るつぼを繰り返し利用することはできなかった。金属の残量も測定できなかった。
<比較例2>
板状試験片およびるつぼの材質を、酸化アルミニウムから窒化アルミニウムに変更する以外は、比較例1と同様に、撥液性、耐久寿命、金属回収性を評価した。結果を表1に示す。
いずれの金属も、接触角は撥液の目安である90°を超えることがなく、凝固後は板状試験片およびるつぼに溶着した。溶着した金属を、るつぼに損傷を与えることなく取り去ることができなかったため、るつぼを繰り返し利用することはできなかった。金属の残量も測定できなかった。
<比較例3>
板状試験片およびるつぼの材質を、酸化アルミニウムから黒鉛に変更する以外は、比較例1と同様に、撥液性、耐久寿命、金属回収性を評価した。結果を表1に示す。
いずれの金属も、接触角は撥液の目安である90°を超えることがなく、凝固後は板状試験片およびるつぼに溶着した。溶着した金属を、るつぼに損傷を与えることなく取り去ることができなかったため、るつぼを繰り返し利用することはできなかった。金属の残量も測定できなかった。
<比較例4>
板状試験片およびるつぼの材質を、酸化アルミニウムから石英に変更する以外は、比較例1と同様に、撥液性、耐久寿命、金属回収性を評価した。結果を表1に示す。
いずれの金属も、接触角は撥液の目安である90°を超えることがなく、凝固後は板状試験片およびるつぼに溶着した。溶着した金属を、るつぼに損傷を与えることなく取り去ることができなかったため、るつぼを繰り返し利用することはできなかった。金属の残量も測定できなかった。
<比較例5>
(板状試験片)
平均粒径1.0μmの窒化ケイ素粉末を16質量%、純度99.99%、平均粒径1.0μmの非晶質二酸化ケイ素粉末を4質量%、純水に溶かして2質量%の濃度に調整したポリビニルアルコール溶液を80質量%となるように秤量し、ボールミルを用いて24時間混合した。
次に、板状試験片の基材となる□40mm×厚さ1mmの酸化アルミニウム基板の表面に、市販のエアガンを用いて、作製したペーストを塗布した。エアガンには4kg/cmに加圧した窒素を流し、この圧力を利用して混合液を吐出した。
この板状試験片を300℃に保持した電気炉で10分間乾燥した。さらに、これを高温電気炉に入れ、0.1L/分の窒素気流中で、昇温速度200℃/時で1500℃まで加熱し、1500℃で1時間加熱保持した後、降温速度150℃/時で室温まで冷却した。冷却後に板状試験片を電気炉から取り出し、多孔質ではない窒化ケイ素を含む焼結体層が形成された板状試験片(実施例1の窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を、多孔質ではない焼結体層とした板状試験片)を得た。板状試験片上に形成された窒化ケイ素を含む焼結体層の表面走査型電子顕微鏡で観察したところ、1μmを超える孔は見られなかった。この板状試験片の撥液性を評価した。いずれの金属も、接触角は撥液の目安である90°を超えることがなく、凝固後は板状試験片に溶着した。
(るつぼ)
板状試験片の場合と同様の方法でペーストを作製し、これを、外径40mm(内径Φ30mm)×高さ30mm(深さ25mm)の酸化アルミニウム製るつぼの内面全体に、エアガンを用いて塗布した。このるつぼを板状試験片と同様の条件で乾燥、焼成し、多孔質ではない窒化ケイ素を含む焼結体層が形成されたるつぼ(実施例1の窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を多孔質ではない焼結体層としたるつぼ)を得た。るつぼ内面に形成された窒化ケイ素を含む焼結体層の表面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、1μmを超える孔は見られなかった。このるつぼの耐久寿命及び金属回収性の評価を行った。結果を表1に示す。いずれの金属も凝固後はるつぼに溶着した。溶着した金属を、るつぼに損傷を与えることなく取り去ることができなかったため、るつぼを繰り返し利用することはできず、金属の残量も測定できなかった。
