JP4642487B2 - 溶射用粉末 - Google Patents

溶射用粉末 Download PDF

Info

Publication number
JP4642487B2
JP4642487B2 JP2005013375A JP2005013375A JP4642487B2 JP 4642487 B2 JP4642487 B2 JP 4642487B2 JP 2005013375 A JP2005013375 A JP 2005013375A JP 2005013375 A JP2005013375 A JP 2005013375A JP 4642487 B2 JP4642487 B2 JP 4642487B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
thermal spraying
yttria
granulated
sintered particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005013375A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006200005A (ja
Inventor
宏昭 水野
功 青木
剛 五日市
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujimi Inc
Original Assignee
Fujimi Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujimi Inc filed Critical Fujimi Inc
Priority to JP2005013375A priority Critical patent/JP4642487B2/ja
Publication of JP2006200005A publication Critical patent/JP2006200005A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4642487B2 publication Critical patent/JP4642487B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)

Description

本発明は、イットリウム酸化物(イットリア)造粒−焼結粒子を含有する溶射用粉末に関する。
通常、半導体製造装置の多くの部材は、ステンレス鋼やアルミニウムなどの金属から形成されていて耐プラズマエロージョン性が高くない。ただし、プラズマによるエロージョン損傷を受ける虞のある部材に関しては、プラズマによるエロージョン損傷を防止するためにアルミナやイットリアなどの酸化物セラミックスから形成されている。近年、シリコンウエハの大口径化に伴い、半導体製造装置の大型化が進んでおり、それに伴って、半導体製造装置の部材も大型化が進んでいる。酸化物セラミックスのバルク体は加工が難しくコストも高いため、プラズマによるエロージョン損傷を受ける虞のある部材の中でも大型のものに関しては特に、酸化物セラミックスのバルク体から形成するのではなく、金属製の基材の表面に酸化物セラミックスコーティングを設けることにより形成することが行われている。
酸化物セラミックスコーティングを作製する手段の一つとしてプラズマ溶射法はよく知られている。プラズマ溶射法は、物理気相成長法や化学気相成長法に比べて皮膜を作製する速度が高く、しかも基材の材質が制限されないという利点を有する。また、物理気相成長法や化学気相成長法は、真空下、減圧下、又は気体の組成が制御された雰囲気内で行われる必要があるのに対し、プラズマ溶射法は大気中での実施が可能といった長所もある。
特許文献1及び2には、イットリア造粒−焼結粒子からなる溶射用粉末をプラズマ溶射法で溶射して酸化物セラミックスコーティング(イットリア溶射皮膜)を形成する技術が開示されている。溶射用粉末は通常、内径が数mm程度の細いパウダーチューブを通じて溶射用粉末供給装置から溶射装置へと搬送される。従って、パウダーチューブの閉塞を防止して溶射用粉末の安定した搬送を実現するためには、溶射用粉末が良好な流動性を備えることが重要である。その点、ほぼ球形の造粒−焼結粒子は、溶融−粉砕粒子及び焼結−粉砕粒子に比べて良好な流動性を備えるため、溶射用粉末材料として好適である。造粒−焼結粒子はまた、溶融−粉砕粒子及び焼結−粉砕粒子に比べて製造過程での不純物の混入の虞が少ない点でも、溶射用粉末材料として好適である。