<比較例6>
板状試験片およびるつぼの材質を、酸化アルミニウムから窒化アルミニウムに変更する以外は比較例5と同様にして、板状試験片およびるつぼを作製し、撥液性、耐久寿命、金属回収性を評価した。結果を表1に示す。
いずれの金属も、接触角は撥液の目安である90°を超えることがなく、凝固後は板状試験片およびるつぼに溶着した。溶着した金属を、るつぼに損傷を与えることなく取り去ることができなかったため、るつぼを繰り返し利用することはできず、金属の残量も測定できなかった。
<比較例7>
(板状試験片)
純度99%、平均粒径1.0μmの窒化アルミニウムを53質量%、酸化イットリウムを1質量%、エチルセルロースを20質量%、テルピネオールを25質量%、界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、商品名「プライサーフ」)を1質量%となるように秤量し、撹拌脱法装置(クラボウ製、商品名「マゼルスター」)によって10分間混合し、ペーストとした。
次に、板状試験片の基材となる□40mm×厚さ1mmの黒鉛基板の表面に、作製したペーストを、その厚さが50〜100μmになるように刷毛を用いて塗布した。
この板状試験片を300℃に保持した電気炉で10分間乾燥した。さらに、これを高温電気炉に入れ、0.1L/分の窒素気流中で、昇温速度200℃/時で1700℃まで加熱し、1700℃で1時間加熱保持した後、降温速度150℃/時で室温まで冷却した。
得られた板状試験片の上に比較例5と同様の方法で窒化ケイ素を含む焼結体層を形成することで、窒化アルミニウム焼結体層を介して多孔質ではない窒化ケイ素を含む焼結体層が形成された板状試験片(実施例3の窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を、多孔質ではない焼結体層とした板状試験片)を得た。この板状試験片の撥液性を評価した。結果を表1に示す。いずれの金属も、接触角は撥液の目安である90°を超えることがなく、凝固後は板状試験片に溶着した。
(るつぼ)
板状試験片の場合と同様の方法で窒化アルミニウム焼結体層作製用のペーストを作製し、これを、外径40mm(内径Φ30mm)×高さ30mm(深さ25mm)の黒鉛製るつぼの内面全体に、刷毛を用いて塗布した。このるつぼを板状試験片と同様の条件で乾燥、焼成した後、窒化ケイ素を含む焼結体層を形成することで、窒化アルミニウム焼結体層を介して多孔質ではない窒化ケイ素を含む焼結体層が形成されたるつぼ(実施例3の窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を、多孔質ではない焼結体層としたるつぼを得た。このるつぼの耐久寿命及び金属回収性の評価を行った。結果を表1に示す。いずれの金属も凝固後はるつぼに溶着した。溶着した金属を、るつぼに損傷を与えることなく取り去ることができなかったため、るつぼを繰り返し利用することはできず、金属の残量も測定できなかった。
<比較例8>
板状試験片およびるつぼの材質を黒鉛から石英に変更する以外は、比較例7と同様に板状試験片およびるつぼを作製し、撥液性、耐久寿命、金属回収性を評価した。結果を表1に示す。
いずれの金属も、接触角は撥液の目安である90°を超えることがなく、凝固後は板状試験片およびるつぼに溶着した。溶着した金属を、るつぼに損傷を与えることなく取り去ることができなかったため、るつぼを繰り返し利用することはできず、金属の残量も測定できなかった。
<比較例9>
(板状試験片)
平均粒径1.0μmの酸化アルミニウム粉末を54質量%、エチルセルロースを20質量%、テルピネオールを25質量%、界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、商品名「プライサーフ」)を1質量%となるように秤量し、撹拌脱法装置(クラボウ製、商品名「マゼルスター」)によって10分間混合し、ペーストとした。