ところで、耐プラズマエロージョン性を要求される用途向けの溶射皮膜には気孔率が低く緻密であることが要求されている。しかしながら、イットリア造粒−焼結粒子からなる特許文献1及び2に記載の溶射用粉末から溶射皮膜を形成した場合には、溶射フレームによって溶融された飛行粒子中に気孔が残りやすいために、皮膜の気孔率が高くなる傾向がある。緻密な溶射皮膜を形成するためには、例えば平均粒子径が20μm以下の微細な溶射用粉末を使用する方法もあるが、この場合には溶射用粉末の流動性が悪く安定供給が困難になったり、スピッティングの発生が起こりやすくなる。なお、スピッティングは、過溶融した溶射用粉末が溶射装置のノズル内壁に付着堆積してできる堆積物が溶射皮膜に混入する現象をいい、溶射用粉末が細かな粒子を多く含むほどスピッティングは起こりやすい。スピッティングが発生すると、溶射皮膜の組織構造が不均一となるため、溶射皮膜の品質が著しく低下する。
特開2002−302754号公報(段落[0018]、段落[0020]) 特開2002−363724号公報(段落[0068]〜段落[0070])
本発明の目的は、緻密なイットリア溶射皮膜を良好に形成可能な溶射用粉末を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、イットリア原料粉末を造粒及び焼結して得られるイットリア造粒−焼結粒子を含有する溶射用粉末であって、造粒及び焼結された後のイットリア原料粉末の平均一次粒子径が2〜10μmであり、イットリア造粒−焼結粒子の圧壊強度が10〜40MPaであり、前記造粒−焼結粒子が細孔半径分布のピークを0.2μm以上に有する溶射用粉末を提供する。
求項に記載の発明は、イットリア造粒−焼結粒子のフィッシャー径に対する平均粒子径D50%の比が4以上である請求項1に記載の溶射用粉末を提供する。
請求項に記載の発明は、イットリア造粒−焼結粒子の嵩比重が2.0以下である請求項1又は請求項2に記載の溶射用粉末を提供する。
請求項に記載の発明は、プラズマ溶射により溶射皮膜を形成する用途において用いられる請求項1〜のいずれか一項に記載の溶射用粉末を提供する。
本発明によれば、緻密なイットリア溶射皮膜を良好に形成可能な溶射用粉末が提供される。
以下、本発明の一実施形態を説明する。
本実施形態に係る溶射用粉末は、イットリア原料粉末を造粒及び焼結して得られるイットリア造粒−焼結粒子から実質的になり、例えばプラズマ溶射により溶射皮膜を形成する用途において用いられる。
溶射用粉末中のイットリアの含有量が95質量%よりも少ない場合、さらに言えば99質量%よりも少ない場合、もっと言えば99.9質量%よりも少ない場合には、溶射用粉末から形成される溶射皮膜の耐プラズマエロージョン性があまり良好でない虞がある。従って、溶射用粉末中のイットリアの含有量は、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上、最も好ましくは99.9質量%以上である。
造粒及び焼結された後のイットリア原料粉末の平均一次粒子径が2μmよりも小さい場合には、溶射用粉末の溶射時にスピッティングが頻繁に発生して実用上支障がある。この場合のスピッティングの発生は、溶射用粉末中のイットリア造粒−焼結粒子が崩壊することにより生じるイットリア微粒子が溶射フレームにより極めて過溶融されやすいことに起因する。従って、スピッティングの発生を抑制するためには、造粒及び焼結された後のイットリア原料粉末の平均一次粒子径は2μm以上であることが必須である。ただし、たとえ2μm以上であっても3μmよりも小さい場合、さらに言えば4μmよりも小さい場合には、スピッティングの発生があまり抑制されない虞がある。従って、スピッティングの発生をより強く抑制するためには、造粒及び焼結された後のイットリア原料粉末の平均一次粒子径は、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上である。
一方、造粒及び焼結された後のイットリア原料粉末の平均一次粒子径が10μmよりも大きい場合には、溶射用粉末中のイットリア造粒−焼結粒子の崩壊により生じるイットリア微粒子が溶射フレームにより溶融されにくいため、溶射用粉末から形成される溶射皮膜中に空隙が生じやすい。従って、気孔率の低い緻密な溶射皮膜を得ることは極めて難しい。よって、緻密な溶射皮膜を得るためには、造粒及び焼結された後のイットリア原料粉末の平均一次粒子径は10μm以下であることが必須である。ただし、たとえ10μm以下であっても9μmよりも大きい場合、さらに言えば8μmよりも大きい場合には、溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密さがあまり良好でない虞がある。従って、より緻密な溶射皮膜を得るためには、造粒及び焼結された後のイットリア原料粉末の平均一次粒子径は、好ましくは9μm以下、より好ましくは8μm以下である。
イットリア造粒−焼結粒子の圧壊強度が10MPaよりも小さい場合には、溶射用粉末の溶射時にスピッティングが頻繁に発生して実用上支障がある。この場合のスピッティングの発生は、溶射用粉末供給装置内、あるいは溶射用粉末供給装置から溶射装置へ溶射用粉末を搬送するチューブ内で溶射用粉末中のイットリア造粒−焼結粒子が崩壊することによって、溶射フレームにより過溶融されやすいイットリア微粒子が極めて生じやすいことに起因する。従って、スピッティングの発生を抑制するためには、イットリア造粒−焼結粒子の圧壊強度は10MPa以上であることが必須である。ただし、たとえ10MPa以上であっても12MPaよりも小さい場合、さらに言えば15MPaよりも小さい場合には、スピッティングの発生があまり抑制されない虞がある。従って、スピッティングの発生をより強く抑制するためには、イットリア造粒−焼結粒子の圧壊強度は、好ましくは12MPa以上、より好ましくは15MPa以上である。
一方、イットリア造粒−焼結粒子の圧壊強度が40MPaよりも大きい場合には、溶射フレーム中でイットリア造粒−焼結粒子がほとんど崩壊しないため、イットリア造粒−焼結粒子中の細孔が溶射皮膜においてもほぼそのまま残ることになる。そのため、気孔率の低い緻密な溶射皮膜を得ることは極めて難しい。従って、緻密な溶射皮膜を得るためには、イットリア造粒−焼結粒子の圧壊強度は40MPa以下であることが必須である。ただし、たとえ40MPa以下であっても38MPaよりも大きい場合、さらに言えば35MPaよりも大きい場合には、溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密さがあまり良好でない虞がある。従って、より緻密な溶射皮膜を得るためには、イットリア造粒−焼結粒子の圧壊強度は、好ましくは38MPa以下、より好ましくは35MPa以下である。
イットリア造粒−焼結粒子が細孔半径分布のピークを0.2μm未満、さらに言えば0.25μm未満、もっと言えば0.3μm未満に有する場合には、溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密さがあまり良好でない虞がある。溶射フレーム中でのイットリア造粒−焼結粒子の崩壊は、イットリア造粒−焼結粒子中の細孔が大きいほど起こりやすい。従って、細孔半径分布のピークを0.2μm未満(あるいは0.25μm未満又は0.3μm未満)に有するイットリア造粒−焼結粒子、すなわち小さい細孔を多く含むイットリア造粒−焼結粒子は、溶射フレーム中で十分に崩壊しない虞があり、そのため溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密さがあまり良好でない虞がある。よって、イットリア造粒−焼結粒子は細孔半径分布のピークを0.2μm以上に有することが好ましく、より好ましくは0.25μm以上、最も好ましくは0.3μm以上である。