次に、板状試験片の基材となる□40mm×厚さ1mmの黒鉛基板の表面に、作製したペーストを、その厚さが50〜100μmになるように刷毛を用いて塗布した。
この板状試験片を300℃に保持した電気炉で10分間乾燥した。さらに、これを高温電気炉に入れ、0.1L/分の窒素気流中で、昇温速度200℃/時で1500℃まで加熱し、1500℃で1時間加熱保持した後、降温速度150℃/時で室温まで冷却した。
得られた板状試験片の上に比較例1と同様の方法で窒化ケイ素を含む焼結体層を形成することで、酸化アルミニウム焼結体層を介して多孔質ではない窒化ケイ素を含む焼結体層が形成された板状試験片(実施例4の窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を、多孔質ではない焼結体層とした板状試験片)を得た。この板状試験片の撥液性を評価した。結果を表1に示す。いずれの金属も、接触角は撥液の目安である90°を超えることがなく、凝固後は板状試験片に溶着した。
(るつぼ)
板状試験片の場合と同様の方法で酸化アルミニウム焼結体層作製用のペーストを作製し、これを、外径40mm(内径Φ30mm)×高さ30mm(深さ25mm)の黒鉛製るつぼの内面全体に、刷毛を用いて塗布した。このるつぼを板状試験片と同様の条件で乾燥、焼成した後、窒化ケイ素を含む焼結体層を形成することで、酸化アルミニウム焼結体層を介して窒化ケイ素を含む焼結体層が形成されたるつぼ(実施例4の窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層を、多孔質ではない焼結体層としたるつぼ)を得た。このるつぼの耐久寿命及び金属回収性の評価を行った。結果を表1に示す。いずれの金属も凝固後はるつぼに溶着した。溶着した金属を、るつぼに損傷を与えることなく取り去ることができなかったため、るつぼを繰り返し利用することはできず、金属の残量も測定できなかった。
<比較例10>
板状試験片およびるつぼの材質を黒鉛から石英に変更する以外は、比較例9と同様に板状試験片およびるつぼを作製し、撥液性、耐久寿命、金属回収性を評価した。結果を表1に示す。
いずれの金属も、接触角は撥液の目安である90°を超えることがなく、凝固後は板状試験片およびるつぼに溶着した。溶着した金属を、るつぼに損傷を与えることなく取り去ることができなかったため、るつぼを繰り返し利用することはできず、金属の残量も測定できなかった。
<比較例11>
(板状試験片)
平均粒径3.0μmの炭化ケイ素粉末を54質量%、エチルセルロースを20質量%、テルピネオールを25質量%、界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、商品名「プライサーフ」)を1質量%となるように秤量し、撹拌脱法装置(クラボウ製、商品名「マゼルスター」)によって10分間混合し、ペーストとした。
次に、板状試験片の基材となる□40mm×厚さ1mmの黒鉛基板の表面に、作製したペーストを、その厚さが50〜100μmになるように刷毛を用いて塗布した。
この板状試験片を300℃に保持した電気炉で10分間乾燥した。さらに、これを高温電気炉に入れ、0.1L/分の窒素気流中で、昇温速度200℃/時で1500℃まで加熱し、1500℃で1時間加熱保持した後、降温速度150℃/時で室温まで冷却した。
得られた板状試験片の上に比較例1と同様の方法で窒化ケイ素を含む焼結体層を形成することで、炭化ケイ素焼結体層を介して窒化ケイ素を含む焼結体層が形成された板状試験片(比較例7の窒化アルミニウム焼結体層を介する窒化ケイ素を含む焼結体層を、炭化ケイ素焼結体層を介するとした板状試験片)を得た。この板状試験片の撥液性を評価した。結果を表1に示す。いずれの金属も、接触角は撥液の目安である90°を超えることがなく、凝固後は板状試験片に溶着した。
(るつぼ)
板状試験片の場合と同様の方法で炭化ケイ素焼結体層作製用のペーストを作製し、これを、外径40mm(内径Φ30mm)×高さ30mm(深さ25mm)の黒鉛製るつぼの内面全体に、刷毛を用いて塗布した。このるつぼを板状試験片と同様の条件で乾燥、焼成した後、窒化ケイ素を含む焼結体層を形成することで、炭化ケイ素焼結体層を介して窒化ケイ素を含む焼結体層が形成されたるつぼ(比較例7の窒化アルミニウム焼結体層を介する窒化ケイ素を含む焼結体層を、炭化ケイ素焼結体層を介するとしたるつぼ)を得た。このるつぼの耐久寿命及び金属回収性の評価を行った。結果を表1に示す。いずれの金属も凝固後はるつぼに溶着した。溶着した金属を、るつぼに損傷を与えることなく取り去ることができなかったため、るつぼを繰り返し利用することはできず、金属の残量も測定できなかった。
<比較例12>
(板状試験片)
平均粒径5μmの炭化チタン粉末を54質量%、エチルセルロースを20質量%、テルピネオールを25質量%、界面活性剤(第一工業製薬株式会社製、商品名「プライサーフ」)を1質量%となるように秤量し、撹拌脱法装置(クラボウ製、商品名「マゼルスター」)によって10分間混合し、ペーストとした。
次に、板状試験片の基材となる□40mm×厚さ1mmの黒鉛基板の表面に、作製したペーストを、その厚さが50〜100μmになるように刷毛を用いて塗布した。
この板状試験片を300℃に保持した電気炉で10分間乾燥した。さらに、これを高温電気炉に入れ、0.1L/分の窒素気流中で、昇温速度200℃/時で1500℃まで加熱し、1500℃で1時間加熱保持した後、降温速度150℃/時で室温まで冷却した。
得られた板状試験片の上に比較例1と同様の方法で窒化ケイ素を含む焼結体層を形成することで、炭化チタン焼結体層を介して窒化ケイ素を含む焼結体層が形成された板状試験片(比較例7の窒化アルミニウム焼結体層を介する窒化ケイ素を含む焼結体層を、炭化チタン焼結体層を介するとした板状試験片)を得た。この板状試験片の撥液性を評価した。結果を表1に示す。いずれの金属も、接触角は撥液の目安である90°を超えることがなく、凝固後は板状試験片に溶着した。
(るつぼ)
板状試験片の場合と同様の方法で炭化チタン焼結体層作製用のペーストを作製し、これを、外径40mm(内径Φ30mm)×高さ30mm(深さ25mm)の黒鉛製るつぼの内面全体に、刷毛を用いて塗布した。このるつぼを板状試験片と同様の条件で乾燥、焼成した後、窒化ケイ素を含む焼結体層を形成することで、炭化チタン焼結体層を介して窒化ケイ素を含む焼結体層が形成されたるつぼ(比較例7の窒化アルミニウム焼結体層を介する窒化ケイ素を含む焼結体層を、炭化チタン焼結体層を介するとしたるつぼ)を得た。このるつぼの耐久寿命及び金属回収性の評価を行った。いずれの金属も凝固後はるつぼに溶着した。溶着した金属を、るつぼに損傷を与えることなく取り去ることができなかったため、るつぼを繰り返し利用することはできず、金属の残量も測定できなかった。
Figure 0006168518

Claims (3)

  1. るつぼ基材の少なくとも内表面に窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層が形成されており、該多孔質焼結体層の表面に、30〜80%の孔占有面積割合で、平均円相当径1〜25μmの大きさの孔が分散して存在する金属蒸着用るつぼであって、該金属がAl、Ag、Auのいずれかであることを特徴とする金属蒸着用るつぼ
  2. 請求項1に記載の金属蒸着用るつぼを使用する金属蒸着方法であって、該金属がAl、Ag、Auのいずれかであることを特徴とする金属蒸着方法
  3. るつぼ基材の少なくとも内表面に、アルミニウム系化合物の焼結体層を介して、窒化ケイ素を含む多孔質焼結体層が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の金属蒸着用るつぼ。
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