一方、イットリア造粒−焼結粒子が細孔半径分布のピークを3.0μm超、さらに言えば2.5μm超、もっと言えば2.0μm超に有する場合にも、溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密さがあまり良好でない虞がある。これは、細孔半径分布のピークを3.0μm超(あるいは2.5μm超又は2.0μm超)に有するイットリア造粒−焼結粒子、すなわち大きい細孔を多く含むイットリア造粒−焼結粒子の場合には、溶射フレーム中での崩壊よりも先に溶融が起こりやすく、そのため溶射フレーム中でのイットリア造粒−焼結粒子の崩壊が不十分になる虞があるためである。従って、イットリア造粒−焼結粒子は細孔半径分布のピークを3.0μm以下に有することが好ましく、より好ましくは2.5μm以下、最も好ましくは2.0μm以下である。
イットリア造粒−焼結粒子のフィッシャー径に対する平均粒子径D50%の比が4未満である場合、さらに言えば5未満、もっと言えば6未満である場合にもまた、溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密さがあまり良好でない虞がある。フィッシャー径に対する平均粒子径D50%の比が大きいほどイットリア造粒−焼結粒子は細孔をより多く含む傾向があり、従って、この比が大きいほど溶射フレーム中でのイットリア造粒−焼結粒子の崩壊は起こりやすい。そのため、フィッシャー径に対する平均粒子径D50%の比が4未満(あるいは5未満又は6未満)の場合、すなわちこの比が小さすぎる場合には、イットリア造粒−焼結粒子が溶射フレーム中で十分に崩壊しない虞があり、そのため溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密さがあまり良好でない虞がある。よって、イットリア造粒−焼結粒子のフィッシャー径に対する平均粒子径D50%の比は、好ましくは4以上、より好ましくは5以上、最も好ましくは6以上である。
一方、イットリア造粒−焼結粒子のフィッシャー径に対する平均粒子径D50%の比が18よりも大きい場合、さらに言えば16よりも大きい場合、もっと言えば12よりも大きい場合にも、溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密さがあまり良好でない虞がある。これは、フィッシャー径に対する平均粒子径D50%の比が18よりも大きい場合(あるいは16又は12よりも大きい場合)には、イットリア造粒−焼結粒子が細孔を多く含みすぎる虞があるためである。イットリア造粒−焼結粒子中の細孔が多すぎる場合には、溶射フレーム中での崩壊よりも先に溶融が起こりやすく、そのため溶射フレーム中でのイットリア造粒−焼結粒子の崩壊が不十分になる虞がある。従って、イットリア造粒−焼結粒子のフィッシャー径に対する平均粒子径D50%の比は、好ましくは18以下、より好ましくは16以下、最も好ましくは12以下である。
イットリア造粒−焼結粒子の嵩比重が2.0よりも大きい場合、さらに言えば1.5よりも大きい場合、もっと言えば1.3よりも大きい場合にもまた、溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密さがあまり良好でない虞がある。嵩比重が小さいほどイットリア造粒−焼結粒子は細孔をより多く含む傾向があり、従って、イットリア造粒−焼結粒子の嵩比重が小さいほど溶射フレーム中でのイットリア造粒−焼結粒子の崩壊は起こりやすい。そのため、溶射用粉末の嵩比重が2.0よりも大きい場合(あるいは1.5又は1.3よりも大きい場合)、すなわち嵩比重が大きすぎる場合には、イットリア造粒−焼結粒子が溶射フレーム中で十分に崩壊しない虞があり、そのため溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密さがあまり良好でない虞がある。従って、イットリア造粒−焼結粒子の嵩比重は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、最も好ましくは1.3以下である。
一方、イットリア造粒−焼結粒子の嵩比重が0.3よりも小さい場合、さらに言えば0.5よりも小さい場合、もっと言えば0.7よりも小さい場合にも、溶射用粉末から形成される溶射皮膜の緻密さがあまり良好でない虞がある。これは、嵩比重が0.3よりも小さい場合(あるいは0.5又は0.7よりも小さい場合)には、イットリア造粒−焼結粒子が細孔を多く含みすぎる虞があるためである。イットリア造粒−焼結粒子中の細孔が多すぎる場合には、溶射フレーム中での崩壊よりも先に溶融が起こりやすく、そのため溶射フレーム中でのイットリア造粒−焼結粒子の崩壊が不十分になる虞がある。従って、イットリア造粒−焼結粒子の嵩比重は、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、最も好ましくは0.7以上である。
溶射用粉末中の全イットリア造粒−焼結粒子の積算体積に対する粒子径10μm以下のイットリア造粒−焼結粒子の積算体積の比率が20%よりも大きい場合、さらに言えば15%よりも大きい場合、もっと言えば10%よりも大きい場合には、溶射用粉末の流動性が低下する虞がある。この場合の流動性の低下は、粒子径が10μm以下の細かな粒子が溶射用粉末に多く含まれることに起因する。従って、流動性の低下を抑制するためには、粒子径10μm以下のイットリア造粒−焼結粒子の積算体積の比率は、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下である。
次に、本実施形態に係る溶射用粉末の製造方法について説明する。本実施形態に係る溶射用粉末は、造粒−焼結法によりイットリア原料粉末から製造される。まず、イットリア原料粉末を分散媒に混合することによりスラリーが調製される。次に、噴霧型造粒機を用いてスラリーから造粒粉末を作製する。こうして得られた造粒粉末を焼結し、さらに解砕及び分級することにより、イットリア造粒−焼結粒子から実質的になる溶射用粉末は製造される。造粒粉末を焼結するときの温度及び時間によって、得られる溶射用粉末中のイットリア造粒−焼結粒子の圧壊強度は調整可能である。
本実施形態は、以下の利点を有する。
・ 造粒及び焼結された後のイットリア原料粉末の平均一次粒子径が2μm以上に設定され、さらにイットリア造粒−焼結粒子の圧壊強度が10MPa以上に設定されているため、本実施形態に係る溶射用粉末によれば、スピッティングの発生が良好に抑制される。加えて、造粒及び焼結された後のイットリア原料粉末の平均一次粒子径が10μm以下に設定され、さらにイットリア造粒−焼結粒子の圧壊強度が40MPa以下に設定されているため、本実施形態に係る溶射用粉末によれば、緻密な溶射皮膜が得られる。従って、本実施形態に係る溶射用粉末によれば、緻密なイットリア溶射皮膜を良好に形成可能である。
・ 造粒−焼結法により製造される溶射用粉末は一般に、溶融−粉砕法又は焼結−粉砕法により製造される溶射用粉末に比べて流動性が良好である。しかも製造過程に粉砕工程を含まないので、粉砕中に不純物が混入する虞もない。従って、造粒−焼結法により製造される本実施形態に係る溶射用粉末もこれらの利点を有する。
前記実施形態は以下のように変更されてもよい。
・ 溶射用粉末は、イットリア造粒−焼結粒子以外の成分を含有してもよい。ただし、溶射用粉末中のイットリア造粒−焼結粒子の含有量はできるだけ100%に近いことが好ましい。
・ 溶射用粉末を溶射する方法はプラズマ溶射以外の方法であってもよい。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1〜10及び比較例1〜5においては、イットリア原料粉末を造粒及び焼結して得られるイットリア造粒−焼結粒子を溶射用粉末として用意した。比較例6においては、イットリア原料粉末を造粒して得られるイットリア造粒粒子を溶射用粉末として用意した。比較例7においては、イットリア原料粉末を溶融及び粉砕して得られるイットリア溶融−粉砕粒子を溶射用粉末として用意した。実施例1〜10及び比較例1〜7に係る各溶射用粉末の詳細は表1に示すとおりである。
表1の“平均一次粒子径”欄には、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて測定した造粒及び焼結された後のイットリア原料粉末の定方向径(Feret径)の平均を示す。ただし、比較例6については、造粒された後のイットリア原料粉末の定方向径の平均を示す。定方向径の測定は、各溶射用粉末中から任意に選択される10個のイットリア造粒−焼結粒子(比較例6の場合はイットリア造粒粒子)のそれぞれに含まれる50個のイットリア原料粉末粒子について行った。定方向径は、粒子をはさんで定方向に延びる二本の平行線の間の距離である。参考までに電界放射型走査電子顕微鏡を用いて撮影した実施例4の溶射用粉末の写真を図1に示す。
表1の“圧壊強度”欄には、式:σ=2.8×L/π/d2に従って算出される各溶射用粉末中の粒子(造粒−焼結粒子又は造粒粒子)の圧壊強度σ[MPa]を示す。式中、Lは臨界荷重[N]を表し、dは二次粒子の平均粒子径[mm]を表す。臨界荷重は、一定速度で増加する圧縮荷重を圧子で粒子に加えたときに、圧子の変位量が急激に増加する時点において溶射用粉末に加えられた圧縮荷重の大きさである。この臨界荷重の測定は、(株)島津製作所社製の微小圧縮試験装置“MCTE−500”を用いて行った。
表1の“細孔半径分布のピーク”欄には、(株)島津製作所製の水銀圧入式ポロシメーター“ポアサイザー9320”を用いて測定される各溶射用粉末中の粒子(造粒−焼結粒子又は造粒粒子)の細孔半径分布のピークを示す。通常、造粒−焼結粒子の細孔半径分布を測定すると2つのピークが得られる。このうち大径側(例えば10μm前後)に現れるピークは、造粒−焼結粒子同士の隙間に由来するものであり、造粒−焼結粒子中の細孔に由来するピークは小径側のピークのみである。本明細書中における造粒−焼結粒子の細孔半径分布のピークとは、造粒−焼結粒子同士の隙間に由来するピークではなく、造粒−焼結粒子中の細孔に由来するピークを意味する。参考までに水銀圧入式ポロシメーターにより測定した実施例1の溶射用粉末の細孔直径分布のグラフを図2に示す。
表1の“フィッシャー径に対するD50%の比”欄には、各溶射用粉末の平均粒子径D50%をフィッシャー径で除して得られる値を示す。平均粒子径D50%は(株)堀場製作所製のレーザー回折/散乱式粒度測定機“LA−300”によって測定し、フィッシャー径はフィッシャーサブシーブサイザーによって測定した。溶射用粉末の平均粒子径D50%は、溶射用粉末中の全粒子の積算体積の50%以上になるまで粒子径の小さい粒子から順に溶射用粉末中の粒子の体積を積算したときに最後に積算される粒子の粒子径である。
表1の“嵩比重”欄には、JIS Z2504に準じて測定した各溶射用粉末の嵩比重を示す。
実施例1〜10及び比較例1〜7に係る各溶射用粉末を表2に示す条件でプラズマ溶射して形成した溶射皮膜をその上面に直交する面で切断した。切断面を鏡面研磨した後、エヌサポート社製の画像解析処理装置"NSFJ1−A"を用いて測定される切断面における溶射皮膜の気孔率に基づいて、優(◎)、良(○)、可(△)、不良(×)の四段階で各溶射用粉末を評価した。具体的には、気孔率が4%未満の場合には優、4%以上6%未満の場合には良、6%以上9%未満の場合には可、9%以上の場合には不良と評価した。この評価の結果を表1の“皮膜の緻密さ”欄に示す。
実施例1〜10及び比較例1〜7に係る各溶射用粉末を表2に示す条件でプラズマ溶射したときのスピッティングの発生の有無に基づいて、良(○)、不良(×)の二段階で各溶射用粉末を評価した。具体的には、スピッティングの発生が認められない場合には良、スピッティングの発生が認められる場合には不良と評価した。この評価の結果を表1の“スピッティング”欄に示す。
Figure 0004642487
Figure 0004642487
表1に示すように、実施例1〜10においては、皮膜の緻密さに関してはいずれも可以上と高い評価であった。加えて、スピッティングに関してはいずれも良と高い評価であった。この結果から、実施例1〜10に係る溶射用粉末によればスピッティングの発生を招くことなく緻密なイットリア溶射皮膜を形成可能であることが分かる。
前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 溶射用粉末中の全造粒−焼結粒子の積算体積に対する粒子径10μm以下の造粒−焼結粒子の積算体積の比率が20%以下である前記溶射用粉末。
前記溶射用粉末を溶射して形成される溶射皮膜。
電界放射型走査電子顕微鏡を用いて撮影した実施例4の溶射用粉末の写真。 水銀圧入式ポロシメーターにより測定した実施例1の溶射用粉末の細孔直径分布のグラフ。

Claims (4)

  1. イットリウム酸化物原料粉末を造粒及び焼結して得られるイットリウム酸化物造粒−焼結粒子を含有する溶射用粉末であって、造粒及び焼結された後の前記原料粉末の平均一次粒子径は2〜10μmであり、前記造粒−焼結粒子の圧壊強度は10〜40MPaであり、前記造粒−焼結粒子が細孔半径分布のピークを0.2μm以上に有することを特徴とする溶射用粉末。
  2. 前記造粒−焼結粒子のフィッシャー径に対する平均粒子径D50%の比が4以上であることを特徴とする請求項1に記載の溶射用粉末。
  3. 前記造粒−焼結粒子の嵩比重が2.0以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶射用粉末。
  4. プラズマ溶射により溶射皮膜を形成する用途において用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の溶射用粉末。
JP2005013375A 2005-01-20 2005-01-20 溶射用粉末 Active JP4642487B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005013375A JP4642487B2 (ja) 2005-01-20 2005-01-20 溶射用粉末

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005013375A JP4642487B2 (ja) 2005-01-20 2005-01-20 溶射用粉末

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006200005A JP2006200005A (ja) 2006-08-03
JP4642487B2 true JP4642487B2 (ja) 2011-03-02

Family

ID=36958263

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005013375A Active JP4642487B2 (ja) 2005-01-20 2005-01-20 溶射用粉末

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4642487B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8075860B2 (en) 2005-09-30 2011-12-13 Fujimi Incorporated Thermal spray powder and method for forming a thermal spray coating
JP5159204B2 (ja) * 2006-10-31 2013-03-06 株式会社フジミインコーポレーテッド 溶射用粉末、溶射皮膜の形成方法、耐プラズマ性部材、及びプラズマ処理チャンバー
KR101045793B1 (ko) 2008-09-08 2011-07-04 재단법인 철원플라즈마 산업기술연구원 코팅 방법 및 장치
DE112013002595T5 (de) * 2012-05-21 2015-03-12 Fujimi Incorporated Cermetpulver
US10150707B2 (en) 2014-09-05 2018-12-11 Mitsubishi Hitachi Power Systems, Ltd. Method of producing thermal spray powder, manufacture apparatus of thermal spray powder, and thermal spray powder produced by the producing method
JP6578106B2 (ja) * 2015-02-24 2019-09-18 株式会社フジミインコーポレーテッド 溶射用粉末
CN113684439A (zh) * 2021-08-24 2021-11-23 湖南威斯康新材料科技有限公司 一种氧化钇热障涂层的制备方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002302754A (ja) * 2001-04-06 2002-10-18 Shin Etsu Chem Co Ltd 溶射用希土類含有化合物粒子、これを溶射した溶射部材
JP2002348653A (ja) * 2001-03-21 2002-12-04 Shin Etsu Chem Co Ltd 希土類酸化物溶射用粒子、溶射部材および耐食性部材
JP2002363724A (ja) * 2001-03-08 2002-12-18 Shin Etsu Chem Co Ltd 溶射用球状粒子および溶射部材

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002363724A (ja) * 2001-03-08 2002-12-18 Shin Etsu Chem Co Ltd 溶射用球状粒子および溶射部材
JP2002348653A (ja) * 2001-03-21 2002-12-04 Shin Etsu Chem Co Ltd 希土類酸化物溶射用粒子、溶射部材および耐食性部材
JP2002302754A (ja) * 2001-04-06 2002-10-18 Shin Etsu Chem Co Ltd 溶射用希土類含有化合物粒子、これを溶射した溶射部材

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006200005A (ja) 2006-08-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7842383B2 (en) Yttrium-aluminum double oxide thermal spraying powder
US8349450B2 (en) Thermal spray powder, method for forming thermal spray coating, and plasma resistant member
JP4912598B2 (ja) 溶射用粉末
JP4642487B2 (ja) 溶射用粉末
JP4981291B2 (ja) 溶射用粉末及び溶射皮膜の形成方法
WO2013176168A1 (ja) プラズマ処理装置用部品およびプラズマ処理装置用部品の製造方法
US20220388858A1 (en) Film-forming material
JP5093745B2 (ja) 複合構造物
US7837967B2 (en) Thermal spray powder and method for forming thermal spray coating
JP2006037238A (ja) 溶射用球状粒子の製造方法
JP2014012900A (ja) 成膜装置
JP2022179582A (ja) 希土類酸化物粒子
KR102405683B1 (ko) 용사용 재료
KR20190049831A (ko) 용사용 재료
JP6706894B2 (ja) 溶射材料
KR101807444B1 (ko) 플라즈마 장치용 부품 및 그 제조 방법
JP2010150616A (ja) 溶射用粉末、溶射皮膜の形成方法、及び溶射皮膜
JP4981292B2 (ja) 溶射用粉末及び溶射皮膜の形成方法
JP4585832B2 (ja) 溶射用粉末、溶射方法及び溶射皮膜
JP2002332558A (ja) 溶射用球状粒子およびその製造方法並びに溶射部材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20071121

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100309

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100428

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101109

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4642487

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131210

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250